JP5313191B2 - 金属張積層板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層プリント配線板、電子部品の絶縁材料等として有用な金属張積層板及びその製造方法に関する。
電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、ICやLSIといった電子部品の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。そのため、IC等を直接実装(ベアチップ実装)するのに用いられる配線基板等に対する要求も高まっており、中でも熱膨張係数を低くすることが求められている。これは、IC等を構成するシリコンの熱膨張係数が約3×10−6(1/K)と低い値であるため、実装に用いられる基板、特に基板内の絶縁樹脂フィルムの熱膨張係数を同程度にしておかないと、IC等が破損する可能性が高くなり、IC等との接続信頼性が低下するためである。
かかる観点から、特開2006−255926号公報(特許文献1)には、全芳香族ポリイミドフィルムの片面または両面に熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂層を有した熱膨張係数が−3×10−6〜6×10−6(1/K)の積層フィルムが開示されている。
また、特開2006−251478号公報(特許文献2)には、感光性ポリイミドを用いることにより主鎖にベンゾアゾール基を有し、低熱膨張係数を有するポリイミドおよびポリイミド前駆体が開示されている。
さらに、特開2007−56198号公報(特許文献3)には、二軸延伸することにより−5×10−6〜5×10−6(1/K)の熱膨張係数を有するポリイミドフィルムが開示されている。
しかしながら、これら文献に記載してあるようなポリイミドフィルムを含有する絶縁樹脂フィルムは10×10−6(1/K)以下という低い熱膨張係数を有するものの、熱膨張係数において、支持基材又は導電層としてプリント配線板等に備わっている金属箔との整合性がとれず、絶縁樹脂フィルム又はプリント配線板等自体に反りやカールが発生してしまうという問題があった。
特開2006−255926号公報 特開2006−251478号公報 特開2007−56198号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、10×10−6(1/K)以下という低い熱膨張係数を有するポリイミド樹脂積層体を備えているにも拘わらず、反りやカールの発生が十分に抑制された金属張積層板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属張積層板において、50N/m以上の曲げ剛性を有する金属箔と、熱膨張係数の異なる2種類のポリイミド樹脂層とを備え、前記2種類のポリイミド樹脂層の厚さ及び熱膨張係数を各々特定の範囲にすることにより、10×10−6(1/K)以下という低い熱膨張係数を有するポリイミド樹脂積層体を備えているにも拘わらず、反りやカールの発生が十分に抑制された金属張積層板及びその製造方法を提供することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属張積層板は、金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板であって、
前記金属箔は、50N/m以上の曲げ剛性を有しており、
前記ポリイミド積層体は、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有しており、且つ、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置され且つ熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層とを備えるものであって、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たしていることを特徴とするものである。
また、本発明の金属張積層板としては、前記ポリイミド積層体の金属箔とは反対側の表面のポリイミド樹脂層が第二のポリイミド樹脂層であり、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として積層された銅層を更に備えるものであることが好ましい。
さらに、本発明の金属張積層板の製造方法は、金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板の製造方法であって、
第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層を形成する第一の工程と、
第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層を形成する第二の工程と、
を含んでおり、第一の工程及び第二の工程において、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たすように第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備えており、且つ、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有するポリイミド積層体を、50N/m以上の曲げ剛性を有している金属箔の表面上に形成することを特徴とする方法である。
また、本発明の金属張積層板の製造方法としては、前記ポリイミド積層体の金属箔とは反対側の表面のポリイミド樹脂層が第二のポリイミド樹脂層であり、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として銅層を積層する工程を更に含む方法であることが好ましい。
さらに、本発明にかかる金属箔としては、70N/m以上の曲げ剛性及び5〜100μmの厚さを有するアルミニウム合金箔であることが好ましい。
