JP2000177983A - 建屋外揚重機による建屋内における機器のハンドリング方法 - Google Patents

建屋外揚重機による建屋内における機器のハンドリング方法

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  • Automation & Control Theory (AREA)
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  • Control And Safety Of Cranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、建屋の外から揚重機で建屋内の機器
を垂直にハンドリングする際の制御を精度良く行うこと
にある。 【解決手段】建屋(原子炉格納容器10)外に配備され
た揚重機のブーム4から垂らしたワイヤー3を前記建屋
に設けた開口11を通して前記建屋内に入れ、前記建屋
内で、前記ワイヤー3で機器(製品2)を吊り上げ又は
吊り降ろす際に、前記機器の自重を前記ワイヤー3と前
記建屋内の構造物(放射線遮蔽壁16)との間で移す過
程の途中で、前記機器の自重が前記ワイヤー3に移った
際のブーム4のずれを三次元計測器7で計測し、そのず
れと反対方向へ前記ブーム4の位置をブーム4の起伏に
よって移動することによって前記機器を垂直に吊り上げ
る位置に修正する過程を有する建屋外揚重機による建屋
内における機器のハンドリング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建屋外の揚重機に
よって建屋内での機器のハンドリングを行う方法に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、工程短縮,熟練工・現場労働者不
足を解消する手段として、発電所・化学プラント等の建
設プロジェクト,メンテナンスプロジェクトに大型揚重
機が適用されるケースが増加している。
【0003】特にメンテナンスプロジェクトにおいて
は、既に設置されている製品等の構成機器の取り替え作
業を伴う場合が多い。
【0004】その取り替え作業に伴って、既設設備との
干渉等のトラブルを避けるため、大型揚重機に対し、ミ
リオーダーの高度な運転技術が要求されている。
【0005】その取替作業に関する内容が特開平8−435
77号公報に掲載されている。
【0006】一般に製品の搬出において、製品の荷重が
製品の設置面から大型揚重機側に移るに伴い、大型揚重
機のブームは前方方向に伏せる形態となり、ブーム先端
が製品の鉛直線上から変位してずれる現象が発生する。
【0007】即ち接地し固定されている製品側には、ブ
ーム前方向へのテンションがワイヤーから働くこととな
る。
【0008】地切り時(製品を吊り上げた瞬間)には、
製品は水平方向フリーとなるため、上記テンションによ
って前方に振れる動きをとる。
【0009】また、製品の搬入・据付においては、製品
の荷重を大型揚重機側から製品の接地面(据付位置)に
あずけるに伴い、大型揚重機のブームは製品の鉛直線上
より後方方向にもどる形態となり、製品側にはブーム後
方向への水平荷重がワイヤーから働くこととなる。
【0010】大型揚重機を用いた工法は、従来までは主
に新規の建設プロジェクトに適用されてきた。建設段階
での製品の吊り上げは屋外の仮置き場所から行っていた
ため、たとえ地切り時に製品が振れても、周りの隣接物
との干渉は発生しないように対処されていた。
【0011】また、製品の搬入においても、ある程度の
衝撃を考慮に入れた基礎構造物への着地であるため、搬
入に要求される精度はクレーン運転者の技量に頼るだけ
で十分であった。
【0012】一方、メンテナンスプロジェクトにおい
て、製品の搬出時、建物内の既設設備が隣接する狭隘な
環境下で何も対策を取らない場合、製品を吊り上げた瞬
間に製品は横揺れを起こし既設設備に衝突してしまう可
能性がある。
【0013】また、新しく搬入する製品の取付け位置と
