JP2000178354A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

Info

Publication number
JP2000178354A
JP2000178354A JP35564098A JP35564098A JP2000178354A JP 2000178354 A JP2000178354 A JP 2000178354A JP 35564098 A JP35564098 A JP 35564098A JP 35564098 A JP35564098 A JP 35564098A JP 2000178354 A JP2000178354 A JP 2000178354A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
molar ratio
tank
aromatic polycarbonate
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP35564098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3685937B2 (ja
Inventor
Takao Tayama
貴郎 田山
Michio Kawai
道生 川井
Katsushige Hayashi
勝茂 林
Tsutomu Kawakami
勉 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP35564098A priority Critical patent/JP3685937B2/ja
Publication of JP2000178354A publication Critical patent/JP2000178354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3685937B2 publication Critical patent/JP3685937B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】エステル交換法で得られるポリカーボネートの
品質上の問題点を解決しようとするものであって、色
相、耐熱性等に優れた、均一な品質を有する芳香族ポリ
カーボネートを安定して製造する方法の提供。 【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエス
テルを原料とし、これら両原料を原料混合槽に連続的に
供給し、得られた混合物を重合槽に連続的に供給して、
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造す
るに際し、(1)全製造時間を分画して設けた一以上の
単位製造時間ごとに、設定原料モル比を炭酸ジエステル
/芳香族ジヒドロキシ化合物=1.001〜1.300
の範囲内から選択し、しかも(2)各単位製造時間の少
なくとも95%の時間は、重合槽に供給される混合物中
の実際の原料モル比が、各設定原料モル比±0.8%以
内の値に維持されることを特徴とする芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法による芳
香族ポリカーボネート製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、各種強度に
優れている上、透明性に優れた樹脂であり、幅広い分野
で利用されている。このポリカーボネートの工業的製法
としては、ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン
溶媒中で反応させる界面重合法が一般的であるが、この
方法は工業的に取り扱いの難しいホスゲンや塩化メチレ
ンを用いる必要があることから、近年、これらの化合物
を用いず、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化
合物とジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルとを
原料に、無溶媒下、エステル交換反応により、ポリカー
ボネートを製造する方法が一部工業化されている(特開
平2−153925号、特公平6−99552号、特開
昭63−51429号等参照)。
【0003】一般的には、固体として入手されるビスフ
ェノールAと、同じく常温下で固体であるジフェニルカ
ーボネートとの原料混合は、ジフェニルカーボネートの
溶融液にビスフェノールA粉末を加えて行われる。この
とき、調整されるジフェニルカーボネートとビスフェノ
ールAの原料モル比が、重合速度や生成するポリマーの
末端水酸基濃度を決定するので、安定した運転や品質の
バラツキのない製品を得る上で、最も重要な項目の一つ
である。しかしながら、両化合物をフィードする際に、
制御計の誤差により、実際の原料モル比が設定値よりず
れることが多々ある。
【0004】上記問題点を解決するため、特開平10−
139876号公報では、生成プレポリマーの粘度平均
分子量が10,000に到達する重合槽の反応段階で、
該重合槽以前の重合槽における反応で消費された各モノ
マー及び該重合槽内のポリマーに含有される未反応モノ
マーそれぞれの合計のモル比を制御することにより、安
定した品質のポリカーボネートを得る製造方法が提案さ
れている。しかし、この方法では、副生物排出管からフ
ェノールに随伴して排出されるジフェニルカーボネート
とビスフェノールAの排出液量の測定とその組成分析に
かなり時間がかかり、安定した品質を有するポリカーボ
ネートが得られるとは言い難かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、色相、耐熱性等に優れた、均一な品質を有する
芳香族ポリカーボネートを安定して製造する方法を提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記事情
に鑑み鋭意検討を行った結果、芳香族ジヒドロキシ化合
物と炭酸ジエステルとのモル比を、従来行われてきた以
上に、極めて精度良く制御すればよいことを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ
化合物及び炭酸ジエステルを原料とし、これら両原料を
原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物を重合槽
に連続的に供給して、エステル交換法により芳香族ポリ
