JP2000176643A - 溶接部に酸化不動態膜を形成する方法 - Google Patents

溶接部に酸化不動態膜を形成する方法

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JP2000176643A
JP2000176643A JP10354587A JP35458798A JP2000176643A JP 2000176643 A JP2000176643 A JP 2000176643A JP 10354587 A JP10354587 A JP 10354587A JP 35458798 A JP35458798 A JP 35458798A JP 2000176643 A JP2000176643 A JP 2000176643A
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茂樹 東
Hiromasa Hirata
弘征 平田
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良富 山下
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KYODO SANSO
Kyodo Oxygen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内面に酸化クロム不動態膜が形成されたフェ
ライト系ステンレス鋼管の溶接時に消失した酸化クロム
不動態膜を修復する。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼管(C:0.01%以
下、Si:0.10%以下、Mn:0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.0
02%以下、Cu:0.2%以下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5
%、Mo:0.75〜1.50%、sol.Al:0.010%以下、N:0.010%以
下、Nb:0.05〜0.20%で、かつC+Nが0.015%以下を満足
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる)の内面に
酸化クロム不動態膜が形成された配管の溶接において、
溶接時のバックシールドガスならびに溶接部および溶接
熱影響部に酸化不動態膜形成時の雰囲気ガスとして、10
〜30ppmの酸素を含む不活性ガスを管内面に流し、管内
面の溶接部および溶接熱影響部に酸化クロムを主体とす
る不動態膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼の溶接部ならびに溶接部近傍の溶接熱影響部
(以下HAZという)にクロム酸化膜を主成分とする酸化不
動態膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体業界においては、半導体素子の高
集積化・高性能化がますます進行し、超LSIと称される
デバイスでは、幅が1μm以下の微細パターンの加工が必
要とされている。このような超LSI製造プロセスでは、
微小な塵や微量の不純物ガスであっても配線パターンに
付着または吸着すると、回路不良等の原因となるため、
それに対応できる高真空、高清浄な雰囲気の製造装置が
求められている。
【0003】超高真空、超高清浄雰囲気を作るには、装置な
らびにガス供給配管系の接ガス面からの放出ガスを完全
に抑えることが必要である。接ガス面からの放出ガスを
完全に抑えるには、接ガス面に酸化不動態膜を形成する
のが効果的であることが知られている。
【0004】しかし、最近においては、装置が一層大型化、
複雑化しており、酸化不動態膜を形成後に、配管および
装置間等を溶接により接続すると、溶接部およびHAZの
酸化不動態膜が消失して無くなるため、ガスが吸脱着し
易く、溶接箇所が多くなるとそこからの放出ガスが無視
できない程度となり、雰囲気が汚染されるという問題が
発生する。また、腐食性ガスを用いる装置、配管系で
は、溶接部が腐食され、それによって雰囲気が汚染され
るという問題があった。
【0005】溶接部に酸化不動態膜を形成する方法として
は、従来はオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS
316Lなど)の溶接部を電解複合研磨することによって、
溶接部表面を微結晶化させ、クロムを拡散させ易くした
状態で酸化不動態処理を行うか、あるいはクロムの拡散
が優れるフェライト系ステンレス鋼を用いて溶接を行
い、溶接終了後に酸化クロム不動態処理を行う方法が知
られている。
【0006】また、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接工
程中に1ppb〜50ppmの酸素ガスを含有した不活性ガスか
らなるバックシールドガスを流し、溶接部表面に酸化ク
ロムを主成分とする酸化不動態膜を形成する方法、溶接
後に、超純水洗浄を施し、溶接部下流に付着した金属ヒ
ュームを除去した後に、1ppb〜50ppmの酸素ガスを含有
