JP2001064574A - 熱硬化性粉体塗料組成物 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料組成物

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JP2001064574A
JP2001064574A JP24663499A JP24663499A JP2001064574A JP 2001064574 A JP2001064574 A JP 2001064574A JP 24663499 A JP24663499 A JP 24663499A JP 24663499 A JP24663499 A JP 24663499A JP 2001064574 A JP2001064574 A JP 2001064574A
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powder coating
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thermosetting powder
acid compound
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Masami Yabuta
雅己 薮田
Atsushi Yamada
敦司 山田
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貯蔵安定性かつ得られる塗膜の平滑性に優れた
熱硬化性粉体塗料組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】湿式法によって製造される熱硬化性粉体塗
料組成物であって、上記熱硬化性粉体塗料組成物の原料
として、エポキシ基含有アクリル樹脂(a)および多価
カルボン酸化合物硬化剤(b)と、室温で液状である樹
脂(c)とを含有することを特徴とする熱硬化性粉体塗
料組成物である。ここで、先の湿式法は、原料を有機溶
剤に溶解することで原料溶液を製造する工程(1)、工
程(1)で得られた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ
水溶液に、上記曇点未満の温度で混合して、懸濁液を製
造する工程(2)および工程(2)で得られた懸濁液を
上記曇点以上の温度に加熱して二次油滴を得るととも
に、上記有機溶剤を系外に留去して粒子を取り出す工程
(3)を含んでいるものであってよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性粉体塗料
組成物に関し、特に、貯蔵安定性かつ得られる塗膜の平
滑性に優れた熱硬化性粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、大気中に放出される有機溶
剤を含まないことから、環境に対してやさしい塗料とし
て注目を浴びている。
【0003】粉体塗料は、加熱して溶融することにより
塗膜が得られるが、溶剤型塗料と比較すると、塗膜の平
滑性が不充分であった。塗膜の平滑性を向上するために
は、粉体塗料に含まれる成分、すなわち、原料の溶融粘
度を低減し、加熱溶融による流動性を向上させることが
必要となる。
【0004】しかしながら、原料の溶融粘度の低減を目
的として、融点が低い原料や分子量の低い原料を用いる
と、得られる塗膜の平滑性は向上するものの、耐ブロッ
キング性や耐固相反応性のような貯蔵安定性が低下す
る。従って、高い平滑性の塗膜を得ることと貯蔵安定性
とを両立させることは極めて困難であった。
【0005】また、特開平9−100414号公報で
は、湿式法を用いた狭い粒径分布を有する熱硬化性樹脂
粒子の製造が開示されているが、この方法は熱硬化性樹
脂粒子を水性媒体中で製造するため、貯蔵安定性の1つ
であるの耐固相反応性は向上できるが、耐ブロッキング
性と得られる塗膜の平滑性との両立は充分でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、貯蔵安定性かつ得られる塗膜の平滑性に優れた熱硬
化性粉体塗料組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、湿式法によっ
て製造される熱硬化性粉体塗料組成物であって、上記熱
硬化性粉体塗料組成物の原料として、エポキシ基含有ア
クリル樹脂(a)および多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)と、室温で液状である樹脂(c)とを含有するこ
とを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物を提供するもの
である。ここで、先の湿式法は、原料を有機溶剤に溶解
することで原料溶液を製造する工程(1)、工程(1)
で得られた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ水溶液
に、上記曇点未満の温度で混合して、懸濁液を製造する
工程(2)および工程(2)で得られた懸濁液を上記曇
点以上の温度に加熱して二次油滴を得るとともに、上記
有機溶剤を系外に留去して粒子を得る工程(3)を含ん
でいるものであってよい。ここで、工程(2)におい
て、同時に有機溶剤を系外に留去するものであってよ
い。また、例えば、先のエポキシ基含有アクリル樹脂
(a)が、エポキシ基含有アクリル樹脂Aとエポキシ基
含有アクリル樹脂Bとを含んでいて、(1)樹脂Aの数
平均分子量が2000〜4000、(2)樹脂AのTg
が40〜100℃、(3)(樹脂AのTg)−(樹脂B
のTg)が10℃以上、(4)(樹脂AのSP値)−
(樹脂BのSP値)が0.2〜1.5、(5)エポキシ
基含有アクリル樹脂(a)の固形分重量のうち、樹脂B
の固形分重量が50〜95重量%、(6)(樹脂BのS
P値)−(樹脂(c)のSP値)が0.01〜1.5、
(7)エポキシ基含有アクリル樹脂(a)および樹脂
(c)の固形分重量の合計100重量部のうち、前記樹
脂(c)の固形分重量が5〜70重量部である。また、
樹脂(c)は、数平均分子量が200〜5000であ
り、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオール化合
物、ポリエポキシ化合物からなる群から少なくとも1つ
選ばれるものであり、先のエポキシ基含有アクリル樹脂
(a)または先の多価カルボン酸化合物硬化剤(b)と
硬化可能な硬化官能基を有するものであってよい。
【0008】また、例えば、先の多価カルボン酸化合物
硬化剤(b)が、室温で結晶性固体である多価カルボン
酸化合物(b−1)、および、前記多価カルボン酸化合
物(b−1)と種類の異なるカルボン酸化合物(b−
2)を含んでおり、(I)室温で固体状であり、(I
I)示差走査型熱量計によって決定した先の多価カルボ
ン酸化合物硬化剤(b)の融点が、多価カルボン酸化合
物(b−1)の融点またはカルボン酸化合物(b−2)
の融点より低いことを特徴とするものである。
【0009】ここで、先の熱硬化性粉体塗料組成物が、
熱硬化性粉体クリア塗料組成物であってよい。
【0010】また、本発明は、下塗りまたは下塗りおよ
び中塗りが施された基板上に、ベース塗料を塗布する工
程、工程で得られたベース塗料が塗布された基板上に、
粉体塗料を塗布する工程、および、ベース塗料および粉
体塗料が塗布された基板を加熱する工程からなる複層塗
膜形成方法であって、粉体塗料が先の熱硬化性粉体塗料
組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法を提供
するものである。
【0011】さらに、本発明は、先の複層塗膜形成方法
によって得られる複層塗膜を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明における「室温」とは25
℃を、「固体状」とは一定の体積を有しかつ一定の形状
を有する状態を、「液状」とは一定の体積を有するが一
定の形状を有しない状態を意味する。
【0013】熱硬化性粉体塗料組成物 本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、エポキシ基含有ア
クリル樹脂(a)および多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)と、室温で液状である樹脂(c)を含んでいる。
【0014】<エポキシ基含有アクリル樹脂(a)>本
発明の熱硬化性粉体塗料組成物に含まれるエポキシ基含
有アクリル樹脂(a)としては、特に限定されず、具体
的には、1分子内に2つ以上のエポキシ基を有するアク
リル樹脂を挙げることができる。このようなエポキシ基
含有アクリル樹脂(a)としては、エポキシ基含有モノ
マーとエポキシ含有モノマーと反応しないその他のモノ
マーとを常法に従って重合させたものが用いられる。上
記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メチ
ルグリシジルメタクリレート等を例示することができ
る。また、上記エポキシ基含有モノマーと反応しないそ
の他のモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリ
カプロラクトンとの付加物(ダイセル化学工業社製、商
品名;プラクセルFMシリーズ)、ポリアルキレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート類などの水酸基含有モ
ノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)ア
クリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert
−ブチル、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチ
レン等の中性モノマー等を例示することができる。上記
エポキシ基含有モノマーおよび上記エポキシ基含有モノ
マーと反応しないその他のモノマーは、2種以上であっ
てもよい。
【0015】上記エポキシ基含有アクリル樹脂(a)
は、室温で固体状であることが好ましい。
【0016】また、上記エポキシ基含有アクリル樹脂
(a)のSP値としては、特に限定されないが、通常
9.0〜12.0であり、好ましくは9.0〜11.
