JP2000173808A - 樹脂結合型磁石用組成物および樹脂結合型磁石 - Google Patents

樹脂結合型磁石用組成物および樹脂結合型磁石

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JP2000173808A
JP2000173808A JP10347255A JP34725598A JP2000173808A JP 2000173808 A JP2000173808 A JP 2000173808A JP 10347255 A JP10347255 A JP 10347255A JP 34725598 A JP34725598 A JP 34725598A JP 2000173808 A JP2000173808 A JP 2000173808A
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bonded magnet
magnet
molecular weight
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Shinichi Hayashi
真一 林
Kazutoshi Ishizaka
和俊 石坂
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性が優れた樹脂結合型磁石を与える成
形性の良い組成物と、これを用いて成形した樹脂結合型
磁石とを提供する。 【解決手段】 異方性磁場(HA)が50kOe以上の
1種または2種以上の磁石粉末と、1種または2種以上
のポリアミド樹脂とを主成分とし、磁石粉末は予めポリ
オレフィン系材料で被覆されている樹脂結合型磁石用組
成物。ポリアミド樹脂の数平均分子量は5000〜15
000、末端アミノ基濃度は0〜20mg当量/kgで
かつ分子量分布が2.8〜10.0、末端カルボキシル
基濃度は0〜500mg当量/kgが好ましい。また、
本発明の組成物を成形して得た樹脂結合型磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気特性に優れた
樹脂結合型磁石を得るための樹脂結合型磁石用組成物
と、これを用いて得られる樹脂結合型磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライトやアルニコや希土類系合金を
用いた焼結磁石は一般に脆く、薄肉のものや複雑な形状
のものが得難い。また焼結時の収縮が15〜20%と大
きくて寸法精度が低く、高精度品では研磨等の後加工を
する必要である。
【0003】樹脂結合型磁石はこれらの欠点を解決する
と共に新しい用途をも開拓するもので、ポリアミド樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂
などのバインダーに磁石粉末を充填したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、小型モーター、
音響機器、OA機器等に用いられる樹脂結合型磁石は、
機器の小型化の要請から形状複雑化が進み、かつ磁気特
性に優れたものが要求されている。
【0005】しかし、従来の樹脂結合型磁石は成形性が
悪く、特に成形が困難とされる複雑異形状製品で高磁気
特性を得ることができず、また成形時に受ける熱による
劣化や磁石粉末の充填量に限界がある等の理由から、磁
気特性は上記用途に使用するには不十分であり、改良が
望まれていた。
【0006】そこで本発明は、従来の欠点を解消し、磁
気特性が優れた樹脂結合型磁石を与える成形性の良い組
成物と、これを用いて成形した樹脂結合型磁石とを提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するため、磁石粉末の被覆方法とポリアミド樹脂
の末端アミノ基の変性方法、分子量や添加剤等の種類を
変えて種々の検討を行った結果、予め磁石粉末をポリオ
レフィン系材料で被覆することで優れた磁気特性と成形
性を有する組成物が得られることを見いだし本発明を完
成した。
【0008】また、分子量分布と分子量を一定範囲内に
規定したり、末端アミノ基を変性したポリアミド樹脂を
用いることで、より優れた磁気特性を有する樹脂結合型
磁石を得るための組成物が得られることを見いだした。
【0009】即ち、本発明の樹脂結合型磁石用組成物
は、異方性磁場(HA)が50kOe以上の1種または
2種以上の磁石粉末と、1種または2種以上のポリアミ
ド樹脂とを主成分とし、該磁石粉末は予めポリオレフィ
ン系材料で被覆されていることを特徴とする。
【0010】前記ポリアミド樹脂の数平均分子量は、5
000〜15000であることが好ましい。
【0011】また、前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基
濃度は、0〜20mg当量/kgで、かつ、分子量分布
(重量平均分子量/数平均分子量)が2.8〜10.0
であることが好ましい。
【0012】また、前記ポリアミド樹脂の末端カルボキ
シル基濃度は、0〜500mg当量/kgであることが
好ましい。
【0013】また、前記ポリアミド樹脂は、ナイロン1
1またはナイロン12の構成単位を含むナイロンホモポ
リマーまたはナイロンコポリマーであることが好まし
い。
【0014】本発明によれば、前記磁石粉末が組成物中
に50容量%以上含めても、組成物のJIS K−72
10の「流れ試験方法(参考試験)」での250℃にお
ける流れ値Qを50×10-3ml/秒以上とすることが
できる。
【0015】また、前記磁石粉末は、粒径100μm以
下の磁石粉末を50%以上含むことが好ましい。
【0016】本発明の組成物中には、脂肪族系炭化水
素、脂肪酸アミド系化合物、脂肪酸、脂肪酸金属塩化合
