JP2000174154A - 多層ボンディングシートの平均線膨張係数の算出方法、その算出システムおよび多層ボンディングシートの製造方法ならびに多層ボンディングシート - Google Patents

多層ボンディングシートの平均線膨張係数の算出方法、その算出システムおよび多層ボンディングシートの製造方法ならびに多層ボンディングシート

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JP2000174154A JP34367298A JP34367298A JP2000174154A JP 2000174154 A JP2000174154 A JP 2000174154A JP 34367298 A JP34367298 A JP 34367298A JP 34367298 A JP34367298 A JP 34367298A JP 2000174154 A JP2000174154 A JP 2000174154A
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浩行 古谷
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孝介 片岡
Hiroyuki Tsuji
宏之 辻
Naoki Hase
直樹 長谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より寸法変化率の少ない多層ボンディングシ
ートを設計する為の手法を提供する。 【解決手段】 多層ボンディングシートの各層のそれぞ
れの線膨張係数と弾性率と厚みとから係数を算出し、多
層ボンディングシートと張り合わされるべき金属箔の線
膨張係数と算出された係数との差異が特定の範囲内に納
まるように、多層ボンディングシートを設計する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層ボンディングシー
トの平均線膨張係数の算出方法、算出システム、および
あらかじめ平均線膨張係数が算出されて設計される多層
ボンディングシートの製造方法およびそのような多層ボ
ンディングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の高性能化、高機能化、
小型化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子
部品の小型化、軽量化の要請が高まっている。これに伴
い、電子部品の素材についても、耐熱性、機械的強度、
電気特性等の諸物性が求められ、半導体素子パッケージ
方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機
能、かつ高性能なものが求められるようになってきた。
特に、半導体パッケージ、COL(チップオンリード)
及びLOC(リードオンチップ)パッケージやMCM
(マルチチップモジュール)等の高密度実装材料、多層
FPC(フレキシブルプリント回路)等のプリント配線
板材料、さらには航空宇宙材料として好適に用いること
のできる良好なボンディングシートが求められている。
【0003】このようなボンディングシートは、典型的
には例えば銅箔などの金属との積層体、すなわちフレキ
シブル銅張積層板として使用される。しかし、例えばフ
レキシブル銅張積層板の銅箔エッチングを行う前後にお
いて、ボンディングシートの寸法の変化が、銅箔の寸法
変化に比べて大きいと、加工中に反りが生じたり、プリ
ント基板としての使用に耐えなかったりする問題が生じ
る。
【0004】従来は多層ボンディングシートを設計する
有効な方法がなかった為、多層ボンディングシートを構
成する各層のそれぞれの物性値を金属箔のそれに近い値
にして調整したりしていたが、事前に問題を回避する有
効な方法はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】そこで、本発明者ら
は、上記問題を解決し、寸法安定性に優れた多層ボンデ
ィングシートの設計を容易に行えるようにすることを目
的とし、鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至
った。
【0006】さらに、本発明者らは、寸法安定性に優れ
た多層ボンディングシートの製造方法および寸法安定性
に優れた多層ボンディングシートを提供することを目的
とし、鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明の多層ボンディングシートの平均線
膨張係数の算出方法の要旨とするところは、少なくとも