の合わせ作業あるいは、新しく搬入する製品と取り合う
既設の配管との合わせ作業のための微調整に必要な製品
の移動範囲の制御は、先に延べたワイヤーからの水平荷
重をいかに回避するかが重要なポイントである。
【0014】これらの問題を解決するための方法とし
て、予めブームを逆方向にずらした状態で吊り上げる対
策があげられる。特開昭64−38397 号公報によると、実
際の吊り上げ開始前に荷重試験等で得られる情報を演算
装置に入力させることにより、実際の地切り時に、ある
荷重量において予め逆方向にずらす量を数値的に予測す
ることを可能としている。同様の方法は特開平1−16719
9 号公報においても公知である。
【0015】特開平9−79826号公報においては、荷重に
よるクレーンジブの湾曲変形による作業半径の変化を土
地測量に利用されるタキメータとジブに複数設置さた反
射鏡を後いて検出することを可能としている。
【0016】また、特開平1−256497 号公報において
は、実際の吊り上げ時に、ブームのたわみによるブーム
長,起伏角度の変化を検出し、ブームの起伏量を自動的
に修正することにより地切り時の製品の荷振れを防止す
ることを可能としている。同様の方法は特開平1−25649
6 号公報,実開平5−46882号公報,実開昭63−4989号公
報においても公知である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】特開昭64−38397 号公
報等にあげられた、事前の試験等による荷重情報を記憶
させることにより、吊り上げ時に予めブームを逆方向に
ずらす量を自動的に求める方法では、実際の吊り上げ時
の外部阻害要因(たとえば風等の気象条件)を考慮に入
れることができないため、吊り上げ時の横振れを皆無に
することは難しい。
【0018】特開平9−79826号公報にあげられた、タキ
メータと反射鏡を用いてクレーンジブの半径の変化を検
出する方法では、得られた変化量をクレーン操作に結び
付ける方法が明らかではない。
【0019】また、測定点をクレーンジブごとに設けて
おり、測定回数,情報量が多くなり、クレーン操作への
短時間でのフィードバックが難しい。
【0020】特開平1−256497 号公報にあげられた、ブ
ーム長や起伏角度の変化を検出する方法では、クレーン
ごとに特有の検出装置が必要であり、測定が容易では無
い。また、地切り後の製品(地表面から離れた状態での
製品)の揺れによる、周囲の既設物との衝突の回避方法
については明らかではない。
【0021】したがって、本発明の目的は、建屋の外か
ら揚重機で建屋内の機器を垂直にハンドリングする際の
制御を精度良く行うことにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ための手段の基本的構成要件は、建屋外に配備された揚
重機のブームから垂らしたワイヤーを前記建屋に設けた
開口を通して前記建屋内に入れ、前記建屋内で、前記ワ
イヤーで機器を吊り上げ又は吊り降ろす際に、前記機器
の自重を前記ワイヤーと前記建屋内の構造物との間で移
す過程の途中で、前記ブームの位置を起伏方向に移動す
ることによって前記機器を垂直に吊り上げる位置に修正
する過程を有する建屋外揚重機による建屋内における機
器のハンドリング方法であって、揚重機の運転室から建
屋内が見通せなくとも、建屋内の機器の垂直方向のハン
ドリングを精度良く達成出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図を用いて本発明の適用事
例を解説する。
【0024】本発明が適用される建屋は、原子力発電所
の原子炉格納容器10であって、その屋根部分はドーム
型と成っている。その原子炉格納容器10の周りには原
子炉格納容器遮蔽壁14が配備されている。
【0025】その原子炉建屋10のドーム型屋根の一部
分には、原子力発電所の構成機器である重量が350ト
ン程度の蒸気発生器(以下、製品2という。)を上下方