物、アルコール系化合物、または、グリセリン系化合物
の内の少なくとも1種を含むことができる。
【0017】更に、本発明の樹脂結合型磁石は、上記い
ずれかの構成の組成物を公知の成型法で成形して得るこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、磁石粉末として、一般に市販されている希
土類−遷移金属系磁石粉末等、通常樹脂結合型磁石成形
体に用いられているものが使用できる。例えば、希土類
−遷移金属系磁石粉末としては、希土類−鉄−コバルト
系、希土類−鉄−ほう素(R(例えば、Nd)−Fe−
B)系、希土類−鉄−窒素(R(例えば、Sm)−Fe
−N)系等の磁石粉末が挙げられる。
【0019】本発明の組成物では、磁石粉末として上記
例示したNd−Fe−B系の液体急冷法による合金粉末
やSm−Fe−N系の合金粉末を用いると、例えば90
重量%以上の高充填化組成物でも容易に成形が可能であ
り、結果的に特に優れた磁気特性を有する樹脂結合型磁
石が得られる。特に、予めポリオレフィン系材料で表面
を被覆された磁石粉末を用いる場合は、本発明の効果が
大きく、成形性の著しい向上をはじめ成形時の温度によ
る特性劣化が小さく、高磁気特性化への割合が著しくな
る。
【0020】液体急冷法によって得られたNd−Fe−
B系の磁石粉末を用いる場合は、これが鱗片状の特異な
形状を有しているため、好ましくはジェットミルやボー
ルミル等で粉砕した方が良い。これら磁石粉末の好まし
い粒径は、平均200μm以下であり、特に好ましくは
平均100μm以下の粒径の磁石粉末が50重量%以上
含まれるとよい。
【0021】これらの磁石粉末は、混練中、成形中の酸
化劣化を極力防ぐためにも、また組成物の成形時の成形
性向上、磁気特性の向上のためにも、ポリオレフィン系
材料による表面被覆を行うことが必要である。表面処理
可能な材料としては、一般に市販されているポリオレフ
ィン系材料となるポリマーやオリゴマーであれば特に限
定されない。
【0022】ポリオレフィン系材料の原料となるモノマ
ーとしては、α−オレフィンであれば特に限定されるこ
とはなく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン
−1、デセン、オクタデセン等が挙げられ、これらの単
独または複合モノマーによる重合体を被覆することによ
って十分な効果があることを確認している。
【0023】ここで用いるポリオレフィン系材料の重合
度も特に限定されないが、成形時に配向磁場を必要とす
る異方性磁石粉末、例えば前記Sm−Co系やSm−F
e−N系等の磁石粉末を用いる場合の成形体の配向度の
向上を考えると加熱溶融時に粘度低下が著しい低重合
度、即ちP≦1000が好ましく、P≦800がより好
ましい。
【0024】また、磁石粉末の耐酸化性や耐水性を高め
るためには、P≧50が好ましく、更にはP≧100が
より好ましい。これらのポリオレフィン系材料の磁石粉
末への被覆方法も特に限定されず、可溶溶剤にオレフィ
ン系材料を完溶させた後に攪拌しながら添加し最後に乾
燥させる湿式法、オレフィン系材料を溶融温度以上で溶
融させた後に攪拌しながら添加する溶融添加法、等が例
示される。本発明者らは、湿式法によって磁石粉末表面
にオレフィン材料を被覆する方法が、樹脂結合型磁石の
高磁気特性に最も優れた効果を付与することを確認して
いる。特に、成形時に配向磁場を必要とする異方性磁石
粉末、例えば前記Sm−Co系やSm−Fe−N系等の
磁石粉末を用いた場合での効果が著しい。
【0025】次に、本発明の樹脂結合型磁石用組成物
は、ポリアミド樹脂を用いることを特徴とするが、平均
分子量が5000以上15000以下のものを用いるこ
とが好ましい。5000以下では著しい成形体強度の低
下を招いて実用性に欠け、15000以上では溶融粘度
の上昇による成形性の悪化を招き本発明の効果を得るこ
とができない。また、末端アミノ基がカルボキシル基含
有炭化水素で変性されたポリアミド樹脂を用いること
で、より優れた磁気特性を有する樹脂結合型磁石を得る
ことが可能となる。
【0026】前記変性前のポリアミド樹脂としては、例
えば、6ナイロン、6、6ナイロン、11ナイロン、1
2ナイロン、6、12ナイロン、芳香族系ナイロン等が
挙げられ、これらの単重合体や他種モノマーとのランダ
ム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他
の物質での末端基変性品などが挙げられる。又、これら
の熱可塑性樹脂の2種類以上のブレンド等における系も
当然含まれる。これらの中では成形性、吸水率の面で1
1ナイロン、12ナイロンの使用が好ましい。従来のポ
リアミド樹脂では、特に鉄系元素を含む磁石粉末におい
て著しく成形性を損なう結果を招いていたが、末端アミ
ド基を変性することでこれらの大幅な改善が可能となっ
た。
【0027】この変成後の末端アミド基の残存量は20
mmol/kg以下が好ましく、さらに好ましくは、1
5mmol/kg以下で、無に近い程良好な結果を得る
ことができる。この20mmol/kgよりも残存末端
アミド基量が増すと、磁石粉末、特に非酸化状態の鉄元
素を含む磁石粉末との反応が著しくなり、著しい溶融粘
度の上昇、流動性の低下を招き本発明の効果を得ること
ができない。
【0028】また、変性に用いるカルボキシル基含有炭
化水素としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉相酸、
ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等
のモノカルボキシル飽和脂肪酸系、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボキ
シル飽和脂肪酸系、アクリル酸、リノール酸、オレイン
酸等のモノカルボキシル不飽和脂肪酸系、マレイン酸、
フマル酸等のジカルボキシル不飽和脂肪酸系、安息香酸
等の芳香族系モノカルボキシル炭化水素、フタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボキシル炭化
水素等が挙げられる。その中でも、モノカルボキシル基
含有炭化水素が好ましく、さらにはこの炭化水素が脂肪
酸であることが好ましい。また、この炭化水素1分子中
のの構成炭素数は10以上30以下であることが望まし
い。炭素数が10以下であると成形性の改善効果が見ら
れず、30以上では溶融粘度の増大をまねき本発明の効
果を得ることができない。
【0029】本発明に用いるポリアミド樹脂の第二の特
徴は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が
大きい点、即ち2.8以上10以下に設定されているも
のを用いることが好ましい点にある。分子量分布は、好
ましくは2.8以上6程度、更に好ましくは2.8以上
4.2程度である。この分子量分布が2.8以下の場合
は、成形時の金型内温度程度である約100℃前後の機
械強度が低く実用に耐えることができない。また、10
以上であると成形温度での未溶融物が多くなり流動性の
低下を招き本発明の効果を得ることができない。
【0030】前記ポリアミド樹脂の前記分子量や分子量
分布は、慣用の方法、例えば、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)等によりもとめることがで
きる。このポリアミド樹脂は、異なる平均分子量や分子
量分布を有する2種以上の混合体でも最終使用時の末端
アミノ基、平均分子量、分子量分布等が該発明の範囲内
に属していれば本発明の効果を十分得ることができるた
め、2種以上のポリアミド樹脂を混合調整し用いても良
い。
【0031】これらの変性されたポリアミド樹脂の形状
は、パウダー、ビーズ、ペレット等特に限定されない
が、磁石粉末との均一混合性から考えるとパウダーが望
ましい。添加する量は、磁石粉末100重量部に対して
5重量部以上50重量部未満の割合が良く、好ましくは
8重量部以上20重量部以下、さらには8重量部以上1
5重量部以下がより好ましい。ポリアミド樹脂の添加量
が磁石粉末100重量部に対して5重量部以下の場合
は、成形性が著しく低下し、所望の樹脂結合型磁石成形
することができない。また、添加量が50重量部以上の
場合所望の磁気特性が得られない。
【0032】本発明における組成物は、これらの必須成
分の他にもポリアミド樹脂以外の樹脂、プラスチック成
形用滑剤や種々の安定剤等を添加することができる。
【0033】本発明の組成物に添加可能なポリアミド樹
脂以外の樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エタクリ
レート共重合樹脂、エチレン−メタクリレート共重合樹
脂、塩素化ポリエチレン樹脂、部分酸化ポリエチレン樹
脂等のポリオレフィン系及びその共重合樹脂をはじめ、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート
樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、酢酸セルロース、酢酪
酸セルロース、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹
脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−ブタジエン
共重合樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、
アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂、塩素
化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポ
リ酢酸ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポ
リブチルメタクリレート樹脂、ポリテトラフロロエチレ
ン樹脂、エチレン−ポリテトラフロロエチレン共重合樹
脂等が挙げられる。
【0034】滑剤としては、例えばパラフィンワック
ス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロ
ピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイ
クロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−
オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレ
イン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミ
ニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシ
ノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の
脂肪酸塩(金属石鹸類)ステアリン酸アミド、オレイン
酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチ
ン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン
酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレン
ビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレ
イン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステ
アリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類、ステアリ
ン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、
ステアリルアルコール等のアルコール類、グリセリンモ
ノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリ
ンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセ
リンモノ・ジステアレート、グリセリンモノベヘネー
ト、グリセリンジアセトモノラウレート、クエン酸不飽
和脂肪酸モノグリセライド、ジグリセリンラウレート、
ジグリセリンステアレート、テトラグリセリンステアレ
ート、デカグリセリンラウレート等のグリセリン系化合
物、またはグリセリン系脂肪酸エステル化合物、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポ
リエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリ
ース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリ
ース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、
炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、
二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
【0035】これらの樹脂や滑剤の中でも、ポリエチレ
ン樹脂やパラフィンワックス等の脂肪族系水素化合物、
エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系化
合物、ステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシ
ウム等の脂肪酸金属塩化合物、ステリルアルコール等の
アルコール系化合物、グリセリンモノステアレート等の
グリセリン系化合物またはグリセリン系脂肪酸エステル
化合物のそれぞれ単独、もしくは混合系での添加が極め
て有用であることを確認している。
【0036】また、安定剤としては、ビス(2、2、
6、6、−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1、2、2、6、6、−ペンタメチル−4−
ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−
ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ}エチル]−4−{3−(3、5−ジ−第三ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}
−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、8−ベン
ジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル−
1、2、3−トリアザスピロ[4、5]ウンデカン−
2、4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2、2、6、
6−テトラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−
(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2、2、
6、6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6
−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)イミノ−
1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル][(2、
2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]
ヘキサメチレン[[2、2、6、6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ]]、2−(3、5−ジ・第三ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロ
ン酸ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)等のヒンダード・アミン系安定剤のほか、フ
ェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸
化剤等が挙げられる。
【0037】上記の他、顔料やプラスチック用各種改質
剤、相溶化剤等を適宜必要に応じて添加しても差し支え
ないが、最終混練後の組成物が、JIS K7210
「流れ試験方法(参考試験)」に準じてダイBを使用し
た時の、荷重30kgf、測定温度250℃における溶
融時の組成物流れ値Qが50×10-3ml/秒以上10
000×10-3ml/秒以下となることが好ましい。溶
融時の組成物流れ値Qが50×10-3ml/秒以下であ
ると成形時の成形安定性が得られないばかりか本発明の
効果を得ることもできない。また、10000×10-3
ml/秒以上の場合は、成形時のバリの発生、成形体中