カーボネートを製造するに際し、(1)全製造時間を分
画して設けた一以上の単位製造時間ごとに、設定原料モ
ル比を炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物=
1.001〜1.300の範囲内から選択し、しかも
(2)各単位製造時間の少なくとも95%の時間は、重
合槽に供給される混合物中の実際の原料モル比が、各設
定原料モル比±0.8%以内の値に維持されることを特
徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供する
ものである。
【0008】さらには、上記実際の原料モル比を、原料
混合槽において継続的に測定し、測定される値を上記設
定原料モル比と一致させるように、芳香族ジヒドロキシ
化合物又は炭酸ジエステルの原料混合槽への供給量を連
続的に自動制御することを特徴とする請求項1記載の芳
香族ポリカーボネートの製造方法を提供するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法について、さらに具体的に説明する。
本発明では、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエス
テルを原料とし、エステル交換法により、芳香族ポリカ
ーボネートを製造する。
【0010】芳香族ジヒドロキシ化合物:本発明方法の
原料の一である芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記一般
式(1)で示される化合物である。
【0011】
【化1】
【0012】(式中、Aは、単結合、置換されていても
よい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の2
価の炭化水素基、又は、−O−、−S−、−CO−若し
くは−SO2 −で示される2価の基であり、X及びY
は、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であ
り、p及びqは、0又は1の整数である。なお、XとY
及びpとqは、それぞれ、同一でも相互に異なるもので
もよい。)
【0013】代表的な芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t
−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノ−ル
類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒド
ロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用い
ることができる。これらのなかでも、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノール
A」とも言い、BPAと略記することもある。)が好ま
しい。
【0014】炭酸ジエステル:本発明の原料の他の一で
ある炭酸ジエステルは、下記一般式(2)で示される化
合物である。
【0015】
【化2】
【0016】(式中、A’は、置換されていてもよい炭
素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水
素基であり、2つのA’は、同一でも相互に異なるもの
でもよい。)
【0017】代表的な炭酸ジエステルとしては、例え
ば、ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネートに
代表される置換ジフェニルカーボネート;ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカー
ボネート等が挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、
単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(DPCと
略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネート
が好ましい。
【0018】また、上記の炭酸ジエステルは、好ましく
はその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以
下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置
換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸
エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げ
られる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エス
テルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが
得られる。
【0019】これら炭酸ジエステル(上記の置換したジ
カルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同
じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用
いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し
て1.001〜1.300、好ましくは1.010〜
1.200のモル比で用いられる。同一反応条件下で
は、この範囲でモル比が小さくなるほど、反応速度が上
昇し、ポリカーボネートの粘度平均分子量は大きくな
る。また、この範囲でモル比が大きくなると、反応速度
が低下し、粘度平均分子量は小さくなる。モル比が1.
001より小さくなると、得られるポリカーボネートの
末端OH基の量が多くなり、反応性は高くなるものの、
熱安定性、耐加水分解性等が低下し、通常の使用には適
当ではなくなる。1.300を越えると、所望の分子量
を持つ芳香族ポリカーボネートの生産が困難となる。
【0020】エステル交換触媒:エステル交換法により
ポリカーボネートを製造する際には、通常、触媒が使用
される。本発明のポリカーボネート製造方法において
は、触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化
合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、
塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミ
ン系化合物等の塩基性化合物が使用される。これらは、
1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使
用してもよい。触媒の使用量は、通常は芳香族ジヒドロ
キシ化合物1モルに対して1×10-9〜1×10-1
ル、好ましくは1×10-7〜1×10-2モルの範囲で用
いられる。
【0021】アルカリ金属化合物としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸塩、炭酸水素化合物、等の無機アルカリ金属化
合物、アルコール類、フェノール類、そして有機カルボ
ン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等がある。こ
れらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が
好ましく、具体的に最も好ましいセシウム化合物を挙げ
れば炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウム
である。
【0022】また、アルカリ土類金属化合物としては、
ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウ
ムの水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合
物、アルコール類、フェノール類、そして有機カルボン
酸類との塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
【0023】塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩、又はストロンチウム塩等がある。
【0024】塩基性リン化合物としては、例えば、トリ
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等
の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導され
る4級ホスホニウム塩等がある。
【0025】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロ
キサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエ
チルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェ
ニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアン
モニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒ
ドロキサイド等がある。
【0026】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等がある。
【0027】これらの触媒のうち、実用的にはアルカリ
金属化合物が望ましい。
【0028】芳香族ポリカーボネートの製造方法 本発明方法では、上記の両原料を、原料混合槽に連続的
に供給し、得られた混合物を重合槽に連続的に供給す
る。その際、所望の物性のポリマーを安定して生産する
ためには、(1)全製造時間を分画して設けた一以上の
単位製造時間ごとに、設定原料モル比を炭酸ジエステル
/芳香族ジヒドロキシ化合物=1.001〜1.300
の範囲内から選択し、しかも(2)各単位製造時間の少
なくとも95%の時間は、重合槽に供給される混合物中
の実際の原料モル比が、各設定原料モル比±0.8%以
内の値に維持されることが必要である。
【0029】エステル交換法による芳香族ポリカーボネ
ートの製造においては、通常、原料混合槽に供給された
両原料は、均一に撹拌された後、触媒が添加される重合
槽に供給され、ポリマーが生産される。しかして、本発
明では、この重合槽に供給される両原料の均一撹拌混合
物中の原料モル比を一定に保つために、まず、その目標
となる「設定原料モル比」を設定する。これは、既述の
理由から、炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロオキシ化合
物=1.001〜1.300の範囲内から選択される。
この設定原料モル比は、全製造時間を通して必ずしも一
定値である必要はなく、全製造時間を分画して設けた一
以上の単位製造時間ごとに、設定することができる。な
お、本発明で、「全製造時間」又は「単位製造時間」と
は、重合槽においてポリマーを安定的に生産する原料供
給時間に対応し、立ち上げ時や、グレード切り替え時等
の非安定時の原料供給時間は含まない。
【0030】次に、本発明では、この設定原料モル比
と、重合槽に供給される混合物中の実際の原料モル比
(以下、単に「実際の原料モル比」という。)との関係
を、全製造時間にわたって所定範囲内に制御する。すな
わち、全製造時間が単一分画の単位製造時間である場合
は、その少なくとも95%の時間は、唯一の設定原料モ
ル比±0.8%以内の値に、また、全製造時間が複数の
単位製造時間に分画され、設定原料モル比が変更される
場合には、各単位製造時間の少なくとも95%の時間
は、各設定原料モル比±0.8%以内の値に、実際の原
料モル比を維持する。さらには、±0.7%以内に維持
することが好ましく、±0.5%以内に維持することが
特に好ましい。各単位製造時間において、実際の原料モ
ル比が、制御された値に維持される時間の割合は、少な
くとも95%であるが、100%に近いほど好ましい。
95%より少ない時間になると、所望の分子量、末端ヒ
ドロキシ基量のポリマーが得られなくなる。なお、重合
温度、重合時間、減圧度、環流比等の重合反応時の製造
条件を変えて分子量、末端ヒドロキシ基量を維持しよう
とすると、安定的な生産が困難になる。原料モル比を、
±0.8%と極めて小さな変動範囲以内に維持して、供
給を続けることにより初めて、煩雑な重合操作が避けら
れ、耐熱性、色調、機械物性等、諸物性に優れたポリマ
ーを安定的に生産できるようになる。
【0031】本発明において、実際の原料モル比を、設
定原料モル比±0.8%以内の値に維持させるために
は、混合槽に供給する原料の計量精度を、維持しようと
する原料モル比精度以上にする。そうでない場合には、
原料モル比を一定に維持することが困難である。原料混
合槽への原料の供給方法としては、液体状態の方が計量
精度を高く維持し易いため、芳香族ジヒドロキシ化合物
