JP2000180397A - 排気ガス用NOx測定素子 - Google Patents

排気ガス用NOx測定素子

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JP2000180397A
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nox
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洋一 浅野
Masaaki Nanaumi
昌昭 七海
Takaharu Inoue
隆治 井上
Toshihiro Fuma
智弘 夫馬
Takafumi Oshima
崇文 大島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いNOx感度を有する排気ガス用NOx測
定素子を提供する。 【解決手段】 排気ガス用NOx測定素子1は、表面に
一対の電極4,5を有するセラミック基板7およびそれ
ら電極4,5を覆うようにセラミック基板7表面に形成
され、且つNOxの吸着により電気抵抗値が変化する酸
化物半導体8よりなる主体2と、その主体2の少なくと
も酸化物半導体形成部9を被覆し、且つセラミックスよ
りなる多孔質保護層3とより構成される。多孔質保護層
3は、還元性ガスを酸化する貴金属触媒を担持した外層
部10および酸化物半導体8を外層部10から離隔する
内層部11よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に用いら
れる排気ガス用NOx測定素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のNOx測定素子として
は、表面に一対の電極を有するセラミック基板と、それ
ら電極を覆うようにセラミック基板表面に形成され、且
つNOxの吸着により電気抵抗値が変化する酸化物半導
体とより構成されたものが知られている(例えば、特開
平5−223769号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来素
子のように酸化物半導体を排気ガスに直接晒すように構
成すると、CO、HC等の還元性ガスによって酸化物半
導体のNOx吸着サイトが覆われ易く、それに応じてN
Ox感度が低下する、という問題があった。またこの種
のNOx測定素子においては、酸化物半導体が還元性ガ
スにより覆われる程度によって、その出力が変動する
が、従来素子はその出力変動幅が大きく、測定精度が低
い、という問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は高いNOx感度
を有し、また出力変動幅を縮小して測定精度を向上させ
ることができるようにした前記NOx測定素子を提供す
ることを目的とする。
【0005】前記目的を達成するため本発明によれば、
表面に一対の電極を有するセラミック基板およびそれら
電極を覆うように前記セラミック基板表面に形成され、
且つNOxの吸着により電気抵抗値が変化する酸化物半
導体よりなる主体と、その主体の少なくとも酸化物半導
体形成部を被覆し、且つセラミックスよりなる多孔質保
護層とより構成され、その多孔質保護層は、還元性ガス
を酸化する貴金属触媒を担持した外層部および前記酸化
物半導体を前記外層部から離隔する内層部よりなる排気
ガス用NOx測定素子が提供される。
【0006】前記のように構成すると、外層部によって
CO、HC等の還元性ガスが酸化され、また内層部が存
在することもあって、酸化物半導体に至る還元性ガス量
は大幅に減少する。これにより酸化物半導体における活
性なNOx吸着サイトの残存数が多となり、NOx吸着
量が増加するので、NOx感度が大いに高められる。
【0007】また測定に際し、酸化物半導体における活
性なNOx吸着サイトの残存数のばらつきが小さくなる
ので、素子の出力変動幅が縮小され、これにより測定精
度の向上が図られる。
【0008】さらに外層部と酸化物半導体との間に内層
部を介在させたので、外層部の貴金属触媒が酸化物半導
体の電子状態に与えることのある悪影響を未然に回避
し、これにより酸化物半導体に本来の機能を長期に亘り
発揮させることが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜3において、排気ガス用N
Ox測定素子1は、自動車の排気系に設置されて使用さ
れるもので、主体2と、その主体2を被覆し、且つセラ
ミックスよりなる多孔質保護層3とより構成される。
【0010】主体2は、表面に一対の電極4,5を有
し、また内部にヒータ6を有するセラミック基板7と、
それら電極4,5の、相互に噛み合う櫛形部4a,5a
を覆うようにセラミック基板7表面に形成され、且つN
Oxの吸着により電気抵抗値(以下、抵抗値と言う)が
変化する薄膜状酸化物半導体8とよりなる。多孔質保護
層3は、少なくとも、主体2における、酸化物半導体8
およびそれを保持するセラミック基板7の一部よりなる
酸化物半導体形成部9、図示例では酸化物半導体形成部
9のみを被覆し、また還元性ガスを酸化する貴金属触媒
を担持した外層部10と、酸化物半導体8を外層部10
から離隔する内層部11とよりなる。貴金属触媒として