本発明によれば、10×10−6(1/K)以下という低い熱膨張係数を有するポリイミド樹脂積層体を備えているにも拘わらず、反りやカールの発生が十分に抑制された金属張積層板及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の金属張積層板について説明する。本発明の金属張積層板は、金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板であって、
前記金属箔は、50N/m以上の曲げ剛性を有しており、
前記ポリイミド積層体は、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有しており、且つ、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置され且つ熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層とを備えるものであって、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たしていることを特徴とするものである。
本発明において用いられる金属箔は、本発明の金属張積層板における支持基材又は導電層として機能し、後述の第一のポリイミド樹脂層との熱膨張率差による応力に対して、後述の金属張積層板の反りが発生しない程度の剛直性、すなわち50N/m以上の曲げ剛性を有することが必要であり、70〜200N/mの曲げ剛性を有していることが好ましい。前記曲げ剛性が前記下限未満だと、後述のポリイミド積層体と金属箔との熱膨張係数の差から生じる応力による反りやカールを抑制できなくなり、他方、前記上限を超えると、金属箔の厚みが厚くなるため、ロール状に巻いた際の金属箔の巻きぐせによる金属張積層板の反りが無視できなくなり、またコストも高くなる傾向にある。
また、本発明において用いられる金属箔の厚さとしては、特に制限されないが、5〜100μmであることが好ましく、35〜100μmであることがより好ましく、さらに、後述のアルミニウム合金箔を本発明において用いられる金属箔として用いる場合においては、40〜70μmであることが特に好ましい。前記厚さが前記下限未満だと、ピンホールの少ない金属箔の入手がしにくく、また金属張積層板作製において皺等が生じ易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる金属張積層板において、微細な回路が形成しにくくなり、また必要に応じて行われるエッチングによる金属箔の除去が困難となる傾向にある。
さらに、本発明において用いられる金属箔の種類としては特に制限はなく、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブテン、タングステン、ジルコニウム、金、コバルト、チタン、タンタル、亜鉛、鉛、錫、シリコン、ビスマス、インジウム、及びこれらの合金からなる箔が挙げられる。これらの中では、搬送がし易い、コストが低い、得られる金属張積層板における配線のパターン化がし易い、必要に応じて行われるエッチングによる金属箔の除去がし易いという観点から、アルミニウム合金箔を用いることが好ましい。また、アルミニウム合金箔の中では、熱による軟化が起きにくいという観点から、マンガンが1〜1.5%含有されているアルミニウム合金(例えば、3003材、3004材)からなる箔がより好ましく、さらに、弾性係数が高いという観点から、マンガンが1〜1.5%、マグネシウムが0.5〜1.3%含有されているアルミニウム合金(例えば、3004材)からなる箔が特に好ましい。
また、後述のポリイミド積層体との接着力を向上させるために、本発明において用いられる金属箔に化学的又は物理的な表面処理を施してもよい。このような表面処理としては、例えば、サイディング、ニッケルめっき、銅−亜鉛合金めっき、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤を用いた表面処理が挙げられる。
さらに、配線基板形成後に後述のポリイミド積層体を剥離し易くするために、本発明において用いられる金属箔は剥離層を有していてもよい。このような剥離層としては、特に制限はされないが、厚さは1〜40nmであるものが好ましく、銅、クロム、ニッケル、コバルト等の金属からなるものが好ましい。
本発明にかかるポリイミド積層体は、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるものである。このようなポリイミド樹脂層を構成するポリイミドは、樹脂骨格中にイミド結合を有するものをいい、一般的に下記一般式(1)で表され、ジアミン成分と酸二無水物成分とを実質的に等モル使用し、溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。
Figure 0005313191
一般式(1)において、Arは芳香族環を1個以上有する4価の有機基であり、Arは芳香族環を1個以上有する2価の有機基である。即ち、Arは酸二無水物の残基ということができ、Arはジアミンの残基ということができる。
また、本発明にかかるポリイミド積層体は、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置され且つ熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層とを備える積層体である。
本発明において用いられる第一のポリイミド樹脂層は、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下のポリイミドからなる層であり、熱膨張係数が−6×10−6〜6×10−6(1/K)であるポリイミドからなる層であることが好ましい。前記熱膨張係数が前記下限未満だと、第二のポリイミド樹脂層との熱膨張係数の調整により、ポリイミド積層体の反りの制御を行なうことが難しくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリイミド積層体全体の低熱膨張化が困難となる。
第一のポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂としては、熱膨張係数が前記条件を満たすような原料となる酸二無水物及びジアミンを適宜選択し、それらをイミド化することにより得られるものを使用することができる。
