JP2000204860A - 防火防煙シャッタ― - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災時の避難口となる扉を備える複数の耐火
性シートをつなぎ合わせて構成される防火防煙シャッタ
ーにおいて、この扉部分の耐火性シートからなる重なり
部の厚みが原因の巻きずれの防止にある。 【解決手段】 火災時の避難口３となる扉４を備える複
数の耐火性シート２ａ，２ｂ，…をつなぎ合わせ７ａて
構成される防火防煙シャッターにおいて、この扉４部分
の耐火性シート２ｂからなる重なり部８の厚みに対応さ
せて、防火防煙シャッターに複数個所に厚み調整用シー
ト７ｃを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性シートで構
成される防火防煙シャッターに係り、特に、火災時に使
用する避難用の扉が形成されている防火防煙シャッター
において、シャフトに均一に巻き取られるようにした防
火防煙シャッターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建築物内の通路などには、火災時に炎や
高温ガス、さらに煙などを遮蔽するための防火防煙シャ
ッターが設けられている。従来、この種の防火防煙シャ
ッターとしては、金属製のスラットを用いたものが一般
的に知られているが、近時、ガラスクロスやシリカクロ
スなどの耐火性シートを用いた防火防煙シャッターが採
用されている。

【０００３】耐火性シートを用いた防火防煙シャッター
には、次のような特徴がある。 全体の重量が軽く施工し易いこと。 施工現場を選択するのに自由度が高いこと。 収納状態での専有体積が小さいこと。 大面積なものを容易に得ることができること。 建築物内部のデザインに対する整合性が高いこと。

【０００４】一方、防火防煙シャッターには、逃げ遅れ
た人が通過できるような避難口（非常口）が必要とさ
れ、既に、本願出願人は、避難口における通過の容易性
と防火防煙シャッターに要求される遮蔽機能とを両立さ
せた構造の避難口を備える防火防煙シャッターを提案し
ている。

【０００５】上記する本願出願人が、提案した構造の避
難口を備える防火防煙シャッターを図６〜図８を参照し
ながら説明する。この防火防煙シャッターを構成するシ
ャッターカーテン１は、複数の耐火性シート２ａ，２
ｂ，２ｃ，…と、耐火性シート２ａ，２ｂ間に配して避
難口３となる耐火性シートの扉４とで構成される片開き
構造としてある。これら耐火性シート２ａ，２ｂ，２
ｃ，…と扉４は、非利用時には、シャフト５に上端が固
定されて巻き取られるように構成されている。

【０００６】詳しくは、図示するように、互いに隣接し
合う耐火性シート２ａと扉４及び耐火性シート２ｂ，２
ｃの各側端部６ａは、縫い合わせや接着などのつなぎ合
わせ７ａによりそれぞれ連結されている。また、図７に
示すように扉４と耐火性シート２ｂの両側端部６ａ，６
ｂとは、互いに重ね合わせた重なり部８としてある。

【０００７】さらに、この重なり部８を含めて扉４の側
端部６ｂと耐火性シート２ｂの略半分程を被う耐火シー
トからなる細長状のカバー９が、耐火性シート２ｂに側
端部９ａを縫い合わせや接着などのつなぎ合わせ７ｂに
よって片開き構造に設けられている。図中、１０は、上
記シャッターカーテン１の下端部に設けた細長い座板１
１からなる重りであり、火災時に、シャッターカーテン
１は、この重り１０によってシャフト５に巻き取られた
状態から巻き解かれて下降する。上記扉４の下端部に
は、重り１０と分離された重り１２が取り付けられてお
り、この重り１２は、自在継ぎ手１３によって重り１０
と結合されている。そして、詳しい説明は後記するが、
扉４の重り１２は、耐火性の面ファスナーやロック機構
を有する固定手段によって重り１０と係合されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成の
片開き構造の扉４を備える防火防煙シャッターは、火災
時に、上記ロック機構を解除させ、扉４部分を前方に押
すことにより扉４は、自在継ぎ手１３を支点として重り
１２を動かすことによって、扉４の下端側が大きく開放
され、図６に示すように片開き構造の避難口３が形成さ
れる。

【０００９】このため、片開き構造の避難口３には、次
のような効果がある。 避難者は、避難口３からスムースに通過ができるこ
と。 避難口３の非利用時において、この避難口３部分
は、上記するように扉４と耐火性シート２ｂの両側端部
６ａ，６ｂとが、互いに重ね合わされた重なり部８を備
え、且つカバー９が、この重なり部８を被う構造とな
り、その遮蔽性の低下が少ないこと。 避難口３は、重り１２の作用により利用後に自動的
に閉鎖されること。 簡単な構造でシャッターカーテン１全体がシャフト
５に巻き取られて上方に収納できること。