向に出し入れ出来る大きさの開口11が、製品2を取り
替える作業に先立って設けられる。
【0026】その取替の作業は、図1で示した大型クロ
ーラクレーン(以下、大型揚重機という。)で製品2を
開口11を通過させて原子炉建屋10内へ吊り入れた
り、逆に吊り出したりする。
【0027】製品2を吊り上げるため大型揚重機1のワ
イヤー3は、大型揚重機1の機械室13からマスト12
の頂部を経由してブーム4の頂部から下方へ垂れ下げら
れ、製品とフック等の吊り天秤を介してつながれること
になる。機械室13からマスト12の頂部を経由してマ
スト12の頂部にはブーム4を起立方向に起こしたり伏
せる方向に倒したりするための他のワイヤーがかけられ
ている。いずれのワイヤーも機械室13内の巻き上げ装
置によってワイヤーをドラムから繰り出したり巻き取っ
たり出来、ワイヤー3を巻き取れば製品2は吊り上げら
れ、繰り出せば製品2は吊り降ろされるという巻き上げ
操作が、前述の他のワイヤーを巻き取ればブーム4は起
立する方向に移動し、繰り出せばブーム4は伏せる方向
に移動するという起伏操作が出来る。その起伏操作によ
ってブーム4の起伏角度が変化し、ブーム4から吊り荷
に垂直に垂らしたワイヤーの水平到達距離が変化する。
【0028】それらの各操作は機械室13近傍の大型揚
重機1部分に装備された運転室から運転者が操作出来
る。この運転室には、ワイヤー3に加えられた吊り荷重
を検出する荷重計の表示器が運転者が見る事の出来る位
置に設置されている。
【0029】このような大型揚重機1は、大重量物を吊
る能力を与えられる関係上、ワイヤー3の直径は大き
く、巻き掛け回数も多くて、ワイヤー3自身の重量が大
きくなって、ワイヤー3がマスト12頂部とブーム4の
頂部との間で自重により垂れ下がったような形態とな
る。
【0030】図2に大型揚重機1による製品2の吊上げ
開始の状態から吊り上げる瞬間までの状態を側面図にて
示す。
【0031】上記、図1における大型揚重機1にかかる
荷重が無負荷状態(図2に破線で示す)から、図2
(a)に実線で示すごとく負荷状態になるに従い、即
ち、製品2の接地面にかかっていた荷重が、大型揚重機
1のワイヤー3を介して大型揚重機1側に移行するに伴
い、ワイヤー3は張った形態となり、ブーム4は前方方
向へ伏せる形態をとることになる。このように、製品2
の重量が荷重として接地面からワイヤー3に移りはじめ
ると、図2(a)の点線表示から実線表示の状態へブー
ム4の変位が生じ始める。
【0032】それに伴い、大型揚重機1のブーム4先端
部は製品2側の吊り点位置の鉛直線上からずれて、ブー
ム4から垂れ下げられたワイヤー3が斜めになる。この
ようになると、まだ接地している製品2側には、ブーム
4前方向へのテンションがワイヤー3を介して働くこと
となる。この状態で製品2が浮いて吊り上がった瞬間に
は、製品2は図2(b)の点線表示から実線表示のよう
に、水平方向フリーとなるため、上記テンションによっ
て前方、即ち図2(b)中の矢印の方向に振れる動きを
とる。
【0033】このため、製品2の搬出時、建物内の既設
設備が隣接する狭隘な環境下で何も対策を取らない場
合、吊り上げた瞬間に製品2は横振れを起し、既設設備
に衝突してしまう可能性がある。それを避けるために、
前述の起伏操作で予めブーム4先端部を吊り上げる製品
2の鉛直上に戻した状態で吊り上げる対策が考えられる
が、どの程度の戻しが必要になるか数値的な予測が難し
い。製品2を大型揚重機1でハンドリングする現場が、
大型揚重機1の運転席から見通せない原子炉建屋10内
であって、かつ製品2の隣接箇所には他の構造物が存在
して接触事故を起こし易い環境であることがそのハンド
リングの精度向上の要求に拍車をかけている。
【0034】そこで、三次元計測器を活用した本発明の
実施例を以下に示す。
【0035】ここでは、三次元計測器に光波式測量器を
用いた場合の具体例を以下に説明する。これは、光波式
測量器が発する光等の波が目標点に設置されている光学
測定用反射鏡によってはね返り、その光を光波式測量器