1つのベースフィルムおよび少なくとも1つの接着層を
積層してなる多層ボンディングシートの平均線膨張係数
を算出する方法であって、各層のそれぞれの線膨張係数
と弾性率と厚みとの乗算値を算出し、各層の該乗算値を
加算して積算値1を算出する工程;各層のそれぞれの弾
性率と厚みとの乗算値を算出し、各層の該乗算値を加算
して積算値2を算出する工程;および該積算値1を積算
値2で除する工程、とからなることにある。ここで、各
層のそれぞれの線膨張係数と弾性率とは、フィルムのT
D方向あるいはMD方向におけるそれぞれの値である。
【0009】本発明の平均線膨張係数の算出システムの
要旨とするところは、少なくとも1つのベースフィルム
および少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボン
ディングシートの平均線膨張係数の算出システムであっ
て、各層のそれぞれの線膨張係数、弾性率および厚みを
入力する入力部;該入力値を処理して、平均線膨張係数
を算出する処理部;および処理された算出値を出力する
出力部、とからなることにある。
【0010】かかる平均線膨張係数の算出システムにお
いて、上記処理部は、前記各層のそれぞれの線膨張係数
と弾性率と厚みとの乗算値を算出し、各層の該乗算値を
加算して積算値1を算出する手段;各層のそれぞれの弾
性率および厚みの乗算値を算出し、各層の該乗算値を加
算して積算値2を算出する手段;および該積算値1を積
算値2で除する手段、とからなり得る。
【0011】本発明の多層ボンディングシートの製造方
法の要旨とするところは、少なくとも1つのベースフィ
ルムおよび少なくとも1つの接着層を積層してなる多層
ボンディングシートの製造方法であって、多層ボンディ
ングシートを構成し得る候補のベースフィルムあるいは
接着剤層のそれぞれの線膨張係数、弾性率、および厚み
を測定する工程;該測定値から、任意のベースフィルム
あるいは接着剤層を組み合わせて、算出平均線膨張係数
を導出する工程;該多層ボンディングシートと張り合わ
されるべき金属箔の線膨張係数値と比較して、以下の式
を満たすような算出線膨張係数値を有する、ベースフィ
ルムと接着剤層との組み合わせを選択する工程 Δα≦600/ΔT (ここで、Δαは、金属箔の線膨張係数(ppm)とボ
ンディングシートの算出平均線膨張係数(ppm)の差
を表し、ΔTは、ボンディングシートの作成中に材料に
かかる温度(℃)変化を表す);および選択されたベー
スフィルムと選択された接着剤層とを交互に組み合わせ
て多層ボンディングシートを作成する工程、とからなる
ことにある。
【0012】本発明の多層ボンディングシートの要旨と
するところは、少なくとも1つのベースフィルムおよび
少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンディン
グシートであって、該多層ボンディングシートの算出線
膨張係数が、該多層ボンディングシートと張り合わされ
る金属箔の線膨張係数値と比較して、600/ΔTの値
以下(ここで、ΔTは、ボンディングシートの作成中に
材料にかかる温度変化を表す)であることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の用語「ボンディングシー
ト」とは、主に、電子機器、特に半導体パッケ─ジ、C
OL、LOC、MCM、FPC、航空宇宙機器部品等の
結合に好適に用いられ得る、ベースフィルムと接着剤層
とを有するシートをいう。「多層ボンディングシート」
とは、少なくとも1つ以上のベースフィルムと1つ以上
の接着剤層とが重層されてなるボンディングシートをい
い、本明細書においては、2層ボンディングシートも多
層ボンディングシートに包含される。
【0014】本発明に用いられるベースフィルムは、F
PC等のベースフィルムとして使用可能なものであれば
いかなるフィルムでもよい。特には耐熱性に優れた特性
を有するポリイミドフィルムが好ましく用いられる。具
体的には、ベースフィルムとして用いるポリイミドフィ
ルムは、例えば、「アピカル(登録商標;鐘淵化学工業
株式会社製)」のようなポリイミドフィルムであり得る
が、これに限定されない。ポリイミドフィルムは、前駆
体のポリアミド酸溶液を熱的又は化学的に脱水閉環する
方法により得られる。本発明においては、その他いかな
る構造の高分子フィルムでも用いられ得る。
【0015】本発明の多層ボンディングシートの接着剤
層を構成し得る接着剤の種類は、特に限定されず、エポ
キシ系樹脂やアクリル系樹脂等公知のいずれの接着剤で
も用い得る。特に耐熱性の高いボンディングシートを得
る為には、ポリイミド系接着剤が好ましく用いられ得