【００１０】しかしながら、この片開き構造の避難口３
を備える防火防煙シャッターでは、この避難口３を構成
する重なり部８は、上記するように扉４の側端部６ｂと
耐火性シート２ｂの側端部６ａ及びカバー９が重ね合っ
た計３枚の厚みとなる。

【００１１】このため、シャフト５にシャッターカーテ
ン１が巻き取られる場合、この重なり部８が膨らみ、そ
の径が次第に太くなり厚みが増して巻きずれが生じ、均
一な巻き取られが困難になる。さらに、この重なり部８
部分に力が集中し、集中する部分の耐火性シートが伸び
たり、破けたり不都合も発生する。なお、重なり部８
は、扉４の側端部６ｂと耐火性シート２ｂの側端部６ａ
を重ね合わせずに、扉４とカバー９とを重ね合わせ計２
枚の重なり部に構成した場合も同様な不都合が発生す
る。この問題は、片開き以外の構造の扉であっても、耐
火性シートの重なり部分がある場合に発生する。

【００１２】本発明は、上記する課題を解決するため、
火災時の避難口となる扉を備える防火防煙シャッターに
おいて、この扉部分の重なり部が原因となる巻きずれを
防止することにより、シャフトに均一に巻き取られるよ
うにした防火防煙シャッターを提供することを目的とす
るものである。

【００１３】本発明に係る第１の発明は、耐火性シート
からなる防火防煙シャッターに避難口用扉が形成され、
前記扉は、少なくとも２枚以上の耐火性シートの重なり
部を有し、前記重なり部における耐火性シートの厚みに
対応させて防火防煙シャッターの複数個所に厚み調整用
シートが取り付けられていることを特徴としている。

【００１４】第２の発明は、厚み調整用シートが取り付
けられている部分の厚みは、避難口用扉の耐火性シート
における重なり部の厚みと等しく、或いは厚いことを特
徴とし、第３の発明は、防火防煙シャッターは、複数の
耐火性シートをつなぎ合わせて構成され、厚み調整用シ
ートは、前記つなぎ合わせ部に取り付けられていること
を特徴としている。

【００１５】

【作用】本発明に係る第１の発明によれば、防火防煙シ
ャッターには、扉が形成される耐火性シートの重なり部
と、これに対応させて厚み調整用シートによる複数の厚
みとが設けられるため、耐火性シートの重なり部に集中
する力が分散され、防火防煙シャッターのシャフトへの
均一な巻き取りが図れる。また、同様に集中する力が分
散されるため、厚み部分の耐火性シートが伸びたり、破
けたりする不都合の解消が図れる。

【００１６】第２の発明によれば、厚み調整用シートが
取り付けられた部分に力が分散されるので、避難口用扉
の部分と一緒に巻き取られるカバーは、皺や捩れなどが
生ずることなく正しい姿勢を保ちながら均一なシャフト
への巻き取りが図れる。さらに、第３の発明によれば、
厚み調整用シートは、耐火性シートのつなぎ合わせ部を
目印として簡便な取り付けが図れる。また、耐火性シー
トのつなぎ合わせ部を補強した構成となる。

【００１７】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照し
て説明する。図１は、本発明に係る避難口を備えた防火
防煙シャッターを示す概略正面図、図２は、同概略平面
図、図３は、巻き取り状態を示す概略説明図、図４は、
シャッターカーテンの開閉状態を示す説明用断面図、図
５は、足踏み板の取り付け状態を示す説明図である。

【００１８】本発明に係る防火防煙シャッターの基本的
な構成は、上述する従来の防火防煙シャッターと同じで
あるため、同じ構成は、同一符号を付して説明する。

【００１９】本発明の防火防煙シャッターは、上記片開
き構造からなる避難口３用の扉４を備えるシャッターカ
ーテン１において、互いに隣接し合う耐火性シート２
ａ，２ｂ，２ｃ，…のつなぎ合わせ部７ａに厚み調整用
のシート７ｃを取り付けた構成を要旨としている。

【００２０】即ち、各耐火性シート２ａ，２ｂ，２ｃ，
…のつなぎ合わせ部７ａを目印として、このつなぎ合わ
せ部７ａに沿わせて所定幅を有する厚み調整用のシート
７ｃを縫い合わせや接着などの公知手段により取り付け
られている。この取り付け部分の厚みは、上記する避難
口３の扉４部分における耐火性シートの重なり部８の厚
みと等しく、或いは厚くすることが好ましい。

【００２１】厚み調整用のシート７ｃの材質は、耐火性
シート２ａ，２ｂ，…、扉４及びカバー９と同様にシリ
カクロスやガラスクロス、ステンレス鋼線で編んだクロ
ス、その他耐火性材料の繊維でなるクロスなどから選ば
れたものを用いることが好ましい。

