JP4546902B2 - 走査電子顕微鏡 - Google Patents
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Description
G.W.B.Schulter et al.; Proceedings of SPIE Vol.5567 [2004], pp876-886 菱沼宣是;「2001FPDテクノロジー大全」電子ジャーナル社刊 [2000]
また、この測長SEMでは、レチクルの製造工程で必須とされる、不透明膜上に形成されたレジストパターンを観察する工程にオゾンが適用できないこととなる。つまり、この測長SEMでは、レチクルの製造工程で生じるコンタミネーションは清浄化することができない。また、この測長SEMでは、オゾンが試料観察室内で拡散するために、コンタミネーションの生成に支配的なレチクル表面の炭化水素が効果的に除去されないという問題がある。したがって、従来の測長SEMでは、レチクルに発生するコンタミネーションによってレチクルの検査を高精度で行うことができないという問題があった。
その一方で、例えば、非特許文献2の技術では、オゾンのエネルギーが比較的低いことからレジストパターンの分解は抑えられるものの、真空紫外光の光エネルギーによってレジストパターンが分解される恐れがある。
この走査電子顕微鏡では、レチクルがレジストパターンを有している場合には、試料保持装置が紫外光源からレチクルを遠ざける。その結果、真空紫外光は、励起酸素原子およびオゾンを発生させた後に、大気中で急速に減衰することとなる。つまり、この走査電子顕微鏡によれば、レジストパターンが真空紫外光によって分解されることが避けられる。
また、この走査電子顕微鏡では、レチクルがレジストパターンを有していない場合には、試料保持装置が紫外光源とレチクルとを近づける。その結果、真空紫外光はレチクルに到達する。したがって、この走査電子顕微鏡では、励起酸素原子、およびオゾン、ならびに真空紫外光によって炭化水素が効率的に分解する。その結果、この走査電子顕微鏡によれば、より高い清浄化効果を発揮することができる。
また、この走査電子顕微鏡では、コンタミネーションの原因物質である炭化水素等が清浄化されるので、レチクルに1次電子線を照射してレチクルの検査を行う際に、レチクルに対するコンタミネーションの発生が抑えられる。その結果、この走査電子顕微鏡によれば、レチクルの検査を高精度で行うことができる。
また、この走査電子顕微鏡では、照射室でレチクルが清浄化されるので、レチクルの検査(観察)が行われる試料観察室を別個に配置することができる。その結果、この走査電子顕微鏡では、レチクルの清浄化と、レチクルの検査とが同時に並行して実行可能となる。したがって、走査電子顕微鏡によれば、従来の測長SEM(例えば、非特許文献1参照)と比較して、レチクルの検査速度を早めることができる。
このような走査電子顕微鏡は、絶縁物を有する半導体集積回路製造用のレチクルを前記試料とすることが望ましい。
図1に示すように、走査電子顕微鏡1は、試料観察室105と、前室108と、照射室123と、試料保持装置125と、搬送ロボット117と、制御装置104とを備えている。
この照射室123の上部には、波長172nmの真空紫外光を発生する誘電体バリア放電型のランプ114が据え付けられている。このランプ114は、特許請求の範囲にいう「紫外光源」に相当する。このランプ114は、石英ガラス管の内部にキセノンガスが封入してあり、外部から印加した高周波により電離し、励起した2個のキセノン原子が解離する際に波長172nmの真空紫外光を放射する。放射された真空紫外光は、合成石英の窓120を透過して照射室123内のレチクル107に照射され、同時に照射室123の内部に、後記する励起酸素原子とオゾンとを生成しつつ急激に減衰する。なお、ランプ114を収納するケーシング113内には、窒素が充填されており、ケーシング113内では、真空紫外光が減衰しないようになっている。
前記実施形態では、半導体集積回路製造用のレチクル107を検査する走査電子顕微鏡1について説明したが、本発明はレチクル107に限らず、他のレジストパターンを有する試料の観察や検査を行うものであってもよい。また、本発明は、有機物からなる微細構造体を表面に有する試料の観察や検査を行う場合に、試料の前処理としての清浄化処理に応用するものであってもよい。
105 試料観察室
107 レチクル(試料)
108 前室
114 ランプ(紫外光源)
115 試料台
116 昇降機構
123 照射室
125 試料保持装置
202 真空紫外光
Claims (10)
