JP2000198461A - トランスミッション - Google Patents

トランスミッション

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JP2000198461A
JP2000198461A JP11003218A JP321899A JP2000198461A JP 2000198461 A JP2000198461 A JP 2000198461A JP 11003218 A JP11003218 A JP 11003218A JP 321899 A JP321899 A JP 321899A JP 2000198461 A JP2000198461 A JP 2000198461A
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transmission
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泰男 瀬野
Hiroshi Kitagawara
広志 北川原
Koji Kiyooka
晃司 清岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機体の走行速度を変更する走行用の無段変速
機構と、機体の進行方向を変更する旋回用の無段変速機
構を具備し、それぞれの無段変速機構と差動装置との間
に副変速装置を介して車軸に動力を伝えるトランスミッ
ションにおいて、副変速装置が走行系のみであったため
に、変速段が異なると旋回半径も異なり、旋回フィーリ
ングが悪かった。 【解決手段】 走行用の無段変速機構25と旋回用の無
段変速機構28のそれぞれの出力側に副変速機構を介装
して差動機構33に動力を伝え、旋回用副変速機構60
の変速段を走行用副変速機構32の変速段と同数とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機体の走行速度を
変更する走行用の無段変速機構と、機体の進行方向を変
更する旋回用の無段変速機構とを具備し、それぞれの無
段変速機構より差動機構を介して車軸に動力を伝えるト
ランスミッションにおいて、旋回フィーリングを向上す
る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、クローラ式走行装置の車速を
変速する走行用無段変速機構に加えて、操向を行う為の
旋回用無段変速機構を具備したトランスミッションが公
知となっている。例えば、特開平10−54452号の
技術である。このクローラ式走行装置の車速を変速して
駆動する走行駆動手段と、操向を行う為の旋回駆動手段
を具備し、走行駆動手段からの動力をトランスミッショ
ン内の副変速ギヤ機構に伝達して変速後の動力を左右車
軸に伝達して機体を前後進させていた。また、旋回駆動
手段からの動力をトランスミッション内に伝達して左右
車軸に動力を伝達し、左右の車軸に相対回転差を生ぜし
めて機体を旋回させていた。このトランスミッションに
おいて、走行用無段変速機構には副変速機構が設けられ
ているが、旋回用無段変速機構には副変速機構が設けら
れていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記旋回用無段変速機
構に副変速機構が設けられていないと、走行速度が速い
場合にも、旋回用無段変速機構からは低速時と同じ駆動
回転が差動機構に伝えられるので、同じハンドルの回転
操作でも旋回半径が異なってしまい、フィーリングが悪
くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。請求項1においては、機体の走行
速度を変更する走行用の無段変速機構と、機体の進行方
向を変更する旋回用の無段変速機構を具備し、それぞれ
の無段変速機構より差動機構を介して車軸に動力を伝え
るトランスミッションにおいて、前記走行用の無段変速
機構と旋回用の無段変速機構のそれぞれの出力側に副変
速機構を介装して差動機構に動力を伝えるべく構成した
ものである。請求項2においては、前記旋回用副変速機
構の変速段を走行用副変速機構の変速段と同数としたも