0、さらに好ましくは9.5〜11.0である。なお、
本発明におけるSP値は、濁度法などの当業者によって
良く知られた方法によって求められるものである。
【0017】上記エポキシ基含有アクリル樹脂(a)の
Tgとしては、特に限定されないが、例えば、40〜1
50℃を挙げることができる。なお、本発明におけるT
gは、ガラス転移温度のことであり、示差走査型熱量計
等、当業者によってよく知られた各種測定器を用いて求
め得るが、共重合体を構成する既知のTgを有するモノ
マーの配合比から得ることも可能である。
【0018】さらに、上記エポキシ基含有アクリル樹脂
(a)の樹脂固形分のエポキシ当量は、100〜100
0、好ましくは150〜600、さらに好ましくは20
0〜400である。上記エポキシ当量が100より小さ
い場合は、得られる塗料の貯蔵安定性が低下する恐れが
ある。また、上記エポキシ当量が1000より大きい場
合は、得られる塗膜の性能が低下する恐れがある。
【0019】このようなエポキシ基含有アクリル樹脂
(a)は1種類であってもよいし、2種類以上であって
もよい。例えば、上記エポキシ基含有アクリル樹脂
(a)として、以下の条件を満たすエポキシ基含有アク
リル樹脂Aおよびエポキシ基含有アクリル樹脂Bを含む
ことにより、耐ブロッキング性および得られる塗膜の平
滑性がさらに良好な熱硬化性粉体塗料組成物を得ること
ができる。すなわち、上記樹脂Aおよび上記樹脂Bとし
て、(1)樹脂Aの数平均分子量が2000〜400
0、(2)樹脂AのTgが40〜100℃、(3)(樹
脂AのTg)−(樹脂BのTg)が10℃以上、(4)
(樹脂AのSP値)−(樹脂BのSP値)が0.2〜
1.5、(5)(樹脂Aの固形分重量)/(樹脂Bの固
形分重量)が5/95〜50/50を満たしているもの
を選択することが好ましい。上記樹脂Aと上記樹脂Bと
は、加熱によって互いに硬化反応するもの同士であって
もよいし、硬化反応しないもの同士であってもよい。上
記樹脂Aと樹脂Bとが加熱によって硬化反応しないもの
同士の場合でも、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、
さらに後述する硬化剤を含んでおり、樹脂Aおよび樹脂
Bが、この硬化剤と加熱により硬化反応をするため、充
分な塗膜性能を得ることができる。
【0020】上記樹脂Aの数平均分子量が2000より
小さい場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあ
り、4000より大きい場合は、得られる塗膜の平滑性
が低下する恐れがある。
【0021】また、上記樹脂AのTgが40℃より低い
場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、10
0℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する
恐れがある。
【0022】一方、(樹脂AのTg)−(樹脂BのT
g)が10℃より小さい場合は、耐ブロッキング性が低
下する。さらに、上記樹脂BのTgは20〜50℃であ
ることがさらに好ましい。樹脂BのTgが20℃以下の
場合は耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、50℃
より大きい場合は塗膜の平滑性が低下する恐れがある。
【0023】また、(樹脂AのSP値)−(樹脂BのS
P値)が0.2より小さい場合は、耐ブロッキング性が
低下し、1.5より大きい場合には得られる塗膜の外観
が低下する。
【0024】<多価カルボン酸化合物硬化剤(b)>本
発明の熱硬化性粉体塗料組成物に含まれる多価カルボン
酸化合物硬化剤(b)としては、室温で固体状であるも
のが好ましい。また、上記多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)の融点としては、特に限定されないが、60〜1
80℃であることが好ましく、80〜150℃であるこ
とがさらに好ましい。上記融点が60℃より低い場合
は、貯蔵安定性が低下する恐れがあり、180℃より高
い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する恐れがあ
る。
【0025】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に含まれ
る多価カルボン酸化合物硬化剤(b)としては、具体的
には、脂肪族多価カルボン酸化合物および芳香族多価カ
ルボン酸化合物を挙げることができる。上記脂肪族多価
カルボン酸化合物としては、例えば、デカンジカルボン
酸、アジピン酸、マレイン酸、マロン酸、エチルマロン
酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メ
チルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、メチル
グルタル酸、ジメチルグルタル酸、セバチン酸、アゼラ
イン酸、ピメリン酸、スベリン酸、1,11−ウンデカ
ン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、ヘキサデカ
ンカルボン酸、3−iso−オクチルヘキサンジカルボ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ブタントリカルボ
ン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、トリカルバ
リン酸等を例示することができる。
【0026】また、上記芳香族多価カルボン酸化合物と
しては、例えば、フタル酸等を例示することができる。
また、これらの酸無水物化合物としては、例えば、コハ
ク酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸無水
物等を挙げることができる。
【0027】本発明の多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)としては、上記のものの他に、合成によって得ら
れた多価カルボン酸化合物を用いることができ、具体的
には、多価アルコールと酸無水物との反応によって得ら
れた多価カルボン酸化合物、例えば、ブタンジオールと
コハク酸無水物から得られるブタンジオールスクシネー
ト、ヘキサンジオールとコハク酸無水物から得られるヘ
キサンジオールスクシネート、ノナンジオールとコハク
酸無水物から得られるノナンジオールスクシネート、お
よびネオペンチルグリコールとトリメリット酸無水物と
コハク酸無水物との1対1対1付加物などを例示するこ
とができる。
【0028】このような上記多価カルボン酸化合物硬化
剤(b)は2種類以上であってもよい。
【0029】さらに、得られる塗膜の外観の観点から、
上記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)としては、室温
で結晶性固体である多価カルボン酸化合物(b−1)、
および、上記多価カルボン酸化合物(b−1)と種類の
異なるカルボン酸化合物(b−2)を含んでおり、
(I)室温で固体状であり、(II)示差走査型熱量計
(以下、DSCと略記する)によって決定した上記多価
カルボン酸化合物硬化剤(b)の融点が、上記多価カル
ボン酸化合物(b−1)の融点または上記カルボン酸化
合物(b−2)の融点より低いものであることが好まし
い。
【0030】上記多価カルボン酸化合物(b−1)とし
ては、具体的には、上述した室温で固体状である多価カ
ルボン酸化合物のうち、室温で結晶性固体であるものを
挙げることができる。
【0031】また、上記カルボン酸化合物(b−2)と
しては、具体的には、上述した室温で固体状である多価
カルボン酸化合物で述べたものの他に、液状の多価カル
ボン酸化合物および室温での形態を限定されないモノカ
ルボン酸化合物等を挙げることができ、具体的には、ラ
ウリル酸、ステアリル酸等の脂肪族モノカルボン酸や、
8−エチルオクタデカン酸、ノナンジオールとヘキサヒ
ドロフタル酸無水物との1対2付加物等を挙げることが
できる。
【0032】上記多価カルボン酸化合物(b−1)およ
び上記カルボン酸化合物(b−2)は、2種類以上であ
ってもよい。
【0033】ここで、上記多価カルボン酸化合物(b−
1)、上記カルボン酸化合物(b−2)および上記多価
カルボン酸化合物硬化剤(b)の融点は、DSCによっ