が受け止めることにより、目標点の位置を三次元の座標
として割り出すものである。
【0036】図3に三次元計測器を用いた大型揚重機に
よる製品の搬出の状況図を示す。
【0037】大型揚重機1のブーム4先端部に設置した
光学測定用の反射鏡8,8′の座標をブーム4先端部の
位置を読み取りできる範囲内に設定した三次元計測器7
にて読み取る。光学測定用の反射鏡8の座標から反射鏡
8′の座標を結ぶベクトル(ベクトルの方向は反射鏡8
の座標から反射鏡8′の座標方向)によりブーム4の向
きを表現することが出来、光学測定用の反射鏡8の座標
から反射鏡8′の座標を結ぶベクトルの地上面に水平な
成分をX軸、鉛直な成分をZ軸、地上面でX軸に直角な
方向をY軸、となるように座標を取り直し、点8を基準
(ゼロ)座標に置き換える。これは、クレーン運転者に
とっての前後方向をX軸、左右方向をY軸、上下方向を
Z軸とすることによって、基準点の移動量をクレーン運
転者にわかりやすくするためのものである。上記によ
り、大型揚重機1のブーム4の移動量を座標にて三次元
的に監視することを可能とする。
【0038】図4に実際に大型揚重機1にて製品2を吊
り上げる瞬間までのブームの移動量を三次元計測器7に
て監視する手順及び大型揚重機1の運転操作によるフィ
ードバック・補正を行う状況を示す。製品2は、当初、
原子炉格納容器内で蒸気発生器支持架台15で支持され
ているものとする。そして、その製品2の周りには、放
射線遮蔽壁16が構造物として隣接している。この放射
線遮蔽壁16には、製品2の位置を規制する手段として
ガイドローラ6が製品2の周囲の配置で取り付けられ、
ガイドローラ6のローラ面は製品2に対向し、ローラ面
は垂直面内で回転自在とされる。
【0039】本図に吊上げ開始前(大型揚重機1側に
製品2の荷重をかける前、大型揚重機1側:無負荷荷重
0t→製品2接地面:全荷重の際)に大型揚重機1のブ
ーム4先端部に設置された光学測定用の反射鏡8,8′
の座標を、大型揚重機1から離れた外部遮蔽壁14の高
所に設置した三次元計測器7にて読み取り、上述の方法
で座標変換したのち、点8を基準(ゼロ)座標に置き換
える。
【0040】本図は製品2接地面への荷重が大型揚重
機1側に移動を開始してからのブーム4先端の変位量を
定量化するため、ブーム4先端部に設置の光学測定用の
反射鏡8の位置を三次元計測器7にて読み取り、ブーム
4先端の移動後の座標を割り出す。
【0041】次に本図においては、ブーム4先端の移
動後の座標を大型揚重機1の運転操作にてフィードバッ
クするため、XYZ方向それぞれの移動量がクレーン運
転者に伝達される。この伝達方法は、一例として、三次
元計測器7を用いた測定を行う測定者から無線通信機で
クレーン運転者に伝達する方法が考えられる。クレーン
運転者は、大型揚重機1のブーム4起上及び、ワイヤー
3の巻き下げ操作を繰り返しながら、大型揚重機1のブ
ーム4先端の移動後の座標を荷重無負荷状態の基準座標
に戻すことにより、大型揚重機1のブーム4先端部と製
品2側の吊り点位置の鉛直線上のずれを補正する。
【0042】上記の本図によるブーム4先端の変位量
を三次元計測器7にて計測し、本図にてブーム4が変
位した分を大型揚重機1側の運転操作にてフィードバッ
クする一連の操作は、製品の全荷重の10%(この割合
は荷重試験などの経験からあらかじめ決めておく)が大
型揚重機側に移るのを大型揚重機1の荷重計の表示器を
見て製品の全荷重の10%毎に繰り返し行う。
【0043】本図は製品2を最終的に吊上げる直前に
大型揚重機1のブーム4先端部に設置された光学測定用
の反射鏡8の座標を計測し、大型揚重機1のブーム4先
端部と製品2側の吊り点位置の鉛直線上のずれの無いこ
とを確認してから、製品2の全荷重が大型揚重機1側に
移動し製品2が接地面から離れることにより、大重量の
製品2は横移動すること無く、吊上げることが可能とな
る。
【0044】地切りした製品2は、既設設備でもある放
射線遮蔽壁16が隣接する狭隘なスペースを大型揚重機