のである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。図1は本発明のトランスミッションを
搭載したコンバインの右側面図、図2は同じく左側面
図、図3は本発明のトランスミッションの左側面図、図
4は同じく右側面図、図5は同じく後面図、図6は同じ
く平面図、図7はトランスミッションの左側面断面図、
図8はトランスミッションのスケルトン図、図9は走行
用の第一無段変速機構を含むトランスミッションの断面
展開図、図10は旋回用の第二無段変速機構を含むトラ
ンスミッションの断面展開図、図11はシフター部分の
平面断面図、同じく側面断面図である。
【0006】まず、図1及び図2より本発明のトランス
ミッションを装備したコンバインの全体構成について説
明する。トラックフレーム1には左右のクローラ式走行
装置2L・2Rを装設している。3は前記トラックフレ
ーム1に架設する機台、4はフイードチェン5を左側に
張架し扱胴6を内装している脱穀部、8は刈刃9及び穀
稈搬送機構10などを備える刈取部、11は刈取フレー
ム12を介して刈取部8を昇降させる油圧シリンダであ
る。
【0007】13は排藁チェンの終端を臨ませる排藁処
理部、15は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒16を介して
搬入する穀物タンク、17は前記穀物タンク15の穀粒
を機外に搬出する排出オーガ、18は丸型の操向ハンド
ル19を支架するハンドルポスト、68は主変速レバ
ー、20は運転席であり、また、21は、機体左右方向
に沿う出力軸を有するエンジンであり、コンバインの前
方より連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成して
いる。
【0008】また、このコンバインには走行系の第一無
段変速機構及び旋回系の第二無段変速機構を具備してお
り、それぞれのユニットはエンジン21より駆動力を得
るよう構成されている。そして、エンジン21により駆
動力を得た第一無段変速機構により、正逆の回転方向と
回転数増減の制御が行われたのち、駆動力が走行系伝動
機構Rを介して差動機構33に伝達される。また、エン
ジン21により駆動力を得た第二無段変速機構により正
逆の回転方向と回転数増減の制御が行われたのち、駆動
力が正逆転付与機構Sを介して差動機構33に伝達され
る。このような構成で、差動機構33に連動連結された
左右のクローラ式走行装置2L・2Rの駆動スプロケッ
ト34L・34Rに駆動力を常時伝達し、前後直進走行
及び、左右駆動スプロケット34L・34Rに対する回
転数の相対的な増減制御により旋回を可能としたもので
あり、以下において、この走行及び旋回の機構について
説明する。
【0009】次にトランスミッションの構成について図
3乃至図10より説明する。本実施例においては無段変
速機構として静油圧式無段変速装置(以下HST装置)
Hを採用しており、前記クローラ式走行装置2L・2R
を駆動するトランスミッションMは前記ミッションケー
ス22内の走行系伝動機構R、逆転付与機構S及び遊星
歯車機構、及び該ミッションケース22に載置されたH
ST装置Hより構成される。HST装置Hは、1組の走
行油圧ポンプ23及び走行油圧モータ24からなる、主
変速機構である走行用の第一無段変速機構25と、1組
の旋回油圧ポンプ26及び旋回油圧モータ27からなる
旋回機構である旋回用の第二無段変速機構28とからな
る。また、ミッションケース22は左側(図5及び図6
において左側)のケース部22L及び右側のケース部2
2Rより構成され、ケース部22L・22Rがミッショ
ンケース22の左右方向で中央付近において接合されて
いる。
【0010】また、図3、図6に示すように前記走行用
の第一無段変速機構25は、機体の前後方向における後
方(図3における右側)に横置きしたケース内に走行油
圧ポンプ23及び走行油圧モータ24が並設されてお
り、該走行油圧ポンプ23の入力軸23a及び、該走行
油圧モータ24の出力軸24aの各々が機体左右方向に
軸支され、互いに前後方向に並列されている。
【0011】また、前記旋回用の第二無段変速機構28
においては、機体の前後方向における前方(図3におけ
