JP2000179615A - 除振台の制御方法および制御装置 - Google Patents

除振台の制御方法および制御装置

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JP2000179615A
JP2000179615A JP10351966A JP35196698A JP2000179615A JP 2000179615 A JP2000179615 A JP 2000179615A JP 10351966 A JP10351966 A JP 10351966A JP 35196698 A JP35196698 A JP 35196698A JP 2000179615 A JP2000179615 A JP 2000179615A
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vibration
control
height position
actuator
isolation table
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JP10351966A
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English (en)
Inventor
Shinji Mitsuta
慎治 光田
Hideki Tsuji
英樹 辻
Daisuke Ebi
大輔 海老
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Sumco Techxiv Corp
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Komatsu Electronic Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高重心の構造物を搭載する場合であっても除振
台の水平度を維持したまま着座位置から目標変位まで上
昇させる。 【解決手段】少なくとも3つのアクチュエータ11、1
2、13に対して制御指令Prが与えられ除振台1が着
座高さ位置よりもわずかに高い第1の高さ位置まで上昇
される(浮上過程1:ステップ106、107)。つぎ
に少なくとも3つのアクチュエータ11、12、13の
それぞれの変位zが同じ変位になったことが確認される
(浮上過程:ステップ108)。つぎに少なくとも3つ
のアクチュエータ11、12、13の変位zを徐々に上
昇させる制御指令Prが当該アクチュエータに与えられ
除振台1が第1の高さ位置から最終目標高さ位置zsま
で徐々に到達される(浮上過程2:ステップ109、1
10、111)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は除振台を制御する方
法および装置に関し、特に重心が高い構造物を除振台上
に搭載する際にその構造物を水平に保持でき振動を与え
ないようにすることができる除振台の制御方法および制
御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】精密
機器などは床面などの外部から加わる高周波域の振動を
除去する必要がある。そこで従来より精密機器等を、空
気ばねで支持した除振台上に載置させることによってこ
の外部振動を除振することが行われている。また除振台
上の精密機器は機器自身の動作により振動する。このた
め除振台と共振することによって振動が整定されずに残
留することがある。そこで外部から加わる振動の除振の
制御と、除振台が共振することによって発生する振動の
制御の両方の制御を同時に行う発明が特開平6−181
158号公報に開示されている。
【0003】この場合空気ばね内の空気の圧力を制御す
ることによって空気ばねを鉛直方向に変位させて、除振
台が着座位置から目標変位まで上昇され、除振台が当該
目標変位に位置決めされる。つまり除振台の変位の制御
が行われる。この変位の制御は、空気ばねが浮上して安
定したときの除振台のレベル保持を目的として行われ
る。
【0004】そして除振台に設けられた変位センサおよ
び加速度センサの出力に基づいて振動をうち消すように
空気ばねの圧力の制御が行われる。つまり除振台の振動
の制御が行われる。この振動の制御はアクティブ制御
(能動制御)といわれるものである。
【0005】しかし高重心構造物を除振台上に搭載しこ
の高重心構造物の装置の稼働中に、除振台を頻繁に上昇
下降させて除振台を上記目標変位に位置決めし直すこと
がある。したがって空気ばねが浮上して安定したときに
除振台のレベルを保持するだけではなく、除振台の上昇
時、下降時に水平度を維持して搭載機器に衝撃を与えな
いようにすることが必要となる。従来技術を適用すると
つぎのような問題点が明らかになった。これを図1を用
いて説明する。
【0006】除振台1を浮上させると、除振台1の四隅
に配設された4つの空気ばね11〜14に目標変位に対
応する圧力が加えられ除振台1が着座位置から目標変位
まで一挙に上昇される。しかし除振台1の重心位置Gは
4つの空気ばね11〜14の中心位置とは完全に一致せ
ずにずれているのが一般的である。この状態で空気ばね
11〜14に同じ圧力が供給されたとしても空気ばね1
1〜14が浮上する圧力はそれぞれ異なる。このため空
気ばね11〜14が浮上するタイミングがずれて除振台
1は水平方向に対して傾斜することになる。
【0007】つまり従来の変位制御によって、高重心の
装置を搭載した除振台1を目標変位まで一挙に変位させ
ると、水平度が維持できなくなり、装置に悪影響を及ぼ
すおそれがあった。除振台1の上昇時だけではなく下降
時にも同様にして除振台1の水平度が維持できなくなり
装置に悪影響を及ぼすおそれがある。除振台1を頻繁に
上昇下降させて除振台1を目標変位に位置決めし直すよ
うな使用をする場合には、なおさらである。
【0008】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、高重心の構造物を搭載する場合であっても除
振台の水平度を維持したまま着座位置から目標変位まで
上昇させることができるようにすることを解決課題とす
るものである。また本発明は、高重心の構造物を搭載す
る場合であっても除振台の水平度を維持したまま着座位
置から目標変位まで上昇させるとともに、水平度を維持
したまま目標変位から着座位置まで下降させることがで
きるようにすることを解決課題とするものである。
【0009】さて、上記特開平6−181158号公報
には、除振台の振動のモードを、除振台を鉛直方向に並
進させる方向の振動モードつまりバウンシング振動モー
ドと、除振台をx軸回りに回転させる方向の振動モード
つまりx軸回りのロッキング振動モードと、除振台をy
軸回りに回転させる方向の振動モードつまりy軸回りの
ロッキング振動モードとに分けて、各振動モード毎に振
動をアクティブ制御する発明が記載されている。
【0010】しかし上述したように高重心構造物を除振
台に搭載する場合には、ロッキング振動が大きくなる傾
向がある。
【0011】つまりロッキング振動を十分に制振しつつ
バウンシング振動についても従来と同等に十分に除振さ
せたいとの要請がある。
【0012】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、バウンシング振動に対する除振性能を維持し
つつもロッキング振動に対する制振性能を高めることが
できるようにすることを解決課題とするものである。
【0013】さて、上記特開平6−181158号公報
では、振動を検出するセンサとして、除振台の鉛直方向
の変位を検出する変位センサと除振台の鉛直方向の加速
度を検出する加速度センサが使用されている。そしてこ
れら変位センサの検出出力および加速度センサの検出出
力に基づいて除振台の振動をなくすように空気ばねの圧
力をアクティブ制御している。
【0014】ところが高重心構造物を除振台に搭載する
場合には、上述したように低周波数領域のロッキング振
動が大きくなる傾向がある。したがって加速度センサに
て低周波領域の加速度を精度よく検出してアクティブ制
御を精度よく行う必要がある。
【0015】しかし低周波領域の加速度に対して高い検
出感度を有するサーボ式加速度センサは高価であり機械
的衝撃に弱いという問題がある。また加速度センサはノ
イズを取り込み易い。このように加速度センサは信頼
性、安定性に欠けコストがかかるという面がある。
【0016】そこで加速度センサを使用せずに変位セン
サの検出出力だけに基づいて除振台の振動を制御させた
いとの要請がある。しかしPID(比例、積分、微分)
制御などの古典制御を適用すると、発振などを招来して
安定した最適な振動制御を実現することは実質的に難し
い。
【0017】また現代制御を適用して状態フィードバッ
クにより安定化した制御を行うことが考えられる。しか
し状態フィードバックでは状態変数を検出するために多
種類のセンサを設けることが前提となる。加速度センサ
を使用せずに変位センサだけで最適な振動制御のシステ
ムを構築することは難しいと考えられている。
【0018】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、加速度センサを使用せずに変位センサだけで
最適な振動制御のシステムを構築できるようにすること