した不活性ガスからなるバックシールドガスを流し、溶
接部表面に酸化クロムを主成分とする酸化不動態膜を形
成し、酸化クロムを主成分とする酸化不動態膜を前記溶
接部に形成する方法(特開平6-39543号公報)が提案され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記オーステナイト系
ステンレス鋼の溶接部を電解研磨したのち、酸化クロム
不動態処理を行うか、あるいはフェライト系ステンレス
鋼を用いて溶接を行い、溶接終了後に酸化クロム不動態
処理を行う方法は、溶接終了後に酸化クロム不動態処理
を行うため、酸化クロム不動態処理が施されているガス
配管および部材を溶接する場合、再度酸化クロム不動態
処理が必要で、手間と時間がかかっていた。
【0008】また、特開平6-39543号公報に開示の溶接方法
は、実施例からも明らかなとおり、オーステナイト系ス
テンレス鋼(SUS316L)の溶接部を対象としており、電解
研磨したのち酸化処理して酸化不動態膜を形成したSUS3
16L鋼管を溶接すると、溶接部表面の酸化不動態膜は酸
化クロム(Cr2O3)を主成分とするが、酸化不動態膜にNi2
O3、Fe2O3が含まれるため、ハロゲンガスがFe、Ni酸化
皮膜に侵入し、耐食性が十分でない。また、水分吸着エ
ネルギーが大きいため、水分の吸着、放出量が多い。さ
らに、Niの触媒作用により、シラン系ガスの変質が加速
するという欠点を有している。
【0009】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消
し、内面に酸化クロム不動態膜が形成されたフェライト
系ステンレス鋼管の溶接において、酸化クロム不動態膜
が消失する溶接部ならびにHAZに、酸化クロムを主体と
する不動態膜を形成できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の溶接部に酸化不
動態膜を形成する方法は、重量%で、C:0.01%以下、Si:
0.10%以下、Mn:0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.002%以
下、Cu:0.2%以下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5%、Mo:
0.75〜1.50%、sol.Al:0.010%以下、N:0.010%以下、Nb:
0.05〜0.20%で、かつC+Nが0.015%以下を満足し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレ
ス鋼管の内面に酸化クロム不動態膜が形成された配管の
溶接において、溶接時のバックシールドガスならびに溶
接部およびHAZに酸化不動態膜形成時の雰囲気ガスとし
て、10〜30ppmの酸素を含む不活性ガスを管内面に流
し、管内面の溶接部およびHAZに酸化クロムを主体とす
る不動態膜を形成することを特徴としている。
【0011】また、本発明の溶接部に酸化不動態膜を形成す
る方法は、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.10%以下、Mn:
0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cu:0.2%以
下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5%、Mo:0.75〜1.50%、s
ol.Al:0.010%以下、N:0.010%以下、Nb:0.05〜0.20%で、
かつC+Nが0.015%以下を満足し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼管の内面に
酸化クロム不動態膜が形成された配管の溶接において、
10〜30ppmの酸素を含む不活性ガスを管内面にバックシ
ールドガスとして流しながら溶接した後、溶接部および
HAZを600〜1000℃に加熱しながら、10〜30ppmの酸素を
含む不活性ガスを管内面に雰囲気ガスとして流し、管内
面の溶接部およびHAZに酸化クロムを主体とする不動態
膜を形成することを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】256Mbit以上の超高集積半導体の
製造においては、装置ならびにガス供給配管系の材料と
して、パーティクル、金属腐食等の発塵に加え、水分放
出とガス変質の極低化も必要である。
【0013】オーステナイト系ステンレス鋼管の場合、電解
研磨表面ではハロゲンガスがFe、Ni酸化皮膜に侵入して
腐食させる。また、オーステナイト系ステンレス鋼管の
電解研磨表面では、水分吸着エネルギーが大きいため、
水分の吸着、放出量が多い。さらに、Niの触媒作用によ
ってシラン系ガスの変質が加速するという問題点を有し
ている。
【0014】また、オーステナイト系ステンレス鋼管の場
合、Mn、Al、S、Oの含有量が多いため、母材成分に比較
して溶接ヒュームはMn、酸化スラグはAlが主成分とな
り、Mnヒューム付着部の皮膜中のCr含有率が低下し、金
