JP4887301B2 - 豆又は莢の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、γ−アミノ酪酸含量を富化した豆又は莢の製造方法、及び該製造方法により製造された豆又は莢を含有する食品に関する。
豆は主に豆科植物の総称で、豆科植物は寒帯から熱帯まで広く世界中に分布していて、世界に600程の属と12000位の種類がある大きな科で草木から高木までいろいろであり、つる性のものも乏しくない。豆のなかでも種子を利用する作物としては大豆、いんげん豆、小豆、なんきん豆、そら豆、えんどう豆等があり、主として利用される部位は子葉の部分であって、炭水化物、蛋白質、脂肪等の栄養価に富むので古くからの食用として利用されている。
これらの豆の製造方法として、大豆の中でも代表的な枝豆について、例えば、特許文献1では、枝豆をブランチング後、冷凍、解凍し、その際、アスコルビン酸等を添加することにより、枝豆の旨みや色の低下を防止する味付き枝豆の製造方法が開示されている。
また、特許文献2では、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味茹枝豆、特許文献3では、緑色が変色しにくい枝豆が開示されている。
さらに、特許文献4では、莢付きの枝豆を凍結乾燥し、長期保存できる枝豆の製造方法が開示され、特許文献5では、莢付きの冷凍味付枝豆の製造方法が開示されている。
一方、近年、発芽野菜(スプラウト)類には健康によい成分が多く含まれているという事が分かり、健康志向の人たちを中心にして食品の新しいトレンドになりつつある。中でも特に、発芽玄米については多くの研究がなされており、発芽させることによりγ−アミノ酪酸が増え、糖化酵素の働きにより甘味成分が増すことが知られている(非特許文献1)。
このγ−アミノ酪酸は、動植物界に広く分布しているアミノ酸の一種であり、動物の脳髄に存在し、神経の主要な抑制伝達物質として、脳の血流を活発にし、脳への酸素供給量を増加させ、脳細胞の代謝機能を促進させ、脳卒中後の後遺症等による頭痛等の症状の改善や,延髄の血管運動中枢に作用して血圧を低下させる作用等が認められる物質である。
そして、このようなさまざまな生理作用効果を有するγ−アミノ酪酸を、豆から摂取しようということで、豆中のγ−アミノ酪酸含量を高める検討がなされてきた。例えば、特許文献6では、大豆中のγ―アミノ酪酸含量を増加させる方法が開示されている。
特開2001−8653号公報 特許2829817号公報 特開2004−65085号公報 特開2004−208618号公報 特開平8−242799号公報 特開平11−151072号公報 大海 淳著、「発芽玄米のすべて」、総合労働研究所、2001年4月、P119−127、P161−165
しかしながら、特許文献1から5の豆においては、枝豆の色や味、保存性の改善のみを目的とするもので、豆や莢中の栄養成分に着目した開発は、何ら検討されていなかった。
また、特許文献6では、γ−アミノ酪酸を増加させるために、場合によっては、溶剤を使用しなければならず、食品への溶剤使用、製造設備、及び製造コストの点において問題となることがある。また、枝豆等のような未熟豆(未完熟な豆ともいう)、又は莢について、γ―アミノ酪酸含量を増加させる方法については何ら記載されていない。
このように、γ―アミノ酪酸を多く含有する豆の各種製造方法が開発されてはいるが、特に枝豆、さやえんどう等のような未熟豆或いは完熟豆、又は莢について、簡便な方法でγ−アミノ酪酸含量を増加させ、かつ、風味も良好な豆、又は食感に優れた莢を製造する方法は検討されていない。
以上の課題に鑑み、本発明の目的は、γ−アミノ酪酸含量を増加させ、かつ、風味のよい豆、又は食感に優れた莢の製造方法を提供することにある。
また、他の目的は、製造により得られるγ−アミノ酪酸含量を富化させた豆の形態が、未発芽豆、又は発芽豆、或いは未熟豆、又は完熟豆のどちらのものでも、選択的に製造できるようにすることである。さらには、莢でも製造できるようにすることである。
また、γ−アミノ酪酸含量を増加させ、かつ、風味の良い豆又は食感に優れた莢を含有する食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね検討した結果、発芽処理をしなくても、豆又は莢中の酵素を失活する前の段階において、豆又は莢を一旦冷凍し、その後、特定条件下で解凍することにより、豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量が著しく増加するという知見を得、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 水分含量が20質量%以上であり、かつ、酵素失活処理されていない原料豆又はその莢を冷凍処理し、その後、5〜70℃の温度条件で解凍処理する、豆又は莢の製造方法。
本発明によれば、酵素失活処理されていない原料豆又はその莢を冷凍することによって、原料豆又は莢中の組織は酵素が働きやすい組織に変化する。そして、その後、酵素の活性が消失しない温度、具体的には5〜70℃で解凍することにより、豆又は莢中に含有されているグルタミン酸が、活性化した酵素の働きでγ−アミノ酪酸に変換されることになる。このため、得られた豆又は莢はγ−アミノ酪酸含量が富化されたものとなる。尚、本発明において、豆とは、豆科に属する植物で大豆、小豆、えんどう、そら豆等の実を食用とするものであって、莢付き、莢なしの両方を含むものとする。さらには、未熟豆或いは完熟豆であってもよい。また、原料豆の冷凍処理、解凍処理は、莢付き又は莢なしの状態のいずれで行ってもよい。一方、莢とは、大豆、えんどう等のような豆科植物の種子を覆う殻をいう。莢の冷凍処理、解凍処理は、莢付き豆の状態又は中身の種子である豆を取り除いた後の莢の状態のいずれで行ってもよい。
(2) 前記解凍処理後に、加熱処理を行う(1)に記載の豆又は莢の製造方法。
加熱処理することで、酵素の活性が消失され、保存時において豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量の減少が防止されるので、上記の製造方法で得られた豆又は莢のγ−アミノ酪酸含量を富化した状態を保持することができる。この加熱処理は、例えば、湯又は蒸気でブランチングすることで行うことができる。また、このブランチングすることで、例えば、枝豆は加工枝豆としてそのまま食することもできる。
(3) 前記冷凍処理前に、発芽処理を行う(1)又は(2)に記載の豆又は莢の製造方法。
本発明によれば、冷凍処理前に豆又は莢を発芽処理することで、豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量があらかじめ富化される。このため、発芽処理した豆又は莢を原料として上記の製造方法で豆又は莢を製造することで、得られた発芽豆又は莢中には、本発明の製造方法で増加したγ−アミノ酪酸と発芽処理で増加したγ−アミノ酪酸とが含有されることになり、得られた豆又は莢はより一層γ−アミノ酪酸含量が富化されたものとなる。尚、発芽処理は莢なし或いは莢付きのいずれの状態の豆で行ってもよい。
(4) 前記酵素失活処理されていない原料豆又はその莢は、豆科のダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、ササゲ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属からなる群より選ばれる1種である(1)から(3)いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
(5) 前記豆又は莢中における、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が、0.4以上である(1)から(4)いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
本発明によれば、解凍処理の温度や時間を調整して、豆又は莢中の旨み成分であるグルタミン酸と健康に良い成分であるγ−アミノ酪酸とが好適な割合で含有されるように製造できるので、風味及び食感が良好で、しかも健康面にも優れた豆又は莢を得ることができる。
(6) 前記解凍処理後に、乾燥処理を行う(1)から(5)いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
本発明によれば、γ−アミノ酪酸含量が富化された豆乾燥物又は莢乾燥物が得られ、例えばスナックやおつまみとして好適であり、かつ、保存性にも優れた食品を提供できる。
(7) 前記解凍処理後に、乾燥処理及び粉砕処理を行う(1)から(5)いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
(8) (1)から(7)いずれか記載の製造方法で得られた豆又は莢を使用した食品及び栄養補助剤。
上記の製造方法で得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物を含む食品は、γ−アミノ酪酸含量が富化されているので、該豆を加工原料とした豆加工食品や、その他豆を加工原料として使用していない食品の添加物として使用することで、食品の風味や食感を阻害することなく、食品に健康成分であるγ−アミノ酪酸を含有させることができ、健康食品として有用である。また、食品に豆の風味を付与することができる。尚、この豆又は莢乾燥物は、豆や莢の形状を留めたものに限らず、粉砕された粉状、粒状であってもよい。特に莢は粉末化して用いるのが好ましい。