を解決課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段および作用、効果】そこで
本発明の第1発明では、少なくとも3つのアクチュータ
によって支持された除振台の各アクチュータに対して制
御指令を与えることにより当該各アクチュエータを変位
させ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目標高さ位
置まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記アクチュ
エータの変位を制御することにより前記除振台上の除振
対象物を除振するようにした除振台の制御方法におい
て、前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずかに高い
第1の高さ位置まで上昇するように前記少なくとも3つ
のアクチュエータに対して制御指令を与える行程と、前
記少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位が
同じ変位になったことを確認する行程と、前記少なくと
も3つのアクチュエータの変位を徐々に上昇させる制御
指令を当該アクチュエータに与えることによって前記除
振台を前記第1の高さ位置から前記最終目標高さ位置ま
で徐々に到達させる行程とを具えている。
【0020】第1発明を図1、図2を参照して説明す
る。
【0021】まず少なくとも3つのアクチュエータ1
1、12、13に対して制御指令Prが与えられ除振台
1が着座高さ位置よりもわずかに高い第1の高さ位置ま
で上昇される(浮上過程1:ステップ106、10
7)。
【0022】このように除振台1が着座位置(空気ばね
11〜13が浮上していない状態)から、その位置より
もわずかに高い第1の高さ位置(空気ばね11〜13が
わずかに浮上した状態)まで上昇される。このようにわ
ずかな第1の高さ位置までしか上昇させないのは、仮に
一挙に最終目標高さ位置zsまで上昇させてしまうと除
振台1の水平度のずれが増幅されてしまうからである。
【0023】つぎに少なくとも3つのアクチュエータ1
1、12、13のそれぞれの変位zが同じ変位になり除
振台1が完全に浮上したことが確認される(浮上過程:
ステップ108)。
【0024】このように一挙に目標高さ位置zsまで上
昇させることなく除振台1を着座高さ位置よりもわずか
に高い第1の高さ位置までしか上昇させていないので、
除振台1の水平度のずれは増幅されずに各アクチュエー
タ11、12、13の変位がばらつくことがない。つま
り第1の高さ位置に対応する制御指令が与えられると各
アクチュエータ11、12、13の変位はほぼ同一の変
位になる。同一変位が確認されたことをもって除振台1
が水平に保持されたことが確認される。
【0025】つぎに少なくとも3つのアクチュエータ1
1、12、13の変位zを徐々に上昇させる制御指令P
rが当該アクチュエータに与えられ除振台1が第1の高
さ位置から最終目標高さ位置zsまで徐々に到達される
(浮上過程2:ステップ109、110、111)。
【0026】すなわち第1の高さ位置で少なくとも3つ
のアクチュエータ11、12、13の変位zが同一変位
になり除振台1が水平に保持されたまま浮上しているこ
とが確認されているので、後はアクチュエータ11、1
2、13の変位を徐々に上昇させていけば除振台1は水
平度を維持したまま最終目標高さ位置zsに到達する。
【0027】以上のように第1発明によれば、高重心の
構造物を搭載する場合であっても除振台1の水平度を維
持したまま着座高さ位置から最終目標高さ位置zsまで
上昇させることができる。
【0028】また第2発明では、少なくとも3つのアク
チュータによって支持された除振台の各アクチュータに
対して制御指令を与えることにより当該各アクチュエー
タを変位させ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目
標高さ位置まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記
アクチュエータの変位を制御することにより前記除振台
上の除振対象物を除振するとともに、前記除振台を前記
最終目標高さ位置から前記着座高さ位置まで下降させる
ようにした除振台の制御方法において、前記除振台が前
記着座高さ位置よりもわずかに高い第1の高さ位置まで
上昇するように前記少なくとも3つのアクチュエータに
対して制御指令を与える行程と、前記少なくとも3つの
アクチュエータのそれぞれの変位が同じ変位になったこ
とを確認する行程と、前記少なくとも3つのアクチュエ
ータの変位を徐々に上昇させる制御指令を当該アクチュ
エータに与えることによって前記除振台を前記第1の高
さ位置から前記最終目標高さ位置まで徐々に到達させる
行程と、前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を
徐々に下降させる制御指令を当該アクチュエータに与え
ることによって前記除振台を前記最終目標高さ位置から
前記着座高さ位置まで徐々に到達させる行程とを具えて
いる。
【0029】第2発明で最終目標高さ位置zsまで上昇
させる制御は第1発明と同じである。
【0030】第2発明では、除振台1が最終目標高さ位
置zsに到達した後、少なくとも3つのアクチュエータ
11、12、13の変位zを徐々に下降させる制御指令
Prが当該アクチュエータに与えられ除振台1が最終目
標高さ位置zsから着座高さ位置まで徐々に到達される
(下降過程:ステップ116、117、118)。
【0031】すなわち最終目標高さ位置zsで除振台1
の水平度が維持されているので、後はアクチュエータ1
1、12、13の変位を徐々に下降させていけば除振台
1は水平度を維持したまま着座高さ位置に到達する。
【0032】以上のように第2発明によれば、高重心の
構造物を搭載する場合であっても除振台1の水平度を維
持したまま着座高さ位置から最終目標高さ位置zsまで
上昇させることができるとともに、水平度を維持したま
ま最終目標高さ位置zsから着座高さ位置まで下降させ
ることができる。
【0033】また第3発明では、少なくとも3つのアク
チュータによって支持された除振台の各アクチュータに
対して制御指令を与えることにより当該各アクチュエー
タを変位させ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目
標高さ位置まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記
アクチュエータの変位を制御することにより前記除振台
上の除振対象物を除振するようにした除振台の制御装置
において、前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずか
に高い第1の高さ位置まで上昇するように前記少なくと
も3つのアクチュエータに対して制御指令を与え、前記
少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位が同
じ変位になったことを確認し、前記少なくとも3つのア
クチュエータの変位を徐々に上昇させる制御指令を当該
アクチュエータに与えることによって前記除振台を前記
第1の高さ位置から前記最終目標高さ位置まで徐々に到
達させる制御手段を具えている。
【0034】第3発明は、第1発明の方法の発明を、装
置の発明に置き換えたものである。
【0035】また第4発明では、少なくとも3つのアク
チュータによって支持された除振台の各アクチュータに
対して制御指令を与えることにより当該各アクチュエー
タを変位させ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目
標高さ位置まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記
アクチュエータの変位を制御することにより前記除振台
上の除振対象物を除振するとともに、前記除振台を前記
最終目標高さ位置から前記着座高さ位置まで下降させる
ようにした除振台の制御装置において、前記除振台が前
記着座高さ位置よりもわずかに高い第1の高さ位置まで
上昇するように前記少なくとも3つのアクチュエータに
対して制御指令を与え、前記少なくとも3つのアクチュ
エータのそれぞれの変位が同じ変位になったことを確認
し、前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々
に上昇させる制御指令を当該アクチュエータに与えるこ
とによって前記除振台を前記第1の高さ位置から前記最
終目標高さ位置まで徐々に到達させ、前記少なくとも3
つのアクチュエータの変位を徐々に下降させる制御指令
を当該アクチュエータに与えることによって前記除振台
を前記最終目標高さ位置から前記着座高さ位置まで徐々
に到達させる制御手段を具えている。
【0036】第4発明は、第2発明の方法の発明を、装
置の発明に置き換えたものである。
【0037】また第5発明では、第3発明または第4発
明において、前記アクチュエータは、空気ばねであると
している。
【0038】また第6発明では、除振台の振動を検出す
る振動検出手段と、入力された制御指令に応じて前記除
振台を変位させるアクチュータと、前記振動検出手段で
検出された検出振動に基づいて除振台下に対する除振台
上の振動伝達率が所定のレベルになるように前記アクチ
ュータに対して制御指令を出力する振動制御手段とを具
