JP2000191950A - 粉体塗料リサイクルシステム - Google Patents

粉体塗料リサイクルシステム

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JP2000191950A
JP2000191950A JP10373445A JP37344598A JP2000191950A JP 2000191950 A JP2000191950 A JP 2000191950A JP 10373445 A JP10373445 A JP 10373445A JP 37344598 A JP37344598 A JP 37344598A JP 2000191950 A JP2000191950 A JP 2000191950A
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powder coating
powder
coating
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resin
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Yutaka Harada
豊 原田
Kazuhiko Nishimura
和彦 西村
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回収された粉体塗料を再利用する粉体塗料の
リサイクルシステムを提供する。 【解決手段】 湿式法による粉体塗料製造工程、粉体塗
料塗装工程および粉体塗料回収工程を1ユニットとし、
前記粉体塗料回収工程によって回収された粉体塗料を有
機溶剤に溶解して、前記粉体塗料製造工程の原料として
用いることにより、前記ユニットを連続的に実施するこ
とを特徴とする粉体塗料リサイクルシステム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体塗料リサイク
ルシステムに関し、特に、粉体塗料塗装ラインにおいて
回収された粉体塗料を、粉体塗料製造工程の原料として
用いる粉体塗料リサイクルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、大気中に放出される有機溶
剤がないことから、環境に対してやさしい塗料として注
目を浴びている。また、粉体塗料を塗装するラインにお
いて、被塗装物に塗着しなかった未塗着の粉体塗料を捕
集サイクロン等で回収して再使用することにより、省資
源化を図ることができる。さらにこの再使用を連続的に
実施することで、いわゆるリサイクルのシステムを構築
できると考えられている。
【0003】ところが、回収された粉体塗料には、再使
用時の塗着効率や流動性を低下させる原因となる微粉が
多く含まれることから、再使用可能なものとそのままで
は再使用が不可能な微粉とを分離する新たな工程が必要
になる。
【0004】また上記分離を行った後、そのままで再使
用が不可能な微粉を粉体塗料製造時の溶融混練工程に新
品原料と混合して使用する方法が検討されていたが、溶
融混練工程における熱によって、微粉が硬化反応を起こ
し、耐固相反応性等の貯蔵安定性の低下を起こすことが
懸念される。この他に、特開平9−276754号公報
には、造粒機を用いて微粉を再造粒する粉体塗料の製造
方法が開示されている。しかしながら、この方法では、
造粒機やそれに伴うユーティリティーを新規に設置しな
ければならないという問題点を有する。
【0005】一方、上記分離後、そのままで再使用可能
とされる粉体塗料であっても、塗装や回収の段階でゴミ
やホコリが混入した場合には、これらを効率よく取り除
くことは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、粉体塗料
のリサイクルはこれまで実質的に行われていない。従っ
て、本発明は、回収された粉体塗料を再利用する粉体塗
料のリサイクルシステムを提供するものであり、そのこ
とによって、上記課題が解決される。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、湿式法による
粉体塗料製造工程、粉体塗料塗装工程および粉体塗料回
収工程を1ユニットとし、上記粉体塗料回収工程によっ
て回収された粉体塗料を有機溶剤に溶解して、上記粉体
塗料製造工程の原料として用いることにより、前記ユニ
ットを連続的に実施することを特徴とする粉体塗料リサ
イクルシステムを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の粉体塗料リサイクルシス
テムは、湿式法による粉体塗料製造工程、粉体塗料塗装
工程および粉体塗料回収工程を1ユニットとし、上記粉
体塗料回収工程によって回収された粉体塗料を有機溶剤
に溶解して、上記粉体塗料製造工程の原料として用いる
ことにより、前記ユニットを連続的に実施することを特
徴とするものである。本発明の粉体塗料リサイクルシス
テムでは、湿式法による粉体塗料製造工程、粉体塗料塗
装工程および粉体塗料回収工程を1ユニットとする。
【0009】湿式法による粉体塗料製造工程 本発明のリサイクルシステムにおけるユニットの第一の
構成要件である湿式法による粉体塗料製造工程は、原料
溶液を製造する工程(1)、工程(1)で得られた原料
溶液を、水溶性高分子を含んだ水溶液に混合して懸濁液
を製造する工程(2)および工程(2)で得られた懸濁
液中の油滴を固化して粒子を取り出す工程(3)からな
る。
【0010】本発明で用いられる湿式法による粉体塗料
製造工程における第一の工程は、原料を混合して原料溶
液を製造する工程である。本発明における原料溶液は原
料を有機溶剤に溶解したものである。
【0011】本発明のリサイクルシステムでは、基本的
に原料として粉体塗料を用いる。ただし、本システムの
開始時など、原料とする粉体塗料がない場合には、後述
するように粉体塗料を原料として用いずに上記1ユニッ
トをまず実施することになる。
【0012】原料として粉体塗料を用いる場合、この粉
体塗料は、上記湿式法による粉体塗料の製造方法を用い
て製造されたものであり、後述する粉体塗料回収工程に
よって得られたものである。なお、上記原料として用い
る粉体塗料の一部を、湿式法による粉体塗料の製造方法
を用いて製造されたものであって、塗装履歴がない(新
品である)ものに置き換えることができる。例えば、ス
トックされている粉体塗料の粒径を変えたい場合に、こ
のような方法を取り得る。
【0013】上記原料として用いる粉体塗料は、主成分
として熱硬化性樹脂成分を含んでいる。このような熱硬
化性樹脂成分は熱硬化性樹脂および硬化剤からなる。た
だし、熱硬化性樹脂が単独で硬化性を有する場合、熱硬
