JP2000217532A - 枝豆豆腐とその製造方法 - Google Patents

枝豆豆腐とその製造方法

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JP2000217532A
JP2000217532A JP11021572A JP2157299A JP2000217532A JP 2000217532 A JP2000217532 A JP 2000217532A JP 11021572 A JP11021572 A JP 11021572A JP 2157299 A JP2157299 A JP 2157299A JP 2000217532 A JP2000217532 A JP 2000217532A
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green
soybean
tofu
soybeans
weight
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JP11021572A
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Minoru Omura
実 大村
Takao Tanida
孝雄 谷田
Masaru Muranaka
勝 村中
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Mizkan Group Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 豆乳の一部に枝豆もしくは枝豆加工物を用い
て色調や風味などが枝豆特有のさわやかさと、通常の豆
腐と同様の食感を有する枝豆豆腐とその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 豆乳の一部に枝豆もしくは枝豆加工物を
用いたことを特徴とする枝豆豆腐並びに枝豆もしくは枝
豆加工物を、常法によって大豆もしくは加工大豆から製
造した豆乳を引き水として使用して摩砕し、得られた摩
砕液を加熱した後、おからを分離して枝豆豆乳を得、該
枝豆豆乳に凝固剤または凝固剤と架橋酵素を添加して凝
固させることを特徴とする枝豆豆腐の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枝豆豆腐とその製
法に関する。さらに詳細には、豆乳の一部に枝豆もしく
は枝豆加工物を用いたことを特徴とする枝豆豆腐とその
製法に関する。
【0002】
【従来の技術】枝豆は未熟大豆であるが、その独特のさ
わやかな風味や鮮やかな緑色が好まれ、特に枝付きの鞘
のまま塩ゆでされたものが食されていることから、この
ように称されている。一方、豆腐は完熟大豆を原料と
し、浸漬処理後に5〜10倍量程度の水(引き水)を加
えて摩砕したもの(呉)を加熱し搾汁して、おからと分
離して得られた蛋白質を主成分とする豆乳を凝固させて
製造され、一般に色調は白色で風味も比較的淡白なもの
がほとんどである。このような豆腐において、従来か
ら、枝豆の独特の風味や色調を生かした豆腐を製造する
ことができれば優れた豆腐が開発できるものと期待され
ていた。しかし、枝豆(未熟大豆)は、完熟大豆と比較
して、蛋白質の含量が少なく澱粉が多いなどの理由か
ら、単純に完熟大豆の代わりに枝豆を使用し、凝固剤を
使用しただけでは豆腐を作ることはできなかった。
【0003】また、料理本や特公昭61−104749
号公報などには枝豆を擂り潰し、ゼラチンや寒天などの
ゲル化剤で固めた枝豆豆腐の製法が開示されているが、
これらは外観が豆腐らしいものではなく、かつ風味や食
感等においても豆腐とは呼べないものであった。さら
に、特公平9−9901号公報には各種の有色大豆(さ
くら豆、黒豆、アオバタ豆など)を原料とした豆腐の製
法が開示されており、特に完熟しても青緑色が残ってい
るアオバタ豆を原料とした場合は、枝豆を原料とした場
合と同様の青緑色を呈する豆腐が製造可能ではあるが、
これらは全て完熟大豆を原料としており、枝豆(未熟大
豆)特有のさわやかな風味を有した豆腐を得ることはで
きないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
色調のみならず、風味なども枝豆特有のさわやかさを有
し、かつ豆腐と同様の食感を有する枝豆豆腐を製造する
ことを課題として鋭意検討した結果、Brixが11.
