JP4792700B2 - 導電性接着剤 - Google Patents

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Description

この発明は、ポリマー型の導電性接着剤に関するもので、特に、少なくとも錫を含む導電部材に対する電気的接合を得るために有利に用いられる、導電性接着剤に関するものである。
面実装タイプのチップ状電子部品を配線基板上に実装する際には、通常、半田が用いられている。他方、近年の環境負荷軽減の要望を満たすことを目的として、電子部品の実装に際して、半田に代えて、導電性接着剤を用いることが検討されている。導電性接着剤を用いることにより、鉛フリー化を図ることができるとともに、低温処理の可能化や洗浄工程の省略などといった工程簡略化をも図ることができる。
上述のような面実装タイプのチップ状電子部品を実装する用途に向けられる導電性接着剤は、高い接続信頼性を実現するためには、少なくとも、導電性接着剤が与える接続部分での熱応力によるクラックや反りや歪みが生じにくいことが重要である。
たとえば、特開平6−184279号公報(特許文献1)、特開2000−256642号公報(特許文献2)および特開2001−345331号公報(特許文献3)では、高い接続信頼性を得るため、導電性接着剤に含まれる樹脂および/または硬化剤として特定のものを使用することにより、低応力、低吸湿率などを達成し、半田リフローその他の高温時の接着性を高め、クラックを抑制し得る、導電性接着剤が記載されている。
また、特開2000−319622号公報(特許文献4)では、並進・回転運動が少ない樹脂と複数の反応基を有するものとを含有した導電性接着剤が開示され、このような導電性接着剤を用いることにより、半田の代替となり得るような良好な接合強度および接続抵抗特性ならびに優れた印刷性が得られるとされている。
特開平6−184279号公報 特開2000−256642号公報 特開2001−345331号公報 特開2000−319622号公報
導電性接着剤を用いた場合の接続信頼性に関する問題には、クラック、反り、歪みといった、いわゆるマクロな現象だけでなく、化学的変化などのいわゆるミクロな現象に起因するものもある。たとえば、クラック、反りまたは歪みがなくても、接続抵抗が上昇し、電気的特性が損なわれることがある。
前述した特許文献1ないし3では、上述の化学的でミクロな現象に対する解決策については全く開示されていない。
本件発明者は、ポリマー型の導電性接着剤による電気的導通は、導電性接着剤中の導電性粒子と導電性接着剤が付与される電極のような導電部材との間に存在する樹脂部分あるいは導電性粒子間に存在する樹脂部分を通して得られることを見出した。さらに、化学的でミクロな現象により、導電性接着剤の電気的接続が損なわれるのは、樹脂部分の膨潤が主な原因であることを見出した。
すなわち、初期において導電性接着剤中の導電性粒子と導電部材との間あるいは導電性粒子間で樹脂部分を通して得られていた導通が、高温高湿度下において損なわれることがあった。これは、高温高湿度下において、樹脂が膨潤することによって、導電性接着剤中の導電性粒子と導電部材との間あるいは導電性粒子間の距離が長くなり、初期において得られていた導通が妨げられたためである。
また、本件発明者は、導電性接着剤による接続部分の電気的導通が損なわれる別の原因として、錫、鉛などの卑金属を含む導電部材と導電性接着剤との接続部分において、導電性接着剤中に含まれる水分または不純物イオン(特に、アンモニウムイオン)によって、導電部材表面が酸化したり、腐食したりして、導通抵抗値が上昇する場合もあることを見出した。
より具体的に説明すると、近年、鉛フリー化の動きに従い、電子部品の端子電極のような導電部材の最外層を構成するめっき膜は、半田めっき膜から錫めっきまたは金めっき膜に変更されてきており、特に、低コストである錫めっき膜がその大部分を占めている。
しかしながら、少なくとも錫を含む導電部材すなわち錫系導電部材が形成された電子部品の実装に導電性接着剤を用いた場合、高温または高温高湿度などの環境下では、錫系導電部材に含まれる錫が酸化したり腐食したりし、導電性接着剤と錫系導電部材との間の電気導通性が劣化してしまい、高い電気導通性を維持することが困難であった。
このため、従来、導電性接着剤の使用は、主として、電子部品側の導電部材が、腐食(酸化)されにくい貴金属を含む場合に限定される。
ところで、特許文献4では、良好な接合強度および接続抵抗特性を実現できると記載されているが、電子部品側の導電部材として錫系導電部材を用いた開示はない。しかも、実際、特許文献4に記載の導電性接着剤によれば、以下の理由により、錫系導電部材に対して良好な接続信頼性を得ることが困難である。
すなわち、特許文献4に記載されるように、並進・回転運動が少ない、または反応基の数が多い樹脂を使用した場合、当該導電性接着剤の硬化物中の自由体積が大きくなると同時に、硬化反応に寄与できずに残った官能基の数が比較的多くなる。その結果、大きな自由体積によって、バルク中の透湿速度が増加し、同時に吸水率が高くなる。前述したように、錫のような卑金属を含む導電部材における電気導通性の劣化には、水分が大きく影響する。したがって、吸水率が高くなると、腐食が生じやすくなる。
そのため、特許文献4に記載のような樹脂を含む導電性接着剤は、これを錫系導電部材に対する電気的接合を得るために用いたときには、高温または高温高湿度下において十分な電気導通性を確保することが困難になってしまう。
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解決し得る、導電性接着剤を提供しようとすることである。
