JP2000218156A - 紫外光照射装置 - Google Patents

紫外光照射装置

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JP2000218156A
JP2000218156A JP11323597A JP32359799A JP2000218156A JP 2000218156 A JP2000218156 A JP 2000218156A JP 11323597 A JP11323597 A JP 11323597A JP 32359799 A JP32359799 A JP 32359799A JP 2000218156 A JP2000218156 A JP 2000218156A
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ultraviolet light
discharge lamp
irradiation
dielectric barrier
barrier discharge
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Yosuke Jinbo
洋介 神保
Satoru Amano
覺 天野
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HOOYA SHOT KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被加工物を誘電体バリア放電ランプに対し相
対的に回転させながら紫外光を照射する紫外光照射装置
において、被加工物表面に対する紫外光の積算光量を一
定に近づけ、表面処理の均質性を高める。 【解決手段】 本発明は、被加工物Wを載置するターン
テーブル16と、ターンテーブルを回転駆動する駆動源
18と、被加工物Wの被加工面に到達する紫外光の光量
をその紫外光通過領域の形状により調整するフィルタ1
5を備える。本発明においてフィルタ15は、その紫外
光通過領域の形状が、上記紫外光の照射範囲の長さ方向
に対する中心線に対し対称であり、該紫外光通過領域の
幅方向における上記紫外光通過領域の境界を形成する各
線分の少なくとも上記紫外光の照射範囲の中央寄りの部
分が、上記中心線を基点とした上記紫外光の照射範囲の
長さ方向における距離rを変数とする二次曲線で略表現
されるものとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体、金属或い
は高分子化合物等の表面の洗浄或いは改質等を行う誘電
体バリア放電ランプを用いた紫外光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】誘電体バリア放電ランプ(エキシマラン
プとも言う)はランプ管内封入ガスの種類により放射光
の波長が異なる。例えば、封入ガスがキセノンでは17
2nm、塩化クリプトンでは222nm、塩化キセノン
では308nmの中心波長の光を放射する。特に、キセ
ノンを封入した誘電体バリア放電ランプは、真空紫外光
である波長172nmの光を放射するため、酸素を含む
雰囲気中で照射すると、酸素分子(O2 )が該光を吸収
し、酸素原子(O)やオゾン(O 3 )などの活性酸素種
を生成する。
【0003】また、波長172nmの光のフォトンエネ
ルギーは約7.2eVであり、多くの有機物の結合エネ
ルギーより大きい。このため、172nmの光を照射す
ることにより有機物化合物の化学結合を切断し、生成し
た活性酸素種により酸化分解除去することが可能であ
る。この方法は、UVオゾンクリーニング法として知ら
れ、有機物洗浄方法として半導体集積回路や液晶の製造
プロセス中に普及しつつある。また、金属汚染除去方法
として、塩素ガスに紫外光を照射することにより塩素ラ
ジカルを生成し、その塩素ラジカルと基板表面に付着す
る金属とを反応させて塩化物を生成し、蒸気圧の違いを
利用して揮発除去させる方法や、弗素を含むガスに紫外
光を照射し、生成した弗素ラジカルによりシリコンウェ
ハ上の自然酸化膜を除去する方法などの実用化が進めら
れている。
【0004】半導体集積回路は、年々その集積度を高め
ており、集積回路製造プロセスにおいては有機化合物汚
染の許容レベルもますます高まっている。現在、集積回
路の基盤であるシリコンウェハの直径は200mmが主
流であり、直径300mmも徐々に流通を始めている。
有機物汚染の除去に誘電体バリア放電ランプを用いる場
合には、これらのサイズの基板に光を照射するため、複
数の誘電体バリア放電ランプを並べる必要がある。例え
