JP3714792B2 - 防火防煙シャッター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物内において設置され容易に避難口を形成することが可能な防火防煙シャッターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、火災発生時など緊急時に使用される防火防煙シャッターとして、金属製のスラットを使用したものが知られているが、近年、耐火性シートをシャッターカーテンに使用したものが提案されている。特に軽量で遮熱性を有し装置の小型化を図るのに好適なステンレス糸で縫製され耐熱ガラスクロスなどを主体としたシャッターカーテンが多用されてきている。
【0003】
このようなシャッターカーテンは、通常は天井側に設けられた巻取装置に収納されていて、使用時には巻取装置より床面側へと引き出されるのであるが、煙や火炎などを遮断するために撓みなく張設されなければならないと共に、速やかに避難口を開放しシャッターカーテンの内側で逃げ遅れた人を脱出させた後、再び避難口を強固に閉鎖し煙や火炎などを遮断しなければならない。
【0004】
このため、例えばシャッターカーテンを上下方向に分割して帯状部を形成し、この帯状部の結合部分に磁石を取り付けてロックを行って面一なカーテンとし、また、磁石によるロックを解くことにより面一として隣接している帯状部の間に避難口を形成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記する従来の磁着方法では、比較的迅速に避難口を形成することはできるが、火災時の熱に磁石が耐えきれず強固なロック機能を果たせなくなる。
【0006】
また、磁石は避難を容易に行える程度の磁力では、火災時における火炎の熱や風圧などにより簡単に避難口が開いてしまい、2次災害を引き起こしかねない恐れもある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、くぐり抜け時には避難口を容易に形成することができると共に、くぐり抜け時以外のときには熱風などにより容易に避難口が開放されることがなく、耐圧性、耐熱性に優れた防火防煙シャッターを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、上記目的を達成するために、シャッターカーテンに設けられた扉と、前記扉の下端部に固定された第1の重りと、前記シャッターカーテンの下端部に固定された第2の重りとを有し、前記第1の重りは、第2の重りに係合されており、前記第1の重り側には、係合孔が設けられた断面L字状の係合金具が取り付けられ、前記第2の重り側には、前記扉が閉じた状態で前記係合金具と係合する係止片と、前記係止片と連動する踏み板と、前記係止片を上方に付勢するスプリングとが取り付けられ、前記踏み板への重圧により、前記係合金具と前記係止片との係合状態が解除されて扉が開放可能となると共に、前記扉が閉じる際に、前記第1の重りの作用により前記係合金具と前記係止片が再び係合状態となるロック機構を備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、前記係止片の先端が、前記係合金具に対して傾斜する傾斜面を備えたことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、前記第1の重りの一端が、継手によって前記第2の重りに結合されており、前記第1の重りの他端側に前記ロック機構を備えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明においては、緊急時にシャッターカーテンが下降してくるときには、第1の重りと第2の重りが係合状態にある。係合状態にある第1の重りと第2の重りは、緊急時にシャッターカーテンを下降させるための重りとして機能すると共に、シャッターカーテンが下降した状態において火炎や熱風によってめくれ上がらないようにするための重しの機能を有する。
【0012】
この係合状態は、第2の重り側に設けられた係止片が第1の重り側に設けられた係合孔に没入することで維持される。この状態では、扉は閉鎖状態でロックされ、扉はシャッターカーテンの一部となっている。そして、シャッターカーテンの火炎や熱風を遮断する機能が維持されている。
扉を開放する場合には、扉を利用する人が踏み板を踏む。すると、踏み板の動きに連動して動く係止片が係合孔から外れ、第1の重りと第2の重りの係合状態は解除される。こうして扉を開放することができる。即ち、シャッターカーテンの一部をめくって向こう側に通り抜けることができる。