この発明は、少なくとも錫を含む導電部材に対する電気的接合を得るために用いられる、導電性接着剤に向けられるものである。
この発明に係る導電性接着剤は、熱硬化型樹脂と金属粉末とを含むものであり、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、熱硬化型樹脂は主剤と硬化剤とを含み、主剤は、ビスフェノールA型もしくはビスフェノールF型の2官能型エポキシ樹脂、またはトリスグリシジル型、テトラグリシジル型もしくはノボラック型の3官能以上の多官能型エポキシ樹脂である。また、金属粉末は、その球形度が0.815以下であり、かつその比表面積が1.50m2/g以上であるとともに、金属粉末の含有量が、当該導電性接着剤の硬化物中において78〜92重量%となるように選ばれ、当該導電性接着剤から金属粉末を除いた成分の硬化物から抽出されるアンモニウムイオン量が64ppm以下であり、当該導電性接着剤の硬化物の膨潤率が0.5%以下であり、かつ、当該導電性接着剤の硬化物における金属粉末と導電部材との平均間隔が300nm以下であることを特徴としている。
ただし、上記膨潤率は、導電性接着剤から金属粉末を除いた成分を150℃の温度で60分間加熱処理して得られた硬化物を測定サンプルとし、このサンプルの初期長さ(L1)と、85℃の温度および85%の相対湿度の環境下で1000時間放置後のサンプルの長さ(L2)とから、
膨潤率[%]={(L2−L1)/L1}×100
の式によって算出したものである。
また、上記金属粉末と導電部材との平均間隔は、導電性接着剤硬化物と導電部材との界面から金属粉末の表面に至るまで、界面に対して垂線を引き、この垂線の長さについて、最も短いものから順に20番目までを計測し、これら計測した20個の間隔の平均値を算出したものである。
金属粉末として、好ましくは、銀粉末が用いられる。
この発明に係る導電性接着剤によれば、そこに含まれる金属粉末に関して、その球形度が0.815以下と低く、その比表面積が1.50m2 /g以上と大きく、それゆえ粒径が小さく、かつその含有量が硬化後の重量割合で78〜92重量%となるように選ばれているので、電極のような導電部材に対する電気的接合を得るために用いられたとき、金属粉末によって与えられる導電性粒子と導電部材との接触確率および導電性粒子同士の接触確率を高めることができる。
したがって、導電性粒子や導電部材といった導体間の距離が導通可能な程度に短くなっている箇所すなわち導通経路の数を増加させることができるとともに、この導通経路となる樹脂部分の厚みを薄くすることができる。そのため、樹脂部分の膨潤による導通抵抗値の上昇を抑制することができる。
また、この発明に係る導電性接着剤によれば、当該導電性接着剤から金属粉末を除いた成分の硬化物から抽出される不純物イオンとしてのアンモニウムイオン量が64ppm以下とされるので、腐食をより効果的に抑制することができ、その結果、より確実に良好な電気導通性を確保することができる。
また、この発明に係る導電性接着剤によれば、その硬化物の膨潤率が0.5%以下であり、かつ、その硬化物における金属粉末と導電部材との平均間隔が300nm以下であるので、高温高湿度下においても、金属粉末と導電部材との間隔が、これらの間での導通が損なわれるほどに広がることを有利に抑制することができる。したがって、導電性接着剤硬化物による導電部材に対する接続部分における電気的接続の信頼性を高めることができる。
この発明に係る導電性接着剤は、前述したように、少なくとも錫を含む導電部材に対する電気的接合を得るために用いられるものであって、熱硬化型樹脂と金属粉末とを含んでいる。そして、金属粉末に関して、その球形度が0.815以下であり、かつその比表面積が1.50m2 /g以上であるという特徴を有している。
したがって、金属粉末によって与えられる導電性粒子と電極のような導電部材との接触確率および導電性粒子同士の接触確率を高めることができ、導電性粒子や導電部材といった導体間の距離が導通可能な程度に短くなっている箇所すなわち導通経路の数を増加させることができるとともに、この導通経路となる樹脂部分の厚みを薄くすることができる。そのため、樹脂部分の膨潤による導通抵抗値の上昇を抑制することができる。
これに対して、金属粉末の球形度が0.815を超えたり、比表面積が1.50m2 /g未満であったりすると、導通経路となる樹脂部分の厚みを薄くすることができないため、樹脂部分の膨潤による導通抵抗値の上昇を十分に抑制することができない。その結果、電気導通性の劣化を招く。
なお、金属粉末の比表面積に関して、前述した特許文献4では、0.3〜1.5m2 /gであることが好ましいとされている。しかしながら、特許文献4に記載された導電性接着剤では、その樹脂組成物が水分を蓄積しやすいことに加えて、金属粉末の比表面積が、この発明の場合に比べて小さいため、すなわち、粒径が大きいため、前述したように、電気導通性の劣化を招きやすいのである。
前述のように、球形度が0.815以下である金属粉末としては、たとえば、主としてフレーク状の粒子形状を有するものを用いることができる。金属粉末としては、その他、不定形の粒子形状またはファイバ状もしくは「いが栗」状の粒子形状を有するものを用いることもでき、また、これら複数種類の粒子形状のものを混合して用いることも、さらには、球形状のものとの混合で用いることもできる。なお、球形度は、粒子の投影像の外周と同じ周長をもつ真円の面積に対する、粒子の投影面積の比で表される数値であり、真球の場合には1.00となる。
金属粉末を構成する金属としては、たとえば、銀、金、パラジウム、銅、錫、鉛、ニッケルなどを用いることができ、あるいは、これら金属の複合体を用いることもできる。また、金属粉末は、異種金属粉末を混合したものであってもよい。