る。ポリイミドは、固体または溶液の状態であるポリア
ミド酸を加熱重縮合して得られる。しかし、一般にポリ
イミドは、閉環状態ではほとんど不溶、不融で流動性を
示さなくなる為、ポリイミド系接着剤は、十分な流動性
を有する種類を選ぶことが必要である。
【0016】好ましい接着剤は、350℃以下のガラス
転移温度を持つポリアミド酸溶液またはそれを前駆体と
するポリイミドである。
【0017】本発明の多層ボンディングシートの最も簡
単なものは、接着剤をベースフィルムの片面または両面
上に流延または塗布した後、加熱乾燥して得られる。さ
らに、接着剤を介して同種あるいは異種のベースフィル
ムを重ねて、3層より多い層を含む多層ボンディングシ
ートを得ることも可能である。同様にこの同種あるいは
異種のベースフィルムにさらに接着剤層を設けて、ベー
スフィルムと接着層とを交互に配して層を増やすことも
可能である。エポキシ系、アクリル系、およびポリイミ
ド系をはじめ、いずれの接着剤を用いる場合でも、接着
剤溶液から得られるフィルム状にした接着層を、ボンデ
ィングシート用のベースフィルムに重層して用いること
も可能である。
【0018】接着剤をベースフィルムに付与する方法
は、特に限定されず、公知のいずれの方法でも用いられ
る。例えば、ポリアミド酸溶液は、ロータリーコータ
ー、ナイフコーター、ドクターブレード、フローコータ
ーを用いて、ベースフィルム上に流延または塗布され得
る。あるいはすでにフィルム状に成形した接着剤フィル
ムをベースフィルム上に重ねて熱圧着する。
【0019】このようにして得られた多層ボンディング
シートの接着面に、さらに金属箔を貼って、積層板を製
造し得る。金属箔は、代表的には銅箔であるが、これに
限定されず、鉄、アルミ、ステンレス等のあらゆる金属
を箔状にして使用し、金属張積層板を得る。
【0020】本発明においては、貼り合わせる金属箔の
種類に応じて、多層ボンディングシートをあらかじめ設
計することができる。具体的には、まず、貼り合わせる
金属箔の線膨張係数を求め、多層ボンディングシートの
算出線膨張係数がその金属箔の線膨張係数に近い値にな
るように設定する。設定は、多層ボンディングシートを
構成する接着層およびベースフィルムの種類を選択する
か、各層の厚みを調整することによってなされる。その
具体的な手法を以下に述べる。
【0021】まず、多層ボンディングシートを構成する
各層の材料のそれぞれの線膨張係数、弾性率および厚み
を求め、その乗算値を算出し、各層の該乗算値を加算し
て積算値1を算出する。次に、各層のそれぞれの弾性率
および厚みの乗算値を算出し、各層の該乗算値を加算し
て積算値2を算出し、該積算値1を積算値2で除する。
ここで、各層の線膨張係数および弾性率は、TD方向か
MD方向かのいずれかの値である。この値を算出線膨張
係数といい、以下の第1式で表す。
【0022】
【数1】
【0023】ここで、Sαは算出線膨張係数、αiは第
i層の線膨張係数、Eiは第i層の弾性率、およびTi
は第i層の厚みを示す。nは、多層ボンディングシート
の層数を表す。
【0024】このような算出線膨張係数を求めるシステ
ムを構築することもできる。具体的には、各層のそれぞ
れの線膨張係数、弾性率および厚みを入力する入力部;
該入力値を処理して、平均線膨張係数を算出する処理
部;および処理された算出値を出力する出力部、とから
なる多層ボンディングシートの算出線膨張係数の算出シ
ステムが構築できる。ここで、上記処理部は、上記第1
式を用いて、算出線膨張係数を計算する箇所である。
【0025】より具体的には、このシステムは、パーソ
ナルコンピュータあるいは処理システムの専用機として
構成し得る。図1において、符号10は、専用機として
構成した処理システムの一例である。この処理システム
10は、CPU12、メモリ14、I/Oポート16、
CRT18、キーボード20、LED22等から構成さ
れている。
【0026】次に、本発明の算出線膨張係数を用いた多
層ボンディングシートの製造方法を例示する。まず、多
層ボンディングシートを構成し得る候補のベースフィル
ムあるいはフィルム状の接着剤を用意し、それぞれのM
D方向および/またはTD方向の線膨張係数、弾性率、
および厚みを測定する。該測定値から、任意のベースフ
ィルムあるいは接着剤層を組み合わせて、MD方向およ
び/またはTD方向の算出平均線膨張係数を導出し、多
層ボンディングシートと張り合わされるべき金属箔の線
膨張係数値と比較して、一定範囲内におさまるようなベ
ースフィルムと接着剤層の組み合わせを選択する。具体
的には、MD方向およびTD方向共、金属箔とボンディ