は、Pt、Pd等が用いられる。
【0011】酸化物半導体8は、n型酸化物半導体であ
るβ型Nb2 5 (五酸化ニオブ)より構成される。し
たがって、この酸化物半導体8によるNOxの濃度測定
は次のような方法で行なわれる。即ち、酸化物半導体8
表面にNOxが吸着されると、そのNOxが電子吸引作
用を発揮し、これによりβ型Nb2 5 のキャリヤであ
る電子がNOxに吸引されて拘束されるためβ型Nb2
5 、したがって酸化物半導体8の抵抗が増加する。こ
の抵抗を測定してNOx濃度に換算するのである。
【0012】前記のように構成すると、外層部10によ
ってCO、HC等の還元性ガスが酸化され、また内層部
11が存在することもあって、酸化物半導体8に至る還
元性ガス量は大幅に減少する。これにより酸化物半導体
8における活性なNOx吸着サイトの残存数が多とな
り、NOx吸着量が増加するので、NOx感度が大いに
高められる。
【0013】また測定に際し、酸化物半導体8における
活性なNOx吸着サイトの残存数のばらつきが小さくな
るので、素子1の出力変動幅が縮小され、これにより測
定精度の向上が図られる。
【0014】さらに外層部10と酸化物半導体8との間
に内層部11を介在させたので、外層部10の貴金属触
媒が酸化物半導体8の電子状態に与えることのある悪影
響を未然に回避し、これにより酸化物半導体8に本来の
機能を長期に亘って発揮させることが可能である。
【0015】以下、具体例について説明する。
【0016】〔I〕 NOx測定素子の製造 (a) 純度99.9%のα型Nb2 5 粉末(添川理
化学社製)に、それと同重量のエタノール(和光純薬社
製)を添加して混合し、分散液を調製した。 (b) 分散液を遊星ボールミルに投入し、300rp
m、3時間の条件で粉砕を行った。 (c) 粉砕物に150℃、約2時間の乾燥処理を施し
て微細粉末を得た。 (d) 微細粉末とエチルセルロースのαターピネオー
ル溶液とを混合して印刷用ペーストを得た。 (e) 一対の電極4,5を有する長方形のアルミナ基
板7上において、両櫛形部4a,5aを覆うように、ペ
ーストを用いてスクリーン印刷を行うことにより薄膜状
物を形成し、その薄膜状物を一昼夜放置した。 (f) 薄膜状物を持つアルミナ基板7に、400℃で
30分間、800℃で2時間および1000℃で4時間
の段階的な焼結処理を施して、β型Nb2 5 よりなる
厚さ約20μmの酸化物半導体8とアルミナ基板7とよ
りなる主体2を得た。 (g) 主体2を、そのアルミナ基板7の長手方向と平
行な回転軸を中心に回転させ、その酸化物半導体形成部
9にスピネル粉末を溶射して、多孔質保護層3を構成す
る、厚さ約0.15mmの内層部11を形成した。これに
より酸化物半導体形成部9は内層部11により被覆され
る。
【0017】スピネル粉末としては次のような組成と粒
度分布を有するものが用いられた。組成:70wt%A
2 3 、30wt%MgO;粒径分布:粒径をdとし
て、d≦14μmのものが約5vol%、15μm≦d
≦44μmのものが約66vol%、45μm≦d≦6
2μmのものが約27vol%、d≧63μmのものが
2vol%以下. (h) 20wt%のシリカ(SiO2 )を含むシリカ
ゾルに、貴金属触媒として、5wt%のPt粉末(添川
理化学社製、純度99.9%、粒径 200メッシュ)
を添加して懸濁液を調製した。この懸濁液に、前記
(g)工程で得られた内層部11を有する主体2の、そ
の内層部11およびその近傍を浸漬し、次いで付着物を
室温にて5時間乾燥し、その後付着物に300℃、10
分間の焼成処理を施して、多孔質保護層3を構成する外
層部10を形成した。
【0018】前記(a)〜(h)工程を経て得られたN
Ox測定素子1を実施例1とする。
【0019】前記Pt粉末をPd粉末(添川理化学社
製、純度99.9%、粒径 200メッシュ)に代え
て、前記(a)〜(h)工程を行うことによりNOx測
定素子1を得た。これを実施例2とする。
【0020】前記主体2の酸化物半導体8表面に、前記
(h)工程における懸濁液を塗布し、次いで前記(h)
工程と同一条件で乾燥および焼成処理を行って、図4に
示すように酸化物半導体8上に外層部10を積層したN
Ox測定素子11 を得た。これを比較例1とする。
【0021】前記(a)〜(g)工程を行って、図5に
示すように主体2の酸化物半導体形成部9を内層部11
により被覆したNOx測定素子12 を得た。これを比較
例2とする。 〔II〕 NOx感度の測定 図6はNOx感度測定装置12を示す。その装置12
は、テスト用ガスを流通させる筒体13を有し、その内
部の軸線方向中間部に、NOx測定素子1,11,12
の酸化物半導体8を持つ部分と熱電対14とが配置され
る。筒体13内のガス入口15側にはヒータ16が配設
され、また筒体13のガス出口17側の外周面には断熱
層18が形成されている。
【0022】表1はテスト用第1および第2ガスの組成
を示す。この場合、NOがNOxに相当する。各化学成
分の純度は99.9%以上である。
【0023】
【表1】
【0024】第1および第2ガスにおいて、O2 濃度お
よび還元性ガスであるC3 6 濃度は同一であるが、N
O濃度は第2ガスの方が第1ガスよりも高い。
【0025】測定に当っては、先ず第1ガスを、筒体1