扉の利用が終了したら、第1の重りの作用により、第2の重り側に設けられた係止片が第1の重り側に設けられた係合孔に没入し、扉をロックした状態が自動的に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る防火防煙シャッターの一例を示す説明用正面図であり。図2及び図3は、図1における具体的なロック機構の概略構造と動作を示す説明用断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、建物内の天井X側には、シャッターカーテン1の巻取装置6が設置されており、緊急時には、この巻取装置6より床面Y側へとシャッターカーテン1が引き出される。このシャッターカーテン1の下端部には、第1の重り2(図2、図3参照)が固定されている。この第1の重り2が固定されているシャッターカーテン1の一部が扉1cを構成ている。第1の重り2には、シャッターカーテン1の下降時に床面Y上に立設される座板部3を含めて形成される第2の重り4(図2、図3参照)が係合されている。第1の重り2と第2の重り4との間には、シャッターカーテン1のロック機構10が介在されている。この係合状態においては、扉1cはその下端部で座板部3に固定された状態となっている。
【0015】
巻取装置6から床面Yへのシャッターカーテン1の引き出しは、係合した第1の重りと第2の重りの重さによって自動的に行われる。また、図1(b)に示すヒンジなどの継手11によって、第1の重り2が第1の重り4(図2、図3参照)に結合されている。換言すると、第1の重り2が座板部3に結合されている。ロック機構10が解除になった状態では、上記する継手11を支点として、扉1cを開放させることができる。なお、継手11は、その部分を支点として第1の重り2を第2の重り4に対して動かすことができる構造のものを採用することができる。
【0016】
シャッターカーテン1として利用する耐火性シートには、各種のシート材が利用できる。一例として、その基材は1000℃程度までの高温に耐え、かつ比較的安価であるシリカクロスを利用したものを挙げることができ、損傷に対する耐久性を高めるためにシートに樹脂材料を含浸させてもよい。
【0017】
図示のように、上記シャッターカーテン1は、上下方向に分割溝が切り込まれた複数枚の耐火性シート1a,1a,1cからなり、この内、1cは扉として機能する耐火性シートの部分である。隣接する1a,1aは、ラップ部1bにより扉1cと互いに重ね合わされる。このラップ部1bは、巻取装置6への収納時と緊急時には、互いの耐火性シート1a,1aの部分が重ね合わされて面一なシャッターカーテン1を構成している。
【0018】
シャッターカーテン1の内側で逃げ遅れた人がシャッターカーテン1を通過するには、図1(a)の状態から図1(b)に示すように、扉1cを押し開け、避難口16を開放する。この避難口16を開放するには、シャッターカーテン1の内側で逃げ遅れた人がロック機構10を操作して、ロック機構10のロックを解き、さらに扉1cを押す。すると、継手11を支点として第1の重り2が動き、扉1cが開き、図1(b)に示す状態が得られる。
【0019】
図1(b)に示す避難口16を開放した後は、第1の重り2は、その自重によって、継手11を支点として元の位置に戻って来る。そして後述するように再び第1の重りと第2の重りとの係合状態が回復し、扉1cは、ロック機構10により座板部3に固定化される。この状態では、互いの耐火性シート1a,1aと扉1cとがラップ部1bにおいて重ね合わされて面一なシャッターカーテン1が得られる。
【0020】
次に、図2と図3により具体的なロック機構の概略構造と動作を説明する。図2は、図1に示すシャッターカーテンが収納されている天井部分から降下してくる途中の状態を示す説明用断面図、図3は、同シャッターカーテンが降下した状態を示す説明用断面図であり、図3(a)は、防火防煙シャッターとしている状態を示し、図3(b)は、扉を開放させた状態を示す。
まず、シャッターカーテン1の扉1cの下端部には、第1の重り2が取り付けられている。そして、この重り2と共に、扉1cを有するシャッターカーテン1の下端部には、カーテン側用の係合部材20が取り付けられている。この係合部材20は、シャッターカーテン1の外面側(避難側)に取り付けられる固着板23とシャッターカーテン1の内面側(遮蔽側)へと移動させられる係合板22とより形成される断面L字状の係合金具21、及び固着板23の反対側に付設される磁性板25とにより形成されている。また、係合金具21の係合板22には、係合孔24が開設されている。
【0021】