えた除振台の制御装置において、前記振動制御手段は、
前記振動検出手段で検出された検出振動に基づいて前記
除振台を並進させる方向の振動を除振するための第1の
制御指令を出力する第1の振動制御手段と、前記振動検
出手段で検出された検出振動に基づいて前記除振台を回
転させる方向の振動を制振するための第2の制御指令を
出力する第2の振動制御手段と、これら第1の制御指令
と第2の制御指令を合成した制御指令を前記アクチュエ
ータに対して出力する手段とから成り、さらに、前記第
1の振動制御手段で、前記除振台の並進方向振動の高周
波数における振動伝達率が所定のレベルよりも小さいレ
ベルになる第1の制御指令を生成させ、前記第2の振動
制御手段で、前記除振台の回転方向振動の共振周波数に
おける振動伝達率が前記所定のレベルよりも小さいレベ
ルになる第2の制御指令を生成させるようにしている。
【0039】第6発明を図4、図5、図6を参照して説
明する。
【0040】図4、図6に示すように第6発明の振動制
御手段91は、振動検出手段(変位センサ)21、23
で検出された検出振動(変位z1、z3)に基づいて除振
台1を並進させる方向の振動(バウンシング振動)を除
振するための第1の制御指令Fgを出力する第1の振動
制御手段93(バウンシング制御部93)と、振動検出
手段(変位センサ)21、22、23で検出された検出
振動(変位z1、z2、z3)に基づいて除振台1を回転
させる方向の振動(x軸回り、y軸回りのロッキング振
動)を制振するための第2の制御指令Mx、Myを出力す
る第2の振動制御手段94、95とに分離される。
【0041】そしてこれら第1の制御指令Fgと第2の
制御指令Mx、Myを合成した制御指令PF1、PF2、PF
3、PF4(Pr1、Pr2、Pr3、Pr4)がアクチュエータ
11、12、13、14に対して出力される。
【0042】ここで図5に示すように除振性能と制振性
能との間にはトレードオフが存在する。
【0043】図5は、振動の周波数と、振動の伝達率と
の関係を示すグラフである。図5の横軸は共振周波数が
1になるように周波数を対数目盛りで表している。図5
の縦軸は除振台の下面から入力して除振台1の上面から
出力していく振動の伝達率を対数目盛りで表している。
振動伝達率が1のときは除振台1の下面から入ってくる
振動と上面から出力される振動の大きさが等しいことを
意味している。振動伝達率が大きいほど制振性能、除振
性能が低いということを示している。
【0044】同図5の実線に示すように共振周波数にお
ける振動伝達率を大きくして制振性能を低く設定する
と、高周波領域における振動伝達率は小さくなり除振性
能は高く設定される。これとは逆に、図5の破線に示す
ように、共振周波数における振動伝達率を小さくして制
振性能を高く設定すると、高周波領域における振動伝達
率は大きくなり除振性能は低く設定される。
【0045】そこで、本発明では、第1の振動制御手段
93で、除振台1の並進方向振動の高周波数における振
動伝達率が所定のレベルよりも小さいレベルになるよう
に第1の制御指令Fgが生成される。このようにして同
図5の実線に示すように共振周波数における振動伝達率
が大きくなり制振性能が低く設定されることで、高周波
領域におけるバウンシング振動の振動伝達率は小さくな
り、第1の振動制御手段93で行われるバウンシング振
動に対する除振性能が高められる。
【0046】また、第2の振動制御手段94、95で、
除振台1の回転方向振動の共振周波数における振動伝達
率が所定のレベルよりも小さいレベルになるように第2
の制御指令Mx、Myが生成される。このようにして同図
5の破線に示すように低周波の共振周波数における振動
伝達率が小さくなることで、低周波の共振周波数領域で
のロッキング振動に対する制振性能が高められる。
【0047】以上のようにして本発明によれば、バウン
シング振動に対する除振性能を維持しつつもロッキング
振動に対する制振性能を高めることができる。
【0048】また第7発明では、第6発明において、前
記アクチュエータは、空気ばねであるとしている。
【0049】また第8発明では、第6発明において、前
記振動検出手段は、前記除振台の変位を検出する変位検
出手段であるとしている。
【0050】また第9発明では、アクチュエータと制御
対象と重み関数とからなるプラントモデルと、前記プラ
ントモデルから出力される観測出力yを入力して制御入
力uを前記プラントモデルに入力させる制御器とからな
る制御系に対して、極配置制約を用いた混合H2/H∞制
御を行う制御装置において、前記制御対象を除振台と
し、前記アクチュエータを、制御入力uに応じて前記除
振台を変位させるアクチュエータとし、前記制御器を、
前記除振台の振動を制御する制御器とし、前記観測出力
yを、前記除振台の変位を検出する変位検出手段の観測
出力とし、前記制御入力uを、前記除振台の振動を制御
するための制御入力とし、前記制御系の振動伝達特性
が、高周波領域での大きさが所定レベルよりも小さくな
り、かつ共振周波数領域での除振台下に対する除振台上
の振動伝達率が所定レベルよりも小さくなるように、前
記極配置制約を用いた混合H2/H∞制御を行うようにし
ている。
【0051】第9発明を、図7、図8、図9、図10を
参照して説明する。
【0052】図7に示すようにH∞制御問題では、プラ
ントモデル(一般化プラント)6と呼ばれるアクチュエ
ータ11〜14(サーボアンプ51〜54)と制御対象
7と重み関数8、9とを一緒にした要素を想定し、制御
器(振動制御コントローラ)91はプラントモデル6か
ら観測出力y(実際に制御器91に読み込める状態量)
を入力して制御入力u(実際に操作できる入力量)をプ
ラントモデル6に入力させる制御系を考える。
【0053】ただしwはプラントモデル6に対する外部
からの仮想的な入力(外乱、基準入力)である。z′
∞、z′2はプラントモデル6から出力される仮想的な
制御量(誤差、評価量)である。外部入力wはw2とw
∞とからなり、それぞれ制御量z′2、z′∞に対する
外部入力である。
【0054】z′∞は、H∞ノルムに対する制御量、
z′2はH2ノルムに対する制御量である。そしてこの制
御系に対して、感度低減に関する制御量z′2はH2ノル
ムで評価し、ロバスト安定に関する制御量z′∞はH∞
ノルムで評価する。また制御系の伝達関数の極配置につ
いて制約を課す。つまり制御系に対して極配置制約を用
いた混合H2/H∞制御が行われる。
【0055】本発明では、図8に示すように、プラント
モデル6を構成する制御対象が、除振台1とされ、プラ
ントモデル6を構成するアクチュエータが、制御入力u
に応じて除振台1を変位させるアクチュエータ11、1
2、13、14(サーボアンプ51、52、53、5
4)とされる。
【0056】そして制御器91が、除振台1の振動を制
御する制御器(振動制御コントローラ91)とされる。
【0057】そして観測出力yが、除振台1の変位を検
出する変位検出手段(変位センサ)21、22、23の
観測出力y(zg、φ、ψ)とされる。
【0058】そして制御入力uが、除振台1の振動を制
御するための制御入力u(Fg、Mx、My)とされる。
【0059】そして図10に示すように、制御系の伝達
特性z′2/w2が、高周波領域での大きさが所定レベル
よりも小さくなり、かつ共振周波数領域での除振台下に
対する除振台上の振動伝達率が所定レベルよりも小さく
なるように、極配置制約を用いた混合H2/H∞制御が行
われる。
【0060】具体的には、ロバスト安定化問題について
は、重みをWuとして仮想的な入力w∞から仮想的な出
力z′∞までの伝達関数(z′∞/w∞)Wuの大きさの
最大値を最小にするように、H∞ノルムを評価する。
【0061】ただし図9(a)に示すように高周波にな
るほど生後ゲインが小さくなるようにつまり高周波領域
での制御ゲインが所定レベルよりも小さくなるように振
動制御コントローラ91の伝達関数z′∞/w∞の最大
値に制約を課す。このためには重み関数Wuとしては図
9(b)に示すように、高周波になるほど大きさが大き
くなるように設定すればよい。
【0062】また、感度低減問題については、重みをW
pとして仮想的な入力w2から仮想的な出力z′2までの
伝達関数(z′2/w2)Wpの大きさに低周波を強調する
ように重み関数をかけて、H2ノルムを評価する。
【0063】また、極配置としては、振動制御コントロ
ーラ91を含めた制御系の伝達関数の極の減衰が所定の
減衰率よりも大きくなるように、振動制御コントローラ
91に制約を課す。上記3種類の制御仕様を満足する制
御系を凸最適化アルゴリズムにより求める。
【0064】以上のようにして制御器(振動制御コント
ローラ)91が設計されて、制御系の振動伝達特性z′
2/w2は図10に示すように、高周波領域での大きさが
所定レベルよりも小さくなり、かつ共振周波数領域での
振動伝達率が所定レベルよりも小さくなる。この結果高
周波領域でロバスト安定性が確保されサーボアンプ51
〜54が発振するようなことがなくなる。また共振周波
数領域での減衰が強まり除振性能が確保される。
【0065】以上のように本発明によれば、加速度セン
サを使用せずに変位センサ21、22、23を使用する
だけで最適な振動制御のシステムを構築することができ
る。
【0066】また第10発明では、第9発明において、
前記アクチュエータは、空気ばねであるとしている。