る左側)から旋回油圧ポンプ26及び、旋回油圧モータ
27が並設され横置きのケースに内装されており、該旋
回油圧ポンプ26の入力軸26a及び、該旋回油圧モー
タ27の出力軸27aの各々が機体左右方向に軸支さ
れ、互いに前後方向に並列されている。
【0012】但し、走行用及び旋回用の第一・第二無段
変速機構25・28の前後方向の位置関係、第一・第二
無段変速機構25・28内の油圧ポンプ及び油圧モータ
の前後方向の位置関係は、本実施例に制約されるもので
はなく、適宜前後逆にも変更可能である。また、エンジ
ン21から動力を伝達する伝動ベルト29については、
入力プーリー26bを二連プーリーにすることで、該入
力プーリー26b側に巻回してもよい。
【0013】一方、図5、図9及び図10で示すよう
に、前記ミッションケース22の右側のケース部22R
の右上部には、ミッションケース22の上面よりも上方
に延出する入力ケース部22aが突出形成されている。
該入力ケース部22aはケース部22Rの右端部に一体
形成され、該入力ケース部22aの右端開口を閉じるべ
く蓋体22bが固定されている。そして、該ミッション
ケース22の上面に臨む入力ケース部22aの左側面に
おいて、機体後方から順に走行用の第一無段変速機構2
5と旋回用の第二無段変速機構28とを並設させるよう
に、両無段変速機構25・28のケースを取り付けてい
る。
【0014】このように、ミッションケース22上に走
行用及び旋回用の第一・第二無段変速機構25・28を
機体の前後方向に並列させたので、HST装置Hが、ミ
ッションケース22上にコンパクトに収納され、特に、
機体の前後方向に並設させたことにより、左右方向のサ
イズを小さくすることができ、二条用、三条用といった
小型のコンバインにおいても二つの第一・第二無段変速
機構25・28を装備可能となったのである。また、そ
れぞれの第一・第二無段変速機構25・28は、その構
成要素である油圧ポンプ及び油圧モータを機体前後方向
に並列に配置しているため、左右方向の幅が小さくユニ
ットとしてコンパクトな構成となっている。
【0015】また、ミッションケース22内には走行系
伝動機構R及び正逆転付与機構Sが配設されており、該
走行系伝動機構Rの動力受入部Ra及び正逆転付与機構
Sの動力受入部Saが、該入力ケース部22a内に設け
られている。そして、前記走行用の第一無段変速機構2
5の走行油圧モータ24の出力軸24aの一端が動力受
入部Raを構成する伝達ギヤ42に挿入係合され、ま
た、前記旋回用の第二無段変速機構28の旋回用油圧モ
ータ27の出力軸27aの一端が該動力受入部Saを構
成する伝達ギヤ97に挿入係合されている。
【0016】また、走行用の第一無段変速機構25のケ
ースから入力ケース部22aとは反対側へ、前記走行油
圧ポンプ23の入力軸23aが突出しており、その端部
には二連の入力プーリー23bが入力軸23aに一体的
に装着されており、また、旋回用の第二無段変速機構2
8のケースから入力ケース部22aとは反対側へ、前記
旋回油圧ポンプ26の入力軸26aが突出しており、そ
の端部には一連の入力プーリー26bが入力軸26aに
一体的に装着されている。
【0017】そして、前記入力プーリー23bの一方と
入力プーリー26bとの間には第一無端帯である伝動ベ
ルト30が巻回されており、旋回油圧ポンプ26の入力
軸26aを伝動ベルト30と、入力プーリー23b・2
6bを介し、前記走行油圧ポンプ23の入力軸23aに
連動連結させている。31は伝動ベルト30を適当な張
り具合に調整するテンションプーリーである。
【0018】該テンションプーリー31のテンションア
ーム205は、図3〜図6に示すように、支持プレート
200の上部に枢支されており、該支持プレート200
は左側のケース部22L上部と、走行油圧モータ24の
ケースの左側面と、旋回用油圧モータ27のケースの左
側面に跨がってボルトによって固定されている。
【0019】該支持プレート200の後上部に支軸20
4が左右方向に固設され、該支軸204にテンションア
ーム205の中央部に設けたボス206が回動自在に枢
支されている。更に、前記支持プレート200の前上部
は水平面を構成し、この水平面上にステー201が固設
