JPH10259851A - 能動除振装置 - Google Patents
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- JPH10259851A JPH10259851A JP9084706A JP8470697A JPH10259851A JP H10259851 A JPH10259851 A JP H10259851A JP 9084706 A JP9084706 A JP 9084706A JP 8470697 A JP8470697 A JP 8470697A JP H10259851 A JPH10259851 A JP H10259851A
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Abstract
影響を補償または除外して、除振装置のスピルオーバ現
象や性能劣化を回避する。 【解決手段】 アクチュエータと振動検出手段とを有
し、除振台を支持する除振マウントと、該振動検出手段
の出力に基づいてアクチュエータを駆動する制御手段と
を有する除振装置において、該制御手段は、該振動検出
手段の出力を高域周波数成分と低域周波数成分に分離
し、それぞれ異なる補償を施してアクチュエータを駆動
する。または、前記振動検出手段を前記除振マウント側
から切り離して除振台の側に固定する。
Description
気ばねやリニアモータなどのアクチュエ−タとを有し、
半導体露光装置等の精密機器の支持機構として使用され
る能動除振装置に関する。
器の高精度化に伴い、それらを搭載する精密除振装置の
高性能化が求められている。特に半導体露光装置におい
ては、適切かつ迅速な露光を行なうために、床などの装
置設置基礎からの振動をはじめとする外部からの振動を
極力除去した除振台が必要である。これは露光に悪影響
を及ぼす振動が、露光用ステージに発生しないようにし
なければならないからである。
間欠動作を特徴とする半導体露光装置では、露光用XY
ステージの繰り返しステップ動作が除振台の振動を励起
する。XYステージの駆動反力およびXYステージの荷
重移動が除振台の振動を励起してしまうのである。した
がって除振台には、床などの装置設置基礎からの振動を
はじめとする外部振動に対する除振性能と、除振台に搭
載された機器の動作によって発生する振動に対する制振
性能とをバランスよく実現することが求められる。
として、スキャン露光方式を採用した半導体露光装置も
あるが、この装置においても、装置設置基礎からの振動
等、外部から伝達する振動を極力除去するとともに、露
光用ステージのスキャン動作により励起される除振台の
振動を瞬時に制振する必要がある。特にスキャン露光装
置では、露光用ステージがスキャン動作をしている状態
で露光を行なうため、外部振動に対する除振性能および
除振台に搭載された機器の動作によって発生する振動に
対する制振性能、それぞれへの要求は厳しく、一段と高
性能な除振装置が不可欠なものとなっている。
台の振動をセンサで検出し、その出力信号を補償して除
振台に制御力を加えるアクチュエータにフィードバック
することにより能動的に除振台の振動制御を行なう、能
動除振装置が実用化されている。能動除振装置は、ば
ね、ダンパなどで構成された受動的な除振装置では困難
であった、除振性能と制振性能のバランスのとれた実現
を可能にする。
上に配置された振動センサと、それと最も近くに配置さ
れたアクチュエータの組ごとに、独立に制御ループを構
成して振動や位置・姿勢制御を行なうものが一般的であ
った。つまり除振台の各部に独立な制御ループを構成す
る方式がとられてきた。図8は従来の能動除振装置の構
成を示す。XYステージなどの精密機器を搭載する除振
台1は除振マウント2によって支持されている。通常、
除振マウントは複数台を用いて除振台1を支持する。例
えば除振台1が四辺形の形状であれば、除振マウントは
除振台1の四隅にそれぞれ配置する。図8ではそのうち
の1台の除振マウント2のみを図示している。
とおりである。除振マウント2は図8では不図示の機械
ばねや空気ばねなどによって除振台1を浮上支持し、除
振台1を設置床の振動から絶縁している。除振台1に締
結ボルト31で締結されており除振台1とともに浮上す
るのが浮上部32、設置床上に置かれるのがベース部3
3である。除振台1の鉛直方向加速度を計測するための
鉛直方向加速度センサ34および除振台1の水平方向加
速度を計測するための水平方向加速度センサ3は浮上部
32に固定されている。そして、除振台1へ鉛直方向に
駆動力を作用させる鉛直方向アクチュエ−タ21、除振
台1へ水平方向に駆動力を作用させる水平方向アクチュ
エ−タ22はベース部33と浮上部32との間に取付け
られている。これらの構成要素のほかにも、実際の除振
マウント2は、粘性部材など不図示の機構を含むもので
ある。しかし、図8は能動除振装置の構成の概念図であ
り、能動的に振動制御を行なうための代表的な構成要素
のみを図示している。複数台の除振マウントで除振台1
を支持する場合であっても、それぞれの除振マウント
は、図8に示した除振マウント2と同一な構成である。
振動を能動的に抑制するための制御系構成について説明
する。能動除振装置の制御系構成としては様々なものが
提案されている。最も代表的な構成は、除振台1に生じ
る振動の加速度を測定し、加速度の積分である速度に比
例した力を除振台1に作用させることによって、除振台
1にダンピングを付与するものである。図8はこのよう
な制御系構成を示している。鉛直方向加速度センサ34
の計測信号を符号反転器35で符号反転し、それに加速
度補償器36を作用させた補償値を電力増幅器10へ入
力する。電力増幅器10は入力信号に応じて鉛直方向ア
クチュエ−タ21を駆動し、除振台1へ鉛直方向駆動力
を作用させる。このように鉛直方向加速度を負帰還する
ことによって、除振台1に鉛直方向ダンピングを付与し
ている。なお、鉛直方向アクチュエ−タ21がボイスコ
イルモータの場合、加速度信号を速度信号へ変換するた
め加速度補償器36は積分動作となり、また、鉛直方向
アクチュエ−タ21が空気ばねの場合、アクチュエ−タ
自身に積分特性があるので加速度補償器36は比例動作
となる。水平方向についても全く同様である。水平方向
加速度センサ3の計測信号を符号反転器35で符号反転
し、それに加速度補償器36を作用させた補償値を電力
増幅器10へ入力する。電力増幅器10は入力信号に応
じて水平方向アクチュエ−タ22を駆動し、除振台1へ
水平方向駆動力を作用させる。このように水平方向加速
度を負帰還することによって、除振台1に水平方向ダン
ピングを付与している。なお、水平方向アクチュエ−タ
22がボイスコイルモータの場合、加速度信号を速度信
