JP2000169931A - レ―ザ溶接用鋼 - Google Patents
レ―ザ溶接用鋼Info
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Abstract
の優れた鋼材の提供。 【解決手段】 重量%で、C:0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.5%、Mn:0.2〜2.0%、
P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.
0005〜1.0%を含有し、残部がFe及び不可避不
純物からなり、且つ、ミルスケール厚が50μm以下で
あり、さらに、0.4<(0.88[%Al]+1.1
4[%Si])<1.5を満たすレーザ溶接用鋼。N
b、V、Mo、Cu、Ni、Cr、Bの1種又は2種以
上を、さらに含有することが好ましい。
Description
産業プラント、その他の鋼構造物に適用されるレーザ溶
接性に優れた鋼板、鋼管、H型鋼などの鋼材に関するも
のである。
板においてもレーザ溶接の適用が可能となりつつある。
しかしながら、レーザ溶接を用いて厚鋼板を溶接する場
合、ア−ク溶接に比べてブローホールや凝固割れが発生
しやすく、これに起因する溶接部の強度、靭性、疲労特
性等の劣化が溶接施工上で大きな問題となる場合があ
る。従来、これを防止するために特開昭60−2065
89号公報に開示されているように、レーザ照射位置の
制御などによる対策が考えられてきたが、板厚や、溶接
条件の変更に伴い、毎回照射位置を最適化する必要があ
り実用的ではない。
ールを残したままでの溶接や、レーザ切断、プラズマ切
断、ガス切断等、スケールが付着した切断面をそのまま
の状態で溶接する場合が多く、これらの場合には機械加
工の様な清浄な金属面を溶接する場合に比べてブローホ
ールや凝固割れの発生が一層顕著となる。しかしなが
ら、鋼構造物をレーザ溶接で組み立てる際、切断端面の
スケールやミルスケールを除去するのは効率的、経済的
観点から現実的ではなく、ミルスケールを残したままで
の溶接や、レーザ切断、プラズマ切断、ガス切断等も切
断面をそのままの状態で溶接しても、ブローホール及び
凝固割れの発生を抑制できる技術が望まれている。
8−300002号公報に開示されているようにフィラ
ーワイヤを用いて脱酸元素を溶接金属に供給する方法が
ある。しかし、この方法では、脱酸元素の供給は鋼板表
面からしかなされないので、板厚が厚くなると板厚方向
での均一な脱酸元素の分布が確保できないという問題が
生じる。このため厚板のレーザ溶接においては必要な脱
酸元素は鋼中に成分として含有されることが望ましい。
鑑み、レーザ溶接部にスケールを含む場合でもブローホ
ール及び凝固割れの発生を抑制しうる、レーザ溶接性に
優れた構造用鋼を提供するものである。
めに、本発明者らはブローホール及び凝固割れの発生と
スケール厚さ、脱酸元素の添加量について研究を進めた
結果、成分とミルスケールの許容厚さなどの諸関係を把
握するに至り完成させたものであって、その要旨とする
ところは、 (1)重量%で、C:0.01〜0.20%、Si:
0.01〜1.5%、Mn:0.2〜2.0%、P:
0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.00
05〜1.0%を含有し、残部がFe及び不可避不純物
からなり、且つ、ミルスケール厚が50μm以下であ
り、さらに下記の式(1)により規定されるXの値が
0.4<X<1.5であることを特徴とするレーザ溶接
用鋼。 X=0.88[%Al]+1.14[%Si] … (1)
1%、V:0.001〜1.0%、Mo:0.001〜
2.0%、Cu:0.01〜3.0%、Ni:0.01
〜7.0%、Cr:0.01〜5.0%、B:0.00
01〜0.01%の1種又は2種以上を、さらに含有す
ることを特徴とする前記(1)に記載のレーザ溶接用
鋼。
%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.2〜2.0
%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:
0.0005〜1.0%を含有し、さらに、Ti:0.