及び炭酸ジエステルのうち、一方又は両方を、溶融させ
て液体状態で供給することが好ましい。液体状態で原料
を供給する場合には、計量装置としては、オーバル流量
計、マイクロモーション式流量計等を用いることができ
る。一方、固体状態で原料を供給する場合には、スクリ
ュー式フィーダーのような容量を計量するものよりも、
重量を計量するものを用いるのが好ましく、べルト式、
ロスインウェイト式等の重量フィーダーを用いることが
できるが、ロスインウェイト方式が特に好ましい。
【0032】原料を溶融する方法としては、回分式で
は、原料溶融槽の中に固体状態の原料を仕込んだ後、所
定の温度条件で溶融する方法が挙げられる。連続式で
は、例えば、所定の温度条件に保たれた原料溶融槽に、
スクリュー式フィーダーのような装置を用い、固体状態
の原料を供給する方法や、押出機のような装置を用い、
溶融しながら供給する方法が挙げられる。また、炭酸ジ
エステルが、炭酸ジエステル製造工程から溶融状態で入
手できる場合は、一旦固化させることなく、そのまま原
料混合槽への供給原料として使用するのが好適である。
原料を混合する前に溶融槽を用いる場合には、溶融槽へ
の原料供給精度は必ずしも高い必要はないが、溶融槽か
ら混合槽への供給は、前述のように精度を高くする必要
があるため、オーバル流量計やマイクロモーション式流
量計等の計量装置を用いることが望ましい。
【0033】重合槽に供給される原料混合物中の実際の
原料モル比が、全製造時間中の各単位製造時間の少なく
とも95%の時間は、各設定原料モル比±0.8%以内
の値に維持されるためには、原料である芳香族ジヒドロ
キシ化合物及び/又は炭酸ジエステルの原料混合槽への
供給量を、何らかの方法で制御する。そのためには、通
常、重合槽に供給される混合物中の実際の原料モル比の
測定及び該測定結果の原料混合槽に供給される原料の計
量・供給装置へのフィードバックを含む任意の方法が用
いられる。なかでも、実際の原料モル比を、原料混合槽
において継続的に測定し、その測定値を上記設定原料モ
ル比に一致させるように、芳香族ジヒドロキシ化合物又
は炭酸ジエステルの原料混合槽への供給量を、連続的に
自動制御する方法が好ましい。
【0034】原料供給を自動制御するには、例えば、コ
ンピュータに、継続的に実際の原料モル比の測定値を入
力し、予め記憶させておいた設定原料モル比と比較させ
る。その際、実際の原料モル比の測定値が、該設定原料
モル比より小さい場合、追加すべき炭酸ジエステルの供
給量をコンピュータで算出し、この算出結果を原料計量
・供給装置に伝え、バルブの開度等を調節して、原料混
合槽に補正供給する。また、実際の原料モル比が、該設
定原料モル比より大きい場合、同様に、追加すべき芳香
族ジヒドロキシ化合物の供給量を算出し、原料混合槽に
補正供給する。このようにして、実際の原料モル比の設
定原料モル比への一致がはかられる。
【0035】本発明において「連続的に自動制御する」
とは、少なくとも第一重合槽の滞留時間の1/3の時間
以内に、測定及び制御が完了していることである。従っ
て、測定間隔の適正化に十分配慮すれば、継続的な間歇
測定でも、同様な制御を行うことは可能であるが、安定
した品質の製品を得るには、実際の原料モル比の測定
は、連続的な自動測定であることが好ましい。すなわ
ち、連続的に原料モル比を自動測定できれば、原料混合
槽への芳香族ジヒドロキシ化合物又は炭酸ジエステルの
供給量を迅速且つ連続的に制御することが可能となり、
その結果、一定の設定原料モル比に維持され、ポリカー
ボネートの粘度平均分子量や末端OH基量等のぶれの小
さい、均一な製品が得られる。また、連続的な制御に際
しては、適切な制御間隔ごとに制御態様を変更するよう
に操作させることも可能である。
【0036】実際の原料モル比の測定は、本来、原料混
合物が十分均一に撹拌混合された後であれば、原料混合
槽から第1重合槽への原料連続供給配管中において行っ
ても差し支えないが、信頼性の高いオンライン測定の観
点からは、原料混合槽において、例えば原料混合槽に設
けた溶融混合物の循環配管中等において、行うのが好ま
しい。また、原料混合槽といっても、直接重合槽への原
料の連続供給を行っている槽又は部位、例えば複数段の
混合槽であれば、通常最終段の混合槽が、また、単一の
混合槽であれば、槽底の原料混合物取り出し口近傍の部
位が、測定手段を設ける場所として適当である。すなわ
ち、そのような槽又は部位であれば、既に十分均一に撹
拌混合されており、且つ、重合槽に連続的に供給される
原料モル比と同一であるからである。なお、上記複数段
の原料混合槽においては、前段の混合槽までにほぼ均一
混合が達成されていれば、最終段の混合槽は、格別長い
滞留時間を必要とはしないので、前段に比べて容量の小
さな槽で十分である。
【0037】本発明において、実際の原料モル比を測定
する手段としては、特に制限はないが、密度計、赤外線
スペクトル、近赤外線スペクトル、紫外線スペクトル、
ラマンスペクトルのいづれかのオンライン型測定器を用
いることが好ましい。これらの測定器であれば、連続的
な自動測定が可能であり、迅速な制御を可能にする。
【0038】上記測定手段の中で、例えば、密度計を用
いる場合は、あらかじめ芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルの混合溶液について原料モル比と密度の関
係式を求め、コンピュータに入力しておき、実際に測定
した密度より原料モル比を算出して、さらに、この算出
された原料モル比を実際の原料モル比とし、これと設定
原料モル比とのずれから、原料混合槽への芳香族ジヒド
ロキシ化合物又は炭酸ジエステルの供給量を直ちに計算
し、その結果に従って原料計量・供給装置を動作させ、
実際の原料モル比の値が設定原料モル比に一致するよう
修正するものである。密度計以外のオンライン型測定器
の場合も、同様に、連続的に自動測定した特性値より算
出される実際の原料モル比と設定原料モル比のずれか
ら、原料混合槽への芳香族ジヒドロキシ化合物又は炭酸
ジエステルの供給量を直ちに算出し、設定原料モル比に
一致するよう修正する。
【0039】ある設定原料モル比の単位製造時間中に、
実際の原料モル比が、設定原料モル比±0.8%以内の
値に、どれほどの時間存在したかは、上記測定手段によ
る測定結果から容易に判定することができる。連続的測
定の場合、実際の原料モル比と測定時間の関係を示す曲
線より、予め設定した原料モル比±0.8%以内にある
累積時間と、±0.8%よりはずれた累積時間とを求め
ることにより、該設定原料モル比での単位製造時間の少
なくとも95%の時間は、±0.8%以内の値に維持さ