ば、図12に示すような、直径200mmのシリコンウ
ェハ用の紫外光照射装置として、長さ230mmのラン
プ120を適宜間隔を空けて複数本用いた装置が市販さ
れている。この面照射一括式の紫外光照射装置は、照射
される被加工物のサイズが大きくなれば、被加工物全体
に光を照射する必要から用いるランプの本数も多くな
る。
【0005】しかしながら、図12に示す例のように、
ランプの本数が複数本の場合は、ランプ寿命による交換
時には、要求される本数分だけ新品のランプに交換する
必要がある。また、ランプを複数本用いればランプ駆動
(点灯)回路も同数必要になり、そのコストが非常に高
くなる。更に、光の照射分布の均一性の点においても、
ランプを複数本並べるという構造から、ランプ直下と各
ランプの間とでは照射される光の強度が異なり、反射ミ
ラーなどを設けたとしても被加工物へ照射される光の光
量にムラができてしまうという問題がある。
【0006】このような問題を解決する手段として、1
本の誘電体バリア放電ランプを用い、被加工物又は誘電
体バリア放電ランプを直線的に走査させながら照射を行
なう方法がある。この方法では、誘電体バリア放電ラン
プを1本しか使用しないため、ランプ寿命による交換時
のコストも低減でき、また、1本のランプを直線的に走
査することから被加工物へ照射される光の光量を均一に
することができる。
【0007】しかしながら、被加工物或いはランプを直
線的に走査する方法においては、被加工面の全域に紫外
光を照射する必要があることから、これらを走査する距
離を被加工物の直径と同等かそれ以上にしなくてはなら
ず、また、誘電体バリア放電ランプを直線的に走査させ
るために、その両側にガイドレールその他の支承機構が
必要となり、装置が大型で高価なものになるという問題
があった。また、誘電体バリア放電ランプと被加工物の
間を密閉にすることが難しく、塩素ガスや弗素ガス等の
腐食性ガスの使用が困難であった。
【0008】このような背景から、更に、被加工物を支
持台上に回転可能に支持し、誘電体バリア放電ランプに
対して被加工物を相対的に回転させながら処理を行う装
置が提案されている(例えば、特開平9−92634号
公報)。この種の装置においては、誘電体バリア放電ラ
ンプを直線的に走査させる場合に比して、装置構成を簡
略にすることができるので、装置の小型化が可能であ
る。一方で、被加工物に対し紫外光をその照射範囲を相
対的に回転させながら与える場合は、その回転中心から
の距離に応じて被加工物とランプとの相対速度が変わる
ことから、誘電体バリア放電ランプの長さ方向における
照射光量が一定である場合、回転中心からの距離が大き
くなるに連れて、被加工物の面に対する積算光量が小さ
くなり、該表面処理が均一に行えないという問題があ
る。
【0009】この問題に対処するため、上記特開平9−
92634号公報の図5及びその説明で示される方法で
は、略三角形状の紫外光を通過させる領域(以下、紫外
光通過領域という)を形成した遮光板を配置し、これに
よって、回転中心からの距離に応じて被加工物の面に到
達する紫外光の積算光量を調整している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らの実験により、上記三角形状の紫外光通過領域を介し
て紫外光の照射を行った場合には、厳密には、上記回転
中心からの距離によって被加工物の面上の積算光量は一
定にならないことが明らかにされた。これは、図3
(a)に示すように、誘電体バリア放電ランプ11の幅
方向における光強度は山形に分布し一定ではないため
で、実験では、回転中心から離れるに従って積算光量が
少なくなる結果が得られ、このことから上記三角形状の
遮蔽板を用いた場合には、均一な表面処理を行うことが
できないという問題がある。
【0011】従って、本発明の目的は、被加工物を誘電
体バリア放電ランプに対し相対的に回転させながら紫外
光を照射する紫外光照射装置において、被加工物表面に
対する紫外光の積算光量を一定に近づけ、これによって
表面処理の均質性を高めることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、被加工物の被加工面に対して紫外光を照射し
てその洗浄又は改質を行うための紫外光照射装置におい
て、上記被加工面の最大径以上の長さを有する誘電体バ
リア放電ランプと、上記被加工物を、その被加工面が上
記誘電体バリア放電ランプの照射する紫外光の照射下に
来るように載置するターンテーブルであって、上記誘電
体バリア放電ランプによる紫外光の照射範囲の中心に略
その回転中心を一致させたものと、上記ターンテーブル