の添加剤等の分離等が生じ最終成形体の著しい強度の低
下を招き実用に耐えうることができなくなる。
【0038】本発明において、これら各成分の混合方法
は特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラ
ー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパー
ミキサー等の混合機あるいは、バンバリーミキサー、ニ
ーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸
押出機等の混練機を使用して実施することができる。
【0039】本発明の組成物は、各成分を混合し、パウ
ダー、ビーズ、ペレットあるいはこれらの混合物の形で
得られるが、取扱安い点で、ペレットが望ましい。得ら
れた組成物は、各種の熱可塑性樹脂成形機、好ましくは
射出成形機、押出成形機により成形される。
【0040】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて本発明をより
具体的に説明する。尚、実施例、比較例に用いた各成分
の詳細及び試験方法、評価を例示するが、本発明の趣旨
を逸脱しない限り、これらに限定されるものでは無い。
【0041】以下の材料及び方法で樹脂結合型磁石用組
成物及び磁石を製造し、評価した。用いた材料を下記に
示す。
【0042】A 磁石粉末 ・磁石粉1:Nd−Fe−B 系磁石粉末 (平均粒径100μm以下の含有率が63%) (商品名:MQP−B、マグネクエンチインターナショ
ナル社製) ・磁石粉2:Sm−Fe−N 系磁石粉末 (平均粒径100μm以下の含有率が99%) (商品名:Sm−Fe−N合金、住友金属鉱山(株)
製) ・磁石粉3:Sm−Co 系磁石粉末 (平均粒径100μm以下の含有率が99%) (商品名:RCo5合金、住友金属鉱山(株)製) ・磁石粉4:ストロンチウムフェライト系磁石粉末 (平均粒径100μm以下の含有率が99%) (商品名:MA−951、戸田工業(株)製)
【0043】B 被覆用ポリオレフィン系材料 ・PO1:ポリエチレン (平均分子量3500、P=125) (商品名:サンワックス131P、三洋化成工業(株)
製) ・PO2:ポリプロピレン (平均分子量4000、P=95) (商品名:サンワックス131P、三洋化成工業(株)
製)
【0044】C ポリアミド樹脂 ・PA1:平均分子量6000、末端アミノ基量34m
g当量/kg 末端カルボキシル基量98mg当量/kg 分子量分布2.9 ・PA2:平均分子量6000、末端アミノ基量5mg
当量/kg 末端カルボキシル基量276mg当量/kg 分子量分布4.3 ・PA3:平均分子量9000、末端アミノ基量3mg
当量/kg 末端カルボキシル基量185mg当量/kg 分子量分布5.7 ・PA4:平均分子量13000、末端アミノ基量5m
g当量/kg 末端カルボキシル基量121mg当量/kg 分子量分布4.9 ・PA5:平均分子量19500、末端アミノ基量23
mg当量/kg 末端カルボキシル基量68mg当量/kg、分子量分布
3.1
【0045】D 滑 剤 ・脂肪族系炭化水素: パラフィンワックス (商品名:モービルワックス140、モービル石油
(株)製) ポリエチレンワックス (商品名:サンワックス161−P、三洋化成工業
(株)製) ポリエチレン樹脂 (商品名:UBEポリエチレンJ5019、宇部興産
(株)製) ・脂肪酸アミド系化合物: ステアリン酸アマイド (商品名:アマイドAP−1、日本化成(株)製) エチレンビスステアリン酸アマイド (商品名:スリパックスE、日本化成(株)製) メチロールステアリン酸アマイド (商品名:メチロールアマイド、日本化成(株)製) ・脂肪酸: ステアリン酸 (商品名:ステアリン酸、関東化学(株)製) パルミチン酸 (商品名:パルミチン酸、関東化学(株)製) ベヘン酸 (商品名:ベヘン酸、関東化学(株)製) ・脂肪酸金属塩化合物: ステアリン酸カルシウム (商品名:SC−100、堺化学工業(株)製) ステアリン酸リチウム (商品名:S−7000、堺化学工業(株)製) ラウリン酸亜鉛 (商品名:Z−12、堺化学工業(株)製) ・アルコール系化合物: ステアリルアルコール (商品名:カルコール80、花王(株)製) ココナットアルコール (商品名:カルコール86、花王(株)製) ・グリセリン系化合物: ジグリセリンオレート (商品名:リケマールO−71D、理研ビタミン(株)
製) グリセリンジアセトモノラウレート (商品名:リケマールPL−002、理研ビタミン
(株)製) デカグリセリンラウレート (商品名:ポエムJ−0021、理研ビタミン(株)
製)
【0046】次に各成形品の製造方法、及び、評価方法
を示す。
【0047】1)磁石粉末の表面被覆 1−1)オレフィン系材料の溶媒への溶解 アルゴン置換したフラスコに室温にて脱水トルエン入
れ、攪拌下で各オレフィン系材料を添加し、80℃中で
1時間攪拌溶解させた。
【0048】1−2)ポリオレフィン系材料の被覆 高速回転用ミキサー中に磁石粉末を投入し、減圧下80
℃に保ちながら上記ポリオレフィン系材料完溶溶媒を高
速攪拌下に30分かけて滴下しながら溶媒を揮散させ、
所定のポリオレフィン被覆磁石粉末を得た。
【0049】2)分子量調整ナイロン、および末端基変
成ナイロンの作製 宇部興産(株)製ナイロン12(UBE3014U)に
所定量の酢酸を添加し、万能混合機に投入後250℃、
窒素雰囲気1.3気圧中で反応させ、冷却後所望分子量
調整後のナイロンを得た。数平均分子量はGPC法によ
って算出した。
【0050】また、宇部興産(株)製ナイロン12(U
BE3014U)に所定の脂肪酸を添加し、万能混合機
に投入後250℃、窒素雰囲気1.3気圧中で3時間反