て決定されるものである。
【0034】上記「融点」とは、上記化合物のDSC吸
収曲線において、急激に熱吸収を始める部分のうちの最
低温度で決定される。また、上記化合物のDSC吸収曲
線が緩やかな傾斜しか持たない場合は、最初の吸収が始
まる温度を融点と決定する。なお、ここでの決定は、上
記融点の相対的な関係を把握することが重要であり、こ
の融点が多少の誤差を含んでいてもよい。
【0035】また、得られる塗膜の外観の観点から、D
SCによって決定した上記多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)の融点は、上記多価カルボン酸化合物(b−1)
の融点または上記カルボン酸化合物(b−2)の融点よ
りも低いことが好ましく、上記多価カルボン酸化合物
(b−1)の融点および上記カルボン酸化合物(b−
2)の融点よりも低いことがさらに好ましい。
【0036】上記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)に
含まれる上記多価カルボン酸化合物(b−1)と上記カ
ルボン酸化合物(b−2)との重量比としては、特に限
定されず、当業者によって任意に設定されるものである
が、上記多価カルボン酸化合物(b−1)と上記カルボ
ン酸化合物(b−2)との重量比が50:50〜99:
1であることが好ましい。上記多価カルボン酸化合物
(b−1)の重量比が50より少ない場合は、上記多価
カルボン酸化合物硬化剤(b)が室温で固体状にならな
い恐れがあり、99より多い場合は、塗料に配合した場
合、得られる塗膜の外観向上が充分でない恐れがある。
【0037】<室温で液状である樹脂(c)>本発明の
熱硬化性粉体塗料組成物は、上記エポキシ基含有アクリ
ル樹脂(a)および上記多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)の他に、さらに室温で液状である樹脂(c)を含
んでいる。本発明における「液状」とは、一定の体積を
有しているが、一定の形状を有していない状態を意味す
る。この「液状」は、有機溶剤などの溶媒に溶解した樹
脂溶液の状態を意味するのではなく、溶媒のない状態で
液状であることを意味するものである。後述の本発明の
熱硬化性粉体塗料組成物を得るための湿式法において
は、樹脂溶液の状態のものを用いてもよいが、最終的に
得られる本発明の熱硬化性粉体塗料組成物中には、有機
溶剤などの溶媒は実質的に残存しない。
【0038】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に含まれ
る室温で液状である樹脂(c)としては、特に限定され
ず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂および各
種化合物等を例示することができる。上記室温で液状で
ある樹脂(c)は、縮重合、ラジカル重合等、当業者に
よってよく知られた方法によって得ることができる。
【0039】上記室温で液状である樹脂(c)は、得ら
れる塗膜の物性および性能の観点から、硬化性官能基を
有するものを用いることが好ましい。上記硬化性官能基
としては、特に限定されないが、水酸基、カルボキシル
基およびエポキシ基等を挙げることができる。上記硬化
性官能基の含有量としては、特に限定されないが、工業
的な入手の容易さ、取り扱いの容易さおよび得られる塗
膜の物性や性能を考慮して設定することが好ましい。
【0040】上記室温で液状である樹脂(c)が硬化性
官能基として水酸基を有する場合、その樹脂固形分の水
酸基価としては、特に限定されないが、例えば、上記室
温で液状である樹脂(c)がポリエステル樹脂であると
きは、30〜250が好ましく、50〜200がさらに
好ましい。また、上記室温で液状である樹脂(c)がア
クリル樹脂であるときは、100以下であることが好ま
しく、50以下であることがさらに好ましい。また、こ
こで樹脂(c)はポリオール化合物であってよく、その
場合には、樹脂固形分の水酸基価は30〜300である
ことが好ましく、50〜250であることがさらに好ま
しい。なお、上記ポリオール化合物としては、例えば、
プラクセル410C、プラクセル308、PGL06
(ダイセル化学工業社製)等を例示することができる。
【0041】また、上記室温で液状である樹脂(c)が
硬化性官能基としてカルボキシル基を有する場合、カル
ボキシル基に基づく樹脂固形分の酸価は、特に限定され
ないが、例えば、上記室温で液状である樹脂(c)がポ
リエステル樹脂であるときは、1〜180が好ましく、
5〜80がさらに好ましい。また、上記室温で液状であ
る樹脂(c)がアクリル樹脂であるときは、100以下
であることが好ましく、50以下であることがさらに好
ましい。
【0042】また、上記室温で液状である樹脂(c)が
硬化性官能基としてエポキシ基を有する場合、その樹脂
固形分のエポキシ価は、特に限定されないが、例えば、
上記室温で液状である樹脂(c)がアクリル樹脂である
ときは、180以下であることが好ましく、120以下
であることがさらに好ましい。また、ここで樹脂(c)
はポリエポキシ化合物であってよく、その場合には、樹
脂固形分エポキシ価は20〜650であることが好まし
く、30〜200であることがさらに好ましい。上記ポ
リエポキシ化合物としては、例えば、ST1000、S
T3000、YH−300、ディナコールEX−30
1、ディナコールEX−411、ディナコールEX−7
01、ディナコールEX−212(東都化成社製)、P
UE−106、PUE−107、PUE−201、セロ
キサイド2021(ダイセル化学工業社製)、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸のグリシジルエステル等を例示するこ
とができる。
【0043】なお、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に
含まれる室温で液状である樹脂(c)としては、工業的
な入手の容易さ、設計の自由度の観点から、上記室温で
液状であるポリエステル樹脂またはアクリル樹脂である
ことが好ましい。
【0044】上記室温で液状である樹脂(c)の数平均
分子量としては、特に限定されないが、耐ブロッキング
性および得られる塗膜の物性や性能の観点から、200
〜5000であることが好ましく、500〜5000で
あることがさらに好ましい。また、上記樹脂(c)のT
gとしては、特に限定されないが、耐ブロッキング性お
よび得られる塗膜の物性や性能の観点から、25℃以下
であることが好ましい。
【0045】さらに、上記室温で液状である樹脂(c)
のSP値としては、特に限定されないが、通常9.0〜
12.0であり、好ましくは9.0〜11.0、さらに
好ましくは9.5〜11.0である。
【0046】さらに、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
に含まれる上記エポキシ基を有するアクリル樹脂(a)
が、上記エポキシ基含有アクリル樹脂Aおよびエポキシ
基含有アクリル樹脂Bを含んでいる場合には、本発明の
熱硬化性粉体塗料組成物に含まれる室温で液状である樹
脂(c)としては、以下の条件を満たしていることが好
ましい。すなわち上記室温で液状である樹脂(c)が、
(6)(樹脂BのSP値)−(樹脂(c)のSP値)が
0.01〜1.5であり、(7)エポキシ基含有アクリ
ル樹脂(a)および樹脂(c)の固形分重量の合計10
0重量部のうち、上記樹脂(c)の固形分重量が5〜7
0重量部であることを満たしているものを選択すること
が好ましい。
【0047】(樹脂BのSP値)−(樹脂(c)のSP
値)の値が0.01より小さい場合は、耐ブロッキング
性が低下する恐れがあり、1.5より大きい場合は、塗
膜の外観が低下する恐れがある。
【0048】一方、上記エポキシ基含有アクリル樹脂
(a)および上記樹脂(c)の固形分重量の合計100
重量部のうち、上記樹脂(c)の固形分重量が5重量部
未満である場合は、得られる塗膜の平滑性の向上が充分
でない恐れがあり、70重量部より多い場合は、耐ブロ
ッキング性が低下する恐れがある。さらに、エポキシ基
含有アクリル樹脂(a)および樹脂(c)の固形分重量
の合計100重量部のうち、上記樹脂(c)の固形分重
量が、5〜50重量部、さらには、5〜20重量部であ
ることがさらに好ましい。
【0049】また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に