号へ変換するため加速度補償器36は積分動作となり、
また、水平方向アクチュエ−タ22が空気ばねの場合、
アクチュエ−タ自身に積分特性があるので加速度補償器
36は比例動作となる。複数台の除振マウントで除振台
1を支持する場合であっても、それぞれの除振マウント
の制御系構成は、図8に示した除振マウント2の場合と
同様な構成である。
置は、除振台各部に構成された制御ループ中のパラメー
タと除振台の並進、回転などの各運動モードの挙動が一
対一には対応しない。そのために、制御系の安定性や制
御性能に留意して制御パラメータの設計および調整を見
通しよく行なうことが容易ではなかった。この方式で
は、除振台各部に独立に構成された制御系が相互に干渉
するために、制御パラメータを調整して除振装置の運動
特性を任意調整し、振動制御性能を向上させることが困
難であったのである。
4−299086(特開平6−181158参照)[除
振台の制御装置]や特開平7−83276[鉛直方向空
気ばね式除振台の制御装置]のように、除振台の並進、
回転などの各運動モードごとに振動制御を行なう除振装
置およびその制御方法が提案され、その有効性が確認さ
れている。これらの装置および方法で採用された制御系
は、前述した図8の制御系構成が除振マウント2が支持
している部位の、言い換えれば除振台1の局所的部位の
振動に着目しているのに対して、運動モード別制御は除
振台1の大局的な剛体振動に着目するものである。以下
に運動モード別制御の概略を説明する。
振装置の構成例を図9に示す。この除振装置は、加速度
センサ等の振動センサ3a,3b,3cの出力から除振
台1の並進、回転などの各運動モードの情報を運動モー
ド抽出回路6で抽出し、補償演算手段7で各運動モード
ごとに補償演算を行なう。そして、得られた各運動モー
ドごとの補償信号を、推力分配回路8を用いて能動除振
マウント2a,2b,2c,2dに備えられた除振台1
に制御力を加えるアクチュエータに分配する。能動除振
マウント2a,2b,2c,2dに備えられたアクチュ
エータは、推力分配回路8の出力信号にもとづき、駆動
回路10a,10b.10c.10dにより駆動され
る。
台各部の個々の制御ループごとに試行錯誤に大きく依存
して行なわれていた制御パラメータの設計および調整
を、除振台の運動モード、つまり、除振台全体の運動特
性に着目して行なうことができる。そのために、除振装
置の制御パラメータの調整、設計を容易かつ合理的に行
なうことができる。
例を示す。直方体形状に略記した除振台1の四隅を4台
の除振マウント2a,2b,2c,2dが支持してい
る。除振マウント2a,2b,2c,2dの構成はそれ
ぞれで同一であり、要素番号に記号a,b,c,dを付
記することにより4台を区別している。除振マウント2
aは鉛直方向加速度センサ34a、水平方向加速度セン
サ3a、鉛直方向アクチュエ−タ21a、水平方向アク
チュエ−タ22aから構成されている。XYZ直交座標
系は除振台1の重心Gを原点として、各軸を直方体形状
の除振台1の辺と平行に、またZ軸を鉛直方向に一致さ
せて除振台1に固定されている。すると、除振台1の運
動は、X軸方向並進運動x、Y軸方向並進運動y、Z軸
方向並進運動z、X軸まわり回転運動θx、Y軸まわり
回転運動θy、Z軸まわり回転運動θzの6自由度運動
として記述することができる。6自由度の運動モードご
とに加速度の負帰還を行ない除振台1へダンピングを付
与するのが図10の運動モード別制御である。
ンサ34a,34b,34c,34dと水平方向加速度
センサ3a,3b,3c,3dの計測信号から運動モー
ドごとの加速度、すなわちX軸方向並進加速度Ax、Y
軸方向並進加速度Ay、Z軸方向並進加速度Az、X軸
まわり角加速度Aθx、Y軸まわり角加速度Aθy、Z
軸まわり角加速度Aθzを演算し出力する装置である。
そして、これら運動モードごとの加速度を符号反転器3
5で符号反転し、さらに加速度補償器36を作用させ、
運動モードごとの補償値を生成する。運動モード分配装
置8はこれら補償値を入力として、鉛直方向アクチュエ
−タ21a,21b,21c,21d、水平方向アクチ
ュエ−タ22a,22b,22c,22dそれぞれへの
駆動指令を生成し、電力増幅器10に入力する。運動モ
ード分配装置8の動作は、加速度補償器36によって生
成した運動モードごとの除振台1への駆動力を、鉛直方
向アクチュエ−タ21a,21b,21c,21d、水
平方向アクチュエ−タ22a,22b,22c,22d
それぞれが発生する駆動力の合力として除振台1へ作用
させるように、鉛直方向アクチュエ−タ21a,21
b,21c,21d、水平方向アクチュエ−タ22a,
22b,22c,22dそれぞれへの駆動指令を生成す
ることである。電力増幅器10は入力信号に応じて鉛直
方向アクチュエ−タ21a,21b,21c,21d、
水平方向アクチュエ−タ22a,22b,22c,22
dを駆動し、除振台1へ駆動力を作用させる。このよう
に、運動モード別制御では運動モードごとに加速度を負
帰還して除振台1へダンピングを付与し、除振台1に生
じる振動を抑制している。なお、鉛直方向アクチュエ−
タ21a,21b,21c,21d、水平方向アクチュ
エ−タ22a,22b,22c,22dがボイスコイル
モータの場合、加速度信号を速度信号へ変換するため加
速度補償器36は積分動作となり、また、空気ばねの場
合、アクチュエ−タ自身に積分特性があるので加速度補
償器36は比例動作となる。
2dの配置について述べておくと、まず鉛直方向につい
ては、鉛直方向加速度センサ34a,34b,34c,
34dと鉛直方向アクチュエ−タ21a,21b,21
c,21dの方向はZ軸方向に一致している。水平方向
については、除振マウント2a,2cの水平方向加速度
センサ3a,3cと水平方向アクチュエ−タ22a,2
2cの方向はX軸と一致し、除振マウント2b,2dの
水平方向加速度センサ3b,3dと水平方向アクチュエ
−タ22b,22dの方向はY軸と一致するように除振
マウント2a,2b,2c,2dを配置している。これ
は、除振台1の6自由度運動モードの全てが鉛直方向加
速度センサ34a,34b,34c,34d、水平方向
加速度センサ3a,3b,3c,3dによって可観測と
するため、また鉛直方向アクチュエ−タ21a,22
b,22c,22d、水平方向アクチュエ−タ22a,
22b,22c,22dによって可制御とするためであ
ることはいうまでもない。
モードごとに制御する方法では、除振台の各運動モード
の挙動が十分な精度で捉えられ、各運動モードの駆動指
令信号に対応して各アクチュエータに正しく推力が分配
されなければならない。しかしながら、実際の能動除振
装置では、除振装置を除振台や被除振構造物に取付ける
