JP2000185972A - セラミック組成物及びセラミック多層基板 - Google Patents

セラミック組成物及びセラミック多層基板

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JP2000185972A
JP2000185972A JP10362535A JP36253598A JP2000185972A JP 2000185972 A JP2000185972 A JP 2000185972A JP 10362535 A JP10362535 A JP 10362535A JP 36253598 A JP36253598 A JP 36253598A JP 2000185972 A JP2000185972 A JP 2000185972A
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low
ceramic
temperature sintered
point metal
melting
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Harufumi Bandai
治文 萬代
Atsushi Kumano
篤 熊野
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温焼結セラミック基板との接合性に優れ、
熱伝導性、電気伝導性、誘電性に関して所望の特性を有
し、基板強度や基板特性に優れたセラミック多層基板を
提供すること。 【解決手段】 BAS等の低温焼結セラミック材料にC
u、Ag等の低融点金属を混合してなるセラミック層1
1と、前記低温焼結セラミック材料を主成分とする低温
焼結セラミック基板12a、12b、12c、12d及
び12eとを積層、焼成してなるセラミック多層基板1
0。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品等に用い
るセラミック組成物、及び、これを用いたセラミック多
層基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス分野における電
子部品の性能向上は著しく、特に、情報化社会を支える
大型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、移動通信
端末等に代表される情報処理装置では、情報処理速度の
高速化、装置の小型化、多機能化などが進められてい
る。このような情報処理装置の性能向上は、主として、
VLSI、ULSI等の半導体デバイスの高集積化、高
速化、高機能化によって実現されている。しかしなが
ら、半導体デバイスが高速化、高性能化しても、デバイ
スとデバイスとを接続する基板上での信号遅延やクロス
トーク、インピーダンスのミスマッチ、電源変動等によ
るノイズによって、システムとしての動作が制限される
ことがあった。
【0003】このため、高速かつ高性能な情報処理を行
う電子部品として、高性能の半導体デバイスをセラミッ
ク基板上に複数実装した、いわゆるマルチチップモジュ
ール(MCM)が実用化されている。このようなモジュ
ールにおいて、LSI等の実装密度を高め、各LSI間
を電気的に良好に接続するためには、線路導体を3次元
的に配したセラミック多層基板が有用であり、従来は、
セラミック多層基板用の材料としてアルミナを用いてい
た。
【0004】しかしながら、アルミナは焼成温度が13
00℃以上と高いため、内層用の線路導体として、高融
点金属であるタングステンやモリブデンなどを使用する
必要があるが、これらの高融点金属は比抵抗が大きく、
高密度配線化が難しいといった問題点がある。さらに、
アルミナは誘電率が約10と大きく、実装した半導体デ
バイスを高速で動作させたときの信号遅延が大きくなっ
たり、シリコンと比べて熱膨張率が大きく異なるため、
半導体デバイスの実装時には、熱サイクルによる信頼性
の低下等の問題も生じることがあった。
【0005】そこで、これらの問題を解決するため、セ
ラミック組成物とガラス成分との複合材料である低温焼
結セラミック材料の研究が活発に行われており、多層モ
ジュールや多層デバイス等に用いるセラミック多層基板
用材料として実用化されている。低温焼結セラミック材
料は、母材としてのセラミック組成物にガラス成分を混
合せしめた材料であり、これによって、焼成温度を低下
させ、材料物性や焼成温度に対する設計の自由度を大幅
に広げることが可能となった。特に、低温焼結セラミッ
ク材料は、比抵抗の小さな銀、銅等の低融点金属を電極
材料として同時焼成できるので、高周波特性に優れたセ
ラミック多層基板を形成できる。
【0006】図18を参照に、低温焼結セラミック基板
を用いた従来のチップ多層ディレイライン構造を説明す
る。
【0007】チップ多層ディレイライン60は、低温焼
結セラミック基板63内にミアンダ状のストリップライ
ン61を有し、その上下にグランド電極62a及び62
bを配して構成されており、分布定数線路的な振る舞い
を示す。また、ストリップライン61は、外部電極65
aから入力された信号を外部電極65bに導くように構
成されており、グランド電極62a及び62bは外部電
極64a及び64bにそれぞれ接続されている。
【0008】ここで、ストリップライン61が同じ線路
長の場合は、低温焼結セラミック基板63の誘電率を高
くした方が大きな遅延量が得られるが、この場合、特性
インピーダンスが小さくなるので、同程度の特性インピ
ーダンスを得るためには、低温焼結セラミック基板63
の厚みを厚くしなければならず、チップの小型化を妨げ
ることになる。
【0009】次に、図19を参照に、低温焼結セラミッ
ク基板を用いた従来のチップ多層LCフィルタ構造を説
明する。
【0010】チップ多層LCフィルタ70は、低温焼結
セラミック基板73内に、インダクタ用電極72a、7
2b及び72cや、キャパシタ用電極71a及び71b
を有しており、インダクタやキャパシタのパターンでL
C共振器を形成している。そして、インダクタやキャパ
シタの外側には、グランド電極74a及び74bが形成
されており、それぞれ外部電極76a及び76bに接続
されている。また、インダクタやキャパシタは外部電極
75aや76bに接続される。
【0011】チップ多層LCフィルタ70において、L
C共振器の中心周波数を下げるためには、インダクタン
スやキャパシタンスを大きくするのが一般的な方法であ
るが、チップ寸法には制限があるので、これらの値の増
大化には限度がある。また、誘電率の高い基板を用いれ
ば中心周波数を下げることができるが、特性インピーダ
ンスも低下すると同時に、不要なカップリング(浮遊容
量)が増え、LC共振器としての特性が劣化する。
【0012】そこで、誘電率の小さな低温焼結セラミッ
ク基板の間に高誘電率の誘電体セラミック層を設け、誘
電体セラミック層にストリップライン、キャパシタ、イ
ンダクタ等の受動部品を配し、低温焼結セラミック基板
にグランド電極、必要によってはインダクタ等を配する
といったセラミック多層基板構造が提案されている。こ
のような構成のセラミック多層基板は、受動部品の特性
に優れ、特性インピーダンスの変動が小さく、中心周波
数を低下させ、浮遊容量が小さい等の数々の利点を有し
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、高誘電率の誘電体セラミック層は、低誘電率の低温
焼結セラミック基板とは構成成分が異なり、誘電体セラ
ミック層と低温焼結セラミック基板との間で成分の相互
拡散が起こって誘電率やQ値等の基板特性が損なわれた
り、また、焼成時の熱膨張や収縮差によって亀裂やボイ
ドが発生して基板強度が低下することがあった。さら
に、低温焼結セラミック基板の熱伝導率は一般的に2〜
3W/(m・K)と小さく、熱放散性が低いので、パワ
ーアンプなどの発熱量が大きい電子部品を実装する場
合、電子部品の温度が上昇して動作が不安定になり、基
板特性が低下することがあった。
【0014】これに対して、半導体IC等の実装部品の
放熱を円滑に行うために、例えば図20に示すように、
キャパシタ17やインダクタ18を内蔵するセラミック
多層基板82と実装部品22との間に熱放散性に優れた
アルミニウム等の金属板81を配置し、キャパシタ17
及びインダクタ18と実装部品22とをワイヤボンディ
ング用パッド23a及び23bやワイヤ24で接続した
構造が知られているが、この場合は、金属板81と低温
焼結セラミック多層基板82とは接合性が低く、基板強