また、上記の製造方法で得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物は、γ−アミノ酪酸含量が富化されており、特に、莢には、大腸がん予防効果、腸内環境の改善効果を有する不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、例えば、タブレット状に加工して栄養サプリメントとして好適である。
(9) (1)から(7)いずれか記載の製造方法で得られた豆を使用した豆乳。
本発明の製造方法で得られた豆を使用した豆乳は、γ−アミノ酪酸含量が富化された豆を用いているので、γ−アミノ酪酸含量に富み、健康飲料として有用である。また、豆乳としての風味も良好である。
(10) 固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が150mg以上である未発芽豆又は莢。
(11) グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が、0.4以上である未発芽豆又は莢。
(12) 固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が100mg以上であって、かつ、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が、0.4以上である未発芽豆又は莢。
(13) 前記未発芽豆又は莢が、豆科のダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、ササゲ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属からなる群より選ばれる1種である(10)から(12)いずれか記載の未発芽豆又は莢。
(14) 前記未発芽豆又は莢が、豆乾燥物又は莢乾燥物である(10)から(13)いずれか記載の未発芽豆又は莢。
(15) 前記未発芽豆又は莢が、前記豆乾燥物又は莢乾燥物の粉砕物である(10)から(13)いずれか記載の未発芽豆又は莢。
(16) (10)から(15)いずれか記載の未発芽豆又は莢を使用した食品及び栄養補助剤。
(10)から(16)の本発明の未発芽豆又は莢、及びこれらの乾燥物は健康成分であるγ−アミノ酪酸が富化させた状態で含有する。このため、未発芽豆又は莢やその乾燥物のもつ栄養成分をさらに強化することができ、付加価値の高い製品となる。また、これら豆、莢、又はこれらの乾燥物を用いた食品は、食品の風味や食感を阻害されることなく、健康成分であるγ−アミノ酪酸を含有された健康食品となる。また、これら豆、莢、又はこれらの乾燥物を粉末状にしてタブレット状等に加工することで、栄養サプリメント等の栄養補助剤として有用である。特に、莢には、大腸がん予防効果、腸内環境の改善効果を有する不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、特に好適である。尚、未発芽豆は、発芽処理を施していないことから、製造するにあたり、手間が少なく、発芽処理装置が不要で、製造時間、製造コストが安い点で有利である。
本発明によれば、γ−アミノ酪酸含量が増加し、風味の良好な豆又は食感に優れる莢を、工業的に製造することができ、また、該豆又は莢を使用することでγ−アミノ酪酸含量が富化した食品を製造することができる。特に、原料豆に枝豆等の未熟豆を用いた場合には、風味及び食感が良好で、鮮やかな緑色をした豆又は豆乾燥物を製造することができる。また、莢を用いた場合には、食物繊維を豊富に含む莢乾燥物を製造することができる。
また、本発明によると、未発芽豆だけではなく、発芽豆も工業的に製造することができ、γ−アミノ酪酸含量が富化した未発芽豆又は発芽豆を含有する食品を製造することができる。尚、発芽豆の場合には、製造された発芽豆は発芽によるγ−アミノ酪酸の増加も加わって、よりγ−アミノ酪酸が富化されたものとなる。
従って、本発明によると、食品及び飼料の用途に応じて、γ−アミノ酪酸含量を増加させた未発芽豆、又はγ−アミノ酪酸含量を増加させた発芽豆のいずれかを選択し、それらの原料として使用することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の豆又は莢の製造方法についての実施形態を具体的に説明する。
<原料豆及び莢>
本発明に使用する原料豆は、水分含量が20質量%以上であり、かつ、酵素失活処理をしていない豆である。ここで、酵素失活処理をしていない豆とは、例えば、80〜100℃の湯又は蒸気によるブランチング等の加熱処理を行っていないことを意味するものである。
尚、豆の水分含量は、20〜98質量%であるのがより好ましく、さらに好ましくは20〜92質量%、さらにより好ましくは50〜92質量%、最も好ましくは55〜80質量%である。これは、市場から入手することができる酵素失活をしていない豆の大部分が、水分含量が98質量%以下であること、また、水分含量が20質量%未満であると、酵素が充分に働かず、γ−アミノ酪酸が増加した豆を得ることができないことからである。
本発明において、原料豆として酵素失活処理をしていない豆を使用する理由は、酵素失活処理をした豆を使用して、本発明と同様の製造、すなわち、一旦冷凍し、その後、5〜70℃で解凍をしても、γ−アミノ酪酸が増加した豆を得ることができないからである。
原料豆の水分含量が上記の範囲であれば、豆は、未熟のものであっても完熟したものであっても使用することができるが、風味の点で、未熟豆を使用することが好ましい。
水分含量が20質量%以上であり、かつ、酵素失活処理をしていない原料豆としては、例えば、水分含量が20〜98質量%であって、かつ、湯又は蒸気でブランチング処理していない未熟豆を使用することができる。
また、原料として使用する原料豆は、その水分含量が20質量%未満の乾燥豆であっても、例えば、水中へ浸漬し、吸水後の水分含量を20質量%以上、好ましくは20〜98質量%とすることで使用することができる。すなわち、この浸漬処理を行うことにより、水分含量が20質量%未満の豆であっても、水分含量を20質量%以上、好ましくは20〜98質量%と調整することができるため、水分含量が20質量%未満の乾燥豆を原料として使用したい場合には、有効な処理である。尚、水分を付与する方法としては特に限定されないが、例えば、20℃の水に18時間程度浸漬させることにより行うことができる。
また、原料として使用する莢は、未熟豆の莢であって、特に枝豆の莢が好ましく、また、中身の種子である豆が入った状態の莢付き豆、或いは中身の種子である豆を取り除いた莢のみの状態であってもよい。また、豆と莢の間に薄皮(例えば、枝豆の場合、莢の内部を覆っているフィルム状の殻のことをいう。)があるものについては、薄皮がついた状態でも、取り除いたものであってもよい。この莢には、後述するように、大腸がん予防効果、腸内環境の改善効果を有し、また、ダイエットサプリメントとして有効な不溶性食物繊維が豆に比べて多く含有されている。尚、莢中の水分含量や酵素失活処理されていない莢を用いる理由については、上述の豆についてと同様である。
また、本発明に使用する原料豆は、その種類について特に制限はない。具体的には、大豆(枝豆)、青大豆、インゲン豆(さやいんげん)、アズキ、ナンキン豆、ソラ豆、エンドウ豆(さやえんどう)、黒豆、ヒヨコマメ、青豆、黒大豆、レンズ豆、緑豆等といった豆科のダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、ササゲ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属に属する豆が挙げられる。その中でも栄養価、加工適正、入手の容易さ等の点から大豆を用いるのが最も好ましい。また、大豆は、国産大豆、日清オイリオグループ(株)製の商品:ランドマーク等の米国産大豆、遺伝子組み替え大豆、又は非遺伝子組み替え大豆のいずれも用いることができる。
未熟豆の場合、ダイズ属(枝豆等)、エンドウ属(さやえんどう等)、インゲンマメ属(さやいんげん等)、ソラマメ属(そら豆等)が好ましい。また、完熟豆の場合、ダイズ属(青豆、黒大豆、青大豆等)、ササゲ属(小豆、緑豆等)、ヒヨコマメ属(ひよこ豆等)、ヒラマメ属(レンズ豆等)が好ましい。また、莢の場合、ダイズ属(枝豆等)ソラマメ属(そら豆等)が好ましい。
入手の容易さ、得られる豆の風味及び豆の水分含量等の点から、本発明に使用する原料豆は、未熟豆、すなわち枝豆、さやいんげん、さやえんどう(以上莢付き)、そら豆(莢なし)等を使用することが最も好ましい。さらに、原料豆は、莢に包まれた状態のもの、又は莢から出したもののいずれも使用することができる。
尚、枝豆、さやいんげん、さやえんどう、そら豆等の場合、枝豆は種まき後75〜105日で、さやいんげんは種まき後40〜50日で、さやえんどうは種まき後180〜250日で、そらまめは種まき後180〜250日でに収穫されたものが好ましい。
<冷凍処理>
本発明の豆又は莢の製造方法における原料豆又は莢の冷凍処理は、例えば、豆又は莢を0℃以下に保存して冷凍することができ、工業的には冷凍食品の流通過程でよく使用される−18℃以下の冷凍庫を用いて冷凍することができる。また、急速冷凍器を使用して冷凍させてもよい。冷凍時間については、豆又は莢が一旦冷凍されればよいため、特に制限はない。
好ましい冷凍条件は、冷凍温度−4〜−180℃、好ましくは−15〜−100℃であり、冷凍時間は、0.5分以上が好ましく、10分〜24時間がより好ましい。
<発芽処理>