0以上の枝豆豆乳を得て豆腐を製造することで、上記の
従来の欠点を解消した枝豆豆腐を製造しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至ったので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、豆乳の一部に枝豆もしくは枝豆加工物を用いたこと
を特徴とする枝豆豆腐である。請求項2に記載の本発明
は、枝豆もしくは枝豆加工物の豆乳に対する割合が、豆
乳90部(重量):枝豆10部(重量)乃至豆乳50部
(重量):枝豆50部(重量)の範囲であることを特徴
とする請求項1記載の枝豆豆腐である。
【0006】請求項3に記載の本発明は、枝豆もしくは
枝豆加工物を、常法によって大豆もしくは加工大豆から
製造した豆乳を引き水として使用して摩砕し、得られた
摩砕液を加熱した後、おからを分離して枝豆豆乳を得、
該枝豆豆乳に凝固剤または凝固剤と架橋酵素を添加して
凝固させることを特徴とする枝豆豆腐の製造方法であ
る。請求項4に記載の本発明は、枝豆もしくは枝豆加工
物を、常法によって大豆もしくは加工大豆から製造した
豆乳を引き水として使用して摩砕し、得られた摩砕液を
高圧ホモゲナイズ処理して得た枝豆豆乳を加熱した後、
該加熱豆乳を冷却したのち凝固剤または凝固剤と架橋酵
素を添加して凝固させることを特徴とする枝豆豆腐の製
造方法である。請求項5に記載の本発明は、枝豆の豆乳
に対する割合が、豆乳90部(重量):枝豆10部(重
量)乃至豆乳50部(重量):枝豆50部(重量)の範
囲であることを特徴とする請求項3もしくは4記載の枝
豆豆腐の製造方法である。請求項6に記載の本発明は、
枝豆が蒸煮枝豆であることを特徴とする請求項3乃至5
のいずれかに記載の枝豆豆腐の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】枝豆とは、前記したように、未熟
大豆のことであり、蛋白質に富んでおり、例えば四訂食
品成分表によると、生の枝豆の蛋白質含有量は11.5
g/可食部100gである。枝豆の品種としては、早
生、白鳥、大振り袖、鶴の子などが有名ではあるが、近
年タイや中国産の冷凍枝豆が市場に多く出回っており、
本発明においては、これらを含めどのような品種や形態
でも使用できる。また、枝豆加工物としては、鞘剥きし
た豆粒を半割れ状にしたものや、クラッシュしたもの、
ペースト状にしたものなどがあり、本発明ではこれらの
枝豆加工物も使用可能である。以下においては、「枝
豆」という表現に「枝豆加工物」も含まれることがあ
る。枝豆は鞘を剥く作業に手間がかかることと、冷凍で
あれば長期間の保存が可能であり、時期を問わずに生産
が可能であること等から、鞘から剥かれて一度蒸煮した
ものを冷凍した冷凍枝豆を原料として使用するのが好ま
しい。ところで、生の枝豆を擂り潰して呉とし蒸煮する
と、澱粉がアルファー化して粘度が急激に上昇し、おか
らと豆乳を分離するのが困難となるので、一度蒸煮され
た枝豆を原料とする方が好ましい。
【0008】本発明者らは、枝豆を含む豆乳のBrix
が11.0%以上であることが重要な要素であることを
見出した。このようなBrix濃度の豆乳を得るために
は、枝豆(未熟大豆)を摩砕する際に使用される水(引
き水)の代わりに、普通の完熟大豆を原料に製造された
豆乳を用いて磨砕し、磨砕液を蒸煮後、Brixが1
1.0%以上の枝豆豆乳を得ることが好ましい。なお、
枝豆からの搾取液を常法で得られた豆乳に単純に混合し
ても風味のある枝豆豆腐は作製できない。すなわち、枝
豆に加水(3倍重量比で加水)して磨砕し、蒸煮したも
のを搾取して得た液(加水枝豆搾取液)と、普通の大豆
から得た豆乳(Brix11.0%:豆乳濃度計SM−
20アタゴ社製 10℃測定)とを混合して枝豆豆腐を
製造したが、目的とするものを得ることができなかっ
た。この場合、豆乳90部(重量)に対して加水枝豆搾
取液を10部(重量)の割合で混合したものはゲルを形
成したが、枝豆様の風味は非常に弱かった。
【0009】さらに、豆乳70部(重量)に加水枝豆搾
取液を30部(重量比)の割合で混合したものは、風味
は枝豆様の香りはあるが、混合液の豆乳濃度はBrix
8.5%と低くなり、ゲルのしっかりした形を得ること
はできず、ゾル状となって豆腐を形成することはできな
かった。一方、Brixが20%程度の高濃度豆乳と上