【００２２】カバー９の形状は、図示省略するが、上記
形状の他に曲線状のテーパー形状や段階的に扉４との重
なり面積が変化する形状、これらを組み合わせた形状な
ど多様な形状を採用することができる。また、カバー９
と扉４との重なり面積の変化は、単純な増加或いは減少
する形状に必ずしも限定されない。換言すれば、下端部
においては、相対的にカバー９と扉４との重なり面積が
小さく、上端部においては、相対的にカバー９と扉４と
の重なり面積が大きい形状であれば、カバー９が目的と
する効果を得ることができる。

【００２３】上記構成の防火防煙シャッターにおいて、
次に説明するロック機構１４を解除させ、扉４部分を前
方に押すことにより扉４は、自在継ぎ手１３を支点とし
て重り１２を動かすことによって、扉４の下端側が大き
く開放され、図１に示すように片開き構造の避難口３が
形成される。

【００２４】即ち、このロック機構１４は、踏み板１５
を踏むことによって解除され、避難口３を開放した後、
扉４から手を放すと、重り１２の自重によって、自在継
ぎ手１３を支点として元の状態に戻り、重り１０と重り
１２との結合状態が回復し、扉４はロック機構１４によ
り閉鎖状態にロックされ、防火防煙シャッターの遮蔽性
が維持される。

【００２５】上記ロック機構１４の構成を図４により説
明する。図４は、シャッターカーテンの開閉状態を示す
説明用断面図であり、図４（ａ）は、扉の閉鎖時の状態
を示し、図４（ｂ）は、扉の開放時の状態を示してい
る。扉４の下端部には、上記重り１２と共にシャッター
カーテン１側に係合部材２０が取り付けられている。こ
の係合部材２０は、シャッターカーテン１の外面側（避
難側）の固着板２３と、内面側（遮蔽側）へと移動させ
られる係合板２２とで形成される断面Ｌ字状の係合金具
２１及び固着板２３の反対側に付設させる磁石板２５と
により形成されている。この係合板２２には、係合孔２
４が開設されている。

【００２６】この重り１２は、上記するように重り１０
と係合させている。即ち、重り１０は、シャッターカー
テン１の下降時に床面Ｙに立設される座板１１と係止部
材４０などにより構成されている。そして、重り１０
は、シャッターカーテン１の下端部の長手方向全体に設
けられ、扉４において重り１２と係合し合うように構成
されている。この座板１１は、断面長方形状の金属製フ
ラットバーなどで形成され、その一側面には、シャッタ
ーカーテン１の下端部に付設された磁性板２５と吸着し
合う磁性板３１が取り付けられているが、この磁性板３
１は、必ずしも必要なものではないが、あれば好まし
い。

【００２７】一方、座板１１の他側面には、上記係合部
材２０と係合し合って重り１０と重り１２のロック状態
を保つ係合部材４０が配設されている。係合部材４０
は、座板１１の上方部に取り付けられ、且つ上下方向に
挿通孔４１ａが開設されたガイド筒４１と、挿通孔４１
ａに対して係止片４３が上下動可能に挿通される係止金
具４２と、この係止金具４２と床面Ｙとの間に介在され
て係止金具４２を上方に付勢するスプリング４４とによ
り形成されている。図中、４５は、ガイド筒４１のガイ
ドバー板である。

【００２８】この係止金具４２には、踏み板１５が連動
させてあり、詳しくは、踏み板１５の上下動に伴って係
止金具４２が上下動するように、踏み板１５は、装着用
板５１に蝶番５３を介して折り曲げ自在に足載せ板５２
を結合させてある。図５は、この足載せ板５２の取り付
け状態を示す説明図であり、図５（ａ）は、閉鎖時の取
り付け状態を示し、図５（ｂ）は、開放時の取り付け状
態を示している。

【００２９】閉鎖時の足踏み板１５は、図５（ａ）に示
すように、装着用板５１が座板１１と係止金具４２との
間に挿嵌され、足踏み板１５の開孔５２ａに座板１１よ
り突出する突起３２が掛け止められて立設状態となって
いる。即ち、シャッターカーテン１が、シャフト５に巻
き取られている状態、または、シャフト５から下降して
くる途中の状態においては、踏み板１５は、座板１１に
掛け止めされている。

【００３０】また、開放時には、足載せ板５２は、床面
Ｙへと人が足載せ板５２を足踏みできる状態となる。こ
の際、開孔５２ａと突起部３２との掛け止めは外され
る。この状態での係止金具４２は、スプリング４４によ
り上方へと付勢され押し上げられている。

【００３１】シャッターカーテン１が下降した状態で
は、シャッターカーテン１の下端部の磁性板２５と座板
１１の磁性板３１とが吸着されている。この状態では、
シャッターカーテン１の係合金具２１における係合板２
２は、座板１１を越えて係止金具４２の係止片４３の先
端部に摺接され、係合板２２の係合孔２４に係止片４３
の先端部が没入し、係合金具２１と係止金具４２とはロ
ック状態となっている。