原料となる酸二無水物としては、例えば、一般式:O(CO)−Ar−(CO)Oによって表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、下記芳香族酸無水物残基をArとして与えるものが例示される。
Figure 0005313191
このような酸二無水物は単独で又は2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、及び4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれるものを使用することが好ましい。
また、原料となるジアミンとしては、例えば、一般式:HN−Ar−NHによって表される芳香族ジアミンが好ましく、下記芳香族ジアミン残基をArとして与える芳香族ジアミンが例示される。
Figure 0005313191
これらのジアミンの中でも、ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、パラフェニレンジアミン(P−PDA)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が好適なものとして例示される。
また、本発明において用いられる第一のポリイミド樹脂層の厚さtは、1〜28μmであることが好ましい。前記厚さが前記下限未満だと、ポリイミド積層体が破れやすくなり、後工程での回路形成等において不都合が生じ易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、後述の溶媒の揮発速度の観点から、第一のポリイミド樹脂層を製造する際に長時間の熱処理が必要となり、ポリイミド積層体の低熱膨張化が困難になるとともに金属張積層板の生産性が著しく低下する傾向にある。
なお、本発明において用いられる第一のポリイミド樹脂層は、単層であっても、複数のポリイミド薄膜層からなるものであってもよい。また、本発明において用いられる第一のポリイミド樹脂層が複数のポリイミド薄膜層からなる場合においては、tは複数のポリイミド薄膜層の厚さの合計値のことである。
本発明において用いられる第二のポリイミド樹脂層は、熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上のポリイミドからなる層であり、熱膨張係数が30×10−6〜50×10−6(1/K)であるポリイミドからなる層であることが好ましい。前記熱膨張係数が前記下限未満だと、銅箔をラミネートしたり、アディティブ工法やセミアディティブ工法によって回路形成するために必要な熱可塑性の特性を第二のポリイミド樹脂層に担保させることが難しくなり、他方、前記上限を超えると、ポリイミド積層体の低熱膨張化を達成することが難しくなる傾向にある。
さらに、第二のポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂としては、熱膨張係数が前記条件を満たすような原料となる酸二無水物及びジアミンを適宜選択し、それらをイミド化することにより得られるものを使用することができる。そして、原料となるジアミンとしては、例えば、第一のポリイミド樹脂層の原料となるジアミンとして例示したものと同様のものを使用することができる。これらの中でも、ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、パラフェニレンジアミン(P−PDA)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が好適なものとして例示される。また、原料となる酸二無水物としては、例えば、前記低熱膨張性ポリイミド樹脂層の原料となる酸無水物として例示したものと同様のものを使用することができる。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、及び4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)から選ばれるものを使用することが好ましく、これらのジアミン及び酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明において用いられる第二のポリイミド樹脂層の厚さtは、0.1〜3μmであることが好ましい。前記厚さが前記下限未満だと、厚さが精度よく均一になるように第二のポリイミド樹脂層を製造することが難しくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリイミド積層体の低熱膨張化を達成することが難しくなる傾向にある。
さらに、本発明において用いられる第二のポリイミド樹脂層は、第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置されるものであり、単層であっても、複数のポリイミド薄膜層からなるものであってもよい。また、本発明において用いられる第二のポリイミド樹脂層が複数のポリイミド薄膜層からなる場合においては、tは複数のポリイミド薄膜層の厚さの合計値のことである。
本発明にかかるポリイミド積層体は、第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備える積層体であり、熱膨張係数が10×10−6(1/K)以下であり、−4×10−6〜10×10−6(1/K)であることが好ましい。前記熱膨張係数が前記下限未満である場合又は前記上限を超える場合、実装するチップIC等の熱膨張係数3ppmとの熱膨張係数差が大きくなり、得られる金属張積層板の適用分野が限られてくる。
また、本発明にかかるポリイミド積層体の厚さは、1〜30μmであり、3〜25μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。前記厚さが前記下限未満だと、層間絶縁性や後工程での搬送性において問題が生じ、他方、前記上限を超えると、後述の溶媒の揮発速度の観点から、ポリイミド積層体を製造する際に長時間の熱処理が必要となり、ポリイミド積層体の低熱膨張化が困難になるとともに金属張積層板の生産性が著しく低下することになる。