本発明においては、必要に応じて、下記の発芽処理工程を、冷凍処理前に取り入れることにより、γ−アミノ酪酸がより一層増加した発芽豆を製造することができる。尚、この発芽処理は、豆を冷凍処理した後に発芽処理を行っても発芽しないので、冷凍処理前に行うことが必要である。
本発明における発芽処理の方法は、特に限定はしないが、例えば、水分含量が20質量%以上、好ましくは20〜98質量%で、酵素失活処理をしていない原料豆を、好ましくは25〜45℃、より好ましくは25〜35℃で、好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜36時間放置しておく方法が挙げられる。尚、原料豆は、未熟豆又は完熟豆のいずれであってもよく、また、莢付き又は莢なしのいずれであってもよい。
この発芽処理は、実際に発芽しているか否かは問わない。また、莢自体は、発芽しないが、莢のみの状態でも、莢か豆に付いた状態でも、発芽処理することは可能である。
また、酵素失活処理をしていない原料豆を、10〜45℃、好ましくは20〜45℃、より好ましくは30〜42℃の水又は温水に、0.5〜36時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1〜5時間浸漬させ、この浸漬工程中、又は浸漬工程後に、豆を空気又は酸素中に19〜36時間、好ましくは20〜30時間、より好ましくは20〜24時間さらす気体接触工程を行う方法も挙げることができる。
<解凍処理>
本発明の製造における原料豆又は莢の解凍処理は、5〜70℃で解凍する必要がある。解凍温度が5℃未満であると、解凍時間がかかるだけでなく、酵素が十分に働かず、γ−アミノ酪酸が増加した豆又は莢を得ることができないからである。例えば、冷凍した豆を、凍結乾燥により解凍、すなわち冷凍状態から昇華により乾燥することで解凍をしても、γ−アミノ酪酸が増加した豆を得ることができない。
また、70℃より高い温度で解凍すると、酵素が十分働かず、また、場合によっては酵素が失活して、γ−アミノ酪酸が増加した豆又は莢を得ることができないからである。例えば、冷凍した豆又は莢をそのまま加熱処理して解凍してしまうと、γ−アミノ酪酸が増加した豆又は莢を得ることができない。
この解凍処理は、下記の解凍温度、解凍時間であれば、特に限定されない。自然解凍により行うことができるが、恒温器、加温器や解凍装置を用いて行うこともできる。また、一定温度の水や湯等の液体に浸漬等をすることにより行うこともできる。
好ましい解凍条件は、解凍温度5〜70℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜55℃、さらに好ましくは20〜50℃、さらにより好ましくは25〜45℃、最も好ましくは30〜40℃であり、解凍時間は、30分以上が好ましく、30分〜12時間がより好ましく、30分〜8時間がさらに好ましく、30分〜6時間がさらにより好ましく、30分〜4時間が最も好ましい。
<加熱処理>
本発明において、酵素失活をするため、また、豆又は莢の保存時のγ−アミノ酪酸含量の減少を防止するため、解凍処理後に加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理の方法については、特に制限はなく、例えば、湯又は蒸気でブランチング処理する方法が挙げられ、その際、少量食塩を添加するとよい。具体的には、解凍した枝豆等の豆又は莢の加熱処理は、少量の食塩を加えた80〜100℃のお湯で5分間茹でればよい。また、加熱処理、乾燥処理、粉砕処理の順番は、特に限定されないが、通常は、凍結融解後に加熱処理を行い、その後、乾燥処理及び粉砕処理を行う。
<冷凍豆>
尚、上記の豆は、これをそのまま製品としてもよく、また、後述するような豆乾燥物としてもよいが、上記のブランチング処理した後、冷凍して、冷凍豆としてもよい。冷凍にすることで、新鮮さや風味を損なうことなく、長期間保存が可能となる。そして、この冷凍豆は、解凍することで、γ−アミノ酪酸が富化された豆として食することができる。このため、この冷凍豆は、例えば、スーパーやコンビニエンスストアー等で冷凍豆として流通され、冷蔵品又は常備品として販売するに際して、若しくは冷凍品として販売後に消費者が食する際に、加熱調理されるか、自然解凍若しくは流水解凍されて食される。
<レトルト豆>
上記のブランチング処理をした後、耐熱性積層フィルム(例えば、外層がポリエステル(PET)、中間層がアルミ箔(AL)、内層が無延伸ポリプロピレン(CPP)である耐熱性積層フィルム)製のパウチに、豆をそのまま入れ、ヒートシールし、加圧加熱殺菌を行うことにより、袋詰めのレトルト食品を製造することができる。これにより、水分を多く含んだ豆であっても、長期間の保存及び常温での流通が可能となる。
<豆乾燥物又は莢乾燥物>
次に、本発明の豆乾燥物又は莢乾燥物の製造方法について説明する。尚、豆乾燥物又は莢乾燥物とは、原料豆又はその莢を冷凍処理し、その後、解凍処理した後に、乾燥処理を行って得られたγ−アミノ酪酸含量が富化した豆又は莢をいう。
これまでに説明した本発明の製造方法によって得られた豆(莢付き、莢なしの両方を含む)を、乾燥することにより、豆乾燥物を製造することができる。より詳しくは、本発明で製造して得られた未発芽豆(莢付き、莢なしの両方を含む)を、乾燥することにより、未発芽豆乾燥物を得ることができ、また、本発明で製造して得られた発芽豆(莢付き、莢なしの両方を含む)を乾燥することにより、発芽豆乾燥物を得ることができる。
上記乾燥の方法は、乾熱乾燥、過熱水蒸気による乾燥、凍結乾燥等により行うことができるが、よりサクサク感のある食感とするために、乾燥は、凍結乾燥により行うことが最も好ましい。
また、莢付き豆のままで本発明の製造方法を行い、得られた莢付き豆を乾燥し、中身の種子(豆)を取り除くことにより、或いは、莢付き豆の中身の種子(豆)を取り除いた莢で本発明の製造方法を行い、得られた莢を乾燥することにより、莢乾燥物を製造することもできる。莢乾燥物の原料としては、中身の豆と莢が物理的に分離できるものであれば特に限定されないが、枝豆、そらまめ等が好ましい。
<粉砕処理>
上記の豆乾燥物又を莢乾燥物は通常に行われている方法で粉砕して豆乾燥物又を莢乾燥物の粉砕物とし、これら粉砕物を食品や栄養補助剤に用いてもよい。
この豆乾燥物又を莢乾燥物を粉砕する粉砕方法については、特に限定されるものではなく、例えば、粉末状にする場合には、Wonder Crush/Mill(大阪ケミカル社製)等の粉砕機を用いることにより行うことができる。また、小片にする場合には、コーヒーミル等の粉砕機を用いることにより行うことができる。
また、粉砕の度合いについても特に限定されるものではなく、添加する食品や栄養補助剤に応じて、適宜設定される。
尚、この粉砕処理は、例えば、通常、乾燥物の劣化が小さいこと、及び微粉砕の容易さの点から、凍結融解後、乾燥処理した乾燥豆や乾燥莢を粉砕することが行われる。また、例えば、凍結融解後の豆や莢を粉砕して、その後、乾燥処理する場合、豆や莢が細かくなることにより、表面積が広くなり、その結果、乾燥時間が短くなるという利点が生じる場合がある。以上のことから、粉砕処理は乾燥処理した後、又は前のいずれで行ってもよく、適宜選択すればよい。
<豆の色調>
また、枝豆、いんげん豆、えんどう、そら豆等の未熟豆は、本発明を実施することにより、鮮やかな緑色をした豆又は豆乾燥物を製造することができる。
例えば、枝豆乾燥物の場合、色差計で測定した色度のa値が、好ましくは−12以下、より好ましくは−14以下、色度のb値が、好ましくは26以下、より好ましくは24以下である鮮やかな緑色をした枝豆乾燥物を製造することができる。
豆の色度は、日本電色工業株式会社製のColor Meter ZE2000を用い、反射法で測定することができる。
<γ―アミノ酪酸含量>
次に、本発明の製造方法で得られた豆又は莢及びこれらの乾燥物、又は本発明の未発芽豆中のγ―アミノ酪酸含量について説明する。
本発明では、発芽処理工程を行った製造ではもちろんのこと、発芽処理工程を行っていない製造においても、γ−アミノ酪酸含量が増加した豆又は莢を製造することができる。
例えば、未発芽の枝豆等の未熟豆を原料豆として使用した場合、豆の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が150mg以上、好ましくは150〜3000mg、より好ましくは150〜2000mg、最も好ましくは180〜2000mgの未発芽未熟豆を製造することができる。
また、本発明では、未熟豆乾燥物の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が、150mg以上、好ましくは150〜3000mg、より好ましくは150〜2000mg、最も好ましくは180〜2000mgの未熟豆乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた未発芽未熟豆を乾燥することで製造することができる。
大豆等の完熟豆を原料豆として使用した場合、豆の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が100mg以上、好ましくは100〜3000mg、より好ましくは100〜2000mg、より一層好ましくは100〜1000mg、さらに好ましくは100〜600mg、さらにより好ましくは100〜500mg、さらにより一層好ましくは100〜400mg、最も好ましくは100〜300mgの完熟豆を製造することができる。