属腐食生成物が増加して発塵量が増大する。また、S、O
による溶接ビードの粗さ増大が原因となって、溶接ビー
ド表面の粗さが劣化する。
【0015】これに対し、本発明の特定化学成分のフェライ
ト系ステンレス鋼管の場合は、Mnが0.02%、Sが0.002%、
sol.Alが0.010%と少なく、Crが25〜27.5%と多いため、
酸化不動態処理によって溶接部ならびにHAZに100%Cr2O3
皮膜による不活性表面が形成される。この結果、溶接部
ならびにHAZのCr2O3表面では、ハロゲンガスの吸着のみ
で腐食しない。また、水分吸着エネルギーが小さいた
め、物理吸着のみで水分放出量が少ない。さらに、Niの
触媒作用がなく、シラン系ガスの変質もない。
【0016】本発明において、溶接時のバックシールドガ
ス、アークガスならびに酸化不動態処理時の雰囲気ガス
として使用する不活性ガス中の酸素含有量を10〜30ppm
としたのは、10ppm未満では溶接部ならびにHAZにおいて
十分にクロムの酸化皮膜が成長せず、また、30ppmを超
えるとクロムと一緒に鉄も酸化され、耐食性に優れた10
0%Cr2O3皮膜を形成できないからである。
【0017】本発明で用いる酸素を10〜30ppm含有する不活
性ガスとしては、酸素ガスを10〜30ppm添加したアルゴ
ンガスを用いるのが一般的であるが、酸素ガスを10〜30
ppm添加した水素を0%〜10%含むアルゴンガスまたはヘリ
ウムおよびその混合ガスを使用してもよい。水素を0%〜
10%含有することによって、溶接部が還元されながら酸
化が進むため、溶接部の表面粗さが細かくなる。また、
酸素ガスに変えて水分を10〜30ppm含有する不活性ガス
を用いることもできる。
【0018】本発明において、酸化不動態処理時の溶接部お
よびHAZの温度を600〜1000℃としたのは、600℃未満で
はCrの拡散が十分に生じないため、十分な耐食性と厚さ
を有する100%酸化クロムが形成できず、また、1000℃を
超えると溶接部およびHAZが溶融してCr2O3皮膜を形成す
ることができないからである。
【0019】本発明において、酸化不動態処理の溶接部およ
びHAZの温度を600〜1000℃とするには、溶接機の使用電
流を溶接時に比較して低下させることにより行うことも
できる。また、溶接機の下流側に高周波誘導加熱装置等
の加熱装置を設置することにより行うこともできる。
【0020】
【実施例】実施例1 重量%で、C:0.0049%、Si:0.05%、Mn:0.02%、P:0.003%、
S:0.001%、Cu:0.01%、Ni:0.06%、Cr:25.80%、Mo:0.97
%、N:0.0033%、Nb:0.11%を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる外径6.35mm、肉厚1.0mmのフェライ
ト系ステンレス鋼管を、電解研磨したのち、水分を16pp
mに調整した水素ガス(露点-57℃)を内面に流しながら、
890℃に保持した加熱炉内に送り速度0.4m/minで挿入し
て10分保持し、酸化不動態処理して内表面に100%Cr2O3
皮膜を形成した。
【0021】この鋼管を用いて、アルゴンガスアーク溶接法
により、フェライト系ステンレス鋼管の短管の突き合わ
せ溶接を3回行った。溶接機は、ケジョン社製のケージ
ョン溶接機を使用し、溶接中のアークガス、バックシー
ルドガスとしては、20ppmの酸素を含むアルゴンガス
を、アークガスとして7l/min、バックシールドガスとし
て5.0l/min使用した。得られた溶接管は、管内面に雰囲
気ガスとしてバックシールドガスと同じ20ppmの酸素を
含むアルゴンガスを5.0l/minで流しながら、溶接機の電
流を溶接時の1/3程度に低下させて溶接部の平均温度850
℃で30秒間酸化不動態処理し、溶接時に消失した溶接部
ならびにHAZのCr2O3皮膜の修復を行った。また、溶接機
の出側に高周波加熱装置を設置し、管内面に雰囲気ガス
としてバックシールドガスと同じ20ppmの酸素を含むア
ルゴンガスを5.0l/minで流しながら、溶接部の平均温度
850℃で30秒間酸化不動態処理し、溶接時に消失した溶
接部ならびにHAZのCr2O3皮膜の修復を行った。
【0022】得られた溶接のままの溶接管、溶接機および高
周波加熱装置により加熱しながら酸化不動態処理して溶
接時に消失した溶接部ならびにHAZのCr2O3皮膜の修復を
行った溶接管を二つ割に切断して管内面の溶接部表面の
深さ方向の元素分析を二次イオン質量分析計により調査
した。その結果を図1〜図3に示す。なお、図1〜図3の横
軸は、スパッタによる表面のエッチング時間であり、1
分のエッチング時間は約40Åの膜厚に対応する。その結
果、図1から明らかなように、溶接ままではクロム濃化
層の厚さが極めて薄い。しかし、図2、図3に示すよう
に、溶接機および高周波加熱装置により加熱しながら酸
化不動態処理して溶接時に消失した溶接部ならびにHAZ
のCr2O3皮膜の修復を行った場合は、溶接部表面に100%C
r2O3の酸化不動態膜が150Å以上の厚さで形成してい
る。
【0023】実施例2 実施例1で使用したと同じ内表面に100%Cr2O3皮膜を形成
