JP2004315975A - フェライト系ステンレス鋼及び接流体部品並びに酸化不動態膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
金属汚染フリー、放出ガス特性、非触媒性及び耐腐食性に優れた超高純度流体供給システム、プロセス装置、接流体部品を提供すること。
【構成】 Mn:0.03重量%以下、S:0.001重量%以下、Cu:0.05重量%以下、C:0.01重量%以下、Al:0.01重量%以下であるフェライト系ステンレス鋼の表面を電解研磨し、次いで、不活性ガス中においてベーキングを行うことにより該ステンレス鋼の表面から水分を除去し、次いで、不活性ガスと、500ppb〜2%のH2Oガスとの混合ガス雰囲気中において、300℃〜600℃の温度で熱処理を行うことにより最表面に非晶質のクロム酸化物からなる層を有する酸化不動態膜を形成することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明者は、電解研磨を施すのみでクロム酸化物よりなる層を最表面に有する不動態膜の形成が可能な技術を鋭意探求した。
かかる着想に基づき、フェライト系ステンレス鋼につき不動態膜の形成を試みた。
本発明では、フェライト系ステンレス鋼を対象とする。特に、Mn:0.03重量%以下、S:0.001重量%以下、Cu:0.05重量%以下、C:0.01重量%以下、Al:0.01重量%以下とする。これらの成分を上記組成範囲に制限することは、前述したように、耐食性の向上、緻密な酸化不動態膜の形成にとって不可欠である。
Cr29重量%以上とし、かつ、CとNの合計量を0.01重量以下とすることが好ましい。従来、SUSU304に代表されるオーステナイト系ステンレスにおいては、溶接を行った場合、溶接部(溶接ビード部)におけるCr濃度は著しく低下し、12重量%以下になることもある。その結果、溶接部における耐食性の劣化を招き、また、酸化不動態処理を行ってもクロムを主成分とする酸化不動態膜が必ずしも形成されなくなるという問題がある。
本発明では電解研磨を行う。ただし、電解複合研磨等により加工変質層の形成を行う必要はない。従って、例えば、1/4インチより細い径を有する管の内面にも最表面がクロム酸化物からなる層を有する不動態膜を確実に形成することが可能となる。
本発明では、電解研磨後、不活性ガス中においてベーキングを行うことによりステンレス鋼の表面から水分を除去する。ベーキング温度、時間としては、付着水分の除去が可能な温度であれば特に限定されないが、例えば、少なくとも150℃から200℃あるいはそれより高い400℃〜500℃の温度で行えばよい。ただ、フェライト系ステンレス鋼の場合は、475℃脆性が生じるためこの温度への加熱は避けてベーキングを行うことが好ましい。なお、ベーキングは、水分含有量が数ppm以下(より好ましくは数ppb以下)の不活性ガス(例えば、Arガス、N2ガス)雰囲気中で行うことが好ましい。
次いで、
不活性ガスと、
500ppb〜2%のH2Oガスと、
の混合ガスの弱酸化性雰囲気中において、300℃〜600℃の温度で熱処理を行う。あるいは、
不活性ガスと、
4ppm〜1%の酸素ガスと、
の混合ガスの弱酸化性雰囲気中において、300℃〜600℃の温度で熱処理を行う。
H2Oガスは、500ppb〜2%とするが、500ppb未満では、酸化クロムのみからなる層を表面に形成することはできず、表面が鉄酸化物とクロム酸化物との混合組成となってしまう。
一方、2%を越えると鉄酸化物を主成分とし、しかもポーラスな不動態膜が形成されてしまい、耐食性が悪くなる。
上記雰囲気ガス中に水素を10%以下添加することが好ましい。水素ガス添加の効果は前述した通りである。すなわち、鉄酸化物を還元する作用を担っている。特に、ラジカル化した水素はその作用が顕著である。
熱処理温度は、300℃〜600℃である。300℃未満では、熱処理時間を長くしてもクロム酸化物のみからなる層の厚さを厚く形成することはできない。逆に600℃を越えると、鉄酸化物を偏析した状態で含む層が表面に形成されるとともに、不動態膜全体としても不均一な組成となり、耐食性の悪い不動態膜が形成されてしまう。これは、C量を減少させたとはいえ、600℃を超えると母材においてクロムカーバイト(例えば、Cr23C6等)が析出し、この析出物のためにCrがとられてしまうため不動態膜の組成に偏りが生じてしまうためと考えられる。また、Cr23C6が粒界に析出すると粒界が腐食されやすくなり好ましいくない。