を回転駆動する駆動源と、上記誘電体バリア放電ランプ
による紫外光の照射下に固定され、上記被加工物の被加
工面に到達する紫外光の光量をその紫外光通過領域の形
状により調整するフィルタであって、該紫外光通過領域
の形状が、上記紫外光の照射範囲の長さ方向に対する中
心線に対し対称であり、該紫外光通過領域の幅方向にお
ける上記紫外光通過領域の境界を形成する各線分の少な
くとも上記紫外光の照射範囲の中央寄りの部分が、上記
中心線を基点とした上記紫外光の照射範囲の長さ方向に
おける距離rを変数とする二次曲線で略表現されるもの
とを備え、これによって、上記被加工物を上記誘電体バ
リア放電ランプに対し相対的に回転させながら、上記誘
電体バリア放電ランプによる照射を行うことによって、
上記被加工面の全域に上記誘電体バリア放電ランプから
の紫外光を照射させるよう構成される。
【0013】この場合において、上記紫外光通過領域の
幅方向における境界を形成する各線分の少なくとも上記
紫外光の照射範囲の中央寄りの部分が、上記紫外光の照
射範囲の幅方向に対する中心線を基準とし、その延長が
該照射範囲の中心付近を通過する曲線m(r)であっ
て、上記中心線に沿う方向の下式により与えられる積算
光量E(r)を略一定とするもの、によって与えられる
ことが好ましい。
【0014】
【式2】
【0015】また、上記紫外光通過領域の幅方向におけ
る境界を形成する線分が、上記紫外光の照射範囲の中心
に至ることなく、上記紫外光通過領域の幅方向で隣り合
う該線分同士で結ばれ、これによって上記照射範囲の中
心の両側に所定距離離れた2つの紫外光通過領域が形成
されていることが好ましい。
【0016】また、好ましくは、上記紫外光通過領域は
フィルタに開口されたスリットである。
【0017】更に、本発明は、少なくとも上記誘電体バ
リア放電ランプによる紫外光の照射範囲を外部から密閉
する処理室を備えて構成することができる。
【0018】また、少なくとも上記ターンテーブル及び
上記駆動源を収容する上方を開口した筐体と、上記筐体
に対し、その開口を開閉するよう取り付けられた蓋体で
あって、少なくとも上記誘電体バリア放電ランプ及び上
記フィルタを固定したものと、を備えて構成することが
できる。
【0019】この場合において、上記筐体に対し上記蓋
体を閉じることによって、上記外部から密閉された処理
室を形成するよう構成することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に沿って説明する。以下では、被加工物としての300
mmシリコンウェハに対し、紫外光を照射してその表面
の洗浄乃至は改質を行う紫外光照射装置に沿って本発明
を説明する。図1は本発明に係る紫外光照射装置の概略
構成を示す正面図及び側面図である。図に示すように本
発明の紫外光照射装置10は、誘電体バリア放電ランプ
11を内部に備えたランプハウス12を有する。ランプ
ハウス12は密閉容器で、その内部に、光を吸収しにく
い窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充填されている。
これによって、誘電体バリア放電ランプ11からの紫外
光がランプハウス12内で減衰する程度を抑える。ラン
プハウス12内に設置される誘電体バリア放電ランプ1
1は、略円柱状の外形を有し、その円周面より紫外光を
放射する。一つの実施例において、ランプ管内の封入ガ
スはキセノンであり、172nmの紫外光を照射する。
もっとも、本発明においては、封入ガスとして他のも
の、例えば、弗化ネオン(108nm)、アルゴン(1
26nm)、クリプトン(146nm)、弗素(154
nm)、塩化アルゴン(175nm)、弗化アルゴン
(193nm)等を充填したものを用いても良く、ま
た、紫外光を発光領域として塩化クリプトン(222n
m)、弗化クリプトン(248nm)、塩化キセノン
(308nm)、弗化キセノン(351nm)等を充填
したもの用いても良い。
【0021】ランプハウス12の下面には、光取り出し
窓としての光透過部材13が設けられ、誘電体バリア放
電ランプ11から発光される紫外光は、該光透過部材1
3を透過して、被加工物Wへ照射される。光透過部材1
3として、幅広い波長領域における優れた光透過性を有
する石英ガラスを用いることが好ましい。ランプハウス
12は、またその内部に反射ミラー14を備える。反射
ミラー14は、誘電体バリア放電ランプ11の上部及び
側部を覆い、誘電体バリア放電ランプ11の上方及び側
方へ照射された光を下方、すなわち被加工物Wへ向けて
集光させる。上記光透過部材13の上部には、調光フィ
ルタ15が備えられる。調光フィルタ15は、誘電体バ