されている。該ステー201の上部には左右面を構成し
て、この左右面に挿入孔を開口してネジロッド208を
前後方向に挿入し、該ネジロッド208をナットによっ
てステー201に位置調整可能に固定している。該ネジ
ロッド208の端部にテンションバネ202の一端が係
止され、該テンションバネ202の他端が前記テンショ
ンアーム205の端部に係止されている。
【0020】このように構成して、前記テンションアー
ム205の他端部に軸支したテンションプーリー31
は、前記テンションバネ202の付勢力によって下方に
回動され、前記伝達ベルト30にテンションを与えるよ
うにしている。また、前記ナットを回動することによっ
て付勢力を調節可能としている。更に、前記支持プレー
ト200の側面下部にはブレーキ操作用のワイヤーのハ
ーネスの支持部やブレーキを解除方向に付勢するバネの
係止ステーが設けられている。
【0021】また、前記エンジン21の出力軸21aに
固設した出力プーリー21bと前記走行用油圧ポンプ2
3の入力プーリー23bの他方には第二無端帯である伝
動ベルト29が巻回されている(図8)。このようにし
て走行油圧ポンプ23の入力軸23aを伝達ベルト、プ
ーリー等を介しエンジン21に連動連結させている。ま
た、ミッションケース22の左側ケース部22Lの側面
から、刈取PTO軸55が突出しており、該刈取PTO
軸55上には一体的に回転する刈取出力プーリー55b
が固設され、該刈取出力プーリー55bからベルトを介
して刈取入力プーリーに動力が伝達される。そしてミッ
ションケース22内の副変速軸53からギヤ56、55
aを介して、エンジン21の出力を刈取部に伝達するの
である。
【0022】また、第一・第二無段変速機構25・28
の各々のケース上面には、走行油圧ポンプ23及び旋回
油圧ポンプ26に対する変速アーム23c、26cが配
設されており(図6)、該変速アーム23c、26cの
回動操作により、走行油圧ポンプ23及び旋回油圧ポン
プ26の可動斜板145、146がそれぞれ傾動し、走
行油圧モータ24及び旋回油圧モータ27の回転速度及
び回転方向が制御される。
【0023】走行油圧ポンプ23の入力軸23aの他端
はケース外側に突出し、外側面に第一・第二無段変速機
構25・28に対する作動油補給用のチャージポンプC
Pが付設され、前記入力軸23aからの動力によって駆
動され、また、旋回用油圧ポンプ26の入力軸26aの
他端も、入力ケース部22a、蓋体22bを貫通して突
出し、該蓋体22b外側面に刈取部の作業用ポンプSP
を付設し、動力を伝えている。このような構成とするこ
とで、それぞれ常時回転する入力軸23a・26aがエ
ンジン21からの駆動力を個別にチャージポンプCP及
び作業用ポンプSPへ伝達するため、シンプルな構成と
なり、またエンジン21の動力を効率よく伝達する構成
となっている。また、上記構成とは逆に、走行用油圧ポ
ンプ23の入力軸23aに作業用ポンプSPを連結さ
せ、旋回油圧ポンプ26の入力軸26aにチャージポン
プCPを連結させる構成とすることも可能である。
【0024】前記チャージポンプCPと昇降用油圧ポン
プSPとの各々の吸入側は図4に示すように、ミッショ
ンケース22のケース部22R外側面にサクションポー
ト152が連通され、該サクションポート152に配管
160が連通され、該配管160の他端は三方分岐ジョ
イント156と接続され、該三方分岐ジョイント156
の一端はチャージポンプCPのポンプポート(吸入口)
と連通され、残りの端部には配管161が接続され、該
配管161の他端には作業用ポンプSPのポンプポート
(吸入口)に接続されている。
【0025】また、前記サクションポート152が連通
されるミッションケース22の内部は、図7に示すよう
に、互いに仕切られた第一・第二油室142a・142
bが形成され、該第一油室142aは、ミッションケー
ス22内に収容した歯車などを潤滑する潤滑油が溜めら
れた油溜めに開放されたストレーナ141が横架されて
いる。このストレーナ141と対向するようにしてミッ
ションケース22のケース部22L外側面にはフィルタ
取付座を介して外装式の油フィルタ140が取り付けら
れている。
【0026】また、図3に示すように、ミッションケー