化性樹脂成分として硬化剤は必要でない場合がある。
【0014】上記熱硬化性樹脂の種類としては、特に限
定されない。具体的には、ポリエステル樹脂、(メタ)
アクリル酸共重合体、ビニル芳香族化合物共重合体、あ
るいは、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂混合ポリエステル
樹脂等を例示することができる。
【0015】ポリエステル樹脂としては、例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチル
グリコールなどの多価アルコールと、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などのカルボン酸
とを常法に従って重合させたものを挙げることができ
る。
【0016】また、(メタ)アクリル酸共重合体やビニ
ル芳香族化合物共重合体としては、例えば、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)
アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸ter
t−ブチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
ブチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレ
ート、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン
などのモノマーを常法に従って重合させたものを挙げる
ことができる。
【0017】さらに、エポキシ樹脂としては、例えば、
1分子内に2個以上のグリシジル基(オキシランを含
む)を有する化合物が好ましい例として挙げられ、具体
的には、グリシジルエステル樹脂、ビスフェノールAと
エピクロロヒドリンとの縮合反応物や、ビスフェノール
Fとエピクロロヒドリンとの縮合反応物などのグリシジ
ルエーテル型樹脂、脂環式エポキシ樹脂、綿状脂肪族エ
ポキシ樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂などを挙げることができる。また、エポキシ樹脂混
合ポリエステル樹脂としては上記のポリエステル樹脂と
エポキシ樹脂とを任意の混合比で混合することによって
得られたものを挙げることができる。
【0018】上記熱硬化性樹脂のTgとしては、粉体塗
料の分野において用いることができる範囲のものであれ
ば特に限定されないが、好ましくは20〜100℃であ
る。なお、本発明におけるTgは、示差走査型熱分析計
によって求めることができるが、上記熱硬化性樹脂が
(メタ)アクリル酸共重合体やビニル芳香族化合物共重
合体である場合は、共重合体を構成する既知のTgを有
するモノマー比から、連立方程式によって求めることも
できる。
【0019】また、上記熱硬化性樹脂のSP値として
は、特に限定されないが、通常9.0〜12.0であ
り、好ましくは9.0〜11.0、さらに好ましくは
9.5〜11.0である。なお、本発明におけるSP値
は、濁度法などの当業者によって良く知られた方法によ
って求められるものである。
【0020】なお、上記熱硬化性樹脂が、以下の条件を
満たす樹脂Aおよび樹脂Bであれば、耐ブロッキング性
および得られる塗膜の平滑性が良好な粉体塗料を得るこ
とができる。このような樹脂Aおよび樹脂Bとしては、
(a)(樹脂AのSP値)−(樹脂BのSP値)が0.
5〜1.5、(b)(樹脂AのTg)−(樹脂BのT
g)が10℃以上、(c)樹脂AのTgが40〜100
℃かつ樹脂Bが20〜50℃、の条件を満たしており、
樹脂Aと樹脂Bとが加熱により硬化反応するものを選択
すればよい。また、樹脂Aと樹脂Bとが加熱により硬化
反応しない場合でも、熱硬化性樹脂溶液がさらに硬化剤
を含んでおり、この硬化剤と樹脂Aおよび/または樹脂
Bとが加熱により硬化反応をする場合のものも選択する
ことができる。
【0021】(樹脂AのSP値)−(樹脂BのSP値)
が0.5より小さい場合は、貯蔵時の耐ブロッキング性
が低下し、1.5より大きい場合には硬化後の塗膜の外
観が低下する。
【0022】樹脂Aおよび樹脂BのSP値は、上記の関
係を満たしている必要があるが、通常9.0〜12.0
であり、好ましくは9.0〜11.0、さらに好ましく
は9.5〜11.0である。なお、ここでいうSP値
は、濁度法などの当業者によってよく知られた方法によ
って求められるものである。
【0023】一方、(樹脂AのTg)−(樹脂BのT
g)が10℃より小さい場合は、耐ブロッキング性が低
下する。このとき樹脂AのTgは40〜100℃であ
り、かつ、樹脂BのTgは20〜50℃である。ここ
で、樹脂AのTgが40℃よりも小さい場合は、貯蔵時
の耐ブロッキング性が低下し、100℃より大きい場合
は塗膜の平滑性が低下する。また、樹脂BのTgが20
℃以下の場合は貯蔵時の耐ブロッキング性が低下し、5
0℃より大きい場合は塗膜の平滑性が低下する。
【0024】上記硬化剤としては、粉体塗料の分野で周
知のものを例示することができ、熱硬化性樹脂が有する
官能基に応じて選択される。上記硬化剤の融点として
は、粉体塗料の分野において用いることができる範囲の
ものであれば特に限定されないが、好ましくは50〜1
50℃である。
【0025】上記硬化剤としては、上記熱硬化性樹脂が
エポキシ基を有する樹脂の場合には、デカンジカルボン
酸やセバチン酸などの脂肪族多価カルボン酸、多価カル
ボン酸酸無水物、ジシアンジアミド、ブロックイソシア
ネート、アミン系硬化剤、酸基含有のアクリル樹脂、ポ
リアミド系硬化剤、フェノール樹脂、イミダゾール類お
よびイミダゾリン類等が挙げられる。
【0026】また、上記熱硬化性樹脂が水酸基を有する
樹脂の場合には、上記硬化剤として、脂肪族多価カルボ
ン酸、脂肪族酸無水物、アミノプラスト樹脂、エポキシ
樹脂やトリグリシジルイソシアヌレート等のポリエポキ
シ化合物、ブロックイソシアネート、グリコールウリル
硬化剤、熱硬化性樹脂が酸基を有する樹脂の場合には、
エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のポ
リエポキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物、ヒドロキシ
アルキルアミド等が挙げられる。なお、硬化剤は2種類
以上のものが混合されていてもいい。
【0027】硬化剤を用いられている場合の熱硬化性樹
脂成分における熱硬化性樹脂と硬化剤との量比は、特に
限定されないが、一般的には、熱硬化性樹脂が有する官
能基と硬化剤が有する官能基との比率が、0.5〜2.