リア放電ランプ11の長さ方向において、被加工物W側
へ照射される積算光量を調整するためのものである。調
光フィルタ15の具体的構成及び機能については後述す
る。
【0022】紫外光照射装置10は、また、ランプハウ
ス12の下に、被加工物Wを載置し固定するための円形
のターンテーブル16を有する。ターンテーブル16
は、その下の昇降装置17によって昇降可能にされると
共に、回転モータ18によって回転可能にされる。上記
昇降装置17によるターンテーブル16の下降により、
処理室19内に搬入した被加工物Wを該ターンテーブル
16上に搭載可能となる。被加工物Wの搭載後、ターン
テーブル16は上昇され、被加工物Wの被加工面が上記
光透過部材13に近接される。この状態で、上記回転モ
ータ18が駆動され、ターンテーブル16上の被加工物
Wが所定速度で回転され、上記誘電体バリア放電ランプ
11の紫外光によって処理を受ける。処理室19に対す
る被加工物Wの搬入及び搬出は、後述する筐体20に形
成したゲートバルブ23を介して行われる。なお、一つ
の実施例で、上記ターンテーブル16の下降時における
光透過部材13の下面とターンテーブル表面との間の距
離は10〜50mm程度が好ましく、上記ターンテーブ
ル16の上昇時における光透過部材13の下面とターン
テーブル上の被加工物Wの表面との間の距離は2〜5m
m程度が好ましい。また、上記回転モータ18によるタ
ーンテーブルの回転数は、10〜50rpm程度が好ま
しい。
【0023】少なくともターンテーブル16及びその上
に載置される被加工物Wは、密閉された処理室19内に
配置することが好ましい。これは、被加工物Wへの紫外
光照射により生成されるオゾンガスなどの外部への漏洩
を防止してその安全性を確保するためである。また、処
理室19内へのガス流入口を設け、処理室19内壁をテ
フロンシートなどの弗素樹脂材で覆うように構成して、
酸素流体を含まない塩素ガスや弗素ガスなどの腐食性ガ
スを処理室19内に充填できるようにしても良い(紫外
光照射で除去する対象が無機物のみである場合)。処理
室19内のオゾンガスは、排気ダクト24から排気され
処理される。
【0024】紫外光照射装置10の外形は、図2に概略
的に示すように、筐体20及び蓋体21で構成される。
筐体20は基本的に上方を開口し、内部には上記ターン
テーブル16、昇降装置17及び回転モータ18が備え
られる。分離壁20aによって、上記昇降装置17と回
転モータ18が設置された機械室22が、被加工物Wを
処理する上記処理室19に対して気密的に分離されてい
る。一方、蓋体21は、上記筐体20に対しヒンジによ
りその開口を開放又は閉塞するよう取り付けられる。蓋
体21の閉塞時に、筐体20と蓋体21の当接部分は完
全に密着し、これによって上記外部から密閉された処理
室19が形成される。上記誘電体バリア放電ランプ11
を含むランプハウス12は、この蓋体21上に配置され
る。蓋体21上の上記光透過部材13に対応する領域は
開口され、これによって、誘電体バリア放電ランプ11
からの紫外光が上記処理室19内に到達可能となる。蓋
体21を筐体20に対し開放することによって、ランプ
ハウス12を含む装置内部のメンテナンスが極めて容易
に行える。
【0025】図1に示すように、上記ターンテーブル1
6、延いては被加工物Wの回転中心は、誘電体バリア放
電ランプ11の中心、すなわちその幅方向における中心
及び長さ方向における中心と一致される。後述するよう
に、誘電体バリア放電ランプ11から照射される紫外光
は、被加工物Wの表面に対し帯状の照射範囲を有する。
従って、ターンテーブル16の回転により、該照射範囲
下を被加工物Wの表面が通過することによって、その表
面全域に亘る紫外光の照射が可能となる。
【0026】図3は、誘電体バリア放電ランプ11の光
強度分布を示す図である。誘電体バリア放電ランプ11
の光強度は、図で示すように、その中心域で最大で、該
中心域から離れるに連れて弱くなる。被加工物Wとして
300mmシリコンウェハを想定した場合、同図(B)
に示すように、誘電体バリア放電ランプ11の光強度が
最大となる領域内に300mmのウェハが納まるよう
に、使用する誘電体バリア放電ランプ11のサイズを選
定する必要がある。もっとも、同図(A)に示す光強度
の分布幅は、被加工物Wとのサイズではさほど問題とな
らない。これは、その分布幅に拘わらず、ターンテーブ
ル16の回転及び後述する調光フィルタ15の働きによ
り、被加工物W全域へ紫外光が均一に照射されることに
なるからである。調光フィルタ15の開口幅と分布幅と
の関係については後述する。
【0027】図4は、被加工物Wに対する誘電体バリア
