JP2000181002A - 写真記録要素 - Google Patents

写真記録要素

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JP2000181002A
JP2000181002A JP11357669A JP35766999A JP2000181002A JP 2000181002 A JP2000181002 A JP 2000181002A JP 11357669 A JP11357669 A JP 11357669A JP 35766999 A JP35766999 A JP 35766999A JP 2000181002 A JP2000181002 A JP 2000181002A
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pat
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Joe Edward Maskasky
エドワード マスカスキー ジョー
Kenneth J Reed
ジョセフ リード ケネス
Victor P Scaccia
ピー.スカッシア ビクター
James A Friday
アンソニー フライデイ ジェイムス
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真特性が従来のものよりも非常に向上した
写真記録要素を提供する。 【解決手段】 支持体、並びに(a)輻射線感受性ハロ
ゲン化銀粒子、(b)ハロゲン化銀粒子の増感剤、
(c)ハロゲン化銀粒子の解こう剤、及び(d)少なく
とも1種の色素像提供カプラーを有する少なくとも1層
の色素像生成層を含む写真記録要素であって、前記ハロ
ゲン化銀粒子が、{111}主面を有し、銀量基準で臭
化物50モル%超を含有し、そして総粒子投影面積の5
0%超を占めている平板状粒子を含み、増感剤が、フラ
グメント化可能な電子供与性増感剤を含み、解こう剤
が、水分散性カチオン性デンプンであり、そして前記色
素像提供カプラーが、1当量画像色素生成カプラーであ
る写真記録要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカラー写真に関す
る。具体的には、本発明は、輻射線感受性ハロゲン化銀
乳剤を含有する層ユニットを有して色素像を生成するカ
ラー写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】もっとも広く使用されている写真要素の
形態は、1種以上のハロゲン化銀乳剤を含有するもので
ある。通常、ハロゲン化銀乳剤は水性媒体中に個々の粒
子の形態(微結晶)でハロゲン化銀を析出させることに
よって調製される。有機解こう剤を水性媒体中に導入し
て粒子を分散させる。種々の形態の親水性コロイドが解
こう剤として有用であることがわかっているが、圧倒的
に多くのハロゲン化銀乳剤はゼラチン解こう剤を用い
る。ゼラチン解こう剤を含めた従来の解こう剤の概要
は、リサーチディスクロージャー(Research Disclosur
e )、389 巻、1996年、アイテム38957 、II.「ベヒ
クル、ベヒクル増量剤、ベヒクル状添加物及びベヒクル
関連添加物」、A.「ゼラチン及び親水性コロイド解こ
う剤」に記載されている。リサーチディスクロージャー
は、Kenneth Mason Publication Ltd.,Dudley Annex, 1
2a North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, Eng
land によって出版されている。「ベヒクル」の用語に
は、ハロゲン化銀粒子が形成される際に、それらを分散
させるのに用いる解こう剤並びに乳剤コーティング及び
写真要素の処理溶液浸透性層に用いられるバインダーの
両方を包含する。ゼラチン及びゼラチン誘導体は、通
常、解こう剤とバインダーの両方の作用を行わせるため
に用いられる。
【0003】ハロゲン化銀写真の優位性の主たる原因と
なる特性は、ハロゲン化銀粒子の画像増幅能力である。
ハロゲン化銀写真要素の像様露光時に、入射光量子はハ
ロゲン化銀粒子に吸収される。光量子が吸収されると、
粒子のハロゲン化銀結晶格子構造の電子は、価電子帯エ
ネルギーレベルからより高い伝導帯エネルギーレベルに
昇格され、粒子の結晶格子内を移動することができる。
いくつかの伝導帯電子がきわめて近接した結晶格子銀イ
オンによって捕捉されると、Ag°原子のクラスターが
生成され、これを、通常、潜像部位と称する。粒子の潜
像部位は、粒子内の全体の銀イオンのAg°への還元を
触媒することができ、像様露光によって非常にすくない
元のAg+ からAg°への大きな増幅が創出される。現
像液は、現像主薬(潜像を有するハロゲン化銀粒子を選
択的にAg°に還元できる還元剤)を含有する水溶液で
ある。目に見える画像を生じさせるために、現像剤を含
んだ水溶液に写真要素を接触させることを写真処理とい
う。
【0004】所望の写真画像を得る際に多くのファクタ
ーが役割を果たすが、最も基本的なものは、使用する写
真要素の感度である。その内在する増幅機構を備えたハ
ロゲン化銀写真は、他の画像形成システムよりも非常に
高い写真感度を示すが、その発端から現在に至るまで1
世紀にもわたって、ハロゲン化銀写真において、より高
い写真感度の探求が継続して行われている。写真要素の
感度は、写真要素のサンプル部分を異なるレベルで露光
し、そしてその後の写真処理画像濃度と相関させること
によって測定する。縦軸として画像濃度(D)、横軸と
して露光量(E)の対数をとり特性曲線を作成する。典
型的に、特性曲線は、露光量の増加に伴って推移する露
光量の関数として、濃度変化を示さない部分(最小濃
度、Dmin)から、さらに高い露光量に伴って推移する
直線の特性曲線部分(即ち、ΔD/ΔEが一定)を生じ
ることが多い増加する露光量の関数として濃度が増加す
る部分から、露光量が増加しても濃度が増加しない部分
(最大濃度Dmax )を有する。写真要素の感度は、通
常、比較する要素において同じ濃度を生成するのに必要
なLogEの差として報告される。
【0005】ハロゲン化銀乳剤は、紫外から可視スペク
トルの青領域内にわたる波長の光に対して固有の感度を
有する。分光増感色素はハロゲン化銀粒子表面に吸着さ
れ、スペクトルのより長い部分まで感度を拡張する。分
光増感色素の概要は、上述のリサーチディスクロージャ
ー、アイテム38957 、V.「分光増感及び減感」、A.
「増感色素」に記載されている。分光増感剤の作用は、
潜像形成のために、ハロゲン化銀粒子それ自体が捕獲で
きない波長の光量子を捕獲することである。
【0006】分光増感とは別個にハロゲン化銀の感度を
高めるために、粒子表面を化学増感剤で処理する。化学
増感剤の概要は、上述のリサーチディスクロージャー、
アイテム38957 、IV.「化学増感」に記載されてい
る。
【0007】最近、ハロゲン化銀粒子をフラグメント化
可能な電子供与(FED)増感剤と関連させることによ
って、写真感度のさらなる増強を達成できることがわか
った。FED増感のメカニズムはまだ証明されていない
が、一つのもっともな説明は次の通りである:上述した
ように、粒子内での光量子捕獲によって、価電子殻から
伝導エネルギー帯へ電子昇格が起こるとき、共通損失因
子(common loss factor)は再結合である。即ち、昇格
した電子は、その電子もしくは別の電子の伝導帯への昇
格によって生成した価電子殻のホールに単純に戻る。再
結合が起きると、捕獲された光量子のエネルギーは潜像
形成に寄与することなく散逸する。FED増感剤は電子
を供与して光量子捕獲によって生じたホールを満たすこ
とによって再結合を減らすと考えられる。従って、ホー
ル部位に戻る伝導帯電子がより少なくなり、潜像形成に
参加することができる電子がより多くなる。
【0008】FED増感剤がハロゲン化銀粒子に電子を
供与するとき、フラグメント化して、カチオンと遊離基
を生成する。この遊離基は、不対の価電子殻電子を有
し、このため非常に不安定な単独の原子もしくは化合物
である。この遊離基の酸化電位が−0.7ボルトと等し
いかもしくはこれよりもマイナスである場合、この遊離
基は生成すると直ちに粒子中に第二の電子を注入して、
その不対価電子殻電子を排除する。また、遊離基が粒子
に電子を供給すると、明らかに、粒子内の単一の光量子
の吸収が電子を伝導帯に昇格させ、後に残されたホール
を満たす電子を供給するFED増感剤を励起して、これ
によってホール−電子再結合を減少させ、そして第二の
電子を注入する。このように、FED増感剤は直接もし
くは間接に潜像を形成するのに寄与する1つ以上の電子
をハロゲン化銀に与える。
【0009】写真感度を高めるためのFED増感剤及び
その使用は、Farid 等の米国特許第5,747,235
号及び同5,747,236号明細書、並びに以下の通
常に譲渡された出願:Lenhard 等の米国特許出願第08
/739,911号明細書(1998年10月30日出願)、並
びにそれぞれ1998年6 月25日出願の、Gould 等の米国特
許出願第09/118,536号明細書、Farid 等の米
国特許出願第09/118,552号及びAdin等の米国
特許出願第09/118,714号に開示されている。
【0010】1982年にハロゲン化銀写真製品に平板
状粒子乳剤が導入されるに伴って、写真感度の劇的な増
大が始まった。平板状粒子は明らかに他の結晶面よりも
大きな2つの平行主面を有し、少なくとも2のアスペク
ト比を有する粒子である。用語「アスペクト比」は、粒
子の等価円直径(ECD)をその厚み(主面を隔てる距
離)で割った比である。平板状粒子乳剤は、総粒子投影
面積の50%超を平板状粒子が占めている乳剤である。
Kofron等の米国特許第4,439,520号明細書に
は、化学増感され分光増感された高アスペクト比(平均
アスペクト比>8)の最初の平板状粒子乳剤が記載され
ている。最も一般的な使用形態では、平板状粒子乳剤
は、主面が{111}結晶面にあり、銀量基準で50モ
ル%超の臭化物を含有する平板状粒子を含む。平板状粒
子乳剤の概要は、上述のリサーチディスクロージャー、
アイテム38957 、I.「乳剤粒子及びその調製」、B.
「粒子形態」、特にサブパラグラフ(1)及び(3)に
記載されている。
【0011】高臭化物{111}平板状粒子乳剤の析出
のための解こう剤としてカチオン性デンプンを用いるこ
とが、Maskaskyの米国特許第5,604,085号、
5,620,840号、同5,667,955号、同
5,691,131号、及び同5,733,718号明
細書に教示されている。酸化されたカチオン性デンプン
は、ゼラチン解こう剤よりも低い粘性レベルを示す利点
がある。これが混合を容易にする。カチオン性デンプン
解こう剤を用いて、同等レベルの化学増感剤で、より高
い写真感度を達成することができる。あるいは、ゼラチ
ン解こう剤を使用して得られる感度と同じ感度を、より
低い析出及び/又は増感温度で達成することができ、こ
れによって好ましくない粒子熟成を回避することができ
る。
【0012】ハロゲン化銀粒子が現像されると、露光さ
れた(未露光の反対)ハロゲン化銀粒子が現像主薬によ
って選択的に還元される。この反応の際、ハロゲン化銀
が銀に還元され、現像主薬は酸化される。色素像を生成
することが望ましい場合は、通常、現像主薬は発色現像
主薬が選択され、発色現像主薬は、酸化に続いて、反応
して画像色素発色団を完成する。画像色素を生成する最
も一般的な経路は、画像色素生成カプラーとp−フェニ
レンジアミン発色現像主薬との反応であり、このp−フ
ェニレンジアミンはアミン基の少なくとも1つが非置換
である。
【0013】1つもしくは2つのキノンジイミン分子
(それぞれ、生成するために2つの酸化されたp−フェ
ニレンジアミン発色現像主薬を要する)が画像色素生成
カプラーと反応すると色素発色団形成が起きる。画像色
素分子を形成するために、画像色素生成カプラーが2つ
のキノンジイミン分子を必要とする場合は、この画像色
素生成カプラーは4当量カプラーと呼ばれる。なぜな
ら、画像色素の各分子を生じるためには、発色現像主薬
の4つの分子が酸化されなければならないからである。
2当量カプラーの画像色素生成カプラーは、現像条件下
でアニオン性(例えば、ハロゲン)もしくは低pKa離
脱基(例えば、フェノールもしくは複素環)を自発的に
分割するカプラーであり、従って、画像色素分子を生成
するためには一つのキノンジイミン分子と反応する。画
像色素生成のこれらの機構は、教科書知識であり、The
Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (J
ohn Wiley and Sons, New York, 1993; 6 巻) のColor
Photography topic に説明されている。
【0014】2当量画像色素生成カプラーを用いる場合
よりも、4当量画像色素生成カプラーを用いる場合、現
像される銀に対する生成される色素のモル比が小さいた
め、また、カラー写真要素の写真感度が基準色素濃度に
到達するのに要する露光量差を測定することによって比
較されるので、他の全ての点では同等な2当量画像色素
生成カプラーを含有する写真要素は、4当量画像色素生
成カプラーを含有する写真要素よりも高い画像形成感度
を示す。この認識から1当量画像色素生成カプラーの研
究なされた。
【0015】1当量画像色素生成カプラーは、画像色素
分子を形成するのに1個だけキノンジイミン分子が必要
とされるという点で、2当量画像色素生成カプラーと似
ている。1当量画像色素生成カプラーは、カップリング
の前に分割される離脱基それ自体が、カップリングによ
って生成される画像色素の分子に追加して画像色素の分
子を供給するという点で、2当量画像色素生成カプラー
と異なる。従って、2個のハロゲン化銀分子を銀に還元
すると、酸化されたp−フェニレンジアミン発色現像主
薬の2個の分子を生成し、そして1当量カプラーと反応
して2個の画像色素分子を生成するキノンジイミンの分
子1個を生成する。このように、理論(二次反応無効率
を無視する)では、現像される銀と画像色素の1対1の
モル比が存在する。1当量画像色素生成カプラー中の色
素発色団含有離脱基によって課せられた独特の要件によ
って、その用途が限定されるので、2当量及び4当量構
造が画像色素生成カプラーの圧倒的な主体をなす。1当
量画像色素生成カプラーは、Mooberry等の米国特許第
4,840,884号、同5,447,819号、及び
同5,457,004号明細書に記載されている。
【0016】最近の20年間では、色素像改良カプラー
の導入に起因する色素像の増強が一般的となった。写真
有用フラグメント、例えば、現像促進剤、現像抑制剤、
漂白促進剤、漂白抑制剤、現像主薬(例えば、競争もし
くは補助現像主薬)、銀錯化剤、定着主薬、トナー、硬
膜剤、なめし剤、汚染防止剤、安定化剤、カブリ防止
剤、競争カプラー、及び化学もしくは分光増感剤又は減
感剤を、直ちにもしくは時間を合わせて放出するため
に、これらのカプラー(カプリング時に画像色素を生成
しないことが多い)に頼ることができる。
【0017】カプラーの概要は、上述のリサーチディス
クロージャー、アイテム38957 、X.「色素像生成及び
改良剤」、特に、B.「画像色素生成カプラー」、及び
C.「画像色素改良剤」に記載されている。
【0018】
【課題を解決するための手段】支持体、並びに(a)輻