0の範囲にあることが好ましい。
【0028】なお、上記樹脂Aおよび樹脂Bの2種が用
いられている場合には、塗膜の平滑性を考慮すると、樹
脂Aが水酸基とエポキシ基を有するアクリル樹脂、およ
び樹脂Bがエポキシ基を有するアクリル樹脂および硬化
剤として多価カルボン酸が含まれていることが好まし
い。
【0029】本発明で原料として用いられる粉体塗料
は、主成分である上記熱硬化性樹脂成分の他に、各種添
加剤、顔料を含んでいてもよい。上記添加剤として、具
体的には、ジメチルシリコーンやメチルシリコーンなど
のシリコーン類およびアクリルオリゴマーなどの表面調
整剤、ベンゾインやベンゾイン誘導体などのベンゾイン
類に代表される発泡防止剤、硬化促進剤(または硬化触
媒)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、
難燃剤、流動付与剤、アミン化合物、イミダゾール化合
物、カチオン重合触媒等の硬化促進剤(または硬化触
媒)などを例示することができる。
【0030】また、顔料として、具体的には、二酸化チ
タン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシ
アニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン
系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、タルク、シリカ、
炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなどの体質顔料な
どを例示することができる。
【0031】しかし、本発明の再生方法で原料として用
いられる粉体塗料は、後述する有機溶剤に溶解して使用
されるため、有機溶剤に対して溶解しなければならな
い。なお、ここでいう溶解とは、後述する濾過操作によ
って残渣として取り除かれないことを意味する。よっ
て、上記顔料が含まれている場合には、例えば、有機溶
媒に微分散するなど、この要件を満たしている必要があ
る。これらの点を考慮すると、上記原料として用いられ
る粉体塗料はクリア粉体塗料であることが好ましい。
【0032】本発明では、粉体塗料以外の原料として、
上記原料として用いられる粉体塗料を製造するのに用い
た成分である熱硬化性樹脂成分、各種添加剤および顔料
など上述のものを必要に応じて添加することができる。
本発明の粉体塗料製造工程の原料は、後述するように有
機溶剤に溶解させて用いられるため、粉体塗料を有機溶
剤に溶解させたものとその粉体塗料を製造するのに用い
た成分を有機溶剤に溶解させたものとは、実質的に同じ
ものであると考えられる。この添加を調製して行うこと
により、回収された粉体塗料の量に関係なく、1回の製
造で得られる粉体塗料の量を一定にすることができる。
上記添加の量は特に限定されないが、原料中の固形分の
99重量%未満であることが好ましい。この値を上回る
と、リサイクルに用いられる粉体塗料の量が少なくな
り、効率的でない。
【0033】本発明において原料溶液を製造するのに用
いられる有機溶剤としては、実質的に水不混和性すなわ
ち水に対する溶解度が10%以下で、常圧での沸点が1
00℃未満のもの、または、水と共沸する性質を有する
ものを用いる。具体的には、キシレン、トルエン、シク
ロヘキサン、酢酸エチル等を例示することができる。
【0034】原料溶液の製造は、上記原料を上記有機溶
剤に溶解させることにより行われる。上記原料に用いる
粉体塗料が顔料などの有機溶剤に溶解しない成分を含ん
でいる場合には、遠心分離や濾過などを行い不溶成分を
除いておくことが好ましい。上記粉体塗料以外の原料が
固体の場合、上記原料に用いる粉体塗料と混合した後、
有機溶剤に溶解することができる他、別々に溶解させた
ものを混合することができる。また、上記粉体塗料以外
の原料が液状である場合には、ここに上記原料に用いる
粉体塗料を加えて、溶解させても構わない。このように
して得られた原料溶液は、目的とする濃度に調製して用
いられる。なお、原料溶液中の原料の固形分重量は、特
に限定されないが、例えば、30〜90重量%となるよ
うに調整することができる。また、原料溶液製造時に混
入したゴミやホコリなどの上記有機溶剤不溶成分を取り
除くために、必要に応じて、濾過操作を行うことができ
る。この濾過操作としては、フィルタ濾過など、当業者
によってよく知られた方法を用いることができる。
【0035】本発明で用いられる湿式法による粉体塗料
製造工程における第二の工程は、上記第一の工程で得ら
れた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ水溶液に混合し
て懸濁液を製造する工程である。
【0036】この工程で用いられる水溶性高分子として
は、2種に分別される。一方が曇点を示さない水溶性高
分子であり、もう一方が30〜90℃の範囲内に曇点を
示す水溶性高分子である。このような曇点を示さない水
溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコー
ル、ケン化度が85%以上の部分ケン化ポリビニルアル
コールや、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ポリエチレングリコール等、その水溶液を加温し
ても曇点現象を示さないものが用いられる。