際の空間的、機構的制約などから、振動センサ、アクチ
ュエータの取り付け部の剛性や除振台への除振マウント
の締結剛性を十分に確保できない場合があり、除振台周
辺各部で様々な局所的振動が発生することがある。
通常、除振台の剛体運動モード、あるいは、剛体運動モ
ードと、比較的低周波数領域に固有振動数を有するいく
つかの変形運動モードに着目して制御を行なう。しか
し、振動センサ、アクチュエータ周辺や除振台自体に比
較的高い周波数領域に固有振動数を有する局所的な変形
運動モードの振動が存在すると、それらの振動の影響で
除振台の各運動モードの振動信号を正しく抽出できなか
ったり、各運動モードの補償信号に対応して推力を正し
く分配できないなどの状況が発生する。このような状況
で、低周波数領域に固有振動数を有する剛体運動モード
を主たる対象として制御を行なうと、卓越した高周波数
の局所的振動が制御性能に悪影響を及ぼし、最悪の場
合、スピルオーバ不安定を起こして除振台に非常に大き
な振動をひきおこす危険がある。
出したり、より多くの運動モードの補償信号に対応して
推力を正しく分配することができるだけの台数の振動セ
ンサ、アクチュエータを用いれば、適切な補償演算処理
を施して制御を行なうことにより、上記のような危険を
回避することができる。しかし、産業機器ではコストダ
ウンの観点から、あまり多くの振動センサ、アクチュエ
ータを用いることは現実的ではない。
のもので、除振台を運動モードごとに制御する能動除振
装置において、除振台各部で様々な局所的振動が発生す
る場合でも、安定かつ良好な振動制御動作を実現する装
置を提供することを第1の課題とする。
である除振台の振動を加速度センサで計測し、計測信号
に応じてアクチュエ−タを駆動することにより除振台に
生じる振動を制御する。ところで、従来では、図8に図
示したように、加速度センサは除振マウント2の浮上部
32に固定されていた。浮上部32は締結ボルト31に
よって除振台1に締結されているから、理想的には除振
台1の振動と浮上部32との振動は一致して、浮上部3
2に固定した加速度センサによって除振台1の振動を問
題なく計測できるはずである。しかし、実際には除振台
1の振動と浮上部32との振動は一致しない。浮上部3
2に固定した加速度センサの計測信号には、除振台1の
振動のみならず、除振台1には生じていない、浮上部3
2の固有振動をも含んでしまう。しかも、浮上部32の
固有振動は、除振台1の振動に比較して、加速度の大き
さでみると無視できないものである場合が多い。
部32の機構的な剛性の低さに起因している。半導体露
光装置においては、露光用XYステージや照明系などの
精密機器を搭載する除振台1は質量、剛性とも十分に大
きなものである。これに対して、浮上部32は肉厚が薄
く除振台1に比べれば剛性ははるかに低い。また、締結
ボルト31で浮上部32を除振台1に締結している部位
の締結剛性も問題となる。図8のように、浮上部32は
締結ボルト31によっていわば片持ちはりのような状態
で除振台に締結されているから、締結剛性が低いと、浮
上部32に締結部を中心とした振動が生じてしまう。浮
上部32の肉厚を、十分な剛性を確保できるほど厚くす
ることは、除振マウント2の巨大化、肥大化を招くため
現実的でない。また、締結部の締結剛性も無限に上げら
れるわけではなく、あるレベルに制約されることが多
い。よって、浮上部32に固有振動が生じ、本来の計測
対象である除振台1の振動と一致しなくなるという問題
は、現実上避けられないのである。
部32の固有振動が含まれると、能動除振装置の性能は
大きく損なわれてしまう。図8に示したように、能動除
振装置の代表的な制御系構成は、加速度を負帰還して除
振台1へダンピングを付与するというものである。加速
度センサが固定されている浮上部32の振動が制御対象
である除振台1の振動と一致していなければ、除振台1
へ正しくダンピングを付与することはできない。さら
に、浮上部32は除振台1と比べて質量が桁違いに小さ
いのが一般的であるため、浮上部32の固有振動は、そ
の共振点における加速度の大きさでみると、除振台1の
振動に比べて卓越したものとなってしまう。このため、
加速度センサの計測信号にローパスフィルタとローカッ
トフィルタなどからなるバンドパスフィルタを作用させ
ても、浮上部32の固有振動に起因する成分を完全に取
り去ることは困難である場合が多い。加速度の負帰還ル
ープ中に、浮上部32大きな共振点が存在しては、制御
帯域を十分に上げられず、能動除振装置の性能を十分に
発揮することはできない。無理に制御帯域を上げようと
すると、浮上部32の共振点が励起されて制御系が不安
定になってしまう、いわゆるスピルオーバ現象が発生し
てしまう。
は、浮上部32に固有振動が存在することにより、運動
モード別制御が正しく実現されないという不都合が生じ
る。運動モード別制御では除振台1の6自由度運動モー
ドごとの加速度Ax ,Ay ,Az ,Aθx ,Aθy ,A
θz を、それぞれの加速度センサの計測信号を入力とし
た演算によって生成しているから、加速度センサの計測
信号に除振台1の振動以外の成分が含まれていては、前
述の運動モード抽出演算が正しく行なわれないのであ
る。すなわち運動モードごとに加速度を負帰還するとい
う制御系構成が崩れてしまう。これでは、能動除振装置
がもっている制振、除振性能を十分に引き出すことがで
きない。このような能動除振装置の性能劣化は、半導体
露光装置においては装置性能の劣化に直結してしまう。
たものである。すなわち、本発明の第2の課題は、浮上
部の固有振動など、支持対象である除振台以外の振動成
分を加速度センサの計測信号に含まず、前述のスピルオ
ーバ現象や性能劣化を回避することができるような除振
装置を提供することにある。
るために本発明の第1の局面に係る除振装置は、精密機
器を搭載する除振台と、前記除振台を支持する防振支持
機構と、前記除振台に制御力を加える複数のアクチュエ
ータと、前記除振台の振動を検出する複数の振動検出手
段と、前記振動検出手段の出力信号のうち予め定められ
た周波数より低い周波数成分のみを通過させるローパス
フィルタと、前記振動検出手段の出力信号のうち予め定
められた周波数より高い周波数成分のみを通過させるハ
イパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号と
して得られる前記振動検出手段の出力信号のうち予め定
められた周波数より低い周波数成分の抽出信号に基づき
前記除振台の並進、回転などの各運動モードの振動信号
を抽出する運動モード抽出手段と、前記運動モード抽出
手段の出力信号を適切に補償する第1の補償演算手段
と、前記第1の補償演算手段によって得られた各運動モ
ードの補償信号を複数の前記アクチュエータの駆動指令