また、本発明では、完熟豆乾燥物の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が、100mg以上、好ましくは100〜3000mg、より好ましくは100〜2000mg、より一層好ましくは100〜1000mg、さらに好ましくは100〜600mg、さらにより好ましくは100〜500mg、さらにより一層好ましくは100〜400mg、最も好ましくは100〜300mgの完熟豆乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた完熟豆を乾燥することで製造することができる。
一方、莢についても未熟豆と同様に、莢の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が150mg以上、好ましくは150〜3000mg、より好ましくは150〜2000mg、さらに好ましくは150〜1000mg、さらにより好ましくは150〜800mg、さらにより一層好ましくは150〜600mg、最も好ましくは300〜600mgの莢を製造することができる。
また、本発明では、莢乾燥物の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量が、150mg以上、好ましくは150〜3000mg、より好ましくは150〜2000mg、さらに好ましくは150〜1000mg、さらにより好ましくは150〜800mg、さらにより一層好ましくは150〜600mg、最も好ましくは300〜600mgの莢乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた莢を乾燥することで製造することができる。
ここで、「豆又は莢の固形分」とは、「豆又は莢の総質量から豆又は莢中の水のみの質量を差し引いた固形分」をいい、「豆又は莢の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量」とは、「豆又は莢の総質量から豆又は莢中の水の質量を差し引いた固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量」をいう。
豆又は莢中の水の質量測定は、例えば常圧乾燥法(105℃、5時間)により行うことができる。
豆又は莢の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量(mg)は、次の式1で算出される。
Figure 0004887301
また、豆又は莢乾燥物についても、豆又は莢の場合と同様に、「豆又は莢乾燥物の固形分」とは、「豆又は莢乾燥物の総質量から豆又は莢乾燥物中の水のみの質量を差し引いた固形分」をいい、豆又は莢の場合と同様に、常圧乾燥法により豆又は莢乾燥物の固形分100g当たりのγ−アミノ酪酸含量を求めることができる。
<γ−アミノ酪酸とグルタミン酸の質量比>
次に、本発明の製造方法で得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物の豆又は莢中のγ−アミノ酪酸とグルタミン酸の質量比について説明する。
本発明において、豆又は莢及びそれらの乾燥物を製造する場合、解凍温度を調整することにより、豆又は莢中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を調整することができ、これにより、さらに旨み成分のバランスのとれた豆又は莢及びそれらの乾燥物を得ることができる。
例えば、枝豆等の未熟豆の場合、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、より好ましくは0.4〜500、さらに好ましくは0.4〜300、最も好ましくは0.4〜200であると、旨み成分のバランスのとれたものとなる。豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上である未熟豆を製造するには、解凍温度を5〜70℃とすることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、10〜55℃であることがさらに好ましく、20〜50℃とすることがさらにより好ましく、25〜45℃とすることがさらにより好ましく、30〜40℃とすることが最も好ましい。
また、本発明では、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、より好ましくは0.4〜500、さらに好ましくは0.4〜300、最も好ましくは0.4〜200である未熟豆乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた未熟豆を乾燥することで製造することができる。
大豆等の完熟豆の場合も、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、好ましくは0.4〜500、より好ましくは0.4〜100、さらに好ましくは0.4〜50、最も好ましくは0.4〜10であると、旨み成分のバランスのとれたものとなる。豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上である完熟豆を製造するには、未熟豆の場合と同様の条件で解凍すればよい。
また、本発明では、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、好ましくは0.4〜500、より好ましくは0.4〜100、さらに好ましくは0.4〜50、最も好ましくは0.4〜10である完熟豆乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた完熟豆を乾燥することで製造することができる。
莢の場合、莢中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、より好ましくは0.4〜500、さらに好ましくは0.4〜300、さらにより好ましくは0.4〜200、最も好ましくは0.4〜100であると、旨み成分のバランスのとれたものとなる。莢中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上である莢を製造するには、未熟豆の場合と同様の条件で解凍すればよい。
また、本発明では、莢中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量が0.4以上、より好ましくは0.4〜500、さらに好ましくは0.4〜300、さらにより好ましくは0.4〜200、最も好ましくは0.4〜100である莢乾燥物を製造することができる。例えば、上記で得られた莢を乾燥することで製造することができる。
以上に説明したγ―アミノ酸含量、及びグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比については、これらγ―アミノ酸含量と質量比との組合わせが好ましい。すなわち、γ−アミノ酪酸含量が150mg以上であって、かつ、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が0.4以上、或いはγ−アミノ酪酸含量が100mg以上であって、かつ、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が0.4以上とすることが好ましい。これによって、豆及び莢中には、γ−アミノ酪酸の含量が高く、しかも旨み成分であるグルタミン酸量がバランスよく含有されることになるので、栄養面、嗜好面から好ましい。
<γ−アミノ酪酸含量、グルタミン酸含量の分析>
本発明の製造方法で得られた豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量は、自動アミノ酸分析装置を用いて分析して求めることができる。この場合、加熱処理をしていない豆又は莢については、酵素失活をさせるために沸騰水で3分間ブランチング処理をした後、アミノ酸分析をする必要がある。
具体的には、豆又は莢110gに水200gを加え、ホモミキサーで粉砕処理して豆呉又は莢懸濁液を調製し、得られた豆呉又は莢懸濁液と5%トリクロロ酢酸を混合撹拌後、遠心処理し、上清をフィルターでろ過して、ろ液を得る。得られたろ液を、自動アミノ酸分析装置を用いて分析する。
アミノ酸分析値及び豆又は莢の固形分の質量より、豆又は莢の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量、及びグルタミン酸含量を算出することができる。また、豆又は莢中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量は、これらの値から算出することができる。
また、豆又は莢乾燥物中のγ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量についても、自動アミノ酸分析装置を用いて分析し、求めることができる。
具体的には、豆又は莢乾燥物をミルで粉砕後、得られた粉末に水を加え、ホモジナイザーで撹拌し、懸濁液を得る。得られた懸濁液と5%トリクロロ酢酸を混合撹拌後、遠心処理し、上清をフィルターでろ過して、ろ液を得る。得られたろ液を、自動アミノ酸分析装置を用いて分析する。
アミノ酸分析値及び豆又は莢乾燥物の固形分の質量より、豆又は莢乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量、及びグルタミン酸含量を算出することができる。また、豆又は莢乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量は、これらの値から算出することができる。