【0037】一方、30〜90℃の範囲内に曇点を示す
水溶性高分子としては、ケン化度が85%より小さいポ
リビニルアルコール部分ケン化物、部分ホルマー化物、
エチレンービニルアルコール共重合体などの部分的に疎
水性基を含有するポリビニルアルコール系重合体、メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのような
セルロース誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエ
ーテルおよび、エチレングリコールプロピレングリコー
ルブロック共重合体等、その水溶液を加温して30〜9
0℃の範囲内で曇点現象を示すものが用いられる。ま
た、それ自身では曇点を示さない上記水溶性高分子に電
解質を添加して30〜90℃の範囲内に曇点を付与する
ことも可能である。また、上記30〜90℃の範囲内に
曇点を示す水溶性高分子は必要に応じて2種類以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0038】この工程における具体的な手順としては、
まず、撹拌機を備えた容器に、上記水溶性高分子を含む
水溶液を用意する。次にこの水溶性高分子水溶液に、第
一の工程で得られた原料溶液を加え混合し撹拌すること
で懸濁液を得ることができる。このとき、第一の工程に
おいて上記原料と上記原料に混合する粉体塗料とをそれ
ぞれ単独で溶液化した場合は、これらを別々にこの水溶
性高分子水溶液中に混合してもよいが、得られる油滴の
成分の均一性の観点から、上述したように、上記原料の
有機溶剤溶液と上記原料に混合する粉体塗料の有機溶剤
溶液とを混合した原料溶液を用いることが好ましい。
【0039】ここでの水溶性高分子を含む水溶液に対す
る原料溶液の混合比は、混合性の観点から、水溶性高分
子を含む水溶液の重量/原料溶液の固形分重量が0.5
/1〜3/1になるように設定されることが好ましい。
このようにして得られた懸濁液は必要に応じてイオン交
換水によって希釈され、最終的に水溶性高分子を含む水
溶液中の原料の固形分重量が10〜50重量%である懸
濁液が製造できる。
【0040】なお、上記水溶性高分子として、曇点を示
さない水溶性高分子と30〜90℃の範囲内に曇点を示
す水溶性高分子とを用いることができる。この2種の水
溶性高分子を用いて得られた懸濁液を上記曇点未満の温
度で昇温し、一次油滴を得たのち、必要に応じて一次油
滴内の有機溶剤量を0.01〜30重量%、好ましくは
0.01〜10重量、さらに好ましくは0.01〜5重
量%になるまで留去し、上記曇点以上の温度で昇温する
と、温度上昇に従い経時的に一次油滴が凝集した二次油
滴が得られる。この方法では、懸濁液中の油滴の粒径分
布が狭くなるため、最終的に得られる粉体塗料の粒径分
布を狭くすることができる。上記曇点未満の温度への昇
温は用いられている水溶性高分子の種類や第一の工程で
得られた原料溶液の性質に依存する。
【0041】ここで、上記一次油滴の体積平均粒子径は
15μm以下になることが好ましく、10μm以下であ
ることがさらに好ましい。二次油滴の体積平均粒子径を
目的とする粒径にするためには、曇点を示さない水溶性
高分子と30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分
子との重量比率を調整する方法の他に、二次油滴が所望
の粒径に形成された時点で懸濁液を水溶性高分子の曇点
より低い温度に冷却し、凝集による二次油滴の成長を停
止させる方法を用いることができる。なお、一次および
二次油滴の粒径はサンプリングして粒径を測定すること
によって求めることができる。
【0042】曇点を示さない水溶性高分子と30〜90
℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子とを用いる場合
の、曇点を示さない水溶性高分子の固形分重量/30〜
90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子の固形分重量
の比率は99/1〜10/90の範囲にあることが好ま
しい。この範囲を外れると、二次油滴の粒径制御が困難
になる恐れがある。上記水溶液の水溶性高分子濃度とし
ては、混合性の観点から、0.02〜20重量%である
ことが好ましい。
【0043】また、上記第一の工程と同様に、この工程
もしくはそれ以前に混入したゴミやホコリなどの上記有
機溶剤不溶成分を取り除くために、必要に応じて、濾過
操作を行うことができる。なお、この濾過操作は、次の
工程の油滴を固化するまでに少なくとも一度は行ってお
くことが好ましい。
【0044】本発明で用いられる湿式法による粉体塗料
製造工程における第三の工程は、上記第二の工程で得ら
れた懸濁液中の油滴を固化して粒子を取り出す工程であ
る。この工程における懸濁液中の油滴の固化は、懸濁液
に含まれる有機溶剤を留去することで行われる。有機溶
剤の留去は、昇温および/または減圧によって行いうる
が、固化して得られる粒子が熱硬化性を有している場合
は、有機溶剤を留去する温度を低くするために、系を減
圧して有機溶剤を留去することが好ましい。また、この
有機溶剤の留去は、油滴を固化させるまで行うことが好
ましい。
【0045】このようにして得られる粒子は、濾過やま
たは遠心分離のような通常の固液分離の方法を用いて単
離される。これを水洗・乾燥することにより、最終的に