【0067】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明に係る
除振台の制御方法および制御装置の実施の形態について
説明する。
【0068】図1は制御システムの全体構成を示す図で
ある。
【0069】同図1に示す除振台1上には、除振対象物
が搭載される。除振台1の四隅には、除振台1を鉛直軸
zの方向に変位させるとともに除振台1の振動をアクテ
ィブ制御するために使用されるアクチュエータとして、
4つの空気ばね11、12、13、14が配設されてい
る。
【0070】これら空気ばね11〜14は、サーボバル
ブ41〜44を介して空気が供給されることにより、鉛
直方向に浮上して変位する。4つの空気ばね11〜14
それぞれに対応して空気ばね11、12、13、14の
変位z1、z2、z3、z4を検出する変位センサ21、2
2、23、24が設けられている。変位センサ21〜2
4で検出された変位z1〜z4は変位信号zとしてコント
ローラ90に入力される。このコントローラ90は、後
述するように除振台1の振動を制御する振動制御コント
ローラ91と、除振台1の変位を制御するPI制御コン
トローラ92とからなっている。
【0071】各サーボバルブ41〜44のそれぞれに対
応してサーボアンプ(圧力アンプ)51〜54が設けら
れている。また各サーボアンプ51〜54のそれぞれに
対応して、空気ばね11、12、13、14内の空気の
圧力P1、P2、P3、P4をそれぞれ検出する圧力センサ
31、32、33、34が設けられている。
【0072】コントローラ90からは各サーボアンプ5
1、52、53、54に対して除振台1の変位および振
動を制御するための圧力指令Pr1、Pr2、Pr3、Pr4が
出力される。
【0073】サーボアンプ51〜54は、これら圧力指
令Pr1〜Pr4を目標値とし、圧力センサ31〜34の検
出出力P1〜P4をフィードバック信号として、指令され
た目標圧力が得られるようにサーボバルブ41〜44の
開度をフィードバック制御する。すなわちサーボバルブ
41〜44の開度が圧力指令とフィードバック値との偏
差をなくすような開度に調整されて、図示せぬ空気源か
らサーボバルブ41〜44を介して空気が空気ばね11
〜14内に供給される。このため空気ばね11〜14内
の空気の圧力はコントローラ90で指令された圧力に一
致して、除振台1は目標とする変位に位置決めされると
ともに、除振台1がアクティブ制御され除振および制振
される。
【0074】図6は、コントローラ90の振動制御コン
トローラ91と、PI制御コントローラ92を含む要素
をブロック図で示している。
【0075】PI制御コントローラ92は、各サーボア
ンプ51、52、53、54毎に設けられたPI制御部
(比例、積分制御部)2を中心にして構成されている。
一方振動制御コントローラ91はバウンシング制御部9
3とx軸回りのロッキング制御部94とy軸回りのロッ
キング制御部95とを中心にして構成されている。
【0076】ここではPI制御コントローラ92の構成
を中心に説明する。
【0077】サーボアンプ51に圧力指令Pr1を出力す
る制御系について説明する。
【0078】まず目標変位としてzsが与えられる。一
方変位センサ21で検出された空気ばね11の現在の変
位z1がフィードバック量として与えられる。そしてこ
れらの偏差zs−z1が求められPI制御部2に入力され
る。PI制御部2の比例要素3では偏差zs−z1に比例
ゲインKpが乗算される。またPI制御部2の積分要素
4、5では1/sが乗算されるとともに積分時間に応じ
たゲインKiが乗算される。つまりPI制御部2は(Kp
+Ki/s)なる伝達関数で、制御誤差zs−z1を増幅し
て出力するとともに制御誤差zs−z1を積分して出力す
る。こうして圧力制御量q1がPI制御部2から出力さ
れる。圧力制御量q1は後述する振動制御コントローラ
91、振動制御力演算部74を介して出力される振動制
御圧力PF1と加算され圧力指令Pr1としてサーボアンプ
51に出力される。
【0079】サーボアンプ52に圧力指令Pr2を出力す
る制御系についても同様に、圧力制御量q2がPI制御
部2から出力され、この圧力制御量q2が後述する振動
制御コントローラ91、振動制御力演算部75を介して
出力される振動制御圧力PF2と加算され圧力指令Pr2と
してサーボアンプ52に出力される。
【0080】サーボアンプ53に圧力指令Pr3を出力す
る制御系についても同様に、圧力制御量q3がPI制御
部2から出力され、この圧力制御量q3が後述する振動
制御コントローラ91、振動制御力演算部76を介して
出力される振動制御圧力PF3と加算され圧力指令Pr3と
してサーボアンプ53に出力される。
【0081】サーボアンプ54に圧力指令Pr4を出力す
る制御系について説明する。
【0082】まず目標圧力としてPsが与えられる。一
方圧力センサ34で検出された空気ばね11の現在の圧
力P4がフィードバック量として与えられる。そしてこ
れらの偏差Ps−P4が求められPI制御部2に入力され
る。PI制御部2の比例要素3′では偏差Ps−P4に比
例ゲインKppが乗算される。またPI制御部2の積分要
素4′、5′では1/sが乗算されるとともに積分時間
に応じたゲインKpiが乗算される。つまりPI制御部2
は(Kpp+Kpi/s)なる伝達関数で、制御誤差Ps−P
4を増幅して出力するとともに制御誤差Ps−P4を積分
して出力する。こうして圧力制御量q4がPI制御部2
から出力される。圧力制御量q4は後述する振動制御コ
ントローラ91、振動制御力演算部77を介して出力さ
れる振動制御圧力PF4と加算され圧力指令Pr4としてサ
ーボアンプ54に出力される。
【0083】・変位制御 以下図2のフローチャートを参照してコントローラ90
のPI制御コントローラ92で行われる変位制御の内容
について説明する。
【0084】現在除振台1が着座位置に変位しているも
のとする。着座位置とは、空気ばね11〜14が浮上し
ていない状態の変位のことである。空気ばね11〜14
は内部の空気の圧力が所定の浮上圧以上になってはじめ
て変位して除振台1を着座位置よりも上方に変位させる
ことができる。つまり空気ばね11〜14は上から加わ
る荷重と釣り合う所定の浮上圧以上になると浮上する。
【0085】・圧力上昇 まず空気ばね11〜14の設定圧力として上記所定の浮
上圧手前の圧力が設定され、コントローラ90のPI制
御コントローラ92からは、サーボアンプ51〜54に
対して上記所定の浮上圧手前の設定圧力を得るための圧
力指令が出力される。この場合所定の増加量ずつ圧力指
令が増加される(ステップ101)。
【0086】圧力指令が増加する毎に、この増加した圧
力が得られるように、サーボアンプ51〜54、サーボ
バルブ41〜44を介して空気ばね11〜14内の空気
の圧力が制御される(ステップ102)。
【0087】そして圧力指令が増加する毎に、現在の圧
力指令が上記設定圧力(所定の浮上圧手前の圧力)であ
るか否かが判断される(ステップ103)。このとき現
在の圧力指令が上記設定圧力に達していない場合には、
圧力をさらに増加させた上でステップ102の圧力制御
が繰り返し実行される。しかし現在の圧力が設定圧力に
到達している場合には、この設定圧力となるように圧力
制御が行われた後に(ステップ104)、圧力が安定し
たか否かが判断される。すなわち圧力センサ31〜34
のすべての検出圧力値P1〜P4が設定圧力と同じ圧力値
に安定したか否かが判断される(ステップ105)。
【0088】・浮上過程1 空気ばね11〜14の圧力が上記所定の浮上圧手前の設
定圧力で安定した場合には(ステップ105の判断YE
S)には、つぎに、除振台1の目標変位として着座高さ
位置よりもわずかに高い第1変位が設定され、サーボア
ンプ51〜53に対して、この第1変位を得るための圧
力指令が出力される(ステップ106)。
【0089】なおここで3つの空気ばね11〜13(サ
ーボアンプ51〜53)の制御を行うようにしているの
は、除振台1の3箇所の変位を制御すれば平面である除
振台1を水平にすることができるからである。
【0090】そして第1変位に対応する圧力指令Pr1、
Pr2、Pr3がサーボアンプ51、52、53に出力さ
れ、サーボバルブ41〜43を介して空気ばね11〜1
3内の空気の圧力が制御される。この場合変位センサ2
1〜23の検出変位z1〜z3と目標とする第1変位とが
一致するようにフィードバック制御が行われる(図6参
照)。この結果3つの空気ばね11〜13が第1変位ま
で浮き上がり除振台1を第1変位まで上昇させる。この
結果他の1つの空気ばね14は除振台1の上昇に追従し
て上昇する。したがって他の1つの空気ばね14(サー
ボアンプ54)に対しては、除振台1の荷重を支えるだ
けの圧力Psが得られるような圧力指令Pr4が与えられ
る(図6参照)。こうして4つの空気ばね11〜14は
第1変位に相当する高さまで浮上する(ステップ10
7)。
【0091】このように除振台1が着座高さ位置(空気
ばね11〜13が浮上していない状態)から、その位置
よりもわずかに高い第1の変位(空気ばね11〜13が
わずかに浮上した状態)まで上昇される。このようにわ
ずかな第1の変位までしか上昇させていないので、一挙
に最終目標高さ位置zsまで上昇させた場合に比較して
除振台1の水平度のずれが増幅されてしまうことが防止
される。
【0092】つぎに除振台1が第1の設定変位に安定し
て位置決めされたか否かが判断される。すなわち変位セ
ンサ31〜33のすべての検出変位値z1、z2、z3が