<豆又は莢及びそれらの乾燥物を用いた食品>
次に、本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物を用いた食品について説明する。
本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物は、未発芽のものであっても、発芽したものであっても、各種食品及び飼料の原料として使用することができる。そのため、その用途に応じて、未発芽豆、未発芽豆乾燥物、発芽豆、発芽豆乾燥物、莢、及び莢乾燥物を適宜使い分けることができる。
豆又は莢及びそれらの乾燥物は、特に加工せず、そのまま食したり、そのまま他の食品等に入れて用いることができる。豆又はその乾燥物をそのまま用いるものとしては、野菜サラダのトッピング、カップスープの具、カップラーメンの具、豆ごはん(枝豆ごはん等)、スープの具、シチューの具等が挙げられる。また、豆又は莢及びそれらの乾燥物の粉末をそのまま用いるものとしては、例えば、ふりかけ、この粉末に湯を入れたお茶様の飲料等が挙げられる。また、豆や莢を調理品等の素材として加工せずに用いて、その後、加工する場合もある。例えば、枝豆とダシ汁をミキサーに入れ、細かくし、枝豆スープ等にする場合や、ハンバーグにするとき、肉と枝豆を一緒にして、ミンチする場合等である。
また、食品及び飼料の原料として使用する場合、その使用用途に応じて、加熱処理したものでも、加熱処理していないものでも使用することができる。
豆又は莢及びそれらの乾燥物を用いた食品は、例えば、良好な風味が付与され、γ−アミノ酪酸や食物繊維の含量が多くなる。
本発明の製造方法により得られた豆及び豆乾燥物を使用する食品は、豆を加工原料として用いる豆乳、豆腐等の豆加工食品であっても、通常豆を原料として使用していないパン類、麺類等の食品であってもよい。
また、本発明の製造方法で製造した後、加熱処理して得られた豆又は豆乾燥物は、そのまま食品とすることもできる。特に、未発芽枝豆乾燥物、及び発芽枝豆乾燥物等の豆乾燥物は、保存性や流通性が高まるというメリットがあり、そのままスナック菓子として食することもできる。
豆加工食品として、例えば豆乾燥物、粉砕豆、豆を粉末化したもの、豆乳、豆腐、おから、納豆、味噌、煮豆、及び茹で豆等が挙げられる。それ以外の食品として、パン及びピザ等のパン類、うどん、そば、及びそうめん等の麺類、アイスクリーム、プリン、及びヨーグルト等の乳製品、クッキー、ビスケット、せんべい、おかき、あられ、プリン、及び和菓子等の菓子類、レトルト食品、冷凍食品等が挙げられる。また、莢乾燥物を粉末化したものを用いた食品としては、スナック菓子類、ビスケット類、アイスクリーム、パン、そば等が挙げられる。
本願でいう豆乳は、JAS規格に含まれるものはもちろんのこと、JAS規格に限定されず、大豆を原料として豆乳状にしたものをすべていう。例えば、おからを分離しないものや、大豆を乾燥させ、一度粉末にした後、その粉を水に溶かしたものも含まれる。
このような食品中に、本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物は、特に限定されず、一般には、加工する食品にもよるが、例えば、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の範囲で配合される。
また、飼料としては、犬や猫のペット用のえさ、魚用のえさ等が挙げられる。
これらの食品や飼料は、本発明の製造方法で得られた豆又は莢、及びそれらの乾燥物を原料として使用する以外は、公知の方法で製造することができる。
<豆又は莢及びそれらの乾燥物を用いた栄養補助剤>
次に、本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物を用いた栄養補助剤について説明する。
本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物は、γ−アミノ酪酸含量が高く、また莢にはγ−アミノ酪酸に加え食物繊維の含量が高いため、ストレス低減作用、血圧降下作用を奏する他に、美容効果が期待されるので、栄養補助剤の原料として使用することができる。
栄養補助剤として、本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物を粉砕等の加工を行って、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、吸入剤、注射剤等に剤形したものである。これらの栄養補助剤は、慣用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を剤形に応じて添加し、常法に従って製造することができる。なお、液体製剤は、服用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。
このような栄養補助剤中に、本発明の製造方法により得られた豆又は莢及びそれらの乾燥物は、特に限定されず、一般には、剤形にもよるが、例えば、0.5〜100質量%の範囲で配合される。粉末又は散剤のような場合、例えば、100質量%のようなものもあり得る。また、錠剤のような場合、例えば、90〜99質量%のようなものもあり得る。
以上説明したように、本発明によれば、豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量が増加した豆又は莢、及びそれらの乾燥物を製造することができる。具体的には、発芽処理工程を含まない製造方法によれば、γ−アミノ酪酸含量が増加した未発芽の豆、又は未発芽の豆乾燥物を製造することができる。また、本発明の発芽処理工程を含む製造方法によれば、γ−アミノ酪酸含量がより増加した発芽豆、又は発芽豆乾燥物を製造することができる。また、莢の製造方法によれば、γ−アミノ酪酸含量が増加した莢、又は莢乾燥物を製造することができる。このように、本発明によれば、豆又は莢の使用用途に応じて、未発芽豆、未発芽豆乾燥物、発芽豆、発芽豆乾燥物、莢、及び莢乾燥物を選択して製造することができる。また、これらを含有する食品を製造できる。
また、本発明によれば、豆又は莢中のγ−アミノ酪酸含量が増加した豆又は莢、及びそれらの乾燥物を製造することができるので、酵素失活処理されていない原料豆又はその莢を冷凍処理し、その後解凍処理することで、豆又は莢中のγ−アミノ酪酸の含量を増強する方法として有効である。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〜5〕(枝豆)
表1に記載したように、水分含量が65.8〜71.8質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆)100gを、−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、25℃の室温に4時間放置して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍した莢付き枝豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から莢付き枝豆を取り出し、莢の中から豆を取り出した。
原料枝豆中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。尚、湯あがり娘、だだちゃ豆、だだちゃ豆早生甘露、サッポロミドリの各原料豆は、種まき後、発芽させてから約90日後に収穫したものを使用した。
〔比較例1〜5〕
表2に記載したように、水分含量が65.8〜71.8質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆)100gを、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で5分間茹でた。茹でた後、食塩水から莢付き枝豆を取り出し、莢の中から豆を取り出した。
原料枝豆中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。尚、湯あがり娘、だだちゃ豆、だだちゃ豆早生甘露、サッポロミドリの各原料豆は、種まき後、発芽させてから約90日後に収穫したものを使用した。
〔比較例6〕
表2に記載したように、水分含量が71.5質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆)100gを、−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、冷凍した枝豆を解凍せずに、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で5分間茹でた。茹でた後、食塩水から莢付き枝豆を取り出し、莢の中から豆を取り出した。原料枝豆中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。尚、湯あがり娘の原料豆は、種まきして発芽させて約90日後に収穫したものを使用した。
<豆の分析について>
房及び豆の皮を除去した豆110gに水200mlを加え、ホモミキサー(T.K HomoMixer)で3分間粉砕処理し、豆呉を調製した。得られた豆呉2mlと5%トリクロロ酢酸2mlを、10ml遠心管に入れ、3分間撹拌後、遠心処理(10,000rpmで10分間)し、上清をフィルター(ADVANTEC PTFE 0.2μm)でろ過後、ろ液を得た。自動アミノ酸分析装置(日立L−8800A)を用いて、得られたろ液中のγ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量の測定を行った。