金属粉末の含有量は、当該導電性接着剤の硬化物中において78〜92重量%となるように選ばれる。金属粉末の含有量が、この範囲から外れて少ない場合には、電気導通性が不十分となり、導電材料としての機能が得られず、他方、上述の範囲を外れて多い場合には、導電性接着剤において良好な流動性が得られず、接着剤としての機能が損なわれる。
なお、金属粉末として、オレイン酸やステアリン酸などの脂肪酸による表面処理を施したものを用いてもよい。
この発明に係る導電性接着剤に含まれる金属粉末を除いた成分の硬化物から抽出されるアンモニウムイオン量は64ppm以下とされる。これは、本件発明者による調査の結果、腐食には、アンモニウムイオンが大きく寄与しており、その量を64ppm以下にすることによって、腐食を抑制できることを見出した結果として導き出されたものである。アンモニウムイオン量が64ppmを超える場合は、高温高湿度下において錫系導電部材の腐食が促進され、導通抵抗値が上昇するため、高い信頼性が得られないことがある。
なお、特許文献4では、樹脂組成中に硬化剤としてジシアンジアミドを用いることが好ましいとされているが、ジシアンジアミドは、高温で加熱すると、アンモニアを発生することが知られている。したがって、導電性接着剤の乾燥硬化のための加熱処理時に、アンモニウムイオンを多量に発生するため、前述したような64ppm以下に抑えることはできない。
本件明細書で示したアンモニウムイオン量は、密閉できる容器に、直径20mmのほぼ球状の導電性接着剤から金属粉末を除いた成分の硬化物1gと純水50gとを入れ、この容器を、熱風循環型のオーブンにおいて、110℃の温度で24時間加熱処理し、次いで、得られた抽出水中に含まれるアンモニウムイオン量をイオンクロマト分析法によって測定した値である。
熱硬化型樹脂は、主剤と硬化剤とを含む。主剤としては、エポキシ樹脂を好適に用いることができる。このエポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型に代表される2官能型のもの、その他フェノールノボラック型に代表される多官能型のものを用いることができる。用いられるエポキシ樹脂の形態としては、液状であっても、固形状であってもよい。
ただし、導通抵抗値の安定性のほかに、作業性や密着強度を重視するのであれば、上記2官能型のものとしては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂やビスフェノールF型液状エポキシ樹脂などの低粘度のものを用いるのが好ましく、必要に応じて、反応性希釈剤を配合してもよい。
他方、低比抵抗という目的があれば、3官能以上の多官能型エポキシ樹脂として、トリスグリシジル型、テトラグリシジル型およびノボラック型など、硬化時の収縮が大きいものを用いるのが好ましく、特に、ノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
なお、導電性接着剤において、特性を損なわない程度であれば、副成分として上述した熱硬化型樹脂以外の樹脂を加えてもよい。このような熱硬化型樹脂以外の副成分樹脂としては、たとえば、エチルセルロース樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、加硫型ゴム、フェノキシ樹脂等がある。この他にも、塩化ビニル、酢酸ビニル、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、加硫型ゴム等を添加してもよい。また、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、アルキル化メラミンアルデヒド樹脂、アルキルフェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂などの粘着性付与効果のある樹脂を配合してもよい。
硬化剤としては、たとえば、フェノール系樹脂、イミダゾール化合物、酸無水物系化合物、芳香族アミン系化合物、脂肪酸アミン系化合物またはリン系化合物を用いることができる。
上記フェノール系樹脂は、熱硬化型フェノール成分の一部を他のフェノール性水酸基を持つ化合物に置き換えたものであってもよい。このようなフェノール性水酸基を持つ樹脂としては、たとえば、p−クレゾールやo−クレゾールとの混合物またはm−クレゾールもしくは3,5−ジメチルフェノールを用いるアルキルクレゾール型樹脂、キシレン樹脂変性レゾール型樹脂、ロジン変性フェノール型樹脂などが挙げられる。
硬化剤としてフェノール系樹脂を用いる場合、その配合量は、主剤樹脂であるエポキシ樹脂のエポキシ基の数に対してフェノール樹脂の水酸基の数が0.5〜1.5当量であることが好ましい。0.5当量未満または1.5当量を超える場合には、硬化物の物性が不十分になり、良好な電気導通安定性を得ることができない。
他方、イミダゾール化合物としては、たとえば、2−フェニル−4,5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2′メチルイミダゾール−(1′)]−エチル−S−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−ヘプタデシルイミダゾール等がある。この硬化剤は、通常使用される量をもって配合されればよい。たとえば、主剤としてのエポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部配合することが好ましい。