れていたかどうかが判定される。連続的測定ではない場
合でも、継続的な測定、例えば適時サンプリング測定の
結果であれば、これを統計処理する方法等により判定す
ることができる。
【0040】エステル交換反応は、一般的には2段階以
上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施される。具
体的な反応条件としては、温度:150〜320℃、圧
力:常圧〜0.01Torr、平均滞留時間:5〜15
0分の範囲とし、各重合槽においては、反応の進行とと
もに副生するフェノールの排出をより効果的なものとす
るために、上記反応条件内で、段階的により高温、より
高真空に設定する。なお、得られるポリカーボネートの
色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低
温、低滞留時間の設定が好ましい。
【0041】芳香族ジヒドロキシ化合物としてはビスフ
ェノールA(融点156℃)を、炭酸ジエステルとして
はジフェニルカーボネート(融点80℃)を選択し、こ
れらを融液としてから混合する場合、混合前の溶融温度
はそれぞれ160〜170℃、90〜150℃の範囲に
設定する。この温度範囲の下限温度未満では、溶融に時
間がかゝり効率が悪く、上限温度を超えた場合、熱分解
速度が著大となり好ましくない。また、原料の溶融時、
混合時及び溶融貯蔵時においては、できるだけ酸素の存
在しない条件にあることが望ましく、具体的には、窒素
等の不活性ガス雰囲気下で溶融、混合、貯蔵する方法が
挙げられる。均一に混合された原料液を貯蔵する場合に
は、結晶が析出しないできるだけ低い温度で貯蔵するの
が好ましく、140〜160℃の範囲が好適である。
【0042】本発明で使用する装置は、竪型、管型又は
塔型、横型のいずれの形式であってもよい。通常、ター
ビン翼、パドル翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パ
ンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)
製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)
製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立製
作所製)等を具備した1以上の竪型重合槽に引き続き、
円盤型、かご型等の横型一軸タイプの重合槽やHVR、
SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラ
ック(住友重機械工業(株)製)、メガネ翼、格子翼
((株)日立製作所製)、又はメガネ翼とポリマーの送
り機能を持たせた、例えばねじりやひねり等の入った翼
及び/又は傾斜がついている翼等を組み合わせたもの等
を具備した、横型二軸タイプの重合槽を用いることがで
きる。
【0043】本発明方法で製造した芳香族ポリカーボネ
ート中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換
反応で副生する芳香族ヒドロキシ化合物、芳香族ポリカ
ーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存してい
る。なかでも、原料モノマーと芳香族ヒドロキシ化合物
は、残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性
に悪影響を与えるので、製品化に際して除去される。
【0044】それらを除去する方法は、特に制限はな
く、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱揮して
もよい。その際、樹脂中に残留している塩基性エステル
交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添
加し、失活させておくことにより、脱揮中の副反応を抑
え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物
を除去することができる。
【0045】添加する酸性化合物又はその前駆体には特
に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交
換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使
用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜
硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ア
ジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライ
ン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、ク
エン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケ
イ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トル
エンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、
フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスル
フィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸
等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられ
る。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組
み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はそ
の前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化
合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が
特に好ましい。
【0046】これらの酸性化合物又はその前駆体の添加
量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の
中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.