第1の重り2には、第2の重り4が係合されている。この第2の重り4は、下降時に床面Yに立設される座板部3と係止部材40などにより構成されている。第2の重り4は、シャッターカーテン1(図1参照)の下端部の長手方向全体に渡って配置され、上記扉1cにおいて、第1の重り2と係合する構造となっている。座板部3は、断面長方形状の金属製フラットバーなどで形成され、その一面側には、シャッターカーテン1の下端部に付設された磁性板25と接合される磁性板31が取り付けられているが、この磁性板31は、必ずしも必要なものではないが、あれば好ましい。
【0022】
座板部3の他面側には、上記するように第2の重り4を構成する係止部材40が配備されている。この係止部材40は、座板部3の上方部に取り付けられ、かつ上下方向に挿通孔41aが開設されたガイド筒41と、ガイド筒41の挿通孔41aに対して係止片43が上下動可能に挿通される係止金具42と、係止金具42と床面Yとの間に介在され係止金具42を上方に付勢するスプリング44とにより形成されている。
【0023】
係止金具42には、踏み板5が連動関係となるように取り付けられている。具体的には、踏み板5の上下動に伴って係止金具42が上下動するように、この踏み板5は、装着用板51に蝶番53を介して折り曲げ自在に足載せ板52を結合させた構成となっている。図5は、足踏み板の取付け状態を示す説明図であり、図5(a)は、通常時の取付け状態を示し、図5(b)は、使用時の取付け状態を示す。
通常時の足載せ板52は、図5(a)に示すように、装着用板51が座板部3と係止金具42との間に挿嵌され、足載せ板52に開設された開孔52aに座板部3より突出する突起部32が掛り止められて立設された状態とされている。即ち、シャッターカーテン1が、図1に示すような巻取装置6に巻き取られている状態、または巻取装置6から下降してくる途中の状態においては、踏み板5は、図5(a)にその正面から見た状態でもって、さらに図2にその断面から見た状態でもって、座板部3に掛り止めされている。
【0024】
使用時には足載せ板52は、床面Yへと倒され、人が足載せ板52を足踏みできる状態とされる。この際、開孔52aと突起部32との掛り止めは外される。また、この状態での係止金具42は、スプリング44により上方へ付勢され押し上げられている(図3(a)参照)。
【0025】
シャッターカーテン1が収納されている巻取装置6(図1参照)から下降した状態では、シャッターカーテン1の下端部の磁性板25と座板部3の磁性板31とが磁着されている。この状態では、シャッターカーテン1の下端部の係合金具21における係合板22は、座板部3を越えて係止金具42の係止片43の先端部に摺接され、係合板22に開設されている係合孔24に係止片43の先端部が没入し、係合金具21と係止金具42とはロック状態となっている。
【0026】
したがって、シャッターカーテン1の裏面側において発生する火炎や熱風などは、シャッターカーテン1に確実に遮られてその表面側へ至ることがなく、安全性を確保することができる。
【0027】
一方、シャッターカーテン1の裏面側に留まり逃げ遅れた人は、図3(b)のように、踏み板5の足載せ板52を倒し足載せ板52を踏むと、加わる重圧により踏み板5が係止金具42を押し下げる。この際、スプリング44は圧縮され係止片43もガイド筒41の挿通孔41a内を下降する。
【0028】
このため、係止片43の先端部は、係合板22の係合孔24より外れ、第1の重り2と第2の重り4との係合状態は解除される。そして、係合金具21が取り付けられているシャッターカーテン1(図1参照)の扉1cは、開放可能となる。さらに扉1cを開放することで、避難口16が形成される。
【0029】
踏み板5に対する加重がなくなると、踏み板5の動作と連動関係にある係止金具42にも押し下げ力が加わらなくなり、スプリング44の付勢力により係止金具42は上昇され、これに伴って係止片43も上昇しガイド筒41の挿通孔41aよりその先端部が突出した状態となる。他方、人が通過した後に扉1cは、第1の重り2の作用により、図3(a)に示す位置に戻ってくる。このとき、係合板22の先端部が係止片43の先端に接触し、係止片43は僅かに下降する。そして、係止片43の上方に係合孔24が位置したときにスプリング44の作用により、係止片43が上昇し、再び係合孔24に係合片43が没入した状態となる。こうして、再びカーテン側の係合金具21と床面側の係止金具42とがロック状態となる。
なお、第1の重り2の一端が第2の重り4に継手11を介して結合され、他端において図2、図3に示すような係合機構によって係合した構造であると、上記の係合状態の回復が確実に行える構造が得られる。これは、係合孔24と係合片43との位置関係が自動的に決まる構造とできるからである。このことは、シャッターカーテンの機能を維持するために非常に重要なものとなる。
