JP4177539B2 - レーザ溶接用鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は造船、機械、建築、産業プラント、その他の鋼構造物に適用されるレーザ溶接性に優れた鋼板、鋼管、H型鋼などの鋼材製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年レーザ溶接機の高出力化に伴い、厚板においてもレーザ溶接の適用が可能となりつつある。しかしながら、レーザ溶接を用いて厚鋼板を溶接する場合、アーク溶接に比べてブローホールや凝固割れが発生しやすく、これに起因する溶接部の強度、靭性、疲労特性等の劣化が溶接施工上で大きな問題となる場合がある。従来、これを防止するために特開昭60-206589 号公報に開示されているように、レーザ照射位置の制御などによる対策が考えられてきたが、板厚や、溶接条件の変更に伴い、毎回照射位置を最適化する必要があり、実用的ではない。
【0003】
また、実際の溶接現場では鋼板のミルスケールを残したままでの溶接や、レーザ切断、プラズマ切断、ガス切断等、スケールが付着した切断面をそのままの状態で溶接する場合が多く、これらの場合には機械加工の様な清浄な金属面を溶接する場合に比べてブローホールや凝固割れの発生が一層顕著となる。しかしながら、鋼構造物をレーザ溶接で組み立てる際、切断端面のスケールやミルスケールを除去するのは効率的、経済的観点から現実的ではなく、ミルスケールを残したままでの溶接や、レーザ切断、プラズマ切断、ガス切断等も切断面をそのままの状態で溶接しても、ブローホール及び凝固割れの発生を抑制できる技術が望まれている。
【0004】
これに対する技術としては、例えば特開平8-300002号公報に開示されているようにフィラーワイヤを用いて脱酸元素を溶接金属に供給する方法がある。しかし、この方法では脱酸元素の供給は鋼板表面からしかなされないので、板厚が厚くなると板厚方向での均一な脱酸元素の分布が確保できないという問題が生じる。このため、厚板のレーザ溶接においては必要な脱酸元素は鋼中に成分として含有されることが望ましく、且つブローホール発生の原因となる鋼材のミルスケール厚は極力薄くなるような製造方法が採られることが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の背景を鑑み、レーザ溶接部にスケールを含む場合でもブローホール及び凝固割れの発生を抑制しうる、レーザ溶接性に優れた構造用鋼の製造方法を提供するものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋼材成分、圧延温度、デスケーリング条件等を変化させて製造した鋼材をレーザ溶接した場合に発生するブローホール及び凝固割れに関して研究を進めた結果、成分及び上述の製造条件の適用可能範囲を適正化するに至り完成させたものであって、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.2〜2.0%、
P :0.02%以下、
S :0.02%以下、
Al:0.0005〜1.0%、
を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延するとともに、熱間圧延時に5MPa以上の高圧水によるデスケーリングを圧延機の入り側または出側の少なくとも1方で少なくとも1回以上行うことを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
(2)質量%で、
C :0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.2〜2.0%、
P :0.02%以下、
S :0.02%以下、
Al:0.0005〜1.0%、
を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延し、その後、鋼材温度が200℃〜1000℃でデスケーリングを開始することを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
(3)質量%で、
C :0.01〜0.20%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.2〜2.0%、
P :0.02%以下、
S :0.02%以下、
Al:0.0005〜1.0%、
を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延するとともに、熱間圧延時に5MPa以上の高圧水によるデスケーリングを圧延機の入り側または出側の少なくとも1方で少なくとも1回以上行い、その後、鋼材温度が200℃〜1000℃でデスケーリングを開始することを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