なお、イミダゾール環に結合する官能基が多く、分子量が大きいイミダゾール化合物を用いる場合には、官能基が少なく、分子量が小さいイミダゾール化合物を用いる場合に比べて、導電性接着剤から溶出するアンモニウムイオン量を少なくできるため、官能基が多く、分子量が大きいイミダゾール化合物を用いることがより好ましい。
また、イミダゾール化合物として、ライフ確保のための反応性を抑える目的でイミダゾールとエポキシ樹脂とを予めアダクトさせたものを用いてもよい。また、被着体との密着力を高めるためには、配合されるシランカップリング剤とイミダゾールとの反応物などのイミダゾール基を含む化合物を用いてもよい。
硬化剤としてフェノール系樹脂が用いられる場合には、2種類以上のフェノール系樹脂が用いられても、また、イミダゾール化合物が用いられる場合には、2種類以上のイミダゾール化合物が用いられても、さらには、フェノール系樹脂とイミダゾール化合物とが組み合わされて用いられてもよい。
また、上記以外の硬化剤として、エポキシ樹脂との反応において、エステル結合を生成させないものであれば、これを問題なく用いることができる。なお、硬化物中にエステル結合を含む場合には、水により加水分解するため、接着剤としての高い耐湿信頼性を得ることができない。
また、必要に応じて、イミダゾール化合物、2級または3級アミン等を硬化促進剤として併用してもよい。なお、イミダゾール化合物は、硬化剤としても、硬化促進剤としても用いることができる。
導電性接着剤には、必要に応じて、溶剤が配合される。溶剤は、必ずしも配合される必要がないが、配合される場合には、主剤、硬化剤およびその他の添加剤を溶解させ、加熱硬化工程おいて揮発するものであることが必要である。溶剤は、単独でも混合溶剤でもよいが、沸点が110℃以上のものを少なくとも1種含むことが好ましい。沸点が110℃未満の溶剤を含む場合には、印刷中に溶剤が蒸発して、導電性接着剤の粘度が変化する不具合が起こりやすいからである。溶剤の使用量については、導電性接着剤が印刷時において適当な粘度になるように適宜選べばよい。
用いられ得る溶剤としては、たとえば、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族類、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸ブチルもしくは酢酸エチルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルもしくはエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、またはそれらのアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルもしくはジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、またはそれらのアセテート、トリエチレングリコールモノアルキル類またはそのアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルもしくはジプロピレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらのアセテート、α−テルピネオール、β−テルピネオール、ブタノールもしくはベンジルアルコールなどのアルコール類、その他フェノール類などがある。
導電性接着剤には、その他、必要に応じて、粘度調整剤、希釈剤、難燃剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、沈降防止剤、モノエポキシ化合物、顔料、シランカップリング剤、消泡剤、腐食防止剤、粘着性付与剤など、各種の添加剤が適宜配合されてもよい。これらの添加剤の配合量については、樹脂の粘度や強度などの特性を損なわないように選ばれる。
この発明に係る導電性接着剤は、従来から用いられている通常の方法によって製造されることができる。すなわち、上述したような各種成分を、ボールミル、ロールミル、プラネタリミキサー、乳鉢等の各種混練機を用いて混練することにより製造されることができる。
また、上述のようにして得られた導電性接着剤は、従来の場合と同様、スクリーン印刷、メタルマスク印刷またはディスペンサ塗布等の方法によって、配線基板やリードフレームなどの被着体に塗布される。そして、面実装タイプのチップ状電子部品をマウンタなどによりマウントし、連続またはバッチ式の炉またはオーブン等によって、導電性接着剤を熱硬化させれば、所望の電気的接合状態を得ることができる。
上述の熱硬化における加熱硬化条件については、導電性接着剤が十分に硬化するとともに、熱による劣化が問題にならない範囲であれば、特に制限はない。ボイド生成を防ぐために溶剤を除去する目的で、樹脂の硬化温度より低い温度で、予備乾燥または予備加熱を行なってもよい。
上述のようにして得られた導電性接着剤硬化物は、その膨潤率が0.5%以下と低く、かつ、金属粉末と導電部材との平均間隔が300nm以下であるという特徴を有している。したがって、高温高湿度下においても、金属粉末と導電部材との間隔が、これらの間での導通が損なわれるほどに広がることを有利に抑制することができる。したがって、導電性接着剤硬化物による導電部材に対する接続部分における電気的接続の信頼性を高めることができる。
上述の膨潤率を低くするためには、高分子中の極性基が少なく、高分子鎖の結合力が強い樹脂を、導電性接着剤中に含まれる熱硬化型樹脂として用いることが好ましい。したがって、この点を考慮して、前述した熱硬化型樹脂のための主剤および硬化剤が選ばれることになる。