【００３２】このロック状態を解除するには、足踏み板
１５を倒し、足踏み板１５を踏み込むと、加わる重圧に
より足踏み板１５が係止金具４２を押し下げ、スプリン
グ４４は圧縮され、係止片４３がガイド筒４１の挿通孔
４１ａの内を下降する。このため、係止片４３の先端部
は、係合孔２４より外れ、重り１２は重り１０との係合
状態が解除され、扉４は、開放可能となり、図１に示す
ような片開き構造の避難口３が形成される。

【００３３】本発明に用いるカバー９は、上記するよう
に上端に向かう程漸次その幅が広がる細長状のテーパー
形状に形成されている。このため、扉４の閉鎖時におい
て、カバー９と扉４が密に重なり合って、扉４が耐火性
シート２ｂとカバー９に挟み込まれるような状態を維持
でき、火災時に風圧などによって、バタッキやまくれあ
がり易い扉４を押さえ込み、扉４の閉鎖状態における防
火防煙シャッターの遮蔽性の低下を抑制している。この
カバー９は、下端側が幅狭状に形成されているので、扉
４を押して開放して避難口３として人が避難する際、扉
４が開け易く、しかも人の通過の妨げにならないもので
ある。

【００３４】さらに、扉４が開放されて避難口３として
使用した後、上記するように重り１２の作用により、扉
４が自動的に閉鎖する際、このカバー９は、扉４の閉ま
ろうとする動きの妨げにもならない。また、このカバー
９は、下端側程幅狭状に形成されているので、重り１２
の回転運動が妨げられず、自動的な扉４の閉鎖運動は、
スムースに行われる。

【００３５】図示省略してあるが、扉４とカバー９との
密着性を高めるために、磁石や面ファスナーによる固定
手段を併設してもよい。また、扉４は、ロック機構１４
として、踏み板１５を踏む込むことによって、重り１２
が座板１１から解かれる構成としてあるが、扉４の固定
手段として、磁石や面ファスナーを用いることができ
る。特に、金属製の面ファスナーを用いる構成は、簡単
な構成でありながら、信頼性の高い扉の固定手段とな
る。

【００３６】

【発明の効果】本発明によれば、防火防煙シャッターに
は、扉が形成される耐火性シートの重なり部と、これに
対応させて厚み調整用シートによる複数の厚みとが設け
られているため、耐火性シートの重なり部に集中する力
が分散され、防火防煙シャッターは、巻きずれがなく、
シャフトに均一に巻き取られる。また、この分散作用に
より厚み部分の耐火性シートが伸びたり、破けたりする
不都合が解消される。

【００３７】さらに、上記分散作用により、避難口用扉
の部分と一緒に巻き取られるカバーは、皺や捩れなどが
生ずることなく正しい姿勢を保ちながら均一にシャフト
に巻き取られる。しかも、厚み調整用シートは、耐火性
シートのつなぎ合わせ部を目印として取り付けることが
できる簡便さがあり、厚み調整用シートは、簡易な構造
であり、経済的にも安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る避難口を備えた防火防煙シャッタ
ーを示す概略正面図。

【図２】同概略平面図。

【図３】同巻き取り状態を示す概略説明図。

【図４】シャッターカーテンの開閉状態を示す説明用断
面図。

【図５】足踏み板の取り付け状態を示す説明図。

【図６】従来例の防火防煙シャッターを示す概略正面
図。

【図７】同重なり部を示す拡大説明用断面図。

【図８】同巻き取り状態を示す概略説明図。

【符号の説明】

１ シャッターカーテン ２ａ，２ｂ 耐火性シート ３ 避難口 ４ 扉 ７ａ つなぎ合わせ ７ｃ 厚み調整用シート ８ 重なり部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐火性シートからなる防火防煙シャッタ
   ーに避難口用扉が形成され、前記扉は、少なくとも２枚
   以上の耐火性シートの重なり部を有し、前記重なり部に
   おける耐火性シートの厚みに対応させて防火防煙シャッ
   ターの複数個所に厚み調整用シートが取り付けられてい
   ることを特徴とする防火防煙シャッター。
2. 【請求項２】 厚み調整用シートが取り付けられている
   部分の厚みは、避難口用扉の耐火性シートにおける重な
   り部の厚みと等しく、或いは厚いことを特徴とする請求
   項１記載の防火防煙シャッター。
3. 【請求項３】 防火防煙シャッターは、複数の耐火性シ
   ートをつなぎ合わせて構成され、厚み調整用シートは、
   前記つなぎ合わせ部に取り付けられていることを特徴と
   する請求項１又は２記載の防火防煙シャッター。