(4)さらに質量%で、
Nb :0.001%〜0.1%、
V :0.001%〜1.0%、
Mo :0.001%〜2.0%、
Cu :0.01% 〜3.0%、
Ni :0.01% 〜7.0%、
Cr :0.01% 〜5.0%、
B :0.0001%〜0.01%、
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)から(3)の何れか1項に記載のレーザ溶接用鋼製造方法。
(5)さらに質量%で
Ti :0.001%〜0.1%、
Zr :0.001%〜0.1%、
Mg :0.0001%〜0.02、
Ca :0.0001%〜0.02、
REM:0.001%〜0.3%、
の1種又は2種以上を含有し、且つ下記の式[2]により規定されるYの値が0.4<Y<1.5を満足することを特徴とする上記(1)から(4)の何れか1項に記載のレーザ溶接用鋼製造方法。
Figure 0004177539
【0007】
【発明の実施の形態】
ここでは先ず、スケールの付着した切断端面やミルスケールを含む鋼材をレーザ溶接する場合に、ブローホールが発生するメカニズム及び、これを抑制するための手段を述べる。
一般にスケールの付着した端面や鋼板のミルスケールを含むレーザ溶接では、(スケールから持ち込まれる酸素)+(鋼中のC)→COガス
が発生し、これにより溶接金属にブローホールが発生する。従って、本発明者らは、この酸素を脱酸元素で固定し、COガスが発生しないようにすることがブローホールを抑制する上で重要であると考え、実験等の検討の結果、ブローホールを抑制するための必要且つ十分な条件が式[1]及び式[2]の成分規定式により定義されるX及びYの値が
0.4<X<1.5
0.4<Y<1.5
の範囲を満たすことが必要であることが判った。
Figure 0004177539
ここで、上記の式[1]、式[2]に用いた各元素の係数及び、XとYの上限値、下限値は実験により決定した。
【0008】
以下にその実験内容を説明する。
最初に種々の切断端面スケールとミルスケールの厚みについて調査した。その結果、ミルスケールの厚みは、最大厚が58μm 、最小厚が5μm であった。一方、切断端面のスケール厚みに関しては、レーザ切断による切断端面のスケール厚みが約5μm 、プラズマ切断による切断端面のスケール厚みが約15μm であり、ガス切断による切断端面のスケール厚みが約25μm であった。この切断端面のスケール厚みは切断方法で主に決定され、各試験片毎に差異は認められなかった。また、これらのスケールの組織は、X線回折を行った結果、Fe2 3 、Fe3 4 、FeOで構成されており、溶接時にこれらスケールによって溶接金属中に酸素を持ち込むことが確認された。
【0009】
ここで、鋼中の脱酸成分元素の添加量を脱酸の観点のみで考慮する場合には、調査された鋼板の最大のミルスケール厚みである58μm までをスケール厚みの対象として考慮するべきであるが、後述するようにミルスケール厚みが50μm を越える場合には、レーザ溶接時の溶込み形状に起因する溶接金属の凝固割れが多発するので、本発明では、ミルスケール厚みが50μm 以下で検討した。つまり、式[1]及び式[2]で規定されるX、Yの下限値は、図1に示すように、厚さ49μm のミルスケール1を有する鋼板面と厚さ25μm の切断端面スケール2を有するガス切断面をレーザー溶接して得られるL字角溶接継手で決定された。また、上限値は図2に示すように、厚さ5μm の切断端面スケールを有するレーザー切断面3同士をレーザー溶接して得られる突合わせ溶接継手のレーザ溶接で決定した。
【0010】
本発明者らの実験結果の一例を図3及び図4に示す。図3で検討した鋼材の成分系は質量%で、0.08%C-Si-1.3%Mn-0.01%P-0.005%S-0.5%Mo-Al であり、図4で検討した鋼材の成分系は質量%で、0.08%C-Si-1.3%Mn-0.01%P-0.005%S-0.5%Mo-Al-Ti-Zr-Mg-Ca-REM であるが、これ以外の成分系でもスケール厚に差がなければ同等の結果が得られている。これらの実験結果より、本発明では、上記の式[1]及び式[2]で規定されるX及びYの値が0.4質量%未満の場合には、脱酸元素不足で酸素が固定できずブローホールが発生するので、その下限値を0.4と規定し、また、1.5質量%を越える場合にはレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を損ない、逆にブローホールが増加するので、その上限値を1.5と規定した。
【0011】