含まれるカルボン酸基の総量/エポキシ基の総量のモル
比は、5/10〜11/10であることが好ましく、7
/10〜10/10であることがさらに好ましい。上記
モル比が上記範囲外である場合は、得られた塗膜の硬化
性不良が発生する恐れがある。
【0050】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、着色
成分を含むこともできるが、被塗装物に対する塗装に用
いた際、被塗装物に塗着しなかったいわゆる回収粉を、
再使用する時の混色等の観点から、熱硬化性粉体クリア
塗料組成物であることが好ましい。ここで熱硬化性粉体
クリア塗料組成物とは、着色成分を全く含まないもの、
および、着色成分を含んでいてもその透明性が低下しな
いものである。上記着色成分とは、着色顔料のほか、染
料等を挙げることができる。
【0051】上記着色成分としては、例えば、二酸化チ
タン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシ
アニン系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの
着色顔料および染料等を例示することができる。
【0052】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、上記
原料の他に、必要に応じて粉体塗料の分野において、通
常用いられる各種添加剤等のその他の成分を含むことが
できる。
【0053】また、上記添加剤としては、例えば、タル
ク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなど
の体質顔料、AEROSIL 130、AEROSIL
200(日本アエロジル株式会社製)等の流動付与
剤、ジメチルシリコーンやメチルシリコーンなどのシリ
コーン類およびアクリルオリゴマーなどの表面調整剤、
ベンゾインやベンゾイン誘導体などのベンゾイン類に代
表される発泡防止剤、硬化促進剤(または硬化触媒)、
可塑剤、帯電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料
分散剤、難燃剤、流動付与剤、アミン化合物、イミダゾ
ール化合物、カチオン重合触媒等の硬化促進剤(または
硬化触媒)などを例示することができる。
【0054】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の体積平
均粒子径は、特に限定されないが、得られる塗膜の平滑
性、外観の観点から、5〜40μm、好ましくは5〜3
0μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
【0055】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得るた
めに好適に用いられる湿式法は、上記原料を、有機溶剤
に溶解することで原料溶液を製造する工程(1)、上記
工程(1)で得られた原料溶液を、30〜90℃の範囲
内に曇点を示す水溶性高分子を含んだ水溶液に、上記曇
点未満の温度で混合して、懸濁液を製造する工程(2)
および上記工程(2)で得られた懸濁液を上記曇点以上
の温度に加熱して二次油滴を得るとともに、上記有機溶
剤を系外に留去して粒子を得る工程(3)を含んでいる
ものであり、本発明においては曇点を利用する湿式法と
呼ぶ。
【0056】(1)原料溶液を製造する工程 湿式法における第1の工程は、上記原料を有機溶剤に溶
解して原料溶液を製造する工程である。この工程は上記
水溶性高分子の有する曇点利用の有無に関係しない。こ
こで言う「溶解」とは、完全に溶解させることまたは微
分散させてることを意味するものである。なお、貯蔵安
定性の観点から、上記多価カルボン酸化合物硬化剤
(b)は、上記有機溶剤に分散させておくことが好まし
い。この場合、後述の濾過操作においても残渣とならな
いほどの微分散の状態にしておく必要がある。
【0057】原料として用いられるエポキシ基含有アク
リル樹脂(a)としては、上述のものを利用することが
できる。
【0058】また、原料として用いられる多価カルボン
酸化合物硬化剤(b)としては、上述のものを利用する
ことができるが、上述したような室温で結晶性固体であ
る多価カルボン酸化合物(b−1)およびカルボン酸化
合物(b−2)とを含んでいる場合には、両者を混合す
ることによって得られたものを、多価カルボン酸化合物
硬化剤(b)として使用することができる。さらに、得
られる塗膜の性能および物性の観点から、混合が充分に
行われていることが好ましい。
【0059】上記両者を充分に混合する方法としては、
1つは、両者を粒径を小さくして混合する方法であり、
もう1つは、液状にして混合する方法である。得られる
塗膜の平滑性、性能および物性の観点から、液状にして
混合する方法が好ましい。
【0060】上記多価カルボン酸化合物(b−1)およ
びカルボン酸化合物(b−2)の粒径を小さくする場
合、混合によって最終的に得られる多価カルボン酸化合
物硬化剤(b)の体積平均粒子径が15μm以下になる
ようにすることが好ましく、10μm以下になるように
することがさらに好ましい。
【0061】粒径を小さくするためには、粉砕を行う必
要があるが、この粉砕は混合と同時に行うこともできる
し、混合する前に行っておくこともできる。また、予備
的に粉砕を行った後、混合時にさらに粉砕を行うことも
可能である。このような粉砕には、固体を粉砕するため
の通常よく知られている手段が利用できる。例えば、乳
鉢を用いることも可能であるが、工業的な見地からする
と、ヘンシェルミキサーなどの粉体塗料分野において用
いられている機器を目的に応じて選択することが好まし
い。このように粒径を小さくすることによって、上記多
価カルボン酸化合物(b−1)およびカルボン酸化合物
(b−2)とを充分に混合することが可能になる。な
お、上記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)を分散液の
形で使用する場合には、上記粉砕時に溶剤を共存させる
ことにより粉砕および混合を行うことができる。
【0062】一方、混合を充分に行うためのもう1つの
方法である液状にして混合する方法としては、2種類を
挙げることができる。1つは、上記多価カルボン酸化合
物(b−1)およびカルボン酸化合物(b−2)を同時
に溶融させた後、これを冷却して固化させるものであ
り、もう1つは、多価カルボン酸化合物(b−1)およ
びカルボン酸化合物(b−2)を適当な溶媒に溶解させ
た後、溶媒を留去して固化させるものである。それぞれ
の段階における具体的な条件は、用いる多価カルボン酸
化合物(b−1)およびカルボン酸化合物(b−2)の
種類に応じて、適宜設定することができる。なお、上記
溶解させる場合の適当な溶媒としては、特に限定され
ず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族
炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
デカリン等の脂環式炭化水素類、四塩化炭素、クロロホ
ルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素
類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソー
ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン
等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、石油エーテル、石油ベンジンを例示することができ
る。
【0063】また、このようにして得られた多価カルボ
ン酸化合物硬化剤(b)は、上述した粉砕に用いられる
手段によって、体積平均粒子径が15μm以下になるよ
うにすることが好ましく、10μm以下になるようにす
ることがさらに好ましい。
【0064】また、上記原料中のエポキシ基含有アクリ
ル樹脂(a)と上記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)
との比率は、上記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)の
カルボキシル基/上記エポキシ基含有アクリル樹脂