記の加水枝豆搾取液との混合による方法は、特殊な濃縮
機が必要になり設備投資が高額になる上に、生産ライン
では3種類(高濃度豆乳、加水枝豆搾取液、両方の混合
豆乳)の豆乳を保持し、取り扱う必要があるため、非効
率的ではあるが、可能な方法である。
【0010】しかし、枝豆と浸漬大豆を同時に磨砕し蒸
煮する方法では、呉の粘度が非常に高くなり、濾過時に
目詰まりを起こし、枝豆豆乳の搾取が不可能であった。
このようにして調製した枝豆を含む豆乳のBrixが1
1.0%以上が必要であり、豆乳に対する枝豆の含量が
豆乳90部(重量):枝豆10部(重量)乃至豆乳50
部(重量):枝豆50部(重量)の範囲にあることが望
ましい。このような豆乳に対して、常法により凝固剤を
添加して豆乳を凝固させることにより、目的の枝豆豆腐
が製造可能となる。
【0011】さらに、本発明においては凝固剤以外に、
トランスグルタミナーゼなどの架橋酵素を併用して豆乳
を凝固させることにより、豆腐の固さと滑らかさが増強
され、より好ましい枝豆豆腐が製造可能となる。また、
枝豆を摩砕して呉を作った後、通常はおからとして除去
される部分も利用するために、高圧ホモゲナイズ処理を
施し、おからを微粉砕化して豆乳中に取り込ませること
により、より枝豆風味や緑色が増強された優れた枝豆豆
腐を製造することが可能である。
【0012】以下に本発明を具体的に示す。本発明で使
用する豆乳は、豆腐の製造に普通に用いられるものと変
わるところはない。すなわち、完熟大豆(種類はIO
M、有機大豆、国産大豆のいずれでも良い)を浸漬後、
ほぼ5〜10倍量の水と共に磨砕して得られる呉を加熱
し、これを濾過しておからを分離し、豆乳を得る。この
場合の豆乳濃度は、一般的にBrix12.0%(豆乳
濃度計SM−20、アタゴ社製、10℃測定)の豆乳が
一般に豆腐製造業界で使用されており、本発明でもこの
濃度の豆乳が用いられる。なお、Brix11.0〜2
0.0程度の範囲の豆乳であれば、充分使用できる。
【0013】このような豆乳に添加する枝豆は、冷凍の
むき枝豆(鞘の取り除かれたもの)でも、鞘を取り除い
た生の枝豆を使用しても構わない。本発明では、便宜上
冷凍のむき枝豆が使用される。このような冷凍枝豆の水
分は71.2%で四訂食品成分表に記載されている「ゆ
でた枝豆」とほぼ同じ水分量である。この冷凍枝豆を解
凍した後、上記の豆乳を引き水として使用して磨砕し、
磨砕液を蒸煮(通常の蒸煮条件と同じ、100℃前後で
1分〜10分程度)した後、おからを分離し枝豆豆乳を
得る。この枝豆豆乳に凝固剤を添加して枝豆豆腐を得る
が、凝固剤は通常の凝固剤で構わない。例えばグルコノ
デルタラクトン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、
硫酸カルシウムなどである。これらを単品もしくは組み
合わせて使用する。
【0014】また、これらの凝固剤と共に、トランスグ
ルタミナーゼなどの架橋酵素を併用すると、豆腐に固さ
と滑らかさがでて有効である。凝固剤のみで凝固する
と、枝豆からくる澱粉質により、豆腐の食感にざらつき
が発生する傾向があるが、架橋酵素により蛋白質間の凝
固を促進することにより、そのざらつきは解消される。
架橋酵素は一般的に熱に弱いので、豆乳が低温状態の時
に凝固剤と一緒に添加しないと失活する恐れがある。従
って、架橋酵素を用いる場合は、充填豆腐の製法を適用
することが良い。また、カット豆腐を製造するのであれ
ば、電子凝固機またはスチーム凝固機などの凝固形式を
採用すると良い。架橋酵素の添加量は、0.05重量%
未満では効力がなく、0.30重量%より多く添加する
と、かまぼこ様のブリブリした食感になるので豆腐らし
さに欠ける。従って、0.05重量%〜0.30重量%
が適当である。
【0015】なお、枝豆豆腐に甘みを持たせることが望
まれる場合は、凝固剤として塩化マグネシウム((株)
赤穂化成社製、商品名:クリスタリン)を0.35%使
用し、架橋酵素としてトランスグルタミナーゼ((株)
味の素社製、商品名TG−K、トランスグルタミナーゼ
を100ユニット/g含む製剤)を0.10重量%添加
して製造すると良い。凝固剤の添加時の豆乳温度は10
℃が適当で、凝固温度と時間は85℃、45分程度が適
当である。
【0016】このようにして製造した枝豆豆乳を使用し
て充填豆腐、木綿豆腐、絹ごし豆腐のいずれも作ること
ができるが、本発明では便宜上充填豆腐を作製し、評価