さらに、本発明にかかるポリイミド積層体において、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たし、また、0.05〜0.15であることが好ましい。前記t/tの値が前記下限未満だと、第一のポリイミド樹脂層と第二のポリイミド樹脂層とが接着しにくくなり、ポリイミド積層体に発生する反りを十分に抑制することができず、他方、前記上限を超えると、ポリイミド積層体の熱膨張係数が10×10−6(1/K)を超えることとなり、得られる金属張積層板にIC等を実装した場合において、IC等の破損等が生じ易くなる。
また、本発明にかかるポリイミド積層体は、本発明の効果を損なわない限り、本発明の金属張積層板における各種物性のバランスをとるという観点から、第一のポリイミド樹脂層及び第二のポリイミド樹脂層とは異なる熱膨張係数を有するポリイミドからなる層を有してもよいが、かかる場合には本発明にかかるポリイミド積層体の15%以下の厚さとすることが好ましい。
本発明の金属張積層板は、前記金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている前記ポリイミド積層体とを備えるものであり、サブトラクティブ工法等による回路形成が可能になるという観点から、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として積層された銅層を更に備えることが好ましい。このような銅層としては銅を主成分としていればよく、例えば、銅箔、銅を90%以上含む銅合金箔が挙げられ、厚さとしては3〜18μmであることが好ましい。前記銅層の厚さが前記未満だと、ピンホールの少ない銅箔等の入手がしにくく、また金属張積層板の作製において皺等が生じ易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる金属張積層板において、微細な回路が形成しにくくなり、また必要に応じて行われるエッチングによる銅箔等の除去が困難となる傾向にある。
また、このような銅層としては、前記金属箔と同様に、化学的又は物理的な表面処理を施してもよく、また剥離層を有していてもよい。
次に、本発明の金属張積層板の製造方法について説明する。本発明の金属張積層板の製造方法は、金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板の製造方法であって、
第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層を形成する第一の工程と、
第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層を形成する第二の工程と、
を含んでおり、第一の工程及び第二の工程において、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たすように第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備えており、且つ、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有するポリイミド積層体を、50N/m以上の曲げ剛性を有している金属箔の表面上に形成することを特徴とする方法である。
本発明にかかる第一の工程は、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、第一のポリイミド樹脂層を形成する工程である。かかる第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液としては、硬化後の熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下となればよく、例えば、第一のポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂において例示した、ジアミン、酸二無水物を適宜選択し、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
また、かかる酸二無水物とジアミンとの重合に用いられる溶媒については、有機極性溶媒であることが好ましく、例えばジメチルアセトアミド、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレンが挙げられ、これらについては1種若しくは2種以上を併用して使用することもできる。
さらに、このような重合反応で得られる第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液の溶液粘度としては特に制限はないが、後述の塗工等において、精度よく一定の厚さをもって均一に行えるという観点から、500cps〜35000cpsであることが好ましい。
また、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめる方法については、公知の方法を適宜選択することができ、特に制限されることはないが、例えば、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を基材上に塗工し、乾燥させ、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層を形成し、更に熱処理を施す方法が挙げられる。
このような基材としては特に制限されることはなく、第一のポリイミド樹脂層が前記金属箔の表面上に直接積層されている金属張積層板を製造する場合においては前記金属箔を用いることができ、また、第一のポリイミド樹脂層を硬化後に離型することが可能なフィルムを用いてもよい。