信号として分配する推力分配手段と、前記ハイパスフィ
ルタの出力信号を補償する第2の補償演算手段と、前記
推力分配手段と前記第2の補償演算手段双方の出力信号
を加算して前記アクチュエータにフィードバックする手
段とを備える。
フィルタのカットオフ周波数は、除振台のすべての剛体
運動モードの固有振動数より高いものであることが望ま
しい。また、前記アクチュエータは、ボイスコイルモー
タなどの電磁駆動のリニアモータ、または、空気圧制御
式アクチュエータ、または、それらの双方を併用したも
のを用いることができる。特に空気圧制御式アクチュエ
ータを用いる場合またはこれと他のアクチュエータを用
いる場合は、その空気圧制御式アクチュエータで前記防
振支持機構を兼ねることができる。すなわち空気圧制御
式アクチュエータ以外の防振支持機構を省略することが
できる。さらに、前記振動検出手段としては加速度セン
サを用いることができる。
第2の局面では、除振台と、加速度センサおよびアクチ
ュエ−タを有し前記除振台を支持する能動除振マウント
と、前記加速度センサの計測信号に応じて前記アクチュ
エ−タを駆動する制御手段とを備えた除振装置におい
て、前記加速度センサが前記除振台に固定されているこ
とを特徴とする。または、除振台と、鉛直方向加速度セ
ンサ、水平方向加速度センサ、鉛直方向アクチュエ−タ
および水平方向アクチュエ−タを有し前記除振台を支持
する能動除振マウントと、前記鉛直方向加速度センサお
よび前記水平方向加速度センサの計測信号に応じて前記
鉛直方向アクチュエ−タおよび前記水平方向アクチュエ
−タを駆動する制御手段とを具備する能動除振装置にお
いて、前記鉛直方向加速度センサおよび前記水平方向加
速度センサが前記除振台に固定されていることを特徴と
する。この第2の局面に係る発明は、前記加速度センサ
の計測信号から加速度に関する運動モードを抽出する運
動モード抽出手段と、前記運動モード抽出装置の出力に
補償を施した補償信号から前記アクチュエ−タへの駆動
指令を生成する運動モード分配手段とを有する制御手段
を備えた除振装置にも適用可能である。
構で支持された精密機器搭載用の除振台の振動を複数の
振動検出手段で検出し、前記振動検出手段の出力信号の
うち予め定められた周波数より低い周波数成分をローパ
スフィルタで抽出するとともに、前記振動検出手段の出
力信号のうち予め定められた周波数より高い周波数成分
をハイパスフィルタで抽出する。そして、前記ローパス
フィルタの出力信号として得られる前記振動検出手段の
出力信号のうち予め定められた周波数より低い周波数成
分の抽出信号に基づき前記除振台の並進、回転などの各
運動モードの振動信号を抽出し、抽出された各運動モー
ドの信号を適切に補償し、得られた各運動モードの補償
信号を除振台に制御力を加える複数のアクチュエータの
駆動指令信号として分配するとともに、前記ハイパスフ
ィルタの出力信号を適切に補償し、前記の各運動モード
の補償信号の分配信号と前記ハイパスフィルタの出力信
号の補償信号とを加算して前記除振台に制御力を加える
アクチュエータにフィードバックする。
支持対象である除振台に固定されている。よって、浮上
部など除振装置中の機構の固有振動は、加速度センサの
計測信号に含まれない。したがって、加速度センサは、
除振台に生じている振動のみを精度よく計測する。すな
わち、この第2の局面による除振装置では、加速度の負
帰還ループ中から浮上部の共振などに代表される構造物
の高次共振を排除することができる。よって、制御帯域
を十分に上げることができ、除振装置の性能が十分に発
揮されて、除振台の振動抑制を良好におこなうことが可
能となる。
象を回避できるため、制御系の安定性が飛躍的に向上す
る。また、第2の局面による除振装置では、除振装置に
高剛性を要求しない。浮上部の肉厚を剛性確保のために
厚くする必要はないので、除振装置の軽量化が可能とな
る。また、除振装置を除振台へ締結する部位の締結剛性
を高める必要はないから、除振装置の設置作業およびメ
ンテナンス作業も簡略化される。
速度センサの計測信号を入力とした演算によって生成し
ている除振台の運動モードごとの加速度は精度のよいも
のとなり、運動モード別制御が好適に行なわれる。浮上
部など除振装置中の機構に固有振動が存在しても、運動
モード別制御が崩れるような不都合は生じない。
る。実施例1 図1は、本発明の第1の実施例に係る能動除振装置の構
成を示す。なお、本実施例では、水平方向に作用する除
振装置を例にとって説明するが、鉛直方向に作用する能
動除振装置に対して、以下に詳述する手段を適用しても
よい。また、本実施例では、水平面内3自由度の運動、
つまり、水平並進2自由度と鉛直軸まわり回転1自由度
の制御を行なう装置を説明するが、これに残りの3自由
度の剛体運動モード、つまり、鉛直並進1自由度、水平
軸まわり回転2自由度の制御を行なう装置を組合わせて
もよい。
どの精密機器を搭載する除振台1と、それを防振支持す
る支持手段と除振台1に能動的な制御力を加えるアクチ
ュエータとを備えた能動除振マウント2a,2b,2
c,2d、除振台の振動を検出する振動検出手段3a,
3b,3c,3d、振動検出手段3a,3b,3cの出
力信号のうち予め定められた周波数より低い周波数成分
を通過させるローパスフィルタ4、振動検出手段3a,
3b,3c,3dの出力信号のうち予め定められた周波
数より高い周波数成分を通過させるハイパスフィルタ
5、ローパスフィルタ4の出力として得られる振動検出
手段3a,3b,3cの出力信号のうち予め定められた
周波数より低い周波数成分の信号から除振台1の並進、
回転などの各運動モードの振動信号を抽出する運動モー
ド抽出回路6、運動モード抽出回路6で抽出した除振台
1の各運動モードの振動信号に適切な補償演算処理を施
す第1の補償演算手段7、補償演算手段7の出力として
得られた各運動モードの推力指令信号、モーメント指令
信号を能動除振マウント2a,2b,2c,2dに対応
させて分配演算処理する推力分配回路8、ハイパスフィ
ルタ5の出力として得られる振動検出手段3a,3b,
3c,3dの出力信号のうち予め定められた周波数より
高い周波数成分の信号に適切な補償演算処理を施す第2
の補償演算手段9、推力分配回路8と補償演算手段9の
出力信号を加算した信号に基づいて能動除振マウント2
a,2b,2c,2dに組み込まれたアクチュエータの
駆動を行なう駆動回路10a,10b,10c,10d
などにより構成される。
タ5のカットオフ周波数は、除振台1のすべての剛体運
動モードの固有振動数より高いものであることが望まし
い。
は、除振台1を防振支持するばね、ダンパ要素、除振台
1に能動的な制御力を加えるアクチュエータ等を備えた
ものである。
c,2dの構成例を示したものである。同図中に符号2
