JP2000178635A - 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法 - Google Patents

清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法

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JP2000178635A
JP2000178635A JP10350828A JP35082898A JP2000178635A JP 2000178635 A JP2000178635 A JP 2000178635A JP 10350828 A JP10350828 A JP 10350828A JP 35082898 A JP35082898 A JP 35082898A JP 2000178635 A JP2000178635 A JP 2000178635A
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Eiju Matsuno
英寿 松野
Takeshi Murai
剛 村井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 RH真空脱ガス装置を用いて清浄性の優れた
極低炭素鋼を迅速に且つ安定して製造する。 【解決手段】 RH真空脱ガス装置1での真空脱炭精錬
による極低炭素鋼の製造方法において、処理溶鋼量1ト
ン当たりの排気量を、真空槽5内の圧力が300tor
rでは70kg/Hr・ton以上、200torrで
は40kg/Hr・ton以上、100torrでは2
5kg/Hr・ton以上、50torrでは12kg
/Hr・ton以上、10torrでは10kg/Hr
・ton以上に制御しつつ、溶鋼環流量1トン当たり3
0Nl/min・ton以上の不活性ガスを溶鋼3中に
吹き込むと共に、溶鋼中の溶解酸素濃度を300〜50
0ppmに制御して真空脱炭精錬する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RH真空脱ガス装
置を用いて清浄性の高い極低炭素鋼を製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板及び表面処理鋼板における用途
の多様化や要求される材質の向上に応えるために、RH
真空脱ガス装置を用いた極低炭素鋼の生産量が増加して
いる。極低炭素鋼の製造に当たり、精錬時間の短縮化及
び炭素濃度の低位安定化を目的として、脱炭速度を向上
させる種々の対策が実施されている。
【0003】例えば特開平2−267213号公報に
は、RH真空脱ガス装置の真空槽の溶鋼浸漬部に横吹羽
口を設け、この羽口より溶鋼中に不活性ガスを吹き込
み、極低炭素域における脱炭限界値を低下させることが
開示され、又、特公平3−68083号公報には、浸漬
管の流路断面積に対して1.8〜3.2Nl/min・
cm2 の多量の不活性ガスを浸漬管から吹き込み、脱炭
反応を促進させることが開示されている。これらは不活
性ガスにより溶鋼を強攪拌し、脱炭反応の反応界面積を
増加させて脱炭反応を促進させるものであるが、特開平
6−240339号公報には、真空槽内の溶鋼に金属酸
化物粉体をAr又は酸素ガスと共に吹きつけ、金属酸化
物粉体を脱炭反応の核として脱炭反応を促進させる方法
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属酸
化物粉体を吹きつける方法では、金属酸化物粉体の顕熱
分の溶鋼温度降下は避けられず、又、金属酸化物添加に
よる溶鋼清浄性の悪化が発生する。そのため、脱炭反応
の促進は不活性ガス吹き込み法により行うことが好まし
いが、不活性ガス吹き込み法においても以下の問題点が
ある。即ち、大量に吹き込まれる不活性ガスにより、真
空槽から排出される排ガス流量が増加し、この排ガス流
量の増加に伴い、真空槽内の真空度が低下し、溶鋼の環
流量が低減して、逆に脱炭反応が阻害される虞がある。
【0005】又、脱炭反応は溶鋼中の炭素が溶鋼中の溶
解酸素と反応して起こるものであり、溶鋼中の溶解酸素
濃度が高いほど脱炭反応は促進する。しかし、脱炭精錬
中の溶解酸素濃度は溶鋼の清浄性に影響を及ぼすもので
あり、清浄性を高めるためには溶解酸素濃度に最適範囲
が存在する。上記従来技術はこれを考慮していない。
【0006】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、RH真空脱ガス装置を用いて
清浄性の優れた極低炭素鋼を迅速に且つ安定して製造す
る方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による清浄性に優
れた極低炭素鋼の製造方法は、RH真空脱ガス装置での