5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその
前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれ
ば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸
性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、
直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方
法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する
方法等のいずれの方法でもよい。
【0047】脱揮に用いられる押出機は、単軸でも二軸
でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸
押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよ
い。脱揮の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部
を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通
常は2段から10段の多段ベントが用いられる。また、
該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、
離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練するこ
ともできる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
得られた芳香族ポリカーボネートの分析は、下記の測定
方法により行った。
【0049】(1)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し以下の式より粘度平均分子量(M
v)を求めた。 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0050】(2)末端水酸基濃度 四塩化チタン/酢酸法(Makromol. Chem. 88 215(196
5))により、比色定量を行った。
【0051】(3)色相 射出成型機J100SS−2(日本製鋼所製)を用い
て、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下に
て、厚み3mm、縦100mm、横100mmの正方形
シートを射出成形した。この射出成形シートについて、
カラーテスター(スガ試験機株式会社製 SC−1−C
H)で、色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次
の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。 YI=(100/Y)×(1.28X−1.06Z) このYI値が大きいほど、着色していることを示す。
【0052】(4)耐熱性試験 (3)で得られた射出成形シートに、140℃、100
時間の熱処理を施した後、YI値を測定した。
【0053】実施例1 図1に従って、本発明の芳香族ポリカーボネートの製造
方法の実施態様を説明する。図1は、本発明の製造方法
の1例を示したフローシート図である。図中、1はDP
C貯槽、2は撹拌翼、3はBPAホッパー、4a,bは
原料混合槽、5はDPC流量制御弁、6はBPA流量制
御弁、7はオンライン型測定器、8はプログラム制御装
置、9はポンプである。図中、10は触媒導入管、11
は副生物排出管、12a,b,c,dは竪型重合槽、1
3はマックスブレンド翼、14はダブルヘリカルリボン
翼、15は横型重合槽、16は格子翼である。
【0054】窒素ガス雰囲気下120℃で調製されたジ
フェニルカーボネート融液、及び、窒素ガス雰囲気下計
量されたビスフェノールA粉末を、それぞれ、DPC貯
槽(1)から205.0モル/時及びBPAホッパー
(3)から197.1モル/時(原料モル比1.04
0)の送量となるように、マイクロモーション式流量計
及びロスインウェイト方式の重量フィーダーで計量し、
窒素雰囲気下150℃に調整された原料混合槽(4a)
に連続的に供給した。
【0055】このとき、原料モル比をさらに一定に保つ
べく、原料混合槽(4b)にオンライン型測定器(7)
を設置して、10分毎に制御を行った。実際の制御は、
原料混合槽(4b)に設置された東レエンジニアリング
(株)製プロセス用密度計DFL−1(7)を用いて、
自動的に実際の原料モル比を測定し、測定される値を設
定原料モル比と一致させるように、予め組み込まれてい
るプログラム制御装置(8)で、DPC流量制御弁
(5)及びBPA流量制御弁(6)の開度をコントロー
ルすることによって遂行された。
【0056】調製した原料混合液を、ポンプ(9)及び
原料導入管を介して、マックスブレンド翼(13)を具
備し、常圧、窒素雰囲気下、220℃に制御した容量1
00Lの第一竪型撹拌重合槽(12a)内に連続供給
し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリ
マー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、
液面レベルを一定に保った。また、上記混合物の供給開
始と同時に、触媒として2重量%の炭酸セシウム水溶液
を、触媒導入管(10)を介して、3.2ml/時(ビ
スフェノールA1モルに対し、1×10-6モル)の流量
で連続供給を開始した。
【0057】槽底より排出された重合液は、引き続き、
第2、第3、第4(第2、第3槽:マックスブレンド翼
(13)、第4槽:ダブルヘリカルリボン翼(14))
の容量100Lの竪型撹拌重合槽、及び、第5の格子翼
(16)を具備した容量150Lの横型重合槽(15)
に逐次連続供給された。
【0058】第2〜第5重合槽での反応条件は、それぞ
れ、下記のように、反応の進行とともに高温、高真空、
低撹拌速度となるように条件設定した。 温度 圧力 撹拌速度 第2重合槽(12b) 220℃ 100Torr 110rpm 第3重合槽(12c) 240℃ 15Torr 75rpm 第4重合槽(12d) 270℃ 0.5Torr 75rpm 第5重合槽(15) 280℃ 0.5Torr 10rpm 反応の間は、第2〜第5重合槽の平均滞留時間が60分
となるように、液面レベルの制御を行い、また、各重合
槽においては、副生したフェノールを副生物排出管(1
1)より除去した。以上の条件下で、1000時間連続
して運転した。なお、第5重合槽底部のポリマー排出口
から抜き出されたポリカーボネートは、溶融状態のま
ま、混練部に内部温度測定用の温度計を設置し、3段ベ
ント口を具備した2軸押出機((株)神戸製鋼所製、ス
クリュー径0.046m、L/D=36)に導入され、
p−トルエンスルホン酸ブチルを5ppm添加し、水
添、脱揮した後、ペレット化した。押出機条件は、吐出
量=50kg/hr、回転数=150rpm、最高樹脂
温度=278℃であった。
【0059】プロセス用密度計(7)による原料モル比
の連続測定データから、設定原料モル比(1.040)
±0.5%及び±0.8%以内の時間を算出したとこ
ろ、全製造時間の97.2%及び99.6%の時間であ
った。また、ポリカーボネートの粘度平均分子量(M
v)及び末端OH基量の変動は、それぞれ、22,30
0±300及び390±40ppmであった。また、射
出成形シートの色相YIは、1.61〜1.72、耐熱
性試験後の色相YIは、2.57〜2.81であった。
【0060】実施例2 実施例1において、設定原料モル比を1.060、第
4、5重合槽の温度を260℃にした以外は、実施例1
と同様にして実施した。得られた結果を表−1に示す。
【0061】実施例3 実施例1において、設定原料モル比を1.030にした
以外は、実施例1と同様にして実施した。得られた結果
を表−1に示す。
【0062】実施例4 実施例1において、原料モル比の測定手段として、横河
電機(株)製近赤外分光計Fourier SPEC FIR-1000Lを使
用した(測定領域:12,000〜4,000cm-1
以外は、実施例1と同様にして実施した。得られた結果
を表−1に示す。
【0063】比較例1 実施例1において、ロスインウェイト方式の重量フィー
ダーに代えて、容量制御型のスクリュー式フィーダーを
用い、原料混合槽(4b)にオンライン型測定器(7)