上記第1変位と同じ変位に安定して一致しているか否か
が判断される(ステップ108)。このようにして3つ
の空気ばね11、12、13のそれぞれの変位z1、z
2、z3が同じ変位になったことが確認される(ステップ
108)。
【0093】以上のように本実施形態では、一挙に目標
高さ位置zsまで上昇させることなく除振台1を着座高
さ位置よりもわずかに高い第1変位までしか上昇させて
いないので、除振台1の水平度のずれは増幅されずに各
空気ばね11、12、13の変位がばらつくことがな
い。つまり第1変位に対応する圧力指令Pr1、Pr2、P
r3が与えられると各空気ばね11、12、13の変位z
1、z2、z3はほぼ同一の変位になる。同一変位が確認
されたことをもって除振台1が水平に保持されたことが
確認される。
【0094】・浮上過程2 つぎに3つの空気ばね11、12、13の変位z1、z
2、z3を徐々に増加させる圧力指令Pr1、Pr2、Pr3が
サーボアンプ51、52、53に与えられ除振台1が第
1変位から最終目標高さ位置zsまで徐々に到達される
(ステップ109〜113)。
【0095】すなわち除振台1の最終目標高さ位置zs
が設定され、サーボアンプ51〜53に対してこの最終
目標高さ位置zsを得るための圧力指令Pr1、Pr2、Pr
3が出力される。この場合所定の増加量ずつ目標値(変
位)が増加される(ステップ109)。
【0096】そして増加させた目標変位が得られるよう
に圧力指令Pr1〜Pr3がサーボアンプ51〜53に対し
て出力され、サーボバルブ41〜43を介して空気ばね
11〜13内の空気の圧力が制御される。この場合変位
センサ21〜23の検出変位z1〜z3と目標とする変位
とが一致するようにフィードバック制御が行われる(図
6参照)。なお他の1つの空気ばね14(サーボアンプ
54)に対しては、除振台1の荷重を支えるだけの圧力
Psが得られるような圧力指令Pr4が与えられる。こう
して4つの空気ばね11〜14は、増加させた変位に相
当する高さまで浮上する(ステップ110)。
【0097】そして変位指令が増加する毎に、現在の変
位指令が最終目標高さ位置zsにするための指令である
か否かが判断される(ステップ111)。現在の変位指
令が最終目標高さ位置zsにするための指令でない場合
には、変位指令をさらに増加させた上でステップ110
の変位制御が繰り返し実行される。しかし現在の変位指
令が最終目標高さ位置zsにする指令である場合には、
この最終目標高さ位置zsとなるように変位制御が行わ
れた後に(ステップ112)、この最終目標高さ位置z
sに安定して位置決めされたか否かが判断される。すな
わち変位センサ31〜33のすべての検出変位値z1、
z2、z3が上記最終目標高さ位置zsと同じ変位に安定
して位置決めされているか否かが判断される(ステップ
113)。
【0098】第1変位になったときに3つの空気ばね1
1、12、13の変位z1、z2、z3が同一変位になり
除振台1が水平に保持されたことが確認されているので
(捨てプ108)、後は空気ばね11〜13の変位z
1、z2、z3を徐々に上昇させていけば除振台1は水平
度を維持したまま最終目標高さ位置zsに到達すること
になる。
【0099】・浮上安定 そして最終目標高さ位置zsからずれないように変位セ
ンサ21〜23の検出変位z1〜z3をフィードバック量
とするフィードバック制御が行われる(ステップ11
4)。しかし下降指令が入力されるとつぎの下降過程に
移行される(ステップ115)。
【0100】・下降過程 つぎに3つの空気ばね11、12、13の変位z1、z
2、z3を徐々に減少させる圧力指令Prがサーボアンプ
51、52、53に与えられ除振台1が最終目標高さ位
置zsから着座高さ位置まで徐々に到達される(ステッ
プ116〜120)。
【0101】すなわち除振台1の着座高さが目標変位と
して設定され、サーボアンプ51〜53に対してこの着
座高さ位置を得るための圧力指令Pr1〜Pr3が出力され
る。この場合所定の減少量ずつ目標値(変位)が減少さ
れる(ステップ116)。
【0102】そして減少させた目標変位が得られるよう
に圧力指令Pr1〜Pr3がサーボアンプ51〜53に対し
て出力され、サーボバルブ41〜43を介して空気ばね
11〜13内の空気の圧力が制御される。この場合変位
センサ21〜23の検出変位z1〜z3と目標変位とが一
致するようにフィードバック制御が行われる(図6参
照)。なお他の1つの空気ばね14(サーボアンプ5
4)に対しては、除振台1の荷重を支えるだけの圧力P
sが得られるような圧力指令Pr4が与えられる(図6参
照)。こうして4つの空気ばね11〜14は、減少させ
た変位に相当する高さまで下降する(ステップ11
7)。
【0103】そして変位指令が減少する毎に、現在の変
位指令が着座高さ位置にするための指令であるか否かが
判断される(ステップ118)。現在の変位指令が着座
高さ位置にするための指令でない場合には、変位指令を
さらに減少させた上でステップ117の変位制御が繰り
返し実行される。しかし現在の変位指令が着座高さ位置
にするための指令である場合には、この着座高さ位置と
なるように変位制御が行われた後に(ステップ11
9)、この着座高さ位置に安定して位置決めされたか否
かが判断される。すなわち変位センサ31〜33のすべ
ての検出変位値z1〜z3が上記着座高さ位置と同じ変位
に安定しているか否かが判断される(ステップ12
0)。最終目標高さ位置zsで除振台1の水平度が維持
されているので、後は空気ばね11、12、13の変位
z1、z2、z3を徐々に下降させていけば除振台1は水
平度を維持したまま着座高さ位置に到達することにな
る。
【0104】・圧力下降 さらに空気ばね11〜14の設定圧力として大気圧が設
定され、サーボアンプ51〜54に対してこの設定圧力
を得るための圧力指令Pr1〜Pr4が出力される。この場
合所定の減少量ずつ圧力指令が減少される(ステップ1
21)。
【0105】圧力指令が減少する毎に、この減少した圧
力が得られるように、サーボアンプ51〜54、サーボ
バルブ41〜44を介して空気ばね11〜14内の空気
の圧力が制御される(ステップ122)。
【0106】そして圧力指令が減少する毎に、現在の圧
力指令が上記設定圧力(大気圧)であるか否かが判断さ
れる(ステップ123)。現在の圧力指令が上記設定圧
力に達していない場合には、圧力をさらに減少させた上
でステップ122の圧力制御が繰り返し実行される。し
かし現在の圧力が設定圧力に到達している場合には、こ
の設定圧力となるように圧力制御が行われた後に(ステ
ップ124)、圧力が安定したか否かが判断される。す
なわち圧力センサ31〜34のすべての検出圧力値P1
〜P4が設定圧力(大気圧)と同じ圧力値に安定したか
否かが判断される(ステップ125)。
【0107】以上のように本実施形態によれば、高重心
の構造物を搭載する場合であっても除振台1の水平度を
維持したまま着座高さ位置から最終目標高さ位置zsま
で上昇させることができるとともに、水平度を維持した
まま最終目標高さ位置zsから着座高さ位置まで下降さ
せることができる。
【0108】・モード分離制御 つぎにコントローラ90の振動制御コントローラ91で
行われる振動制御の内容について図3〜図10を参照し
て説明する。
【0109】本実施形態では振動の制御がモード分離制
御により行われる。
【0110】図3(a)、(b)、(c)は除振台1の
3つの振動モードを概念的に示す図である。除振台1の
振動はこれら3つの自由度を有する。なお同図3におい
てLは除振台1の1辺の長さを示している。
【0111】図3(a)は除振台1を鉛直軸zの方向に
並進させる方向の振動(バウンシング振動)のモードつ
まりバウンシングモードを示している。
【0112】図3(b)は除振台1を水平軸x回りに回
転させる方向の振動(x軸回りのロッキング振動)のモ
ードつまりx軸回りのロッキングモードを示している。
【0113】図3(c)は除振台1を水平軸y回りに回
転させる方向の振動(y軸回りのロッキング振動)のモ
ードつまりy軸回りのロッキングモードを示している。
【0114】図4はモード分離制御のブロック図を示し
ている。
【0115】同図4に示すように、本実施形態では除振
台1の振動を上記各振動モードに分離して各振動モード
毎に振動の制御が行われる。ここでzgを除振台1の重
心Gのz軸方向の変位とし、φを除振台1のx軸回りの
回転角度とし、ψを除振台1のy軸回りの回転角度とす
る。すると空気ばね11、12、13の変位z1、z2、
z3はつぎのように表される。
【0116】 z1=zg−(L/2)φ−(L/2)ψ …(1) z2=zg+(L/2)φ−(L/2)ψ …(2) z3=zg+(L/2)φ+(L/2)ψ …(3) 上記(1)、(2)、(3)式からzg、φ、ψを求め
ると以下のようになる。
【0117】zg=(z1+z3)/2 …(4) φ=(−z1+z2)/L …(5) ψ=(−z2+z3)/L …(6) このようにしてバウンシング振動による変位zg、x軸
回りのロッキング振動による回転角φ、y軸回りのロッ
キング振動による回転角ψを、変位センサ21〜23の
検出変位z1〜z3を用いて表すことができる。
【0118】図4の演算部71では変位センサ21、2
3の検出変位z1、z3に基づき上記(4)式の演算が実
行されバウンシング振動による変位zgが出力される。
【0119】同様に演算部72では変位センサ21、2