次に、本発明鋼で規定した各成分元素に関して、その規定理由を説明する。
C:0.01質量%未満の極低C量では鋼板の強度が不足し、また溶接金属においても凝固割れが発生する。逆に、0.2質量%超のCでは溶接熱影響部及び溶接金属の靭性が低下する。よって、Cは0.01質量%以上、0.2質量%以下としたが、特にCOガス発生を抑制する観点からはC量は低い方が好ましい。Si:Siは脱酸剤及び強化元素として添加されるが、0.01質量%未満ではその効果が十分ではなく、一方1.5%超では圧延時にスケール起因の傷を多発するようになる。従って、Siは0.01質量%以上、1.5質量%以下とした。
【0012】
Mn:Mnは鋼板の強度を向上する有用な元素であるが0.2質量%未満ではその効果が無く、逆に2.0質量%超の添加は逆にブローホールの発生を助長することを知見し、Mnは0.2質量%以上、2.0質量%以下とした。
P及びS:P及びSの過剰な添加は鋼板及び熱影響部の靭性を劣化させるので、0.02質量%以下とした。
Al:Alは脱酸剤として重要な元素であるが、0.0005質量%未満にすることは製鋼上の負荷が高く現実的ではない。一方、1.0%超では鋼板の衝撃靭性が劣化する。従って、Alの添加量は0.0005質量%以上1.0質量%以下とした。
【0013】
本発明の基本成分として上記の成分を含有するが、さらに以下の成分を選択的に添加させても良い。
Nb:NbはTMCPプロセスにおいて、鋼板のミクロ組織制御に重要な元素であるが、0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に過剰な添加は鋼板の靭性を損ねる。従って、Nbの添加量は0.001質量%以上、0.1質量%以下とした。
V:VはTMCPプロセスにおいて、鋼板のミクロ組織制御に重要な元素であり、また耐熱鋼においては高温強度の確保にも必要な元素であが、0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に過剰な添加は鋼板の靭性を損ねる。従って、Vの添加量は0.001質量%以上、1.0質量%以下とした。
【0014】
Mo:Moは溶接後熱処理(PWHT)脆化を抑制する元素であり、Mnの代替として添加できるが、0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に2.0質量%超では鋼板の靭性が低化する。よって、Moの添加量は0.001質量%以上、2.0質量%以下とした。
Cu:Cuは強度補償のためにMnの代替元素として添加することができる。但しその添加量は0.01質量%未満ではその効果が十分でなく、逆に3.0%超の場合には溶接金属に凝固割れが発生する。従って、Cuの添加量は0.01質量%以上、3.0質量%以下とした。
【0015】
Ni:Niは鋼板の低温靭性を向上させる代表的な元素であるが、0.01質量%未満ではその効果が十分でなく、逆に7.0質量%超では溶接金属に凝固割れを生じる。よってNiの添加量は0.01質量%以上、7.0質量%以下とした。
Cr:Crは強度向上元素として添加することができる。また、耐熱用鋼においては高温強度の確保にも必要な元素であるが、0.01質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に5.0質量%超の添加は鋼板の靭性を損ねる。従って、Crの添加量は0.01質量%以上、5.0質量%以下とした。
【0016】
B:Bも強度向上元素として添加することができるが、0.0001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.01質量%超の添加は鋼板の靭性を低下させる。従って、Bの添加量は0.0001質量%以上、0.01質量%以下とした。
本発明では、上記の基本成分及び選択成分にさらに以下の成分を選択的に添加させても良い。
Ti:Tiも脱酸元素として作用するので、添加しても差し支えない。但し0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.1質量%超では鋼板の靭性が低下する。従って、Tiの添加量は0.001質量%以上、0.1質量%以下とした。
【0017】
Zr:Zrも脱酸元素として作用するので、添加しても差し支えない。但し0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.1質量%超では鋼板の靭性が低下する。従って、Zrの添加量は0.001質量%以上、0.1質量%以下とした。