を行い、さらに木綿豆腐及び絹ごし豆腐の製造例も示し
た。まず、枝豆の添加量について調べるため、豆乳に対
する枝豆の添加量を変えて実験を行った。第1表に枝豆
の添加量の違いによる品質評価の結果と物性及び色差の
測定結果を示す。参考までに青豆または青はた豆による
市販品の豆腐についての評価も示した。本発明者らは、
枝豆豆腐を開発するにあたり、その色、食感(固さ)、
香りを科学的に表し、品質を数値化して把握することを
試みた。まず、色についてはMINOLTA社製の色彩
色差計CR−200を使用し、測定した。測定方法とし
て、1検体につき5回a値(マイナスの値が高いほど緑
色であることを示す)を測定し、最大値と最小値を除い
た値の平均値をもって測定値とした。
【0017】固さについては、「豆腐の物性測定に影響
する諸因子の検討」(日本食品工業学会誌、第39巻、
第8号、第59〜65頁、1992年8月)を参考に、
ゲル強度の貫入値を下記のように定義づけ分析した。測
定には、サン科学社製のレオテックスTYPESD−3
05を使用した。なお、測定温度は10℃である。貫入
値は直径3cm×高さ1.5cmの豆腐試料サンプルに
ついて、直径10mmのプランジャーで、速度1mm/
秒の条件下で貫入して測定した時のピーク値を示してい
る。単位は、「g/0.785cm2 」である。しか
し、本発明においては、簡略化して単に「g」で表記し
た。
【0018】また、香りについては、「枝豆香気成分の
成熟に伴う変化」(日本農芸化学会誌、第62巻、第2
号、第149〜155頁、1988年)を参考に、香気
成分をTCT−GC/MS法(香気成分濃縮導入―ガス
クロマトグラフ/質量分析法)で分析を行った。詳細は
以下の通りである。すなわち、まず試料サンプルをフー
ドプロセッサーを用いてホモジナイズし、20gを50
ml容ナスフラスコにサンプリングした後、内部標準液
(0.4ppm nアミルアルコール)0.5mlを添
加して混和した。このナスフラスコを捕集器に接続し、
豆腐の香気成分を捕集管にトラップした。捕集条件とし
て、捕集管(TENAX−TA、110mg)、パージ
N2(50ml/min)20分、ドライパージ10
分、加熱温度40℃で行った。
【0019】捕集作業終了後、捕集管を香気成分濃縮導
入装置(CHROMPACKCP4010GL、サイエ
ンス社製)に設置し、香気成分をGC/MS(HP68
90/5973、HP社製)に導入した。導入条件は、
クライオフォーカシング −130℃×5分、デソープ
ション 220℃×10分、インジェクション 230
℃×1分で行った。香気成分を分析するためのGC/M
S条件は、カラム TC−WAX(60m×0.25m
mI.D. 0.25μm:GLサイエンス社製)、カ
ラム温度50℃×5分→5℃/分→230℃×20分、
インジェクション温度 230℃、キャリアガスHe
(140KPa)、イオン化法EI(70eV)、マス
レンジ 30〜450で行った。データ処理として、ク
ロマトグラム中の各ピーク値の積分及び検索(NIST
及びWileyのPBMライブラリ使用)を行った。検
索は一致率が最も高い成分を該当成分とした(データ処
理ソフト「ChemStation Rev.B.0
1.00J for Windows NT、HP社
製」使用)。
【0020】さらに、官能評価方法としては、豆腐の官
能評価に長年にわたって携わり熟知した4名のパネリス
トにより試食を行い、評価した。豆腐の評価時の温度は
15℃とし、評価の際に、薬味、調味料は使用せず、生
のまま食すか、又は若干の食塩をつけて、風味・食感
(固さ)・外観(色)について評価した。結果を第1表
に示す。
【0021】
【表1】第1表
【0022】第1表において、枝豆豆腐は市販品の青ま
め豆腐に比べ、味(甘み)は同等であり、香りは枝豆の
さわやかで華やいだ香りを有していた。また、固さは豆
乳40部(重量):枝豆60部(重量)の比率以上に枝
豆を添加した区は、ゲル強度(貫入値)が40g以下に
なり、柔らかくなったが、豆乳50部(重量):枝豆5
0部(重量)の比率以下に枝豆を添加した区であれば、
貫入値45〜65gであり、普通の豆腐と同等の固さを
示した。色については、豆乳95部(重量):枝豆5部
(重量)以下のものは、a値で−2.0以上であり緑色
が薄かったが、豆乳90部(重量):枝豆10部(重
量)の比率以上に枝豆を添加した区では、a値で−3.