2の検出変位z1、z2に基づき上記(5)式の演算が実
行されx軸回りのロッキング振動による回転角φが出力
される。
【0120】同様に演算部73では変位センサ22、2
3の検出変位z2、z3に基づき上記(6)式の演算が実
行されy軸回りのロッキング振動による回転角ψが出力
される。
【0121】そして振動制御コントローラ91のバウン
シング制御部93では、演算部71から出力されるバウ
ンシング振動による変位zgをうち消すための制御力Fg
が演算され出力される。
【0122】同様に振動制御コントローラ91のx軸回
りのロッキング制御部94では、演算部72から出力さ
れるx軸回りのロッキング振動による回転角φをうち消
すための制御力Mxが演算され出力される。
【0123】同様に振動制御コントローラ91のy軸回
りのロッキング制御部95では、演算部73から出力さ
れるy軸回りのロッキング振動による回転角ψをうち消
すための制御力Myが演算され出力される。
【0124】ここで各サーボアンプ51、52、53、
54にそれぞれ与えるべき振動制御力をF1、F2、F
3、F4とすると、これらを用いて上記バウンシング振動
に対する制御力Fg、x軸回りのロッキング振動に対す
る制御力Mx、y軸回りのロッキング振動に対する制御
力Myは以下のように表される。
【0125】Fg=F1+F2+F3+F4 …(7) Mx=(−F1+F2+F3−F4)・(L/2) …(8) My=(−F1−F2+F3+F4)・(L/2) …(9) 上記(7)、(8)、(9)式に示す制御力Fg、Mx、
Myが各制御部93、94、95で演算され出力され
る。
【0126】上記(7)、(8)、(9)式を満たす各
振動制御力F1、F2、F3、F4はFg、Mx、Myを用い
てつぎのように表される。
【0127】 F1=(Fg/4)−(Mx/2L)−(My/2L) …(10) F2=(Fg/4)+(Mx/2L)−(My/2L) …(11) F3=(Fg/4)+(Mx/2L)+(My/2L) …(12) F4=(Fg/4)−(Mx/2L)+(My/2L) …(13) 各振動制御圧力PF1、PF2、PF3、PF4は各振動制御力
を空気ばね11〜14の面積Sで割ることにより次のよ
うに求まる。
【0128】PF1=F1/S …(14) PF2=F2/S …(15) PF3=F3/S …(16) PF4=F4/S …(17) つまりバウンシング振動に対する制御力Fgとx軸回り
のロッキング振動に対する制御力Mxとy軸回りのロッ
キング振動に対する制御力Myとを合成して空気ばね面
積Sで割った振動制御指令PF1、PF2、PF3、PF4が各
サーボアンプ51、52、53、54(空気ばね11、
12、13、14)に対して出力されることになる。
【0129】振動制御力演算部74、81では振動制御
コントローラ91から出力された制御力Fg、Mx、My
に基づき上記(10)、(14)式の演算が実行されサ
ーボアンプ51(空気ばね11)に対する振動制御圧力
PF1が出力される。そしてこの振動制御圧力PF1が圧力
制御量q1と加算され圧力指令Pr1としてサーボアンプ
51に出力される(図6参照)。この結果空気ばね11
の変位z1が所望の目標高さ位置zsに位置決めされると
ともに除振台1の各振動モードの振動をうち消すように
空気ばね11の変位がアクティブ制御される。
【0130】同様に振動制御力演算部75、82では振
動制御コントローラ91から出力された制御力Fg、M
x、Myに基づき上記(11)、(15)式の演算が実行
されサーボアンプ52(空気ばね12)に対する振動制
御圧力PF2が出力される。そしてこの振動制御圧力PF2
が圧力制御量q2と加算され圧力指令Pr2としてサーボ
アンプ52に出力される(図6参照)。この結果空気ば
ね12の変位z2が所望の目標高さ位置zsに位置決めさ
れるとともに除振台1の各振動モードの振動をうち消す
ように空気ばね12の変位がアクティブ制御される。
【0131】同様に振動制御力演算部76、83では振
動制御コントローラ91から出力された制御力Fg、M
x、Myに基づき上記(12)、(16)式の演算が実行
されサーボアンプ53(空気ばね13)に対する振動制
御圧力PF3が出力される。そしてこの振動制御圧力PF3
が圧力制御量q3と加算され圧力指令Pr3としてサーボ
アンプ53に出力される(図6参照)。この結果空気ば
ね13の変位z3が所望の目標高さ位置zsに位置決めさ
れるとともに除振台1の各振動モードの振動をうち消す
ように空気ばね13の変位がアクティブ制御される。
【0132】同様に振動制御力演算部77、84では振
動制御コントローラ91から出力された制御力Fg、M
x、Myに基づき上記(13)、(17)式の演算が実行
されサーボアンプ54(空気ばね14)に対する振動制
御圧力PF4が出力される。そしてこの振動制御圧力PF4
が圧力制御量q4と加算され圧力指令Pr4としてサーボ
アンプ54に出力される(図6参照)。この結果空気ば
ね14の圧力P4が所望の目標圧力Psに一致されるとと
もに除振台1の各振動モードの振動をうち消すように空
気ばね14の変位がアクティブ制御される。
【0133】ここで図5に示すように除振性能と制振性
能との間にはトレードオフが存在する。
【0134】図5は、振動の周波数と、振動の伝達率と
の関係を示すグラフである。図5の横軸は共振周波数が
1になるように周波数を対数目盛りで表している。図5
の縦軸は除振台1の下面から入力して除振台1の上面か
ら出力していく振動の伝達率を対数目盛りで表してい
る。振動伝達率が1のときは除振台1の下面から入って
くる振動と上面から出力される振動のゲインが等しいこ
とを意味している。振動伝達率が大きいほど制振性能、
除振性能が低いということを示している。
【0135】いま振動系の減衰を小さくしたとする。す
ると同図5の実線に示すように共振周波数における振動
伝達率が大きくなり制振性能が低く設定されることにな
る。このとき高周波領域における振動伝達率は小さくな
り除振性能は高く設定される。これとは逆に振動系の減
衰を大きくしたとする。すると図5の破線に示すように
共振周波数における振動伝達率が小さくなり制振性能が
高く設定されることになる。このとき高周波領域におけ
る振動伝達率は大きくなり除振性能は低く設定される。
【0136】装置の除振性能を高めるには、バウンシン
グ方向の除振性能を高める必要がある。
【0137】一方x軸回りのロッキング方向およびy軸
回りのロッキング方向で問題になるのは、低周波の共振
周波数で発生する振動モードであり、ロッキング振動を
低減するには減衰を大きくして共振周波数での制振性能
を高める必要がある。またロッキング振動モードは鉛直
方向の除振性能に寄与しないため、ロッキング方向の高
周波の除振性能が悪くなってもシステムとしての機能は
悪くならない。
【0138】そこで、本実施形態では、バウンシング制
御部93で、除振台1のバウンシング方向振動の高周波
領域における振動伝達率が所定の基準レベルよりも小さ
いレベルになるように制御力Fgが生成される。具体的
には、振動系の減衰が小さくなるようにバウンシング制
御部93のゲイン定数が調整される。
【0139】このようにしてバウンシング制御部93で
同図5の実線に示すように共振周波数における振動伝達
率が大きくなり制振性能が低く設定されることで、高周
波領域におけるバウンシング振動の振動伝達率が小さく
なり、高周波のバウンシング振動に対する除振性能が高
められる。
【0140】また、x軸回りのロッキング制御部94、
y軸回りのロッキング制御部95で、除振台1のロッキ
ング方向振動の共振周波数における振動伝達率が所定の
基準レベルよりも小さいレベルになるように制御力M
x、Myが生成される。具体的には、振動系の減衰が大き
くなるようにx軸回りのロッキング制御部94、y軸回
りのロッキング制御部95のゲイン定数が調整される。
【0141】このようにしてx軸回りのロッキング制御
部94、y軸回りのロッキング制御部95で同図5の破
線に示すように低周波の共振周波数における振動伝達率
が小さくなり、低周波の共振周波数でのロッキング振動
に対する除振性能が高められる。
【0142】以上のように本実施形態によれば、バウン
シング振動に対する除振性能を維持しつつもロッキング
振動に対する制振性能を高めることができる。
【0143】なおこの分離モード制御では、変位センサ
21〜23によって振動zg、φ、ψを検出している
が、変位センサ以外の他の振動検出センサを用いて振動
を検出する実施も可能である。
【0144】・極配置制約を用いた混合H2/H∞制御 コントローラ90の振動制御コントローラ91では、極
配置制約を用いた混合H2/H∞制御が行われる。この制
御の内容について図7、図8、図9、図10を参照して
説明する。
【0145】H∞制御の枠組みの中ではロバスト安定化
問題、感度低減問題という2つの矛盾した要求が、混合
感度最適化問題として統一的に解かれる。
【0146】H∞制御問題では、図7に示すように、プ
ラントモデル(一般化プラント)6と呼ばれるアクチュ
エータと制御対象7と重み関数とを一緒にした要素を想
定し、制御器91がプラントモデル6から観測出力y
(実際に制御器91に読み込める状態量)を入力して制
御入力u(実際に操作できる入力量)をプラントモデル
6に入力させる制御系を考える。
【0147】ただしwはプラントモデル6に対する外部
からの仮想的な入力(外乱、基準入力)である。z′