Mg:Mgも脱酸元素として作用するので、添加しても差し支えない。但し0.0001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.02質量%超の添加はレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を損なう。従って、Mgの添加量は0.0001質量%以上、0.02質量%以下とした。
【0018】
Ca:Caも脱酸元素として作用するので、添加しても差し支えない。但し0.0001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.02質量%超の添加はレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を損なう。従って、Caの添加量は0.0001質量%以上、0.02質量%以下とした。
REM:REMも脱酸元素として作用するので、添加しても差し支えない。但し0.001質量%未満ではその効果が十分ではなく、逆に0.3質量%超の添加はレーザ溶接時にキーホール内で発生するプラズマの安定性を損なう。従って、REMの添加量は0.001質量%以上、0.3質量%以下とした。
【0019】
次に、本発明鋼の製造条件の規定理由について述べる。以下に規定する圧延温度及びデスケーリング条件は、本願のレーザー溶接用鋼の特徴であるミルスケール厚が50μm 以下であり、溶接時の凝固割れがない鋼を製造するために必要な条件である。
先ず、ミルスケール厚と溶接時の溶接金属の凝固割れの関係について説明する。
発明者らが、種々のレーザ溶接条件での溶接金属を調査した結果、溶接後の凝固割れは溶接金属の溶け込み形状に大きく依存することが確認され、この凝固形状を決定する因子がスケール厚であることを知見した。
ここでいうスケール厚とは、レーザー溶接時のレーザビームの貫通方向に対して平行に存在するスケール厚の合計値であり、例えば図1に示すような厚さAμm のミルスケール1を有する鋼板面と厚さ25μm の切断端面スケール2を有するガス切断面をレーザー溶接して得られるL字角溶接継手の場合には、(Aμm+25μm)となる。種々の切断端面と鋼板、又は切断端面同士のレーザー溶接の実験結果、接合端面のスケール厚みの合計値が75μmを越えると溶接金属に凝固割れが多発することが判った。この合計値が75μmを越える場合は、図1に示すようなガス厚さ25μm の切断端面スケール2を有するガス切断端面とミルスケール1を有する鋼材面とをレーザー溶接するL字型角溶接継ぎ手の場合である。
【0020】
ガス切断端面のスケール厚は約25μmでほぼ一定であるため、鋼材のミルスケールが50μmを超える場合に溶接金属の凝固割れが多発するようになることとなる。実験結果の一例を図5及び図6に示すように、ミルスケール厚が50μm超える(接合端面スケール厚みが75μmを越える)場合にレーザー溶接後の溶接金属に凝固割れが多発しているが、これは接合端面スケール厚みが75μmを越えると溶接部の溶込み形状が中膨れとなることに起因していることが判った。なお、図5及び図6の実験に使用した鋼の成分系は、質量%で、0.08%C-0.4%Si-1.3%Mn-0.01%P-0.005%S-0.5%Mo-0.05%Alであるが、これ以外の成分系でもスケール厚に差がなければ同等の結果が得られている。
従って、本発明のレーザー溶接溶鋼を製造するためには、レーザー溶接後の溶接金属の凝固割れを防止するために鋼板のミルスケール厚を50μm以下にするように製造条件を考慮する必要がある。
以下にそのための製造条件を説明する。
【0021】
本発明において、ミルスケール厚が50μm 以下の鋼板を製造するため第1の方法としては、本発明成分を含有する鋼材の熱間圧延中の圧延機出側または入側の少なくとも1方で、5MPa以上の圧力条件で少なくとも1回以上デスケーリングして圧延中に生成するスケールを除去すると共に、熱間圧延終了温度を650℃〜1000℃として、圧延終了後に生成するスケールを抑制する方法である。
図7は、圧延終了温度及び圧延中のデスケーリング水圧、その時の鋼板のミルスケール厚の関係を示す図である。100MPaのような高圧力でのデスケーリング時にも、本発明のミルスケール厚50μm 以下を達成するためには、熱間圧延終了温度を1000℃以下とする必要がある。本発明では、ミルスケール厚を50μm 以下にするとともに、鋼材の機械的性質を確保するためにその温度の上限を1000℃に規定する。一方、圧延中のデスケーリング圧力が低い場合でも、熱間圧延終了温度を低下させることによりミルスケール厚50μm 以下を達成することは可能である。しかしながら、本発明では、熱間圧延終了温度が650℃未満になると、圧延機の圧延負荷が極度に高くなるとともに、鋼板組織及び品質に悪影響が生じるためその熱間圧延圧延限温度の下限を650℃と規定する。