1の操作によって上方向に移動することになるが、風な
どの外的要因により、製品2が横振れを開始すると、放
射線遮蔽壁16に衝突するなどの恐れがあり、放射線遮
蔽壁16を破損至らしめるなど大変危険である。図5は
放射線遮蔽壁16にガイドローラ6を設置し、製品2の
位置を一定の範囲内に規制して横振れを抑え、製品2の
スムーズな誘導を助ける状態を表している。この方法に
より、地切り後に大型揚重機1のワイヤー3のみで支え
られた不安定な体勢の製品2は、放射線遮蔽壁16に設
置されたガイドローラ6によって位置が大幅に横方向に
移動しないように規制されて誘導され、横振れすること
なく安全に搬出されることが可能となる。
【0045】一方、大型揚重機1による製品2の搬入・
据付においては、製品が着地する前(大型揚重機1側よ
り製品2の設定部に製品2の荷重をあずける前)に大型
揚重機1のブーム4先端部に設置された光学測定用の反
射鏡8,8′の座標を三次元計測器7にて読み取り、上
述の方法で座標変換したのち、点8を基準(ゼロ)座標
に置き換える。
【0046】大型揚重機1側の負荷荷重が順次低減さ
れ、全荷重が製品2の設定部にかかるまでのブーム4先
端部の変位量を定量化するため、ブーム4先端部に設置
の光学測定用の反射鏡8の位置を三次元計測器7にて読
み取り、ブーム4先端の移動後の座標を割り出す。
【0047】ブーム4先端の移動後の座標を大型揚重機
1の運転操作にてフィードバックするため、XYZ方向
それぞれの移動量がクレーン運転者に伝えられる。クレ
ーン運転者は、大型揚重機1のブーム4の伏せ下げ及
び、ワイヤー3の巻き上げ操作を繰り返しながら、大型
揚重機1のブーム4先端の移動後の座標を基準(ゼロ)
座標に戻すことにより、大型揚重機1のブーム4先端部
と製品2側の吊り点位置の鉛直線上のずれを補正する。
【0048】上記のブーム4先端の変位量を三次元計測
器7にて計測し、ブーム4が変位した分を大型揚重機1
側の運転操作にてフィードバックする一連の操作は、製
品の全荷重の10%(この割合は荷重試験などの経験か
らあらかじめ決めておく)が製品2の設定部側に移る毎
に繰り返し行う。
【0049】製品2を最終的に設定する直前に大型揚重
機1のブーム4先端部に設置された光学測定用の反射鏡
8の座標を計測し、大型揚重機1のブーム4先端部と製
品2側の吊り点位置の鉛直線上のずれの無いことを確認
してから、製品2の全荷重が製品2の設定部に移動し、
大型揚重機側の全負荷荷重が抜けることにより、大型揚
重機1のワイヤー3から製品2へかかる水平荷重を回避
し、製品2設定時の衝撃荷重をコントロールしながら搬
入することが可能となる。
【0050】大型揚重機1による製品2の搬入・据付に
おいて、着地する前の製品2は、大型揚重機1のワイヤ
ー3のみで支えられた不安定な体勢であり、風などの外
的要因により横触れを開始すると、放射線遮蔽壁16に
衝突するなどの恐れがあり大変危険である。よって、搬
出と同様に、放射線遮蔽壁16に設置されたガイドロー
ラ6は、製品2の横触れを抑え、製品2をスムーズに誘
導し、製品2の搬入における製品2の横触れを抑制する
ことを可能にする。また、製品2が着地し、その全荷重
を設定部にあずけるとき、大型揚重機1のワイヤー3か
らかかる水平荷重が上記の方法で完全には回避されなか
った場合にも、放射線遮蔽壁16に設置されたガイドロ
ーラ6が、製品2が設定部から横ずれを起こすことを抑
える役割を果たす。
【0051】以上のように、製品2は放射線遮蔽壁16
内を上下方向に通過するようにハンドリングされる。そ
の通過に際して、製品2から外方向に突き出た部分、例
えばノズルなどの部分、と放射線遮蔽壁16の内面から
製品2方向に突き出た部分とが上下方向においてぶつか
るなどの危険を避けるために以下の設備が用意されてい
る。
【0052】即ち、製品2には、製品2に一端が連結さ
れて製品2に水平右巻きに巻かれたワイヤー(以下、右
巻きワイヤーという。)と同じく水平左巻に巻かれたワ
イヤー(以下、左巻きワイヤーという。)とを備える。