真空脱炭精錬による極低炭素鋼の製造方法において、処
理溶鋼量1トン当たりの排気量を、真空槽内の圧力が3
00torrでは70kg/Hr・ton以上、200
torrでは40kg/Hr・ton以上、100to
rrでは25kg/Hr・ton以上、50torrで
は12kg/Hr・ton以上、10torrでは10
kg/Hr・ton以上に制御しつつ、溶鋼環流量1ト
ン当たり30Nl/min・ton以上の不活性ガスを
溶鋼中に吹き込むと共に、溶鋼中の溶解酸素濃度を30
0〜500ppmに制御して真空脱炭精錬することを特
徴とするものである。
【0008】本発明では、RH真空脱ガス装置を用いて
真空脱炭精錬する際に、溶鋼中に不活性ガスを吹き込
み、この不活性ガスによりRH真空脱ガス装置の真空槽
内で溶鋼を強攪拌する。減圧下の真空槽内では、溶鋼と
不活性ガス界面において(1)式の脱炭反応が進行し、
極低炭素鋼が製造される。→CO(g)…(1)
【0009】本発明者等は、図4に示すRH真空脱ガス
装置を使用し、炭素濃度がおよそ0.04wt%、溶解
酸素濃度がおよそ400ppmの溶鋼を真空脱炭精錬す
る際に、溶鋼攪拌用の不活性ガスとして上昇側浸漬管か
ら吹き込む環流用Arを用い、溶鋼環流量が100to
n/min及び150ton/minの2水準の条件
で、環流用Arの吹き込み量を変化させて、15分間の
真空脱炭精錬後の溶鋼中の到達炭素濃度に及ぼす環流用
Ar流量の影響を調査した。尚、図4は後述の発明の実
施の形態で詳細説明する。
【0010】その際、溶鋼環流量及び環流用Ar流量の
変更は以下のようにして行った。溶鋼環流量をQ(to
n/min)、環流用Ar流量をG(Nl/min)、
浸漬管内径をD(m)、環流用Ar吹き込み位置での圧
力をP1 (torr)、及び、真空槽内圧力をP2 (t
orr)とすると、溶鋼環流量Qは(2)式で表わすこ
とができる。従って、溶鋼環流量Qを100ton/m
in及び150ton/minに制御し、且つ環流用A
r吹き込み量を変更するために、表1に示すように、浸
漬管内径Dと環流用Ar流量とを組み合わせて変更し
た。その際にP1=760torr、P2 =1torr
とした。 Q=11.4×D 4/3 ×G 1/3 ×[ln(P 1 /P2 )]1/3 …(2)
【0011】
【表1】
【0012】調査結果を図1に示す。図1に示すよう
に、環流用Ar流量が一定の条件では、溶鋼環流量の多
い150ton/minの方が到達炭素濃度が低く、
又、環流用Ar流量が多いほど到達炭素濃度は低くなる
が、環流用Ar流量を多くしても到達炭素濃度がそれ以
上には低下しない臨界点が存在することが分かる。
【0013】本発明者等は、図1の環流用Ar流量を溶
鋼環流量で除算し、溶鋼環流量1トン当たりの環流用A
r流量を新たな指標として用い、図1を整理した。その
結果を図2に示す。図2に示すように、どちらの溶鋼環
流量の場合も、溶鋼環流量1トン当たりの環流用Ar流
量が30Nl/min・tonで到達炭素濃度は飽和
し、これ以上吹き込んでも到達炭素濃度は低下しない。
換言すれば、少なくとも30Nl/min・ton以上
の不活性ガスを確保して溶鋼を攪拌すれば、その条件下
の炭素濃度の下限値を得る真空脱炭精錬が可能となるこ
とが分かる。
【0014】更に、本発明者等は、RH真空脱ガス装置
の排気能力(kg/Hr)を取鍋内の1ヒートの溶鋼量
(以下、「処理溶鋼量」と記す)で除算した値を排気量
(kg/Hr・ton)と定義し、図4に示すRH真空
脱ガス装置を用いて、溶鋼環流量1トン当たりの環流用
Ar流量を30Nl/min・tonとして、真空槽内
圧力が300torr、200torr、100tor
r、50torr、及び10torrの5水準の各圧力
において、表2に示すように排気量を変更して真空脱炭
精錬を行い、各真空槽内圧力における排気量と脱炭速度
定数Kcとの関係を調査した。
【0015】尚、RH真空脱ガス装置の排気能力は、単
位時間当たりに真空槽内から排気される空気の重量で表
示され、1気圧、25℃の標準状態に換算して計算され
る値であり、真空装置の特性から一般的には、真空槽内
の圧力の低下に伴い減少する。又、脱炭速度定数Kcは
(3)式の脱炭反応速度式により算出される値であり、
脱炭速度定数Kcが大きいことは脱炭速度が速いことを
意味している。尚、(3)式においてdC/dtは脱炭
速度、[C]は炭素濃度、[Ceq]は平衡炭素濃度であ
る。ここで、本発明のような真空脱炭精錬では[Ceq]
≒0として良い。 dC/dt=−Kc×{[C ]−[Ceq ]}…(3)
【0016】
【表2】
【0017】表2において、試験No.1〜5は真空槽内
圧力が300torrにおける排気量を変更した試験操
業で、以下、試験No.6〜11は200torr、試験N
o.12〜16は100torr、試験No.17〜21は
50torr、試験No.22〜26は10torrにお