を付けて示す装置が能動除振マウントである。
2d)は、除振台1に鉛直方向の制御力を加える鉛直ア
クチュエータ21、除振台1に水平方向の制御力を加え
る水平アクチュエータ22、除振台1を鉛直方向に防振
支持する鉛直支持手段23、除振台1を水平方向に防振
支持する水平支持手段24などを備える。
ータ22には、ボイスコイルモータなどの電磁駆動のリ
ニアモータ、空気ばねの内部圧力をそれへの空気の給排
気を調整するバルブによって制御する空気圧制御式アク
チュエータ、あるいはそれらを併用したものなどを用い
ることができる。鉛直アクチュエータ21、水平アクチ
ュエータ22として、前記のような空気ばねを使用した
空気圧制御式アクチュエータを用いる場合は、これを鉛
直支持手段23、水平支持手段24と兼ねることができ
る。
は、加速度センサを用いることができる。振動検出手段
3a,3b,3c,3dは、それぞれ能動除振マウント
2a,2b,2c,2dに近接して配置するあるいは、
内蔵することが望ましい。
すなわち、能動除振マウント2a,2b,2c,2dに
より防振支持された除振台1の振動を、加速度センサな
どの振動検出手段3a,3b,3c,3dで検出する。
そして、ローパスフィルタ4で振動検出手段3a,3
b,3cの出力信号のうち予め定められた周波数より低
い周波数成分を、ハイパスフィルタ5で振動検出手段3
a,3b,3c,3dの出力信号のうち予め定められた
周波数より高い周波数成分をそれぞれ抽出する。
ローパスフィルタ4の出力として得られる、振動検出手
段3a,3b,3cの出力信号のうち予め定められた周
波数より低い周波数成分の信号から、除振台1の並進、
回転などの各運動モードの振動信号を抽出し、第1の補
償演算手段7において運動モード抽出回路6で抽出した
除振台1の各運動モードの振動信号に適切な補償演算処
理を施す。補償演算手段7の出力として得られた各運動
モードの推力指令信号、モーメント指令信号は、推力分
配回路8で能動除振マウント2a,2b,2c,2dに
対応した信号として分配演算処理される。
られる振動検出手段3a,3b,3c,3dの出力信号
のうち予め定められた周波数より高い周波数成分の信号
には、第2の補償演算手段9において適切に補償演算処
理を施す。
c,2dに対応した信号として分配演算処理された推力
分配回路8の出力と補償演算手段9の出力信号を加算し
た信号に基づき、駆動回路10a,10b,10c,1
0dを用いて能動除振マウント2a,2b,2c,2d
に組み込まれたアクチュエータの駆動を行なう。
ルタ4は振動検出手段3a,3b,3cの出力信号に対
して処理を行ない、振動検出手段3dの出力信号には処
理を行なわない。これは、前述のとおり本実施例におけ
る除振装置は除振台1の水平面内3自由度の運動を制御
するものであり、これら3自由度の運動モードの信号、
すなわち水平並進2自由度、鉛直軸まわり回転1自由度
の信号は、最低3台の振動検出手段の出力信号から抽出
できるためである。もちろん、ローパスフィルタ4で振
動検出手段3dの出力信号も処理し、運動モード抽出回
路6は、振動検出手段3a,3b,3c,3dの出力信
号のうち予め定められた周波数より低い周波数成分の信
号から除振台1の各運動モードの信号を抽出するもので
あってもよい。
dの出力信号に対して直流成分除去フィルタ、ローパス
フィルタ、バンドパスフィルタなどの信号処理手段を用
いて補償演算の前処理を施す方法は、この種の装置を制
御する際に一般的に用いられる。図1ではこのようなフ
ィルタを省略したが、振動検出手段3a,3b,3c,
3dの出力信号をこのようなフィルタで処理し、その信
号を本実施例のローパスフィルタ4およびハイパスフィ
ルタ5で処理する構成とした装置も、本発明に含まれる
ことはいうまでもない。
路8における演算処理について説明する。運動モード抽
出回路6で行なう運動モード抽出の演算式、および推力
分配回路8の演算式は、振動検出手段3a,3b,3
c、能動除振マウント2a,2b,2c,2dの幾何的
な配置関係などに基づいて決定される。
図3のように配置されていたとする。このとき振動検出
手段の振動検出方向が同図の振動検出手段3a,3b,
3cに付した矢印の向きであるとすると、それらの検出
する振動信号α1 ,α2 ,α3 は、除振台1の直交する
水平2方向X,Yの並進振動成分αx ,αy と、水平面
に直行する鉛直軸まわりθz の回転振動成分αθとによ
り式(1)のように表される。ここで、座標系の原点O
と振動検出手段3a,3b,3cとの位置関係は図3に
示したとおりであるとする。
の逆行列演算、
b,3cの出力信号から、除振台1の水平面内の並進、
回転の各運動モードの振動信号を抽出する演算式を示し
たが、同様の考え方で、鉛直並進、水平軸まわり回転の
各運動モードの振動信号を抽出する演算式や、剛体6自
由度の運動モードの振動信号を抽出する演算式を導出す
ることができる。
気ばね式除振台の制御装置」では、4台のセンサ出力か
ら、前述したような剛体運動モードの振動成分に加え
て、装置本体の非剛体振動成分をも導出する方法が開示
されているが、本実施例における装置でも同様の演算を
行なってもよい。また、ここでは、座標系の原点Oと各
振動検出手段の検出軸との距離は図3に示すように1で
あるとしたが、勿論それ以外の場合でも、同様に導出で
きる。
振マウント2a,2b,2c,2dに組み込まれたアク
チュエータの幾何的な配置関係によって決定される。
c,2dが図4のように配置されていたとする。このと
き、能動除振マウント2a,2b,2c,2dそれぞれ
に組み込まれた、除振台1に制御力を加えるアクチュエ
ータ22a,22b,22c,22dの作用方向が同図
中のアクチュエータの矢印の向きであるとすると、それ
ぞれのアクチュエータの発生推力Fa ,Fb ,Fc ,F
d と、それらの合力が除振台1の重心Gに作用する、直
交する水平2方向X,Yの推力Fx ,Fy と、鉛直軸ま
わりθz のモーメントMz との関係は式(4)のように
なる。
軸まわりθz のモーメントMz の指令信号を、アクチュ
エータ22a,22b,22c,22d、すなわち能動
除振マウント2a,2b,2c,2dに組み込まれた各
アクチュエータに分配することができる。なお、ここで
は、除振台1の重心Gと各アクチュエータ22a,22
b,22c,22dの作用軸との距離は図4のように1
であるとしたが、勿論それ以外の場合でも、同様にして
演算式を導出できる。
演算手段9における演算処理について説明する。第1の
補償演算手段7においては、運動モード抽出回路6で抽
出した除振台1の各運動モードの振動信号ごとに補償演
算を行なう。補償演算としては、PI補償(比例・積分
補償)、ゲイン補償、積分補償、またはそれらを適宜組