4〜−11.5と市販青豆品と同等もしくはそれ以上の
評価であった。
【0023】官能評価については、試料番号1は枝豆を
添加していない普通の充填豆腐であり、固さは適当であ
るが、色は真っ白で風味も大豆臭しかしない。豆乳95
部(重量):枝豆5部(重量)(試料番号2)では、僅
かに緑色があるものの、風味はまだ大豆臭しか感じられ
なかった。しかし、豆乳90部(重量):枝豆10部
(重量)(試料番号3)は、固さも適当で、色もやや緑
色を示し、枝豆特有のさわやかな香気が感じられた。豆
乳80部(重量):枝豆20部(重量)(試料番号4)
では明らかに緑色を示し、固さも適当で、さわやかで華
やいだ香気が感じられ、最も良いと評価された。豆乳7
0部(重量):枝豆30部(重量)(試料番号5)で
は、鮮やかな緑色で、甘い枝豆の香りが感じられ、固さ
はやや柔らかくなった。豆乳60部(重量):枝豆40
部(重量)(試料番号6)でも、鮮やかな緑色で、甘い
枝豆の香りが感じられ、固さは更に柔らかくなった。豆
乳50部(重量):枝豆50部(重量)(試料番号7)
では、鮮やかな緑色で、枝豆の香りが強く感じられる
が、固さは大変柔らかく、枝豆添加量として限界に感じ
られた。豆乳40部(重量):枝豆60部(重量)(試
料番号8)では、強い緑色で、枝豆の香りが強く感じら
れるが、固さはかなり柔らかく、食感が悪かった。よっ
て、枝豆の添加量としては、豆乳90部(重量):枝豆
10部(重量)乃至豆乳50部(重量):枝豆50部
(重量)が適当であると言える。
【0024】次に、枝豆豆腐として、香り、味、色、食
感について個々に官能評価を行ったが、特に香りの成分
が風味に影響を及ぼしていると考えられたので、香気成
分の詳細な分析結果について述べる。試料番号1,3,
7の試料と市販の青豆(試料番号9、10)または青ば
た豆(試料番号11)による豆腐の香気成分の分析結果
を第2表に示す。
【0025】
【表2】第2表 (測定値:各成分ピーク面積/内部標準(n-アミルアル
コール)ピーク面積)
【0026】枝豆に少ない香気成分として、Hexan
al、1−Hexanol、(Z)−3−Hexen―
1−ol、3−Octanol、1−Octen−3−
olが挙げられる。特に、1−Hexanolは、豆
臭、青臭みの原因になり、枝豆を添加しない普通の豆腐
に多くみられる。また、1−Octen−3−olは、
いわゆるマッシュルームフレーバーと呼ばれる土臭い香
りで、豆臭の原因と言われている。これらの成分が少な
いことが枝豆豆腐の特徴でもある。一方、Propan
al、Acetone、Methyl acetat
e、2−Heptanoneが枝豆豆腐に多い香気成分
として挙げられる。特に、2−Heptanoneは、
果実様の甘い香りの原因であると考えられており、これ
らの成分が枝豆豆腐のさわやかで華やいだ香りの要因で
あると言える。
【0027】さらに、枝豆は完熟大豆などに比べ、非常
に高価であるので、おからを廃棄するのは非効率であ
る。枝豆を高圧ホモジナイザー処理することにより、お
からを微粉砕化し、豆乳中に取り入れることができ、枝
豆の使用量が同じでも、風味と緑色は増強し、かつ収量
も約1.3倍増加する。高圧ホモジナイザー処理する工
程は、蒸煮後でも可能であるが、その場合は過加熱によ
るタンパク質の劣化が発生するので冷却工程が必要にな
り複雑になる。従って、枝豆を豆乳で磨砕した呉を高圧
ホモジナイザー処理する工程が最も適当である。圧力条