なお、熱処理時間は、温度にも依存するが、0.5時間以上が好ましい。熱処理時間を増加させるにつれクロム酸化物層の厚さは増加する。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、例えば、配管、プロセス装置、接ガス部品(例えば、弁のダイヤフラム)等の構成材料に好適に用いられる。
溶接方法としては、溶接部への入熱量を600ジュール/cm以下とする溶接方法が好ましい。溶接速度を20cm/min以上とすることが好ましく、また、溶接部の表面に対し垂直成分を有する磁場を印加しながら溶接することが好ましい。また、その磁場は50ガウス以上とすることが好ましい。溶接ビード幅を1mm以下とすることが好ましい。また、前述した特願平4−303681号(平成4年11月13日出願)に開示されている溶接方法を適宜本発明で適用できる。
本実施例では、Cr含有量29.1重量%のフェライト系ステンレス鋼を電解研磨処理した。表面粗度は約0.5μmとした。
図1と図2から明らかなように、前記条件で形成されたフェライト系の不動態膜の最表面は100%Cr2O3が探さ方向に対して約15nmの厚さに形成されている。すなわち、上記ステンレス鋼に電解研磨処理を施した表面に100%Cr2O3層を最表面に有する不動態膜を形成できることが分かった。
[水分の脱ガス評価]
フェライト系材料の電解研磨処理表面にCr2O3処理を施した配管の水分脱離特性を評価した。
評価方法は、外径1/4インチ、長さ2mの配管を用意し、配管を24時間大気に晒して空気中に含まれる水分を配管内表面に充分に吸着させた後、超高純度アルゴンガスを上流より供給して、配管内表面より脱離する水分量を計測した。計測装置は大気圧イオン化質量分析計(APIMS)である。
図3中の点線は従来のオーステナイト系ステンレスに電解研磨を施したもの、実線はフェライト系ステンレスに電解研磨処理後Cr2O3処理したものである。ここで評価したCr2O3不動態処理条件は実施例1に示した条件に準ずる。
その結果を図6に示す。バックシールドガスの流れに対してビード部上流/下流5mmのポイントで、Crの濃度は増加している。これまでの実験結果から、溶接速度が速くなるに従いCr濃度が増加するポイントはよりビード部に近づく傾向にあることがわかった。
表2に示す化学組成をもつ高純度フェライト系ステンレス鋼に予め酸化クロムを主成分とする酸化不動態膜を形成し、この材料を用いて溶接を行った。溶接は、30rpm(1cm/sec)の速度で1周の条件で行った。ビード幅は2mmとした。溶接時に使用したバックシールドガス及びアークシールドガスには高純度(水分及び酸素の含有量数ppb以下)の水素とアルゴンとの混合ガスを用いた。
その結果を図7に示す。ビード部を含む溶接部近傍の最表面は100%の酸化クロムで覆われていることがわかる。
Claims (5)
- Cr:29重量%〜35重量%、C及びNの合計が0.01重量%以下である高純度フェライト系ステンレス鋼。
- 前記ステンレス鋼は、Mn:0.03重量%以下、S:0.001重量%以下、Cu:0.05重量%以下、Al:0.01重量%以下であるフェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載フェライト系ステンレス鋼。
- 前記ステンレス鋼は、Mn:0.03重量%以下、S:0.001重量%以下、Cu:0.05重量%以下、Al:0.01重量%以下、Ni:1.0〜5.0重量%であるフェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 電解研磨した、Cr:25重量%〜35重量%、C及びNの合計が0.01重量%以下である高純度フェライト系ステンレス鋼の溶接部近傍における最表面のクロム濃度が、熱影響を受けない母材の最表面のクロム濃度より高い溶接部を備えていることを特徴とする接流体供給部品。
- Cr:25重量%〜35重量%、C及びNの合計が0.01重量%以下である高純度フェライト系ステンレス鋼を電解研磨した後、クロムを主成分とする酸化クロム不動態膜の形成処理を施し、次いで、溶接を行い、溶接後、溶接部を局所的に加熱しながら、酸化不動態膜の形成処理のための処理ガスを流すことにより全接流体内表面にクロムを主成分とする酸化クロム不動態膜を形成することを特徴とする酸化不動態膜の形成方法。
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2004
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