(a)のエポキシ基のモル比が、5/10〜11/1
0、好ましくは7/10〜10/10になるように設定
することができる。
【0065】また、必要に応じて、顔料、各種添加剤等
のその他の成分を原料として用いることができる。
【0066】上記有機溶剤としては、実質的に水不混和
性すなわち水に対する溶解度が10%以下で、常圧での
沸点が100℃未満のもの、または、水と共沸する性質
を有するものを用いることができる。具体的には、キシ
レン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル等を例示
することができる。
【0067】なお、原料溶液中の上記原料の固形分重量
は、特に限定されないが、例えば、30〜90重量%と
なるように調整することができる。上記原料に含まれる
エポキシ基含有アクリル樹脂(a)が、既に有機溶剤溶
液である場合、固形分重量が目的とする範囲にあれば、
改めて有機溶剤を添加しなくてもよい。
【0068】また、上記原料そのものに含まれていた、
あるいは原料溶液製造時に混入したゴミやホコリなどの
上記有機溶剤不溶成分を取り除くために、必要に応じ
て、濾過操作を行うことができる。この濾過操作として
は、フィルタ濾過など、当業者によってよく知られた方
法を用いることができる。
【0069】(2)曇点未満の温度で懸濁液を製造する
工程 上記湿式法における第2の工程は、上記第1の工程で得
られた原料溶液を、30〜90℃の範囲内に曇点を示す
水溶性高分子を含んだ水溶液に、上記曇点未満の温度で
混合して、油滴を含んだ懸濁液を製造する工程である。
【0070】上記30〜90℃の範囲内に曇点を示す水
溶性高分子としては、特に限定されず、具体的には、ケ
ン化度が85%より小さいポリビニルアルコール部分ケ
ン化物、部分ホルマー化物、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体などの部分的に疎水性基を含有するポリビニ
ルアルコール系重合体、メチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリエ
チレングリコールアルキルエーテルおよび、エチレング
リコールプロピレングリコールブロック共重合体等、そ
の水溶液を加温して30〜90℃の範囲内で曇点現象を
示すものを挙げることができる他、上記曇点を示さない
水溶性高分子に対して電解質を添加することによって3
0〜90℃の範囲内に曇点を付与したものを挙げること
ができる。この曇点を示す水溶性高分子は、1種類だけ
用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0071】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得るた
めの湿式法においては、粒径制御の観点から、上記曇点
を示さない水溶性高分子を組み合わせて用いることが好
ましい。
【0072】上記曇点を示さない水溶性高分子として
は、特に限定されず、具体的には、完全ケン化ポリビニ
ルアルコール、ケン化度が85%以上の部分ケン化ポリ
ビニルアルコールや、エチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ポリエチレングリコール等、その水溶
液を加温しても、100℃以下で曇点現象を示さないも
のを挙げることができる。この曇点を示さない水溶性高
分子は、1種類だけで用いてもよいし、2種類以上を組
み合わせて用いてもよい。上記30〜90℃の範囲内に
曇点を示す水溶性高分子と上記曇点を示さない水溶性高
分子とを併用する場合は、上記曇点を示さない水溶性高
分子の固形分重量/30〜90℃の範囲内に曇点を示す
水溶性高分子の固形分重量の比率は99/1〜10/9
0の範囲にあることが好ましい。この範囲を外れると、
後述する二次油滴の粒径制御が困難になる恐れがある。
【0073】この工程では、まず、撹拌機を備えた容器
に、上記30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分
子を含む水溶液を用意する。上記水溶液の水溶性高分子
濃度としては、混合性の観点から、0.02〜20重量
%であることが好ましい。
【0074】次にこの水溶性高分子水溶液に、第1の工
程において得られた原料溶液を加え、上記水溶性高分子
の有する曇点未満の温度で混合する。なお、30〜90
℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子を2種類以上混合
して用いる場合には、温度の低い方の曇点が支配的にな
る。従って、以下の工程における温度は、使用する水溶
性高分子のうち最も低い曇点により規定される。
【0075】上記第1の工程の段階において、すべての
原料溶液を混合して1つにせず、各原料をそれぞれ別々
で原料溶液化した場合は、この第2の工程においてこれ
ら原料溶液をこの水溶性高分子水溶液に対して別々に加
えてもよいが、得られる油滴の成分の均一性の観点か
ら、すべての原料溶液を混合して1つにした後、この水
溶性高分子水溶液に対して加えることが好ましい。
【0076】ここでの水溶性高分子を含む水溶液に対す
る原料溶液の混合比は、混合性の観点から、水溶性高分
子を含む水溶液の重量/原料溶液の固形分重量が0.5
/1〜3/1になるように設定されることが好ましい。
得られた混合液は撹拌され、必要に応じてイオン交換水
によって希釈されて、最終的に上記原料の固形分重量が
10〜50重量%である油滴を含んだ懸濁液が形成され
る。なお、撹拌には、混合液の粘度に応じて当業者によ
ってよく知られた撹拌機を用いることができる。
【0077】上記油滴の体積平均粒子径は、15μm以
下になることが好ましく、10μm以下であることがさ
らに好ましい。上記油滴の粒径は、任意にサンプリング
して粒径を測定することによって求めることができる。
【0078】なお、第1の工程と同様に、この工程もし
くはそれ以前に混入したゴミやホコリなどの上記有機溶
剤不溶成分を取り除くために、必要に応じて、濾過操作
を行うことができる。なお、この濾過操作は、後の工程
の油滴を固化するまでに少なくとも一度は行っておくこ
とが好ましい。
【0079】さらに、最終的に得られる熱硬化性粉体塗
料組成物の性質の観点から、この第2の工程で上記有機
溶剤の一部を系外に留去しておくことが好ましい。この
有機溶剤の留去は、懸濁液の温度を上記曇点未満の一定
温度に維持して行うこともできるが、次工程での二次油
滴の形成のための加熱を利用して行うことが効率的であ
る。この有機溶剤の留去は、上記原料溶液が熱硬化性を
有することを考慮すると、系を減圧にすることにより、
有機溶剤を留去する温度を低くして行うことが好まし
い。なお、有機溶剤の留去を、懸濁液の温度を上記曇点
未満の一定温度に維持して行う場合には、油滴内に残存
する有機溶剤量が、30重量%以下、好ましくは10重
量%以下、さらに好ましくは5重量%以下になるように
行うことができる。
【0080】(3)曇点以上の温度に加熱し二次油滴を
得るとともに、粒子を得る工程 上記湿式法における第3の工程は、上記第2の工程によ
って得られた懸濁液を上記曇点以上の温度に加熱して二
次油滴を得るとともに、上記有機溶剤を系外に留去して
粒子を得る工程である。
【0081】まず、上記第2の工程において得られた懸
濁液の温度を上記曇点以上の温度に加熱し、上記油滴を
凝集させて二次油滴を形成する。上記第2の工程によっ
て得られた懸濁液を曇点以上の温度に加熱することで、
上記懸濁液中の油滴が凝集し、二次油滴が形成される。
得られた二次油滴をサンプリングして粒径を測定し、目
的とする粒径となった時点で終了することができる。こ
の加熱は、用いられる水溶性高分子の種類や上記原料溶
液の性質により決定することができる。
【0082】得られる二次油滴を目的とする粒径にする
ためには、曇点を示さない水溶性高分子と30〜90℃
の範囲内に曇点を示す水溶性高分子との重量比率を調整
する方法の他に、二次油滴が所望の粒径に形成された時
点で懸濁液を水溶性高分子の曇点より低い温度に冷却
し、凝集による二次油滴の成長を停止させる方法を用い
ることができる。
【0083】ここで、上記30〜90℃の範囲内に曇点
を示す水溶性高分子は、上記油滴の凝集による二次油滴
の形成に作用すると考えられる。さらに水溶性高分子と
して曇点を示さない水溶性高分子を併用した場合、この
曇点を示さない水溶性高分子は、油滴の粒径制御のため
に作用すると考えられる。