度が劣化することがあり、また、その製造工程が複雑に
なる。
【0015】本発明は、上述した従来の問題点を解決す
るものであり、その目的は、熱伝導性、電気伝導性、誘
電性等に関して所望の特性を有するセラミック組成物を
提供することにある。
【0016】本発明のさらに他の目的は、低温焼結セラ
ミック基板との接合性に優れ、熱伝導性、電気伝導性、
誘電性等に関して所望の特性を有し、基板強度や基板特
性に優れたセラミック多層基板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、低温焼
結セラミック材料と、前記低温焼結セラミック材料と同
時焼結可能な低融点金属とを混合し、さらに焼成してな
ることを特徴とするセラミック組成物に係るものであ
る。
【0018】また、本発明のセラミック組成物は、前記
低融点金属を、銅、銀及び金からなる群より選ばれた少
なくとも1種の金属とすることを特徴とする。
【0019】また、本発明のセラミック組成物は、前記
低融点金属の平均粒径を1〜10μmとすることを特徴
とする。
【0020】また、本発明のセラミック組成物は、前記
低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して10
〜80体積%混合してなり、熱伝導性を付与したことを
特徴とする。
【0021】また、本発明のセラミック組成物は、前記
低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して30
〜80体積%混合してなり、高熱伝導性及び電気伝導性
を付与したことを特徴とする。
【0022】また、本発明のセラミック組成物は、前記
低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して10
〜30体積%混合してなり、誘電性及び絶縁性を付与し
たことを特徴とする。
【0023】さらに、本発明は、低温焼結セラミック材
料と、前記低温焼結セラミック材料と同時焼結可能な低
融点金属とを混合してなる第1セラミック層と、前記低
温焼結セラミック材料を主成分とする第2セラミック層
とを積層し、さらに焼成してなることを特徴とするセラ
ミック多層基板に係るものである。
【0024】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記低融点金属を、銅、銀及び金からなる群より選ばれた
少なくとも1種の金属とすることを特徴とする。
【0025】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記低融点金属の平均粒径を1〜10μmとすることを特
徴とする。
【0026】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して1
0〜80体積%混合してなる第1セラミック層を、熱伝
導性を有する熱放散層として用いることを特徴とする。
【0027】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して3
0〜80体積%混合してなる第1セラミック層を、高熱
伝導性及び電気伝導性を有する導電性熱放散層として用
いることを特徴とする。
【0028】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記熱放散層又は前記導電性熱放散層上に表面実装部品を
配置する、或いは、前記熱放散層又は前記導電性熱放散
層と表面実装部品とをサーマルビアを介して接続するこ
とを特徴とする。
【0029】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対して1
0〜30体積%混合してなる第1セラミック層を、誘電
性及び絶縁性を有する絶縁性誘電体層として用いること
を特徴とする。
【0030】また、本発明のセラミック多層基板は、前
記絶縁性誘電体層に受動部品を配することを特徴とす
る。
【0031】本発明のセラミック組成物は、低温焼結セ
ラミック材料と、前記低温焼結セラミック材料と同時焼
結可能な低融点金属とを混合し、さらに焼成してなるの
で、低温焼結セラミック材料と低融点金属との混合比率
や、低融点金属の平均粒径などを適宜調節することによ
って、熱伝導性、電気伝導性、誘電性等に関して所望の
特性を有するセラミック組成物が得られる。
【0032】また、本発明のセラミック多層基板は、低
温焼結セラミック材料と、前記低温焼結セラミック材料
と同時焼結可能な低融点金属とを混合してなる第1セラ
ミック層と、前記低温焼結セラミック材料を主成分とす
る第2セラミック層とを積層し、さらに焼成してなるの
で、第1セラミック層と第2セラミック層は良好に接合
し、また、低温焼結セラミック材料と低融点金属との混
合比率や、低融点金属の平均粒径などを適宜調節するこ
とによって、前記第1セラミック層に所望の熱伝導性、
電気伝導性、誘電性を付与できる。従って、高い基板強
度を有し、温度特性や電気特性等の基板特性に優れたセ
ラミック多層基板が得られる。
【0033】なお、本発明のセラミック組成物及び本発
明のセラミック多層基板において、「同時焼結可能な低
融点金属」とは、同時焼成後に、低温焼結セラミック材
料の焼結体中に金属の焼結体として分散した状態となる
ような粉末状金属であり、特にその融点は、低温焼結セ
ラミック材料の焼結温度以上、かつ、1100℃以下が
望ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック組成物及び本
発明のセラミック多層基板(以下、「本発明」と称する
ことがある。)において、前記低温焼結セラミック材料
は、前記低融点金属と同時焼結可能な任意の低温焼結セ
ラミック材料を使用することができ、例えば、酸化バリ
ウム−酸化アルミニウム−酸化ケイ素系の低温焼結セラ
ミック材料(BAS材料)、酸化マグネシウム−酸化ア
ルミニウム−酸化ケイ素−酸化チタン−酸化ホウ素系の
低温焼結セラミック材料、ジルコン酸カルシウム−ガラ
ス系の低温焼結セラミック材料などが挙げられる。低温
焼結セラミック材料の焼結温度は800℃〜1000℃
であることが望ましい。
【0035】また、本発明においては、前記低融点金属
として、銅、銀及び金からなる群より選ばれた少なくと
も1種の金属とすることが望ましく、これらの金属はい
ずれも比抵抗が小さく、熱伝導率の良い金属であって、
その融点も比較的低い。例えば、銅(Cu)は、融点1
085℃、比抵抗1.7Ω・cm、銀(Ag)は、融点
962℃、比抵抗1.6Ω・cm、金(Au)は、融点
1063℃、比抵抗2.3Ω・cmである。また、本発
明においては、これらの金属を単体で用いてもよいが、
合金として用いることも可能である。なお、前記低融点
金属として銅を用いる場合、焼成雰囲気を還元性雰囲気
とすることが望ましい。前記低融点金属として銀或いは
金を用いる場合、大気等の酸化性雰囲気、還元性雰囲気
のいずれにおいても焼成できる。即ち、前記低融点金属
は、焼成後に金属の焼結体として前記セラミック焼結体
中(特にガラス成分中)に分散した状態になればよい。
【0036】また、本発明において、前記低融点金属の
平均粒径を1〜10μmとすることが望ましい。前記低
融点金属の平均粒径が1μm未満であると、熱伝導性、
電気伝導性、誘電性等の付与が不十分になる傾向があ
り、特に比抵抗が低下し易い。また、平均粒径が10μ
mを超えると、低温焼結セラミック材料と低融点金属と
からなるセラミック組成物をシート成型しにくくなり、
また、焼成後でもその強度が低下する傾向にある。
【0037】また、本発明のセラミック組成物におい
て、前記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対
して10〜80体積%混合してなるセラミック組成物は
優れた熱伝導性を示す。即ち、本発明のセラミック多層
基板において、前記低融点金属を前記低温焼結セラミッ
ク材料に対して10〜80体積%混合してなる第1セラ
ミック層は、熱伝導性を有する熱放散層として利用でき
る。
【0038】例えば、少なくとも低融点金属の含有率を
10体積%とすれば、低融点金属を全く含有しない低温
焼結セラミック基板に比べて2倍程度の熱伝導率が得ら
れ、特に、低融点金属を30体積%以上含有させれば、
約10W/m/k以上の高い熱伝導率が得られる。さら
に、低融点金属を50体積%以上含有させれば、約50
W/m/k以上の高い熱伝導率が得られる。なお、低融
点金属の含有率が80体積%を超えると、相対的に低温