み合わせたものなどを適用する。なお、能動除振マウン
ト2a,2b,2c,2dの配置や除振台1の重心位置
などによっては、各運動モード相互の連成が起こりうる
が、そのような場合は、それら連成振動を考慮し、図5
に示すような各運動モード相互に干渉項を有する補償演
算を行なうことができる。図5は一例として、並進Xの
モードと回転θz のモードが連成するとし、これを考慮
した補償演算手段を示したものである。
の運動モードごとに補償演算を行なうことにより、除振
台1の剛体運動モードなどの比較的低周波数領域に固有
振動数を有する運動モードの振動特性の任意調整を実現
する。
出手段3a,3b,3c,3dが配置された除振台1各
部の振動に着目して補償演算を行なう。補償演算として
は、PI補償(比例・積分補償)、ゲイン補償、積分補
償、またはそれらを適宜組み合わせたものなどを適用す
る。
段では捉えられない、除振台1周辺各部の比較的高周波
数領域に固有振動数を有する局所的な振動モードに作用
する。これにより高周波数の卓越した局所的振動を抑制
し、良好な振動制御性能を実現する。
置において、装置剛性の不足などから除振台各部で様々
な卓越した局所的振動が発生すると、制御性能に悪影響
を及ぼし、最悪の場合、スピルオーバ不安定を起こして
除振台に非常に大きな振動をひきおこす。
方法を適用することにより、除振台を運動モードごとに
制御する除振装置において、除振台各部で様々な局所的
振動が発生する場合でも、安定かつ良好な動作を実現す
る。
する除振装置を例にとって説明したが、同様の手段を鉛
直方向に作用する能動除振装置に対して適用してもよ
い。また、本実施例では、水平面内3自由度の運動、つ
まり、水平並進2自由度と鉛直軸まわり回転1自由度の
制御を行なう装置を説明したが、これに残りの3自由度
の剛体運動モード、つまり、鉛直並進1自由度、水平軸
まわり回転2自由度の制御を行なう装置を組合わせても
よい。
の運動の制御だけでなく、並進、回転各3自由度をあわ
せた6自由度の運動モードを本実施例で開示した装置と
同様に制御する装置および方法も本発明に含まれること
は言うまでもない。
する。図6は本発明の第2の実施例に係る除振装置を示
す。XYステージなどの精密機器を搭載する除振台1は
除振マウント2によって支持されている。除振マウント
は複数台を用いて除振台1を支持するのが通常であり、
例えば除振台1が四辺形の形状であれば、除振マウント
は除振台1の4隅にそれぞれ配置する。図6ではそのう
ちの1台の除振マウント2のみを図示している。
ようである。除振マウント2は不図示の機械ばねや空気
ばねなどによって除振台1を浮上支持し、除振台1を設
置床の振動から絶縁している。除振台1に締結ボルト3
1で締結されており、除振台1とともに浮上するのが浮
上部32、設置床上に置かれるのがベース部33であ
る。除振台1の鉛直方向加速度を計測するための鉛直方
向加速度センサ34、除振台1の水平方向加速度を計測
するための水平方向加速度センサ3は除振台1に固定さ
れている。そして、除振台1へ鉛直方向に駆動力を作用
させる鉛直方向アクチュエータ21、除振台1へ水平方
向に駆動力を作用させる水平方向アクチュエータ22は
ベース部33と浮上部32との間に取付けられている。
これらの構成要素のほかにも、実際の除振マウント2
は、粘性部材など不図示の機構を含むものであるが、図
6は能動除振装置の構成の概念図であり、能動的に振動
制御を行なうための代表的な構成要素のみを図示してい
る。複数台の除振装置で除振台1を支持する場合であっ
ても、それぞれの除振装置は、図6に示した除振マウン
ト2と同一な構成である。
除振台1の鉛直方向加速度を計測するための鉛直方向加
速度センサ34、除振台1の水平方向加速度を計測する
ための水平方向加速度センサ3を、支持対象である除振
台1に固定していることである。この固定場所は、除振
台1において、除振マウント2により支持されている支
持部位のできるだけ近くであることが好ましい。
振動を能動的に抑制するための制御系構成について説明
する。図6は除振台1に生じる振動の速度を測定し、速
度に比例した力を除振台1に作用させることによって、
除振台1にダンピングを付与するような制御系構成を示
している。鉛直方向加速度センサ34の計測信号を符号
反転器35で符号反転し、それに加速度補償器36を作
用させた補償値を電力増幅器10へ入力する。電力増幅
器10は入力信号に応じて鉛直方向アクチュエータ21
を駆動し、除振台1へ鉛直方向駆動力を作用させる。こ
のように鉛直方向加速度を負帰還することによって、除
振台1に鉛直方向ダンピングを付与している。なお、鉛
直方向アクチュエータ21がボイスコイルモータの場
合、加速度信号を速度信号へ変換するため加速度補償器
36は積分動作となり、また、鉛直方向アクチュエータ
21が空気ばねの場合、アクチュエータ自身に積分特性
があるので加速度補償器36は比例動作となる。水平方
向についても全く同様である。水平方向加速度センサ3
の計測信号を符号反転器35で符号反転し、それに加速
度補償器36を作用させた補償値を電力増幅器10へ入
力する。電力増幅器10は入力信号に応じて水平方向ア
クチュエータ22を駆動し、除振台1へ水平方向駆動力
を作用させる。このように水平方向加速度を負帰還する
ことによって、除振台1に水平方向ダンピングを付与し
ている。なお、水平方向アクチュエータ22がボイスコ
イルモータの場合、加速度信号を速度信号へ変換するた
め加速度補償器36は積分動作となり、また、水平方向
アクチュエータ22が空気ばねの場合、アクチュエータ
自身に積分特性があるので加速度補償器36は比例動作
となる。複数台の除振装置で除振台1を支持する場合で
あっても、それぞれの除振装置の制御系構成は、図6に
示した除振マウント2の場合と同様な構成である。
方向加速度センサ34、水平方向加速度センサ3は支持
対象である除振台1に固定されている。よって、
浮上部32の固有振動に起因する成分は、鉛直方向加速
度センサ34、水平方向加速度センサ3の計測信号中に
含まれないのである。なぜなら、浮上部32は除振台1
と比べて質量が桁違いに小さいのが一般的であるため、
浮上部32に固有振動が生じても、質量が桁違いに大き
い除振台1に振動が伝わるほどの振動エネルギがないか
らである。このように、鉛直方向加速度センサ34、水
平方向加速度センサ3を除振台1に固定することによっ
て支持対象である除振台1に生じている振動のみを精度
よく計測することができるのである。
中から浮上部32の共振に代表される構造物の高次共振
を排除することができる。よって、制御帯域を十分に上
げることができ、能動除振装置の性能が十分に発揮され
て、除振台1の振動抑制を良好に行なうことが可能とな
る。また、高次共振に起因するスピルオーバ現象を回避