その一方、放射線遮蔽壁16には前述の左巻きワイヤー
と右巻きワイヤーとの他端に対して着脱自在なチェーン
ブロックが高さ方向に何個所か装備される。
【0053】そして、放射線遮蔽壁16内を製品2が上
方向又は下方向へ通過して行く際に、互いに突き出た部
分が上下方向で接触しそうな場合には、左巻きワイヤー
と右巻きワイヤーのいずれかのワイヤーを製品2を水平
面で自転させたい方向に合わせて選択し、その選択した
ワイヤーを最寄りの高さのチェーンブロックに連結し、
その選択したワイヤーをチェーンブロックの操作で引
く。
【0054】その選択したワイヤーを引くことで製品2
は選択したワイヤーの製品への巻き方向と同方向へ水平
面内での自転作用を始める。
【0055】その自転で相互の突き出し部が回転方向に
相対的にずれたところでチェーンブロックの操作を止め
て製品の自転を停止させ、チェーンブロックと選択した
ワイヤーとの連結を解いて、引き続いて目的の上方向乃
至は下方向へ移動させる作業を継続する。
【0056】チェーンブロックと選択したワイヤーとの
連結を解いた場合に、元の回転位置に製品2が戻るよう
であれば、その連結を解かずに、製品2の上下方向の移
動に応じて、選択したワイヤーを緩めるようにチェーン
ブロック操作して元の回転位置に製品2が戻ることを阻
止しながら製品2を上下方向に移動させる。
【0057】反対方向へ製品2を自転させるには、選択
するワイヤーを変えて同様なことを行えばよい。
【0058】又、製品2の自転は、製品2の据付け位置
や製品に接続する配管などの接続物への位置合わせに際
して行って、迅速かつ容易で精度の良い据付けなどの作
業を達成出来る。
【0059】このように、放射線遮蔽壁16内という狭
隘部での製品2のハンドリングを安全且つ精度良く行
う。
【0060】放射線遮蔽壁16には高さ方向に何点かチ
ェーンブロックの一端を着脱自在に連結する連結具が固
定設置される。そのチェーンブロックの他端に着脱自在
なワイヤーが製品に水平右巻きに、同じく他のワイヤー
が水平左巻きに巻かれている。
【0061】本発明の実施例によれば、ハンドリング対
象の建屋内の製品2の周囲に既設設備が隣接する狭隘な
環境下で、製品の地切り時に製品が既設設備と衝突する
などの危険を回避し、製品の高精度なハンドリング制御
を可能とするため、運転プラントの保守性及び作業安全
性を向上させる効果が得られる。
【0062】その地切り時の作業とは逆のハンドリング
である新しく製品2を搬入する作業に当たって、建屋内
に搬入してきた製品2とその製品2の取付け位置との合
わせ作業あるいは、新しく搬入した製品と既設の配管と
の合わせ作業において、偏荷重・衝撃荷重の管理及び製
品微調整等の高精度な搬入・据付管理が可能となるた
め、プラント保守性及び作業安全性を向上させる効果が
得られる。
【0063】また、製品2側の吊り点位置の鉛直線上と
大型揚重機1のブーム4の先端部との間のずれを迅速に
管理することが可能となり、大型揚重機のブーム操作の
精度を向上させる効果が得られる。
【0064】さらには、製品2側の吊り点位置の鉛直線
上と大型揚重機1のブーム4の先端部との間のずれを三
次元計測器を用いて三次元的に管理することが可能とな
り、大型揚重機のブーム操作の精度を一層向上させる効
果が得られる。
【0065】また、製品2の建屋に対する搬出・搬入の
過程において製品2の横振れを抑制し、製品2のスムー
ズな誘導をガイドローラ6で達成して、建屋内の既設設
備が隣接する狭隘な環境下で、製品と既設設備が衝突す
るなどの危険を回避し、製品2の建屋からの搬出・搬入
作業の安全性を更に向上させる効果が得られる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、建屋外部の揚重機で建
屋内の機器をハンドリングする際に、既設設備が隣接す
る狭隘な環境下で機器の高精度なハンドリング制御が可
能となる為、その建屋が所属するプラントの保守性及び