∞、z′2はプラントモデル6から出力される仮想的な
制御量(誤差、評価量)である。外部入力wはw2とw
∞とからなり、それぞれ制御量z′2、z′∞に対する
外部入力である。
【0148】z′∞は、H∞ノルムに対する制御量、
z′2はH2ノルムに対する制御量である。そしてこの制
御系に対して、感度低減に関する制御量z′2はH2ノル
ムで評価し、ロバスト安定に関する制御量z′∞はH∞
ノルムで評価する。また制御系の伝達関数の極配置につ
いて制約を課す。すなわち仮想的な入力w2から仮想的
な出力(評価量)z′2への伝達関数の大きさの最大値
が最小になるように2乗ノルムを評価して制御器91を
設計する。また仮想的な入力w∞から仮想的な出力(評
価量)z′∞への伝達関数の大きさの最大値が最小にな
るように無限大ノルムを評価して制御器91を設計す
る。
【0149】このように制御系に対して極配置制約を用
いた混合H2/H∞制御が行われる。
【0150】本実施形態では、図8に示すように、図7
のプラントモデル6を構成する制御対象7が、除振台1
に設定される。そしてプラントモデル6を構成するアク
チュエータが、制御入力uに応じて除振台1を変位させ
る空気ばね11、12、13、14(サーボアンプ5
1、52、53、54)に設定される。
【0151】そして図7の制御器91が、図8に除振台
1の振動を制御する振動制御コントローラ91に設定さ
れる。
【0152】そして図7の観測出力yが、変位センサ2
1、22、23の検出変位z1、z2、z3から得られる
除振台1の鉛直方向変位zg、x軸回りの回転角φ、y
軸回りの回転角ψとされる。
【0153】そして図7の制御入力uが、除振台1のバ
ウンシング振動をうち消す制御力Fg、x軸回りのロッ
キング振動をうち消す制御力Mx、y軸回りのロッキン
グ振動をうち消す制御力Myとされる。
【0154】図8においてWpは感度低減に関する重み
関数であり、Wuはロバスト安定に関する重み関数であ
る。
【0155】そこで、図10に示すように、この制御系
の振動伝達特性z′2/w2が、高周波領域でのゲインが
所定レベルよりも小さくなり、かつ共振周波数領域での
振動伝達特性が最小になるように(振動伝達率が所定レ
ベルよりも小さくなるように)、極配置制約を用いた混
合H2/H∞制御が行われる。
【0156】具体的には、ロバスト安定化問題について
は、重みをWuとして仮想的な入力w∞から仮想的な出
力z′∞までの伝達関数(z′∞/w∞)Wuのゲインの
最大値を最小にするように、H∞ノルムを評価する。
【0157】ただし図9(a)に示すように高周波にな
るほど制御ゲインが小さくなるようにつまり高周波領域
での制御ゲインが所定レベルよりも小さくなるように振
動制御コントローラ91の伝達関数z′∞/w∞の最大
値に制約を課す。
【0158】具体的には、(z′∞/w∞)Wu<<1が
成立する重み関数Wuを求める。このため重み関数Wuと
しては図9(b)に示すように、高周波になるほど大き
さが大きくなるように設定される。
【0159】また、感度低減問題については、重みをW
pとして仮想的な入力w2から仮想的な出力z′2までの
伝達関数(z′2/w2)Wpに対するH2ノルムを評価す
る。
【0160】このため重み関数Wpとしては図9(b)
に示すように、高周波になるほど大きさが大きくなるよ
うに設定される。
【0161】また、極配置としては、振動制御コントロ
ーラ91を含めた制御系の伝達関数の極の減衰が所定の
減衰率よりも大きくなるように、振動制御コントローラ
91に制約を課す。上記3種類の制御仕様を満足する制
御系を凸最適化アルゴリズムにより求める。
【0162】以上のようにして制御器(振動制御コント
ローラ)91が設計されて、制御系の振動伝達特性z′
2/w2は図10に示すように、高周波領域での振動伝達
特性を変化させず、かつ低周波領域での振動伝達特性を
大きく確保し、かつ共振周波数領域での振動伝達特性が
所定レベルよりも小さくなる。この結果高周波領域でロ
バスト安定性が確保されサーボアンプ51〜54が発振
するようなことがなくなる。また低周波領域での感度が
低減され除振台1の剛性が確保される。また共振周波数
領域での減衰が強まり除振性能が確保される。
【0163】以上のように本実施形態によれば、加速度
センサを使用することなく変位センサ21、22、23
を使用するだけで最適な振動制御のシステムを構築する
ことができる。
【0164】なお以上説明した本実施形態では、除振台
1を変位させるアクチュエータとして空気ばねを使用し
ているが、本発明としては制御指令に応じて力を発生し
除振台1を変位させるアクチュエータであれば任意に適
用可能である。
【0165】たとえば図1の代わりに図11に示す構成
として除振台1を変位させるとともに振動をうち消すよ
うに制御を行うようにしてもよい。
【0166】この図11に示す構成では、除振台1の4
隅に、4つの空気ばね11、12、13、14に対応し
て4つの直動アクチュエータ61、62、63、64が
配設される。
【0167】これら直動アクチュエータ61〜64は、
除振台1の振動をうち消すようにアクティブ制御する機
能は有しないが、制御指令に応じて鉛直方向に直動する
ことで除振台1を鉛直方向に変位させる機能を有する。
【0168】除振台1を最終目標高さ位置zsに位置決
めする場合には、空気ばね11〜14の圧力が浮上圧手
前の設定圧力になるような圧力指令がコントローラ90
から出力される。また直動アクチュエータ61〜64に
対しては、上記最終目標高さzsに変位させるための制
御指令がコントローラ90から出力される。このように
して除振台1は、最終目標高さ位置zsに位置決めされ
る。そして空気ばね11〜14に対して振動をうち消す
ための圧力指令が加えられ、空気ばね11〜14の変位
がアクティブ制御される。この場合直動アクチュエータ
61〜64としてはそれほど大きな制御力は必要ないの
で小さなアクチュエータで十分である。小さいアクチュ
エータであるために制御の応答性が向上する。直動アク
チュエータ61〜64としては、たとえば空気ばね、電
磁アクチュエータを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る除振台の制御方法および制
御装置の実施形態の制御システムの全体構成を示す図で
ある。
【図2】図2は図1に示すコントローラで行われる制御
アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図3は除振台の各振動モードを示す図で、図3
(a)はバウンシング振動モードを示す図で、図3
(b)はx軸回りのロッキング振動モードを示す図で、
図3(c)はy軸回りのロッキング振動モードを示す図
である。
【図4】図4は振動モードの分離制御のブロック図であ
る。
【図5】図5は除振性能と制振性能との間のトレードオ
フを説明するグラフである。
【図6】図6は実施形態のシステム全体のブロック図で
ある。
【図7】図7は一般化プラントモデルの基本モデルを示
す図である。
【図8】図8は振動制御設計のブロック図である。
【図9】図9は制御器の設計内容を説明する図であり、
図9(a)は制御ゲインの制約を概念的に示す図であ
り、図9(b)は重み関数の制約を概念的に示す図であ
る。
【図10】図10は図9で行われる振動制御の目的を示
す図である。
【図11】図11は図1の変形構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 除振台 6 プラントモデル 7 制御対象 8、9 重み関数 11〜14 空気ばね 21〜24 変位センサ 31〜34 圧力センサ 41〜44 サーボバルブ 51〜54 サーボアンプ 61〜64 直動アクチュエータ 90 コントローラ 91 振動制御コントローラ 92 変位制御コントローラ 93 バウンシング制御部 94 x軸回りのロッキング制御部 95 y軸回りのロッキング制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 英樹 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内 (72)発明者 海老 大輔 神奈川県平塚市四之宮2612 コマツ電子金 属株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AB08 AD02 BE02 CB09 CB13 DA01 EA13 EA38

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3つのアクチュータによ
    って支持された除振台の各アクチュータに対して制御指
    令を与えることにより当該各アクチュエータを変位さ
    せ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目標高さ位置
    まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記アクチュエ
    ータの変位を制御することにより前記除振台上の除振対
    象物を除振するようにした除振台の制御方法において、 前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずかに高い第1
    の高さ位置まで上昇するように前記少なくとも3つのア