できるため、制御系の安定性が飛躍的に向上する。
マウント2に高剛性を要求しない。浮上部32の肉厚を
剛性確保のために厚くする必要はないので、除振マウン
ト2の軽量化が可能となる。また、除振マウント2を除
振台1へ締結する部位の締結剛性を高める必要はないか
ら、除振マウント2の設置作業およびメンテナンス作業
も簡略化される。このように、本実施例の能動除振装置
は、装置の軽量化、メンテナンス性といった面での効果
も大きい。
する。図7は本発明による除振装置の第2の実施例を示
す図面である。制御系構成を運動モード別制御としたも
のである。4台の除振マウント2a,2b,2c,2d
は直方体形状に略記した除振台1の四隅を支持してい
る。除振マウント2a,2b,2c,2dの構成はそれ
ぞれで同一であり、要素番号に記号a,b,c,dを付
記することにより4台を区別している。除振マウント2
aは鉛直方向加速度センサ34a、水平方向加速度セン
サ3a、鉛直方向アクチュエータ21a、水平方向アク
チュエータ22aから構成されている。XYZ直交座標
系は除振台1の重心Gを原点として、各軸を直方体形状
の除振台1の辺と平行に、またZ軸を鉛直方向に一致さ
せて除振台1に固定されている。除振台1の運動は、X
軸方向並進運動x、Y軸方向並進運動y、Z軸方向並進
運動z、X軸まわり回転運動θx、Y軸まわり回転運動
θy、Z軸まわり回転運動θzの6自由度運動として記
述することができる。図7の運動モード別制御は、6自
由度の運動モードごとに加速度の負帰還を行ない除振台
1へダンピングを付与する構成である。
ンサ34a,34b,34c,34dと水平方向加速度
センサ3a,3b,3c,3dの計測信号から運動モー
ドごとの加速度、すなわちX軸方向並進加速度Ax 、Y
軸方向並進加速度Ay 、Z軸方向並進加速度Az 、X軸
まわり角加速度Aθx 、Y軸まわり角加速度Aθy 、Z
軸まわり角加速度Aθz を演算し出力する。そして、こ
れら運動モードごとの加速度を符号反転器35で符号反
転し、さらに加速度補償器36を作用させ、運動モード
ごとの補償値を生成する。運動モード分配装置8はこれ
ら補償値を入力として、鉛直方向アクチュエータ21
a,21b,21c,21d、水平方向アクチュエータ
22a,22b,22c,22dそれぞれへの駆動指令
を生成し、電力増幅器10に入力する。運動モード分配
装置8の動作は、加速度補償器36によって生成した運
動モードごとの除振台1への駆動力を、鉛直方向アクチ
ュエータ21a,21b,21c,21d、水平方向ア
クチュエータ22a,22b,22c,22dそれぞれ
が発生する駆動力の合力として除振台1へ作用させるよ
うに、鉛直方向アクチュエータ21a,21b,21
c,21d、水平方向アクチュエータ22a,22b,
22c,22dそれぞれへの駆動指令を生成することで
ある。電力増幅器10は入力信号に応じて鉛直方向アク
チュエータ21a,21b,21c,21d、水平方向
アクチュエータ22a,22b,22c,22dを駆動
し、除振台1へ駆動力を作用させる。このように、運動
モードごとに加速度を負帰還して除振台1へダンピング
を付与し、除振台1に生じる振動を抑制している。な
お、鉛直方向アクチュエータ21a,21b,21c,
21d、水平方向アクチュエータ22a,22b,22
c,22dがボイスコイルモータの場合、加速度信号を
速度信号へ変換するため加速度補償器36は積分動作と
なり、また、空気ばねの場合、アクチュエータ自身に積
分特性があるので加速度補償器36は比例動作となる。
のように配置している。鉛直方向については、鉛直方向
加速度センサ34a,34b,34c,34dと鉛直方
向アクチュエータ21a,21b,21c,21dの方
向はZ軸方向に一致している。水平方向については、除
振マウント2a,2cの水平方向加速度センサ3a,3
cと水平方向アクチュエータ22a,22cの方向はX
軸と一致し、除振マウント2b,2dの水平方向加速度
センサ3b,3dと水平方向アクチュエータ22b,2
2dの方向はY軸と一致するように除振マウント2a,
2b,2c,2dを配置している。この配置は、除振台
1の6自由度運動モードの全てが、鉛直方向加速度セン
サ34a,34b,34c,34d、水平方向加速度セ
ンサ3a,3b,3c,3dによって可観測であるため
の、また鉛直方向アクチュエータ21a,21b,21
c,21d、水平方向アクチュエータ22a,22b,
22c,22dによって可制御であるための配置であ
る。勿論、この可観測性、可制御性を満たすものであれ
ば、図7に示した以外の除振マウント2a,2b,2
c,2dの配置であってもよい。
2c,2dでは、鉛直方向加速度センサ34a,34
b,34c,34d、水平方向加速度センサ3a,3
b,3c,3dは支持対象である除振台1に固定されて
いる。よって、これまでに述べてきたような浮上部32
の固有振動に起因する成分は、それぞれの加速度センサ
の計測信号中に含まれない。支持対象である除振台1に
生じている振動のみを精度よく計測することができる。
すなわち、それぞれの加速度センサの計測信号を入力と
した演算によって生成している除振台1の6自由度運動
モードごとの加速度Ax ,Ay ,Az ,Aθx ,Aθ
y ,Aθz は精度のよいものとなり、運動モード別制御
が好適に行なわれる。浮上部32に固有振動が存在する
ことにより、運動モード別制御が崩れるような不都合は
生じないのである。このように、本実施例によれば、運
動モード別制御を好適に実施できるという効果がある。
除振マウント2が鉛直方向加速度センサ34、水平方向
加速度センサ3、鉛直方向アクチュエータ21、水平方
向アクチュエータ22を有する場合、また、直方体形状
である除振台1の四隅を4台の除振マウント2a,2
b,2c,2dで支持する場合を開示しているが、本発
明はこのような実施形態に限定されるものではない。加
速度センサを支持対象である除振台に固定することを特
徴とする除振装置であるという本発明第2局面の本質
は、加速度センサとアクチュエータの方向、除振台の形
状やそれを支持する除振装置の台数と配置などを問わず
に、実施できるのである。
る除振装置は、防振支持機構で支持された精密機器搭載
用の除振台の振動を複数の振動検出手段で検出し、前記
振動検出手段の出力信号のうち予め定められた周波数よ
り低い周波数成分をローパスフィルタで抽出するととも
に、前記振動検出手段の出力信号のうち予め定められた
周波数より高い周波数成分をハイパスフィルタで抽出す
る。そして、前記ローパスフィルタの出力信号として得
られる前記振動検出手段の出力信号のうち予め定められ
た周波数より低い周波数成分の抽出信号に基づき前記除
振台の並進、回転などの各運動モードの振動信号を抽出