粉体塗料を得ることができる。得られた粉体塗料の体積
平均粒子径は5〜40μm、好ましくは5〜30μm、
さらに好ましくは5〜20μmである。2種類の水溶性
高分子を用いる場合には、一種しか用いないときと比べ
て、粒径分布標準偏差を10μm以下にすることができ
る。
【0046】上記の工程で得られた粉体塗料は、従来の
乾式法で製造されたものに比べて粒度分布が狭く、分級
を行わなくてもそのまま塗装に用いることができる。し
かし、特定の粒径のみを取り出すなどの必要に応じ、分
級操作を行うことが可能である。分級操作を行った場合
に生じる残渣である粉体塗料は、上記原料として用いる
粉体塗料に加えて使用することができる。
【0047】粉体塗料塗装工程 本発明のリサイクルシステムにおけるユニットの第二の
構成要件である粉体塗料塗装工程は、上記粉体塗料製造
工程で得られた粉体塗料を塗装する工程である。粉体塗
料の塗装方法としては、種々のものが存在するが、粉体
塗装ガンを用いた静電粉体塗装法を利用することが好ま
しい。上記粉体塗装ガンとしては、コロナ帯電型塗装ガ
ンおよび摩擦帯電型塗装ガンを用いることができる。
【0048】本発明における粉体塗料塗装工程におけ
る、上記粉体塗装ガンからの粉体塗料吐出量は、50〜
200g/分に設定するのが好ましい。また、粉体塗装
ガンのガン部分の先端から被塗装物までの距離は、塗着
効率の観点から、150〜400mmに設定するのが好
ましい。一方、粉体塗装される際の設定膜厚は、塗装物
の用途によって適宜決定される。
【0049】また、この工程において粉体塗料塗装工程
に用いられる被塗装物は、特に限定されるものではな
く、例えば、リン酸処理鋼板、亜鉛メッキ鋼板、冷延鋼
板、アルミニウム板、ステンレス鋼板、リン酸亜鉛処理
鋼板、リン酸鉄処理鋼板等の金属等やこれらの表面へ表
面処理による処理膜の形成および/または錆止め塗料や
電着塗料の塗布等の下塗り形成を行ったものでもよい。
これらは、単独で行ってもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0050】上記被塗装物が自動車車体である場合に
は、被塗装物には上記下塗りまたは上記下塗りの上に中
塗りが形成されていてもよい。中塗り形成に用いられる
中塗り塗料としては、自動車塗料用中塗り塗料であれば
特に限定されず、周知のものを用いることもでき、さら
にチッピングプライマーなどを用いることもできる。ま
た、上記下塗りまたは上記中塗りの上に、ベース塗料が
塗布されていてもよい。用いられるベース塗料として
は、自動車塗料用ベース塗料であれば特に限定されず、
溶剤型ベース塗料、水性ベース塗料など周知のものを用
いることができ、このベース塗料の塗布工程も静電塗装
法など周知の方法を用いることができる。なお、塗布し
たベース塗料を硬化させていないものを被塗装物とする
こともできる。これは、未硬化のベース塗料に粉体塗装
を行う、いわゆるウエット・オン・ウエットで塗装を行
うものであり、この場合、粉体塗料としてクリア粉体塗
料が一般的に用いられる。
【0051】なお、この粉体塗料塗装工程で得られた被
塗物を加熱硬化することによって、被塗装物上に塗膜が
形成される。加熱温度は粉体塗料に含まれている熱硬化
性樹脂成分の種類や量によって異なるが、90〜250
℃、好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは1
20〜180℃である。加熱時間は上記加熱温度によっ
て適宜調節することができる。
【0052】粉体塗料回収工程 本発明のリサイクルシステムにおけるユニットの第三の
構成要件である粉体塗料回収工程は、上記粉体塗料塗装
工程で被塗装物に塗着しなかった粉体塗料を回収するも
のである。上記被塗装物に塗着しなかった粉体塗料とし
ては、粉体塗装ガンから吐出した未塗着の粉体塗料およ
び粉体塗装ガンから吐出せずに塗装装置内の流動槽や配
管パイプ内に滞留している粉体塗料などを挙げることが
できる。
【0053】上記粉体塗装ガンから吐出した未塗着の粉
体塗料の回収方法としては、粉体塗装ガンが備えられて
いる塗装室に接続されている回収管等から、配管を通じ
て捕集サイクロンにて回収する方法や粉体塗料を吸引可
能な装置を用いて直接的に回収する方法などを挙げるこ
とができる。なお、捕集サイクロンにて回収できない粒
径の極めて小さい微粉については、バグフィルタ等で回
収することができる。一方、粉体塗装ガンから吐出せず
に塗装装置内の流動槽や配管パイプ内に滞留している粉
体塗料は、装置のメインテナンスなどの適当な時期を選
んで、上記の直接回収する方法を用いることにより回収
することができる。
【0054】このようにして回収された粉体塗料は、上
記湿式法による粉体塗料製造工程の原料溶液を製造する
工程における原料として用いられる。なお、上記回収さ
れた粉体塗料について、分級操作などによって再使用可
能なものが分離できる場合には、分離したものをそのま
ま塗装することも可能である。その場合、再使用ができ
ない分については、上記湿式法による粉体塗料製造工程
の原料溶液を製造する工程の原料として用いることがで
きる。
【0055】粉体塗料リサイクルシステム 本発明の粉体塗料リサイクルシステムにおいては、図1
に示されるように、湿式法による粉体塗料製造工程で製
造された粉体塗料が、粉体塗料塗装工程において塗装さ
れ、被塗装物に対して塗着されなかった粉体塗料が粉体