【0084】さらに得られた二次油滴は、上記有機溶剤
を留去することによって固化することができる。上記有
機溶剤の留去は、加熱および/または減圧によって行い
うるが、固化して得られる粒子が熱硬化性を有している
ため、有機溶剤を留去する温度を低くするために、系を
減圧して有機溶剤を留去する温度を低くして行うことが
好ましい。また、この有機溶剤の留去は、二次油滴が固
化するまで行うことが好ましい。
【0085】固化して得られた粒子は、濾過やまたは遠
心分離のような通常の固液分離の方法を用いて単離され
る。これを水洗・乾燥することにより、最終的に粉体塗
料組成物を得ることができる。
【0086】このようにして得られた熱硬化性粉体塗料
組成物の体積平均粒子径は5〜40μm、好ましくは5
〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
【0087】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得るた
めの湿式法において、水溶性高分子の曇点を利用しな
い、いわゆる曇点を利用しない湿式法の場合には、第1
の工程で用いる水溶性高分子は、30〜90℃の範囲内
に曇点を示す水溶性高分子であっても曇点を示さない水
溶性高分子であっても構わない。また、第2の工程にお
ける温度は、曇点を示さない水溶性高分子のみを用いて
いる場合には、その温度は限定されないが、30〜90
℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子を含んでいる場合
には、上記曇点未満の温度で行う必要がある。そして、
上記第2の工程において、油滴を含んだ懸濁液を得た
後、さらに、第3の工程では、二次油滴の形成を行わず
に、上記有機溶剤を留去して粒子を得、固化して取り出
すことで、熱硬化性粉体塗料組成物を得ることができ
る。
【0088】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得る方
法としては、上記曇点を利用する湿式法と、曇点を利用
しない湿式法とがあるが、上記曇点を利用する湿式法を
用いた場合の方が、曇点を利用しない湿式法を用いた場
合と比べて、粒径制御しやすく、粒径分布幅の狭いシャ
ープな熱硬化性粉体塗料組成物を得ることができる。
【0089】なお、本発明における体積平均粒子径およ
び個数平均粒子径を求める方法としては、特に限定され
ず、電気抵抗法やレーザー光散乱法等、当業者によく知
られた方法を用いることができる。
【0090】さらに、得られた熱硬化性粉体塗料組成物
の表面に、AEROSIL 130、AEROSIL
200(日本アエロジル株式会社製)等の流動付与剤を
外添してもよい。上記流動付与剤は、粉体塗料自体に流
動性を与えるだけでなく、耐ブロッキング性も向上させ
ることができる。上記流動付与剤は、上記製造方法によ
って得られた熱硬化性粉体塗料組成物と混合することに
よって粉体粒子表面に付着させることができる。
【0091】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を用いた
塗膜形成方法は、被塗装物に対して、上記熱硬化性粉体
塗料組成物を静電塗装法等により、通常、塗装膜厚40
〜80μmとなるよう塗布し、これを加熱することで塗
膜を形成することができる。上記被塗装物としては、プ
ラスチックおよび鉄板、鋼板、アルミニウム板およびそ
れらに表面処理を施したもの等を挙げることができる。
また、加熱温度は、用いる熱硬化性粉体塗料組成物に応
じて適宜設定されるが、100〜200℃である。ま
た、加熱時間は、上記加熱温度により適宜調節すること
ができる。
【0092】複層塗膜形成方法 本発明の複層塗膜形成方法は、下塗りまたは下塗りおよ
び中塗りが施された被塗装物上に、ベース塗料を塗布す
る工程、上記工程で得られたベース塗料が塗布された被
塗装物上に、上記熱硬化性粉体塗料組成物を塗布する工
程、および、ベース塗料および上記熱硬化性粉体塗料組
成物が塗布された基板を加熱する工程からなる複層塗膜
形成方法である。
【0093】本発明の複層塗膜形成方法に用いられる被
塗装物は、下塗りまたは下塗りおよび中塗りが施されて
いるものである。上記被塗装物としては、上述の塗膜形
成方法で述べたもの等を挙げることができる。上記下塗
りおよび中塗りを施すために用いられる下塗り塗料およ
び中塗り塗料としては、電着塗料やプライマーなどの公
知のものを用いることができる。
【0094】上記ベース塗料としては、溶剤系、水性
等、特に限定されないが、環境保護の観点から水性のも
のを用いることが好ましい。上記ベース塗料は、上記下
塗りまたは下塗りおよび中塗りが施された基板に静電塗
装機等により、塗装膜厚10〜20μmとなるように塗
布される。
【0095】上記ベース塗料が塗布された基板を赤外線
もしくは熱風により、60〜100℃で約5〜10分間
予備的に加熱した後、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
を静電塗装法等により、塗装膜厚40〜80μmとなる
ように塗布し、これを加熱する。加熱温度は、熱硬化性
粉体塗料組成物に応じて適宜設定されるが、100〜2
00℃、好ましくは120〜180℃、さらに好ましく
は140〜160℃である。また、加熱時間は、上記加
熱温度により適宜調節することができるが、好ましくは
5〜40分、さらに好ましくは10〜25分である。
【0096】このように本発明の複層塗膜形成方法によ
って、複層塗膜を得ることができる。
【0097】
【実施例】製造例1〜6 エポキシ基含有アクリル樹脂
R1〜R6の調製 攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応容器にキシ
レン63重量部を仕込み、130℃に加温し、窒素雰囲
気下で3時間かけて表1に示したモノマー配合による混
合物を滴下した。
【0098】滴下後3時間保温した後、室温まで冷却
し、エポキシ基含有アクリル樹脂R1〜R6溶液(固形
分65重量%)を得た。表1のモノマー配合から、各樹
脂の樹脂固形分のエポキシ当量およびTgを求めた。ま
た、得られた各樹脂のSP値を濁度法にて、さらに、数
平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)にて測定した。得られた樹脂固形分のエポキ
シ当量、Tg、SP値および数平均分子量を表1に示し
た。
【0099】さらに、エポキシ基含有アクリル樹脂R1
溶液〜R6溶液を、減圧下で脱溶剤することで、固形分
100重量%のエポキシ基含有アクリル樹脂R1〜R6
を得た後、各樹脂の室温における形態を目視にて観察し
たところ、エポキシ基含有アクリル樹脂R3およびR4
は液状であった。
【0100】
【表1】
【0101】製造例7 ポリエステル樹脂P1の調製 攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応容器に、以
下の配合の原料を仕込み、220℃まで昇温しながら生
成する水を系外に除去した。 ヘキサヒドロフタル酸無水物 267.0重量部 ジトリメチロールプロパン 87.0重量部 カージュラーE−10 283.0重量部 (シェル社製モノエポキサイド) ジブチルスズオキサイド 1.2重量部
【0102】反応容器中から、適時、サンプリングを行
い、水酸化カリウム溶液を用いた酸価滴定によって測定
した酸価が5に達した時点で冷却し、キシレンを投入し
て希釈し、ポリエステル樹脂P1溶液(固形分65重量
%)を得た。得られた樹脂の最終酸価を測定したとこ
ろ、5以下であった。また、SP値および数平均分子量
を製造例1〜6と同様にして測定したところ、それぞれ
10.1および2000であった。
【0103】さらに、ポリエステル樹脂P1溶液を、減
圧下で脱溶剤することで、固形分100重量%のポリエ
ステル樹脂P1を得た後、樹脂の室温における形態を目
視にて観察したところ、液状であった。
【0104】製造例8 ポリエステル樹脂P2の調製 攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応容器に、以
下の配合の原料を仕込み、220℃まで昇温しながら生
成する水を系外に除去した。 ヘキサヒドロフタル酸無水物 24.0重量部 トリメチロールプロパン 12.0重量部 カージュラーE−10 25.0重量部 (シェル社製モノエポキサイド) ジブチルスズオキサイド 0.01重量部