次に、この発明に係る導電性接着剤による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
1.導電性接着剤の作製
以下に説明するように、実施例1〜19および比較例1〜14の各々に係る導電性接着剤を作製した。表1ないし表5には、実施例1〜19および比較例1〜14の各々について、導電性接着剤の作製のために用いた樹脂(主剤)および硬化剤の各種類、金属粉末を構成する金属の種類、金属粉末の球形度および比表面積、ならびに導電性接着剤の硬化物中における金属粉末の充填量等がそれぞれ示されている。
(実施例1)
主剤としてのビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(分子量:約380)100重量部と、硬化剤としてのフェノール樹脂の溶解ワニス(溶剤としてのα−テルピネオールとベンジルアルコールとを1:1で混合した混合溶剤に、フェノール樹脂を重量比で50%となるように溶解したもの)112重量部と、硬化促進剤としてのイミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)2重量部とをミキサーにて混合した。
次に、上記樹脂組成物に、フレーク状銀粉末と不定形銀粉末とを混合した比表面積が1.83m2 /gかつ球形度が0.739の銀粉末を、硬化後の重量割合が78重量%となるように加え、自動乳鉢にて調合した後、前述の混合溶剤と同様のα−テルピネオールとベンジルアルコールとを1:1の割合で混合した混合溶剤を適量加えながら、混合攪拌し、実施例1に係る導電性接着剤を得た。
(実施例2)
実施例1で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を87重量%に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例2に係る導電性接着剤を得た。
(実施例3)
実施例1で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を92重量%に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例3に係る導電性接着剤を得た。
(実施例4)
実施例1で用いた銀粉末を、比表面積が1.50m2 /gかつ球形度が0.798のフレーク状銀粉末に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例4に係る導電性接着剤を得た。
(実施例5)
実施例1で用いた銀粉末を、比表面積が2.63m2 /gかつ球形度が0.815のフレーク状銀粉末に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例5に係る導電性接着剤を得た。
(実施例6)
実施例2で用いたエポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂に変更したことを除いて、実施例2の場合と同様の工程を経て、実施例6に係る導電性接着剤を得た。
(実施例7)
実施例2で用いたエポキシ樹脂を多官能フェノールエポキシ樹脂に変更したことを除いて、実施例2の場合と同様の工程を経て、実施例7に係る導電性接着剤を得た。
(実施例8)
実施例2で用いたエポキシ樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂に変更したことを除いて、実施例2の場合と同様の工程を経て、実施例8に係る導電性接着剤を得た。
(実施例9)
実施例2で用いたエポキシ樹脂を、固形のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を実施例2と同じ溶剤に溶かして溶解ワニスとしたものに変更したことを除いて、実施例2の場合と同様の工程を経て、実施例9に係る導電性接着剤を得た。
(実施例10)
実施例2で用いたエポキシ樹脂を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と多官能フェノール樹脂とを1:1の重量割合で混合した混合樹脂に変更したことを除いて、実施例2の場合と同様の工程を経て、実施例10に係る導電性接着剤を得た。
(実施例11)
実施例1で用いたエポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂に変更し、さらに実施例1で用いた硬化剤をイミダゾール系硬化剤としての2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールに変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例11に係る導電性接着剤を得た。
(実施例12)
実施例1で用いたエポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂に変更し、さらに実施例1で用いた硬化剤をイミダゾール系硬化剤としての2−フェニル−4−メチルイミダゾールに変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、実施例12に係る導電性接着剤を得た。
(実施例13)
主剤としてのビスフェノールF型液状エポキシ樹脂100重量部と、硬化剤としての液状のイミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)4重量部とをミキサーにて混合した。
次に、上記樹脂組成物に、比表面積が2.37m2 /gかつ球形度が0.792の銀粉末を、硬化後の重量割合が87重量%となるように加え、自動乳鉢にて混合攪拌し、実施例13に係る導電性接着剤を得た。