焼結セラミック材料成分が少なくなり、他の層(特に前
記第2セラミック層)と剥離し易くなる。
【0039】また、本発明のセラミック組成物におい
て、前記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対
して30〜80体積%混合、焼結すると、高熱伝導性及
び電気伝導性を示すセラミック組成物が得られる。即
ち、本発明のセラミック多層基板において、前記第1セ
ラミック層が、低融点金属を低温焼結セラミック材料に
対して30〜80体積%混合してなる層であれば、これ
を高熱伝導性(特に熱伝導率10W/m/k以上)及び
電気伝導性を示す導電性熱放散層として利用できる。な
お、熱伝導率が極めて高く、かつ、他の層との接合性に
優れることから、低融点金属の含有量は50〜60体積
%がさらに望ましい。
【0040】また、前記第1セラミック層を熱放散層又
は導電性熱放散層として利用する場合は、この第1セラ
ミック層上に直接半導体IC等の表面実装部品(SM
D)を配置するか、或いは、第1セラミック層と表面実
装部品とをサーマルビアを介して接続することが望まし
い。なお、前記サーマルビアとは、表面実装部品に接続
された一個以上のビアホールであって、このビアホール
中に銅、銀などの熱伝導率の高い物質が充填されてなる
熱伝導性孔である。
【0041】また、本発明のセラミック組成物におい
て、前記低融点金属を前記低温焼結セラミック材料に対
して10〜30体積%混合すると、誘電性及び電気絶縁
性に優れたセラミック組成物が得られる。即ち、本発明
のセラミック多層基板において、前記第1セラミック層
が低融点金属を低温焼結セラミック材料に対して10〜
30体積%混合してなる層であれば、これを誘電性及び
絶縁性を示す絶縁性誘電体層として利用できる。
【0042】前記低融点金属の含有量が10体積%未満
であると、誘電性が不十分であり、前記低融点金属の含
有量が30体積%を超えると、電気絶縁性が低下する傾
向にある。なお、誘電率の向上がさらに顕著になり、比
抵抗(絶縁抵抗)もほとんど低下しないことから、低融
点金属の含有量は15〜20体積%がさらに望ましい。
【0043】また、前記第1セラミック層を絶縁性誘電
体層として利用する場合は、その優れた誘電性及び電気
絶縁性を利用して、第1セラミック層にストリップライ
ン、マイクロストリップライン、インダクタ、キャパシ
タ等の受動部品を配することができる。さらに、絶縁性
誘電体層である第1セラミック層を低温焼結セラミック
基板である第2セラミック層で挟み、第2セラミック層
中にグランド導体を設けることが望ましい。
【0044】なお、本発明において、「電気伝導性」と
は、特に比抵抗が10-2Ω・cm以下であることを意味
し、「絶縁性」とは、特に比抵抗が1011Ω・cm以上
であることを意味する。また、「誘電性」とは、低温焼
結セラミック材料の誘電率に比べて大きな誘電率を有し
ていることを意味する。
【0045】次に、図1〜図3を参照に、熱伝導性、電
気伝導性及び誘電性を説明する。
【0046】まず、熱伝導性に関して、図1に示すよう
に、低温焼結セラミック材料に対する低融点金属の含有
率を10体積%以上とすれば、低融点金属を全く含有し
ない場合に比べて熱伝導率は少なくとも2倍に向上す
る。さらに、低融点金属の含有率が30体積%を超える
と、熱伝導率が10W/m/K以上と極めて大きくな
り、含有率を50体積%以上とすれば、熱伝導率は50
W/m/K以上となる。
【0047】一般に、低温焼結セラミック材料自身の熱
伝導率は数〜数十W/m/Kであるのに対して、銅、銀
等の低融点金属の熱伝導率は約400W/m/Kと極め
て高い。従って、低温焼結セラミック材料と低融点金属
とを混合し、さらに焼結したとき、低温焼結セラミック
材料焼結体中に分散した低融点金属焼結体は熱を伝えや
すいため、この低融点金属を含有したセラミック組成物
全体でみると、熱伝導性が向上することになる。
【0048】即ち、図1に示すように、低融点金属の含
有率が増えるに連れ、熱伝導率も増えることになるが、
低融点金属の含有量と熱伝導率とは「理論値」に示すよ
うな関係にあるわけではなく、特に、含有率が約30体
積%を超えると、熱伝導率は極めて高くなる。これは、
低融点金属焼結体の自由電子が熱を効率よく運んでいる
と同時に、低温焼結セラミック焼結体中のフォノンの散
乱が低融点金属焼結体によって抑えられ、フォノンが効
率よく熱を運んでいることによるものと思われる。な
お、図1における「理論値」は、混合則に基づき、熱伝
導率が異なる2つの材料を混合した場合を直列モデル、
並列モデルについて導出した値である。
【0049】次に、電気伝導率に関して、図2に示すよ
うに、低温焼結セラミック材料に対する低融点金属の含
有率が30体積%未満の場合は、比抵抗が大きく(特に
1011Ω・cm以上)、高い絶縁性を示している。一
方、低融点金属の含有率が30体積%を超えると、比抵
抗(特に10-2Ω・cm以下)が小さく、高い電気伝導
性を示している。
【0050】即ち、低融点金属の含有率が焼結後に絶縁
体になるような範囲(30体積%未満)にあるときは、
低温焼結セラミック材料の焼結体中で、低融点金属の焼
結体同士が互いに電気的に繋がっていない状態になって
おり、一方、低融点金属の含有率が焼結後に導電体とな
るような範囲(30体積%以上)にあるときは、低融点
金属の焼結体同士が互いに電気的に繋がっている状態に
なっていると考えられる。
【0051】次に、誘電性に関して、図3に示すよう
に、低温焼結セラミック材料に低融点金属を含有させる
と誘電率が大きくなり、特に、含有率が10体積%を超
えると誘電率が大きく向上する。
【0052】一般に、電極面積S、電極間隔dを有する
コンデンサの容量Cは、C=ε・S/dで表されるの
で、低融点金属粒子の焼結体の一部が、コンデンサを形
成する電極と電気的に繋がることにより、電極面積Sが
大きくなったことに相当するようになり、さらに、低融
点金属の焼結体は良好な導電体であるので、これがコン
デンサの電極間に存在していると、導電体の体積分だけ
電極間隔dが狭まったのと同じことになる。従って、見
かけ上、電極面積Sが大きくなり、電極間隔dが狭まっ
たことになって容量Cが大きくなると考えられる。つま
り、低融点金属焼結体が低温焼結セラミック焼結体中に
分散されることで、一見、誘電率εが大きくなったかの
ようになると考えられる。
【0053】次に、本発明のセラミック組成物の構造状
態を図4を参照に説明する。
【0054】図4に示すように、酸化バリウム(Ba
O)−酸化アルミニウム(Al23)−酸化ケイ素(S
iO2)からなるBAS材料に所定量の銅(Cu)粉末
を混合し、これを同時焼結すると、酸化バリウム及び酸
化ケイ素からなるガラス成分1中に酸化アルミニウム焼
結体2と銅焼結体3とが分散した状態になる。ここで、
銅焼結体3は、銅粉末の集合体が焼結したより緻密で強
度の大きな多結晶体である。
【0055】これに対して、例えば、低温焼結セラミッ
ク材料中に、該低温焼結セラミック材料と同時焼結が困
難であるタングステン(融点3387℃)やモリブデン
(融点2610℃)等の高融点金属を含有せしめ、これ
を例えば温度800〜1000℃程度で同時焼成して
も、タングステンやモリブデンは焼結体を十分に形成せ
ず、熱伝導率、電気伝導率、誘電率等を所望の値に設定
するのは難しい。
【0056】また、アルミナ(焼結温度約1300℃)
に低融点金属を混合、同時焼成すると、低融点金属が融
解してしまう。さらに、アルミナにモリブデン等の高融
点金属を混合、同時焼成する場合、モリブデンは熱伝導
率が138W/m/kと銅、銀、金等の低融点金属に比
べて約3分の1と小さいために、熱伝導率の向上があま
り期待できない。また、アルミナに低融点金属を混合、
同時焼成する場合、誘電率は上昇する可能性があるもの
の、アルミナはもともと誘電率が高く(ε≒20)、配
線抵抗が大きいため、信号の高速化に限界が生じてしま
う。
【0057】即ち、ガラス成分1及び酸化アルミニウム
2中に分散する銅焼結体3が、熱伝導性、電気伝導性、
誘電性等の各特性を大きく左右し、銅焼結体3の占める
体積比率を上述したように設定することで、所望の特性
を有するセラミック組成物が得られることになる。
【0058】次に、本発明のセラミック多層基板を望ま
しい実施の形態に従い説明する。
【0059】第1の実施の形態 図5、図6及び図7を参照に、本発明のセラミック多層
基板による第1の実施の形態を説明する。
【0060】本実施の形態によるセラミック多層基板1