ングシートの算出線膨張係数の差(ppm)が、600
/ΔTの式で求められる値以下であることが好ましい
が、いずれか一方がこの値の範囲内であれば、使用し得
る。ここで、ΔTは、ボンディングシートの作成中に材
料にかかる温度変化(℃)である。このような式を満た
す算出線膨張係数を持つボンディングシートの寸法変化
率は0.05%〜0.06%以下と非常に小さく、積層
板を作成するのに好ましい。このような調整をしさえす
れば、各層の厚みあるいは物性値をそれぞれ特定の範囲
内に納めなくてもよい。
【0027】あるいは、特に接着剤については、フィル
ムに成形する前に線膨張係数と弾性率のみを測定してお
き、理想的な算出線膨張係数を先に第1式に代入してお
く。このようにすれば、式中、接着剤層の厚みのみを未
知数とすることができ、実際の接着剤層の厚みのみを調
整することで、その理想的な算出線膨張係数を有する多
層ボンディングシートを製造することが可能となる。
【0028】特に貼り合わされる金属箔が銅である場
合、銅箔の線膨張係数は16ppmである為、材料の温
度変化が、平均的な200℃の場合、多層ボンディング
シートのMD方向あるいはTD方向のいずれにおける算
出線膨張係数が、13ppm以上19ppm以下である
ことが好ましく、MD方向およびTD方向の両方の算出
線膨張係数が、いずれもが13ppm以上19ppm以
下であることがより好ましい。
【0029】以下に、本発明に係る多層ボンディングシ
ートの算出線膨張係数について、実施例によってより具
体的に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲
で当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を
加えた様態で実施しうるものである。従って、本発明は
これらの実施例によって限定されない。
【0030】
【実施例】(実施例1〜4)アピカルHPフィルム(鐘
淵化学工業株式会社製)(実施例2〜4)あるいはユー
ピレックスS(宇部興産株式会社製)(実施例1)をベ
ースフィルムとした。このフィルムの両面上に、バーコ
ーターを用いて接着剤を塗布し、乾燥炉中で、100℃
で6分間加熱した後、ベースフィルムごと金属支持体に
端部を固定した後、150℃、200℃、および300
℃で各6分間加熱し、3層構造のボンディングシートを
得た。接着剤は、ポリアミド酸溶液からなる。各層のT
D方向およびMD方向の弾性率(記号E、単位kgf/
mm2 )、線膨張係数(記号α、単位ppm)、および
厚み(記号t、単位mm)を求め、算出線膨張係数(記
号Sα)を、式1により計算機で計算した。
【0031】(比較例1〜3)アピカルNPIフィルム
(鐘淵化学工業株式会社製)(比較例2、3)あるいは
ユーピレックスS(比較例1)をベースフィルムとし
て、実施例1〜4と同様に、フィルムの両面にポリアミ
ド酸溶液からなる接着剤の層を付与して、3層構造のボ
ンディングシートを作成した。各層のTD方向およびM
D方向の弾性率、線膨張係数、および厚みを求め、算出
線膨張係数を式1により計算機で計算した。
【0032】(実施例5)アピカルHPとポリアミド酸
溶液からなる接着剤とを交互に積層して、実施例1〜4
と同様に、7層構造のボンディングシートを作成した。
各層のTD方向およびMD方向の弾性率、線膨張係数、
および厚みを求め、算出線膨張係数を式1により計算機
で計算した。
【0033】(比較例4および5)アピカルNPI(比
較例5)またはユーピレックスS(比較例4)とポリア
ミド酸溶液からなる接着剤とを用いて、7層構造のボン
ディングシートを作成した。各層のTD方向およびMD
方向の弾性率、線膨張係数、および厚みを求め、算出線
膨張係数を式1により計算機で計算した。
【0034】このようにして得られた実施例1〜5およ
び比較例1〜5の多層ボンディングシートの算出線膨張
係数および寸法変化率と、多層ボンディングシートを構
成するそれぞれの層の弾性率、厚み、および線膨張係数
とを表1および表2に示す。表1はTD方向を表し、表
2は、MD方向を表す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】ここで、各層の線膨張係数は、ベースフィ
ルムあるいは所定の厚みのフィルム状にした接着剤層を
窒素気流下において、理学電気製TMA8140により
測定した100℃〜200℃の間の平均値である。
【0038】各層の弾性率は、ASTM D882に基
づいて測定した。
【0039】また、寸法変化率は、多層ボンディングシ
ートを銅箔とラミネートし、280℃にて、7分間加熱
圧着して銅張積層板を作成した後に測定した。まず、寸