した外径6.35mm、肉厚1.0mのフェライト系ステンレス鋼
管の短管の溶接を行った。溶接機としては、ダイメトリ
クス社製のダイメトリクスセンター3(A-1ヘッド)を用い
た。溶接中のアークガスおよびバックシールドガスとし
ては、20ppmの酸素を含むアルゴンガスを、アークガス
として7l/min、バックシールドガスとして5l/min使用し
た。得られた各溶接管は、管内面に雰囲気ガスとしてバ
ックシールドガスと同じ20ppmの酸素を含むアルゴンガ
スを5l/minで流しながら、溶接機の電流を調整して溶接
部の平均温度を550〜1050℃の範囲で変化させ、30秒間
酸化不動態処理して溶接時に消失した溶接部ならびにHA
ZのCr2O3皮膜の修復を行った。
【0024】得られた各溶接管は、切断して二つ割にし、管
内の溶接部表面の深さ方向の元素分析を二次イオン質量
分析計により行い、Cr2O3不動態膜の膜厚の測定を行っ
た。その結果を図4に示す。図4はその時の不動態処理温
度依存性を示すグラフである。
【0025】図4に示すように、不動態処理温度が600〜1000
℃では、ほぼ100%Cr2O3の不動態膜が150Å以上の厚さで
形成している。しかし、不動態処理温度が550℃では、
皮膜厚さが100Å以下となった。また、不動態処理温度
が1050℃では、皮膜厚さは十分であるものの、皮膜中の
Cr濃度が70%以下であった。
【0026】実施例3 アルゴンガスアーク溶接法により、実施例1と同じ内表
面に100%Cr2O3皮膜を形成したフェライト系ステンレス
鋼管の短管の溶接を行った。溶接機は、試験No.1〜6を
ダイメトリクス社製のダイメトリクスセンター3(A-1ヘ
ッド)、試験No.7〜12をケジョン社製のケージョンを用
いた。溶接中のアークガスおよびバックシールドガスと
しては、1〜60ppmの酸素を含むアルゴンガスを、アーク
ガスとして7l/min、バックシールドガスとして5l/min使
用した。得られた各溶接管は、管内面に雰囲気ガスとし
てバックシールドガスと同じ1〜60ppmの酸素を含むアル
ゴンガスを5l/minで流しながら、溶接機の電流を溶接時
の1/3程度に低下させて850℃で30秒間酸化不動態処理
し、溶接時に消失した溶接部ならびに溶接熱影響部のCr
2O 3皮膜の修復を行った。
【0027】得られた各供試材は、ハステロイ容器内にセッ
トしたのち、真空引きし、次いでアルゴンガスを1l/min
で流しながら一晩アルゴンガスでパージした。そして、
各ハステロイ容器内に10%HClガスを2kg/cm2封入し、25
℃に保持した恒温恒湿槽内で24時間暴露したのち、HCl
ガスを窒素ガスでパージし、大気解放して倍率40倍の顕
微鏡を用いて表面観察を行った。その結果を表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示すように、10〜30ppmの酸素を含むアル
ゴンガスを溶接時のバックシールドガスおよび酸化不動
態処理時の雰囲気ガスとして使用した試験No.3〜5、9〜
11では、溶接部ならびにHAZのCr2O3皮膜が修復され、HC
lガスによる腐食は認められなかった。しかし、1ppm、5
ppm、60ppmの酸素を含むアルゴンガスを溶接時のバック
シールドガスおよび酸化不動態処理時の雰囲気ガスとし
て使用した試験1、2、6〜8、12では、溶接時に消失した
溶接部のCr2O3皮膜の修復が十分でなく、溶接部ならび
にHAZに腐食あるいは孔食が見られた。
【0030】実施例4 実施例3と同じ内表面に100%Cr2O3皮膜を形成したフェラ
イト系ステンレス鋼管の短管の溶接を行った。溶接機と
しては、試験No.13〜18をダイメイト社製のダイメトリ
クスセンター3(A-1ヘッド)、試験No.19〜24をケジョン
社製のケージョンを用いた。溶接中のバックシールドガ
スおよびアークガスとしては、1〜60ppmの酸素を含むア
ルゴンガスを使用した。得られた各溶接管は、管内面に
雰囲気ガスとしてバックシールドガスと同じ1〜60ppmの
酸素を含むアルゴンガスを流しながら、溶接機の電流を
溶接時の1/3に低下させて850℃で30秒間酸化不動態処理
し、溶接時に消失した溶接部ならびにHAZのCr2O3皮膜の
修復を行った。
【0031】得られた各溶接管は、ハステロイ容器内にセッ
トしたのち、真空引きし、次いでアルゴンガスを1l/min
で流しながら一晩アルゴンガスでパージした。そして、
各ハステロイ容器内に10%HClガスを2kg/cm2封入し、80
℃に保持した恒温恒湿槽内で24時間暴露したのち、封入
したHClガスを窒素ガスでパージし、大気解放して倍率4
0倍の顕微鏡を用いて表面観察を行った。その結果を表2
に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2に示すように、10〜30ppmの酸素を含むアル
ゴンガスを溶接時のバックシールドガスおよび酸化不動
態処理時の雰囲気ガスとして使用した試験No.15〜17、2
1〜23では、溶接部ならびにHAZのCr2O3皮膜が修復さ
れ、HClガスによる腐食は認められなかった。しかし、1
ppm、5ppm、60ppmの酸素を含むアルゴンガスを溶接時の