0は、実装部品を固定するためのダイボンディング用パ
ッド13、ワイヤボンディング用パッド14a及び14
bを有する低温焼結セラミック基板12aと、ビアホー
ル15aを有するセラミック層11と、ビアホールを有
する低温焼結セラミック基板12bと、ビアホール15
a、インダクタ用電極16a、及び、キャパシタ用電極
17aを有する低温焼結セラミック基板12cと、イン
ダクタ用電極16b及びキャパシタ用電極17bを有す
る低温焼結セラミック基板12dと、外部接続用電極1
8a及び18bを有する低温焼結セラミック基板12e
とを積層、焼成してなるLC内蔵セラミック多層基板で
ある。
【0061】さらに詳しくは、ワイヤボンディング用パ
ッド14aは、キャパシタ用電極17a及び17bによ
って形成されるキャパシタと接続され、ワイヤボンディ
ング用パッド14bは、インダクタ用電極16a及び1
6bによって形成されるインダクタと接続される。ま
た、ワイヤボンディング用パッド14aは、一方がセラ
ミック層11及び低温焼結セラミック基板12bに形成
されたビアホールを介してキャパシタ用電極17aに接
続され、他方は、セラミック層11、低温焼結セラミッ
ク基板12b及び低温焼結セラミック基板12cに形成
されたビアホールを介してキャパシタ用電極17bに接
続される。また、ワイヤボンディング用パッド14b
は、一方がセラミック層11及び低温焼結セラミック基
板12bに形成されたビアホールを介してインダクタ用
電極16aに接続され、他方は、セラミック層11、低
温焼結セラミック基板12b及び低温焼結セラミック基
板12cに形成されたビアホールを介してインダクタ用
電極16bに接続される。
【0062】ここで、低温焼結セラミック基板12a〜
12eは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形し
た基板であり、セラミック層11は、低温焼結セラミッ
ク材料に対して低融点金属を30〜80体積%混合して
なる層である。即ち、セラミック層11は前記第1セラ
ミック層に相当し、低温焼結セラミック基板12a〜1
2eは前記第2セラミック層に相当する。なお、焼成
は、各基板及び層を積層し、圧着した後、還元性雰囲気
中(例えばN2雰囲気中)、例えば800℃〜1000
℃(例えば970℃)で行うことができる(以下、同
様)。
【0063】例えば、低温焼結セラミック基板12a〜
12eをBAS材料を主成分とする基板とし、かつ、セ
ラミック層11を平均粒径1〜10μmのCu粉末をB
AS材料に対して30〜80体積%混合してなる層とす
れば、セラミック層11は、特に熱伝導率10W/m/
k以上の優れた熱伝導性を有し、かつ、比抵抗10-3Ω
・cm以下の優れた電気伝導性を有する導電性熱放散層
となる。つまり、実装部品(図示省略)の動作に伴う熱
量がセラミック層11から順次放散されるので、セラミ
ック層11を有しない場合に比べて半導体IC等の実装
部品の温度上昇が抑えられ、その動作安定性が向上す
る。
【0064】より具体的には、図5及び図6に示した構
成のセラミック多層基板において、セラミック層11
を、平均粒径2μmのCu粉末をBAS材料に対して6
0体積%混合してなる層とする場合、実装部品の動作に
伴う熱量が低温焼結セラミック基板12aを介してセラ
ミック層11に伝搬し、これを放散するために、セラミ
ック層11を有しない場合に比べて、半導体ICの温度
上昇を30℃程度抑えることができる。
【0065】また、キャパシタやインダクタ等の受動部
品は、セラミック層11を介して実装部品とは反対側に
配されているので、実装部品による熱の影響を受けるこ
とが少なく、高周波特性の変動が少ない安定性に優れた
受動部品となる。また、800〜1000℃程度で焼結
を行うことができるので、インダクタ用電極やキャパシ
タ用電極として、銅や銀などの比抵抗の小さな金属を用
いることができ、小さな温度係数を有すると共に低損失
の共振回路を形成できる。
【0066】さらに、セラミック層11の主成分は、低
温焼結セラミック基板12a〜12eの主成分と同様の
BAS材料であるので、セラミック層11−低温焼結セ
ラミック基板12a〜12e間での相互拡散が少なく基
板特性に優れ、かつ、熱放散性を有するセラミック層1
1と低温焼結セラミック基板12a〜12eとの接着性
が向上して、高い基板強度を有するセラミック多層基板
となる。
【0067】なお、本実施の形態において、セラミック
層11は高い熱放散性と共に電気伝導性を有しているの
で、図7(D)に示すように、セラミック層11におけ
るビアホール15aは、絶縁材料19中に導伝材料20
を充填した構成とするのが良い。このビアホール15a
は、図7(A)に示すように、セラミック層11に孔2
8aを開けた後、図7(B)に示すように、孔28a中
に絶縁材料19を充填し、さらに、図7(C)に示すよ
うに、絶縁材料19中に孔28bを開けた後、孔28b
に導電材料を充填することによって、図7(D)に示す
ような構成のビアホール15aを形成できる。
【0068】第2の実施の形態 図8を参照に、本発明のセラミック多層基板による第2
の実施の形態を説明する。
【0069】本実施の形態によるセラミック多層基板2
1は、低温焼結セラミック材料と低融点金属とからなる
セラミック層26a及び26bと、キャパシタ17及び
インダクタ18を内蔵した低温焼結セラミック基板27
aとを積層し、さらに焼成してなるLC内蔵セラミック
多層基板である。
【0070】セラミック層26a表面には、半導体IC
等の実装部品22が設けられており、実装部品22は、
ワイヤ24及びワイヤボンディング用パッド23a及び
23bを介して、キャパシタ17、インダクタ18の一
端にそれぞれ接続されており、キャパシタ17及びイン
ダクタ18の他端は外部接続用端子25a、25bにそ
れぞれ接続されている。
【0071】ここで、低温焼結セラミック基板27a
は、低温焼結セラミック材料をシート状に成形した基板
であり、セラミック層26a及び26bは、低温焼結セ
ラミック材料に対して低融点金属を30〜80体積%混
合してなる導電性熱放散層である。即ち、セラミック層
26a及び26bは前記第1セラミック層に相当し、低
温焼結セラミック基板27aは前記第2セラミック層に
相当する。
【0072】さらに、セラミック層26a及び26b
は、それぞれ低温焼結セラミック材料中の低融点金属の
含有率に勾配を付した層である。例えば、セラミック層
26aをBAS材料に対してCuを70体積%混合して
なる層とし、セラミック層26bをBAS材料に対して
Cuを30体積%混合してなる層とし、低温焼結セラミ
ック基板27aをBAS材料を主成分とする基板とすれ
ば、これらを積層し、さらに焼成する際には、セラミッ
ク層26aとセラミック層26bとの間、かつ、セラミ
ック層26bと低温焼結セラミック基板27aとの間の
熱膨張収縮率差による剥離が抑制され、基板強度が極め
て大きくなる。また、実装部品22とセラミック層26
aが直接に接しているので、実装部品22の動作に伴う
熱量がセラミック層26a及び26bによって効率よく
発散され、基板特性に優れたセラミック多層基板が得ら
れる。
【0073】また、第1の実施の形態と同様に、セラミ
ック層26a及び26bを平均粒径1〜10μmのCu
をBAS材料に対して30〜80体積%混合してなる層
とすれば、特に熱伝導率10W/m/k以上の優れた導
電性を有し、かつ、比抵抗10-3Ω・cm以下の優れた
電気伝導性を有する導電性熱放散層が得られる。特に、
高い熱放散性を有するセラミック層26a及び26bを
2層にわたって実装部品の真下に有しているので、熱放
散性が極めて優れる。また、セラミック層26a及び2
6bの主成分は、低温焼結セラミック基板27aの主成
分と同様のBAS材料であるので、セラミック層26a
及び26b−低温焼結セラミック基板27a間の成分の
相互拡散が少なく、基板特性に優れ、かつ、セラミック
層26a及び26bと低温焼結セラミック基板27aと
の接合が良く、基板強度が高い。
【0074】さらに、キャパシタ17及びインダクタ1
8はセラミック層26a及び26bを介して実装部品2
2とは反対側に形成されているので、実装部品22によ
る熱の影響を受けることが少なく、高周波特性の変動が
少なく安定性に優れた受動部品となる。また、インダク
タ用電極やキャパシタ用電極として、銅や銀などの比抵
抗の小さな低融点金属を用いることができ、小さな温度
係数を有すると共に低損失の共振回路を形成できる。
【0075】なお、本実施の形態においても、セラミッ