001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、M
g:0.0001〜0.02%、Ca:0.0001〜
0.02%、REM:0.001〜0.3%の1種又は
2種以上を含有し、残部がFe及び不可避不純物からな
り、且つ、ミルスケール厚が50μm以下であり、さら
に下記の式(2)により規定されるYの値が0.4<Y
<1.5であることを特徴とするレーザ溶接用鋼。 Y=0.88[%Al]+1.14[%Si]+0.67[%Ti] +0.35[%Zr]+0.66[%Mg]+0.40[%Ca] +0.30[%REM] … (2)
1%、V:0.001〜1.0%、Mo:0.001〜
2.0%、Cu:0.01〜3.0%、Ni:0.01
〜7.0%、Cr:0.01〜5.0%、B:0.00
01〜0.01%の1種又は2種以上を、さらに含有す
ることを特徴とする前記(3)に記載のレーザ溶接用鋼
にある。
た切断端面やミルスケールを含む鋼材をレーザ溶接する
場合に、ブローホールが発生するメカニズム及び、これ
を抑制するための手段を述べる。スケ−ルの付着した端
面や鋼板のミルスケールを含むレーザ溶接では、 (スケ−ルから持ち込まれる酸素)+(鋼中のC)→C
Oガス が発生し、これにより溶接金属にブロ−ホ−ルが発生す
る。従って、この酸素を脱酸元素で固定し、COガスが
発生しないようにすることがブローホールを抑制する上
で重要であり、そのための必要且つ十分な条件が式
(1)及び式(2)により規定されたX及びYの値が、
0.4<X<1.5、0.4<Y<1.5である式
(1)、式(2)に用いた各元素の係数及び、XとYの
上限値、下限値は実験により決定した。
に種々の切断端面スケールとミルスケールに関して、そ
の厚みを調査した。その結果、ミルスケールの最大厚は
58μm、最小厚は5μmであった。一方、切断端面の
スケールに関しては、レーザ切断面が約5μm、プラズ
マ切断面が約15μmであり、ガス切断面が約25μm
であった。切断端面のスケール厚は切断方法で主に決定
され、試験片毎の差異は認められなかった。これらのス
ケールはX線回折を行った結果、Fe2 O3 、Fe3 O
4 、FeOで構成されており、全て溶接金属に酸素を持
ち込むことが確認された。
場合には、調査された中で最大のスケール厚である58
μmまで考慮するべきであるが、後述するようにミルス
ケールが50μmを越える場合には溶接金属に凝固割れ
が多発する場合が生じるので、以下の議論ではミルスケ
ールは50μmまでを検討している。つまり、式(1)
及び式(2)で規定されるX、Yの下限値は図1に示す
ように、厚さ49μmの鋼板ミルスケール1と厚さ25
μmのガス切断端面2により形成されるL字角継手のレ
ーザ溶接で決定された。また、上限値は図2に示すよう
に、厚さ5μmの端面スケールを持つレーザ切断端面3
同士の突合わせ継手をレーザ溶接して決定した。
3で検討した成分は重量%で、0.08%C−Si−
1.3%Mn−0.01%P−0.005%S−0.5
%Mo−Alであり、図4で検討した成分系は重量%
で、0.08%C−Si−1.3%Mn−0.01%P
−0.005%S−0.5%Mo−Al−Ti−Zr−
Mg−Ca−REMであるが、これ以外の成分系でもス
ケール厚に差がなければ同等の結果が得られている。こ
れよりX及びYの値が0.4重量%未満の場合には、脱
酸元素不足で酸素が固定できないため、ブローホールが
発生することが確認された。また、1.5重量%を越え
る場合にはレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラ
ズマの安定性を損ない、逆にブローホールが増加するこ
とを確認した。従って式(1)及び式(2)で規定され
るX、Yの値は0.4重量%超、1.5重量%未満とし
た。
制方法について述べる。レーザ溶接に関して種々の溶接
金属を調査した結果、凝固割れは溶接金属の溶け込み形
状に大きく依存することが確認され、この凝固形状を決
定する因子はスケール厚であることを知見した。ここで
いうスケール厚とはレーザビームの貫通方向に平行に存
在するスケール厚の合計値であり、例えば図1の様なL
字型角継ぎ手の場合には74μm(25μm+49μ
m)となる。種々の切断端面を実験した結果、この合計
値が75μmを越えると溶接金属に凝固割れが多発する