放電ランプ11の平面的な位置関係を示す図である。図
に示すように、誘電体バリア放電ランプ11の中心に、
円形状の被加工物Wの略中心を合わせて、ターンテーブ
ル上に被加工物Wを設置する。図で明らかなように、誘
電体バリア放電ランプ11の長さは、被加工物Wの直径
よりも長く、これによって被加工物Wの表面全域への均
一な紫外光の照射が保証される。本実施形態の場合、被
加工物Wを半周させることによって、被加工物W全域へ
の紫外光の照射が可能となる。
【0028】次に、図1における調光フィルタ15の具
体的構成及び機能について説明する。図5〜図7は、調
光フィルタ15の一実施形態に係る図であり、それぞれ
その平面図、図5のA部拡大図及び設置状態平面図を示
している。これら図に示す調光フィルタ15は、金属そ
の他の不透光部材に、任意の開き角を有する2つの山形
スリット51を備える。両山形スリット51は、被加工
物Wの回転中心となる位置、すなわち部材の中心Oを基
準に互いに点対称の位置に配置されている。各山形スリ
ット51の両側は開放されている。上記各山形スリット
51を規定するその両側の線分51aは、スリットの内
側に湾曲した二次曲線により構成されている。誘電体バ
リア放電ランプ11から照射され、この調光フィルタ1
5の山形スリット51を通して被加工物Wに到達する各
点の紫外光の積算光量を、その場所に拘わらず略一定に
する上で、上記線分51aの形状は極めて重要である。
上記二次曲線よりなる線分51aの具体的な形状につい
ては、後述する。
【0029】上記線分51aを構成する二次曲線の中心
部に向かう延長は、中心Oを通過するが、図6で示すよ
うに、各線分51aは、中心Oに至ることなく、その手
前で結ばれている。これによって、2つの山形スリット
51の先端は、所定間隔Dだけ離れており、その結果、
その間の領域52に向かう紫外光は、被加工物Wに到達
することはない。しかしながら、光の回折現象によっ
て、各山形スリット51の先端付近に向う紫外光の一部
が該領域52の後ろ側に回り込んで、被加工物Wの対応
の領域、すなわち回転中心付近の領域に照射される。上
記領域52の幅Dは、回転中心付近の領域に照射される
紫外光の積算光量が他の領域の積算光量と同程度になる
ように調整し得る。
【0030】上記調光フィルタ15は、誘電体バリア放
電ランプ11と光透過部材13の間に設置される。図7
に示すように、光透過部材13は、該光の透過範囲を規
制するフレーム70によって支持される。誘電体バリア
放電ランプ11の軸線は、この長方形状の光透過部材1
3の幅方向中央に一致される。上記調光フィルタ15
は、その中心Oが、光透過部材13の中心に一致するよ
う、この上に重ねて配置される。光透過部材13上に上
記調光フィルタ15を配置することによって、上記山形
スリットを構成する線分51a及びフレーム70の内壁
に囲まれた紫外光通過領域71が形成されている。この
図で明らかなように、誘電体バリア放電ランプ11から
照射される紫外光は、該ランプの両端側では上記調光フ
ィルタ15によって規制されることなく、光透過部材1
3側、すなわち被加工物W側へ投射されるが、その中央
付近においては、その一部がこれに規制され、被加工物
Wへ到達することができない。これによって、被加工物
Wを誘電体バリア放電ランプ11に対し相対的に回転さ
せながら、紫外光の照射を行った場合、被加工物W上の
各点における紫外光の積算光量が略一定となる。
【0031】なお、上記調光フィルタ15は、誘電体バ
リア放電ランプ11からの紫外光によって腐食しない材
質(例えば、ステンレス鋼)を選定し又は表面処理を施
すことが好ましい。調光フィルタ15に、ニッケルなど
のメッキ処理を施すか、又はテフロンなどの弗素樹脂に
より調光フィルタを成形することができる。本発明の目
的を達成するために、調光フィルタ15の厚みに対する
制限はないが、1mm以下、好ましくは、0.5mm程
度とするのが良い。
【0032】次に、上記調光フィルタ15における山形
スリットを構成する線分51aの具体的な形状について
説明する。上記調光フィルタ15は、誘電体バリア放電
ランプ11から発光され、被加工物Wの表面の各点に照
射される積算光量を均一にするよう機能しなければなら
ない。被加工物Wが回転される場合、その回転中心から
の距離に比例して被加工物W上の各点の移動速度は、回
転中心から離れるに連れ増加する。そのため、紫外光の
照射幅が一定の場合、被加工物W上の各点が紫外光の照
射範囲を通過する時間は、被加工物Wの回転中心から離
れるに連れて短くなり、積算光量が小さくなる。また、
図3(A)で示したように、誘電体バリア放電ランプ1