ク層26a及び26bに形成するビアホールは、図7に
示したように、絶縁材料19中に導電材料20を充填し
た構成とするのが良い。
【0076】第3の実施の形態 図9を参照に、本発明のセラミック多層基板による第3
の実施の形態を説明する。
【0077】本実施の形態によるセラミック多層基板3
1は、低温焼結セラミック基板27bと、低温焼結セラ
ミック材料と低融点金属とからなるセラミック層26c
と、キャパシタ17及びインダクタ18を内蔵した低温
焼結セラミック基板27cとを積層し、さらに焼成して
なるLC内蔵セラミック多層基板である。
【0078】低温焼結セラミック基板27bの表面に
は、半導体IC等の実装部品22が設けられており、実
装部品22は、ワイヤ24及びワイヤボンディング用パ
ッド23a及び23bを介して、キャパシタ17、イン
ダクタ18の一端にそれぞれ接続されている。さらに、
キャパシタ17及びインダクタ18の他端は外部接続用
端子25a、25bにそれぞれ接続されている。
【0079】ここで、低温焼結セラミック基板27b及
び27cは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形
した基板であり、セラミック層26cは、低温焼結セラ
ミック材料に対して低融点金属を30〜80体積%混合
してなる導電性熱放散層である。即ち、セラミック層2
6cは前記第1セラミック層に相当し、低温焼結セラミ
ック基板27b及び27cは前記第2セラミック層に相
当する。
【0080】例えば、セラミック層26cを平均粒径1
〜10μmのCuをBAS材料に対して30〜80体積
%混合してなる層とすれば、特に、熱伝導率10W/m
/k以上の優れた熱伝導性を有し、かつ、比抵抗10-3
Ω・cm以下の優れた電気伝導性を有する導電性熱放散
層となる。また、セラミック層26cの主成分は、低温
焼結セラミック基板27b及び27cの主成分と同様の
BAS材料であるので、セラミック層26c−低温焼結
セラミック基板27b及び27c間での成分の相互拡散
が少なく基板特性に優れ、かつ、セラミック層26cと
低温焼結セラミック基板27b及び27cとの接合が良
く基板強度が高い。
【0081】さらに、キャパシタ17及びインダクタ1
8は、セラミック層26a及び26bを介して実装部品
22とは反対側に形成されているので、実装部品22の
動作に伴う発熱の影響を受けることが少なく、特性変動
が少なく安定性に優れた受動部品となる。また、インダ
クタ用電極やキャパシタ用電極として、銅や銀などの比
抵抗の小さな低融点金属を用いることができ、小さな温
度係数を有すると共に低損失の共振回路を形成できる。
【0082】なお、本実施の形態においても、セラミッ
ク層26cに形成するビアホールは、図7に示したよう
に、絶縁材料19中に導電材料20を充填した構成とす
るのが良い。
【0083】第4の実施の形態 図10を参照に、本発明のセラミック多層基板による第
4の実施の形態を説明する。
【0084】本実施の形態によるセラミック多層基板3
2は、低温焼結セラミック材料と低融点金属とからなる
セラミック層26dと、キャパシタ17及びインダクタ
18を内蔵した低温焼結セラミック基板27dとを積層
し、さらに焼成してなるLC内蔵セラミック多層基板で
ある。但し、低温焼結セラミック基板27dにはキャビ
ティ33が形成されており、半導体IC等の実装部品2
2は、キャビティ33内に設けられている。
【0085】また、実装部品22は、ワイヤ24及びワ
イヤボンディング用パッド23a及び23bを介して、
キャパシタ17、インダクタ18の一端にそれぞれ接続
されている。さらに、キャパシタ17及びインダクタ1
8の他端は、同じく低温焼結セラミック基板27d表面
の外部接続用端子25a、25bにそれぞれ接続されて
いる。
【0086】ここで、低温焼結セラミック基板27d
は、低温焼結セラミック材料をシート状に成形した基板
であり、セラミック層26dは、低温焼結セラミック材
料に対して低融点金属を30〜80体積%混合してなる
導電性熱放散層である。即ち、セラミック層26dは前
記第1セラミック層に相当し、低温焼結セラミック基板
27dは前記第2セラミック層に相当する。
【0087】例えば、低温焼結セラミック層26dをB
AS材料を主成分とする基板とし、セラミック層26d
を平均粒径1〜10μmのCuをBAS材料に対して3
0〜80体積%混合してなる層とすれば、セラミック層
26dは、特に熱伝導率10W/m/k以上の優れた熱
伝導性を有し、かつ、比抵抗10-3Ω・cm以下の優れ
た電気伝導性を有する導電性熱放散層となる。また、セ
ラミック層26dの主成分は、低温焼結セラミック基板
27b及び27cの主成分と同様のBAS材料であるの
で、セラミック層26d−低温焼結セラミック基板27
d間での成分の相互拡散が少なく基板特性に優れ、か
つ、セラミック層26dと低温焼結セラミック基板27
dとの接合が良く基板強度が高い。
【0088】さらに、実装部品22は熱伝導性に優れた
セラミック層26dに直接に配置されているので、動作
安定性に優れている。また、インダクタ用電極やキャパ
シタ用電極として、銅や銀などの比抵抗の小さな低融点
金属を用いることができ、小さな温度係数を有すると共
に低損失のLC共振回路を形成できる。また、本実施の
形態においては、セラミック層26dには、ビアホール
が必ずしも必要でなく、その製造工程が簡略化でき、ま
た、キャビティ33内に実装部品22を配しているの
で、小型化が達成されている。
【0089】第5の実施の形態 図11を参照に、本発明のセラミック多層基板による第
5の実施の形態を説明する。
【0090】本実施の形態によるセラミック多層基板3
4は、低温焼結セラミック材料と低融点金属とからなる
セラミック層26eと、キャパシタ17及びインダクタ
18を内蔵した低温焼結セラミック基板27eとを積層
し、さらに焼成してなるLC内蔵セラミック多層基板で
ある。
【0091】セラミック層26eの表面には、半導体I
C等の実装部品22が直接配置されており、実装部品2
2は、ワイヤ24及びワイヤボンディング用パッド23
a及び23bを介して、キャパシタ17、インダクタ1
8の一端にそれぞれ接続されている。さらに、キャパシ
タ17及びインダクタ18の他端は、それぞれ外部接続
用端子25a、25bに接続されている。
【0092】ここで、低温焼結セラミック基板27e
は、低温焼結セラミック材料をシート状に成形した基板
であり、セラミック層26eは、低温焼結セラミック材
料に対して低融点金属を30〜80体積%混合してなる
導電性熱放散層である。即ち、セラミック層26eは前
記第1セラミック層に相当し、低温焼結セラミック基板
27eは前記第2セラミック層に相当する。
【0093】例えば、低温焼結セラミック基板27e
を、BAS材料を主成分とする基板とし、セラミック層
26eを、平均粒径1〜10μmの低融点金属をBAS
材料に対して30〜80体積%混合してなる層とすれ
ば、セラミック層26eは、特に熱伝導率10W/m/
k以上の優れた熱伝導性を有し、かつ、比抵抗10-3Ω
・cm以下の優れた電気伝導性を有する導電性熱放散層
となる。また、セラミック層26eの主成分は、低温焼
結セラミック基板27eの主成分と同様のBAS材料で
あるので、セラミック層26e−低温焼結セラミック基
板27eの間での成分の相互拡散が少なく基板特性に優
れ、かつ、セラミック層26eと低温焼結セラミック基
板27eとの接合が良く基板強度が高い。
【0094】さらに、キャパシタ17及びインダクタ1
8はセラミック層26eを介して実装部品22とは反対
側に形成されているので、実装部品22の動作に伴う熱
の影響を受けることが少なく、特性変動の少ない安定性
に優れた受動部品となる。また、インダクタ用電極やキ
ャパシタ用電極として、銅や銀などの比抵抗の小さな低
融点金属を用いることができ、小さな温度係数を有する
と共に低損失の共振回路を形成できる。
【0095】なお、本実施の形態においても、セラミッ
ク層26eに形成するビアホールは、図7に示したよう
に、絶縁材料19中に導電材料20を充填した構成とす
るのが良い。
【0096】第6の実施の形態 図12を参照に、本発明のセラミック多層基板による第
6の実施の形態を説明する。
【0097】本実施の形態によるセラミック多層基板3
5は、サーマルビア36を有する低温焼結セラミック基
板27fと、低温焼結セラミック材料と低融点金属とか
らなるセラミック層26fと、キャパシタ17及びイン
ダクタ18を内蔵した低温焼結セラミック基板27gと