(実施例14)
実施例13で用いた銀粉末を、比表面積が1.67m2 /gかつ球形度が0.803の銀粉末に変更し、さらに銀粉末の硬化物中における重量比率を90重量%に変更したことを除いて、実施例13の場合と同様の工程を経て、実施例14に係る導電性接着剤を得た。
(実施例15)
実施例14で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を83重量%に変更したことを除いて、実施例14の場合と同様の工程を経て、実施例15に係る導電性接着剤を得た。
(実施例16)
実施例13で用いたエポキシ樹脂を、ビスフェノールF型エポキシ樹脂75重量部とグリシジルアミン型エポキシ樹脂25重量部との混合物に変更したことを除いて、実施例13の場合と同様の工程を経て、実施例16に係る導電性接着剤を得た。
(実施例17)
実施例15で用いたエポキシ樹脂を、ビスフェノールF型エポキシ樹脂75重量部とグリシジルアミン型エポキシ樹脂25重量部との混合物に変更したことを除いて、実施例15の場合と同様の工程を経て、実施例17に係る導電性接着剤を得た。
(実施例18)
実施例16で用いた銀粉末を、比表面積が1.68m2 /gかつ球形度が0.771の銅粉末に変更し、さらに銅粉末の硬化物中における重量比率を83重量%に変更したことを除いて、実施例16の場合と同様の工程を経て、実施例18に係る導電性接着剤を得た。
(実施例19)
実施例17で用いた銀粉末を、比表面積が2.16m2 /gかつ球形度が0.791のニッケル粉末に変更したことを除いて、実施例17の場合と同様の工程を経て、実施例19に係る導電性接着剤を得た。
(比較例1)
実施例1で用いた銀粉末を、比表面積が2.74m2 /gかつ球形度が0.873の球状銀粉末に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、比較例1に係る導電性接着剤を得た。
(比較例2)
実施例1で用いた銀粉末を、比表面積が1.21m2 /gかつ球形度が0.535のフレーク状銀粉末に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、比較例2に係る導電性接着剤を得た。
(比較例3)
実施例10で用いた銀粉末を、比表面積が1.21m2 /gかつ球形度が0.535のフレーク状銀粉末に変更したことを除いて、実施例10の場合と同様の工程を経て、比較例3に係る導電性接着剤を得た。
(比較例4)
実施例1で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を72重量%に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、比較例4に係る導電性接着剤を得た。
(比較例5)
実施例1で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を95重量%に変更したことを除いて、実施例1の場合と同様の工程を経て、比較例5に係る導電性接着剤を得た。
(比較例6)
実施例6で用いたエポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂に変更し、さらに実施例6で用いた硬化剤をイミダゾール系硬化剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾールに変更したことを除いて、実施例6の場合と同様の工程を経て、比較例6に係る導電性接着剤を得た。
(比較例7)
実施例6で用いたエポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂に変更し、さらに実施例6で用いた硬化剤をイミダゾール系硬化剤としての2−メチルイミダゾールに変更したことを除いて、実施例6の場合と同様の工程を経て、比較例7に係る導電性接着剤を得た。
(比較例8)
実施例14で用いた銀粉末の硬化物中における重量比率を79重量%に変更したことを除いて、実施例14の場合と同様の工程を経て、比較例8に係る導電性接着剤を得た。
(比較例9)
実施例13で用いた銀粉末を、比表面積が0.87m2 /gかつ球形度が0.761の銀粉末に変更し、さらに銀粉末の硬化物中における重量比率を87重量%に変更したことを除いて、実施例13の場合と同様の工程を経て、比較例9に係る導電性接着剤を得た。
(比較例10)
実施例17で用いたエポキシ樹脂を、ビスフェノールF型エポキシ樹脂50重量部とグリシジルアミン型エポキシ樹脂50重量部との混合物に変更したことを除いて、実施例17の場合と同様の工程を経て、比較例10に係る導電性接着剤を得た。
(比較例11)
実施例17で用いたエポキシ樹脂を、ビスフェノールF型エポキシ樹脂25重量部とグリシジルアミン型エポキシ樹脂75重量部との混合物に変更したことを除いて、実施例17の場合と同様の工程を経て、比較例11に係る導電性接着剤を得た。
(比較例12)
実施例17で用いたエポキシ樹脂を、100重量部のグリシジルアミン型エポキシ樹脂に変更したことを除いて、実施例17の場合と同様の工程を経て、比較例12に係る導電性接着剤を得た。
(比較例13)
実施例18で用いた銅粉末の硬化物中における重量比率を80重量%に変更したことを除いて、実施例18の場合と同様の工程を経て、比較例13に係る導電性接着剤を得た。
(比較例14)
実施例19で用いたニッケル粉末の硬化物中における重量比率を80重量%に変更したことを除いて、実施例19の場合と同様の工程を経て、比較例14に係る導電性接着剤を得た。
Figure 0004792700
Figure 0004792700