塗料回収工程で回収される。この回収された粉体塗料
は、上記粉体塗料製造工程で原料として再利用される。
湿式法による粉体塗料製造工程、粉体塗料塗装工程およ
び粉体塗料回収工程を1ユニットとしたとき、上記回収
された粉体塗料を原料として利用することにより、ユニ
ットを連続的に実施することが可能となり、粉体塗料を
リサイクルできるシステムが構築できる。
【0056】ここでいう「連続的実施」とは、上記1ユ
ニットを2回以上続けて行うことを意味するが、本発明
の粉体塗料リサイクルシステムでは、これまで廃棄して
いた回収した粉体塗料を再利用することを第一の目的と
しているので、2回目のユニットは粉体塗料回収工程ま
で必ず行う必要はなく、粉体塗料塗装工程までが行われ
ていればよい。もちろん、上記ユニットを何回も繰り返
して実施することにより、再利用の効率が高まる。
【0057】なお、「連続的実施」における実施される
ユニット間およびユニットにおける構成要件間のインタ
ーバル時間の長さは限定されない。例えば、後述する理
由や何らかの事情で本発明のリサイクルシステムを一時
または一定期間中断し、それを再開した場合にも本発明
のシステムは継続しているものとみなされる。すなわ
ち、湿式法によって製造された粉体塗料の回収物が上記
ユニット中の成分に含有されるものは、本発明の範囲に
含まれることになる。
【0058】本発明のリサイクルシステムは一番最初
に、原料として粉体塗料を用いない湿式法による粉体塗
料の製造を行った後、この粉体塗料の塗装および回収を
行い、回収物を上記粉体塗料製造工程の原料として用い
ることによって開始される。本発明のリサイクルシステ
ムの最初の製造における原料成分種およびその配合比率
は、後の実施においても基本的に変わらないものであ
り、粉体塗料以外に原料として添加する成分を用いる場
合にも、添加成分の種類およびその配合比率はこれに従
うものである。ただし、本発明で得られる粉体塗料の性
能などを変更したい場合には、上記原料成分種およびそ
の配合比率を基にして、添加する熱硬化性樹脂成分、各
種添加剤および顔料などを決定することができる。この
ような変更を行った後の粉体塗料の製造は、変更時の原
料成分種およびその配合比率を基準として同様に行うこ
とができる。
【0059】なお、粉体塗料回収工程によって回収され
た粉体塗料が少量であるため、上記湿式法による粉体塗
料製造の生産性や経済性に問題が生じる場合には、本発
明の粉体塗料リサイクルシステムを中断し、上記回収さ
れた粉体塗料を貯蔵しておき、上記問題が生じなくなる
量になった時点で本発明の粉体塗料リサイクルシステム
を再実行する方法をとることができる。
【0060】
【実施例】製造例1 樹脂Aの製造 攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応容器にキシ
レン63重量部を仕込み、130℃に加温し、窒素雰囲
気下で3時間かけて以下の混合物を滴下した。 グリシジルメタクリレート 40重量部 スチレン 20重量部 メチルメタクリレート 35重量部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5重量部 t−ブチルパーオクトエート 7重量部
【0061】滴下後3時間保温した後、室温まで冷却し
樹脂A溶液(固形分濃度60重量%)を得た。また樹脂
A溶液の一部を減圧下で加熱しキシレンを留去すること
で樹脂Aを得た。得られた樹脂AのTgをDSC(示差
走査型熱分析計)で測定したところ60℃であり、また
SP値を濁度法で測定したところ10.9であった。ま
たGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)
で測定した数平均分子量は3500であった。
【0062】製造例2 樹脂Bの製造 製造例1と同様の反応容器にキシレン63重量部を仕込
み、130℃に加温し、窒素雰囲気下で3時間かけて以
下の混合物を滴下した。 グリシジルメタクリレート 40重量部 スチレン 20重量部 メチルメタクリレート 20重量部 2−エチルヘキシルメタアクリレート 20重量部 t−ブチルパーオクトエート 7重量部
【0063】滴下後3時間保温した後、室温まで冷却し
樹脂B溶液(固形分濃度60重量%)を得た。また樹脂
B溶液の一部を減圧下で加熱しキシレンを留去すること
で樹脂Bを得た。得られた樹脂BのTgをDSC(示差
走査型熱分析計)で測定したところ30℃であり、また
SP値を濁度法で測定したところ9.9であった。また
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で
測定した数平均分子量は3800であった。
【0064】 (実施例)湿式法による熱硬化性クリア粉体塗料リサイクルシステム 原料として粉体塗料を用いない湿式法による粉体塗料の製造A 樹脂A溶液(固形分濃度60重量%) 14.7重量部 樹脂B溶液(固形分濃度60重量%) 60.0重量部 1,10−デカンジカルボン酸 12.7重量部 YF−3919 0.1重量部 (東芝シリコーン社製ポリシロキサン系表面調整剤) ベンゾイン 0.3重量部 紫外線吸収剤 1.2重量部 ヒンダードアミン系酸化防止剤 1.0重量部 上記成分をサンドグラインドミルにて混合し、原料溶液
を調製した。次に、ゴーセノールGH−20(日本合成