ける排気量を変更した試験操業であり、表2には、調査
した脱炭速度定数Kcを各々の真空槽内圧力毎に表示し
ている。これらの結果を図示したものが図3である。
【0018】図3に示すように、真空槽内圧力が300
torrの時には排気量を70kg/Hr・ton以上
とすることで、脱炭速度を安定して高めることができ、
同様に、真空槽内圧力が200torrの時には排気量
を40kg/Hr・ton以上、真空槽内圧力が100
torrの時には排気量を25kg/Hr・ton以
上、真空槽内圧力が50torrの時には排気量を12
kg/Hr・ton以上、真空槽内圧力が10torr
の時には排気量を10kg/Hr・ton以上とするこ
とで、脱炭速度を安定して高めることができる。
【0019】更に、本発明者等は、図4に示すRH真空
脱ガス装置を用いて、真空脱炭精錬中の溶解酸素濃度と
最終製品の清浄性との関係を調査した。表3に、15ヒ
ート(試験No.27〜41)の試験操業の操業条件、1
5分間真空脱炭精錬した後の到達炭素濃度、及び、清浄
性の指標である製品欠陥指数を示す。試験は、表3に示
すように、環流用Ar流量G及び溶鋼環流量Qを一定と
して、真空脱炭精錬中の溶解酸素濃度を変更した。溶鋼
環流量1トン当たりの環流用Ar流量は31.9Nl/
min・tonである。尚、製品欠陥指数は、得られた
鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板における酸化物系介在物
による欠陥の発生量を指数化したもので、指数が高くな
るほど欠陥発生率が高いことを示している。
【0020】
【表3】
【0021】表3に示すように、真空脱炭精錬中の溶解
酸素濃度が500ppmを越えると製品欠陥指数が上昇
することが分かる。これは真空脱炭精錬後の脱酸時に多
量の脱酸生成物が生成して、溶鋼の清浄性が劣化するた
めである。溶解酸素濃度が500ppm以下であれば製
品での欠陥は発生しないが、溶解酸素濃度が300pp
m未満になると到達炭素濃度が目標値である10ppm
以下とはならない。これらの結果から本発明では、真空
脱炭精錬中の溶解酸素濃度を300〜500ppmに限
定した。
【0022】以上説明したように、本発明では溶鋼環流
量1トン当たり30Nl/min・ton以上の不活性
ガスを溶鋼中に吹き込み、真空槽内で溶鋼のガス攪拌を
有効に行いながら、真空槽内の圧力毎に、処理溶鋼量1
トン当たりの排気量を高位に確保して溶鋼環流量を確保
するので、脱炭速度が促進して到達炭素濃度が低下し、
短時間で極低炭素鋼を製造することができる。更に、真
空脱炭精錬中の溶解酸素濃度を制御するので、酸化物系
介在物が少なく、高い清浄性を確保することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図4は、本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦
断面概略図である。
【0024】図4に示すように、RH真空脱ガス装置1
は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽
7の下部に設けた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9と
で、その基部が構成されており、上部槽6には、上下動
可能な上吹き酸素ランス11、原料投入口12、及び排
気装置(図示せず)と接続するダクト13が設けられ、
又、上昇側浸漬管8にはAr吹き込み管10が設けられ
ている。Ar吹き込み管10からは環流用Arが、内径
Dの上昇側浸漬管8内に吹き込まれる構造となってい
る。排気装置は、3段のブースターと3段のエジェクタ
ーから成り、ブースターとエジェクターとの組み合せの
変更や、各ブースター及び各エジェクターへの蒸気流量
を変更することで、排気能力を変更することができるも
のであり、この排気装置の最大排気能力の例を表4に示
す。
【0025】
【表4】
【0026】この排気能力において、処理溶鋼量を25
0トン及び300トンとした場合の処理溶鋼1トン当た
りの排気量を合せて表4に示すが、処理溶鋼量を300
トンとした場合には、所定量の排気量が得られず、本発
明を実施することができない。因みに、この排気能力の
場合には、処理溶鋼量が280トンまでは本発明を実施
することができるが、処理溶鋼量が280トンを越える
場合には、排気能力を上げる必要がある。
【0027】このような構成のRH真空脱ガス装置1に
おける本発明の適用方法を以下に説明する。先ず、転炉
や電気炉等で精錬して溶鋼3を得、Al、Si等の脱酸
剤を添加せずに未脱酸の状態で取鍋2に出鋼し、こうし
て得た溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送
する。処理溶鋼量、即ち取鍋2内への出鋼量は280ト