さらに、このような塗工方法としては、公知の方法を適宜選択することができ、特に制限されることはないが、例えば、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、カーテンコーターを用いて行う方法が挙げられる。また、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液の基材上への塗工量としては、硬化後の第一のポリイミド樹脂層の厚さが1〜28μmとなるような量とすることが好ましい。さらに、このような塗工方法においては、第一のポリイミド樹脂層の厚さのばらつきが±0.2μmの範囲内となるように塗工することが好ましい。
また、このような乾燥の条件としては、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液中の溶媒を除去できればよいが、硬化後の熱膨張係数を8×10−6(1/K)以下に調整し易いという観点から、100〜150℃の温度で、3〜10分間という条件が好ましい。
さらに、このような熱処理の条件としては、10〜20分間かけて、360℃に至るまで段階的に温度を上げていくという条件が好ましい。また、このような熱処理は、後述の第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液に施す熱処理と同時に行ってもよい。
また、このような乾燥及び熱処理の条件は、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液の組成、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層中の固形分濃度等を考慮し、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層が硬化後に所望の線膨張係数の範囲となるように適宜調整される。
本発明にかかる第二の工程は、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、第二のポリイミド樹脂層を形成する工程である。かかる第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液としては、硬化後の熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上となればよく、例えば、第二のポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂において例示した、ジアミン、酸二無水物を適宜選択し、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
また、かかる溶媒については、有機極性溶媒であることが好ましく、例えばジメチルアセトアミド、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレンが挙げられ、これらについては1種若しくは2種以上を併用して使用することもできる。
さらに、このような重合反応で得られる第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の溶液粘度としては特に制限はないが、後述の塗工等において、精度よく一定の厚さをもって均一に行えるという観点から、500cps〜35000cpsであることが好ましい。
また、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめる方法については、公知の方法を適宜選択することができ、特に制限されることはないが、例えば、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を基材上に塗工し、乾燥させ、第二のポリイミド樹脂層の前駆体層を形成し、更に熱処理を施す方法が挙げられる。
このような基材としては特に制限されることはなく、例えば、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層、第一のポリイミド樹脂層、第二のポリイミド樹脂層を硬化後に離型することが可能なフィルムを用いることができる。また、後述の第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として銅層を積層する工程を更に含む製造方法の場合は、前記銅層を用いることもできる。
さらに、このような塗工方法としては、公知の方法を適宜選択することができ、特に制限されることはないが、例えば、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、カーテンコーターを用いて行う方法が挙げられる。また、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の基材上への塗工量としては、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たすような量であり、また、硬化後の第二のポリイミド樹脂層の厚さが0.1〜3μmとなるような量とすることが好ましい。さらに、このような塗工方法においては、第二のポリイミド樹脂層の厚さのばらつきが±0.2μmの範囲内となるように塗工することが好ましい。
また、このような乾燥の条件としては、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液中の溶媒を除去できればよく、例えば、100〜150℃の温度で、3〜10分間という条件を挙げることができる。
さらに、このような熱処理の条件としては、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の組成、前記乾燥の条件、第二のポリイミド樹脂層の前駆体層中の固形分濃度等を考慮し、第二のポリイミド樹脂層の前駆体層を硬化せしめることができるよう適宜調整されるものであるが、第一の樹脂層と同様に、10〜20分間かけて、360℃に至るまで段階的に温度を上げていくという条件が好ましい。
また、第一の工程及び第二の工程においては、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
で表わされる条件を満たすように第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備えるようにすることが必要である。