射線感受性ハロゲン化銀粒子、(b)前記ハロゲン化銀
粒子のための増感剤、(c)前記ハロゲン化銀粒子のた
めの解こう剤、及び(d)少なくとも1種の色素像提供
カプラーを有する少なくとも1つの色素像生成ユニット
を含んでなる写真記録要素であって、前記輻射線感受性
ハロゲン化銀粒子が、(1){111}主面を有し、
(2)銀量基準で臭化物50モル%超を含有し、そして
(3)総粒子投影面積の50%超を占めている平板状粒
子を含み、前記増感剤が、フラグメント化可能な電子供
与性増感剤を含み、前記解こう剤が、水分散性カチオン
性デンプンであり、そして前記色素像提供カプラーが、
1当量画像色素生成カプラーである写真記録要素。
【0019】カチオン性デンプン解こう剤の存在下で析
出させ、フラグメント化可能な電子供与性(FED)増
感剤で増感した高臭化物{111}平板状粒子乳剤と、
ゼラチン解こう剤を含有すること以外は同じ乳剤とを比
較すると、デンプン解膠した乳剤が、ゼラチン解膠した
乳剤よりも非常に高い感度を示すことがわかった。FE
D増感剤を省略して比較を繰り返すと、デンプン解膠乳
剤の場合、相対的に小さな感度利点が見られた。デンプ
ン解膠された高臭化物{111}平板状粒子乳剤にFE
D増感剤を加えることによって、大きな感度利点が達成
されたことは、全く予想外であった。この感度利点は、
当該明細書並びに前述の出願I及びIIに報告されてい
る。
【0020】さらに、本発明の写真要素は、1当量画像
色素生成カプラーの導入に帰する画像形成感度の更なる
増加を示す。1当量カプラーの離脱基によって供給され
る画像色素が、カップリングによって生成される色素発
色団と同じくらいの吸光性であれば、1当量カプラー
は、同じモル被覆量の2当量カプラーで生成される2倍
の画像色素濃度を提供し、同じモル被覆量の4当量カプ
ラーで生成される4倍の画像色素を提供する。しかし、
カップリング反応によって生成される色素よりもさらに
高い吸光性色素発色団を有するように離脱基を作ること
ができるので、同じモル被覆量に基づいて、さらに高い
画像色素濃度が可能である。言い換えると、キノンジイ
ミンとカプラーを反応させることによって色素発色団を
生成するのとは対照的に、離脱基中に色素発色団を導入
することによって提供されたさらに大きな構造上の自由
度が、色素像光吸収の主部を占めることができる離脱基
色素発色団の選択を可能にするのである。
【0021】2当量画像色素生成カプラーを用いて実現
可能な同じ画像形成感度を、単に、望む場合は、1当量
画像色素生成カプラーのモル被覆量を、同等の2当量画
像色素生成カプラーを用いて色素像を生成するのに要す
るモル被覆量の半分よりさらに少なくすることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は一般的に、少なくとも1
つの色素像生成層ユニットに、フラグメント化可能な電
子供与体(FED)増感され、カチオン性デンプン解膠
された高臭化物{111}平板状粒子乳剤と、1当量画
像色素生成カプラーとを含むカラー写真要素に適用する
ことができる。高臭化物{111}平板状粒子乳剤は、
総粒子投影面積の50%超が、{111}主面を有し銀
量基準で50モル%超の臭化物を含有する平板状粒子で
占められている乳剤である。
【0023】従来のカチオン性デンプンのいずれも解こ
う剤として用いることができる。「デンプン」の用語に
は、天然のデンプン、そして例えば、デキストリン化さ
れたもの、加水分解されたもの、アルキル化されたも
の、ヒドロキシアルキル化されたもの、アセチル化され
たものもしくは分別されたもの等の改良されたデンプン
誘導体の両方を包含する。当該デンプンは、コーンスタ
ーチ、小麦デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデ
ンプン、サゴデンプン、米デンプン、ろう質コーンスタ
ーチもしくは高アミロースコーンスターチ等のいずれの
起源のものにもなることができる。
【0024】デンプンは、一般的に、2種類の構造的に
異なる多糖類、α−アミロース及びアミロペクチンから
なる。両方とも、α−D−グルコピラノース単位からな
っている。α−アミロースでは、α−D−グルコピラノ
ース単位は1,4−直鎖ポリマーを形成する。この反復
単位は次の形態をとる:
【化1】
【0025】アミロペクチンでは、反復単位の1,4−
結合に加えて、6位の鎖分枝(上記、−CH2 OH基の
部位のところ)もまたハッキリと見え、分枝鎖ポリマー
を生じる。デンプン及びセルロースの反復単位は、それ
らの分子に全体的に異なる結合構成を与えるジアステレ
オ異性体である。αアノマー(デンプンに見出され、上
記式Iに見出される)は結晶可能で、そして隣接する分
子の反復単位間にある程度の水素結合可能な(但し、セ
ルロース及びセルロース誘導体のβアノマー反復単位と
同程度ではない)ポリマーを生じる。βアノマーによっ
て形成されるポリマー分子は、隣接分子間に強い水素結
合を示し、ポリマー分子の凝集を生じ、より大きな結晶
傾向を生じる。強い分子間結合を好む置換基の配列(セ
ルロース反復単位に見出される)を欠くと、デンプン及
びデンプン誘導体はより容易に水に分散する。
【0026】本発明の実施に用いられる水分散性デンプ
ンは、カチオン性である。即ち、水に分散すると、全体
的に正の正味電荷を有する。一般的に、一つ以上のフリ
ーヒドロキシル部位のところでのエステル化もしくはエ
ーテル化によって、α−D−グルコピラノース単位にカ
チオン性置換基を結合させることによって、デンプン
を、通常カチオン性にする。反応性カチオン生成性試薬
には一般的に、第一級、第二級、もしくは第三級アミノ
基(使用を意図する条件下で、次にカチオン性形態にプ
ロトン化されることができる)又は第四級アンモニウ
ム、スルホニウムもしくはホスホニウム基が含まれる。
【0027】解こう剤として有用であるためには、カチ
オン性デンプンは水分散性でなければならない。多くの
デンプンは、沸騰するまでの温度に加熱すると、短時間
(例えば、5〜30分)で水に分散する。また、高剪断
ミキサーもデンプンの分散を促進する。カチオン性置換
基が存在すると、デンプン分子の極性を高め、分散を促
進する。当該デンプン分子は、少なくともコロイド状レ
ベルの分散を達成し、理想的には分子レベルに分散(即
ち、溶解)される。
【0028】以下の特許文献に、本発明の意図する範囲
内の水分散性カチオン性デンプンが記載されている(参
照することにより、本明細書の内容とする): *米国特許第2,989,520号明細書(Rutenberg
等)、 米国特許第3,017,294号明細書(Meisel)、 米国特許第3,051,700号明細書(Elizer等)、 米国特許第3,077,469号明細書(Aszolos )、 米国特許第3,136,646号明細書(Eizer 等)、 *米国特許第3,219,518号明細書(Barber
等)、 *米国特許第3,320,080号明細書(Mazzarella
等)、 米国特許第3,320,118号明細書(Black 等)、 米国特許第3,243,426号明細書(Caesar)、 米国特許第3,336,292号明細書(Kirby )、 米国特許第3,354,034号明細書(Jarowenko
)、 米国特許第3,422,087号明細書(Caesar)、 *米国特許第3,467,608号明細書(Dishburger
等)、 *米国特許第3,467,647号明細書(Beaninga
等)、 米国特許第3,671,310号明細書(Brown 等)、 米国特許第3,706,584号明細書(Cescato )、 米国特許第3,737,370号明細書(Jarowenko
等)、 *米国特許第3,770,472号明細書(Jarowenko
)、 米国特許第3,842,005号明細書(Moser 等)、 米国特許第4,060,683号明細書(Tessler )、 米国特許第4,127,563号明細書(Rankin等)、 米国特許第4,613,407号明細書(Huchette
等)、 米国特許第4,964,915号明細書(Blixt 等)、 *米国特許第5,227,481号明細書(Tsai等)、
及び *米国特許第5,349,089号明細書(Tsai)。
【0029】酸化されたカチオン性デンプンを用いるの
が好ましい。デンプンはカチオン性置換基を追加する前
(上記*印の特許文献)かもしくは後に酸化してもよ
い。これはデンプンを強酸化剤で処理することによって
行われる。市販のデンプン誘導体の調製では、次亜塩素
酸イオン(ClO- )もしくは過ヨウ素酸イオン(IO
4-)が、広範囲に用いられ研究されており、これが好ま
しい。通常の酸化剤対イオンを用いることができるが、
好ましい対イオンは、ハロゲン化銀乳剤調製と完全に適
合することができる、例えば、アルカリ及びアルカリ土
類カチオン、最も一般的には、ナトリウム、カリウム又
はカルシウムである。
【0030】酸化剤がα−D−グルコピラノース環を開
環するとき、酸化部位は通常α−D−グルコピラノース
環を形成する2位と3位の炭素原子のところである。
【0031】この2位と3位の基:
【化2】 が、通常、グリコール基として好ましい。前記グリコー
ル基の炭素−炭素結合が次のように置き換わる:
【0032】
【化3】 (ここで、Rはアルデヒド基又はカルボキシル基を完成
する原子団を表す)。
【0033】商業的用途では、デンプンの次亜塩素酸イ
オン酸化が最も広く用いられている。次亜塩素酸イオン
を少量用いてデンプンの不純物を改質する。これらの低
レベルでは、デンプンの改質は最小限であり、α−D−
グルコピラノース反復単位それ自体よりも、末端にアル
デヒド基を有するポリマー鎖にせいぜい作用するだけで
ある。α−D−グルコピラノース反復単位に作用する酸
化レベルでは、次亜塩素酸イオンは、2位、3位そして
6位に作用して、相対的に低い酸化レベルでアルデヒド
基を形成し、相対的に高い酸化レベルでカルボキシル基
を形成する。酸化は緩酸性〜アルカリ性pH(例えば、
>5〜11)で行われる。酸化反応は発熱性であり、反
応混合物を冷却することを要する。45℃未満の温度を
維持するのが好ましい。次亜臭素酸塩酸化剤を用いて
も、次亜塩素酸塩と同じ結果が得られことがわかってい
る。
【0034】次亜塩素酸塩酸化は、臭化物イオンの存在
によって触媒される。通常、ハロゲン化銀乳剤は、偶発
的な銀イオン還元(カブリ)を避けるために、理論量よ
り過剰のハロゲン化物の存在下で析出されるので、高臭
化物ハロゲン化銀乳剤の分散媒体中で、臭化物イオンは
普通に得られる。従って、酸化工程を実施する前に、デ
ンプンに、高臭化物{111}平板状粒子乳剤に有用で
あるといわれる濃度(例えば、最大3.0のpBr)で
臭化物を加えることが、特に考えられる。
【0035】Cescato の米国特許第3,706,574
号明細書(参照することにより、本明細書の内容とす
る)には、カチオン性デンプンの次亜塩素酸塩酸化の技
法が開示されている。次亜塩素酸ナトリウムの代わり
に、亜臭素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、及び次
亜塩素酸カルシウムが挙げられている。デンプンの次亜
塩素酸酸化の別法は、次の文献に開示されている:R.L.
Whistler 、E.G. Linke及びS. Kazeniac の、「Action
of Alkaline Hypochlorite on Corn Starch Amylose a
nd Methyl 4-O-Methyl-D-glucopyranosides 」、Journa
l Amer. Chem. Soc., 78巻, 4704-9頁(1956);L. Whist
ler 及び R. Schweiger の, "Oxidation ofArnylopecti
n with Hypochlorite at Different Hydrogen lon Conc
entrations,JournalAmer. Chem. Soc., 79巻, 6460-646
4 頁 (1957) ;J. Schmorak, D. Mejzler 及び M. Lewi
n の "A Kinetic Study of the Mild Oxidation of Whe
at Starch by Sodium Hypochloride in the Alkaline p
H Range", Journal of Polymer Science, XLIX巻, 203-
216 頁 (1961) ; J Schmorak 及び M. Lewin, "TheChe
mical and Physico-chemical Properties of Wheat Sta
rch with Alkaline Sodium Hypochlorite", Journal of
Polymer Science: Part A, 1巻 , 2601-2620頁 (1963)
; K.F. Patel, H.U. Mehta 及び H.C. Srivastavaの,
"Kinetics and Mechanism of Oxidation of Starch wi
th Sodium Hypochlorite", Journal ofApplied Polymer
Science, 18巻, 389-399 頁 (1974) ; R.L. Whistle
r, J.N.Bemiller 及び E.F. Paschallの, Starch: Chem
istry and Technology, X 章,Starch Derivatives: Pro
duction and Uses, II. Hypochlorite-Oxidized Starch
es, 315-323頁, Academic Press, 1984;並びに O.B. W
urzburgの, Modlfied Starches: Properties and Uses,
III. Oxidized or Hypochlorite-Modified Starches,
23-28頁及び 245-246頁, CRC Press (1986)。
【0036】次亜塩素酸酸化は通常可溶性塩を用いて行
われ、M.E. McKillican 及び C.B.Purvesの, "Estimati
on of Carboxyl, Aldehyde and Ketone Groups in Hypo
chlorous Acid Oxystarches", Can. J Chem., 312-321
巻 (1954) に記載されているように、別法として遊離酸
を用いることもできる。
【0037】選択性が高いことが知られているので、過
ヨウ素酸塩酸化剤が特に重要である。過ヨウ素酸塩酸化
剤は、顕著な酸化もなく6位の炭素原子のところで上述
の式(II)に示す反応によってジアルデヒドデンプン
を生じる。次亜塩素酸塩酸化とは異なり、過ヨウ素酸塩
酸化はカルボキシル基を生成せず、6位のところの酸化
を生じない。Mehltretter の米国特許第3,251,8
26号明細書(参照することにより本明細書の内容とす
る)は、過ヨウ素酸を用いて、実質的にカチオン形態に
改質されたジアルデヒドデンプンを生成することを開示
する。また、Mehltretter は、酸化剤として用いる、過
ヨウ素酸及び塩素の可溶化塩を開示する。さらに、デン
プンの過ヨウ素酸酸化の技法は、次の文献に記載されて
いる:V.C. Bany 及び P.W.D. Mitchellの, "Propertie
s of Periodate-oxidized Polysaccharides. Part II.