を積層し、さらに焼成してなるLC内蔵セラミック多層
基板である。
【0098】また、低温焼結セラミック基板27fの表
面には、半導体IC等の実装部品22が設けられてお
り、実装部品22は、ワイヤ24及びワイヤボンディン
グ用パッド23a及び23bを介して、キャパシタ1
7、インダクタ18の一端にそれぞれ接続されている。
さらに、キャパシタ17及びインダクタ18の他端は、
それぞれ外部接続用端子25a、25bに接続されてい
る。但し、実装部品22は、Cu、Ag等の熱伝導性の
高い材料37を充填してなるサーマルビア36を介して
高い熱放散性を有するセラミック層26fに接続されて
いる。
【0099】ここで、低温焼結セラミック基板27f及
び27gは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形
した基板であり、セラミック層26fは、低温焼結セラ
ミック材料に対して低融点金属を30〜80体積%混合
してなる導電性熱放散層である。即ち、セラミック層2
6fは前記第1セラミック層に相当し、低温焼結セラミ
ック基板27f及び27gは前記第2セラミック層に相
当する。
【0100】さらに、低温焼結セラミック基板27f及
び27gをBAS材料を主成分とした基板とし、セラミ
ック層26fを平均粒径1〜10μmの低融点金属をB
AS材料に対して30〜80体積%混合してなる層とす
れば、特に熱伝導率10W/m/k以上の優れた熱伝導
性を有し、かつ、比抵抗10-3Ω・cm以下の優れた電
気伝導性を有する導電性熱放散層とすることができる。
また、セラミック層26fの主成分は、低温焼結セラミ
ック基板27f及び27gの主成分と同様のBAS材料
であるので、セラミック層26f−低温焼結セラミック
基板27f及び27g間での成分の相互拡散が少なく基
板特性に優れ、かつ、セラミック層26fと低温焼結セ
ラミック基板27f及び27gとの接合が良く基板強度
が高い。
【0101】さらに、キャパシタ17及びインダクタ1
8は、低温焼結セラミック基板27f及びセラミック層
26fを介して実装部品22とは反対側に形成されてい
るので、実装部品22の動作に伴う熱の影響を受けるこ
とが少なく、特性変動が少なく、安定性に優れた受動部
品となる。また、インダクタ用電極やキャパシタ用電極
として、銅や銀などの比抵抗の小さな低融点金属を用い
ることができ、小さな温度係数を有すると共に低損失の
共振回路を形成できる。
【0102】なお、本実施の形態においても、セラミッ
ク層26fに形成するビアホールは、図7に示したよう
に、絶縁材料19中に導電材料20を充填した構成とす
るのが良い。
【0103】第7の実施の形態 図13を参照に、本発明のセラミック多層基板による第
7の実施の形態を説明する。
【0104】本実施の形態によるセラミック多層基板3
8は、低融点金属を低温焼結セラミック材料に対して3
0〜80体積%混合してなるセラミック層11の代わり
に、低融点金属を低温焼結セラミック材料に対して10
〜30体積%混合してなるセラミック層39を用いた以
外は、実質的に第1の実施の形態と同様の構成である。
【0105】即ち、低温焼結セラミック基板12a〜1
2eは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形した
基板であり、セラミック層39は低温焼結セラミック材
料に対して低融点金属を10〜30体積%混合してなる
絶縁性誘電体層である。即ち、セラミック層39は前記
第1セラミック層に相当し、低温焼結セラミック基板1
2a〜12eは前記第2のセラミック層に相当する。な
お、焼成は、前述と同様に、各基板及び層を積層、圧着
した後、還元性雰囲気中(例えばN2雰囲気中)、80
0℃〜1000℃(例えば970℃)で行うことができ
る。
【0106】例えば、セラミック層39を、平均粒径1
〜10μmのCuをBAS材料に対して10〜30体積
%混合してなる層とすれば、特に誘電率εr=10以上
の優れた誘電性を有し、かつ、比抵抗1011Ω・cm以
上の優れた絶縁性を有する絶縁性誘電体層となる。さら
に、セラミック層39を有しない場合に比べて半導体I
C等の実装部品(図示省略)の温度上昇が抑えられ、そ
の動作安定性が向上する。また、セラミック層39の主
成分は、低温焼結セラミック基板12a〜12eの主成
分と同様のBAS材料であるので、セラミック層39−
低温焼結セラミック基板12a〜12e間での成分の相
互拡散が少なく、かつ、セラミック層39と低温焼結セ
ラミック基板12a〜12eとの接着性が向上して高い
基板強度が得られる。
【0107】具体的には、図13に示した構成のセラミ
ック多層基板38において、セラミック層39が、BA
S材料中に平均粒径2μmのCu粉末をBAS材料に対
して20体積%混合してなる場合、実装部品の動作に伴
う熱量が低温焼結セラミック基板12aを介してセラミ
ック層39に伝搬し、セラミック層39にてこれを放散
するために、セラミック層39を有しない場合に比べ
て、半導体ICの温度上昇を15℃程度抑えることがで
きる。
【0108】また、インダクタ用電極やキャパシタ用電
極として、銅や銀などの比抵抗の小さな低融点金属を用
いることができ、小さな温度係数を有すると共に低損失
の回路を形成できる。
【0109】さらに、図10に示した第4の実施の形態
によるセラミック多層基板32、図11に示した第5の
実施の形態によるセラミック多層基板34、及び、図1
2に示した第6の実施の形態によるセラミック多層基板
35において、各セラミック層26d、26e及び26
fを、平均粒径1〜10μmのCuをBAS材料に対し
て10〜30体積%混合してなるセラミック層として
も、半導体IC等の実装部品22が直接に、或いはサー
マルビアを介して間接的に各セラミック層に接続されて
いるので、実装部品の温度上昇を抑えることができる。
【0110】例えば、セラミック基板32、34及び3
5において、セラミック層26d、26e及び26f
を、BAS材料に対してCuを20体積%混合してなる
セラミック層に置き換えると、該セラミック層を有しな
い場合に比べて、実装部品の温度を20℃程度下げるこ
とができる。また、BAS材料に対してCuを10体積
%混合してなるセラミック層に置き換えても、実装部品
の温度を10℃程度下げることができ、BAS材料に対
してCuを30体積%混合してなるセラミック層に置き
換えれば、実装部品の温度上昇を25℃程度下げること
ができる。
【0111】第8の実施の形態 図14及び図15を参照に、本発明のセラミック多層基
板による第8の実施の形態を説明する。
【0112】本実施の形態によるセラミック多層基板4
0は、低温焼結セラミック基板42aと、グランド電極
43aを有する低温焼結セラミック基板42bと、低温
焼結セラミック基板42cと、セラミック層41aと、
ミアンダ状のストリップライン44を有するセラミック
層41bと、セラミック層41cと、低温焼結セラミッ
ク基板42dと、グランド電極43bを有する低温焼結
セラミック基板42eと、低温焼結セラミック基板42
fとを積層し、さらに焼結してなるチップ多層ディレイ
ラインである。また、グランド電極43a、43bは外
部接続用電極46a、46bにそれぞれ接続され、スト
リップライン44の一端は外部接続用電極45a、他端
は外部接続用電極45bにそれぞれ接続される。
【0113】ここで、低温焼結セラミック基板42a〜
42fは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形し
た基板であり、セラミック層41a、41b及び41c
は、低温焼結セラミック材料に対して低融点金属を10
〜30体積%混合してなる絶縁性誘電体層である。即
ち、セラミック層42a、42b及び42cは前記第1
セラミック層に相当し、低温焼結セラミック基板42a
〜42fは前記第2のセラミック層に相当する。
【0114】セラミック多層基板40において、例え
ば、BAS材料を主成分とする低温焼結セラミック基板
42a〜42fと、BAS材料に対して平均粒径2μm
のCuを20体積%混合してなるセラミック層41a〜
41cとを積層し、さらに圧着して、外部接続用電極4
5a、45b、46a及び46bを印刷した後、N2
囲気中、970℃で焼成する場合、低温焼結セラミック
材料だけを焼成した場合の誘電率εrが6.1であるの
に対し、セラミック層41a〜41cの見かけの誘電率
εrは20となり、チップの厚みは図18に示した従来
のものと同じであるにもかかわらず、遅延時間が約1.