【0030】
図中、45はガイド筒41の上方に延設されるカバー板であり、シャッターカーテン1の下端部に設ける第1の重り2は、例えば長尺の金属板などを袋縫いして形成するとよい。
【0031】
以上の構成において、緊急時には、天井X側に設けられた巻取装置6から床面Y側へと面一な重ね合わせ箇所を有するシャッターカーテン1が第1の重り2と第2の重り4の作用により、自動的に引き出される。この状態においては、シャッターカーテン1の下端部は、床面Y上に立設された座板部3の一面側に接合され、扉1cは閉鎖した状態となっている。座板部3の他面側に配備されている踏み板5が足踏みされず上昇状態にあるときには、シャッターカーテン1の扉1cに対する掛け止め状態が維持され、踏み板5が足踏みされて下降状態にあるときには、シャッターカーテン1の扉1cに対する掛け止め状態が開放され、避難口16を形成することができる。また、避難口16の利用が終了したら、第1の重り2の作用により、係止部材2は元の位置に戻り、扉1cの閉鎖状態が自動的に回復する。
【0032】
このため、くぐり抜け時には、面一なシャッターカーテン1においても避難口16を容易に形成することができると共に、くぐり抜け時以外のときには、熱風などにより容易にシャッターカーテン1の避難口16が開放されないので、安全性が確保できると共に、耐圧性、耐熱性などに優れた防火防煙シャッターとなる。
【0033】
図6に示したものは防火防煙シャッターの他例を示し、シャッターカーテン1に所定の間隔を隔てて上下方向に2つの切り込み溝を入れて複数の耐火性シート1a,1c,…とし、1cの両端部を面一に重ね合わすラップ部1bとしたものであり、シート1cが扉となり、避難口16を構成させる。なお、ロック機構10などの構成は、上記した実施例と同様であるので、その説明は省略をする。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、くぐり抜け時には、面一なシャッターカーテンにおいても避難口を容易に構成できると共に、くぐり抜け時以外のときには、熱風などにより容易にシャッターカーテンの避難口が開放されることがなく、安全性を確保でき、軽量・小型で耐圧性、耐熱性などに優れた防火防煙シャッターを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防火防煙シャッターの一例を示す説明用正面図。
【図2】図1に示すシャッターカーテンが収納されている天井部分から降下してくる途中の状態を示す説明用断面図。
【図3】同シャッターカーテンが降下した状態を示す説明用断面図。
【図4】足踏み板を示す正面図。
【図5】足踏み板の取付け状態を示す説明図。
【図6】本発明に係る防火防煙シャッターの他例を示す説明用正面図。
【符号の説明】
1 シャッターカーテン
3 座板部
5 踏み板
6 巻取装置
10 ロック機構
16 避難口
X 天井
Y 床面
Claims (3)
- シャッターカーテンに設けられた扉と、前記扉の下端部に固定された第1の重りと、前記シャッターカーテンの下端部に固定された第2の重りとを有し、前記第1の重りは、第2の重りに係合されており、
前記第1の重り側には、係合孔が設けられた断面L字状の係合金具が取り付けられ、
前記第2の重り側には、前記扉が閉じた状態で前記係合金具と係合する係止片と、前記係止片と連動する踏み板と、前記係止片を上方に付勢するスプリングとが取り付けられ、
前記踏み板への重圧により、前記係合金具と前記係止片との係合状態が解除されて扉が開放可能となると共に、前記扉が閉じる際に、前記第1の重りの作用により前記係合金具と前記係止片が再び係合状態となるロック機構を備えたことを特徴とする防火防煙シャッター。 - 前記係止片の先端が、前記係合金具に対して傾斜する傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1記載の防火防煙シャッター。
- 前記第1の重りの一端が、継手によって前記第2の重りに結合されており、前記第1の重りの他端側に前記ロック機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の防火防煙シャッター。
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- 1998-03-31 JP JP10412198A patent/JP3714792B2/ja not_active Expired - Fee Related
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