法変化率測定用に、積層板を21cm(MD方向)×2
1cm(TD方向)に切り出し、図2のA、B、C、お
よびDのそれぞれの位置に直径1mmの孔を開けて、試
験片とした。この試験片を、20℃±2℃、60±5%
RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置した後、図
2のAB間、CD間、AC間、およびBD間の距離を測
定し、これを初期値とした。
【0040】次に43±5℃に保たれた塩化第二銅エッ
チング液を用い、試験片の銅箔を全面エッチング除去し
た。これを充分に水洗いし、水分を軽く拭き取った後、
40±5℃に保たれた熱循環式オーブン中で、30分間
乾燥した。この試験片を、20℃±2℃、60±5%R
Hに調整された恒温恒湿室に24時間放置した後、図2
のAB間、CD間、AC間、およびBD間を測定し、こ
れをエッチング処理後の値とした。
【0041】MD方向及びTD方向の寸法変化率は、そ
れぞれ以下の式で求められる。
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】
【0044】ここで、ABは、穴Aと穴Bとの距離(c
m、以下同じ)、CDは、穴Cと穴Dとの距離(cm、
以下同じ)、ACは、穴Aと穴Cとの距離、BDは、穴
Bと穴Dとの距離、添え字Iは初期値、添え字Fは、エ
ッチング処理後の値を示す。
【0045】以上の実施例および比較例から、特定の値
の算出線膨張係数を有するボンディングシートは、金属
箔との貼り合わせ、その後の加工において、寸法安定性
に優れていることがわかった。
【0046】より詳しくは、MD方向あるいはTD方向
のいずれかの算出線膨張係数が、銅箔の線膨張係数であ
る16ppmと比較して、±3ppmの範囲内にあれ
ば、MD方向およびTD方向のいずれの寸法変化率も小
さい。一方、MD方向およびTD方向の双方の算出線膨
張係数が、16ppmと比較して、±4ppm以上であ
る場合は、いずれもMD方向およびTD方向の双方の寸
法変化率が大きい。従って、
【0047】
【発明の効果】本発明の算出線膨張係数の計算方法を用
いれば、例えばフレキシブル銅張積層板などの、金属板
との複合積層体の材料とする為の、少なくとも1つのベ
ースフィルムおよび少なくとも1つの接着層を積層して
なる多層ボンディングシートを、加工性に優れた特性を
有するように設定できる。
【0048】さらに、本発明の算出線膨張係数の算出シ
ステムを用いれば、少なくとも1つのベースフィルムお
よび少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンデ
ィングシートの算出線膨張係数をあらかじめ求めて、加
工性に優れた特性を有するように設定できる。
【0049】本発明の多層ボンディングシートの製造方
法によれば、該多層ボンディングシートと張り合わされ
るべき金属箔の線膨張係数値と比較した場合の差異が、
600/ΔTで算出される値以下になるような算出線膨
張係数値を有するように、ベースフィルムと接着剤層と
の組み合わせを選択でき、この選択されたベースフィル
ムと選択された接着剤層とを交互に組み合わせて多層ボ
ンディングシートとする。これを、例えばフレキシブル
銅張積層板とすれば、銅箔エッチングを行う前後におい
て、寸法変化率が小さく、加工中の反りが防止でき、プ
リント基板としての使用に耐え得る優れた特性の多層ボ
ンディングシートが製造できる。ここで、寸法変化率が
小さいとは、例えば、±0.05%〜0.06%程度以
下に寸法変化率が納まることをいう。
【0050】本発明の少なくとも1つのベースフィルム
および少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボン
ディングシートは、例えばフレキシブル銅張積層板とす
れば、銅箔エッチングを行う前後において、加工中の反
りがなく、プリント基板としての使用に耐え得る優れた
特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の算出処理システムの実施形態を示す構
成図である。
【図2】多層ボンディングシートの寸法変化率を測定す
る方法を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 孝介 大津市比叡辻2−1−1 鐘淵化学工業株 式会社滋賀工場内 (72)発明者 辻 宏之 大津市比叡辻2−1−1 鐘淵化学工業株 式会社滋賀工場内 (72)発明者 長谷 直樹 大津市比叡辻2−1−1 鐘淵化学工業株 式会社滋賀工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つのベースフィルムおよび