及びプログラム制御装置(8)を設置せず、1時間毎に
サンプリングを実施して、取り出された原料混合物の原
料モル比を横河電機(株)製近赤外分光計Fourier SPEC
FIR-1000Lで測定し、測定結果に基づき、実際の原料モ
ル比の値を実施例1と同じ設定原料モル比に維持すべ
く、手動で制御した以外は、実施例1と同様にして実施
した。得られた結果を表−1に示す。
【0064】比較例2 比較例1において、設定原料モル比を1.030にした
以外は、比較例1と同様にして実施した。得られた結果
を表−1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造
方法によれば、原料混合槽の原料モル比に対応して、迅
速に該原料モル比を制御することができ、生成する芳香
族ポリカーボネートの分子量、末端OH基量等のぶれの
小さい芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の1例を示したフローシート
図である。
【符号の説明】
1.DPC貯槽 2.撹拌翼 3.BPAホッパー 4a,b.原料混合槽 5.DPC流量制御弁 6.BPA流量制御弁 7.オンライン型測定器 8.プログラム制御装置 9.ポンプ 10.触媒導入管 11.副生物排出管 12a,b,c,d.竪型重合槽 13.マックスブレンド翼 14.ダブルヘリカルリボン翼 15.横型重合槽 16.格子翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川井 道生 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 林 勝茂 三重県四日市市日永東二丁目4番16号 三 菱瓦斯化学株式会社四日市工場内 (72)発明者 川上 勉 三重県四日市市日永東二丁目4番16号 三 菱瓦斯化学株式会社四日市工場内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AC01 BB09A BB10A BB12A BB13A BD07 BD09A BE05A BF14A BG08X BH02 DB13 HC04A HC05A JC021 JC451 JC731 JF021 JF031 JF041 JF051 JF121 JF131 JF141 JF151 KB02 KC06 KE05 KJ05 LA01 LB01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエス
    テルを原料とし、これら両原料を原料混合槽に連続的に
    供給し、得られた混合物を重合槽に連続的に供給して、
    エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造す
    るに際し、(1)全製造時間を分画して設けた一以上の
    単位製造時間ごとに、設定原料モル比を炭酸ジエステル
    /芳香族ジヒドロキシ化合物=1.001〜1.300
    の範囲内から選択し、しかも(2)各単位製造時間の少
    なくとも95%の時間は、重合槽に供給される混合物中
    の実際の原料モル比が、各設定原料モル比±0.8%以
    内の値に維持されることを特徴とする芳香族ポリカーボ
    ネートの製造方法。
  2. 【請求項2】上記実際の原料モル比を、原料混合槽にお
    いて継続的に測定し、測定される値を上記設定原料モル
    比と一致させるように、芳香族ジヒドロキシ化合物又は
    炭酸ジエステルの原料混合槽への供給量を連続的に自動
    制御することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカ
    ーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】上記原料モル比の測定手段が、密度計、赤
    外線スペクトル、近赤外線スペクトル、紫外線スペクト
    ル、ラマンスペクトルのいずれかのオンライン型測定器
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポ
    リカーボネートの製造方法。
JP35564098A 1998-12-15 1998-12-15 芳香族ポリカーボネートの製造方法 Expired - Lifetime JP3685937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35564098A JP3685937B2 (ja) 1998-12-15 1998-12-15 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35564098A JP3685937B2 (ja) 1998-12-15 1998-12-15 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000178354A true JP2000178354A (ja) 2000-06-27
JP3685937B2 JP3685937B2 (ja) 2005-08-24

Family

ID=18445016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35564098A Expired - Lifetime JP3685937B2 (ja) 1998-12-15 1998-12-15 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3685937B2 (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002020641A1 (fr) * 2000-09-08 2002-03-14 Teijin Limited Procede de preparation de melanges fondus de composes hydroxyle aromatiques et de diesters carboniques
JP2002105192A (ja) * 2000-07-27 2002-04-10 Asahi Kasei Corp 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002105193A (ja) * 2000-07-28 2002-04-10 Asahi Kasei Corp 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002308979A (ja) * 2001-04-12 2002-10-23 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2002363398A (ja) * 2001-06-12 2002-12-18 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート及び樹脂組成物
JP2003020395A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 熱可塑性樹脂組成物
JP2003026912A (ja) * 2001-07-12 2003-01-29 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品
JP2003049061A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物
JP2005126495A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート
JP2005126496A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート
JP2006083398A (ja) * 2002-04-22 2006-03-30 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート組成物
JP2010018819A (ja) * 2009-11-02 2010-01-28 Mitsubishi Chemicals Corp 分岐化芳香族ポリカーボネート
JP2011208156A (ja) * 2011-06-22 2011-10-20 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2015157933A (ja) * 2014-12-24 2015-09-03 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの製造方法