    クチュエータに対して制御指令を与える行程と、 前記少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位
    が同じ変位になったことを確認する行程と、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に上
    昇させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記第1の高さ位置から前記最終目
    標高さ位置まで徐々に到達させる行程とを具えた除振台
    の制御方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも3つのアクチュータによ
    って支持された除振台の各アクチュータに対して制御指
    令を与えることにより当該各アクチュエータを変位さ
    せ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目標高さ位置
    まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記アクチュエ
    ータの変位を制御することにより前記除振台上の除振対
    象物を除振するとともに、前記除振台を前記最終目標高
    さ位置から前記着座高さ位置まで下降させるようにした
    除振台の制御方法において、 前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずかに高い第1
    の高さ位置まで上昇するように前記少なくとも3つのア
    クチュエータに対して制御指令を与える行程と、 前記少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位
    が同じ変位になったことを確認する行程と、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に上
    昇させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記第1の高さ位置から前記最終目
    標高さ位置まで徐々に到達させる行程と、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に下
    降させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記最終目標高さ位置から前記着座
    高さ位置まで徐々に到達させる行程とを具えた除振台の
    制御方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも3つのアクチュータによっ
    て支持された除振台の各アクチュータに対して制御指令
    を与えることにより当該各アクチュエータを変位させ、
    前記除振台を着座高さ位置から最終の目標高さ位置まで
    上昇させこの最終目標高さ位置で、前記アクチュエータ
    の変位を制御することにより前記除振台上の除振対象物
    を除振するようにした除振台の制御装置において、 前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずかに高い第1
    の高さ位置まで上昇するように前記少なくとも3つのア
    クチュエータに対して制御指令を与え、 前記少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位
    が同じ変位になったことを確認し、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に上
    昇させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記第1の高さ位置から前記最終目
    標高さ位置まで徐々に到達させる制御手段を具えた除振
    台の制御装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも3つのアクチュータによ
    って支持された除振台の各アクチュータに対して制御指
    令を与えることにより当該各アクチュエータを変位さ
    せ、前記除振台を着座高さ位置から最終の目標高さ位置
    まで上昇させこの最終目標高さ位置で、前記アクチュエ
    ータの変位を制御することにより前記除振台上の除振対
    象物を除振するとともに、前記除振台を前記最終目標高
    さ位置から前記着座高さ位置まで下降させるようにした
    除振台の制御装置において、 前記除振台が前記着座高さ位置よりもわずかに高い第1
    の高さ位置まで上昇するように前記少なくとも3つのア
    クチュエータに対して制御指令を与え、 前記少なくとも3つのアクチュエータのそれぞれの変位
    が同じ変位になったことを確認し、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に上
    昇させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記第1の高さ位置から前記最終目
    標高さ位置まで徐々に到達させ、 前記少なくとも3つのアクチュエータの変位を徐々に下
    降させる制御指令を当該アクチュエータに与えることに
    よって前記除振台を前記最終目標高さ位置から前記着座
    高さ位置まで徐々に到達させる制御手段を具えた除振台
    の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記アクチュエータは、空気ばねで
    ある請求項3または4記載の除振台の制御装置。
  6. 【請求項6】 除振台の振動を検出する振動検出手
    段と、入力された制御指令に応じて前記除振台を変位さ
    せるアクチュータと、前記振動検出手段で検出された検
    出振動に基づいて除振台下に対する除振台上の振動伝達
    率が所定のレベルになるように前記アクチュータに対し
    て制御指令を出力する振動制御手段とを具えた除振台の
    制御装置において、 前記振動制御手段は、 前記振動検出手段で検出された検出振動に基づいて前記
    除振台を並進させる方向の振動を除振するための第1の
    制御指令を出力する第1の振動制御手段と、 前記振動検出手段で検出された検出振動に基づいて前記
    除振台を回転させる方向の振動を制振するための第2の
    制御指令を出力する第2の振動制御手段と、 これら第1の制御指令と第2の制御指令を合成した制御
    指令を前記アクチュエータに対して出力する手段とから
    成り、さらに、 前記第1の振動制御手段で、 前記除振台の並進方向振動の高周波数における振動伝達
    率が所定のレベルよりも小さいレベルになる第1の制御
    指令を生成させ、 前記第2の振動制御手段で、 前記除振台の回転方向振動の共振周波数における振動伝
    達率が前記所定のレベルよりも小さいレベルになる第2
    の制御指令を生成させるようにした、 除振台の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記アクチュエータは、空気ばねで
    ある請求項6記載の除振台の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記振動検出手段は、前記除振台の
    変位を検出する変位検出手段である請求項6記載の除振
    台の制御装置。
  9. 【請求項9】 アクチュエータと制御対象と重み関
    数とからなるプラントモデルと、前記プラントモデルか
    ら出力される観測出力yを入力して制御入力uを前記プ
    ラントモデルに入力させる制御器とからなる制御系に対
    して、極配置制約を用いた混合H2/H∞制御を行う制御
    装置において、 前記制御対象を除振台とし、 前記アクチュエータを、制御入力uに応じて前記除振台
    を変位させるアクチュエータとし、 前記制御器を、前記除振台の振動を制御する制御器と
    し、 前記観測出力yを、前記除振台の変位を検出する変位検
    出手段の観測出力とし、 前記制御入力uを、前記除振台の振動を制御するための
    制御入力とし、 前記制御系の振動伝達特性が、高周波領域での大きさが
    所定レベルよりも小さくなり、かつ共振周波数領域での
    除振台下に対する除振台上の振動伝達率が所定レベルよ
    りも小さくなるように、前記極配置制約を用いた混合H
    2/H∞制御を行うようにした、 除振台の制御装置。
  10. 【請求項10】 前記アクチュエータは、空気ばねで
    ある請求項9記載の除振台の制御装置。
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WO2004083882A1 (ja) * 2003-03-18 2004-09-30 Riken 核磁気共鳴装置

Cited By (3)

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WO2004083882A1 (ja) * 2003-03-18 2004-09-30 Riken 核磁気共鳴装置
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