- 試料に1次電子線を照射し、2次的に放出される電子を用いて前記試料の観察像を得る走査電子顕微鏡であって、
波長172nm以下の真空紫外光を大気中で前記試料に照射する紫外光源と、
前記試料に対する前記真空紫外光の照射が可能なように前記試料を密閉する照射室と、
前記照射室内で前記試料を保持し、前記真空紫外光が前記試料に到達する前に前記真空紫外光を大気中の酸素に吸収させるように、前記紫外光源と前記試料との距離を調節可能な試料保持装置と、
を備えることを特徴とする走査電子顕微鏡。 - 画像処理を行って前記試料の表面形状の寸法を計測する計測手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の走査電子顕微鏡。
- 前記紫外光源と前記試料との距離を、前記試料の種類に応じてあらかじめ設定された距離に自動的に調節する距離調節手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の走査電子顕微鏡。
- 前記試料に前記1次電子線を照射する試料観察室と、
前記試料観察室に繋げられた前室と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の走査電子顕微鏡。 - 試料に1次電子線を照射し、2次的に放出される電子を用いて前記試料の観察像を得る走査電子顕微鏡であって、
波長172nm以下の真空紫外光を大気中で前記試料に照射する紫外光源と、
前記試料に対する前記真空紫外光の照射が可能なように前記試料を密閉する照射室と、
前記照射室内で前記試料を保持し、前記紫外光源と前記試料との距離を、少なくとも前記真空紫外光が前記試料に到達する第1の距離と、前記第1の距離より遠距離であって当該第1の距離に比べて前記真空紫外光が前記大気中で減衰される第2の距離との間で調節可能な試料保持装置と、
を備え、
前記試料保持装置は、前記試料が所定のパターンを有しない場合には、当該試料を前記第1の距離の位置となるように配置し、前記試料が所定のパターンを有する場合には、当該試料を前記第2の距離の位置となるように配置することを特徴とする走査電子顕微鏡。 - 前記紫外光源を収納するケーシングにおける前記真空紫外光を透過する窓と、前記第1の距離に配置された前記試料との間隔は、2mm以下であり、前記窓と、前記第2の距離に配置された前記試料との間隔は、20mm以上であることを特徴とする請求項5に記載の走査電子顕微鏡。
- 試料に1次電子線を照射し、2次的に放出される電子を用いて前記試料の観察像を得る走査電子顕微鏡であって、
波長172nm以下の真空紫外光を大気中で前記試料に照射する紫外光源と、
前記試料に対する前記真空紫外光の照射が可能なように前記試料を密閉する照射室と、
前記照射室内で前記試料を保持し、前記紫外光源と前記試料との距離を調節可能な試料保持装置と、
前記試料保持装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記試料に所定のパターンが形成されているか否かに関する情報に基づいて、前記試料に前記パターンが形成されている場合には、前記パターンが形成されていない場合に比べて、前記紫外光源と前記試料との間の距離を離間させるように、前記試料保持装置を制御することを特徴とする走査電子顕微鏡。 - 前記試料は、レチクルであり、前記パターンは、レジストパターンであることを特徴とする請求項7に記載の走査電子顕微鏡。
- 試料に1次電子線を照射し、2次的に放出される電子を用いて走査電子顕微鏡で前記試料の観察像を得る際の試料清浄化方法であって、
波長172nm以下の真空紫外光を照射する照射室内に前記試料を配置する工程と、
大気の存在下に前記照射室内で前記真空紫外光を照射して大気中の酸素からオゾン及び励起酸素原子を発生させることで前記試料に到達する前記真空紫外光を減衰させる工程と、
前記真空紫外光の光源と前記試料との距離を調節する工程と、
を有することを特徴とする試料清浄化方法。 - 試料に1次電子線を照射し、2次的に放出される電子を用いて前記試料の画像を形成する走査電子顕微鏡を用いた試料画像形成方法において、
前記走査電子顕微鏡の試料観察室に前記試料を導入する前に、当該試料に真空紫外光を照射する工程を有し、当該真空紫外光照射工程では、前記試料に感光性の樹脂が形成されている場合には、当該感光性の樹脂が形成されていない場合と比較して、前記真空紫外光の光源と試料との間の距離を離間させて、前記真空紫外光を照射することを特徴とする試料画像形成方法。
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