【0105】反応容器中から、適時、サンプリングを行
い、水酸化カリウム溶液を用いた酸価滴定によって測定
した酸価が5に達した時点で冷却し、キシレンを投入し
て希釈し、ポリエステル樹脂P2溶液(固形分65重量
%)を得た。得られた樹脂の最終酸価を測定したとこ
ろ、5以下であった。また、SP値および数平均分子量
を製造例1〜6と同様にして測定したところ、それぞれ
10.0および1500であった。
【0106】さらに、ポリエステル樹脂P2溶液を、減
圧下で脱溶剤することで、固形分100重量%のポリエ
ステル樹脂P2を得た後、樹脂の室温における形態を目
視にて観察したところ、液状であった。
【0107】製造例9 多価カルボン酸化合物硬化剤H
1分散液の調製 コハク酸無水物をキシレンに分散させて、サンドグライ
ンドミルにて粉砕し、多価カルボン酸化合物硬化剤H1
分散液(固形分30重量%)を得た。得られた多価カル
ボン酸化合物硬化剤H1分散液の一部を減圧しキシレン
を除去した後、体積平均粒子径をコールターカウンター
(ベックマンコールター社製)にて測定したところ6μ
mであった。
【0108】製造例10 多価カルボン酸化合物硬化剤
H2およびその分散液の調製 コハク酸無水物と1,10−デカンジカルボン酸とを固
形分重量比1:3で混合した後、超遠心分散機にて粉砕
し多価カルボン酸化合物硬化剤H2を得た。得られた多
価カルボン酸化合物硬化剤H2を、製造例9と同様にし
て、体積平均粒子径を測定したところ6μmであった。
さらに、得られた多価カルボン酸化合物硬化剤H2をキ
シレンに分散させて、多価カルボン酸化合物硬化剤H2
分散液(固形分30重量%)を得た。
【0109】製造例11 多価カルボン酸化合物硬化剤
H3分散液の調製 テトラヒドロ無水フタル酸と1,10−デカンジカルボ
ン酸とを固形分重量比5:1で混合した後、セパラブル
フラスコに入れ、窒素雰囲気下で120℃にて加熱溶融
させた。その後冷却し得られた固体を、キシレンに分散
させ、サンドグラインドミルにて粉砕して多価カルボン
酸化合物硬化剤H3分散液(固形分30重量%)を得
た。得られた多価カルボン酸化合物硬化剤H3分散液の
一部について減圧しキシレンを除去した後、製造例9と
同様にして体積平均粒子径を測定したところ6μmであ
った。
【0110】製造例12 多価カルボン酸化合物硬化剤
H4分散液の調製 テトラヒドロ無水フタル酸とデカンジカルボン酸との固
形分重量比を6:7としたこと以外は、製造例10と同
様にして、多価カルボン酸化合物硬化剤H4分散液(固
形分30重量%)を得た。得られた多価カルボン酸化合
物硬化剤H4分散液の一部について減圧しキシレンを除
去した後、製造例9と同様にして体積平均粒子径を測定
したところ6μmであった。
【0111】製造例13 多価カルボン酸化合物硬化剤
H5分散液の調製 1,10−デカンジカルボン酸をキシレンに分散させ
て、サンドグラインドミルにて粉砕し、多価カルボン酸
化合物硬化剤H5分散液(固形分30重量%)を得た。
得られた多価カルボン酸化合物硬化剤H5分散液の一部
について減圧しキシレンを除去した後、製造例9と同様
にして体積平均粒子径を測定したところ6μmであっ
た。
【0112】製造例14 多価カルボン酸化合物硬化剤
H1の粉砕 コハク酸無水物を超遠心分散機にて粉砕し、多価カルボ
ン酸化合物硬化剤H1を得た。得られた多価カルボン酸
化合物硬化剤H1の体積平均粒子径を製造例9と同様に
して測定したところ6μmであった。
【0113】 実施例1 本発明の熱硬化性粉体塗料組成物C1 エポキシ基含有アクリル樹脂R1溶液 38.5重量部 (樹脂固形分65重量%) エポキシ基含有アクリル樹脂R2溶液 18.5重量部 (樹脂固形分65重量%) 多価カルボン酸化合物硬化剤H1分散液 43.3重量部 (固形分30重量%) ポリエステル樹脂P1溶液 76.9重量部 (樹脂固形分65重量%) シリコーン系表面調整剤 0.2重量部 アクリル系表面調整剤 0.2重量部 紫外線吸収剤 1.0重量部 酸化防止剤 1.0重量部 ベンゾイン 0.5重量部
【0114】上記原料をサンドグラインドミルにて混合
し、原料溶液を調製した。次に、ゴーセノールGH−2
0(日本合成化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度
88%、曇点なし)6重量部、ゴーセノールKL−05
(日本合成化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度8
0%、曇点約80℃)3重量部及びヒドロキシプロピル
セルロース(曇点約50℃)1重量部、イオン交換水9
0重量部からなる高分子水溶液に上記原料溶液を加え
た。得られた混合物をホモジナイザーを用いて25℃に
てさらに混合することで懸濁液を調製した。得られた懸
濁液中の油滴の体積平均粒子径を製造例9と同様にして
測定し、表2に示した。
【0115】得られた懸濁液にイオン交換水300重量
部を加えて希釈し、これを攪拌装置、温度調節器、還流
管、減圧装置を備えた容器に移した。
【0116】この各懸濁液を30Torrまで減圧した
後35℃まで加熱した。その後さらに140Torrま
で減圧した後、60℃まで加熱して二次油滴を得た後、
分散相中の溶剤を系外に完全に留去することによって固
化し粒子を得た。この懸濁液を冷却した後、吸引濾過に
より得られた粒子を真空乾燥器を用い30℃で乾燥して
熱硬化性粉体塗料組成物C1を得た。得られた粉体塗料
組成物C1の体積平均粒子径および個数平均粒子径をコ
ールターカウンタ(ベックマンコールター社製)を用い
て測定し、測定結果および体積平均粒子径/個数平均粒
子径の値を表2に示した。
【0117】実施例2〜8 本発明の熱硬化性粉体塗料
組成物C2〜C8 表2に示す配合に基づき、それぞれ原料をサンドグライ
ンドミルにて混合し、各原料溶液を調製したこと以外、
実施例1と同様にして熱硬化性粉体塗料組成物C2〜C
8を得た。なお、各懸濁液中の油滴の体積平均粒子径、
得られた各熱硬化性粉体塗料組成物の体積平均粒子径お
よび個数平均粒子径を実施例1と同様にして測定し、測
定結果および体積平均粒子径/個数平均粒子径の値を表
2に示した。
【0118】比較例1〜4 乾式法によって製造された
熱硬化性粉体塗料組成物C9〜C12 表2に示した配合に基づき、各原料をヘンシェルミキサ
ーにて約3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー
(ブス社製)を用いて設定温度約95℃で溶融混練し
た。その後、得られた各溶融混練物を室温まで冷却して
再びヘンシェルミキサーで粗砕し、次いでハンマーミル
で粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕した。得ら
れた各粉体を200メッシュの篩を用いて分級し、微小
粒子と粗大粒子を除去することで、熱硬化性粉体塗料組
成物C9〜C12を得た。得られた各熱硬化性粉体塗料
組成物の体積平均粒子径および個数平均粒子径を実施例
1と同様にして測定し、測定結果および体積平均粒子径
/個数平均粒子径の値を表2に示した。
【0119】評価試験 <平滑性>得られた各熱硬化性粉体塗料組成物を静電塗
装によって鉄板に塗装し、145℃で25分間焼き付け
て膜厚50μmの塗膜を形成した試験片を得た。得られ
た塗膜の中心線平均粗さ(Ra)を表面粗さ形状測定機
(東京精密社製)を用いて測定し、Raが0.30以下
を合格とした。結果を表2に示した。
【0120】<塗膜外観>上記平滑性の試験に用いた試
験片の塗膜を目視にて評価した。結果を表2に示した。
なお、評価基準は以下の通りとした。 ◎ :非常に良好 ○ :良好 × :ツヤぼけ
【0121】<耐ブロッキング性>得られた各熱硬化性
粉体塗料組成物をインキュベーターにて30℃で2週間
貯蔵したものについて、振動篩を用いて篩通過試験を行
い、150メッシュを90%以上通過した塗料を合格
(○)とした。結果を表2に示した。
【0122】
【表2】
【0123】表2の結果から明らかなように、エポキシ
基含有アクリル樹脂(a)、多価カルボン酸化合物硬化
剤(b)および室温で液状である樹脂(c)を原料とし
て含み、湿式法によって製造される熱硬化性粉体塗料組
成物は、得られる塗膜の平滑性および、塗膜外観、さら
に、耐ブロッキング性が良好であった。
【0124】
【発明の効果】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、エ