ス22のケース部22L前方寄りの外側面には、前記刈
取部8を対地昇降操作自在な昇降バルブユニットVUが
配置されている。即ち、昇降バルブユニットVUのバル
ブケース150がケース部22Lの外側面に脱着自在に
付設され、該バルブケース150の正面にはポンプポー
ト153が、下面にはタンクポート154とシリンダポ
ート155が、上面には3位置切換式で電磁操作式の方
向制御弁147が配設されている。
【0027】次に、図8、図9、図10より、差動機構
33の構成について説明する。ミッションケース22内
の差動機構33は左右の1対の遊星歯車機構35L・3
5Rを有し、各遊星歯車機構35L・35Rは第一要素
であるサンギヤ36L・36Rと、該サンギヤ36L・
36Rの外周で噛合う複数のプラネタリギヤ37L・3
7Rと、第二要素であるリングギヤ38L・38Rと一
体的に構成され、プラネタリギヤ37L・37Rに噛合
うインターナルギヤ38a・38aと、サンギヤ軸39
と同軸線上の車軸40L・40Rに固設され、プラネタ
リアギヤ37L・37Rを枢支する第三要素であるキャ
リヤ41L・41R等から構成されている。
【0028】該プラネタリアギヤ37L・37Rは車軸
40L・40Rから放射状に均等配置されてキャリヤ4
1L・41Rにそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサ
ンギヤ36L・36Rを挟んで左右のキャリヤ41L・
41Rを配置させると共に、前記インターナルギヤ38
a・38aは各プラネタリギヤ37L・37Rに噛み合
い、サンギヤ軸39とは同一軸芯状に配置させ、車軸4
0L・40Rに回転自在に軸支させている。
【0029】そして、左右の前記サンギヤ36L・36
Rは共通のサンギヤ軸39の外周面上に刻設され、両サ
ンギヤ36L・36Rの中間部に係止したセンタギヤ4
6を介して、副変速機構32等からなる走行系伝動機構
Rに連動連結され、さらに走行系伝動機構Rの入力部に
は、前記第一無段変速機構25に対する前記動力受入部
Raである伝達ギヤ42が連動連結されている。
【0030】前記動力受入部Ra・Saからは副変速機
構を介して差動機構33に動力が伝えられ、走行系伝動
機構Rの走行用副変速機構32は、ミッションケース2
2に横架した副変速駆動軸53の一端に入力用ギヤ44
を固設し、該副変速駆動軸53上には低速ギヤ50、中
速ギヤ51を固設し、高速ギヤ52を遊嵌し、高速ギヤ
52と噛合可能なクラッチスライダ81を摺動可能にス
プライン嵌合している。また、前記副変速駆動軸53と
平行に回転自在に横架した副変速従動軸45上には、ギ
ヤ47・48を遊嵌し、その間にクラッチスライダ80
を両者に噛合可能にスプライン嵌合し、出力ギヤ49を
固設している。そして、ギヤ47と低速用ギヤ50、ギ
ヤ48と中速用ギヤ51、ギヤ49と高速用ギヤ52と
をそれぞれ常時噛合させている。よって、ギヤ47・4
8・52のいずれかをクラッチスライダ80・81によ
り、副変速駆動軸53・45のいずれかに係合すること
で、3段の副変速が得られるようになっている。また、
副変速従動軸45の一端上には駐車ブレーキ機構Tが設
けられ、前記図示せぬハンドブレーキを操作することに
より走行伝動機構Rに制動力を付与させるように構成し
ている。
【0031】一方、左右の前記リングギヤ38L・38
Rは、支軸63上に遊嵌したギヤ63c・63d、アイ
ドル軸62上のアイドル歯車62a等からなる正逆転付
与機構Sに連動され、さらに正逆転付与機構Sの入力部
には旋回用の第二無段変速機構28に対する動力受入部
Saである伝達ギヤ97が連動連結されている。
【0032】そして、旋回用の第二無段変速機構28の
旋回油圧モータ27の回転出力が、出力軸27aから順
に伝達ギヤ97、カウンター軸96上の駆動ギヤ96a
に伝達され、さらに入力用の伝動ギヤ91を介して旋回
入力軸90、旋回用副変速機構60を介してクラッチ軸
61へと伝達される。なお、前記旋回入力軸90には直
進性を安定させるためのブレーキ機構Bが装備されてい
る。
【0033】旋回用副変速機構60の構成は、次のとお
りである。即ち、前記旋回入力軸90には駆動ギヤ90