Figure 0004792700
Figure 0004792700
Figure 0004792700
なお、表1ないし表5には、平均間隔、アンモニウムイオン量および膨潤率も示されている。
平均間隔は、次のようにして求めたものである。走査型電子顕微鏡(SEM)による像上の導電性接着剤硬化物中の金属粉末と導電部材との間の間隔を、デジタイザー(PIAS製)を用いて計測した。ここで、間隔の計測は、導電性接着剤硬化物と導電部材との界面に対して垂直な断面において、導電性接着剤硬化物と導電部材との界面から、界面に対して平行な方向に30μmの幅で、かつ、界面から導電性接着剤硬化物中へ垂直な方向に20μmの幅で区切られた、つまり、SEM像上の導電性接着剤硬化物中で30μm×20μmの面積内に存在する金属粉末について行なった。そして、平均間隔は、界面から金属粉末の表面に至るまで、界面に対して垂線を引き、この垂線の長さについて、最も短いものから順に20番目までを計測し、これら計測した20個の間隔の平均値を算出したものである。
また、アンモニウムイオン量は、前述したように、密閉できる容器に、各試料に係る導電性接着剤から金属粉末を除いた成分の直径20mmのほぼ球形状の硬化物1gと純水50gとを入れ、この容器を熱風循環型のオーブン中において110℃の温度で24時間加熱処理し、得られた抽出水中に含まれるアンモニウムイオン量をイオンクロマト分析法によって測定した値である。
また、膨潤率は、次のようにして求めたものである。各試料に係る導電性接着剤から金属粉末を除いた成分を、フッ素樹脂コーティングした鉄製の金型に流し込み、これをオーブンにて150℃の温度で60分間加熱処理した。得られた硬化物を約70mm×10mm×1mmのサイズにカットし、これを測定サンプルとした。このサンプルの長辺方向の初期長さ(L1)を測長機にて測定した後、85℃の温度および85%の相対湿度に設定された高温高湿度槽に放置し、1000時間経過後にサンプルを取り出し、サンプルの長辺方向の長さ(L2)を測長機にて再び測定した。膨潤率(%)は、以下の式によって算出したものである。
膨潤率={(L2−L1)/L1}×100
2.評価方法
(1)作業性
各試料に係る導電性接着剤に対して、メタルマスクによる印刷を適用し、この印刷が可能な場合には、作業性が良好であるとして、表1ないし表5において、これを「○」で示し、印刷が不可能な場合には、作業性が不良であるとして、これを「×」で示した。
(2)初期導通性および導通信頼性
これらの評価を行なうための評価用テストピース1が図1に示されている。図1において、(a)は評価用テストピース1の表面図であり、(b)は同じく裏面図であり、(c)は同じく断面図である。
評価用テストピース1は、ガラス・エポキシ基板2を備えている。ガラス・エポキシ基板2の表面上には、図1(a)に示すように、互いの間に1.0mmのギャップを介して、それぞれ8mm×8mmの平面寸法を有する2つの電極3および4が形成されている。また、ガラス・エポキシ基板2の裏面上には、図1(b)に示すように、表面側の電極3および4と同様の態様で2つの電極5および6が形成されている。
また、ガラス・エポキシ基板2には、表面側の電極3および4と裏面側の電極5および6とをそれぞれ連結するように、スルーホール7および8が設けられている。
電極3〜6の各々は、下地層としての厚み10μmの銅箔9、および銅箔9上に無電解めっきによって形成された最外層としての厚み1.0〜3.0μmの錫めっき膜10から構成されている。また、錫めっき膜10は、スルーホール7および8の内周面にまで延びるように形成され、表面側の電極3および4と裏面側の電極5および6とを、それぞれ、互いに電気的に接続している。
上述のような評価用テストピース1において、各試料に係る導電性接着剤11を、メタルマスクを用いて、表面側の2つの電極3および4間に跨るように、電極3および4の各々とほぼ同じ大きさのパターンをもって印刷し、次いで、熱風循環式オーブンを用いて、所定の硬化条件で硬化した。
次に、硬化後の導電性接着剤すなわち導電性接着剤硬化物11について、その初期抵抗値を、マイクロオームメーターを用いて、4点接触式にて測定した。ここで、初期抵抗値が100Ω以下の場合、初期導通性が良好であるとして、表1ないし表5において、これを「○」で示し、初期抵抗値が100Ωを超えた場合、初期導通性が不良であるとして、これを「×」で示した。
次に、評価用テストピース1を、温度85℃および相対湿度85%に設定した高温高湿度槽内に放置し、1000時間経過後に取り出し、再び、導電性接着剤硬化物11の抵抗値を、初期抵抗値の測定の場合と同様の方法により測定した。
次に、この1000時間後の抵抗値と前述の初期抵抗値とから、次の式に基づき、抵抗増加率を求めた。
抵抗増加率[%]=(1000時間後の抵抗値−初期抵抗値)×100/初期抵抗値
このようにして求められた抵抗増加率が10%以下の場合には、導通信頼性が良好であるとして、表1ないし表5において、これを「○」で示し、他方、10%を超えた場合には、導通信頼性が不良であるとして、これを「×」で示した。表1ないし表5には、また、抵抗増加率を示す数値[%]も示されている。
なお、上述した作業性、初期導通性および導通信頼性については、この順序で評価し、作業性が不良と判定されたものについては、所期導通性および導通信頼性については評価せず、また、初期導通性が不良と判定されたものについては、導通信頼性を評価しなかった。
3.評価結果
(実施例1〜19)