ことを知見した。この合計値が75μmを越えるのは、
図1に示すようにガス切断端面2と鋼材ミルスケール1
と組み合わせるL字型角継ぎ手の場合である。
は約25μmで一定なので、鋼材ミルスケールが50μ
m以上の場合に凝固割れが多発するようになる。実験結
果の一例を図5及び図6に示すが、ミルスケール厚が5
0μm超の場合には溶込み形状が中膨れとなり、これに
より凝固割れが多発している。尚、図5及び図6で検討
した成分系は、重量%で0.08%C−0.4%Si−
1.3%Mn−0.01%P−0.005%S−0.5
%Mo−0.05%Alであるが、これ以外の成分系で
もスケール厚に差がなければ同等の結果が得られてい
る。従って鋼板のミルスケール厚は50μm以下と規定
した。
その規定理由を説明する。 C:0.01重量%未満の極低C量では強度が不足し、
また溶接金属においても凝固割れが発生する。逆に、
0.20重量%超のCでは溶接熱影響部及び溶接金属の
靭性が低下する。よって、Cは0.01重量%以上、
0.20重量%以下としたが、特にCOガス発生を抑制
する観点からはC量は低い方が好ましい。Si:Siは
脱酸剤及び強化元素として添加されるが、0.01重量
%未満ではその効果が十分ではなく、一方、1.5%超
では圧延時にスケール起因の傷を多発するようになる。
よって、Siは0.01重量%以上、1.5重量%以下
とした。
元素であるが0.2重量%未満ではその効果が無く、逆
に2.0重量%超の添加は逆にブローホールの発生を助
長することを知見し、Mnは0.2重量%以上、2.0
重量%以下とした。 P及びS:P及びSの過剰な添加は鋼板及び熱影響部の
靭性を劣化させるので、0.02重量%以下とした。 Al:Alは脱酸剤として重要な元素であるが、0.0
005重量%未満にすることは製鋼上の負荷が高く現実
的ではない。一方、1.0%超では鋼板の衝撃靭性が劣
化する。よって、Alの添加量は0.0005重量%以
上1.0重量%以下とした。
鋼板のミクロ組織制御に重要な元素であるが、0.00
1重量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に過剰な
添加は鋼板の靭性を損ねる。よって、Nbの添加量は
0.001重量%以上、0.1重量%以下とした。 V:VはTMCPプロセスにおいて、鋼板のミクロ組織
制御に重要な元素であり、また耐熱鋼においては高温強
度の確保にも必要な元素であるが、0.001重量%未
満ではその効果が十分ではなく、逆に過剰な添加は靭性
を損ねる。従って、Vの添加量は0.001重量%以
上、1.0重量%以下とした。
化を抑制する元素であり、Mnの代替として添加できる
が、0.001重量%未満ではその効果が十分ではな
く、逆に2.0重量%超では鋼板の靭性が低下する。よ
って、Moの添加量は0.001重量%以上、2.0重
量%以下とした。 Cu:Cuは強度補償のためにMnの代替元素として添
加することができる。但しその添加量は0.01重量%
未満ではその効果が十分でなく、逆に3.0%超の場合
には溶接金属に凝固割れが発生する。従って、Cuの添
加量は0.01重量%以上、3.0重量%以下とした。
代表的な元素であるが、0.01重量%未満ではその効
果が十分でなく、逆に7.0重量%超では溶接金属に凝
固割れを生じる。よってNiの添加量は0.01重量%
以上、7.0重量%以下とした。 Cr:Crは強度向上元素として添加することができ
る。また、耐熱用鋼においては高温強度の確保にも必要
な元素であるが、0.01重量%未満ではその効果が十
分ではなく、逆に5.0重量%超の添加は鋼板の靭性を
損ねる。従って、Crの添加量は0.01重量%以上、
5.0重量%以下とした。
ができるが、0.0001重量%未満ではその効果が十
分ではなく、逆に0.01重量%超の添加は鋼板の靭性
を低下させる。従って、Bの添加量は0.0001重量
%以上、0.01重量%以下とした。 Ti:Tiも脱酸元素として作用するので、添加しても
差し支えない。但し0.001重量%未満ではその効果
が十分ではなく、逆に0.1重量%超では鋼板の靭性が
低下する。よって、Tiの添加量は0.001重量%以
上、0.1重量%以下とした。
で、添加しても差し支えない。但し0.001重量%未
満ではその効果が十分ではなく、逆に0.1重量%超で
は鋼板の靭性が低下する。よって、Zrの添加量は0.