a・90bが固設され、またクラッチ軸61上には、前
記駆動ギヤ90a・90bと常時噛み合うクラッチギヤ
61b・61cが遊嵌設置されている。そして、両クラ
ッチギヤ61b・61cの間に、該クラッチギヤ61b
・61cの各々に対して係脱自在なクラッチスライダ6
1dを、クラッチ軸61と相対回転不能で、かつ、軸方
向摺動自在に設置している。また、前記旋回入力軸90
上に駆動ギヤ90eが回転自在に遊嵌され、クラッチ軸
61上に刻設したクラッチギヤ61eと常時噛合され、
更に、前記旋回入力軸90上にスプラインボス90cを
形成してクラッチスライダ90dを相対回転不能で、か
つ、軸方向摺動自在に設置し、該クラッチスライダ90
dを摺動させることで、駆動ギヤ90eと係合可能とし
ている。このように、旋回用副変速機構60の変速段
は、走行用副変速機構32の変速段と同数、即ち3段と
している。
【0034】そして、このクラッチスライダ61d・9
0dは前述の走行用副変速機構32のクラッチスライダ
80・81と連動連係されている。即ち、図11、図1
2に示すように、ミッションケース22に横架したフォ
ーク軸101上にシフター100が摺動自在に外嵌さ
れ、該シフター100のシフトボス100dからはシフ
トフォーク100a・100b・100c・100eが
突出され、該シフター100のシフトボス100dとフ
ォーク軸101との間にはデテント機構103を構成し
て、図11の紙面右側より低速L、ニュートラルN、中
速M、高速Hの各位置でシフトフォークを保持できるよ
うにしている。
【0035】また、前記クラッチスライダ61dはクラ
ッチフォーク100cに、クラッチスライダ90dはク
ラッチフォーク100eにそれぞれ係合し、前述のクラ
ッチスライダ80はクラッチフォーク100a、クラッ
チスライダ81はクラッチフォーク100bにそれぞれ
係合している。また、前記シフトボス100dにはクラ
ッチ軸73より突出したアーム102が係合され、該ク
ラッチ軸73は副変速レバー69に連結され、該副変速
レバー69の操作によりクラッチスライダ80・81・
61d・90dが同時に軸方向へ摺動されるのである。
【0036】そして例えば、副変速レバー69が中立位
置にあるときの走行用副変速機構60は、クラッチスラ
イダ80・81がいずれのギヤとも係合せず、また、旋
回用副変速機構32のクラッチスライダ61d・90d
もいずれのギヤとも係合せず、出力ギヤ49・出力ギヤ
61aからは出力されず、走行することがなく、操向ハ
ンドル19を回動しても車軸40L・40Rが駆動され
ることはない。
【0037】副変速レバー69を1速(低速)に変速す
ると、走行用副変速機構60ではクラッチスライダ80
がギヤ47と係合して第一無段変速機構25の変速動力
が所定の減速比で減速されて出力ギヤ49より出力し、
旋回用副変速機構32ではクラッチスライダ61dがク
ラッチギヤ61cと係合して第二無段変速機構28の変
速動力が所定の減速比で減速されて出力ギヤ61aより
出力する構成となっている。
【0038】また、副変速レバー69を2速(中速)に
変速すると、同様に、クラッチスライダ80がギヤ48
と係合し、クラッチスライダ61dがクラッチギヤ61
bと係合する。同様に、副変速レバー69を3速(高
速)に変速すると、クラッチスライダ81がギヤ52と
係合し、クラッチスライダ90dがクラッチギヤ90e
と係合するのである。
【0039】このような構成において走行用油圧モータ
24の回転出力が、出力軸24aから入力ケース部22
a内の伝達ギヤ42を介して、カウンター軸43上のギ
ヤ43a、入力用ギヤ44を介して副変速機構32に伝
達され、副変速機構32において変速したのち出力ギヤ
49からカウンターギヤ54、センタギヤ46を経由し
て左右のサンギヤ36L・36Rを回転駆動させるので
ある。そして、左右の遊星歯車機構35L・35Rを介
し車軸40に伝達させることにより、左右の駆動スプロ
ケット34L・34Rを回転駆動させクローラ式走行装
置2L・2Rを駆動させるのである。
【0040】このような構成で、走行油圧ポンプ23の
可動斜板145に対する変速アーム23cが、運転席近
傍に配備した走行操作具である主変速レバー68にリン