件としては、400〜1000kg/cm2で可能であ
り、より高い方が微粒子化され、滑らかな枝豆全粒豆腐
が得られる。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1〔充填豆腐による枝豆豆腐の製造〕 IOM大豆9kgを15℃で10時間浸漬した後、水切
りして合計の加水量が5.2倍になるように加水し、グ
ラインダー((株)長沢機械製作所社製、サワーボーイ
NSG−08F)を用いて磨砕した。磨砕して得た呉
に、消泡剤((株)花王社製:商品名エキセルT−9
5)を90g添加し、100℃で3分蒸煮した後、おか
らを分離し40kgの豆乳を得た。豆乳を10℃まで冷
却し、分析した結果、Brixは12.0、pHは6.
70であった。この豆乳40kgを使用して、解凍した
冷凍むき枝豆10kgを磨砕した。得られた磨砕液に、
水酸化ナトリウムを8g(必ずしも必要ではないが、p
Hを7.0〜7.6にすると緑色が安定する)添加し
た。これを100℃で3分間蒸煮し、おからを分離した
後、10℃に冷却して枝豆豆乳を得た。枝豆豆乳のBr
ixは12.7、pHは7.02、収量37kgであっ
た。
【0029】この冷却した枝豆豆乳1kgに、塩化マグ
ネシウム((株)赤穂化成社製、商品名:クリスタリ
ン)を0.35%及びトランスグルタミナーゼ((株)
味の素社製、商品名TG−K、トランスグルタミナーゼ
を100ユニット/g含む製剤)を0.10重量%添加
して、通常の充填豆腐用容器に充填した後、凝固温度8
5℃で45分の条件下にて凝固したのち、10℃に冷却
して充填枝豆豆腐を製造した。このようにして得られた
充填枝豆豆腐(試料番号12)の品質評価と分析結果を
第3表に示す。この充填枝豆豆腐は、市販品の青豆豆腐
と色及び固さは同程度であるが、枝豆特有のさわやかな
香気を有していた。
【0030】実施例2〔木綿豆腐による枝豆豆腐の製
造〕 実施例1において得た冷却した枝豆豆乳11.0kg
に、塩化マグネシウム((株)赤穂化成社製、商品名:
クリスタリン)を0.35%及びトランスグルタミナー
ゼ((株)味の素社製、商品名TG−K、トランスグル
タミナーゼを100ユニット/g含む製剤)を0.10
重量%添加して、電子凝固機で78℃まで加熱した。そ
の後、崩して手動式圧搾機((株)高井製作所社製)で
圧搾を行い木綿枝豆豆腐を製造した。得られた木綿枝豆
豆腐(試料番号13)の品質評価と分析結果を第3表に
示す。第3表から明らかなように、市販品の青豆豆腐と
色は同程度であり、普通の木綿と同様の食感であり、枝
豆特有のさわやかな香気を有した木綿枝豆豆腐が得られ
た。
【0031】実施例3〔絹ごし豆腐による枝豆豆腐の製
造〕 実施例1において得た冷却した枝豆豆乳11.0kg
に、塩化マグネシウム((株)赤穂化成社製、商品名:
クリスタリン)を0.35%及びトランスグルタミナー
ゼ((株)味の素社製、商品名TG−K、トランスグル
タミナーゼを100ユニット/g含む製剤)を0.10
重量%添加して、電子凝固機で80℃まで加熱した後、
20分間熟成して絹ごし枝豆豆腐を製造した。得られた
絹ごし枝豆豆腐(試料番号14)の品質評価と分析結果
を第3表に示す。第3表から明らかなように、市販品の
青豆豆腐と色及び固さは同程度であるが、枝豆特有のさ
わやかな香気を有した絹ごし枝豆豆腐が得られた。
【0032】実施例4〔高圧ホモジナイザーを使用した