The Structure of some Nitrogen-containing Polymer
s",Journal Amer. Chem. Soc., 1953, 3631-3635頁;
P.J. Borchert及び J. Mirza の, "Cationic Dispersio
ns of Dialdehyde Starch I. Theory and Preparatio
n", Tappi, 47巻, No. 9, 525-528頁 (1964) ; J.E. M
cCormick の, "Properties of Periodate-oxidized Pol
ysaccharides. Part VII. The Structure of Nitrogen-
containing Derivatives as deduced from a Study of
MonosaccharideAnalogues", Journal Amer. Chem. So
c., 2121-2127 頁 (1 966);並びに O.B.Wurzburgの, M
odlfied Starches; Properties and Uses, III. Oxidiz
ed or Hypochlorite-Modified Starches, 28-29頁, CRC
Press (1986)。
【0038】電気分解によるデンプン酸化は、F.F. Far
ley 及び R.M. Hixon の, "Oxidation of Raw Starch G
ranules by Electrolysis in Alkaline Sodium Chlorid
e Solution", Ind. Eng. Chem., 34巻, 677-681頁 (19
42) に開示されている。
【0039】使用する酸化剤の選定によっては、1種以
上の可溶性塩を酸化工程で放出することができる。可溶
性塩もしくは対応する可溶性塩は、ハロゲン化銀析出時
に通常存在するものと同じであって、ハロゲン化銀の析
出前に、この可溶性塩を酸化されたデンプンと分離する
必要はない。もちろん、通常の分離技法を用いて、析出
前に可溶性塩を酸化されたデンプンと分離することも可
能である。例えば、粒子析出時に存在することが望まし
い過剰のハロゲン化物イオンを除くことも行われる。酸
化されたカチオン性デンプン粒子から溶質と溶解塩とを
単にデカントする方法が、簡単な別法である。溶解しな
い条件下で酸化されたカチオン性デンプンを洗浄するこ
とも好ましい別法である。酸化されたカチオン性デンプ
ンが、酸化時に溶液に分散される場合であっても、酸化
されたカチオン性デンプンと酸化の可溶性塩副生成物と
の間には分子サイズに大きな差があるので、通常の限外
濾過技法を用いて分離することができる。
【0040】酸化によって形成されるカルボキシル基
は、−C(O)OHの形態をとるが、必要ならば、カル
ボキシル基はさらに処理されて−C(O)OR’の形態
(ここで、R’は塩もしくはエステルを形成する原子団
を表す)をとることができる。エステル化によって加え
られる有機部分は、好ましくは炭素原子数1〜6個、最
適には炭素原子数1〜3個を有する。
【0041】考えられる最小の酸化の程度は、デンプン
の粘性を低下させるのに必要な程度である。デンプン分
子のα−D−グルコピラノース環の開環によって、直鎖
の反復単位の螺旋構造を分解し、溶液の粘性を低下させ
る。平均して、デンプン重合体当たり少なくとも1つの
α−D−グルコピラノース反復単位を酸化工程で開環す
ることが考えられる。重合体当たり開環されたα−D−
グルコピラノースが2〜3個程度で、デンプン重合体の
能力に十分影響を与え、線状螺旋構造を維持する。酸化
によってグルコピラノース環の少なくとも1%が開環さ
れることが好ましい。
【0042】好ましい目標は、酸化によってカチオン性
デンプの粘性を、ハロゲン化銀析出に用いられるデンプ
ン濃度で、水の粘性の4倍(400%)未満に低下させ
ることである。この粘性低下の目標は、さらに低い酸化
度で達成できるが、α−D−グルコピラノース反復単位
の最大90%のデンプン酸化が報告されている(上述の
Wurzburgの特許明細書、29頁)。一般的な従来の酸化
開環の割合は、α−D−グルコピラノース反復単位の3
〜50%の範囲である。
【0043】水分散性カチオン性デンプンは、高臭化物
{111}平板状粒子の析出時(核生成及び粒子成長、
又は粒子成長時)に存在する。従来のゼラチン解こう剤
を全部この水分散性カチオン性デンプンと取り替えて析
出を行うのが好ましい。従来のゼラチン解こう剤を選択
されたカチオン性デンプン解こう剤に代える際に、選択
された解こう剤の濃度及び添加の時期(複数でもよい)
は、ゼラチン解こう剤を用いる場合のものに対応するこ
とができる。
【0044】さらに、乳剤析出が、選択された解こう剤
のさらに高い濃度でも許容できることは予想外であっ
た。例えば、乳剤析出から化学増感の工程に必要な選択
された全ての解こう剤を、粒子核生成の前に反応容器に
入れることができることがわかった。このことは、平板
状粒子析出が開始した後に、解こう剤を注入する必要が
ないとい利点を有する。選定された解こう剤が、析出さ
れる銀1モル当たり1〜500g(最も好ましくは、5
〜100g)で平板状粒子核生成の前に反応容器内に存
在することが、一般的に好ましい。
【0045】極端な場合には、Mignotの米国特許第4,
334,012号明細書(参照することにより本明細書
の内容とする)に記載されているように、粒子核生成時
に必要な解こう剤が存在せず、必要ならば、選択された
解こう剤の添加を、粒子成長が解こう剤を実際に必要と
する時点に進行するまで延期して、平板状粒子凝集を避
けることも、もちろん知られている。
【0046】平板状粒子成長完了までの高臭化物{11
1}平板状粒子乳剤調製の手順は、従来のゼラチン解こ
う剤を選ばれた解膠剤と置き換えることが必要なだけで
ある。以下の高臭化物{111}平板状粒子乳剤析出操
作(参照することにより本明細書の内容とする)が、上
記検討の選ばれた解こう剤改良を条件として、本発明の
実施に有用であると考えられる:米国特許第4,41
4,310号明細書(Daubendiek等)、米国特許第4,
425,426号明細書(Abbott等)、米国特許第4,
434,226号明細書(Wilgus等)、米国特許第4,
435,501号明細書(Maskasky)、米国特許第4,
439,520号明細書(Kofron等)、米国特許第4,
433,048号明細書(Solberg 等)、米国特許第
4,504,570号明細書(Evans 等)、米国特許第
4,647,528号明細書(Yamada等)、米国特許第
4,672,027号明細書(Daubendiek等)、米国特
許第4,693,964号明細書(Daubendiek等)、米
国特許第4,665,012号明細書(Sugimoto等)、
米国特許第4,672,027号明細書(Daubendiek
等)、米国特許第4,679,745号明細書(Yamada
等)、米国特許第4,693,964号明細書(Dauben
diek等)、米国特許第4,713,320号明細書(Ma
skasky)、米国特許第4,722,886号明細書(No
ttorf )、米国特許第4,755,456号明細書(Su
gimoto)、米国特許第4,775,617号明細書(Go
da)、米国特許第4,797,354号明細書(Saitou
等)、
【0047】米国特許第4,801,522号明細書
(Ellis )、米国特許第4,806,461号明細書
(Ikeda 等)、米国特許第4,835,095号明細書
(Ohashi等)、米国特許第4,835,322号明細書
(Makino等)、米国特許第4,914,014号明細書
(Daubendiek等)、米国特許第4,962,015号明
細書(Aida等)、米国特許第4,985,350号明細
書(Ikeda 等)、米国特許第5,061,609号明細
書(Piggin等)、米国特許第5,061,616号明細
書(Piggin等)、米国特許第5,147,771号明細
書(Tsaur 等)、米国特許第5,147,772号明細
書(Tsaur 等)、米国特許第5,147,773号明細
書(Tsaur 等)、米国特許第5,171,659号明細
書(Tsaur 等)、米国特許第5,210,013号明細
書(Tsaur 等)、米国特許第5,250,403号明細
書(Antoniades等)、米国特許第5,272,048号
明細書(Kim 等)、米国特許第5,310,644号明
細書(Delton)、米国特許第5,314,793号明細
書(Chang 等)、米国特許第5,334,469号明細
書(Sutton等)、米国特許第5,334,495号明細
書(Black 等)、米国特許第5,358,840号明細
書(Chaffee 等)、及び米国特許第5,372,927
号明細書(Delton)。
【0048】作成される高臭化物超薄{111}平板状
粒子乳剤は、銀量基準で、好ましくは少なくとも70モ
ル%、最適には少なくとも90モル%の臭化物を含有す
る。臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ塩臭化銀、及
び塩ヨウ臭化銀平板状粒子乳剤が具体的に企図される。
塩化銀と臭化銀は、全ての割合において平板状粒子を形
成するが、塩化物が銀量基準で30モル%以下の濃度で
存在するのが好ましい。ヨウ化物は、平板状粒子析出の
ために選ばれた析出条件下でその溶解度限界まで平板状
粒子中に存在することができる。
【0049】通常の析出条件下で、ヨウ化銀を銀量基準
で最大約40モル%にわたる濃度で平板状粒子に導入す
ることができる。ヨウ化物濃度は銀量基準で20モル%
未満であるのが一般的に好ましい。典型的には、ヨウ化
物濃度は銀量基準で10モル%未満である。迅速処理
(例えば、放射線写真で、普通に行われる)を容易にす
るために、ヨウ化物濃度が銀量基準で4モル%未満に制
限することが好ましい。銀量基準で0.5モル%程度の
低いヨウ化物濃度で著しい写真上の利点を達成すること
ができるが、銀量基準で少なくとも1モル%のヨウ化物
濃度が好ましい。
【0050】高臭化物{111}平板状粒子乳剤は、従
来のいずれの平均粒子ECDを示してもよく、最大10
μmにわたり、これは写真実用性に適合する最大平均粒
径として一般的に受け入れられている。実際、本発明の
平板状粒子乳剤は、典型的に、0.2〜7.0にわたる
平均ECDを示す。平板状粒子厚は、典型的に、0.0
3〜0.3μmにわたる。青記録の場合、幾分厚い粒子
(最大0.5μm)を用いることができる。マイナス青
(赤及び/もしくは緑)記録の場合、薄い(<0.2μ
m)平板状粒子が好ましい。
【0051】一般的に、平板状粒子乳剤の平均アスペク
ト比もしくは平板状度が増加すると、平板状粒子が乳剤
に与える利点が増加する。平均平板状粒子厚が薄くなる
につれて、アスペクト比(ECD/t)及び平板状度
(ECD/t2 )の両方は増加する。従って、平板状粒
子の厚みを写真用途の可能性いっぱいまで最も薄くする
ことが求められる。特定用途の禁止が無い場合、0.3
μm未満(好ましくは、0.2μm未満、そして最適に
は0.07μm未満)の厚みを有し、総粒子投影面積の
50%超(好ましくは、少なくとも70%、そして最適
には少なくとも90%)を占める平板状粒子が、5より
大きく、最も好ましくは8より大きい平均アスペクト比
を示すことが、一般的に好ましい。平板状粒子平均アス
ペクト比は、100、200までもしくはそれ以上にも
わたることができるが、典型的には、12〜80の範囲
である。25を超える平板状度が一般的に好ましい。
【0052】カチオン性デンプンの存在下で析出される
高臭化物{111}平板状粒子乳剤は、以下の文献に開
示されている(参照することにより、本明細書の内容と
する):米国特許第5,604,085号、同5,62
0,840、同5,667,955号、同5,691,
131号、及び同5,733,718号明細書。
【0053】上記引用の特許明細書及び上記リサーチデ
ィスクロージャー、アイテム38957、セクションI.
「乳剤粒子及びその調製」、D.「粒子改良条件及び調
整」、パラグラフ(3)、(4)、及び(5)に記載さ
れるように、その析出時にこの平板状粒子中に通常のド
ーパントを導入することができる。リサーチディスクロ
ージャー、第367 巻、1994年11月、アイテム36736 、及
びOlm 等の米国特許第5,576,171号明細書に記
載されるように、その平板状粒子に浅い電子トラップ
(SET)部位を提供するドーパントを導入することが
特に考えられる。
【0054】析出プロセス時にこの平板状粒子上に銀塩
をエピタキシャリーに成長させることも認められる。平
板状粒子の辺及び/又はコーナーへのエピタキシャル付
着は、Maskaskyの米国特許第4,435,501号明細
書並びにDaubendiek等の5,573,902号及び同
5,576,168号明細書(参照することにより、本
明細書の内容とする)によって、特に教示される。
【0055】ホスト平板状粒子上へのエピタキシーは、
それ自体増感剤としてはたらくことができるが、本発明
の乳剤は、ゼラチン解こう剤無しに、貴金属、中間カル
コゲン及び還元化学増感技法の一つもしくは組合せを用
いて化学増感すると、エピタキシーを用いても用いなく
ても予想外の感度増強を示す。これらの技法による通常
の化学増感は、上記リサーチディスクロージャー、アイ
テム38957 、セクションIV「化学増感」に概括されて
いる。貴金属(典型的に、金)及び中間カルコゲン(典
型的に、イオウ)の少なくとも1つを用いることが好ま
しく、写真用途用の本発明の乳剤調製では双方の組合せ
ることが最も好ましい。カチオン性デンプン解こう剤を
用いると、化学増感に関してめざましい利点を実現する
ことができる。同等の化学増感レベルで、カチオン性デ
ンプン解こう剤を用いて、より高い写真感度を実現する
ことができる。同等の写真感度を求めようとする場合、
ゼラチン無しでカチオン性デンプン解こう剤は、より少
ない量の化学増感剤の使用を可能にし、良好なインキュ
ベーション保存を提供する。化学増感剤の量を変えない
ままの場合は、より低い析出及び/又は増感温度で、ゼ
ラチン解こう剤を用いて得られる感度と同じ感度を実現
することができ、これによって、好ましくない粒子熟成
を避けることができる。
【0056】乳剤析出と化学増感との間、ゼラチンもし
くはゼラチン誘導体を乳剤に添加する前に好ましくは完
了する工程で、可溶性反応副生物(例えば、アルカリ及
び/又はアルカリ土類カチオン並びに硝酸塩アニオン)
を除去するために乳剤を洗浄することが通常実施され
る。必要ならば、米国特許第4,334,012号(Mi
gnot)明細書に教示されるように、析出時に限外濾過を
用いて乳剤洗浄を乳剤析出と組み合わせることができ
る。あるいは、リサーチディスクロージャー、102巻、1
972年10月、アイテム10208 ;Hagemaier 等のリサーチ
ディスクロージャー、131 巻、1975年3 月、アイテム13
122 ;Bonnet等のリサーチディスクロージャー、135
巻、1975年7 月、アイテム13577 ;Berg等のドイツ国O
LS第2,436,461号;及びBoltonの米国特許第
2,495,918号明細書に記載されるように、析出
後かつ化学増感前にダイア濾過による乳剤洗浄を、半透
膜を用いて実施することができ、あるいは、Maley の米
国特許第3,782,953号及びNoble の同2,82
7,428号明細書に記載されるように、イオン交換樹
脂を用いて乳剤洗浄を実施することができる。イオン除
去は本来的により小さい分子量の溶質イオンを除去する
のに限定されるので、これらの技法による洗浄では、選
ばれた解膠剤を除去する可能性はない。
【0057】化学増感の具体的に好ましい手法では、ミ
ドルカルコゲン(典型的にはイオウ)及び貴金属(典型
的には金)化学増感剤を組み合わせたイオウ含有熟成剤
の組合せを用いる。考えられるイオウ含有熟成剤には、
米国特許第3,271,157号明細書(McBride )、
米国特許第3,574,628号明細書(Jones )及び
米国特許第3,737,313号明細書(Rosencrants
等)で説明されているチオエーテルのような、チオエー
テル類が含まれる。好ましいイオウ含有熟成剤は、米国
特許第2,222,264号明細書(Nietz )、米国特
許第2,448,534号明細書(Lowe等)及び米国特
許第3,320,069号明細書(Illingsworth)で説
明されているチオシアネート類である。好ましい種類の
ミドルカルコゲン増感剤は、米国特許第4,749,6
46号明細書(Herz等)及び第4,810,626号明
細書(Herz等)に開示されている種類のテトラ置換され
たミドルカルコゲン尿素である。
【0058】好ましい化合物には、下式で表されるもの
が含まれる:
【化4】 (式中、Xはイオウ、セレンもしくはテルルであり;R
1 、R2 、R3 及びR4 の各々は独立してアルキレン、
シクロアルキレン、アルカリーレン、アラルキレンもし
くは複素環式アリーレン基を表すか、結合している窒素
原子と一緒になって、R1 とR2 もしくはR3 とR4
は、5〜7員の複素環を完成することができ;そしてA
1 、A2 、A3 及びA4 の各々は独立して水素もしくは
酸基を含んでなる基を表すことができるが、A11
44 の少なくとも一つは、炭素数1〜6の炭素鎖を
介して尿素の窒素に結合される酸基を含有する)。X
は、好ましくはイオウであり、A11 〜A44 は、
好ましくはメチルもしくはカルボキシメチル(但し、カ
ルボキシ基は酸型でも塩型でもよい)である。具体的に
好ましいテトラ置換されたチオ尿素増感剤は、1,3−
ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿素であ
る。
【0059】好ましい金増感剤は、米国特許第5,04
9,485号明細書(Deatone )に開示されている金
(I)化合物である(参照することにより本発明の内容
とする)。これらの化合物には、下式で表される化合物
が含まれる:
【化5】 (式中、Lはメソイオン化合物であり;Xはアニオンで
あり;そしてL1 はルイス酸供与体である)。
【0060】本発明のもう一つの好ましい形態では、イ
オウ増感剤(例えば、式IIIのもの)、及び/又は金
増感剤(例えば、式IVのもの)、Lok 等の米国特許第
4,378,426号及び同4,451,557号明細
書に記載される(参照することにより本明細書の内容と
する)2−[N−(2−アルキニル)アミノ]−メタ−
カルコアゾール類を、単独もしくは組み合わせて用いる
ことが考えられる。
【0061】好ましい2−[N−(2−アルキニル)ア
ミノ]−メタ−カルコアゾール類は次式によって表すこ
とができる:
【化6】 (式中、X=O、S、Se;R1 =(Va)水素又は
(Vb)アルキルもしくは置換されたアルキル又はアリ
ールもしくは置換されたアリール;そしてY1 及びY2
は、独立して、水素、アルキル基もしくは芳香族核を表
すか、又は一緒になって、炭素、酸素、セレン、及び窒
素原子から選ばれる原子を有する芳香環もしくは脂環式
環を完成するのに必要な原子団を表す)。
【0062】式(V)化合物は、化学増感を生じる加熱
工程(仕上げ)時に存在すると、一般的に有効である
(Vb形態は、非常に大きな感度利得及び格別の潜像安
定性を与える)。フラグメント化可能な電子供与性増感
剤は、従来の化学増感剤の1種、いくつか、又は全部の
代わりに用いるか、または、これらと組み合わせて用い
るとさらに高い感度を提供する。化学増感を達成するた
めに、高温で一定時間乳剤を保持することが、ゼラチン
解こうされる乳剤を化学増感する場合は、普通に行われ
る。増感剤がフラグメント化しないで高温に耐えるほど
十分に安定な場合は、FED増感剤を加熱前に添加して
もよい。しかし、従来の化学増感を達成するために加熱
工程を企図する場合は、加熱工程の終わりにFED増感
剤を添加するのが好ましい。本発明の大きな利点の一つ
は酸化されたカチオン性デンプン解膠乳剤を、上記式
(III)、(IV)及び(V)のような従来の増感剤
を用いて、より低い温度で効率よく化学増感できること
である。
【0063】例えば、対応するゼラチン解膠乳剤の増感
に要する温度よりも低い温度で、化学増感を達成するこ
とができる。40℃未満の温度で加熱して、酸化カチオ
ン性デンプン解膠された平板状粒子乳剤の化学増感を達
成することができる。従って、FED増感剤を、従来の
他の化学増感剤の添加の前、添加時、もしくは添加後に
加えることができる。
【0064】Farid 等の米国特許第5,747,235
号及び同5,747,236号明細書;Lenhard 等の米
国特許出願第08/739,911号明細書(1996年10
月30日出願);Gould 等の米国特許出願第09/11
8,536号明細書、Farid 等の米国特許出願第09/
118,552号明細書、及びAdin等の米国特許出願第
09/118,714号明細書(いずれも、1998年6 月
25日出願)(参照することにより本発明の内容とする9
に開示されているタイプのフラグメント化可能な電子供
与性(FED)増感剤が、本発明の実施において特に考
えられる。
【0065】これらのFED増感剤は、式X−Y’を満
たし、X−Y’は増感剤全体を構成するか、増感剤の部
分−X−Y’を構成する。ここで、Xが電子供与性化合
物部分であり、Y’がプロトン又は離脱基Yであり、そ
して、(1)X−Y’が、0と1.4Vとの間の酸化電
位を有し、(2)X−Y’の酸化形態が結合開裂反応を
受けて、ラジカルX及び離脱フラグメントY’を生
じ、そして必要に応じて、(3)ラジカルXは、酸化
電位≦−0.7V(即ち、−0.7Vに等しいか、さら
にマイナスである)を有する。本発明の好ましい態様で
は、Y’はプロトンであり、塩基B- はXに直接又は間
接に共有結合されている。
【0066】基準(1)及び(2)に適合するが、
(3)に適合しない化合物は、一つの電子を供与するこ
とができ、本明細書では、フラグメント化可能な1電子
供与性化合物と称する。三つの基準全てに適合する化合
物は、二つの電子を供与することができ、本明細書で
は、フラグメント化可能な2電子供与性化合物と称す
る。本明細書では、酸化電位を飽和カロメル参照電極に
対する電位を表す「V」として報告する。
【0067】Y’がYである本発明の好ましい態様で
は、次の式は、X−Yが酸化及びフラグメント化を受け
て、好ましい形態でさらに酸化を受けるラジカルX
成するときに起きると思われる反応を示す。
【化7】 X−Yの酸化電位が1.4ボルト又はそれよりマイナス
である場合に、化合物X−Yから電子放出が起きる。X
が−0.7ボルト又はそれよりマイナスである場合に
遊離基Xからの電子放出が起きる。
【0068】X−Yの構造上の特色を、二つの部分(即
ち、フラグメントX及びフラグメントY)の特徴で規定
する。フラグメントXの構造上の特徴が、X−Y分子の
酸化電位及びラジカルXの酸化電位を決定するのに対
し、X及びYフラグメントの両方は、酸化された分子X
−Y・+のフラグメント化速度に影響を与える。
【0069】Y’がHである本発明の好ましい態様で
は、次の式は、化合物X−Hが酸化及び塩基B- への脱
プロトン化を受けて、好ましい形態でさらに酸化を受け
るラジカルX生成するときに起きると思われる反応を
示す。
【化8】
【0070】好ましいX基は、次の一般式を有する:
【化9】 水素原子又は非置換もしくは置換されたアルキル基を表
すために、記号「R」(添字の無いR)を本明細書の全
ての構造式で用いる。
【0071】構造式(IV)では、 m:0、1; Z:O、S、Se、Te; Ar:アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、フェ
ナントリル、アントリル);又は複素環式基(例えば、
ピリジン、インドール、ベンゾイミダゾール、チアゾー
ル、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、等); R1 :R、カルボキシル、アミド、スルホンアミド、ハ
ロゲン、NR2 、(OH)n 、(OR’)n 、又は(S
R)n ; R’:アルキル又は置換アルキル; n:1〜3; R2 :R、Ar’; R3 :R、Ar’; R2 及びR3 は、一緒になって5員〜8員環を形成でき
る; R2 及びArは、結合して5員〜8員環を形成できる; R3 及びArは、結合して5員〜8員環を形成できる; Ar’は、フェニル、置換フェニル等のアリール基、又
は複素環式基(例えば、ピリジン、ベンゾチアゾール、
等); R:水素原子又は非置換もしくは置換されたアルキル基
である。
【0072】構造式(VII)では、Arは、アリール
基(例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル);
又は複素環式基(例えば、ピリジン、ベンゾチアゾー
ル、等);R4 は、ハメットシグマ値が−1〜+1、好
ましくは、−0.7〜+0.7である、例えば、R、O
R、SR、ハロゲン、CHO、C(O)R、COOR、
CONR2 、SO3 R、SO2 NR2 、SO2 R、SO
R、C(S)R、等の置換基;R5 は、R、Ar’;R
6 及びR7 :R、Ar’;R5 及びArは、結合して5
員〜8員環を形成できる;R6 及びArは、結合して5
員〜8員環を形成できる(この場合、R6 はヘテロ原子
となることができる);R5 及びR6 は、結合して5員
〜8員環を形成できる;R6 及びR7 は、結合して5員
〜8員環を形成できる;Ar’は、フェニル、置換フェ
ニル等のアリール基、又は複素環式基;Rは、水素原子
又は非置換もしくは置換されたアルキル基である。ハメ
ットシグマ値の議論は、Hansch及びR. W. Taftの、Che
m. Rev. 91 巻、(1991) 165頁, に見つけることがで
き、参照することにより本明細書の内容とする。
【0073】構造式(VIII)では、 W:O、S、Se; Ar:アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、フェ
ナントリル、アントリル);又は複素環式基(例えば、
インドール、ベンゾイミダゾール、等); R8 :R、カルボキシル、NR2 、(OR)n 、又は
(SR)n (n=1〜3); R9 及びR10:R、Ar’; R9 及びArは、結合して5員〜8員環を形成できる;
Ar’は、フェニル、置換フェニル等のアリール基、又
は複素環式基; R:水素原子又は非置換もしくは置換されたアルキル基
である。
【0074】構造式(IX)では、「ring」は、置換又
は非置換の5員、6員もしくは7員の不飽和環、好まし
くは複素環を表す。
【0075】以下のものは、一般構造式VIのXの例を
表す:
【化10】 本願明細書の構造では、−OR(NR2 )のような記号
は、−OR又は−NR 2 のいずれかが存在することがで
きることを示す。
【0076】以下のものは、一般構造VIIのXの具体
例である:
【化11】 11及びR12は、H、アルキル、アルコキシ、アルキル
チオ、ハロ、カルバモイル、カルボキシル、アミド、ホ
ルミル、スルホニル、スルホンアミド、ニトリルであ
る。
【0077】
【化12】 1 は、共有結合、S、O、Se、NR、CR2 、CR
=CR、又はCH2 CH2 である。
【0078】
【化13】 2 は、S、O、Se、NR、CR2 、CR=CRであ
り、R13は、アルキル、置換アルキル又はアリールであ
り、R14は、H、アルキル、置換アルキル又はアリール
である。
【0079】以下のものは、一般構造VIIIのXの具
体例である:
【化14】
【0080】以下のものは、一般構造IXのXの具体例
である:
【化15】 3 は、O、S、Se、NRであり、R15は、R、O
R、NR2 であり、R16は、アルキル、置換アルキルで
ある。
【0081】好ましいY’基は: (1)X’、ここで、X’は、構造式VI〜IX規定し
たX基であって、それが結合するX基と同じであって
も、異なっていてもよい。 (2)
【化16】 (3)
【化17】 (式中、Mは、Si、Sn又はGeであり、R’は、ア
ルキル又は置換アルキルである)。 (4)
【化18】 (式中、Ar''は、アリール又は置換アリールであ
る)。 (5)
【化19】
【0082】本発明の好ましい態様では、Y’は、−
H、−COO- もしくは−Si(R’)3 又は−X’で
ある。特に好ましいY’基は、−H、−COO- 又は−
Si(R’)3 である。Y’がプロトンである本発明の
好ましい態様では、塩基B- は、Xに直接又は間接に共
有結合する。この塩基は、好ましくは、pKaが1〜
8、好ましくは2〜7の酸の共役塩基である。pKa値
の例は、例えば、Dissociation Constants of Organic
Bases in Aqueous Solution, D.D.Peril (Butterworth,
London, 1965); CRC Handbook of Chemistry and Phys
ics, 77th, D.R.Lide (CRC Press, Boca Raton, F1, 19
96) を参照されたい。
【0083】有用な塩基の例を表Iに示す。
【表1】
【0084】好ましくは、塩基B- は、カルボキシレー
ト、スルフェートもしくはアミンオキシドである。
【0085】本発明のいくつかの態様では、フラグメン
ト化可能な電子供与性増感剤は、Xに直接又は間接に結
合する光吸収基Z、Xに直接又は間接に結合するハロゲ
ン化銀吸着基A、又は、Xに結合する発色団形成基Qを
有する。そのようなフラグメント化可能な電子供与性増
感剤は、好ましくは次式のものである:
【0086】
【化20】
【0087】式中、Zは、光吸収基であり、kは、1又
は2であり、Aは、ハロゲン化銀への吸着を促進する
N、S、P、Se、又はTeの少なくとも1つの原子を
有するハロゲン化銀吸着基であり、Lは、少なくとも一
つのC、N、S又はO原子を有する結合基であり、そし
てQは、X−Y’と結合すると、アミジニウムイオン、
カルボキシルイオン又は両性アミド発色団系を含む発色
団を形成するのに必要な原子団を表す。
【0088】Zは、光吸収基であり、例えば、シアニン
色素類、複合シアニン色素類、メロシアニン色素類、複
合メロシアニン色素類、両性シアニン色素類、スチリル
色素類、オキソノール色素類、ヘミオキソノール色素
類、及びヘミシアニン色素類を含む。
【0089】好ましいZ基は次の色素に由来する:
【化21】
【0090】
【化22】
【0091】結合基Lは、1つ(又はそれ以上)のヘテ
ロ原子のところ、1つ(又はそれ以上)の芳香環もしく
は複素環のところ、ポリメチン鎖の1つ(又はそれ以
上)の原子のところで、色素と結合することができる。
簡単にするために、そして複数の可能性のある結合部位
のために、L基の結合を一般構造式では特に示さない。
【0092】ハロゲン化銀吸着基Aは、好ましくは、銀
イオンリガンド部分又はカチオン性界面活性剤部分であ
る。好ましい態様では、Aは、i)イオウ酸類並びにそ
れらのSe及びTe類似体、ii)窒素酸類、iii )チオ
エーテル類並びにそれらのSe及びTe類似体、iv)ホ
スフィン類、v )チオナミド類、セレナミド類、及びテ
ルラミド類、並びにvi)炭素酸類からなる群より選ばれ
る。
【0093】A基の具体例は次のものである:
【化23】
【0094】結合基Lのハロゲン化銀吸着基Aに対する
結合点は、吸着基の構造によって変わり、1つ(又はそ
れ以上)のヘテロ原子のところ、1つ(又はそれ以上)
の芳香環もしくは複素環のところとなることができる。
【0095】フラグメント化可能な電子供与性基XYに
共有結合によって光吸収基を結合させるLによって表さ
れる結合基は、好ましくは、C、N、S、もしくはO原
子の少なくとも1つを有する有機結合基である。また、
結合基が完全な芳香性又は不飽和ではなく、その結果π
結合系がZとXY部分間に存在できないことが好まし
い。結合基の好ましい例には、アルキレン基、アリーレ
ン基、−O−、−S−、−C=O、−SO2 −、−NH
−、−P=O、及び−N=が含まれる。これらの各結合
成分は随意選択的に置換されていてもよく、単独又は組
み合わせて用いてもよい。
【0096】これらの基の好ましい組み合わせ例には、
次のものである:
【化24】
【0097】結合基の長さは、1つの原子に限定される
ことができ、又はさらに長く、例えば、最大30原子の
長さとなることができる。好ましい長さは、2〜20原
子、最も好ましくは、3〜10原子である。
【0098】Lのいくつかの好ましい例を次の一般式で
表すことができる:
【化25】
【0099】Qは、X−Y’と結合すると、アミジニウ
ムイオン、カルボキシルイオン又は両性アミド発色団系
を含む発色団を形成するのに必要な原子団を表す。好ま
しくは、この発色団系は、F. M. Hamer の、The Cyanin
e Dyes and Related Compounds (Interscience Publish
ers, New York, 1964)に記載されるような、シアニン、
複合シアニン、ヘミシアニン、メロシアニン、及び複合
メロシアニン色素に一般的に見られるタイプである。
【0100】Q基の具体例は次のものである:
【化26】
【0101】特に好ましいものは次式のQ基である:
【化27】
【0102】X2 はO、S、N、又はC(OR192
あり、ここでR19は置換又は非置換のアルキルであり、
各R17は独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もし
くは非置換のアルキル基、又は置換もしくは非置換のア
リール基であり、aは1〜4の整数であり、R18は置換
もしくは非置換のアルキル、又は置換もしくは非置換の
アリールである。
【0103】フラグメント化可能な電子供与性増感剤の
具体例には次のものが含まれる:
【化28】
【0104】
【化29】
【0105】
【化30】
【0106】
【化31】
【0107】
【化32】
【0108】本発明の好ましい形態では、1種以上の分
光増感色素が高臭化物{111}平板状粒子の表面に吸
着される。本発明の1つの特定の好ましい態様では、F
ED増感剤には、分光増感色素の光量子捕獲能力及びF
ED増感剤の追加の電子注入能力を提供する色素発色団
が含まれる。これによって、FED増感剤を有する色素
発色団を従来の分光増感色素と置き換えることができ
る。FED増感剤と一緒に用いるために、従来型及び従
来量の分光増感色素も考えられる。1種以上の従来の分
光増感色素と組み合わせて用いる場合、発色団を有する
FED増感剤を、従来の分光増感色素と同じ分光範囲の
光、もしくは異なる分光範囲の光を吸収するように選択
することができる。前述したように、分光増感色素の概
要は、上記リサーチディスクロージャー、アイテム3895
7 、V.「分光増感及び減感」、A.「増感色素」に記
載されている。一般的に、分光増感色素は化学増感の後
に粒子表面に吸着されるが、化学増感の前もしくは化学
増感時に高臭化物{111}平板状粒子に色素を添加す
る利点も長く認められており、Kofron等の米国特許第
4,439,520号明細書に記載されている。FED
増感剤は、分光増感の前、分光増感時、あるいは分光増
感後に乳剤に添加することができる。
【0109】FED増感剤を、分光増感色素を分散する
場合の通常の技法によって、乳剤に導入することができ
る。即ち、FED増感剤を、乳剤に直接添加するか、溶
剤、例えば、水、メタノール、もしくはエタノール等、
又はそれらの溶剤の混合物(例えば、水性アルコール溶
液)に溶解した後添加することができる。また、FED
増感剤を塩基及び/又は界面活性剤を含有する溶液から
添加することもできる。FED増感剤を、水性スラリー
又は解こう剤分散物に混ぜることもできる。
【0110】FED増感剤を本発明の乳剤に添加して、
高臭化物{111}平板状粒子と均質に接触させること
ができる。好ましい形態では、FED増感剤は粒子表面
に吸着される。本発明の乳剤中でのFED増感剤の濃度
は、銀1モル当たり少なくても1×10-8モルから最大
銀1モル当たり0.1モルの範囲となることができる。
好ましい濃度範囲は、5×10-7モル/銀モルから0.