また、豆を常圧乾燥法(105℃、5時間)することにより、豆の固形分の質量を算出した。
上記の測定法で得られた分析値及び豆の固形分の質量より、豆の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量、及び豆の固形分100g中のグルタミン酸含量、製造により得られた豆中のγ−アミノ酪酸の増加量、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 0004887301
Figure 0004887301
<枝豆の風味及び食感評価について>
実施例1〜5及び比較例1〜6で製造したそれぞれの豆5粒を、10名のパネラーが食したときの風味及び食感について、表3に示す評価基準に基づく点数で評価した。パネラー全員の評価点数の平均値を算出し、算出値が4点以上を合格とした。評価結果を表4に示す。
Figure 0004887301
Figure 0004887301
表4で示すように、実施例1〜5で製造して得られた豆は、風味、食感共に4.0以上の評価で、深みがあり、旨みのバランスも良好で、多少柔らか或いは柔らかく、歯ごたえも残っている食感のものであった。一方、比較例1〜6で製造して得られた豆は、風味、食感共に4.0以下の評価で、風味に乏しく、硬い或いはやや柔らかい食感のものであった。
〔実施例6〕(枝豆乾燥物)
実施例1で得られた枝豆100gを、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、未発芽の枝豆乾燥物を得た。
得られた枝豆乾燥物のγ−アミノ酪酸及びグルタミン酸含量を、後述する方法により分析すると、枝豆乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量は205.6mg、枝豆乾燥物の固形分100g中のグルタミン酸含量は359mg、枝豆乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量は、0.57であった。
得られた未発芽枝豆乾燥物を、表5に示す評価基準で、風味及び食感を評価した。その結果、風味及び食感とも評価点は5であった。
また、未発芽枝豆乾燥物は、鮮やかな緑色をしており、おつまみに好適で、保存性が高いものであった。尚、未発芽枝豆乾燥物を後述する方法で豆の色度を測定し、その結果を表6に示す。
〔比較例7〕
水分含量が70.9質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆〔新潟産、カネコ種苗社製、商品名:湯あがり娘〕(原料豆)100gを、−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、冷凍した枝豆を5〜70℃で解凍をすることなく、そのまま凍結乾燥し、未発芽の枝豆乾燥物を製造した。原料枝豆中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。
原料として使用した酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆)及び得られた枝豆乾燥物のγ−アミノ酪酸及びグルタミン酸含量を後述する方法により分析した。
その結果、酵素失活処理していない莢付き枝豆(原料豆)の豆固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量は105mg、豆の固形分100g中のグルタミン酸含量は385mg、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量は、0.27であった。
そして、得られた枝豆乾燥物の固形分100gのγ−アミノ酪酸含量は106mg、枝豆乾燥物の固形分100g中のグルタミン酸含量は422mg、枝豆乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量は、0.25であった。また、未発芽枝豆乾燥物を後述する方法で豆の色度を測定し、その結果を表6に示す。
また、得られた未発芽枝豆乾燥物を、表5に示す評価基準で、風味及び食感を評価した。その結果、風味は3.9で、食感は3.0であった。
<枝豆乾燥物の分析について>
枝豆乾燥物をWonder Crush/Mill(大阪ケミカル社製)で20秒間粉砕後、得られた粉末約2gを秤量し、水20mlを加え、ホモジナイザーで3分間撹拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液2mlと5%トリクロロ酢酸2mlを、10ml遠心管に入れ、3分間撹拌後、遠心処理(10,000rpmで10分間)し、上清をフィルター(ADVANTEC PTFE 0.2μm)でろ過後、ろ液を得た。自動アミノ酸分析装置(日立L−8800A)を用いて、得られたろ液中のγ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量の測定を行った。
また、枝豆乾燥物を常圧乾燥法(105℃、5時間)することにより、枝豆乾燥物の固形分の質量を算出した。
上記の測定法で得られた分析値及び枝豆乾燥物の固形分の質量より、枝豆乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量及び枝豆乾燥物の固形分100g中のグルタミン酸含量、枝豆乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。
<未発芽枝豆乾燥物の風味及び食感評価について>
実施例6及び比較例7で製造したそれぞれの未発芽枝豆乾燥物5粒を、10名のパネラーが食したときの風味及び食感について、表5に示す評価基準に基づく点数で評価した。パネラー全員の評価点数の平均値を算出し、算出値が4点以上を合格とした。
Figure 0004887301
<枝豆乾燥物の色度測定について>
実施例6及び比較例7で得られた枝豆乾燥物10gを乳鉢で粉砕して、23メッシュ以下の粒度とした後、日本電色工業株式会社のColor Meter ZE2000を用い、反射法で豆の色度を測定した。
Figure 0004887301
比較例7の枝豆乾燥物は、黄色みがかかっていたが、実施例6の枝豆乾燥物は、鮮やかな緑色で、好ましい色調であった。
〔実施例7〜10〕(未熟豆)
水分含量が70.1〜91.7質量%の酵素失活処理をしていないさやえんどう、さやいんげん、そらまめ、莢付き枝豆(原料豆;未熟豆)100gを−20℃の冷凍庫で6時間冷凍した。その後、30℃に8時間放置して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で解凍したさやいんげん、さやえんどう、そらまめ、又は莢付き枝豆を3分間茹でた。
〔比較例8〜11〕
水分含量が70.1〜91.7質量%の酵素失活処理をしていないさやえんどう、さやいんげん、そらまめ、莢付き枝豆(原料豆;未熟豆)100gを5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で5分間茹でた。
上記処理後のさやいんげん、さやえんどう、及び莢付き枝豆は、通常食する状態と同様に、豆が莢に入った状態でその後の分析及び評価を行った。また、上記処理後のそらまめは、莢から取り出した豆でその後の分析及び評価を行った。
原料豆中の水分含量は常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。
<豆の分析について>
分析サンプルとして得られたさやいんげん(莢付き)、さやえんどう(莢付き)、そらまめ(豆のみ)、莢付き枝豆を用いたこと以外は、実施例1〜5及び比較例1〜6と同様の方法により、豆の固形分の質量、γ−アミノ酪酸含量、及びグルタミン酸含量の測定を行った。
上記の測定法で得られた分析値及び豆の固形分の質量より、豆の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量、及び豆の固形分100g中のグルタミン酸含量、製造により得られた豆中のγ−アミノ酪酸の増加量、豆中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。その結果を表7及び表8に示す。
Figure 0004887301
Figure 0004887301
<風味及び食感評価について>
評価サンプルとして得られたさやいんげん(莢付き)、さやえんどう(莢付き)、そらまめ(豆のみ)、莢付き枝豆を用いたこと以外は、実施例1〜5及び比較例1〜6と同様の方法により、評価した。評価結果を表9に示す。
Figure 0004887301
表9で示すように、実施例7〜10で得られた各種豆は、風味、食感共に4.0以上の評価であったが、比較例8〜11で得られた豆は、風味、食感共に3.4以下の評価であった。これにより、本発明で得られる各種豆は、風味及び食感が良好なものであることがわかった。
〔実施例11〜17〕(完熟豆)