ン以下とする。取鍋2内には脱炭精錬時のスラグ4が一
部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。尚、スラグ4に
よる溶鋼3の酸化を防止して、より清浄性の優れた鋼を
製造するために、出鋼後、取鍋2内のスラグ4中に金属
Al、Al灰等の脱酸剤又はCaO系のフラックスを添
加し、スラグ4中のFeO、MnO等の低級酸化物を予
め還元しておくことが好ましい。
【0028】次いで、昇降装置(図示せず)にて取鍋2
を上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋
2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、Ar吹き込み管1
0から上昇側浸漬管8内にArを吹き込むと共に、真空
槽5内を排気装置にて排気して真空槽5内を減圧する。
真空槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、Ar
吹き込み管10から吹き込まれるArと共に上昇側浸漬
管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸
漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成し
てRH真空脱ガス精錬が施される。
【0029】先ず、真空脱炭精錬を施す。真空脱炭精錬
に先立ち、溶鋼環流量1トン当たりの環流用Ar流量が
30Nl/min・ton以上となるように調整する。
具体的には前述の(2)式を用いて、環流用Ar流量G
を変更させた時の溶鋼環流量Qを求め、その時の環流用
Ar流量Gを溶鋼環流量Qで除算した値が30Nl/m
in・ton以上となる条件で吹き込めば良い。
【0030】脱炭反応は未脱酸状態の溶鋼3を真空槽5
内に環流するだけでも起こるが、溶鋼3の酸素ポテンシ
ャルを上昇させて脱炭反応を促進させるため、上吹き酸
素ランス11から真空槽5内の溶鋼3に向けて酸素ガス
を吹きつけることが好ましい。但し、酸素ガスを過剰に
吹きつけると溶解酸素濃度が500ppmを越えるの
で、酸素ガスの吹きつけ量を、溶鋼3中の溶解酸素濃度
が300〜500ppmの範囲となるように調整しつつ
吹きつけることとする。溶解酸素濃度は固体電解質を利
用した酸素メーター(図示せず)等で測定することがで
きる。又、真空脱炭精錬時に酸素ガスを吹きつけしない
場合に、溶解酸素濃度が300ppm以下となりそうな
場合には、原料投入口12から鉄鉱石、ミルスケール等
の酸素源を溶鋼3に添加し、溶解酸素濃度を300〜5
00ppmに制御する。
【0031】真空脱炭精錬により溶鋼3の炭素濃度が所
定値になったら、原料投入口12から金属AlやAl合
金等を添加して溶鋼3を脱酸する。Al添加量は、脱酸
後の溶鋼3中に0.01wt%以上のAlが残留する程
度とする。又、必要によりSi、Mn等の成分を調整す
る。
【0032】そして、溶鋼3の成分調整等を行った後、
真空槽5内を大気圧に戻してRH真空脱ガス精錬を終了
し、その後、取鍋2を次工程の連続鋳造設備や普通造塊
設備等の鋳造設備に搬出して溶鋼3を鋳造する。
【0033】このようにして真空脱炭精錬することで、
脱炭反応が促進し、到達炭素濃度を安定して10ppm
以下とすることができると共に、15分程度の短い脱炭
時間で製造することができる。更に、得られた極低炭素
鋼は酸化物系介在物が少なく、清浄性が優れており、最
終製品における介在物性欠陥を大幅に低減することが可
能となる。
【0034】尚、上記説明では溶鋼攪拌用の不活性ガス
を上昇側浸漬管8から吹き込む環流用Arとしたが、本
発明はこれに限るものではなく、上昇側浸漬管8の直下
にガス吹き込み用浸漬ランスを設置し、又は、上昇側浸
漬管8の鉛直下方位置の取鍋2の底にガス吹き込み用羽
口を設け、若しくは、下部槽7の溶鋼浸漬部にガス吹き
込み用羽口を設け、これらのガス吹き込み部位から不活
性ガスを吹き込む方法であっても、これらの不活性ガス
は真空槽5内に導入され、真空槽5内で溶鋼3が強攪拌
されるので、上記に従って本発明を実施することができ
る。又、排気装置の構成も上記に限るものではなく、排
気能力に最適な装置を適宜選択することができ、更に、
真空槽5内の溶鋼3に酸素ガスを供給する酸素供給手段
として、真空槽5の側壁に設置した羽口としても良い。
【0035】
【実施例】前述の表4に示す排気能力を有し、図4に示
すRH真空脱ガス装置を用いて、炭素濃度が0.003
wt%以下の極低炭素鋼を製造する際に、本発明を適用
した実施例を以下に説明する。尚、表5に極低炭素鋼の
組成を示す。高炉から出銑された溶銑を転炉で精錬し、
炭素濃度が約0.04wt%の250トンの溶鋼を未脱
酸状態で取鍋に出鋼した。
【0036】
【表5】
【0037】RH真空脱ガス装置では、内径Dが580