第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとの調整は、例えば前述の通り、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液及び第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の塗工量を調整することによって行うことができる。
また、第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備えるようにする方法としては特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層又は第一のポリイミド樹脂層に第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を直接塗工する方法、
第一のポリイミド樹脂層と第二のポリイミド樹脂層とを加熱圧着等で積層する方法が挙げられる。
さらに、第一の工程及び第二の工程においては、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有するポリイミド積層体となるように、前述の方法により該ポリイミド積層体を前記金属箔の表面上に形成することが必要である。
ポリイミド積層体の熱膨張係数の調整は、例えば前述の通り、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液及び第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の組成比、乾燥の条件、熱処理の条件等を適宜調整することによって行うことができる。
また、このようなポリイミド積層体の厚さの調整は、例えば前述の通り、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液及び第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の塗工量を調整することによって行うことができる。
さらに、ポリイミド積層体を前記金属箔の表面上に形成する方法としては、特に制限されることなく、公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液等を前記金属箔の表面上に直接塗工する方法、前記ポリイミド積層体と前記金属箔を加熱圧着等で積層する方法が挙げられる。
また、本発明の金属張積層板の製造方法としては、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として前記銅層を積層する工程を更に含む方法であることが好ましい。
前記銅層を積層する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、加熱ロールプレス、ダブルベルトプレス、連続式熱ラミネータを用いる方法を挙げることができ、また、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を前記銅層の表面上に塗工する方法が挙げられ、さらに、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法も挙げることができる。
以上、本発明の金属張積層板の製造方法の一例について説明したが、本発明の金属張積層板の製造方法は上記例に限定されるものではない。例えば、本発明にかかる第一の工程において、硬化後の熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下であり、硬化後の厚さが前記tとなるように、前記第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液の塗工及び乾燥を行い、また本発明にかかる第二の工程において、硬化後の熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上であり、厚さが前記tとなるように、前記第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液の塗工及び乾燥を行い、各々の前記ポリイミド樹脂層の前駆体層を形成した後、熱処理を施すことにより、前記第一のポリイミド樹脂層と前記第二のポリイミド樹脂層とを備えており、且つ、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有するポリイミド積層体を、前記金属箔の表面上に形成する製造方法であってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
先ず、熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器を用いて、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)170gの溶媒に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)14.9g撹拌しながら溶解させた。次に、得られた溶液に、ジアミン成分(m−TB)と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)15.0gを加え、その後約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液(固形分濃度:15質量%、溶液粘度:20000cps)を得た。
なお、得られた第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を用いてポリイミドフィルムを作製し、得られたポリイミドフィルムの熱膨張係数(線膨張係数)を測定した。すなわち、得られた第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を塗工し、140℃で5分間乾燥させ、その後15分間かけて、360℃の温度に至るまで段階的に熱処理を行ない、ポリイミドフィルムを作製した。得られたポリイミドフィルムの熱膨張係数は5×10−6[1/K]であった。
(合成例2)