05モル/銀モルの範囲である。FED増感剤のより活
性形態(例えば、1分子当たりより多くの電子を注入で
きるもの)をより低い濃度で用いて、より低活性形態と
同じ有利な効果を達成することも認められる。FED増
感剤を、他の従来導入される増感剤の添加の前、添加
時、添加後に本発明の乳剤に添加することが好ましい
が、FED増感剤の添加が乳剤が塗布される後まで遅れ
た場合であっても、乳剤感度の増加が見られた。
【0111】高臭化物{111}平板状粒子、カチオン
性でんぷん解こう剤、及びFED増感剤(通常、化学及
び/又は分光増感剤と組み合わせる)に加えて、本発明
の乳剤は、好ましくは、さらに1種以上の従来のカブリ
防止剤及び安定化剤を含む。カブリ防止剤及び安定化剤
の概要は、リサーチディスクロージャー、アイテム3895
7 、VII .「カブリ防止剤及び安定化剤」に記載されて
いる。
【0112】カチオン性デンプン解こう剤と組み合わせ
てFED増感剤を用いると、従来のカブリ防止剤及び安
定化剤が乳剤中に存在していても、ゼラチン解こう剤と
置き換えた場合よりも幾分高い最小濃度を生じることが
わかった。この最小濃度の増加分を、粒子析出時又はそ
の後、酸化剤で乳剤を処理することによって減らすか、
除去することができることがわかった。好ましい酸化剤
は、その還元形態がそれらが導入された乳剤の特性にほ
とんど又は全く影響を与えない酸化剤である。
【0113】カチオン性デンプンの酸化に有用な上述の
強酸化剤、例えば、次亜塩素酸イオン(ClO- )又は
過ヨウ素酸イオン(IO4 - )が特に考えられる。特に
好ましい酸化剤は、ハロゲン、例えば、臭素(Br2
又はヨウ素(I2 )である。臭素又はヨウ素を酸化剤と
して用いる場合、臭素又はヨウ素は、Br- 又はI-
還元される。これらのハロゲン化物イオンは、他の過剰
のハロゲン化物イオンと共に乳剤の分散媒体中の残るこ
とができ、あるいは写真性能に悪影響を与えることなく
粒子に組み込まれることができる。最小濃度の低下に有
効ないずれの濃度の酸化剤も用いることができる。乳剤
に加える酸化剤の濃度は、銀1モル当たり少なくても1
×10-6モルが考えられる。非常に低濃度Ag°が、最
小濃度増加の原因であるので、銀1モル当たり0.1モ
ルを超える濃度の酸化剤を用いることによる有用な役割
は無い。特に好ましい酸化剤の濃度範囲は、1×10-4
モル/銀モルから1×10-2モル/銀モルの範囲であ
る。酸化剤を析出時に添加するか、析出後に添加するか
に関わらず、前記銀基準は高臭化物{111}平板状粒
子乳剤の析出の終了時の総銀量である。
【0114】色素像生成層ユニットは1種以上の1当量
画像色素生成カプラーを有する。本明細書で使用する場
合、用語「カプラー」は、写真要素の現像時に酸化され
たp−フェニレンジアミン発色現像主薬と反応して写真
に有用な機能を果たす化合物を表す当該技術分野で認識
されている意味に用いられる。1当量カプラーを、
(a)2当量画像色素生成カプラーに見られる離脱基の
カップリングのための活性を提供し、(b)色素画像濃
度に寄与できる色素発色団を有する離脱基を含有する様
に改質された2当量もしくは4当量画像色素生成カプラ
ーとして見ることができる。言い換えれば、1当量画像
色素生成カプラーを、画像色素生成カプラー一般に見ら
れるタイプの従来のカップリング部分(COUP)及び
1当量カップリングを与えるように特に選択された離脱
基部分(LG)から構成されていると見ることができ
る。
【0115】リサーチディスクロージャー、アイテム38
957 、X.「色素像形成及び改良」、B.「画像色素生
成カプラー」に要約される画像色素生成カプラーは、本
発明の写真要素の画像色素生成層ユニットでの使用を意
図する1当量画像色素生成カプラーに見いだされるタイ
プのカップリング部分COUPを有する。COUP部分
の種々の形態が知られているが、大部分のCOUP部分
は、その主吸収を可視スペクトルの赤、緑又は青領域に
有する画像色素の形成を促進するように合成されてい
る。
【0116】例えば、酸化された発色現像主薬との反応
時にシアン色素を形成するカプラーが、米国特許第2,
772,162号、同2,895,826号、同3,0
02,836号、同3,034,892号、同2,47
4,293号、同2,423,730号、同2,36
7,531号、同3,041,236号、同4,33
3,999号明細書並びに「Farbkuppler-eine Literat
ure Ubersicht 」、Agfa Mitteilungen 発行、第III
巻、156-175 頁(1961)等の代表的な特許明細書及び刊
行物に記載されている。次に示すカプラー部分COUP
構造では、完成していない結合は離脱基部分LGが結合
するカップリング部位を示す。
【0117】好ましくは、そのようなシアン色素生成カ
プラーは、カップリング部位(即ち、フェノール又はナ
フトールの4位の炭素原子)のところで、酸化された発
色現像主薬との反応時にシアン色素を生成するフェノー
ル類及びナフトール類である。シアン色素生成カプラー
に見られるタイプの好ましいCOUP部分は次のもので
ある:
【0118】
【化33】
【化34】
【0119】上式中、R9 及びR10は、バラスト基又は
置換もしくは非置換のアルキル又はアリール基を表すこ
とができ、そしてR11は、1種以上のハロゲン(例え
ば、クロロ、フルオロ)、炭素数1〜4個のアルキル又
は炭素数1〜4個のアルコキシを表す。
【0120】酸化された発色現像主薬との反応時にマゼ
ンタ色素を生成する他のカプラーは、米国特許第2,6
00,788号、同2,369,489号、同2,34
3,703号、同2,311,082号、同3,82
4,250号、同3,615,502号、同4,07
6,533号、同3,152,896号、同3,51
9,429号、同3,062,653号、同2,90
8,573号、同4,540,654号明細書並びに
「Farbkuppler-eine Literature Ubersicht 」、Agfa M
itteilungen 発行、第III 巻、126-156 頁(1961)等の
代表的な特許明細書及び刊行物に記載されている。
【0121】好ましくは、そのようなマゼンタ色素生成
カプラーは、カップリング部位(即ち、ピラゾロンの4
位及びピラゾロトリアゾールの7位の炭素原子)のとこ
ろで、酸化された発色現像主薬との反応時にマゼンタ色
素を生成するピラゾロン類及びピラゾロトリアゾール類
である。マゼンタ色素生成カプラーに見られるタイプの
好ましいCOUP部分は次のものである:
【0122】
【化35】
【0123】上式中、R9 及びR10は、上述の定義と同
じである。ピラゾロン構造のR10は、一般的に、フェニ
ル又は置換フェニル、例えば、2,4,6−トリハロフ
ェニルであり、ピラゾロトリアゾール構造の場合、R10
は典型的にアルキル又はアリールである。
【0124】酸化された発色現像主薬との反応時にイエ
ロー色素を生成するカプラーは、米国特許第2,87
5,057号、同2,407,210号、同2,29
8,443号、同3,048,194号、同3,44
7,928号明細書並びに「Farbkuppler-eine Literat
ure Ubersicht 」、Agfa Mitteilungen 発行、第III
巻、112-126 頁(1961)等の代表的な特許明細書及び刊
行物に記載されている。
【0125】好ましくは、そのようなイエロー色素生成
カプラーは、アシルアセトアミド類、例えば、ベンゾイ
ルアセトアニリド類及びピバリルアセトアニリド類であ
る。これらのカプラーは、カップリング部位(即ち、活
性メチレン炭素原子)のところで、酸化された発色現像
主薬との反応する。イエロー色素生成カプラーに見られ
るタイプの好ましいCOUP部分は次のものである:
【0126】
【化36】
【0127】上式中、R9 及びR10は上述の定義と同じ
であり、また、水素、アルコキシ、アルコキシカルボニ
ル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アリー
ルオキシカルボニル、カルボンアミド、カルバモイル、
スルホンアミド、又はスルファモイルにもなることがで
き、そしてR11は、水素又は1種以上のハロゲン、低級
アルキル(例えば、メチル、エチル)、低級アルコキシ
(例えば、メトキシ、エトキシ)、又はバラスト(例え
ば、炭素数16〜20個のアルコキシ)基である。
【0128】離脱基LGは2当量画像色素生成カプラー
の離脱基とは、LGそれ自体が色素発色団を有するとい
う点で異なる。LGの色素発色団がCOUPから分離す
る前と後で同じ色相を示す場合は、色素像の生成に寄与
せず、全ての画像領域において均一に色素濃度を単に増
加させるだけである。LGがCOUPに結合したままの
場合のLGの色素発色団による好ましくない光吸収を防
止しながら、LGがCOUPから放出されたときに所望
の画像色素光吸収を得るために、従来のLGはLGが結
合したCOUPと比較して放出されたLGの光吸収の深
色シフトが生じるように選択される。例えば、イエロー
(青光吸収性)色素像得ようとすると仮定すると、LG
を、COUPに結合されているときに紫外吸収性色素を
有するように、そしてCOUPから放出されると、スペ
クトルの青領域に深色的にシフトした吸収を生じること
ができるように構成することができ、それによって、色
素に組み込まれたLGの知覚される色相を実質的な無色
からイエローに変えることができる。
【0129】長波長深色シフトを可能にするLG構成を
用いると、LG色相を実質的な無色(UV吸収性)から
緑へと、さらには赤へとシフトすることができる。放出
されたLGにおける緑及び赤吸収性色素の場合、最初の
(COUPに結合されている)LG吸収を(選択された
構成に依存するが)スペクトルの可視領域に拡張しても
よい。この初期可視光吸収性はLGが放出されると失わ
れる。カップリング反応の結果として、可視スペクトル
の選択された領域の光吸収性を失うことは、カラーネガ
フィルムの色補正に通常用いられる従来のマスキングカ
プラーによって示される特性でもある。従って、COU
Pに結合されている際のLGの初期吸収を、放出時の吸
収性シフトがマスキングカプラーの機能を果たすように
選択することも可能である。
【0130】LGは従来の1当量カプラーのいずれの形
態もとることができる。本発明の写真要素の画像形成層
ユニットでの使用に適した離脱基を有する1当量カプラ
ーは、Lau の米国特許第4,248,962号及びMoob
erry等の米国特許第4,840,884号、同5,44
7,819号、及び同5,457,004号明細書に記
載されている(参照することにより、本明細書の内容と
する)。Mooberry等の1当量画像色素生成カプラーが好
ましい。なぜなら、それらはその所望の色素を保持する
ために放出時に媒染を要しないからである。別の方法を
見ると、Mooberry等の1当量画像色素生成カプラーは、
中性に変わる色素を有することができる。
【0131】好ましい1当量画像色素生成カプラーに
は、次式の化合物が含まれる: COUP−Ln −B−N(R1 )−DYE COUPは、上述のカプラー部分であり、COUPの右
側の構造がLGを形成する。DYEは、画像色素又は画
像色素前駆体であり、色素と共に助色団を含むことがで
き、助色団は色素吸収強度を高める基である。
【0132】Ln −Bは、少なくとも2価の結合基であ
る。nは0又は1である。COUP結合及びB−N(R
1 )結合は両方とも、カプリング脱離が起きる条件下で
開裂する。B−N(R1 )結合開裂すると、DYEの色
相が深色的にシフトする。Bは、−OC(O)−、−O
C(S)−、−SC(O)−、−SC(S)−、又は−
OC(=NSO2 R)−の中から選択することができ
る。ここで、Rは置換又は非置換のアルキルもしくはア
リール基である。−OC(=NSO2 R)−及び−OC
(O)−の形におけるB(特に、後者の場合)が未露光
領域の濃度を可能な限り最低に維持するために好まし
い。
【0133】N(R1 )は、DYEの助色団か発色団の
一部を形成する。−N(R1 )−が助色団の一部を形成
する具体例は次のものである: −N(R1 )−の窒素原子は随意選択的に助色団(色素
の色を増強する基)中に配置されるか、又は随意選択的
に色素発色団の一体部分である。 −N(R1 )−が助色団の一部である具体例は次のもの
である:
【0134】
【化37】
【0135】−N(R1 )−が色素発色団の一部を形成
する具体例は次のものである:
【0136】
【化38】
【0137】特定の結合基Ln −Bを、−NR1 −DY
E基の放出の速度と時間のようなパラメータのコントロ
ールを助けるように変えることができる。使用される特
定の結合基Ln −B(Ln −B上の置換基の性質を含め
る)は、さらに、基Ln −B、−NR1 −基及びDYE
によって形成されるユニットの拡散速度と距離を、この
ユニットが放出された後で−NR1 −DYEが放出され
る前に、コントロールすることができる。結合基Ln
Bが、−NR1 −との結合の作用として、DYEの吸収
の分光シフトを起こすことが好ましい。また、結合基L
n −Bが、酸化に対してDYEを安定化する(特に、−
NR1 −が発色団の一部である場合)ことが好ましい。
【0138】カプラー部分COUPは、酸化された発色
現像主薬と反応して、結合基とカプラー部分との結合を
開裂させるいずれの部分にもなることができる。これに
は、発色現像主薬と反応の際に無色生成物を生じる従来
の色生成カプラーに用いられるカプラー部分、並びに発
色現像主薬と反応の際に着色生成物を生じるカプラー部
分が含まれる。双方のカプラー部分とも当該技術分野で
は周知である。
【0139】カプラー部分は、バラスト化されてない
か、もしくは油溶性基又は脂肪尾基でバラスト化されて
いてもよい。カプラー部分はモノマーとなることがで
き、あるいは、ダイマー、オリゴマー又はポリマーカプ
ラーの一部を形成することができ、この場合、1つ以上
の−Ln −B−NR1 −DYE単位をカプラー中に有す
ることができる。
【0140】特定のカプラー部分、特定の発色現像主薬
及び処理のタイプによって、カプラー部分と酸化された
発色現像主薬との反応生成物が、 (1)着色されており、非拡散性である(この場合、形
成された位置に残る): (2)着色されており、拡散性である(この場合、処理
時に形成された位置から除去されるか、別の場所に移動
することができる、:又は (3)無色となることができることも認められるであろ
う。
【0141】−Ln −B−NR1 −DYE単位は、酸化
された発色現像主薬との反応によってカプラーから放出
される基が結合することができるいずれの位置において
もカプラーと結合される。−Ln −B−NR1 −DYE
単位は、当該カプラーと酸化された発色現像主薬との反
応時に−Ln −B−NR1 −DYEが置き換えられるよ
うに、カプラー部分のカップリングの位置に結合され
る。
【0142】結合基Ln −Bは、NR1 −基にCOUP
を接続させるようにはたらく有機性基、またCOUPか
ら開裂した後、−NR1 −から開裂する(例えば、米国
特許第4,409,323号明細書に記載されているタ
イプの脱離反応による)有機性基となることができる。
脱離反応は共役鎖を下る電子移動を伴う。本明細書で用
いる「共役鎖を下る電子移動」は、単結合と二重結合が
交互に生じる原子鎖に沿う電子の移動をいうものと理解
されたい。共役鎖は有機化学で通常用いられる意味と同
じである。「共役鎖を下る電子移動」は、例えば、米国
特許第4,409,323号明細書に記載されている。
【0143】基Ln −Bは、次の速度:(i )COUP
と酸化された発色現像主薬との反応速度、(ii)Ln
B−NR1 −DYEの拡散速度及び(iii )DYEの放
出速度、の1つ以上をコントロールすることができる部
分及び置換基を有することができる。結合基Ln −B
は、この結合基に結合したままとなるか、放出される追
加の置換基又はそれらの前駆体を有することができる。
【0144】結合基の具体例は次のものである:
【化39】
【0145】上式中、X1 〜X6 及びR1 〜R18は、記
載したCOUP−Ln −B−NR1−DYEに悪影響を
与えない置換基である。例えば、R1 〜R18は、独立
に、水素、非置換又は置換されたアルキル、例えば、炭
素数1〜30個のアルキル、例えば、メチル、エチル、
プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル及びエイ
コシル;又はシクロアルキル、例えば、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル及び4−メトキシシクロヘキシル;
又はアリール、例えば、非置換もしくは置換されたフェ
ニルである。X1 〜X6 は、水素、又は記載したCOU
P−Ln −B−NR 1 −DYEに悪影響を与えない置換
基となることができ、例えば、アルキル(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル及びエ
イコシル)、ハロゲン(例えば、塩素及び臭素)、ニト
ロ、カルバミル、アシルアミド、スルホンアミド、スル
ファミル、スルホ、カルボキシル、シアノ、並びにアル
コキシ(例えば、メトキシ及びエトキシ)、アシル、ス
ルホニル、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、並びに
アリールオキシ等の電子求引性基又は供与性基となるこ
とができる。結合基Ln −Bは、例えば、米国特許第
4,409,323号明細書記載の結合基、又は米国特
許第4,248,962号明細書記載の求核性置換型結
合基、又はこれらの2種類を組み合わせた結合基となる
ことができる。
【0146】特に有用なLn −B結合基は次式のもので
ある:
【化40】
【0147】上式中、Aは、O、S、又はスルホンアミ
ド(N−SO223)であり、Bは、前述の定義と同じ
であり、R21及びR22は、独立して、水素、又は置換も
しくは非置換のアルキル、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、n−ブチル、t−ブチル、又はアリール、例え
ば、非置換もしくは置換されたフェニルであり、X7
は、X1 のところで記載したような基であり、カプラー
に悪影響を与えず、そしてnは、0、1、2、3、又は
4である。R23は置換基であり、典型的に、アルキル又
はアリールである。典型的に、R 21及びR22は、水素で
ある。
【0148】好ましいLn −B結合基は次式のものであ
る:
【化41】
【0149】上式中、 X7aは、水素、塩素、メチルス
ルホンアミド(NHSO2 CH3 )、−COOCH3
−NHCOCH3 、−CONHCH3 、−COHNCH
2 COOH、−COOH又はCON(CH32 であ
る。
【0150】特に有用な結合基は次式のものである:
【化42】
【0151】結合基とDYEは、随意選択的に、反応、
拡散又は置換の速度を変えることができる基、例えば、
ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、
ニトロ、炭素数1〜20個のアルキル、アシル、カルボ
キシ、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニル、ア
ルコキシカルボンアミド、アルキルカルバミル、スルホ
アルキル、アルキルスルホンアミド、及びアルキルスル
ホニル、可溶化基又はバラスト基を有する。例えば、可
溶化基は拡散速度を増加し、バラスト基は拡散速度を低
下させる。
【0152】−NR1 −上のR1 置換基は、カプラー
(A)に悪影響を与えない任意の置換基となることがで
きる。−NR1 −が、助色団の一部である場合は、R1
は、例えば、水素、又はアルキル、例えば、炭素数1〜
30個のアルキル(メチル、エチル、プロピル、n−ブ
チル、t−ブチルもしくはエイコシルを含む)、又はフ
ェニル等のアリールとなることができる。Ln −Bに結
合した窒素原子が、発色団の一部である場合は、R1
は、発色団の一体部分となる。
【0153】R1 が、助色団の一部である場合は、好ま
しいR1 基は炭素数1〜18個アルキル等のアルキルで
ある。R1 が、発色団の一部である場合は、例えば、フ
ェニル等の非置換又は置換されたアリールである。記載
したDYEには、生成された色素を媒染することなく色
素色相安定化を可能にする放出可能な電気的に中性の色
素が含まれる。放出メカニズムを酸化された還元剤によ
って開始することができる。
【0154】特定のDYE及びDYE上の置換基の性質
によって、当該色素が拡散するかどうかを、また生成さ
れる色素の拡散の速度及び距離を、コントロールするこ
とができる。例えば、DYEは拡散を抑制又は防止する
写真の分野で公知のバラスト基を含むことができる。D
YEは、水可溶化基、例えば、カルボキシ基を有して、
DYEの拡散を助けることができる。そのような基は当
業者には公知である。
【0155】特に有用なクラスのDYE部分は次のもの
である: I.次式で表される−NR1 −基を含んだアゾ色素部
分:
【化43】 (上式中、R25、R26、及びR27は、独立して、水素又
は置換基、例えばアルキルである。)
【0156】II.次式で表される−NR1 −基を含ん
だアゾメチン色素部分:
【化44】 (上式中、R28は、水素又は置換基、例えばアルキルで
あり、R29は、水素又は置換基、例えばアルキルであ
り、そしてEWGは電子求引性基である。)
【0157】III.次式で表される−NR1 −基を含
んだメチン色素部分:
【化45】 (上式中、R30は、水素又は置換基、例えばアルキルで
あり、R31は、水素又は置換基、例えばアルキルであ
り、そしてEWGは電子求引性基である。)
【0158】用語DYEは、記載されている置換された
窒素原子が発色団(また、本明細書ではロイコ色素部分
としても記載されている)の一体部分である場合の色素
前駆体も包含する。
【0159】そのような色素前駆体には例えば:
【化46】 (上式中、R32及びR33は、アリール、例えば置換フェ
ニルである。)
【0160】
【化47】 (上式中、R34は、アリール基、例えば置換フェニルで
あり、そしてEWGは電子求引性基である。)
【0161】
【化48】 (上式中、Arは、独立して、アリール基、特に置換フ
ェニル基である。) DYE部分がロイコ色素である場合は、Ln −Bは、好
ましくは、ハロゲン化銀写真要素中のハロゲン化銀によ
って、ロイコ色素の酸化を遅らせることができるタイミ
ング基を含む。
【0162】例えば、DYEが記載したようなロイコ色
素部分である場合は、Ln −Bが、次の基であるのが好
ましい:
【化49】
【0163】シアン、マゼンタ、イエロー及びロイコ色
素の例は、次の通りである: A.シアン
【化50】 (上式中、R35は、当該色素に悪影響を与えない置換
基、例えばアルキルであり、R36は、置換基、例えば電
子放出性基であり、そしてR37は、置換基、例えば強電
子求引性基である)。
【0164】B.マゼンタ
【化51】 (上式中、R38は、当該色素に悪影響を与えない置換
基、例えばアルキルであり、R39は、置換基、例えば、
電子放出性基であり、そしてR40は、置換基、例えば、
強電子求引性基である)。
【0165】C.イエロー
【化52】 [上式中、R41は、アルキルであり、R42は、アルコキ
シであり、並びにR43は、アルキル、及び
【化53】 (ここで、R44はアルキル、R45はアルコキシ、そして
46はアルキル又はアリール)である]。
【0166】D.ロイコ
【化54】 (上式中、R47及びR48は、独立に、水素又はアルキル
であり、R49は、電子放出性基であり、そしてR51は、
強電子求引性基である)。
【0167】
【化55】 (上式中、R52及びR54は、独立に、水素又は置換基で
あり、R53は、ヒドロキシル、NHRa 又はNHSO2
a (ここで、Ra は置換基である)であり、そしてR
55及びR56は、独立に、水素又は置換基である)。
【0168】次のものは、本発明の実施に使用するため
に考えられる1当量画像色素生成カプラーの具体例であ
る:
【化56】
【0169】
【化57】
【0170】
【化58】
【0171】
【化59】
【0172】
【化60】
【0173】
【化61】
【0174】
【化62】
【0175】1当量画像色素生成カプラーに加えて、必
要ならば、画像形成層ユニットは、1種以上の他の従来
のカプラーも含有することができる。例えば、1種以上
の4当量、又は、特に、2当量画像色素生成カプラーを
画像色素生成1当量カプラーと組み併せて用いることが
考えられる。画像色素生成カプラーを組み合わせて用い
る場合、存在する画像色素生成カプラーのモル基準で少
なくとも20%が、1種以上の1当量画像色素生成カプ
ラーによって提供されることが好ましい。
【0176】画像色素生成カプラーに加えて、必要なら
ば、画像形成層ユニットは、1種以上の色素像改良カプ
ラーを含有することができる。これらのカプラーは、カ
ップリング時に画像色素を生成しないことが多いが、写
真に有用な基、例えば、現像促進剤、現像抑制剤、漂白
促進剤、漂白抑制剤、現像主薬(例えば、競争又は補助
現像主薬)、銀錯化剤、定着主薬、トナー、硬膜剤、な
めし剤、汚染防止剤、安定化剤、カブリ防止剤、競争カ
プラー、及び化学もしくは分光増感剤又は減感剤を、直
ちにもしくは時間を合わせて放出するために、これらの
カプラーに頼ることができる。色素像改良カプラーの概
要は、リサーチディスクロージャー、アイテム38957 、
C.「画像色素改良剤」に記載されている。
【0177】要素Iは、本質的な特徴に限定した構成を
有する本発明に従う写真要素を具体的に表す。 [要素I] 乳剤層ユニット 支持体
【0178】この乳剤層ユニットは、上述したように、
カチオン性デンプン解こう剤、FED増感剤、及び1当
量画像色素生成カプラーを含んだ単一の高臭化物{11
1}平板状粒子乳剤からなることができる。乳剤析出時
に添加されるカチオン性デンプン解こう剤は、当該乳剤
層の総ベヒクルの非常に小さい部分を形成する。解こう
剤として使用するタイプの追加のカチオン性デンプン
を、バインダーとして作用させるために添加することも
できる。しかし、バインダーとしては、他の従来の親水
性コロイドバインダー、特に、ゼラチン及びゼラチン誘
導体を用いることが好ましい。Maskaskyの米国特許第
5,726,008号明細書(参照することにより、本
明細書の内容とする)には、ゼラチンで少なくとも45
%及び水分散性デンプン少なくとも20%を含有する冷
却硬化されるベヒクルが記載されている。解こう剤及び
バインダーに加えて、ベヒクルが硬膜剤と反応して塗膜
としてその物理的結着性を高め、他の添加剤、例えば、
ラテックスも通常導入される。リサーチディスクロージ
ャー、アイテム38957 、II.「ベヒクル、ベヒクル増
量剤、ベヒクル状添加物及びベヒクル関連添加物」及び
IX.「塗膜物性改良添加物」に要約されている乳剤層
のベヒクルに含めることができる従来の成分、例えば、
塗布助剤(界面活性剤等)、可塑剤及び滑剤、艶消し
剤、並びに帯電防止剤が、通常の成分であり、従来の選
択はリサーチディスクロージャー、アイテム38957 、I
X.「塗膜物性改良添加物」に具体的に記載されてい
る。
【0179】支持体は従来の写真要素支持体のいずれの
形態も取ることができる。一般的には、支持体は、透明
(例えば、透明フィルム支持体)又は白色反射性支持体
(例えば、写真ペーパー支持体)である。写真要素支持
体のリストは、リサーチディスクロージャー、アイテム
38957 、XV.「支持体」に記載されている。主な用途
では、カメラ感度又は透明支持体を有する「撮影用」フ
ィルムのために、より高い画像感度が特に探求されてい
る。フィルムが透明支持体を有し、ネガ型色素像を生成
する場合、処理されたフィルム上の画像は、プリント要
素(例えば、カラーペーパー)の目に見える画像を創出
する露光マスターとし通常ほとんど用いられる。
【0180】フィルムが透明支持体を有し、ポジ型色素
像を生成する場合は、画像は投影機によって直接見るこ
とが一般的である。フィルムの色素像をスキャンするこ
とによって回収する場合は、撮影フィルムの増加した感
度を、反射性支持体を用いることによって、実現するこ
とができる。像様露光時に画像形成感度を増強する鏡面
反射性であるが、撮影フィルムの通常の使用を容易にす
るために処理時に透明形態に転換される支持体を用いる
ことが特に考えられる。Maskasky等の米国特許出願第0
9/118,172号明細書(1998年7 月17日出願、発
明の名称「DyeImage Forming Photographic Element an
d Processing to Produce A ViewableImage 」には、写
真処理時に除去することができる銀鏡コーティングを有
する透明フィルム支持体を用いることが開示されてい
る。
【0181】実際は、写真要素構造には、一般的な特徴
が更に存在する。要素IIa及びIIbは、色素産生黒
白画像形成単色色素像に有用な通常の写真要素構造を具
体的に表す。 [要素IIa] 保護オーバーコート 乳剤層ユニット ハレーション防止層 支持体 磁気画像形成層 [要素IIb] 保護オーバーコート 乳剤層ユニット 支持体 ペロイド層 磁気画像形成層
【0182】支持体は上記のいずれの形態、即ち、通常
の形態をとることができる。要素IIaでは、ハレーシ
ョン防止層が支持体と乳剤層ユニットの間に挿入されて
いる。支持体が透明である場合は、要素IIbに示すよ
うにハレーション防止層を支持体の裏面に移動すること
ができ、ペロイド層となることができる。ハレーション
防止層とペロイド層は、それぞれ、写真処理時に無色に
される(即ち、色抜きされる)ことができる1種以上の
色素を含有する。このタイプの色素は、リサーチディス
クロージャー、アイテム38957 、VII.「吸収及び散
乱材料」、B.「吸収材料」及びC.「色抜き」に記載
されている。
【0183】保護オーバーコートは、乳剤層ユニットを
保護するために提供される。ハレーション防止層、ペロ
イド層及び保護オーバーコートは、それぞれ、ベヒクル
を有する。ベヒクルは、バインダー、硬膜剤、及び上述
の乳剤層の残りの成分の選択物も含む。表面層、ペロイ
ド層及び保護オーバーコートが、表面改質添加剤、例え
ば、滑剤、艶消し剤、及び帯電防止剤にとって、もっと
も好ましい場所である。また、保護オーバーコートは、
UV安定剤を含ませる場所にも好ましく、概要はリサー
チディスクロージャー、370 巻、1995年2 月、アイテム
37038 、X.「UV安定化剤」に記載されている。
【0184】磁気画像形成層は、随意選択の層である
が、露光又はその後の処理に用いる写真要素に関する情
報を保存する目的を有する場合は、好ましい層である。
磁気画像形成層は、リサーチディスクロージャー、アイ
テム38957 、XIV.「スキャン容易構成」及びJames
の米国特許第5,254,441号及び同5,254,
449号明細書に記載されている。
【0185】乳剤層ユニットは、単一の乳剤層からなる
ことができるが、乳剤層ユニットが、本発明乳剤の配合
物又は1種以上の本発明の乳剤と1種以上の従来の乳剤
との配合物を有することも認められる。また、乳剤層ユ
ニットを画像形成感度が異なる2層又は3層の別個の乳
剤層に分けることも普通に行われる。
【0186】高感度乳剤層と低感度乳剤層からなる乳剤
層ユニット(高感度乳剤層が露光輻射線を最初に受ける
ように配置する、即ち、支持体から遠くに配置する)を
形成することによって、高感度乳剤と低感度乳剤を単一
層に配合する場合よりも高い感度を実現する。低感度乳
剤層が露光輻射線を最初に受けるように配置すると、高
感度乳剤と低感度乳剤を単一層に配合しコートする場合
よりも高いコントラストを実現する。3種類の別個の乳
剤層をコートする場合、第三の層を高感度乳剤と低感度
乳剤との間に挿入し中間の感度を示すように選択する。
第三の乳剤層の機能は、より長い露光のラチチュードを
実現可能にすることである。Chang 及びFridayの米国特
許第5,314,793号及び同5,360,703号
明細書(参照することにより、本明細書の内容とする)
に、1.0LogEを超える有用な露光のラチチュード
を与えるために、感度が異なる3種類の乳剤層を有する
乳剤層ユニットが記載されている。
【0187】1種以上の他の乳剤と、本発明の粒子、解
こう剤及びカプラー要件を満たす乳剤(以下、「本発明
の乳剤」と称する)とを組み合わせる場合は、リサーチ
ディスクロージャー、アイテム38957 、I.「乳剤粒子
及びその析出」、さらに乳剤組合せが具体的に記載され