表1ないし表3に示すように、実施例1〜19によれば、導電性接着剤を作製するために用いた金属粉末に関して、その球形度が0.815以下であり、その比表面積が1.50m2 /g以上であり、また、その含有量が、硬化後の重量割合で78〜92重量%であった。また、導電性接着剤硬化物に関して、実施例1〜19では、平均間隔が300nm以下であり、膨潤率が0.5%以下であった。さらに、導電性接着剤から金属粉末を除いた成分の硬化物から抽出されるアンモニウムイオン量が64ppm以下であった。
これらのことから、実施例1〜19によれば、作業性が良好であり、かつ初期導通性が良好であるばかりでなく、良好な導通信頼性を得ることができた。実施例10のような並進・回転運動が少ない樹脂でも、この発明の範囲を満たしていれば、作業性が良好であり、良好な初期導通性および導通信頼性を得ることができた。
(比較例1)
これらに対して、比較例1では、表4に示すように、金属粉末として、その球形度が0.815を超えるものを用いたため、良好な導通信頼性が得られなかった。これは、金属粉末の球形度が高いため、図1に示した導電性接着剤硬化物11と錫めっき膜10との接合界面で水分の影響を受けて抵抗値が上昇したためであると考えられる。
(比較例2および3)
比較例2では、金属粉末として、その比表面積が1.50m2 /g未満のものを用い、また、導電性接着剤硬化物について、平均間隔が300nmを超えたため、良好な導通信頼性が得られなかった。これは、比較例1の場合と同様、金属粉末の比表面積が小さく、図1に示した導電性接着剤硬化物11と錫めっき膜10との接合界面において、平均間隔が大きいため、樹脂部分を通過する電流が阻害されやすくなり、これらのことから、水分の影響で抵抗値が上昇したためであると考えられる。比較例3についても、比較例2と同様のことが言える。
(比較例4)
比較例4では、表4に示すように、金属粉末の硬化物中における重量比率が78重量%未満であり、また、導電性接着剤硬化物について、平均間隔が300nmを超えたため、良好な初期導通性が得られなかった。
(比較例5)
比較例5では、金属粉末の硬化物中における重量比率が92重量%を超えたため、導電性接着剤中の液状成分が少なく、導電性接着剤がペースト状にならず、良好な作業性が得られなかった。
(比較例6および7)
比較例6および7は、この発明の範囲内にあるが、これら比較例6および7では、アンモニウムイオン量が64ppmを超えたため、良好な導通信頼性が得られなかった。
(比較例8)
比較例8では、表5に示すように、導電性接着剤硬化物について、平均間隔が300nmを超えたため、良好な導通信頼性が得られなかった。
(比較例9)
比較例9では、金属粉末として、その比表面積が1.50m2 /g未満のものを用い、また、導電性接着剤硬化物について、平均間隔が300nmを超えたため、良好な初期導通性が得られなかった。
(比較例10および11)
比較例10および11では、導電性接着剤硬化物について、膨潤率が0.5%を超えたため、良好な導通信頼性が得られなかった。
(比較例12)
比較例12では、比較例10および11の場合と同様、導電性接着剤硬化物について、膨潤率が0.5%を超えたため、良好な導通信頼性が得られなかった。さらに、比較例12では、アンモニウムイオン量が64ppmを超えたため、比較例10および11に比べて、高温高湿度放置後の抵抗値の上昇がより顕著であった。
(比較例13および14)
比較例13および14では、導電性接着剤硬化物について、平均間隔が300nmを超えたため、良好な初期導通性が得られなかった。
この発明に従って実施した実験例において作製された評価用テストピース1を示すもので、(a)は表面図であり、(b)は裏面図であり、(c)は断面図である。
符号の説明
2 ガラス・エポキシ基板
3〜6 電極
10 錫めっき膜
11 導電性接着剤または導電性接着剤硬化物

Claims (2)

  1. 少なくとも錫を含む導電部材に対する電気的接合を得るために用いられる、導電性接着剤であって、
    熱硬化型樹脂と金属粉末とを含み、
    前記熱硬化型樹脂は主剤と硬化剤とを含み、前記主剤は、ビスフェノールA型もしくはビスフェノールF型の2官能型エポキシ樹脂、またはトリスグリシジル型、テトラグリシジル型もしくはノボラック型の3官能以上の多官能型エポキシ樹脂であり、
    前記金属粉末は、その球形度が0.815以下であり、かつその比表面積が1.50m2/g以上であり、
    前記金属粉末の含有量は、当該導電性接着剤の硬化物中において78〜92重量%となるように選ばれ、
    当該導電性接着剤から前記金属粉末を除いた成分の硬化物から抽出されるアンモニウムイオン量が64ppm以下であり、
    当該導電性接着剤の硬化物の膨潤率が0.5%以下であり、かつ、当該導電性接着剤の硬化物における前記金属粉末と前記導電部材との平均間隔が300nm以下である、
    導電性接着剤。
    ただし、前記膨潤率は、導電性接着剤から金属粉末を除いた成分を150℃の温度で60分間加熱処理して得られた硬化物を測定サンプルとし、このサンプルの初期長さ(L1)と、85℃の温度および85%の相対湿度の環境下で1000時間放置後のサンプルの長さ(L2)とから、
    膨潤率[%]={(L2−L1)/L1}×100
    の式によって算出したものである。
    前記金属粉末と導電部材との平均間隔は、導電性接着剤硬化物と導電部材との界面から金属粉末の表面に至るまで、界面に対して垂線を引き、この垂線の長さについて、最も短いものから順に20番目までを計測し、これら計測した20個の間隔の平均値を算出したものである。
  2. 前記金属粉末は銀粉末を含む、請求項1に記載の導電性接着剤。
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