7倍となり、特性インピーダンスは50Ωとほとんど変
わらないチップ多層ディレイラインが得られる。
【0115】また、セラミック多層基板40は、低温焼
結セラミック材料に本来内部配線として同時焼結する粉
末状の低融点金属を混合し、シート状に成形したセラミ
ック層41a〜41cを、低温焼結セラミック材料から
なる低温焼結セラミック基板42a〜42fと積層し、
焼成してなるので、誘電率の異なる低温焼結セラミック
基板−セラミック層間で、成分の相互拡散や熱膨張収縮
率差による亀裂やボイドが発生せず、基板強度の高いセ
ラミック多層複合部品を作製することができる。さら
に、低温焼結セラミック材料に低融点金属を混合してな
るセラミック層41a〜41cは、低温焼結セラミック
材料のみで形成したセラミック基板に比べて、見かけの
誘電率が約2.5〜3倍となり、電気的にはあたかも一
般的な高誘電体と同じ振る舞いを示す。
【0116】従って、本実施の形態に示したように、こ
れをチップ多層ディレイラインに応用することにより、
セラミック多層デバイスの小型化、遅延時間の増大化が
達成できる。さらに、セラミック層41a〜41cは熱
放散性を有しているので、インダクタやキャパシタの自
己発熱による特性の変動が抑えられる。
【0117】第9の実施の形態 図16及び図17を参照に、本発明のセラミック多層基
板による第9の実施の形態を説明する。
【0118】本実施の形態によるセラミック多層基板5
0は、低温焼結セラミック基板52aと、グランド電極
53aを有する低温焼結セラミック基板52bと、低温
焼結セラミック基板52cと、キャパシタ用電極54a
及び54bを有するセラミック層51aと、インダクタ
用電極55を有するセラミック層51bと、キャパシタ
用電極54c及び54dを有するセラミック層51c
と、低温焼結セラミック基板52dと、グランド電極5
3bを有する低温焼結セラミック基板52eと、低温焼
結セラミック基板52fとを積層し、さらに焼結してな
るチップ多層LCフィルタである。また、グランド電極
53a及び53bは外部接続用電極56a及び56bに
それぞれ接続され、キャパシタ用電極54a、54b、
54c及び55dは外部接続用電極57a、外部接続用
電極57b等に接続される。
【0119】ここで、低温焼結セラミック基板52a〜
52fは、低温焼結セラミック材料をシート状に成形し
た基板であり、セラミック層51a〜51cは、低温焼
結セラミック材料に対して低融点金属を10〜30体積
%混合してなる絶縁性誘電体層である。即ち、セラミッ
ク層52a〜52cは前記第1セラミック層に相当し、
低温焼結セラミック基板52a〜52fは前記第2のセ
ラミック層に相当する。
【0120】セラミック多層基板50において、例え
ば、CaZrO350重量%とガラス成分50重量%と
からなる低温焼結セラミック基板52a〜52fと、該
セラミック材料に対して平均粒径2μmのCuを20体
積%混合してなるセラミック層51a、51b及び51
cとを積層し、さらに圧着して、外部接続用電極56
a、56b、57a及び57bを印刷した後、N2雰囲
気中、970℃で焼成する場合、低温焼結セラミック材
料だけ焼成した場合の誘電率εrが20であるのに対
し、セラミック層51a〜51cの見かけの誘電率εr
は160となる。また、該低温焼結セラミック材料のみ
を焼成した場合のバンドパスフィルタ(LCフィルタ)
の中心周波数はおおよそ900MHzであるのに対し
て、同じチップサイズで中心周波数は550MHz程度
に設定できる。
【0121】また、セラミック多層基板50は、低温焼
結セラミック材料に本来内部配線として同時焼結する粉
末状の低融点金属を混合し、シート状に成形したセラミ
ック層51a〜51cを、低温焼結セラミック基板と積
層、焼成してなるので、誘電率の異なる低温焼結セラミ
ック基板−セラミック層間で、成分の相互拡散や熱膨張
収縮率差による亀裂やボイドが発生せず、基板強度の大
きなセラミック多層複合部品を作製できる。さらに、低
温焼結セラミック材料に低融点金属を混合してなるセラ
ミック層51a〜51cは、低温焼結セラミック材料の
みで形成したセラミック基板に比べて、見かけの誘電率
が約2.5〜3倍となり、電気的にはあたかも一般的な
高誘電体と同じ振る舞いを示す。
【0122】従って、本実施の形態に示したように、こ
れをチップ多層LCフィルタに応用することにより、セ
ラミック多層デバイスの小型化、周波数帯域の拡大が達
成できる。また、特にインダクタを低誘電率の低温焼結
セラミック基板部分に形成すれば、キャパシタとの結合
を抑えることができる。さらに、セラミック層51a〜
51cは熱放散性を有しているので、インダクタやキャ
パシタの自己発熱による特性の変動が抑えられる。
【0123】以上、本発明を実施の形態について説明し
たが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもので
はない。
【0124】例えば、上述した実施の形態のように、低
温焼結セラミック材料と低融点金属とからなるセラミッ
ク層はセラミックグリーンシートとして利用してもよい
が、必要な箇所にのみ塗布、印刷等することにより、セ
ラミック多層基板を形成してもよい。
【0125】また、例えば、低融点金属を低温焼結セラ
ミック材料に対して10〜30体積%混合してなる絶縁
性誘電体層と、低融点金属を低温焼結セラミック材料に
対して30〜80体積%混合してなる導電性熱放散層と
を積層し、さらに焼結してなるセラミック多層基板を構
成してもよい。この場合、前記絶縁性誘電体層にインダ
クタ、キャパシタ、ストリップライン等の受動部品を配
し、半導体IC等の実装部品を前記導電性熱放散層に直
接或いはサーマルビアを介して接続するといった構造が
考えられる。
【0126】また、各実施の形態では、低融点金属とし
てCuを用い、これをBAS材料やCaZrO3−ガラ
ス成分材料等の低温焼結セラミック材料に混合したもの
を例にとって説明したが、例えば、900℃程度で焼結
する低温焼結セラミック材料とAgとの混合系でも同様
の効果がある。
【0127】また、本発明のセラミック多層基板の用途
は、チップ多層ディレイラインやチップ多層LCフィル
タに限定されるものではなく、例えば、デュプレクサ等
の誘電体フィルタ、弾性表面波フィルタ等の多層デバイ
スや、VCOやPLL等の多層モジュール、セラミック
パッケージなど、種々の応用用途に適用できる。
【0128】
【実施例】以下、本発明のセラミック組成物を具体的な
実施例に基づいて説明する。
【0129】本実施例では、低融点金属と低温焼結セラ
ミック材料とを混合し、さらに焼成したセラミック層に
ついて、熱伝導率、電気伝導率、誘電率を測定した。
【0130】各例においては、BAS材料の粉砕を主な
目的とした1次調合として、BAS粉末を粉砕し、これ
を有機溶剤(トルエン+エキネン)と混合した。次い
で、有機バインダと低融点金属の混合を目的とした2次
調合で、1次調合したものに有機バインダ(ポリビニル
ブチラート)と粉末状低融点金属と可塑剤(ジ−n−ブ
チルフタレート)とを加えて混合し、スラリーを得て、
ドクターブレード法によりセラミックグリーンシートを
成形した。次いで、セラミックグリーンシートを800
〜1000℃で焼成してセラミック基板を得た。
【0131】<熱伝導性について>例1 低融点金属を含有せず、BAS材料のみで作製したセラ
ミック基板について、熱伝導率を測定した。その測定結
果を下記表1及び図1に示す。
【0132】例2〜例11 下記表1に示した種類、BAS材料に対する含有率、平
均粒径を有する低融点金属を用い、BAS材料に対して
低融点金属を所定の割合で混合し、焼成してなるセラミ
ック基板について熱伝導率を測定した。その測定結果を
下記表1に併せて示し、また、低融点金属の含有率によ
る熱伝導率の変化を図1にグラフ化した。
【0133】
【表1】
【0134】表1及び図1から、BAS材料にCuやA
gを含有すると、低融点金属を全く含有しない場合(熱
伝導率=2.5W/m/k)に比べて熱伝導率が向上し
ている。CuやAgの含有率が30体積%未満であると
熱伝導率はやや低いが、CuやAgの含有率が30体積
%以上であると、熱伝導率が約10W/m/k以上にな
り、さらに含有率が50体積%以上になると、熱伝導率
は約50W/m/k以上の優れた熱伝導性を発揮してい
ることが分かる。また、平均粒径が1〜10μmの範囲
内でいずれも優れた熱伝導率を有している。
【0135】<電気伝導性について>例12 低融点金属を含有せず、BAS材料のみで作製したセラ
ミック基板について、比抵抗logRを測定した。その
測定結果を下記表2及び図2に示す。
【0136】例13〜35 下記表2に示した種類、BAS材料に対する含有率、平
均粒径を有する低融点金属を用い、BAS材料に対して
低融点金属を所定の割合で混合し、焼成してなるセラミ
ック基板について比抵抗(logR)を測定した。その
測定結果を下記表2に併せて示す。また、低融点金属の
含有率による比抵抗の変化を図2にグラフ化した。
【0137】
【表2】
【0138】表2及び図2から、BAS材料に対する低
融点金属の含有率が30体積%以下の場合は、比抵抗が
1011Ω・cm以上と大きく、特に、含有率が20体積
%以下では比抵抗が1013Ω・cmと非常に大きい。一
方、低融点金属の含有量が30体積%前後で比抵抗は急
峻に変化し、低融点金属の含有率が30体積%を超える
と、比抵抗(特に10-2Ω・cm以下)が小さく、高い
電気伝導性を示している。即ち、低融点金属の含有率を
調節することで、セラミック層の絶縁性或いは電気伝導
性を適宜選択できる。
【0139】<誘電性について>例36 低融点金属を含有せず、BAS材料のみで作製したセラ
ミック基板について、見かけの誘電率εrを測定した。
その測定結果を下記表3及び図3に示す。
【0140】例37〜46 下記表3に示した種類、BAS材料に対する含有率、平