ている、パラグラフE.「配合、層及び性能カテゴリ
ー、」に記載の通常のネガ型輻射線感受性ハロゲン化銀
乳剤の中から選択することができる。1種以上の本発明
の乳剤と組み合わせて1種以上の従来の乳剤を用いる場
合は、本発明の乳剤を高感度に選択するのが好ましい。
なぜなら、本発明の乳剤は予想外の高感度を示すからで
ある。従来の乳剤が、本発明の乳剤と一緒に乳剤層ユニ
ットに存在する場合は、それもまた高(銀量基準で50
モル%超)臭化物乳剤であるのが好ましく、また、平板
状粒子の場合が多い。
【0188】本発明の写真要素は、目に見える画像を作
成するために現像済みの銀と画像色素に頼ることができ
る。色素産生黒白画像形成に本発明を適用することが特
に考えられる。
【0189】主たる用途では、目に見える画像を作成す
るために全体的に画像色素に頼ることが考えられる。要
素I、IIa及びIIbを用いて、ポジ型色素像を生成
することができる。カラーリバーサル処理によって、ポ
ジ型色素像を生成するのが好ましい。カラーリバーサル
処理は、像様露光済み要素の色素生成の無い現像と、次
に、第一現像工程では現像されなかった残留ハロゲン化
銀を現像する第二の色素像生成現像工程である。カラー
リバーサル処理を目的とする写真要素に考えられるカラ
ーリバーサル処理と要素構成は、リサーチディスクロー
ジャー、アイテム38957 、XIII.「カラーポジにの
み適用可能な構成」、B.「カラーリバーサル」及びX
VIII.「化学現像システム」、B.「カラー、特定
処理システム」、パラグラフ(1)に要約されている。
【0190】特に好ましい形態では、本発明の写真要素
はネガ型色素像を形成する。カラーリバーサル処理を目
的とする写真要素に特に考えられるカラーネガ処理と要
素構成は、リサーチディスクロージャー、アイテム3895
7 、XII.「カラーネガにのみ適用可能な構成」及び
XVIII.「化学現像システム」、B.「カラー、特
定処理システム」、パラグラフ(3)〜(10)に要約
されている。
【0191】処理の全ての形態で、p−フェニレンジア
ミン発色現像主薬の存在下で現像が起きる。フェニレン
環の少なくとも1つのアミノ基は、第一級アミノ基であ
る。好ましい発色現像主薬は、N,N−ジアルキル−p
−フェニレンジアミン類、例えば、N,N−ジエチル−
p−フェニレンジアミンモノ塩酸塩、4−N,N−ジエ
チル−2−メチルフェニレンジアミンモノ塩酸塩、4−
(N−エチル−N−2−メタンスルホニルアミノエチ
ル)−2−メチルフェニレンジアミンセスキ硫酸塩一水
和物、及び4−(N−エチル−N−2−ヒドロキシエチ
ル)−2−メチルフェニレンジアミン硫酸塩である。p
−フェニレンジアミン発色現像主薬の詳細は、リサーチ
ディスクロージャー、アイテム38957 、A.「現像主
薬」及びJames のThe Theory of the Photographic Pro
cess, Macmillan Publishing Co. NewY ork 、12章、
「カラー写真の原理及び化学」、III.「カラー生成
剤」、A.「カラー現像液」に記載されている。
【0192】次ぎの構造は、本発明に従うフルカラー記
録写真要素(即ち、色記録写真要素それ自体に、もしく
は別の色記録写真要素に写真被写体の像と色を再現可能
にする十分な画像情報を記録できる要素)の典型的な構
造である。
【0193】 [カラー記録要素] 保護オーバーコート 第三色記録層ユニット 第二中間層 第二色記録層ユニット 第一中間層 第一色記録層ユニット アンダーコート 透明フィルム支持体 ペロイド 磁気画像形成層
【0194】支持体並びに第一、第二及び第三の色記録
層ユニットは、全ての色記録用途において必須の構成要
素である。残りの構成要素は、オプションであるか、特
定の用途のみに必要である。保護オーバーコート、透明
フィルム支持体、ペロイド及び磁気画像形成層は、既に
説明したものであり、詳細な説明を要しないであろう。
【0195】各記録層ユニットは、次ぎに記載するもの
以外は、上述の構成要素から構成される、可視スペクト
ルの青、緑及び赤部分の1つに応答するように選択され
ている乳剤層ユニットである。少なくとも1種の本発明
の乳剤が少なくとも1つ、好ましくは各記録層ユニット
に存在する。次ぎの層ユニット順序のいずれも可能であ
る。
【0196】 SQ−1 |B|G|R|S|、 SQ−2 |B|R|G|S|、 SQ−3 |G|R|B|S|、 SQ−4 |R|G|B|S|、 SQ−5 |G|B|R|S|及び SQ−6 |R|B|G|S| ここで、Bは、青記録層ユニット、 Gは、緑記録層ユニット、 Rは、赤記録層ユニット、そして Sは、透明フィルム支持体である。
【0197】各青、緑、及び赤記録層ユニットは、異な
る色相の色素像を生成する色素像提供化合物を含有す
る。好ましくは、各青、緑、及び赤記録層ユニットは、
デンプン解膠された高臭化物{111}平板状粒子乳
剤、FED増感剤及び1当量画像色素生成カプラーの組
合せを有する。カラー記録要素の色素像が直接見ること
を目的とする場合(例えば、カラースライド像を作成す
る場合、又はカラープリント要素の露光マスターとして
用いる場合)、青、緑及び赤記録層ユニットが、イエロ
ー、マゼンタ及びシアン色素像をそれぞれ生成するよう
に構成される。好ましくは、青記録層ユニットはイエロ
ー色素生成カプラーを含有し、緑記録層ユニットはマゼ
ンタ色素生成カプラーを含有し、そして赤記録層ユニッ
トはシアン色素生成カプラーを含有する。さらに、従来
の像色素改良剤も記録層ユニットに導入することができ
る。
【0198】第一及び第二中間層並びにアンダーコート
は、上述したような同じベヒクルを有することができ
る。アンダーコートを上述したようなハレーション防止
層と置き換えることができ、ペロイドを省略することが
できる。好ましくは、第一及び第二中間層は酸化された
現像主薬掃去剤を含有して、酸化された発色現像主薬が
1つの層ユニットから隣接する層ユニットに移動するの
を防止する。一般的な酸化された現像主薬掃去剤には、
バラスト化された(即ち、不動化された)ヒドロキノン
及びアミノフェノール現像主薬が含まれる。
【0199】反射及び/又は透過スキャンによって、本
発明の写真要素から画像情報を読み取ろうとする場合、
カラーリバーサルフィルムでは目に心地よい画像を形成
すること、又は多くのカラーネガフィルムでは、目で見
て心地よいポジ画像を得るように、透過して露光するこ
とができるネガ像を形成することが可能であるが、最早
重要ではない。露光及び処理されたときに、第一、第二
及び第三層ユニットが、色を含めた被写体の回収可能な
記録を有することが単に必要なだけである。本来の色記
録と同じようにこの目的のために偽の色記録も正に有用
であり、実際、現実に三種類の色素像を生成することな
く三種類の回収可能な色記録を生成することが可能であ
る。スキャンだけを目的としたカラーネガフィルムは、
マスキングカプラーを要しない。Bohan の米国特許第
5,038,434号明細書には、プリントもしくはス
キャンによる画像回収に等しく適したマスキングカプラ
ーを含有するカラーネガフィルムが開示されている。画
像情報をスキャン回収するために特に適合させたカラー
記録写真要素は、リサーチディスクロージャー、アイテ
ム38957 、XIV.「スキャン容易構成」、パラグラフ
(1)に説明されている。さらに、スキャン画像回収に
特に適合する色記録写真要素構成の、以下の最近発行の
特許明細書の詳しい開示を参照することによって本明細
書の内容とする:Sutton等の米国特許第5,300,4
13号及び同5,334,469号、Suttonの米国特許
第5,314,794号及び同5,389,506号、
Evans 等の米国特許第5,389,503号、Simons等
の米国特許第5,391,443号、Simonsの米国特許
第5,418,119号、並びにGasper等の米国特許第
5,420,003号各明細書。
【0200】カラー画像記録とは全く別個に情報記録を
提供するために、カラー記録フィルムの縁部を改良する
ことが、当該技術分野では継続的に行われている。例え
ば、縁部のサウンドトラックが、映画フィルムに提供さ
れることが多い。縁部領域構成を改良することは、リサ
ーチディスクロージャー、アイテム38957 、XIV.
「スキャン容易構成」、パラグラフ(3)に説明されて
いる。
【0201】単独の青、緑及び赤記録層ユニットを備え
たフルカラー記録写真要素を構成する別法として、スペ
クトルの同じ領域において記録する2層、さらには3層
ユニットを提供することが通常行われる。これらの構成
をとるもっとも一般的な理由は、他の層ユニットの低感
度乳剤層を通過する前に、スペクトルの特定領域を記録
する最高感度乳剤が露光する光を受け取ることを可能に
するからである。これによって、感度及び画像シャープ
ネスが増加する。種々の配列の層ユニットを有するカラ
ー記録写真要素(スペクトルの同じ領域に対する露光を
記録する少なくとも2つの別個の層ユニットを含む)
は、リサーチディスクロージャー、アイテム38957 、X
I.「層及び層配列」に説明されている。
【0202】次ぎのものは多くの可能な追加の層ユニッ
ト順序(スペクトルの同じ領域に対する露光を記録する
少なくとも2つの別個の層ユニットを含む)のほんの僅
かな具体例である。
【0203】 SQ−7 |B|Gf |Rf |Gs |Rs |S|、 SQ−8 |Bf |Gf |Rf |Bs |Gs |Rs |S|、 SQ−9 |B|Gf |Rf |Gm |Rm |Gs |Rs |S|、 SQ−10 |Gf |Rf |Bf |Gs |Rs |Bs |S|、 SQ−11 |Gf |Rf |Bf |Gm |Rm |Bm |Gs |Rs |Bs | S|及び SQ−12 |Rf |B|Gf |Rf |Gs |Rs |S| ここで、B、G、R及びSは、上述の定義と同じであ
る。fは、スペクトルの同じ領域において記録する層ユ
ニットの高感度又は最高感度である。mは、スペクトル
の同じ領域において記録する層ユニットの中感度であ
る。sは、スペクトルの同じ領域において記録する層ユ
ニットの低感度又は最低感度である。
【0204】SQ−12では、2つのRf 層ユニットが
示されている。支持体から最も遠いRf 層ユニットは、
残りのRf 層ユニットよりも非常の少ないハロゲン化銀
塗布量を有し、ときにスキン層と称せられる。その機能
は、緑記録層と比較したときの、当該赤記録層ユニット
の位置のそれがない場合の好ましくない感度及びシャー
プネスを補正するために、赤記録に小さな感度増強を提
供することである。
【0205】1種以上の本発明乳剤を含めることによっ
て容易に改良することができるフルカラー記録層ユニッ
トのさらに具体的は例は、リサーチディスクロージャ
ー、アイテム37038 の、 XIX. カラーネガ例1 XX. カラーネガ例2 XXI. カラーリバーサル例1 XXII.カラーリバーサル例2 に記載されている。
【0206】フルカラー記録写真要素は、可視スペクト
ルのフルレンジにわたる露光を記録するために一般的に
用いられる。ときには、カラー記録写真要素は、スペク
トルの近紫外及び/又は近赤外の露光を記録するために
も用いられる。これを行う場合には、この目的のため
に、追加の層ユニットを用意することができる。
【0207】色素像生成写真要素を像様露光するための
従来の都合のよいいずれの技法も本発明の写真要素を露
光するのに用いることができる。ルックス秒の単位で測
定される露光量(E)は、ルクスで測定する露光照度
(I)と秒で測定する露光時間(ti)との積である: E=(I)(ti)
【0208】普通の写真用途では、露光は10-5〜10
3 秒にわたり、比較的安価なカメラでさえも10-3〜1
2 秒の範囲に適合することができる。相反則に従う
と、同じ積となる、種々の露光時間と種々の露光照度の
組合せ(即ち、同じ露光量)は同じ画像濃度を生じる。
実際は、写真要素の性能は、相反則からの種々の乖離を
示し、通常、相反則不軌という。ところが、例えば相反
則によると、全体的な露光量(E)を一定に維持する
と、濃度と露光時間(ti)をプロットすると、不変の
濃度曲線を生ずるはずであるが、実際は、濃度変化が見
られる(相反則不軌)。他の点では類似しているデンプ
ン解膠された高臭化物{111}平板状粒子乳剤とゼラ
チン解膠された高臭化物{111}平板状粒子乳剤とを
比較すると、デンプン解膠乳剤が、大きく減少した相反
則不軌を示した(即ち、よりぴったりと相反則に従う)
ことは全く予想外であった。
【0209】限定用途カメラ及びリサイクル可能カメラ
でのカメラ感度カラー記録写真要素の露光が特に考えら
れる。限定用途カメラ及び組み込みフィルム構成は、前
記リサーチディスクロージャー、アイテム338957、セク
ションXVI.「露光」、パラグラフ(2)の特定主題
である。
【0210】リサーチディスクロージャー、アイテム36
544 及び37038 を用いて、従来の写真要素構成並びにそ
れらの露光及び処理を具体的に説明したが、次ぎの文献
を含む多くの他の文献も従来の構成を開示している:
【0211】James の、The Theory of the Photograph
ic Process, 第4 版, Macmillan, New York, I 977;Th
e Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,
John Wiley and Sons, New York, I993;Neblette's I
maging Processes and Materials, Van Nostrand Reinh
old, NewYork 1988;及びKeller, Science and Technol
ogy of Photography, VCH, New York, 1993。
【0212】
【実施例】次ぎの具体的な態様を参照すると本発明をさ
らに良く認識することができる。例1 この例は、FED増感されたカチオン性デンプン解膠高
臭化物{111}平板状粒子乳剤によって実証される感
度利点を、ゼラチン解こう剤を用いて調製した以外は同
じように調製された乳剤と比較して説明する目的を有す
る。乳剤S1(発明例) 8Lの蒸留水と160gの酸化されたろう質コーンスタ
ーチ(デンプン誘導体、STA-LOK (商標)140 :4級ア
ンモニウム基を含むように処理され、2質量%塩素漂白
剤で酸化されている100%アミロペクチンで、窒素
0.31質量及びリン0.00質量%含有する)A. E.
Staley Manufacturing Co., Decatur IL.製)との混合
物を85℃で45分間加熱して、デンプン溶液を調製し
た。40℃まで冷却した後、蒸留水を加えて、質量を
8.0kgに調整した。2MのNaBr溶液26.5m
Lを加え、pHを5.0に維持しながら飽和臭素水(〜
0.9ミリモル)2.0mLを使用する直前に滴下し
た。
【0213】40℃及び乳剤析出をとおしてpH5.0
に維持している激しく撹拌している前記デンプン溶液の
反応容器に、2.5MのAgNO3 溶液を200mL/
分で21秒間加えた。同時に、2.5MのNaBr及び
0.4g/Lの臭素の塩溶液を、最初は200mL/分
で、その後、pBrを2.11に維持するのに要する速
度で加えた。そして、この溶液の添加を止め94mLの
前記塩溶液を1分間で添加し、反応容器の内容物の温度
を1分間に1.67℃の割合で60℃まで高めた。60
℃で10分間保持した後、AgNO3 溶液を240mL
を10mL/分で1分間添加し、その添加速度を12分
間に19mL/分まで速めた。pBrを1.44に維持
するために必要な速度で同時に塩溶液を加えた。添加を
止め、2.94M酢酸ナトリウムと1.00M酢酸とか
らなる緩衝液40mLを加えた。そして、AgNO3
液の添加を45分間に19mL/分から54mL/分ま
で速め、その後合計で2.4LのAgNO3 溶液が加え
られるまで、この流量を維持した。pBrを1.44に
維持するために、2.5MのNaBr、0.04MのK
I及び0.45g/Lの臭素の溶液を同時に加えた。
【0214】得られた平板状粒子乳剤を、40℃で、p
Br3.26まで限外濾過により洗浄した。その後、銀
1モル当たり27gの骨ゼラチン(メチオニン含有率〜
55μモル/gゼラチン)を添加した。この{111}
平板状粒子は、平均等価円直径3.8μm、平均厚0.