mmの上昇側浸漬管から環流用Arを6000Nl/m
in(実施例1)及び8000Nl/min(実施例
2)吹き込んで真空脱炭精錬を実施した。前述の(2)
式より溶鋼環流量を算出すると、実施例1では188t
on/min、実施例2では207ton/minとな
り、又、溶鋼環流量1トン当たりの環流用Ar流量は、
実施例1では31.9Nl/min・ton、実施例2
では38.6Nl/min・tonとなる。そして、真
空脱炭精錬中、酸素メーターにて溶解酸素濃度を測定し
ながら、上吹き酸素ランスから酸素ガスを溶鋼に吹きつ
け、溶解酸素濃度を430〜470ppmに制御した。
真空脱炭精錬中溶鋼から試料を採取し、炭素濃度の推移
を調査した。
【0038】又、比較のために環流用Ar流量を400
0Nl/min(比較例1)、1500Nl/min
(比較例2)、及び、2000Nl/min(比較例
3)とした比較例も実施した。これらの条件で溶鋼環流
量を算出すると、比較例1では164ton/min、
比較例2では119ton/min、比較例3では13
1ton/minとなり、又、溶鋼環流量1トン当たり
の環流用Ar流量は、比較例1では24.4Nl/mi
n・ton、比較例2では12.6Nl/min・to
n、比較例3では15.3Nl/min・tonとな
る。その他の条件は実施例と同じとした。
【0039】表6に、実施例及び比較例の操業条件及び
脱炭精錬中の炭素濃度の推移を示し、図5に真空脱炭精
錬中の炭素濃度の推移を示す。表6及び図5に示すよう
に、実施例1及び実施例2では、真空脱炭精錬開始後1
5分後には溶鋼の炭素濃度は10ppm以下となった
が、比較例1〜3では21分間真空脱炭精錬を行っても
炭素濃度を10ppm以下とすることができなかった。
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】本発明では、処理溶鋼量1トン当たりの
排気量を上記所定値以上として真空槽内の真空度の低下
を防止しつつ、溶鋼環流量1トン当たり30Nl/mi
n・ton以上の多量の不活性ガスで溶鋼を攪拌するの
で、脱炭反応が促進され、到達炭素濃度を短時間で安定
して10ppm以下に下げることができる。更に、真空
脱炭精錬中の溶解酸素濃度を制御するので、得られた極
低炭素鋼は、酸化物系介在物が少なく、清浄性が極めて
高く、最終製品における介在物性欠陥を大幅に低減する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】環流用Ar流量と真空脱炭精錬中の到達炭素濃
度との関係を示す図である。
【図2】溶鋼環流量1トン当たりの環流用Ar流量と真
空脱炭精錬中の到達炭素濃度との関係を示す図である。
【図3】真空槽内の各圧力における排気量と脱炭速度定
数Kcとの関係を示す図である。
【図4】本発明で用いたRH真空脱ガス装置の縦断面概
略図である。
【図5】実施例及び比較例における真空脱炭精錬中の炭
素濃度の推移を示す図である。
【符号の説明】
1 RH真空脱ガス装置 2 取鍋 3 溶鋼 4 スラグ 5 真空槽 6 上部槽 7 下部槽 8 上昇側浸漬管 9 下降側浸漬管 10 Ar吹き込み管 11 上吹き酸素ランス 12 原料投入口 13 ダクト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 狛谷 昌紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松野 英寿 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 村井 剛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K013 AA00 AA07 BA02 CA01 CE00 CE01 DA03 DA05 DA12 FA02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RH真空脱ガス装置での真空脱炭精錬に
    よる極低炭素鋼の製造方法において、処理溶鋼量1トン
    当たりの排気量を、真空槽内の圧力が300torrで
    は70kg/Hr・ton以上、200torrでは4
    0kg/Hr・ton以上、100torrでは25k
    g/Hr・ton以上、50torrでは12kg/H
    r・ton以上、10torrでは10kg/Hr・t
    on以上に制御しつつ、溶鋼環流量1トン当たり30N
    l/min・ton以上の不活性ガスを溶鋼中に吹き込
    むと共に、溶鋼中の溶解酸素濃度を300〜500pp
    mに制御して真空脱炭精錬することを特徴とする清浄性
    に優れた極低炭素鋼の製造方法。
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