1の幅方向の光強度分布は、山形状で一様ではない。こ
れらの点を考慮して、上記山形スリットを構成する線分
51aを決定する必要がある。
【0033】本発明において、上記各線分51aは、上
記紫外光の照射範囲の幅方向に対する中心線Cを基準と
し、その延長が該照射範囲の中心付近を通過する曲線m
(r)であり、中心線Cに沿う方向の下式により与えら
れる積算光量E(r)を略一定とするものによって与え
られる。
【0034】
【式3】
【0035】この根拠を以下に説明する。今、誘電体バ
リア放電ランプの光強度分布がその幅方向に一定である
場合を想定する。このとき、その直下を速度v[mm/sec]
で直線的に通過する被加工物が受ける積算光量Eは、紫
外光の分布幅をa[mm]、光強度をP[mW/cm2]としたと
き、下式で表すことができる。
【0036】 E=(P×a)/v [mJ/cm2] ・・・ (2)
【0037】本発明においては、被加工物は誘電体バリ
ア放電ランプに対し回転されるので、移動速度は回転中
心からの距離r[mm]によって変化し、被加工物が1回転
するのに掛かる時間をt[sec]とすれば、下式で表すこと
ができる。
【0038】 v=2πr/t [mm/sec] ・・・ (3)
【0039】ここで、誘電体バリア放電ランプの光強度
分布は、実際には、図3(A)のように山形であるの
で、その分布を関数化したものを積分すればよいことに
なる。従って、光強度分布をP(s)と表せば(sはラ
ンプ軸線からの幅方向の距離)、積算光量Eは下式で表
すことができる。
【0040】
【式4】
【0041】本発明においては、上記調光スリットによ
って一部の紫外光が遮られるので、上記山形スリット5
1の開口幅に対応した範囲で、これを定積分にする必要
がある。ここで、山形スリットの線分51aを、図8の
ように、被加工物の回転中心Oを通過する二次曲線m
(r)と定義する。誘電体バリア放電ランプからの光は
調光フィルタによって遮られ、その山形スリットの開口
幅はrの値によって異なる。従って、被加工物上の各点
が受ける積算光量は、0からm(r)の定積分で求めら
れることとなる。本発明における調光フィルタ15の山
形スリット51は、図8の曲線で定義された領域80の
4倍の大きさを有しているので、上記定積分を4倍する
ことによって、上記式1が得られることとなる。
【0042】次に、本発明に係る紫外光照射装置10に
よって、被加工物Wの洗浄及び表面改質を行う手順を図
1を参照しつつ説明する。昇降装置17によりターンテ
ーブル16を下降させた状態で、ゲートバルブ23を開
放し、ロボットアーム等により被加工物Wを処理室19
内へ搬入する。そして、被加工物Wの中心をターンテー
ブル16の回転中心に一致させて、被加工物Wをターン
テーブル16上に置き、図示しないチャック手段によっ
て固定する。次いで、ロボットアームを引き出して、ゲ
ートバルブ23を閉じる。
【0043】次に、ターンテーブル16を上昇させて、
その上の被加工物Wをランプハウス12の光透過部材1
3に接近させる。処理室19内の大気を腐食性ガスに置
換した後、回転モータ18を起動して、ターンテーブル
16上に置かれた被加工物Wを回転させる。この回転を
継続させながら、誘電体バリア放電ランプ11を起動
し、所定時間、被加工物Wに対する紫外光の照射を行
う。
【0044】
【実施例】次に、上記式1に基づいて、上記調光フィル
タ15における線分51aを具体的に算出した例を以下
に示す。本紫外光照射装置で用いる誘電体バリア放電ラ
ンプにおいて、光強度分布を測定したところ、分布はそ
の頂点の光強度を10mw/cmとする以下の式で示
されるものであった。
【0045】
【式5】
【0046】光強度分布は、このように二次曲線で表せ
るため、上記線分51aも2次曲線として、以下の式で
定義する。
【0047】
【式6】
【0048】そして、式6中の変数x、y、zの値を各
種検討し、上記式1で定義された積算光量E(r)がで
きるだけ一定になるようなものを採択する。実施例で
は、x=0.001、y=0.3、z=0.01が得ら
れ、上記線分51aを構成する二次曲線は、以下の式で
定義された。
【0049】
【式7】
【0050】次に、上記式7に基づく二次曲線の線分5
1aを有する調光フィルタ(実施例)と、直線状の線分
を有する調光フィルタ(従来例)を用いた場合の、被加
工物への照射光量分布をシミュレーションにより比較し
た。設定条件は、図7に示す装置で、誘電体バリア放電
ランプの直径DL=30mm、光透過部材13の長さLW
=353.5mm、幅DW=90mm、調光フィルタ1
5の長さLF=210mmとした。実施例における山形