酵素失活処理をしていない青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆又は緑豆(以上の原料豆は、完熟豆で莢なし)100gを20℃の水に18時間浸漬させ、その後水切りして水分含量を56.5〜77.3質量%とし、−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、25℃の水に6時間浸漬して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍した青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆又は緑豆を3分間茹でた。得られた豆を東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、未発芽の青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆又は緑豆乾燥物を得た。
〔比較例12〜18〕
酵素失活処理をしていない青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆又は緑豆(以上の原料豆は、完熟豆で莢なし)100gを、20℃の水に18時間浸漬させ、その後水切りして水分含量を56.5〜77.3質量%とし、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、3分間茹でた。得られた豆を、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、未発芽の青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆又は緑豆乾燥物を得た。
原料枝豆中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。
<豆乾燥物の分析について>
分析サンプルとして得られた青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆、緑豆を用いたこと以外は、実施例6及び比較例7と同様の方法により、豆の固形分の質量、γ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量の測定を行った。
上記の測定法で得られた分析値及び豆乾燥物の固形分の質量より、豆乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量及び豆乾燥物の固形分100g中のグルタミン酸含量、豆乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。その結果を表10、11に示す。また、参考として、浸漬前の原料豆のそれぞれの値を表11に示す。
Figure 0004887301
Figure 0004887301
<風味及び食感評価について>
評価サンプルとして得られた青豆、黒大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、青大豆、緑豆を用いたこと以外は、実施例6及び比較例7と同様の方法により、評価した。評価結果を表12に示す。
Figure 0004887301
表12で示すように、実施例11〜17で得られた各種豆は、風味4.0以上、食感3.9以上の評価であったが、比較例12〜18で得られた豆は、風味4.0以下、食感3.2以下の評価であった。これにより、本発明で得られる各種豆は、風味及び食感が良好なものであることがわかった。
〔実施例18〜22〕(莢)
水分含量が68.1〜75.4質量%の酵素失活処理をしていない、莢付き枝豆から豆を除いた莢(枝豆の莢)100gを、−80℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、50℃に1時間放置して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍した枝豆の莢を3分間茹でた。
〔比較例19〜23〕
水分含量が68.1〜75.4質量%の酵素失活処理をしていない、莢付き枝豆から豆を除いた莢(枝豆の莢)100gを、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、3分間茹でた。
原料中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。
<風味及び食感評価について>
評価サンプルとして得られた莢を用いたこと以外は、実施例1〜5及び比較例1〜6と同様の方法により、風味及び食感について評価した。評価結果を表13に示す。
Figure 0004887301
表13で示すように、実施例18〜22で得られた各種の枝豆の莢は、風味3.5以上、食感3.1以上の評価であったが、比較例19〜23で得られた各種の莢は、風味2.7以下、食感2.9以下の評価であった。また、各種の莢は、原料の状態では非常に食感が悪いが、本発明の処理を行うことにより、食感が向上することがわかった。これにより、本発明で得られる各種の莢は、風味及び食感が良好なものであることがわかった。
〔実施例23〜27〕(莢乾燥物)
実施例18〜22で得られた莢100gを、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、莢乾燥物を得た。
〔比較例24〜28〕
比較例19〜23で得られた莢100gを、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、莢乾燥物を得た。
<莢乾燥物の分析について>
分析サンプルとして得られた莢を用いたこと以外は、実施例6及び比較例7と同様の方法により、の固形分の質量、γ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量の測定を行った。
上記の測定法で得られた分析値及び莢乾燥物の固形分の質量より、実施例及び比較例について、莢乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量及び莢乾燥物の固形分100g中のグルタミン酸含量、莢乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。その結果を表14及び表15に示す。
Figure 0004887301
Figure 0004887301
表14で示すように、実施例23〜27で得られた各種莢乾燥物は、γ−アミノ酪酸含量が16.5〜50倍も増え、γ−アミノ酪酸の富化効果が顕著であった。
<風味及び食感評価について>
評価サンプルとして得られた枝豆の莢を用いたこと以外は、実施例6及び比較例7と同様の方法により、評価した。評価結果を表16に示す。
Figure 0004887301
表16で示すように、実施例23〜27で得られた各種莢乾燥物は、風味3.2以上、食感2.8以上の評価であったが、比較例24〜28で得られた各種莢乾燥物は、風味2.8以下、食感2.6以下の評価であった。また、実施例23〜27では、上記表16の食感評価の数値で表される以上に、サクサク感が生じ、食するのに好ましくなった。
これにより、本発明の製造方法で得られる各種莢乾燥物は、風味及び食感が良好なものであることがわかった。
<食物繊維含量について>
また、参考までに実施例27の香味豆の莢乾燥物と香味豆乾燥物とについて一般成分を測定したところ、表17に示すように、香味豆の莢乾燥物は香味豆乾燥物に比べ約3.5倍程度の食物繊維が含まれていることになり、この食物繊維は大腸がん予防効果、腸内環境の改善効果を有しており、食品に入れて効果あるのはもとより、ダイエットサプリメントとして有用である。また、莢乾燥物は、豆乾燥物と比べて、低蛋白、低脂質、低炭水化物であった。
Figure 0004887301
〔参考実施例1〜3〕
豆科以外の植物の実でも同じ効果が得られるかを検証した。すなわち、豆科以外の植物の実としてオリーブの実を使用して、本発明と同様に凍結処理、解凍処理をした場合と、凍結処理をし、解凍処理を行わない場合について比較した。
水分含量が75〜80質量%の酵素失活処理をしていないオリーブ(品種;ネバティロブランコ、ミッション、マンザニロ)の実をそれぞれ−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、40℃に3時間放置して解凍した後、沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍したオリーブを3分間茹でた。得られた各オリーブの実を、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、オリーブの実乾燥物を得た。
〔参考比較例1〜3〕
水分含量が75〜80質量%の酵素失活処理をしていないオリーブ(品種;ネバティロブランコ、ミッション、マンザニロ)をそれぞれ−20℃の冷凍庫で12時間冷凍した。その後、沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍したオリーブを3分間茹でた。得られた各オリーブを、東京理科器機社製の凍結乾燥機を用いて凍結乾燥し、オリーブの実乾燥物を得た。
原料オリーブの実中の水分含量は、常圧乾燥法(105℃、5時間)で測定した。
<オリーブの実乾燥物の分析について>
分析サンプルとして得られたオリーブの実を用いたこと以外は、実施例6及び比較例7と同様の方法により、オリーブの実の固形分の質量、γ−アミノ酪酸含量及びグルタミン酸含量の測定を行った。
上記の測定法で得られた分析値及びオリーブの実乾燥物の固形分の質量より、オリーブの実乾燥物の固形分100g中のγ−アミノ酪酸含量、及びグルタミン酸含量、オリーブの実乾燥物中のグルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量を算出した。その結果を表18に示す。