また、圧延中のデスケーリング圧力は、熱間圧延終了温度の下限である650℃の時に、ミルスケール厚50μm 以下を達成するために、5MPa以上とする必要がある。また、デスケーリング圧力の上限は、特に規定する必要はないが、デスケーリング装置の能力上、その上限を100MPaにすることが好ましい。
以上の理由から本発明では、鋼板のミルスケール厚を50μm 以下にするための条件として、圧延中のデスケーリング圧力を5MPa以上、好ましくは5〜100MPaとし、かつ熱間圧延終了温度を650℃〜1000℃とする。
また、本発明においては、レーザー溶接時に良好な溶接金属を得るために、さらにミルスケール厚を20μm 以下とすることがより好ましいが、この場合には、熱間圧延終了温度の上限を800℃とし、且つ圧延中のデスケーリング圧力圧力の下限を15MPaとすることで達成できる。
【0022】
本発明において、ミルスケール厚が50μm 以下の鋼板を製造するため第2の方法としては、本発明成分を含有する鋼材の熱間圧延終了後、鋼材温度が200℃〜1000℃の範囲になるように冷却した後、デスケーリングを行う方法である。このときの圧延後のデスケーリング方法としては高圧水を使用するほか、ショットブラストや機械的研削を使用して良く、本発明では特にデスケーリングの手法を限定しない。
本発明において、圧延後のデスケーリングを実施する差異の鋼材温度の上限値を1000℃とした理由は、鋼材特性への悪影響を及ぼす圧延終了温度である1000℃に基づくものであり、鋼材特性への悪影響を抑制するために規定する。下限温度については、200℃未満の温度でデスケーリングを行うと、鋼板全面のスケール厚みがばらつき、一部に金属表面が露出した部分が現れるるため、金属露出部分に赤錆が発生し製品外観が損なわれる。
以上の理由から本発明では、熱間圧延終了後のデスケーリング実施時の鋼板温度を200℃〜1000℃に規定する。
本発明では、上記の第1の方法及び第2の方法の少なくとも何れか1方を行うことにより、本発明のスケール厚みが50μm 以下のレーザー溶接後の溶接金属の凝固割れのない良好な溶接金属が得られる鋼を得ることが可能となる。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明の効果を説明する。実験に用いた鋼は転炉で溶製し、連続鋳造により250mm厚のスラブとした。各鋼種の成分を表1に示す。これらのスラブを熱間圧延して、厚さ6mm、9mm、15mm、20mmの鋼板とし、この際の圧延終了温度と圧延中及び圧延後デスケーリングの条件を変化させることで、鋼板ミルスケールの厚みが1μm から64μm までの鋼板を製造した。鋼板の製造条件および得られたスケール厚を表2及び表3に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004177539
【0025】
【表2】
Figure 0004177539
【0026】
【表3】
Figure 0004177539
【0027】
次に、これらの鋼板を6kWのレーザ切断機で酸素ガスを用いて切断し、レーザ切断面を端面に持つ供試鋼板を作成した。以上の鋼板をI型突合わせ及びL字型角継ぎ手の2種類の形状でレーザ溶接を実施した。溶接姿勢は板厚が6mm厚と9mm厚に関しては下向き、15mm厚と20mm厚に関しては横向きで溶接した。溶接条件を表4に示す。溶接後の鋼板には表5に示す評価試験を実施し、その結果を表6〜表8に示す。表6〜表8の中で、シャルピー試験の吸収エネルギーは各鋼板における最低値を記してある。表6〜表8の中で試験No. 1〜22は本発明の製造方法によって作成された鋼板を試験した結果であり、全ての試験項目に合格している。試験No. 23,24,31は圧延終了温度が本発明の製造条件より低い鋼板であり、圧延不能であった。試験No. 25,26,27,30,32,33についてはデスケーリング条件が適切でないためミルスケール厚が50μm 以上となり、溶接時に凝固割れが発生したため不合格であった。試験No. 28,29においては圧延終了温度が高すぎたため鋼板の靱性が劣化し、衝撃試験の基準値に達しなかったため不合格であった。試験No. 34〜41はX及びYの値が本発明の範囲を逸脱したためブローホール及びピットが多発し、ビード外観、継ぎ手強度、衝撃試験の何れにも合格しなかった。以上の結果より、本発明製造方法によって作成された鋼板は全ての検査において合格したが、比較例として検討した鋼板は不合格であった。
【0028】
【表4】
Figure 0004177539
【0029】
【表5】
Figure 0004177539
【0030】
【表6】
Figure 0004177539
【0031】
【表7】
Figure 0004177539
【0032】