枝豆全粒豆腐の製造〕 実施例1により得た豆乳40kgを使用して、解凍した
冷凍むき枝豆10kgを磨砕した。この枝豆を豆乳で擂
り潰した磨砕液に、水酸化ナトリウムを8g添加した。
これを高圧ホモジナイザー(GAULIN社製、LAB
40−10RBFT)700kg/cm2 の条件下で微
粒子化し、その全粒液を100℃で3分間蒸煮した後、
10℃に冷却して枝豆全粒豆乳を得た。枝豆全粒豆乳の
Brixは13.0、pHは7.06、収量50kgで
あった。
【0033】この冷却枝豆全粒豆乳1kgに、塩化マグ
ネシウム((株)赤穂化成社製、商品名:クリスタリ
ン)を0.35%及びトランスグルタミナーゼ((株)
味の素社製、商品名TG−K、トランスグルタミナーゼ
を100ユニット/g含む製剤)を0.10重量%添加
し、凝固温度85℃、45分の条件下で凝固した。しか
る後、10℃に冷却して充填枝豆豆腐を製造した。得ら
れた充填枝豆豆腐(試料番号15)の品質評価と分析結
果を第3表に示す。表から明らかなように、市販品の青
豆豆腐と色及び固さは同程度であるが、枝豆特有のさわ
やかな香気を有していた。特に、香りはおからが含まれ
ているため、おからを含まないもの(試料番号12)に
比べ強いように感じられた。
【0034】
【表3】第3表
【0035】
【発明の効果】本発明に係る枝豆豆腐(充填、絹ごし、
木綿豆腐、全粒豆腐)は、普通の豆腐と同様の固さと、
青豆豆腐と同様の美しい緑色を有している上に、さわや
かで華やいだ枝豆独特の香りをもっており、しかも美味
である。また、上記の枝豆豆腐の効率的な製造方法が本
発明により提供される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆乳の一部に枝豆もしくは枝豆加工物を
    用いたことを特徴とする枝豆豆腐。
  2. 【請求項2】 枝豆もしくは枝豆加工物の豆乳に対する
    割合が、豆乳90部(重量):枝豆10部(重量)乃至
    豆乳50部(重量):枝豆50部(重量)の範囲である
    ことを特徴とする請求項1記載の枝豆豆腐。
  3. 【請求項3】 枝豆もしくは枝豆加工物を、常法によっ
    て大豆もしくは加工大豆から製造した豆乳を引き水とし
    て使用して摩砕し、得られた摩砕液を加熱した後、おか
    らを分離して枝豆豆乳を得、該枝豆豆乳に凝固剤または
    凝固剤と架橋酵素を添加して凝固させることを特徴とす
    る枝豆豆腐の製造方法。
  4. 【請求項4】 枝豆もしくは枝豆加工物を、常法によっ
    て大豆もしくは加工大豆から製造した豆乳を引き水とし
    て使用して摩砕し、得られた摩砕液を高圧ホモゲナイズ
    処理して得た枝豆豆乳を加熱した後、該加熱豆乳を冷却
    したのち凝固剤または凝固剤と架橋酵素を添加して凝固
    させることを特徴とする枝豆豆腐の製造方法。
  5. 【請求項5】 枝豆の豆乳に対する割合が、豆乳90部
    (重量):枝豆10部(重量)乃至豆乳50部(重
    量):枝豆50部(重量)の範囲であることを特徴とす
    る請求項3もしくは4記載の枝豆豆腐の製造方法。
  6. 【請求項6】 枝豆が蒸煮枝豆であることを特徴とする
    請求項3乃至5のいずれかに記載の枝豆豆腐の製造方
    法。
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