ク機構を介して連動連係されており、走行用の第一無段
変速機構25は該主変速レバー68の回動操作により可
動斜板145の傾斜角度が変更されて走行油圧モータ2
4の正逆の回転方向と回転数増減及び回転停止の制御を
行うことが可能となっている。また、旋回油圧ポンプ2
6の可動斜板146に対する変速アーム26cが丸形の
操向ハンドル19にリンク機構を介して連動連係されて
おり、旋回用の第二無段変速機構28は該操向ハンドル
19の回動により可動斜板146の傾斜角度が変更され
て旋回油圧モータ27の正逆の回転方向と回転数増減及
び回転停止の制御を行うよう構成されている。
【0041】また、クラッチ軸61上の出力ギヤ61a
の回転は支軸63上に遊嵌した旋回入力ギヤ63bに直
接的に伝達され、ギヤ63dを介して紙面右側のリング
ギヤ38Rに伝達される。また左側のリングギヤ38L
に対しては、クラッチ軸61上の出力ギヤ61aの回転
はアイドル軸62上のアイドルギヤ62aにて逆転され
たあと、支軸63上の旋回入力ギヤ63aに伝達され、
ギヤ63cを介して伝達される。このようにして旋回油
圧モータ27の回転出力が、左右のリングギヤ38L・
38Rを互いに逆回転方向へ、且つ、左右同一回転数で
駆動するよう伝達されるのである。
【0042】そして、操向ハンドル19を直進走行位置
におくと、旋回油圧ポンプ26が中立位置となり、旋回
油圧モータ27の駆動が停止して左右リングギヤ38が
静止固定された状態となり、主変速レバー68にて走行
油圧ポンプ23より圧油を吐出させて走行油圧モータ2
4を駆動すると、その回転はセンタギヤ46から左右の
サンギヤ36L・36Rに同一回転数で伝達され、左右
遊星歯車機構35L・35Rのプラネタリギヤ37L・
37R、キャリヤ41L・41Rを介し、左右の駆動ス
プロケット34L・34Rが左右同回転方向の同一回転
数で駆動されて、機体の前進直進走行が行われる。ま
た、主変速レバー68にて走行油圧ポンプ23からの圧
油吐出方向を反転させると、機体は後進状態で直進走行
する。
【0043】ここで、操向ハンドル19を右に切ると、
旋回油圧ポンプ26は作動状態となって圧油を吐出し、
該圧油を受けて旋回油圧モータ27が駆動される。該旋
回油圧モータ27から出力された動力は旋回入力軸90
から旋回用副変速機構60を経て正逆転付与機構Sに至
り、ここで同一回転数のまま二手に分けられ、その一方
は前記遊星歯車機構35のリングギヤ38Lを正転さ
せ、他方はリングギヤ38Rを逆転させる。正転するリ
ングギヤ38Lの回転数はサンギヤ36Lによって正転
している左キャリヤ41Lの回転数に加算される一方、
逆転するリングギヤ38Rの回転数はサンギヤ36Rに
よって正転している右キャリヤ41Rの回転数に減算さ
れる。これによって両駆動スプロケット34L・34R
の駆動状態を維持しつつ、駆動スプロケット34Lの回
転数が駆動スプロケット34Rのそれよりも高くなって
右方へ進路が変更されるのである。
【0044】旋回油圧ポンプ26からの吐出油量は操向
ハンドル19の切れ角度が大きくなるに従って増加し、
これに応じて旋回油圧モータ27の回転数も無段に増加
するので、左右の駆動スプロケット34・34に生じる
相対回転差は次第に大きくなり、より小さな旋回半径で
機体が旋回することとなる。また、操向ハンドル19を
左に切ると、旋回油圧ポンプ26の圧油吐出方向が反転
して旋回油圧モータ27の回転方向が逆になり、これに
よって最終的に、キャリヤ41Lの回転数が減算される
一方、右キャリヤ41Rの回転数が加算されて、右駆動
スプロケット34Rの回転数が左駆動スプロケット34
のそれよりも高くなって左方へ進路が変更されるのであ
る。
【0045】そして、本発明では、前記旋回用副変速機
構60が備えられ、しかも走行用副変速装置32と同じ
変速段を有し、走行用副変速装置32の変速に連動して
変速されるように構成してあるので、例えば、操向ハン
ドル19を切るときに、走行用及び旋回用の副変速が共
に1速の変速段の場合には、旋回用副変速機構60の出
力ギヤ61aからの出力回転数は走行用副変速装置32
の出力ギヤ49と同様に低く、左右の車軸40L・40
Rの回転数が低く、かつ、回転数差も小さくなる。ま