001重量%以上、0.1重量%以下とした。 Mg:Mgも脱酸元素として作用するので、添加しても
差し支えない。但し0.0001重量%未満ではその効
果が十分ではなく、逆に0.02重量%超の添加はレー
ザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を
損なう。よって、Mgの添加量は0.0001重量%以
上、0.02重量%以下とした。
で、添加しても差し支えない。但し0.0001重量%
未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.02重量%
超の添加はレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラ
ズマの安定性を損なう。よって、Caの添加量は0.0
001重量%以上、0.02重量%以下とした。 REM:REMも脱酸元素として作用するので、添加し
ても差し支えない。但し0.001重量%未満ではその
効果が十分ではなく、逆に0.3重量%超の添加はレー
ザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を
損なう。よって、REMの添加量は0.001重量%以
上、0.3重量%以下とした。
する。実験に用いた鋼は転炉で溶製し、連続鋳造により
250mm厚のスラブとした。各鋼種の成分を表1に示
す。これらのスラブを熱間圧延で、厚さ6mm、9m
m、15mm、20mmの鋼板とした。この際に圧延温
度とデスケーリングの条件を変化させることで、鋼板ミ
ルスケールの厚みを5μmから60μmまで変化させ
た。
素ガスを用いて切断し、レーザ切断面を端面に持つ供試
鋼板を作成した。以上の鋼板をI型突合わせ及びL字型
角継ぎ手の2種類の形状でレーザ溶接を実施した。溶接
姿勢は6mm厚と9mm厚に関しては下向き、15mm
厚と20mm厚に関しては横向きで溶接した。溶接条件
を表2に示す。溶接後の鋼板には表3の試験を実施し、
その結果を表4〜表6に示す。表4〜表6の中で、シャ
ルピー試験の吸収エネルギは各鋼板における最低値を記
してある。以上の結果より、本発明の鋼板は全ての検査
において合格したが、比較例として検討した鋼板は不合
格であった。
いれば鋼板のミルスケールやスケールが付着した切断端
面等をそのまま溶接しても、健全な溶接部と十分な機械
的特性が確保されるので、そのメリットは多大であると
言える。
である。
ある。
した写真の模式図である。
椎 名 彊
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.20%、 Si:0.01〜1.5%、 Mn:0.2〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.0005〜1.0% を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、且
つ、ミルスケール厚が50μm以下であり、さらに下記
の式(1)に規定されるXの値が0.4<X<1.5で
あることを特徴とするレーザ溶接用鋼。 X=0.88[%Al]+1.14[%Si] … (1) - 【請求項2】 重量%で、 Nb:0.001〜0.1%、 V:0.001〜1.0%、 Mo:0.001〜2.0%、 Cu:0.01〜3.0%、 Ni:0.01〜7.0%、 Cr:0.01〜5.0%、 B:0.0001%〜0.01% の1種又は2種以上を、さらに含有することを特徴とす
る請求項1に記載のレーザ溶接用鋼。 - 【請求項3】 重量%で、 C:0.01〜0.20%、 Si:0.01〜1.5%、 Mn:0.2〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.0005〜1.0%を含有し、 さらに、Ti:0.001〜0.1%、 Zr:0.001〜0.1%、 Mg:0.0001〜0.02%、 Ca:0.0001〜0.02%、 REM:0.001〜0.3% の1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避不
純物からなり、且つ、ミルスケール厚が50μm以下で
あり、さらに下記の式(2)により規定されるYの値が
0.4<Y<1.5であることを特徴とするレーザ溶接
用鋼。 Y=0.88[%Al]+1.14[%Si]+0.67[%Ti] +0.35[%Zr]+0.66[%Mg]+0.40[%Ca] +0.30[%REM] … (2) - 【請求項4】 重量%で、 Nb:0.001%〜0.1%、 V:0.001%〜1.0%、 Mo:0.001%〜2.0%、 Cu:0.01% 〜3.0%、 Ni:0.01% 〜7.0%、 Cr:0.01% 〜5.0%、 B:0.0001%〜0.01% の1種又は2種以上を、さらに含有することを特徴とす
る請求項3に記載のレーザ溶接用鋼。
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Cited By (4)
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EP2660348A1 (en) * | 2010-12-27 | 2013-11-06 | Hitachi Metals, Ltd. | Die steel having superior rusting resistance and thermal conductivity, and method for producing same |
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-
1999
- 1999-08-19 JP JP23234299A patent/JP4213830B2/ja not_active Expired - Fee Related
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