作業安全性を向上させる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いられる大型揚重機による
製品の吊上げ前の状態を示す大型揚重機の側面図であ
る。
【図2】図1の大型揚重機による製品の吊り上げ開始の
状態の側面図を(a)図で、吊り上げ直後の瞬間の状態
の製品の横振れを(b)図にて示した図である。
【図3】本発明の実施例による三次元計測器を用いての
大型揚重機による製品の搬出及び搬入・据付の状況を示
した解説図である。
【図4】本発明の実施例による大型揚重機にて製品を吊
り上げる(地切り)までのブームの変位量を三次元計測
にて監視した手順及び大型揚重機の運転操作に
よりフィードバック・補正をする状況を示す解説図であ
る。
【図5】本発明の実施例におけるガイドローラの設置例
を示した解説図である。
【符号の説明】
1…大型揚重機、2…製品、3…ワイヤー、4…ブー
ム、6…ガイドローラ、7…三次元計測器、10…原子
炉格納容器。
フロントページの続き (72)発明者 三浦 淳 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 宮原 良平 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 後田 孝一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 Fターム(参考) 3F205 AA05 BA06 CA01 DA01 HA02 HA06 HA10 HB03 HC10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建屋外に配備された揚重機のブームから垂
    らしたワイヤーで前記建屋内の機器を吊って前記建屋上
    方に設けた開口から前記建屋外へ搬出する際に、前記機
    器の自重が前記ワイヤーに加えられてから前記機器が浮
    く以前に、前記ブームを起立方向に移動することによっ
    て、前記機器に加えられる前記ワイヤーからの水平力を
    緩和する建屋外揚重機による建屋内における機器のハン
    ドリング方法。
  2. 【請求項2】建屋外に配備された揚重機のブームから垂
    らしたワイヤーで吊った機器を前記建屋上方に設けた開
    口を通して前記建屋内に搬入して、前記建屋内の所望の
    位置に前記機器を吊り降ろす際に、前記機器が前記位置
    に着地してから前記機器の自重がまだ前記ワイヤーに残
    っている時点で、前記ブームを伏せる方向に移動するこ
    とによって、前記機器に加えられる前記ワイヤーからの
    水平力を緩和する建屋外揚重機による建屋内における機
    器のハンドリング方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、前記ワ
    イヤーに加えられた前記機器の自重の変化で変化した前
    記ブームの起伏方向の変化を前記揚重機外から計測し、
    前記ブームの起伏角度を前記変化前の前記ブームの起伏
    角度に修正する建屋外揚重機による建屋内における機器
    のハンドリング方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記ブームの位置を、
    前記ワイヤーの前記ブームへの掛け位置近傍の前記ブー
    ムの部位に基準座標点を設定し、前記基準座標点の位置
    を三次元計測器で計測する建屋外揚重機による建屋内に
    おける機器のハンドリング方法。
  5. 【請求項5】請求項3において、前記機器が据え付けら
    れる位置に隣接して前記建屋内の既設物に前記機器の位
    置を規制する手段を装備し、前記規制する手段に沿って
    前記機器を吊り上げ又は吊り降ろし方向に移動させる建
    屋外揚重機による建屋内における機器のハンドリング方
    法。
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