応させ、冷却後所望のナイロンを得た。残存末端アミノ
基の同定は、滴定法による末端基定量法で行った。数平
均分子量はGPC法によって算出した。
【0051】3)組成物の混合及び作製 それぞれのポリエチレン被覆磁石粉末に、所定の樹脂を
所定の比率になるよう添加し(各重量部)、更に滑剤と
して、金属粉100重量部に対し規定量を加え、プラネ
タリーミキサー中で十分混合撹拌させた。
【0052】これらにより得られた混合物を20mmφ
シングル押出機(L/D=25、CR=2.0、回転数
=20rpm、5mmφストランドダイ、シリンダー温
度200〜250℃、ダイス温度230℃にて押し出
し、ホットカットペレタイザーにて約5mmφ×5mm
のペレットコンパウンドを作製した。
【0053】4)射出成形方法 これらのコンパウンドを、(株)日本製鋼所製磁場中射
出成形機(J−20MII)にて横φ10mm×15mm
の円柱及び6mm×15mm×2mm試験用樹脂結合型
磁石を同一条件(成形温度220〜230℃、金型温度
100〜120℃)にて成形し、得られたこれらの成形
品を後述の方法にてそれぞれ評価した。尚、Sm−Fe
−Nを使用した時のみ15〜20kOeの磁場中金型内
にて成形を行った。
【0054】5)各評価方法 ・溶融流動性評価 JIS K7210 「流れ試験方法(参考試験)」に
準じ、ダイBを使用、荷重30kgf、測定温度250
℃にて溶融組成物流れ値Qを求めた。その結果を表1〜
表4に示す。
【0055】・機械強度評価 JIS K7214 「プラスチックの打抜きによるせ
ん断試験方法」に準じ、ポンチ径は2.97mm、ヘッ
ドスピードは1mm/分、サンプル形状はφ10mm×
3mm厚の成形体として、剪断打ち抜き強さを求めた。
その結果を表1〜表4に示す。
【0056】・磁気特性評価 上記射出成形条件にて得られた樹脂結合型磁石試料の磁
気特性を、チオフィー型自記磁束計にて常温で測定し
た。磁気特性のうち(BH)maxの結果を表1〜表4
に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明の樹脂結合型磁石
用組成物とこれによって得られる樹脂結合型磁石は、予
めポリオレフィン系材料で被覆された磁石粉末を用い、
また分子量を限定したり、末端基の変性や分子量分布を
限定したポリアミド樹脂と併用することで、より優れた
混合物特性、成形性、磁気特性を提供することができ、
例えば、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一
般産業機器にいたる幅広い分野で特に有用である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性磁場(HA)が50kOe以上の
    1種または2種以上の磁石粉末と、1種または2種以上
    のポリアミド樹脂とを主成分とし、該磁石粉末は予めポ
    リオレフィン系材料で被覆されていることを特徴とする
    樹脂結合型磁石用組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミド樹脂の数平均分子量が5
    000〜15000であることを特徴とする請求項1に
    記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度
    が0〜20mg当量/kgで、かつ、分子量分布(重量
    平均分子量/数平均分子量)が2.8〜10.0である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂
    結合型磁石用組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリアミド樹脂の末端カルボキシル
    基濃度が、0〜500mg当量/kgであることを特徴
    とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の樹脂結合
    型磁石用組成物。
  5. 【請求項5】 前記ポリアミド樹脂がナイロン11また
    はナイロン12の構成単位を含むナイロンホモポリマー
    またはナイロンコポリマーであることを特徴とする請求
    項1〜請求項4のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組
    成物。
  6. 【請求項6】 前記磁石粉末が組成物中に50容量%以
    上含まれ、かつ、JIS K−7210の「流れ試験方
    法(参考試験)」での250℃における流れ値Qが50
    ×10-3ml/秒以上であることを特徴とする請求項1
    〜請求項5のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記磁石粉末が、粒径100μm以下の
    磁石粉末を50%以上含むことを特徴とする請求項1〜
    請求項6のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  8. 【請求項8】 組成物中に、脂肪族系炭化水素、脂肪酸
    アミド系化合物、脂肪酸、脂肪酸金属塩化合物、アルコ
    ール系化合物、または、グリセリン系化合物の内の少な
    くとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7
    のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の
    樹脂結合型磁石用組成物を成型して得た樹脂結合型磁
    石。結合型磁石。
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