バックシールドガスおよび酸化不動態処理時の雰囲気ガ
スとして使用した試験No.13、14、18〜20、24では、溶
接時に消失した溶接部のCr2O3皮膜の修復が十分でな
く、溶接部ならびにHAZに全面腐食が見られた。
【0034】
【発明の効果】本発明の溶接部に酸化不動態膜を形成す
る方法は、重量%で、C:0.01%以下、Si:0.10%以下、Mn:
0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cu:0.2%以
下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5%、Mo:0.75〜1.50%、s
ol.Al:0.010%以下、N:0.010%以下、Nb:0.05〜0.20%で、
かつC+Nが0.015%以下を満足し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼管の内面に
酸化クロム不動態膜が形成された配管の溶接において、
溶接時のバックシールドガスならびに溶接部およびHAZ
に酸化不動態膜形成時の雰囲気ガスとして、10〜30ppm
の酸素を含む不活性ガスを管内面に流し、管内面の溶接
部およびHAZに酸化クロムを主体とする不動態膜を形成
することによって、溶接時に消失した管内面の溶接部お
よびHAZを100%酸化クロムの不動態膜で修復することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における溶接ままの溶接部のエッチング
時間とクロム酸化皮膜の深さ方向の元素含有率との関係
を示すグラフである。
【図2】実施例1における溶接機により加熱しながら酸化
不動態処理した溶接部のエッチング時間とクロム酸化皮
膜の深さ方向の元素含有率との関係を示すグラフであ
る。
【図3】実施例1における高周波加熱装置により加熱しな
がら酸化不動態処理した溶接部のエッチング時間とクロ
ム酸化皮膜の深さ方向の元素含有率との関係を示すグラ
フである。
【図4】実施例2における酸化不動態処理時の不動態処理
平均温度と100%Cr2O3の皮膜厚さとの関係を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/48 C22C 38/48 (72)発明者 平田 弘征 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 山下 良富 和歌山県和歌山市湊1850番地 共同酸素株 式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB06 CA03 CC03 DD01 DD05 DG04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.10%以下、M
    n:0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cu:0.2%以
    下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5%、Mo:0.75〜1.50%、s
    ol.Al:0.010%以下、N:0.010%以下、Nb:0.05〜0.20%で、
    かつC+Nが0.015%以下を満足し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼管の内面に
    酸化クロム不動態膜が形成された配管の溶接において、
    溶接時のバックシールドガスならびに溶接部および溶接
    熱影響部に酸化不動態膜形成時の雰囲気ガスとして、10
    〜30ppmの酸素を含む不活性ガスを管内面に流し、管内
    面の溶接部および溶接熱影響部に酸化クロムを主体とす
    る不動態膜を形成することを特徴とする溶接部に酸化不
    動態膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.10%以下、M
    n:0.02%以下、P:0.02%以下、S:0.002%以下、Cu:0.2%以
    下、Ni:0.5%以下、Cr:25.0〜27.5%、Mo:0.75〜1.50%、s
    ol.Al:0.010%以下、N:0.010%以下、Nb:0.05〜0.20%で、
    かつC+Nが0.015%以下を満足し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼管の内面に
    酸化クロム不動態膜が形成された配管の溶接において、
    10〜30ppmの酸素を含む不活性ガスを管内面にバックシ
    ールドガスとして流しながら溶接した後、溶接部および
    溶接熱影響部を600〜1000℃に加熱しながら、10〜30ppm
    の酸素を含む不活性ガスを管内面に雰囲気ガスとして流
    し、管内面の溶接部および溶接熱影響部に酸化クロムを
    主体とする不動態膜を形成することを特徴とする溶接部
    に酸化不動態膜を形成する方法。
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