    少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンディン
    グシートの平均線膨張係数を算出する方法であって、 各層のそれぞれの線膨張係数と弾性率と厚みとの乗算値
    を算出し、各層の該乗算値を加算して積算値1を算出す
    る工程;各層のそれぞれの弾性率と厚みとの乗算値を算
    出し、各層の該乗算値を加算して積算値2を算出する工
    程;および該積算値1を積算値2で除する工程、とから
    なることを特徴とする多層ボンディングシートの平均線
    膨張係数の算出方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つのベースフィルムおよび
    少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンディン
    グシートの平均線膨張係数の算出システムであって、 各層のそれぞれの線膨張係数、弾性率および厚みを入力
    する入力部;該入力値を処理して、平均線膨張係数を算
    出する処理部;および処理された算出値を出力する出力
    部、とからなることを特徴とする多層ボンディングシー
    トの平均線膨張係数の算出システム。
  3. 【請求項3】 前記処理部が、 前記各層のそれぞれの線膨張係数、弾性率および厚みの
    乗算値を算出し、各層の該乗算値を加算して積算値1を
    算出する手段;各層のそれぞれの弾性率および厚みの乗
    算値を算出し、各層の該乗算値を加算して積算値2を算
    出する手段;および該積算値1を積算値2で除する手
    段、とからなることを特徴とする請求項2に記載する多
    層ボンディングシートの平均線膨張係数の算出システ
    ム。
  4. 【請求項4】 少なくとも1つのベースフィルムおよび
    少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンディン
    グシートの製造方法であって、 多層ボンディングシートを構成し得る候補のベースフィ
    ルムあるいは接着剤層のそれぞれの線膨張係数、弾性
    率、および厚みを測定する工程;該測定値から、任意の
    ベースフィルムあるいは接着剤層を組み合わせて、算出
    平均線膨張係数を導出する工程;該多層ボンディングシ
    ートと張り合わされるべき金属箔の線膨張係数値と比較
    して、以下の式を満たすような算出線膨張係数値を有す
    る、ベースフィルムと接着剤層との組み合わせを選択す
    る工程 Δα≦600/ΔT (ここで、Δαは、金属箔の線膨張係数とボンディング
    シートの算出平均線膨張係数の差を表し、ΔTは、ボン
    ディングシートの作成中に材料にかかる温度変化を表
    す);および選択されたベースフィルムと選択された接
    着剤層とを交互に組み合わせて多層ボンディングシート
    を作成する工程、 とからなることを特徴とする多層ボンディングシートの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つのベースフィルムおよび
    少なくとも1つの接着層を積層してなる多層ボンディン
    グシートであって、 該多層ボンディングシートの算出線膨張係数が、該多層
    ボンディングシートと張り合わされる金属箔の線膨張係
    数値と比較して、600/ΔTの値以下(ここで、ΔT
    は、ボンディングシートの作成中に材料にかかる温度変
    化を表す)であることを特徴とする多層ボンディングシ
    ート。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006052389A (ja) * 2004-07-15 2006-02-23 Kaneka Corp 接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板並びにそれらの製造方法
JP2013231203A (ja) * 2004-07-15 2013-11-14 Kaneka Corp 接着フィルムの製造方法およびフレキシブル金属張積層板の製造方法
JP2013249480A (ja) * 2004-05-13 2013-12-12 Kaneka Corp 接着フィルムの製造方法およびフレキシブル金属張積層板の製造方法

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