スリットの線分51aを上記式1の二次曲線で構成し、
従来例における線分を下式による直線によって構成し
た。
【0051】
【式8】
【0052】そして、各場合において回転中心Oから半
径方向における被加工物への照射光量の分布をシミュレ
ーションした。その結果を図9に示す。
【0053】図で明らかなように、従来例の調光フィル
タを用いた場合は、回転中心に近づくに連れてその照射
光量が徐々に多くなるのに対し、実施例による調光フィ
ルタを用いた場合には、その位置に拘わらず照射光量が
略一定していることが示された。
【0054】次に、調光フィルタ15における上記中央
の遮光領域52(図6を参照)の効果について検証した
結果を示す。先の設定条件で、図6のように中央に遮光
領域52を有する調光フィルタ(実施例)と、図10の
ように、該遮光領域を設けずに山形フィルタの線分51
aを延長して、回転中心Oに至らせた調光フィルタ(比
較例)のそれぞれの場合で、被加工物への照射光量を実
測した。実施例における遮光領域52の幅Dは、15m
mである。
【0055】図11(A)は、比較例の場合の照射光量
分布のグラフであり、ここに、回転中心付近における照
射光量が他の領域に比べて極めて大きくなっていること
が示されている。一方、同図(B)は、遮光領域52を
有する実施例の場合の照射光量分布のグラフである。本
グラフから明らかなように、実施例の場合は、該遮光領
域52によって回転中心付近における照射光量が効果的
に抑えられ、他の領域と略同じ量に低減されている。こ
れによって上記遮光領域52の効果が検証できた。
【0056】以上、本発明の実施形態及び実施例を図面
に沿って説明した。本発明の適用範囲が、上記実施形態
において示した事項に限定されないことは明らかであ
る。本発明に係る紫外光照射方法及び装置は、シリコン
ウェハに対する洗浄や表面改質の他、半導体リソグラフ
ィー用ガラス製フォトマスクや液晶用ガラス基板の有機
物汚染除去にも使用することができる。
【0057】本発明においては、上記調光フィルタ15
における光通過領域をスリットによって形成した例を示
したが、上記山形スリットに対応する領域を透光性部材
によって構成しても良いし、また、光透過部材13上の
上記紫外光通過領域71以外の領域を紫外光が透過しな
いように処理しても良い。また、本実施形態において
は、被加工物Wを円形状のものとして示したが、誘電体
バリア放電ランプの照射範囲に納まる各種形状のものを
被加工物とすることができる。
【0058】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、被加工物を
誘電体バリア放電ランプに対し相対的に回転させながら
紫外光を照射する紫外光照射装置において、被加工物表
面に対する紫外光の積算光量を一定に近づけ、これによ
って表面処理の均質性を高めることができる。
【0059】また、上記紫外光通過領域の幅方向におけ
る境界を形成する線分が、上記紫外光の照射範囲の中心
に至ることなく、上記紫外光通過領域の幅方向で隣り合
う該線分同士で結ばれ、これによって上記照射範囲の中
心の両側に所定距離離れた2つの紫外光通過領域が形成
された構成の本発明においては、回転中心における照射
光量が多くなるのを防止でき、被加工物の全域に渡って
略一定の光量を照射できるようになる。
【0060】また、誘電体バリア放電ランプによる紫外
光の照射範囲を外部から密閉する処理室を備えた本発明
においては、処理室内に腐食性ガス等を充填することが
可能となり、集積回路製造プロセスにおける金属汚染除
去、自然酸化膜除去、更には弗素含有有機物による低誘
電率層間絶縁膜表面弗素原子除去のための減圧アンモニ
アガス雰囲気での真空紫外光照射等を目的として本紫外
光照射装置を利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紫外光照射装置の概略構成を示す
正面図及び側面図である。
【図2】蓋体を開いた状態における紫外光照射装置の概
略側面図である。
【図3】誘電体バリア放電ランプの光強度分布を示す図
である。
【図4】被加工物に対する誘電体バリア放電ランプの平
面的な位置関係を示す図である。
【図5】調光フィルタの一実施形態を示す平面図であ
る。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】図5の調光フィルタの設置態様を示す平面図で
ある。
【図8】山形スリットの線分51aを構成する二次曲線
m(r)を示すグラフである。
【図9】本発明による二次曲線の線分51aを有する調
光フィルタと、直線状の線分を有する調光フィルタを用