先ず、熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器を用いて、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)186gの溶媒に、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)16.4gを撹拌しながら溶解させた。次に、得られた溶液に、ジアミン成分(BAPP)と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)8.9gを加え、その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液(固形分濃度:12質量%、溶液粘度:3000cps)を得た。
なお、得られた第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を用いてポリイミドフィルムを作製し、得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度及び熱膨張係数(線膨張係数)を測定した。すなわち、得られた第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を塗工し、140℃で5分間乾燥させ、その後15分間かけて、360℃の温度に至るまで段階的に熱処理を行ない、ポリイミドフィルムを作製した。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度は280℃であり、熱膨張係数は45×10−6[1/K]であった。
(実施例1)
先ず、金属箔としてアルミニウム合金箔(材質:アルミニウム合金 3004材、曲げ剛性:80N/m、厚さ:50μm)の表面上に、合成例1で得られた第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化後の厚さが23μmになるように塗工し、140℃で5分間乾燥させ、第一のポリイミド樹脂層の前駆体層を形成した。得られた第一のポリイミド樹脂層の前駆体層の表面上に合成例2で得られた第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化後の厚さが2μmになるように塗工し、140℃で5分間乾燥させ、その後15分間かけて、360℃の温度に至るまで段階的に熱処理を行ない、金属張積層板を作製した。なお、金属箔の曲げ剛性は後述の評価方法を用いて測定した。
(実施例2〜3)
第一のポリイミド樹脂層及び第二のポリイミド樹脂層が表1に示した厚さになるように、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液及び第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を塗工した以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
(実施例4)
金属箔として、アルミニウム合金箔(材質:アルミニウム合金 3004材、曲げ剛性:50N/m、厚さ:44μm)を用いた以外は実施例2と同様にして金属張積層板を作製した。
(比較例1〜2)
比較例1においてはアルミニウム合金箔(材質:アルミニウム合金 3003材、曲げ剛性:30N/m、厚さ:15μm)を、比較例2においてはアルミニウム合金箔(材質:銅、曲げ剛性:30N/m、厚さ:15μm)を、金属箔として用いた以外は実施例2と同様にして金属張積層板を作製した。
(比較例3〜4)
第一のポリイミド樹脂層及び第二のポリイミド樹脂層が表1に示した厚さになるように、第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液及び第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を塗工した以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
実施例1〜4、比較例1〜4で得られた金属張積層板は、下記に示す方法にて評価した。
(熱膨張係数)
先ず、金属張積層板の金属箔を塩化鉄/塩化銅系溶液を用いたエッチングにより除去してポリイミド積層体のみとした。次に、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、製品名:TMA/SS6100)を用いて、得られたポリイミド積層体に荷重5gをかけながら、昇温速度10℃/minにて260℃まで温度を上げた後、降温速度5℃/minにて室温まで温度を下げた場合における降温時のポリイミド積層体の寸法の変化量を測定した。そして、得られた測定値から100℃から250℃までの平均熱膨張係数を算出した。得られた結果を表1に示す。
(曲げ剛性)
先ず、金属張積層板のポリイミド積層体をアルカリ水溶液(水酸化カリウム、エチレンジアミン、エチレングリコールからなる水溶液)を用いたエッチングにより除去して金属箔のみとした。次に、得られた金属箔を長さ200mm、幅1/2インチ(12.7mm)の大きさに切断し、ループステフネステスタ(株式会社東洋精機製作所社製、製品名:ループステフネステスタDA型)を用いて、ループ長70mmでループ半径7.5mm(押し潰し距離:15mm)となるように押し潰した際の応力値を測定した。そして、得られた測定値から剛性値を算出した。得られた結果を表1に示す。
(反り)
先ず、金属張積層板を50mm角の大きさになるように切断して試験片を作製した。次に得られた試験片を下側が凸となるように静置し、金属箔とポリイミド積層体との関係において、ポリイミド積層体側に反っていれば正の値(+)とし、金属箔側に反っていれば負の値(−)として、4角の高さを測定した。そして、得られた測定値の平均値(反りの値)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(ポリイミド積層体の反り)