EP3398927A1 (en) * 2017-05-04 2018-11-07 SABIC Global Technologies B.V. Method of forming and using a bisphenol oil stream

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105192A (ja) * 2000-07-27 2002-04-10 Asahi Kasei Corp 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002105193A (ja) * 2000-07-28 2002-04-10 Asahi Kasei Corp 芳香族ポリカーボネートの製造法
WO2002020641A1 (fr) * 2000-09-08 2002-03-14 Teijin Limited Procede de preparation de melanges fondus de composes hydroxyle aromatiques et de diesters carboniques
JP2002082051A (ja) * 2000-09-08 2002-03-22 Teijin Ltd ポリカーボネートの成分測定方法と装置、およびポリカーボネートの製造方法と装置
JP2002308979A (ja) * 2001-04-12 2002-10-23 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2002363398A (ja) * 2001-06-12 2002-12-18 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート及び樹脂組成物
JP2003020395A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 熱可塑性樹脂組成物
JP2003026912A (ja) * 2001-07-12 2003-01-29 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品
JP2003049061A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物
JP2006083398A (ja) * 2002-04-22 2006-03-30 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート組成物
JP2005126495A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート
JP2005126496A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート
JP2010018819A (ja) * 2009-11-02 2010-01-28 Mitsubishi Chemicals Corp 分岐化芳香族ポリカーボネート
JP2011208156A (ja) * 2011-06-22 2011-10-20 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2015157933A (ja) * 2014-12-24 2015-09-03 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの製造方法
EP3398927A1 (en) * 2017-05-04 2018-11-07 SABIC Global Technologies B.V. Method of forming and using a bisphenol oil stream
US10442891B2 (en) 2017-05-04 2019-10-15 Sabic Global Technologies B.V. Method of forming and using a bisphenol oil stream

Also Published As

Publication number Publication date
JP3685937B2 (ja) 2005-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5332100B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの連続製造方法及び製造装置
JP3685937B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
US7754845B2 (en) Production method of aromatic polycarbonate
EP0529093B1 (en) Process for producing polycarbonate
JP3667534B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP2000159879A (ja) 芳香族ポリカーボネート
JP3783921B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP4098456B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートペレットの製造方法
JP3694434B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3681565B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH09286850A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP5754465B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの連続製造方法
JP2002308979A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3746937B2 (ja) 分岐化芳香族ポリカーボネート及びその製造方法
JP3685971B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP5382067B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP5168844B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP5245311B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3683471B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3791347B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3718094B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3715491B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH04142329A (ja) ポリカーボネートの製造法
JP3720665B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3685968B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050502

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080610

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110610

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120610

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130610

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term