ポキシ基含有アクリル樹脂、多価カルボン酸化合物硬化
剤および室温で液状の樹脂を原料として含み、湿式法に
よって製造されることから、貯蔵安定性かつ得られる塗
膜の平滑性に優れている。これは、室温で液状の樹脂を
含むことにより、塗装後の加熱時に溶融粘度を低減する
ことができ、流動性が向上することによると考えられ
る。また、製造時に原料に対する加熱が少なく、固相反
応が小さいことによると考えられる。
【0125】また、上記エポキシ基含有アクリル樹脂が
2種類の特定の樹脂特数を持ち、かつ、室温で液状の樹
脂と特定の関係を持つエポキシ基含有樹脂を含むこと
で、さらに貯蔵安定性を向上することができる。これ
は、湿式法による製造によって、分散媒である水に接触
している粒子の外殻では、より高いTgおよびSP値を
持つ樹脂Aの濃度は、樹脂Bの濃度に比べて高くなって
いるものと思われる。結果的に本発明の熱硬化性粉体塗
料組成物の外殻は、内部よりも高いTgを持ち、このこ
とによって耐ブロッキング性が改良されたものと考えら
れる。一方、熱硬化性粉体塗料組成物全体としてみた場
合のTgは、当然外殻のTgよりも低下するため、得ら
れる塗膜の平滑性を維持することができると考えられ
る。
【0126】さらに、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
に含まれる多価カルボン酸化合物硬化剤が、2種類の化
合物を含み、かつ、特定の挙動を示すものである場合
は、得られる塗膜の外観を向上することができる。これ
は、硬化剤の凝集力が低下して、系全体の相溶性が向上
したことによると考えられる。また、この時の多価カル
ボン酸化合物硬化剤の融点を低くすることが可能である
ため、加熱温度を低温にすることができる。
【0127】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、粉体
形状が整っており、粒径分布も狭いことから、微粉の量
が極めて少なく、回収分も新しい塗料と同様に使用する
ことができ、さらに、搬送性や塗着効率等の塗装作業性
も優れている。また、薄膜塗装した際にも平滑性に優れ
た塗膜を得ることができる。
【0128】本発明の複層塗膜の形成方法は、先の熱硬
化性粉体塗料組成物を使用するため、平滑性に優れた複
層塗膜を得ることができる。従って、本発明の複層塗膜
形成方法によって得られる複層塗膜は、高外観が要求さ
れる自動車車体に適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/06 C09D 201/06 Fターム(参考) 4D075 EA02 EA19 EB22 EB35 EC37 4J038 CG001 CG002 CG141 CG142 CH171 CH172 DB001 DB002 DB211 DB212 DD001 DD002 GA03 GA06 GA07 JA39 JA41 KA03 KA06 LA00 LA03 MA13 MA14 NA01 NA26 PA02 PA07 PA19

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湿式法によって製造される熱硬化性粉体塗
    料組成物であって、前記熱硬化性粉体塗料組成物の原料
    として、エポキシ基含有アクリル樹脂(a)および多価
    カルボン酸化合物硬化剤(b)と、室温で液状である樹
    脂(c)とを含有することを特徴とする熱硬化性粉体塗
    料組成物。
  2. 【請求項2】前記湿式法が、前記原料を有機溶剤に溶解
    することで原料溶液を製造する工程(1)、前記工程
    (1)で得られた原料溶液を、30〜90℃の範囲に曇
    点を示す水溶性高分子を含んだ水溶液に、前記曇点未満
    の温度で混合して、油滴を含んだ懸濁液を製造する工程
    (2)および前記工程(2)で得られた懸濁液を前記曇
    点以上の温度に加熱して二次油滴を得るとともに、前記
    有機溶剤を系外に留去して粒子を得る工程(3)を含む
    ものである請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記工程(2)において、同時に前記有機
    溶剤を系外に留去するものである請求項2に記載の熱硬
    化性粉体塗料組成物。
  4. 【請求項4】前記30〜90℃の範囲に曇点を示す水溶
    性高分子を含む水溶液が、さらに曇点を示さない水溶性
    高分子を含んでいる請求項2または3に記載の熱硬化性
    粉体塗料組成物。
  5. 【請求項5】前記エポキシ基含有アクリル樹脂(a)
    が、エポキシ基含有アクリル樹脂Aとエポキシ基含有ア
    クリル樹脂Bとを含んでいて、(1)樹脂Aの数平均分
    子量が2000〜4000、(2)樹脂AのTgが40
    〜100℃、(3)(樹脂AのTg)−(樹脂BのT
    g)が10℃以上、(4)(樹脂AのSP値)−(樹脂
    BのSP値)が0.2〜1.5、(5)エポキシ基含有
    アクリル樹脂(a)の固形分重量のうち、前記樹脂Bの
    固形分重量が50〜95重量%、(6)(樹脂BのSP
    値)−(樹脂(c)のSP値)が0.01〜1.5、
    (7)エポキシ基含有アクリル樹脂(a)および樹脂
    (c)の固形分重量の合計100重量部のうち、前記樹
    脂(c)の固形分重量が5〜70重量部である請求項1
    ないし4のいずれか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成
    物。
  6. 【請求項6】前記樹脂(c)の数平均分子量が200〜
    5000である請求項1ないし5のいずれか1つに記載
    の熱硬化性粉体塗料組成物。
  7. 【請求項7】前記樹脂(c)が、ポリエステル樹脂、ア
    クリル樹脂、ポリオール化合物、ポリエポキシ化合物か
    らなる群から少なくとも1つ選ばれる請求項1ないし6
    のいずれか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  8. 【請求項8】前記樹脂(c)が、前記エポキシ基含有ア
    クリル樹脂(a)または前記多価カルボン酸化合物硬化
    剤(b)と硬化可能な硬化官能基を有する請求項1ない
    し7のいずれか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  9. 【請求項9】前記多価カルボン酸化合物硬化剤(b)
    が、室温で結晶性固体である多価カルボン酸化合物(b
    −1)、および、前記多価カルボン酸化合物(b−1)
    と種類の異なるカルボン酸化合物(b−2)を含んでお
    り、(I)室温で固体状であり、(II)示差走査型熱
    量計によって決定した前記多価カルボン酸化合物硬化剤
    (b)の融点が、前記多価カルボン酸化合物(b−1)
    の融点または前記カルボン酸化合物(b−2)の融点よ
    り低いことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1
    つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  10. 【請求項10】前記熱硬化性粉体塗料組成物が、熱硬化
    性粉体クリア塗料組成物である請求項1ないし9のいず
    れか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  11. 【請求項11】下塗りまたは下塗りおよび中塗りが施さ
    れた基板上に、ベース塗料を塗布する工程、前記工程で
    得られたベース塗料が塗布された基板上に、粉体塗料を
    塗布する工程、および、前記ベース塗料および前記粉体
    塗料が塗布された基板を加熱する工程からなる複層塗膜
    形成方法であって、前記粉体塗料が請求項1ないし10
    のいずれか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物である
    ことを特徴とする複層塗膜形成方法。
  12. 【請求項12】請求項11記載の複層塗膜塗膜形成方法
    によって得られる複層塗膜。
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