いた場合の、被加工物への照射光量分布をシミュレーシ
ョンにより比較したグラフである。
【図10】本発明による調光フィルタの遮光領域の効果
を検証するために比較として作成した調光フィルタの図
6に対応する拡大図である。
【図11】本発明による調光フィルタと図10の調光フ
ィルタによる照射光量を示したグラフである。
【図12】従来の紫外光照射装置の一例を示す平面図及
び側面図である。
【符号の説明】
W 被加工物 10 紫外光照射装置 11 誘電体バリア放電ランプ 12 ランプハウス 13 光透過部材 14 反射ミラー 15 調光フィルタ 16 ターンテーブル 17 昇降装置 18 回転モータ 19 処理室 20 筐体 20a 分離壁 21 蓋体 22 機械室 23 ゲートバルブ 24 排気ダクト 51 山形スリット 51a 線分 52 遮光領域 70 フレーム 71 紫外光通過領域

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物の被加工面に対して紫外光を照
    射してその洗浄又は改質を行うための紫外光照射装置に
    おいて、 上記被加工面の最大径以上の長さを有する誘電体バリア
    放電ランプと、 上記被加工物を、その被加工面が上記誘電体バリア放電
    ランプの照射する紫外光の照射下に来るように載置する
    ターンテーブルであって、上記誘電体バリア放電ランプ
    による紫外光の照射範囲の中心に略その回転中心を一致
    させたものと、 上記ターンテーブルを回転駆動する駆動源と、 上記誘電体バリア放電ランプによる紫外光の照射下に固
    定され、上記被加工物の被加工面に到達する紫外光の光
    量をその紫外光通過領域の形状により調整するフィルタ
    であって、該紫外光通過領域の形状が、上記紫外光の照
    射範囲の長さ方向に対する中心線に対し対称であり、該
    紫外光通過領域の幅方向における上記紫外光通過領域の
    境界を形成する各線分の少なくとも上記紫外光の照射範
    囲の中央寄りの部分が、上記中心線を基点とした上記紫
    外光の照射範囲の長さ方向における距離rを変数とする
    二次曲線で略表現されるものとを備え、 これによって、上記被加工物を上記誘電体バリア放電ラ
    ンプに対し相対的に回転させながら、上記誘電体バリア
    放電ランプによる照射を行うことによって、上記被加工
    面の全域に上記誘電体バリア放電ランプからの紫外光を
    照射させる紫外光照射装置。
  2. 【請求項2】 上記紫外光通過領域の幅方向における境
    界を形成する各線分の少なくとも上記紫外光の照射範囲
    の中央寄りの部分が、上記紫外光の照射範囲の幅方向に
    対する中心線を基準とし、その延長が該照射範囲の中心
    付近を通過する曲線m(r)であって、上記中心線に沿
    う方向の下式により与えられる積算光量E(r)を略一
    定とするもの、によって与えられる請求項1記載の紫外
    光照射装置。 【式1】
  3. 【請求項3】 上記紫外光通過領域の幅方向における境
    界を形成する線分が、上記紫外光の照射範囲の中心に至
    ることなく、上記紫外光通過領域の幅方向で隣り合う該
    線分同士で結ばれ、これによって上記照射範囲の中心の
    両側に所定距離離れた2つの紫外光通過領域が形成され
    ている請求項1又は2の何れかに記載の紫外光照射装
    置。
  4. 【請求項4】 上記紫外光通過領域がフィルタに開口さ
    れたスリットである請求項1〜3の何れかに記載の紫外
    光照射装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも上記誘電体バリア放電ランプ
    による紫外光の照射範囲を外部から密閉する処理室を更
    に備えた請求項1〜4の何れかに記載の紫外光照射装
    置。
  6. 【請求項6】 少なくとも上記ターンテーブル及び上記
    駆動源を収容する上方を開口した筐体と、 上記筐体に対し、その開口を開閉するよう取り付けられ
    た蓋体であって、少なくとも上記誘電体バリア放電ラン
    プ及び上記フィルタを固定したものと、を備えた請求項
    1〜5の何れかに記載の紫外光照射装置。
  7. 【請求項7】 上記筐体に対し上記蓋体を閉じることに
    よって、上記外部から密閉された処理室を形成するよう
    構成した請求項6記載の紫外光照射装置。
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