し、抽出された各運動モードの信号を適切に補償し、得
られた各運動モードの補償信号を除振台に制御力を加え
る複数のアクチュエータの駆動指令信号として分配する
とともに、前記ハイパスフィルタの出力信号を適切に補
償し、前記の各運動モードの補償信号の分配信号と前記
ハイパスフィルタの出力信号の補償信号とを加算して前
記除振台に制御力を加えるアクチュエータにフィードバ
ックする。第1の補償演算手段は、除振台の剛体運動モ
ードなどの比較的低周波数領域に固有振動数を有する運
動モードの振動制御特性の任意調整を実現する。第2の
補償演算手段は、除振台各部の振動に着目して補償演算
を行なう。
御する除振装置において、除振台各部で様々な局所的振
動が発生する場合でも、安定かつ良好な動作を実現す
る。また、除振台の各運動モードごとの運動特性を任意
調整できるので、除振装置の制御パラメータの設計・調
整を容易かつ合理的に行なうことができる。すなわち、
本発明の第1の局面によれば、除振性能を損なうことな
く制振性能を向上させることが可能で、特に、装置の運
動特性を支配するパラメータの設定が容易な、精密機器
搭載用の能動除振装置が提供される。
ントは、各加速度センサが除振台に固定されているの
で、除振マウントの浮上部の固有振動などに起因する成
分は、それぞれの加速度センサの計測信号中に含まれな
い。したがって、加速度の負帰還ループ中から除振マウ
ント浮上部の共振に代表される構造物の高次共振を排除
することができる。よって、制御帯域を十分に上げるこ
とができ、能動除振装置の性能が十分に発揮されて、除
振台の振動抑制を良好に行なうことが可能となる。ま
た、高次共振に起因するスピルオーバ現象を回避できる
ため、制御系の安定性が飛躍的に向上する。
支持対象である除振台の振動を精度よく計測する除振装
置を提供することができる。よって、除振装置に関し
て、装置の共振現象に起因するスピルオーバ現象を回避
することができる、制御系の安定性が向上する、制御帯
域が上がり装置の性能が向上する、装置が軽量化され
る、メンテナンス性が向上する、また運動モード別制御
を好適に実施できるといった効果がある。
構成図である。
を表わす図である。
ンサの配置を表わす図である。
に組み込まれたアクチュエータの配置を表す図である。
一例を表す図である。
を示す図である。
を示す図である。
る。
来の除振装置の構成例を表わす図面である。
構成を示した図である。
ウント、3a,3b,3c,3d:振動検出手段(水平
方向加速度センサ)、4:ローパスフィルタ、5:ハイ
パスフィルタ、6:運動モード抽出回路(運動モード抽
出装置)、7:第1の補償演算手段、8:推力分配回路
(運動モード分配装置)、9:第2の補償演算手段、1
0a,10b,10c,10d:駆動回路、21,21
a,21b,21c,21d:除振台1に鉛直方向の制
御力を加えるアクチュエータ(鉛直方向アクチュエー
タ)、22,22a,22b,22c,22d:除振台
1に水平方向の制御力を加えるアクチュエータ(水平方
向アクチュエータ)、23:除振台1を鉛直方向に防振
支持する鉛直支持手段、24:除振台1を水平方向に防
振支持する水平支持手段、31:締結ボルト、32:浮
上部、33:ベース部、34,34a,34b,34
c,34d:鉛直方向加速度センサ、35:符号反転
器、36:加速度補償器。
Claims (8)
- 【請求項1】 精密機器を搭載する除振台と、前記除振
台を支持する防振支持機構と、前記除振台に制御力を加
える複数のアクチュエータと、前記除振台の振動を検出
する複数の振動検出手段と、前記振動検出手段の出力信
号のうち予め定められた周波数より低い周波数成分のみ
を通過させるローパスフィルタと、前記振動検出手段の
出力信号のうち予め定められた周波数より高い周波数成
分のみを通過させるハイパスフィルタと、前記ローパス
フィルタの出力信号として得られる前記振動検出手段の
出力信号のうち予め定められた周波数より低い周波数成
分の抽出信号に基づき前記除振台の並進、回転などの各
運動モードの振動信号を抽出する運動モード抽出手段
と、前記運動モード抽出手段の出力信号を適切に補償す
る第1の補償演算手段と、前記第1の補償演算手段によ
って得られた各運動モードの補償信号を複数の前記アク
チュエータの駆動指令信号として分配する推力分配手段
と、前記ハイパスフィルタの出力信号を補償する第2の
補償演算手段と、前記推力分配手段と前記第2の補償演
算手段双方の出力信号を加算して前記アクチュエータに
フィードバックする手段とを備えたことを特徴とする能
動除振装置。 - 【請求項2】 前記ローパスフィルタおよびハイパスフ
ィルタのカットオフ周波数が、前記除振台のすべての剛
体運動モードの固有振動数より高いものである請求項1
に記載の除振装置。 - 【請求項3】 前記アクチュエータは、空気圧制御式ア
クチュエータもしくはボイスコイルモータなどの電磁駆
動のリニアモータまたはそれらの双方を併用したもので
ある請求項1または2に記載の能動除振装置。 - 【請求項4】 前記アクチュエータが、前記空気圧制御
式アクチュエータまたはこれと前記リニアモータとを併
用したものであり、かつ前記空気圧制御式アクチュエー
タが前記防振支持機構を兼ねている請求項3に記載の能
動除振装置。 - 【請求項5】 前記振動検出手段は加速度センサである
請求項1〜4のいずれかに記載の能動除振装置。 - 【請求項6】 除振台と、加速度センサおよびアクチュ
エ−タを有し前記除振台を支持する能動除振マウント
と、前記加速度センサの計測信号に応じて前記アクチュ
エ−タを駆動する制御手段とを具備する能動除振装置に
おいて、前記加速度センサは前記除振台に固定されてい
ることを特徴とする能動除振装置。 - 【請求項7】 除振台と、鉛直方向加速度センサ、水平
方向加速度センサ、鉛直方向アクチュエ−タおよび水平
方向アクチュエ−タを有し前記除振台を支持する能動除
振マウントと、前記鉛直方向加速度センサおよび前記水
平方向加速度センサの計測信号に応じて前記鉛直方向ア
クチュエ−タおよび前記水平方向アクチュエ−タを駆動
する制御手段とを具備する能動除振装置において、前記
鉛直方向加速度センサおよび前記水平方向加速度センサ
は前記除振台に固定されていることを特徴とする能動除
振装置。 - 【請求項8】 前記制御手段は、前記加速度センサの計
測信号から加速度に関する運動モードを抽出する運動モ
ード抽出手段と、前記運動モード抽出装置の出力に補償
を施した補償信号から前記アクチュエ−タへの駆動指令
を生成する運動モード分配手段とを有することを特徴と
する請求項6または7記載の能動除振装置。
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