Figure 0004887301
表18で示すように、オリーブの実では、いずれの処理条件でもγ−アミノ酪酸含量が7mg/100g未満であり、本発明のようにγ−アミノ酪酸含量が150mg/100g以上のものは得られなかった。また、凍結処理と凍結・解凍処理との比較において、凍結・解凍処理した方がγ−アミノ酪酸が富化されるとは言えない。
これにより、本発明の製造方法は、すべての食用植物の実に適用されるものではなく、例えば、豆科食物のように特定されたものに適用されることが確認された。
以下に、本発明で得られる豆又は莢、及びそれらの乾燥物を用いた食品例を示す。
〔実施例28〕(枝豆を用いた豆乳)
(冷凍・解凍処理)
水分含量が70.5質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆、中札内産)1kgを−20℃の冷凍庫で約9ヶ月冷凍した。その後、25℃の室温に4時間放置して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、解凍した莢付き枝豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から莢付き枝豆を取り出し、莢の中から豆を取り出した。
(豆乳の製造方法)
上記の枝豆440gを800gの水で、豆乳メーカーにより豆乳を抽出し、おからを除去した液を得た。その液を、鍋にて80℃5分間加熱し、放冷した後、5℃で保存して豆乳を得た。
〔比較例29〕(枝豆を用いた豆乳)
(冷凍処理あり、解凍処理なし)
水分含量が70.5質量%の酵素失活処理をしていない莢付き枝豆(原料豆、中札内産)1kgを−20℃の冷凍庫で約9ヶ月冷凍した。その後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、冷凍した莢付き枝豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から莢付き枝豆を取り出し、莢の中から豆を取り出した。
上記枝豆を用いて、実施例28と同様の方法により、豆乳を得た。
られたそれぞれの豆乳について、以下のようにして、固形分含量、γ−アミノ酪酸含量を測定した。その結果を表19に処理条件と併せて示す。
<枝豆及び、豆乳の分析について>
(豆乳中のγ−アミノ酪酸)
豆乳2mlと5%トリクロロ酢酸2mlを、10ml遠心管に入れ、3分間撹拌後、遠心処理(10,000rpmで10分間)し、上清をフィルター(ADVANTEC PTEE 0.2μm)でろ過後、ろ液を得た。自動アミノ酸分析装置(日立L−8800A)を用いて、得られたろ液中のγ−アミノ酪酸含量の測定を行った。
(豆乳の固形分含量)
得られた豆乳3gを、105℃、5時間乾燥して、豆乳中の水の重量を測定した。この測定値から、豆乳総重量中の豆乳固形分の割合を算出した。
(枝豆の水分含量)
上記実施例1〜5と同様の方法により行った。
Figure 0004887301
表19で示すように、実施例28の豆乳は、比較例29の豆乳と比べてγ−アミノ酪酸含量が増加していた。また、5名のパネラーにより風味を評価した結果、実施例28の豆乳は風味が良好であった。
〔実施例29〕(大豆(完熟大豆)を用いた豆乳)
(冷凍・解凍処理)
酵素失活処理をしていない大豆(原料豆、莢なし、品種;リュウホウ)200gを20℃の水に12時間浸漬させ、その後、水切りして、水分含量が60.8質量%の浸漬大豆を得た。この浸漬大豆を−20℃の冷凍庫で24時間冷凍した。その後、25℃の室温に4時間放置して解凍した後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、大豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から大豆を取り出した。
(豆乳の製造方法)
上記大豆440gを800gの水で、豆乳メーカーにより豆乳を抽出し、おからを除去した液を得た。その液を、鍋にて80℃5分間加熱し、放冷した後、5℃で保存して豆乳を得た。
〔比較例30〕(大豆(完熟豆)を用いた豆乳)
(冷凍処理あり、解凍処理なし)
酵素失活処理をしていない大豆(原料豆、莢なし、品種;リュウホウ)200gを20℃の水に12時間浸漬させ、その後、水切りして、水分含量が60.8質量%の浸漬大豆を得た。この浸漬大豆を−20℃の冷凍庫で24時間冷凍した。その後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、大豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から大豆を取り出した。
上記大豆を用いて、実施例29と同様の方法により、豆乳を得た。
〔比較例31〕(大豆(完熟豆)を用いた豆乳)
(冷凍処理なし、解凍処理なし)
酵素失活処理をしていない大豆(原料豆、莢なし、品種;リュウホウ)200gを20℃の水に12時間浸漬させ、その後、水切りして、水分含量が60.8質量%の浸漬大豆を得た。その後、5リットルの沸騰した0.2質量%食塩水で、大豆を5分間茹でた。茹でた後、食塩水から大豆を取り出した。
上記大豆を用いて、実施例29と同様の方法により、豆乳を得た。
得られたそれぞれの豆乳について、以下のようにして、固形分含量、γ−アミノ酪酸含量を測定した。その結果を表20に処理条件と併せて示す。
<大豆及び、豆乳の分析について>
実施例28と同様の方法により分析した。
Figure 0004887301
表20で示すように、実施例29の豆乳は、比較例30、31の豆乳と比べてγ−アミノ酪酸含量が増加していた。また、5名のパネラーにより風味を評価した結果、実施例29の豆乳は風味が良好であった。
〔実施例30〕(莢乾燥物を用いたスナック菓子)
実施例23で得られた莢乾燥物をWonder Crush/Mill(大阪ケミカル社製)で、30秒間粉砕して得られた粉末を馬鈴薯でんぷんに対して0.2質量%添加して、枝豆の風味の高γ−アミノ酪酸含有のスナック菓子を以下の作成方法で製造した。
澱粉質原料として、小麦粉80質量部と、馬鈴薯澱粉20質量部と、砂糖1質量部と、ビーフエキストラクト1.0質量部と、食塩0.75質量部とを配合し、水分含量が30質量%となるように水を添加し、蒸気を吹き込みながら7分間混合し、品温を100℃まで上昇させて、水分含量が35質量%の生地を得た。
次いで、この生地を圧延ロールで厚さ1.5mmのシート状に圧延し、直径2cmの円板状に型抜きした後、乾燥して水分含量12質量%の円板状ペレットを得た。続いて、該ペレットを180℃で35秒間オイルフライして、グルタミン酸ソーダで味付けしてスナック菓子を得た。
本発明の製造方法は、γ−アミノ酪酸含量を富化した豆を使用する食品分野及び飼料分野へ利用することができる。

Claims (13)

  1. 水分含量が20質量%以上であり、かつ、酵素失活処理されていない原料豆又はその莢を冷凍処理し、その後、5〜70℃の温度条件で解凍処理し、前記冷凍処理前に、発芽処理を行う豆又は莢の製造方法。
  2. 前記解凍処理後に、加熱処理を行う請求項1に記載の豆又は莢の製造方法。
  3. 前記酵素失活処理されていない原料豆又はその莢は、豆科のダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、ササゲ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属からなる群より選ばれる1種である請求項1又は2に記載の豆又は莢の製造方法。
  4. 前記豆又は莢中における、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が、0.4以上である請求項1からいずれか記載の豆又は莢の製造方法。
  5. 前記解凍処理後に、乾燥処理を行う請求項1からいずれか記載の豆又は莢の製造方法。
  6. 前記解凍処理後に、乾燥処理及び粉砕処理を行う請求項1から5いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
  7. 水分含量が20質量%以上であり、かつ、酵素失活処理されていない原料豆又はその莢を冷凍処理し、その後、5〜70℃の温度条件で解凍処理し、前記解凍処理後に、乾燥処理を行う豆又は莢の製造方法。
  8. 前記解凍処理後に、加熱処理を行う請求項7に記載の豆又は莢の製造方法。
  9. 前記酵素失活処理されていない原料豆又はその莢は、豆科のダイズ属、エンドウ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、ササゲ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属からなる群より選ばれる1種である請求項7又は8に記載の豆又は莢の製造方法。
  10. 前記豆又は莢中における、グルタミン酸含量に対するγ−アミノ酪酸含量の質量比が、0.4以上である請求項7から9いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
  11. 前記解凍処理後に、さらに粉砕処理を行う請求項7から10いずれか記載の豆又は莢の製造方法。
  12. 請求項1から11いずれか記載の製造方法で得られた豆又は莢を使用した食品又は栄養補助剤。
  13. 請求項1から11いずれか記載の製造方法で得られた豆を使用した豆乳。
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