07μm、及び平均アスペクト比54を有した。この平
板状粒子集団は、この乳剤粒子の総投影面積の99%を
構成した。
【0215】乳剤G1(対照) 蒸留水7.L中10gの低メチオニン骨ゼラチン(メチ
オニン含有率<3μm/gゼラチン)及びNaBr46
ミリモルの溶液に、40℃、pH5.0で、臭素水0.
10mLを加えた。40℃及び乳剤析出をとおしてpH
5.0に維持している激しく撹拌している前記ゼラチン
溶液の反応容器に、2.5MのAgNO 3 溶液を200
mL/分で21秒間加えた。同時に、2.5MのNaB
r及び0.4g/Lの臭素の塩溶液を、最初は200m
L/分で、その後、pBrを2.11に維持するのに要
する速度で加えた。そして、この溶液の添加を止め82
mLの前記塩溶液を1分間で添加し、反応容器の内容物
の温度を1分間に1.67℃の割合で60℃まで高め
た。そして、1.750kgの種乳剤(0.042モル
Ag)以外は全て捨てた。この種乳剤を60℃で合計2
2分間保持した後、100gの酸化された骨ゼラチン、
蒸留水1L、2MのNaBr15.3mLを含み、40
℃で2.0mLの臭素水で予備処理した60℃に予熱さ
れている溶液を加えた。その後60℃で、AgNO3
液を1.0mL/分で1分間添加し、その添加速度を1
50分間に25mL/分まで速め、合計で2453mL
のAgNO3 溶液が加えられるまで、この流量を用い
た。240mLのAgNO3 溶液が加えられるまで、塩
溶液を同時に添加し、そして、0.45g/Lの臭素水
を添加した2.5MのNaBr及び0.04MのKIの
新たな塩溶液を、残りの析出のあいだ、pBrを1.4
4に維持するために加えた。乳剤製造時間の合計は19
4分であった。この乳剤を40℃まで冷却し、pBr
3.26まで限外濾過した。その後、銀1モル当たり1
2.4gの骨ゼラチン(メチオニン含有率〜55μモル
/gゼラチン)を添加した。
【0216】得られた平板状粒子は、測定した、平均E
CD、厚み、及び総粒子投影面積の比率に対する平板状
粒子の割合のパラメーターに関して、乳剤S1と同じで
あった。
【0217】エピタキシー 乳剤S1とG1のそれぞれの粒子上に以下の操作でエピ
タキシー堆積させた。激しく攪拌している1.0モルの
乳剤アリコートを、40℃で、0.25MのAgNO3
溶液を加えてpAgを7.59に調節した。その後、1
MのKIを5mLを加え、次いで3.77MのNaCl
を11mL加えた。そして青分光増感色素、アンヒドロ
−5,5’−ジクロロ−3,3’−ビス(3−スルホプ
ロピル)チアシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモ
ニウム塩を、ゼラチン色素分散体の形態で粒子の表面の
飽和被覆量の80%の量で加えた。25分間攪拌した
後、0.25MのNaCl溶液84mL及び0.25M
のNaBr溶液84mLを加え、次いでAgI微粒子
(〜0.05μm)乳剤8ミリモルを加えた。激しく攪
拌しているこの混合物に、0.5MのAgNO3 を76
mL/分で1.1分間添加した。
【0218】得られた乳剤の電子顕微鏡分析によると、
この平板状粒子が主として平板状粒子コーナー及びエッ
ジのところに位置するエピタキシャル堆積を有すること
がわかった。処方されたように、これらの堆積部は、銀
量基準で42モル%塩化物、42モル%臭化物及び16
モル%ヨウ化物の見かけのハロゲン化物組成を有した。
【0219】化学増感エピタキシを有する乳剤S1及び
G1のそれぞれに、40℃で攪拌しながら、NaSCN
(0.925ミリモル)、1,3−ジカルボキシメチル
−1,3−ジメチル−2−チオ尿素(各乳剤に最適な量
は同じであり、7.8μモルである)、ビス(1,4,
5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チ
オレート)金(I)テトラフルオロボレート(各乳剤に
最適な量は同じであり、1.5μモルである)、3−
{3−[(メチルスルホニル)アミノ]−3−オキソプ
ロピル}ベンゾチアゾリウムテトラフルオロボレート
(各乳剤に最適な量は同じであり、81μモルである)
の溶液を加えた。その後、これらの乳剤を50℃で10
分間加熱し、40℃まで冷却し、そして順に、1−(3
−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾー
ル(0.489ミリモル)、FED2(2.8μモ
ル)、及び4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3
a,7−テトラアザインデン(10ミリモル)を加え
た。
【0220】性能比較 増感した各乳剤S1及びG1を、反対側にハレーション
防止層を有する透明アセテート支持体にコートした。こ
れらのコーティングは、銀1.08g/m2 、イエロー
色素生成カプラー1.62g/m2 、ゼラチン及び界面
活性剤3.2g/m2 のレイダウンを有した。ゼラチン
とビス(ビニルスルホニルメチル)エーテルの溶液を、
ゼラチン0.9g/m2 及び硬膜剤72mg/m2 でそ
れぞれオーバーコートした。各フィルムコーティング
を、コダックラッテンTM2Bフィルター及び0〜4の濃
度ステップタブレットをとおして濾過した5500K色
温度のタングステン光源に対して0.01秒間露光し
た。露光したフィルムコーティングをKODAK FLEXICOLOR
TM C-41 カラーネガフィルル処理を用いて処理した。
【0221】最小濃度(Dmin )、ガンマ及び感度を次
ぎの表IIで比較した。感度は相対対数感度として報告
する。1相対対数感度差の感度は、0.01LogE
(Eはルクス秒で表す露光量)の露光量差に等しい。感
度は、特性曲線の外挿直線部分と、特性曲線のDmin 部
分の直線外挿との交点のところの特性曲線上で測定し
た。ガンマは特性曲線の直線部分の勾配である。
【0222】
【表2】
【0223】表IIから、カチオン性デンプン解膠高臭
化物{111}平板状粒子乳剤S1が、比較のゼラチン
解膠乳剤G1よりも、感度がほとんど1ストップ(0.
30LogE)高いことが明らかにわかる。1ストップ
の感度上の利点は、感度が2倍であることを意味する。
具体的には、乳剤S1の24高い相対対数感度単位は、
乳剤G1よりも0.24LogE感度が有利になる。
【0224】例2 例1での乳剤G1を超える乳剤S1の感度の大きな利点
は、一部はゼラチンをカチオン性デンプン解こう剤に代
えた場合の既知の感度利点に起因するものであるが、ま
た一部は予想外のものである。本例の目的は、FED増
感剤が存在しないで、ゼラチンをカチオン性デンプン解
こう剤に代えたことによって生じる感度利点の範囲を確
かめることである。
【0225】FED増感剤を省略し、FED増感剤によ
り生じるカブリ増加を抑制するのに使用した臭素酸化剤
も省略して、乳剤S1及びG1を乳剤S2及びG2とし
て再度作成した。例1の性能比較を繰り返した。次ぎの
表に性能比較を示す。
【0226】
【表3】
【0227】表IIと表IIIに報告した感度は、全て
乳剤G2を基準とする。表IIIからゼラチンをカチオ
ン性デンプン解こう剤に代えると、0.07LogEの
感度利点(当該技術分野で既に知られている)が生じた
ことは明らかである。この予想感度利点を乳剤S1に観
察された0.24LogE感度利点から差し引くと、F
ED増感剤が存在する場合に予想外に追加された感度利
点が0.17LogE(約1.5ストップ、0.15L
ogE)であることがわかる。
【0228】例3 本例の目的は、乳剤S1の粒子析出時に酸化剤が存在す
ることに起因する最小濃度の利点を実証することであ
る。本発明の要件を満たす乳剤S3を、析出時に添加し
た臭素酸化剤を省略した以外は乳剤S1と同様に析出さ
せた。他の点は全て例1を繰り返した。報告された乳剤
S1とS3の粒子特性は同じであった。乳剤S1、G1
及びS3の性能を表IVに比較する。
【0229】
【表4】
【0230】表IVから、臭素酸化剤がなくても、カチ
オン性デンプン解膠剤及びFED増感剤に起因する大き
な予想外の感度利点がはっきりと残っていることが明ら
かにわかる。酸化剤を省略したことによる不利益はDmi
n が0.11増加することである。最小濃度のこの増加
は、カラーネガ画像形成等のいくつかの用途では順応で
きるが、例えば、カラープリントでは好ましくないであ
ろう。従って、酸化剤を使用することが好ましいが、必
須ではない。
【0231】例4 本例の目的は、析出後まで酸化剤添加を遅らせることが
有効であることを実証することである。臭素を析出時に
は乳剤に入れないで、以下の操作によって析出後に添加
した違いはあるが、乳剤S1適用したように例1を繰り
返した。例乳剤S4を、析出前又は析出中は臭素を用い
なかった以外は乳剤S1と同様に調製した。析出を終了
した後、飽和臭素水(〜0.013モル)28mLを、
40℃で、希釈したNaOHでpHを5.0に維持しな
がら、攪拌している乳剤に添加した。pHを5.0に維
持するのに必要なNaOHの量で示されるように、臭素
水を添加後反応は2分間にわたった。この乳剤を限外濾
過した。
【0232】例乳剤S1及びS4の測定された粒子パラ
メータは同じであった。乳剤S1、S3及びS4の性能
を表Vに比較する。
【0233】
【表5】
【0234】表Vから、析出時の臭素添加ほど有効では
ないが、析出(pptn)後の臭素添加が最小濃度を制限す
るのに有効であることはあきらかである。各乳剤S1、
S3及びS4においても、カチオン性デンプン解こう剤
をFED増感剤を組み合わせて用いる予想外の感度利点
が見られた。
【0235】例5 本例の目的は、2当量画像色素生成カプラーの代わりの
1当量画像色素生成カプラーを、FED増感されたカチ
オン性デンプン解膠高臭化物{111}平板状粒子と一
緒に用いた場合に達成される更なる感度増加を実証する
ことである。
【0236】コーティングC1 例1のイエロー色素生成カプラーを、2当量イエロー色
素生成カプラーN−{2−クロロ−5−[(ヘキサデシ
ルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{4−[(4
−ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェノキシ}−
4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタアミドに代え、
ゼラチン被覆量を4.32g/m2 に増加した以外は、
例1をS3の乳剤を用いて繰り返した。
【0237】コーティングC2 このコーティングは、乳剤S3を乳剤S1で置き換えた
以外はC1と同じである。コーティングE3 このコーティングは、C1のイエロー色素生成カプラー
を0.54g/m2 の1当量イエロー色素生成カプラー
OEC−10と置き換えた以外はC1と同じである。コーティングC4 このコーティングは、乳剤S3を乳剤S1で置き換えた
以外はE3と同じである。
【0238】
【表6】
【0239】表VIから、2当量色素生成カプラーを1
当量色素生成カプラーと置き換えると、0.27〜0.
28LogEの感度増加を生じたことが明らかにわか
る。1ストップ(0.30LogE)いっぱいの感度増
加は、感度が2倍となるので、FED増感されたカチオ
ン性デンプン解膠高臭化物{111}平板状粒子乳剤に
1当量画像色素生成カプラーを添加したことに起因する
非常に大きな感度増加が達成されたことは明らかであ
る。
【0240】1当量画像色素生成カプラーの置き換えに
よって最小濃度が増加したが、酸化剤を使用すると、
0.27LogEの感度増加を得るのに、僅かに0.0
3の最小濃度の増加を負担するだけであった。即ち、実
現された感度利点に関して最小濃度の増加は非常に小さ
かった。
【0241】本発明の他の好ましい態様を請求項との関
連において、次に記載する。 (態様1)フラグメント化可能電子供与性増感剤が、ハ
ロゲン化銀粒子表面への吸着を容易にする部分を有する
請求項1に記載の写真記録要素。 (態様2)輻射線感受性ハロゲン化銀粒子が、銀量基準
で70モル%超の臭化物を含有し、総粒子投影面積の7
0%超を占める平板状粒子を含む請求項1に記載の写真
記録要素。
【0242】(態様3)輻射線感受性ハロゲン化銀粒子
が、銀量基準で少なくとも90モル%の臭化物を含有
し、総粒子投影面積の少なくとも90%を占める平板状
粒子を含む請求項1に記載の写真記録要素。 (態様4)フラグメント化可能電子供与性増感剤が、酸
化の際フラグメント化して、−0.7と等しいか、又は
よりマイナスの酸化電位を示すラジカルを提供する請求
項1に記載の写真記録要素。
【0243】(態様5)カチオン性デンプンが水分散性
の酸化されたカチオン性デンプンである請求項1に記載
の写真記録要素。 (態様6)カチオン性デンプンが、α−D−グルコピラ
ノース反復単位を含有し、平均して、少なくとも1%の
α−D−グルコピラノース反復単位が酸化によって開環
された請求項1に記載の写真記録要素。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケネス ジョセフ リード アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,ウエスト アミー レーン 35 (72)発明者 ビクター ピー.スカッシア アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,フォーチュン レーン 24 (72)発明者 ジェイムス アンソニー フライデイ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14617, ロチェスター,シンプソン ロード 148

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、並びに (a)輻射線感受性ハロゲン化銀粒子、 (b)前記ハロゲン化銀粒子のための増感剤、 (c)前記ハロゲン化銀粒子のための解こう剤、及び (d)少なくとも1種の色素像提供カプラー を有する少なくとも1つの色素像生成層ユニットを含ん
    でなる写真記録要素であって、 前記輻射線感受性ハロゲン化銀粒子が、(1){11
    1}主面を有し、(2)銀量基準で臭化物50モル%超
    を含有し、そして(3)総粒子投影面積の50%超を占
    めている平板状粒子を含み、 前記増感剤が、フラグメント化可能な電子供与性増感剤
    を含み、 前記解こう剤が、水分散性カチオン性デンプンであり、
    そして前記色素像提供カプラーが、1当量画像色素生成
    カプラーである写真記録要素。
  2. 【請求項2】 前記1当量画像色素生成カプラーが次式
    を満たす請求項1に記載の写真要素: COUP−Ln −B−N(R1 )−DYE (上式中、 COUPは、画像色素生成カプラー部分であり、 DYEは、画像色素又は画像色素前駆体であり、 Bは、−OC(O)−、−OC(S)−、−SC(O)
    −、−SC(S)−、又は−OC(=NSO2 R)−で
    あって、Rは置換又は非置換のアルキルもしくはアリー
    ル基であり、 Lは、結合基であり、 nは、0又は1であり、そしてR1 は、アルキル又は芳
    香族基である)。
  3. 【請求項3】 透明フィルム支持体、並びに可視スペク
    トルの青、緑及び赤領域に対する露光量をそれぞれ記録
    するために、前記支持体上にコートされた青、緑及び赤
    記録層ユニットを含んでなる写真要素であって、 少なくとも1つの記録層ユニットが請求項1に記載の乳
    剤を含有する写真要素。
JP11357669A 1998-12-17 1999-12-16 写真記録要素 Pending JP2000181002A (ja)

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