3のガス入口15からガス出口17に向って、マスフロ
ーコントローラによる総流量が2L/min(一定)と
なるように流通させ、その際、第1ガスをヒータ16に
より150℃(一定)に加熱し、またそのガス温度を熱
電対14により監視した。第1ガス中のNOが酸化物半
導体8に吸着されることにより、その酸化物半導体8の
抵抗が増加するので、その増加した抵抗ρ1 を測定し
た。
【0026】また第1ガスを第2ガスに代え、その第2
ガスを前記と同一条件にて筒体13内を流通させて、そ
のときの酸化物半導体8の抵抗ρ2 を測定した。この場
合、第2ガスのNO濃度は第1ガスのそれよりも高いの
で、酸化物半導体8に吸着されるNO量は第2ガスを用
いたときの方が第1ガスを用いたときよりも多い。した
がって、両抵抗ρ1 ,ρ2 の間にはρ1 <ρ2 の関係が
成立する。そこで、NO感度Aを、 A={(ρ2 −ρ1 )/ρ1 }×100(%) と定義し、実施例1,2および比較例1,2についてN
O感度Aを求めたところ、図7の結果を得た。
【0027】図7から明らかなように、実施例1,2の
NO感度Aは比較例1,2のそれに比べて極端に高めら
れていることが判る。これは構造上の相異に起因する。
【0028】また実施例1,2を比べると、NO感度A
は実施例1の方が実施例2よりも高い。これは、C3
6 に対する酸化能がPdよりもPtの方が高いことに因
る。
【0029】さらに、比較例1の場合は、Ptが酸化物
半導体8の電子状態に悪影響を与えていることから、C
3 6 に対して酸化能を有するにも拘らず、その酸化能
を持たない比較例2に比べてNO感度Aが低い。 〔III 〕 出力変動幅について 実施例1,2および比較例1,2について、前記同様の
NO感度測定テストを3回宛行って、3つのNO感度A
を求めた。それらの最大値をAmaxとし、また最小値
をAminとして、出力変動幅Bを、 B={(Amax−Amin)/Amin}×100
(%) と定義し、実施例1,2および比較例1,2について出
力変動幅Bを求めたところ、表2の結果を得た。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、実施例1,2の
出力変動幅Bは比較例1,2のそれに比べて大いに縮小
されていることが判る。また実施例1,2を比べると、
実施例2の出力変動幅Bの方が実施例1のそれよりも小
さい。これは、実施例1は、そのNOx感度が良い分、
妨害ガス(特にO2 )の影響を受け易く、出力の安定に
欠けるからである。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように構成する
ことによって、高いNOx感度を有し、また出力変動幅
を縮小して測定精度を向上させることが可能な排気ガス
用NOx測定素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の要部概略斜視図である。
【図2】実施例の要部概略側面図である。
【図3】図1,2の3−3線断面図である。
【図4】比較例1の断面図で、図3に対応する。
【図5】比較例2の断面図で、図3に対応する。
【図6】NOx感度測定装置の概略図である。
【図7】実施例1等のNO感度を示すグラフである。
【符号の説明】
1,11 ,12 NOx測定素子 2 主体 3 多孔質保護層 4,5 電極 7 セラミック基板 8 酸化物半導体 9 酸化物半導体形成部 10 外層部 11 内層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 七海 昌昭 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 井上 隆治 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 夫馬 智弘 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 大島 崇文 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 2G046 AA13 BA01 BA04 BA09 BB02 BC03 BC04 BC05 BC08 BE03 FB02 FE24 FE29 FE31 FE39

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に一対の電極(4,5)を有するセ
    ラミック基板(7)およびそれら電極(4,5)を覆う
    ように前記セラミック基板(7)表面に形成され、且つ
    NOxの吸着により電気抵抗値が変化する酸化物半導体
    (8)よりなる主体(2)と、その主体(2)の少なく
    とも酸化物半導体形成部(9)を被覆し、且つセラミッ
    クスよりなる多孔質保護層(3)とより構成され、その
    多孔質保護層(3)は、還元性ガスを酸化する貴金属触
    媒を担持した外層部(10)および前記酸化物半導体
    (8)を前記外層部(10)から離隔する内層部(1
    1)よりなることを特徴とする排気ガス用NOx測定素
    子。
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