化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度88%)8重
量部、イオン交換水90重量部からなる高分子水溶液に
上記の原料溶液を加えた。得られた混合物をホモジナイ
ザーを用いて混合することで懸濁液を調製した。ついで
得られた懸濁液にイオン交換水300重量部を加えて希
釈し、これを攪拌装置、温度調節器、還流管、減圧装置
を備えた容器に移した。
【0065】この懸濁液を140Torrまで減圧した
後、60℃まで昇温し分散相中の溶剤を系外に完全に留
去した。この懸濁液を冷却した後、吸引濾過により得ら
れた粒子を真空乾燥器を用い30℃で乾燥して熱硬化性
クリア粉体塗料A−1を得た。得られた熱硬化性クリア
粉体塗料A−1の粒径をコールターカウンター(コール
ターエレクトロクトロニクス社製)を用いて測定したと
ころ体積平均粒子径が10.1μmであった。
【0066】粉体塗料の塗装A−1 次に、被塗装物として50mm×300mmで厚さが
0.8mmであるリン酸処理鋼板平板に対して、上記で
得られた熱硬化性クリア粉体塗料A−1の100重量部
を、粉体塗装ガンを用いて塗装膜厚が50〜60μmに
なるように塗装した。
【0067】粉体塗料の回収A−1 被塗装物を20枚塗装した後、被塗装物に塗着しなかっ
た未塗着の粉体塗料と、粉体塗装ガンおよび配管内に滞
留している未吐出の粉体塗料との合計20重量部を回収
した。
【0068】粉体塗料の製造A−2 回収した粉体塗料20重量部にキシレン10重量部を加
えて混合および溶解して、回収した粉体塗料溶液を調製
した。次に、上記粉体塗料Aの製造に用いた原料溶液配
合に従い、60重量部の溶液を調製した。ここに、先に
得られた回収した粉体塗料溶液を400メッシュ(35
μm)のフィルタにて濾過した後に加え、原料溶液を製
造した。これを用いて、上記粉体塗料の製造Aと同様に
して、熱硬化性クリア粉体塗料A−2を得た。得られた
熱硬化性クリア粉体塗料A−2の粒径をコールターカウ
ンター(コールターエレクトロクトロニクス社製)を用
いて測定したところ体積平均粒子径が10.4μmであ
った。
【0069】粉体塗料の塗装A−2および粉体塗料の回
収A−2 上記粉体塗料の塗装A−1および粉体塗料の回収A−1
と同様に塗装および回収を行った。
【0070】粉体塗料の製造A−3〜5、粉体塗料の塗
装A−3〜5および粉体塗料の回収A−3〜5 上記粉体塗料回収A−2で回収された粉体塗料を用い
て、粉体塗料の製造A−2と同様にして、粉体塗料の製
造A−3を得、これを用いて塗装および回収(A−3)
を行った後、同様にしてさらに2回のユニット(粉体塗
料製造→塗装→回収)を繰り返した(A−4、5)。
【0071】 (比較例) 樹脂A(固形分濃度100重量%) 8.8重量部 樹脂B(固形分濃度100重量%) 36.0重量部 1,10−デカンジカルボン酸 12.7重量部 YF−3919 0.1重量部 (東芝シリコーン社製ポリシロキサン系表面調整剤) ベンゾイン 0.3重量部 ヒンダードアミン系酸化防止剤 1.0重量部 上記成分を原料として、混合機スーパーミキサー(日本
スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、さらに溶融
混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約100℃で溶
融混練した。その後、得られた溶融混練物を室温まで冷
却して粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用い
て粗粉砕し、さらに微粉砕機ジェットミルIDS−2型
(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕した。
得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチ
ック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を
除去することで熱硬化性クリア粉体塗料B−1を得た。
得られた熱硬化性クリア粉体塗料の粒径をコールターカ
ウンター(コールターエレクトロクトロニクス社製)を
用いて測定したところ体積平均粒子径が25.1μmで
あった。
【0072】被塗装物として50mm×300mmで厚
さが0.8mmであるリン酸処理鋼板平板に対して、上
記で得られた熱硬化性クリア粉体塗料100重量部を、
粉体塗装ガンを用いて塗装膜厚が50〜60μmになる
ように塗装した。被塗装物を20枚塗装した後、被塗装
物に塗着しなかった未塗着の粉体塗料と、粉体塗装ガン
および配管内に滞留している未吐出の粉体塗料合わせて
20重量部を回収した。
【0073】回収された粉体塗料20重量部を150メ
ッシュ(104μm)にて篩い分けし、異物を除去した
後、溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約10
0℃で溶融混練した。その後得られた溶融混練物を室温
まで冷却して粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)
を用いて粗粉砕し、さらに微粉砕機ジェットミルIDS
−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕
した。得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニュ
ーマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大
粒子を除去することで熱硬化性クリア粉体塗料B−2を
得ることができた。
【0074】評価試験 上記実施例および比較例で得られた熱硬化性クリア粉体
塗料A−1〜5およびB−1、2について、以下の項目
について評価した。評価結果を表1に示す。
【0075】<体積平均粒子径>得られた熱硬化性クリ
ア粉体塗料熱硬化性クリア粉体塗料A−1〜5およびB
−1、2の粒径をコールターカウンター(コールターエ
レクトロニクス社製)にて測定した。
【0076】<平滑性>得られた熱硬化性クリア粉体塗
料A−1〜4およびB−1をそれぞれ静電塗装により鉄
板に塗布し、145℃で25分間焼き付けて膜厚50μ
mの塗膜を形成した。得られた塗膜の外観を写像鮮明度
測定器(スガ試験機社製)で測定されたNSIC値
(%)で評価し、70%を合格とした。
【0077】<耐ブロッキング性>得られた熱硬化性ク
リア粉体塗料熱硬化性クリア粉体塗料A−1〜5および
B−1、2をインキュベーターにて30℃で2ヶ月貯蔵
し、150メッシュの振動篩を用いて篩を行った。評価
基準は次の通りである。 ○:通過した塗料が95%以上 ×:通過した塗料が95%未満
【0078】<耐固相反応性>得られた熱硬化性クリア
粉体塗料熱硬化性クリア粉体塗料A−1〜5およびB−
1、2をインキュベーターにて30℃で2ヶ月貯蔵し、
上記平滑性の評価と同様の方法で貯蔵後の平滑性の評価
を行い、(貯蔵後の平滑性(NSIC値))/(製造直
後の平滑性(NSIC値))×100によって平滑性
(NSIC値)の変化率を求め、これを耐固相反応性と
して評価した。評価基準は次の通りである。 ○:NSIC値の低下が5%未満 ×:NSIC値の低下が5%以上
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明の粉体塗料リサイクルシステム
は、従来廃棄されていた不要な粉体塗料を原料としてリ
サイクルするため、産業廃棄物が減少し、環境保全の観
点から有用である。これにより、原料の効率的な使用、
原料の総量に対する塗着効率の向上の実現が可能である
とともに、本発明の粉体塗料リサイクルシステムは特別
な装置を必要としないため、全体的なコストを低減する
ことができる。
【0081】また、本発明の粉体塗料の粉体塗料リサイ
クルシステムでは、製造方法として湿式法を用いている
ため、粉体塗料の性能に悪影響を及ぼす加熱が従来の乾
式法に比べて少なくてすむため、得られる粉体塗料の貯
蔵安定性や得られる塗膜の性能や物性も極めて良好であ
る。
【0082】さらに、本発明の粉体塗料リサイクルシス
テムでは、回収された粉体塗料を有機溶剤に溶解させて
いることから、これまで廃棄せざるを得なかった微粉に
ついても再利用することが可能になった他、濾過操作を
これに組み合わせることで、回収粉のゴミやホコリの除
去も効率的に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗料リサイクルシステムを示す全
体図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式法による粉体塗料製造工程、粉体塗
    料塗装工程および粉体塗料回収工程を1ユニットとし、
    前記粉体塗料回収工程によって回収された粉体塗料を有
    機溶剤に溶解して、前記粉体塗料製造工程の原料として
    用いることにより、前記ユニットを連続的に実施するこ
    とを特徴とする粉体塗料リサイクルシステム。
  2. 【請求項2】 前記湿式法による粉体塗料製造工程が、
    原料溶液を製造する工程(1)、前記工程(1)で得ら
    れた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ水溶液に混合し
    て懸濁液を製造する工程(2)および前記工程(2)で
    得られた懸濁液中の油滴を固化して粒子を取り出す工程
    (3)からなる請求項1記載の粉体塗料リサイクルシス
    テム。
  3. 【請求項3】 前記粉体塗料製造工程において、油滴の
    固化を行う前に濾過操作を行う、請求項2記載の粉体塗
    料リサイクルシステム。
  4. 【請求項4】 前記回収された粉体塗料がクリア粉体塗
    料である請求項1ないし3記載の粉体塗料リサイクルシ
    ステム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008073437A1 (en) * 2006-12-11 2008-06-19 Gmi Composities, Inc. Uses of waste stream from the production of powder coat

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008073437A1 (en) * 2006-12-11 2008-06-19 Gmi Composities, Inc. Uses of waste stream from the production of powder coat

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