均粒径を有する低融点金属を用い、BAS材料に対して
低融点金属を所定の割合混合、焼成してなるセラミック
基板について見かけの誘電率εrを測定した。その測定
結果を下記表3に併せて示す。また、低融点金属の含有
率による見かけの誘電率εrの変化を図3にグラフ化し
た。
【0141】
【表3】
【0142】表3及び図3から、BAS材料に低融点金
属を含有させると見かけの誘電率εrが大きくなり、特
に、含有率が10体積%を超えると見かけの誘電率εr
が大きく向上し、誘電性に優れたセラミック層が得られ
ることが分かる。
【0143】
【発明の効果】本発明のセラミック組成物は、低温焼結
セラミック材料と、前記低温焼結セラミック材料と同時
焼結可能な低融点金属とを混合し、さらに焼成してなる
ので、低温焼結セラミック材料と低融点金属との混合比
や、低融点金属の平均粒径などを適宜調節することによ
って、熱伝導性、電気伝導性、誘電性等に関して所望の
特性を有するセラミック組成物が得られる。
【0144】また、本発明のセラミック多層基板によれ
ば、第1セラミック層と第2セラミック層とが同じ低温
焼結セラミック材料を主成分としているので、第1セラ
ミック層と第2セラミック層が良好に接合し、また、低
温焼結セラミック材料と低融点金属との混合比率や、低
融点金属の平均粒径などを適宜調節することによって前
記第1セラミック層に所望の熱伝導性、電気伝導性、誘
電性を付与できる。従って、高い基板強度を有し、温度
特性や電気特性等の基板特性に優れたセラミック多層基
板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低融点金属含有BAS基板の低融点金属の含有
率による熱伝導率の変化を示すグラフである。
【図2】低融点金属含有BAS基板の低融点金属の含有
率による比抵抗の変化を示すグラフである。
【図3】低融点金属含有BAS基板の低融点金属の含有
率による見かけの誘電率の変化を示すグラフである。
【図4】本発明によるセラミック組成物の構造状態を示
す概略模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるLC内蔵セラ
ミック多層基板の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態によるLC内蔵セラ
ミック多層基板の概略斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態によるLC内蔵セラ
ミック多層基板のビアホール作製過程を示す概略斜視図
である。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるLC内蔵セラ
ミック多層基板の概略断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態によるLC内蔵セラ
ミック多層基板の概略断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態によるLC内蔵セ
ラミック多層基板の概略断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態によるLC内蔵セ
ラミック多層基板の概略断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態によるLC内蔵セ
ラミック多層基板の概略断面図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態によるLC内蔵セ
ラミック多層基板の分解断面図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態によるチップ多層
ディレイラインの分解斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態によるチップ多層
ディレイラインの概略断面図(A)、概略斜視図(B)
である。
【図16】本発明の第9の実施の形態によるチップ多層
LCフィルタの分解斜視図である。
【図17】本発明の第9の実施の形態によるチップ多層
LCフィルタの概略断面図(A)、概略斜視図(B)で
ある。
【図18】従来のチップ多層ディレイラインの概略斜視
図(A)、概略断面図(B)である。
【図19】従来のチップ多層LCフィルタの概略斜視図
(A)、概略断面図(B)である。
【図20】従来の金属放熱板を有するチップ多層LCフ
ィルタの概略断面図である。
【符号の説明】
1…ガラス成分、 2…酸化アルミニウム焼結体、 3…銅焼結体、 11a…導電性熱放散層、 12a、12b、12c、12d、12e…低温焼結セ
ラミック基板、 13…ダイボンディング用パッド、 14a、14b…ワイヤボンディング用パッド、 15a…ビアホール、 16a、16b…インダクタ用電極、 17a、17b…キャパシタ用電極、 18a、18b…外部接続用電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA10 AA36 AA37 AA61 BA02 BA09 BA12 BA20 BA21 CA03 CA08 GA11 GA17 GA20 5E346 AA12 AA13 AA15 AA23 AA43 AA60 BB02 BB03 BB04 BB06 BB16 BB20 CC18 CC21 CC32 CC38 CC39 DD02 DD07 DD13 DD34 EE24 EE27 EE29 FF18 FF42 FF45 HH17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低温焼結セラミック材料と、前記低温焼
    結セラミック材料と同時焼結可能な低融点金属とを混合
    し、さらに焼成してなることを特徴とする、セラミック
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記低融点金属を、銅、銀及び金からな
    る群より選ばれた少なくとも1種の金属とすることを特
    徴とする、請求項1に記載のセラミック組成物。
  3. 【請求項3】 前記低融点金属の平均粒径を1〜10μ
    mとすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセ
    ラミック組成物。
  4. 【請求項4】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミッ
    ク材料に対して10〜80体積%混合してなり、熱伝導
    性を付与したことを特徴とする、請求項1乃至3のいず
    れかに記載のセラミック組成物。
  5. 【請求項5】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミッ
    ク材料に対して30〜80体積%混合してなり、高熱伝
    導性及び電気伝導性を付与したことを特徴とする、請求
    項1乃至4のいずれかに記載のセラミック組成物。
  6. 【請求項6】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミッ
    ク材料に対して10〜30体積%混合してなり、誘電性
    及び絶縁性を付与したことを特徴とする、請求項1乃至
    4のいずれかに記載のセラミック組成物。
  7. 【請求項7】 低温焼結セラミック材料と、前記低温焼
    結セラミック材料と同時焼結可能な低融点金属とを混合
    してなる第1セラミック層と、前記低温焼結セラミック
    材料を主成分とする第2セラミック層とを積層し、さら
    に焼成してなることを特徴とする、セラミック多層基
    板。
  8. 【請求項8】 前記低融点金属を、銅、銀及び金からな
    る群より選ばれた少なくとも1種の金属とすることを特
    徴とする、請求項7に記載のセラミック多層基板。
  9. 【請求項9】 前記低融点金属の平均粒径を1〜10μ
    mとすることを特徴とする、請求項7又は8に記載のセ
    ラミック多層基板。
  10. 【請求項10】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミ
    ック材料に対して10〜80体積%混合してなる第1セ
    ラミック層を、熱伝導性を有する熱放散層として用いる
    ことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれかに記載の
    セラミック多層基板。
  11. 【請求項11】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミ
    ック材料に対して30〜80体積%混合してなる第1セ
    ラミック層を、高熱伝導性及び電気伝導性を有する導電
    性熱放散層として用いることを特徴とする、請求項7乃
    至10のいずれかに記載のセラミック多層基板。
  12. 【請求項12】 前記熱放散層又は前記導電性熱放散層
    上に表面実装部品を配置する、或いは、前記熱放散層又
    は前記導電性熱放散層と表面実装部品とをサーマルビア
    を介して接続することを特徴とする、請求項10又は1
    1に記載のセラミック多層基板。
  13. 【請求項13】 前記低融点金属を前記低温焼結セラミ
    ック材料に対して10〜30体積%混合してなる第1セ
    ラミック層を、誘電性及び絶縁性を有する絶縁性誘電体
    層として用いることを特徴とする、請求項7乃至10の
    いずれかに記載のセラミック多層基板。
  14. 【請求項14】 前記絶縁性誘電体層に受動部品を配す
    ることを特徴とする、請求項13に記載のセラミック多
    層基板。
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