た、走行用及び旋回用の副変速が共に3速の変速段の場
合には、旋回用副変速機構60の出力ギヤ61aからの
出力回転数も高く、かつ、左右の車軸40L・40Rの
回転数差も大きくなる。つまり、同じ操向ハンドル19
の切れ角であると、走行速度に比例した旋回駆動回転数
が出力ギヤ61aから遊星歯車機構35L・35Rのリ
ングギヤ38L・38Rへ伝えられ、走行速度の高低に
かかわらず、同じ旋回半径で旋回できるようになり、操
向ハンドルの回転で操向輪を左右に回動する従来のホィ
ール型の走行車両の操向装置と略同様のフィーリングで
旋回ができるようになるのである。
【0046】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1の
如く、機体の走行速度を変更する走行用の無段変速機構
と、機体の進行方向を変更する旋回用の無段変速機構を
具備し、それぞれの無段変速機構より差動機構を介して
車軸に動力を伝えるトランスミッションにおいて、前記
走行用の無段変速機構と旋回用の無段変速機構のそれぞ
れの出力側に副変速機構を介装して差動機構に動力を伝
えるように構成したので、多様の旋回フィーリングを選
択することができるようになった。また、請求項2の如
く、前記旋回用副変速機構の変速段を走行用副変速機構
の変速段と同数としたので、走行駆動の変速と旋回駆動
の変速が同時に行われて、走行速度に比例した旋回駆動
回転数が得られるようになり、走行速度が速い時も遅い
時も、操向ハンドルの切れ角が同じであると、旋回半径
は略同じとなり、クローラー式走行装置のように左右の
走行装置の回転数差で旋回を行う機構であっても、ホィ
ール型の走行車両の操向ハンドルを回動すると操向輪を
その角度に比例して左右回動するような操向装置と略同
様のフィーリングで旋回ができるようになったのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトランスミッションを搭載したコンバ
インの右側面図である。
【図2】同じく左側面図である。
【図3】本発明のトランスミッションの左側面図であ
る。
【図4】同じく右側面図である。
【図5】同じく後面図である。
【図6】同じく平面図である。
【図7】トランスミッションの左側面断面図である。
【図8】トランスミッションのスケルトン図である。
【図9】走行用の第一無段変速機構を含むトランスミッ
ションの断面展開図である。
【図10】旋回用の第二無段変速機構を含むトランスミ
ッションの断面展開図である。
【図11】シフター部分の平面断面図である。
【図12】同じく側面断面図である。
【符号の説明】
M トランスミッション 22 ミッションケース 25 走行用無段変速機構 28 旋回用無段変速機構 32 走行用副変速機構 33 差動機構 60 旋回用副変速機構
フロントページの続き (72)発明者 清岡 晃司 兵庫県尼崎市猪名寺2丁目18番1号 株式 会社神崎高級工機製作所内 Fターム(参考) 3D042 AA03 AB10 AB11 BA02 BA05 BA07 BA08 BA12 BA13 BB02 BB03 BD04 BD08 BD09 3D052 AA01 AA05 AA06 BB01 BB08 DD03 DD04 EE01 FF01 GG03 HH01 HH02 JJ03 JJ06 JJ10 JJ21 JJ22 JJ25 JJ31

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機体の走行速度を変更する走行用の無段
    変速機構と、機体の進行方向を変更する旋回用の無段変
    速機構を具備し、それぞれの無段変速機構より差動機構
    を介して車軸に動力を伝えるトランスミッションにおい
    て、前記走行用の無段変速機構と旋回用の無段変速機構
    のそれぞれの出力側に副変速機構を介装して差動機構に
    動力を伝えることを特徴とするトランスミッション。
  2. 【請求項2】 旋回用副変速機構の変速段を走行用副変
    速機構の変速段と同数としたことを特徴とする請求項1
    記載のトランスミッション。
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