先ず、金属張積層板の金属箔を塩化鉄/塩化銅系溶液を用いたエッチングにより除去してポリイミド積層体のみとし、さらに50mm角の大きさになるように切断して試験片を作製した。次に得られた試験片を下側が凸となるように静置し、金属箔とポリイミド積層体との関係において、金属箔があった側に反っていれば正の値(+)とし、ポリイミド積層体側に反っていれば負の値(−)として、4角の高さを測定した。そして、得られた測定値の平均値(ポリイミド積層体の反りの値)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(判定)
プリント配線板等に用いる場合において目標とされる、ポリイミド積層体の熱膨張係数が得られており、且つ反りの値及びポリイミド積層体の反りの値が各々規定の範囲内に入っている金属張積層板を「○」、それ以外を「×」として評価した。すなわち、ポリイミド積層体の熱膨張係数が10×10−6(1/K)以下であり、反りの値が−4〜4mmであり、且つポリイミド積層体の反りの値が−2〜2mmである金属張積層板を「○」、それ以外を「×」として評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005313191
表1に示した結果から明らかなように、本発明の金属張積層板(実施例1〜4)は、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数を有するポリイミド積層体を備えており、金属張積層板全体の反り及びポリイミド積層体の反りが殆どなく、プリント配線板等の材料として優れたものであった。
一方、本発明にかかる金属箔を備えていない金属張積層板(比較例1〜2)は金属張積層板全体の反りが大きく、また、本発明にかかるポリイミド積層体を備えていない金属張積層板(比較例3〜4)はポリイミド積層体の反りが大きく、比較例1〜4で得られた金属張積層板は、プリント配線板等の材料としては劣ったものであった。
以上説明したように、本発明によれば、金属張積層板全体の反り及びポリイミド積層体の反りが十分に抑制された金属張積層板を提供することが可能となる。
したがって、本発明の金属張積層板はIC等との接続信頼性の点で優れており、またポリイミド積層体の表面上にスパッタ法等によるセミアディティブ工法やアディティブ工法による回路形成や薄銅箔のラミネートプレス等によるサブトラクティブ工法による微細回路形成が可能となり、金属箔については支持基材や放熱用途等にもそのまま使用することができる。さらに、本発明の金属張積層板の易エッチング性を利用して金属箔をエッチングオフすることが容易にでき、コストを抑えるという点からも優れているため、本発明の金属張積層板は、多層プリント配線板、電子部品の絶縁材料等として有用である。

Claims (6)

  1. 金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板であって、
    前記金属箔は、50N/m以上の曲げ剛性を有しており、
    前記ポリイミド積層体は、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有しており、且つ、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置され且つ熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層とを備えるものであって、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
    0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
    で表わされる条件を満たしていることを特徴とする金属張積層板。
  2. 前記金属箔は、70N/m以上の曲げ剛性及び5〜100μmの厚さを有するアルミニウム合金箔であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板。
  3. 前記ポリイミド積層体の金属箔とは反対側の表面のポリイミド樹脂層が第二のポリイミド樹脂層であり、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として積層された銅層を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属張積層板。
  4. 金属箔と、前記金属箔の表面上に積層されている複数のポリイミド樹脂層からなるポリイミド積層体とを備える金属張積層板の製造方法であって、
    第一のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が8×10−6(1/K)以下の第一のポリイミド樹脂層を形成する第一の工程と、
    第二のポリイミド前駆体の樹脂溶液を硬化せしめることにより、熱膨張係数が30×10−6(1/K)以上の第二のポリイミド樹脂層を形成する第二の工程と、
    を含んでおり、第一の工程及び第二の工程において、第一のポリイミド樹脂層の厚さtと第二のポリイミド樹脂層の厚さtとが下記数式(F1):
    0.01 ≦ (t/t) ≦ 0.2 ・・・(F1)
    で表わされる条件を満たすように第一のポリイミド樹脂層と該第一のポリイミド樹脂層の少なくとも片面上に配置された第二のポリイミド樹脂層とを備えており、且つ、10×10−6(1/K)以下の熱膨張係数及び1〜30μmの厚さを有するポリイミド積層体を、50N/m以上の曲げ剛性を有している金属箔の表面上に形成することを特徴とする金属張積層板の製造方法。
  5. 前記金属箔は、70N/m以上の曲げ剛性及び5〜100μmの厚さを有するアルミニウム合金箔であることを特徴とする請求項4に記載の金属張積層板の製造方法。
  6. 前記ポリイミド積層体の金属箔とは反対側の表面のポリイミド樹脂層が第二のポリイミド樹脂層であり、第二のポリイミド樹脂層の表面上に最外層として銅層を積層する工程を更に含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の金属張積層板の製造方法。
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