【表8】
Figure 0004177539
【0033】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明の鋼板を用いれば鋼板のミルスケールやスケールが付着した切断端面等をそのまま溶接しても、健全な溶接部と十分な機械的特性が確保されるので、そのメリットは多大であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ溶接形状の一例を示す図である。
【図2】レーザ溶接形状の一例を示す図である。
【図3】値Xのブローホール個数に与える影響を示す図である。
【図4】値Yのブローホール個数に与える影響を示す図である。
【図5】スケール厚さと割れの関係を示した図である。
【図6】スケール厚さによる溶け込み形状を比較して示した写真の模式図である。
【図7】熱間圧延終了温度とミルスケール厚の関係を示した図である。
【符号の説明】
1…ミルスケール
2…ガス切断面
3…レーザ切断面

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.01〜0.20%、
    Si:0.01〜1.5%、
    Mn:0.2〜2.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:0.0005〜1.0%、
    を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延するとともに、熱間圧延時に5MPa以上の高圧水によるデスケーリングを圧延機の入り側または出側の少なくとも1方で少なくとも1回以上行うことを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
    X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
  2. 質量%で、
    C :0.01〜0.20%、
    Si:0.01〜1.5%、
    Mn:0.2〜2.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:0.0005〜1.0%、
    を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延し、その後、鋼材温度が200℃〜1000℃でデスケーリングを開始することを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
    X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
  3. 質量%で、
    C :0.01〜0.20%、
    Si:0.01〜1.5%、
    Mn:0.2〜2.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:0.0005〜1.0%、
    を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、さらに下記の式[1]により規定されるXの値が0.4<X<1.5を満足する鋼材を圧延終了温度が650℃以上、1000℃以下で熱間圧延するとともに、熱間圧延時に5MPa以上の高圧水によるデスケーリングを圧延機の入り側または出側の少なくとも1方で少なくとも1回以上行い、その後、鋼材温度が200℃〜1000℃でデスケーリングを開始することを特徴とするレーザ溶接用鋼の製造方法。
    X=0.88[%Al]+1.14[%Si] …式[1]
  4. さらに質量%で、
    Nb :0.001%〜0.1%、
    V :0.001%〜1.0%、
    Mo :0.001%〜2.0%、
    Cu :0.01% 〜3.0%、
    Ni :0.01% 〜7.0%、
    Cr :0.01% 〜5.0%、
    B :0.0001%〜0.01%、
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のレーザ溶接用鋼製造方法。
  5. さらに質量%で
    Ti :0.001%〜0.1%、
    Zr :0.001%〜0.1%、
    Mg :0.0001%〜0.02、
    Ca :0.0001%〜0.02、
    REM:0.001%〜0.3%、
    の1種又は2種以上を含有し、且つ下記の式[2]により規定されるYの値が0.4<Y<1.5を満足することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のレーザ溶接用鋼製造方法。
    Figure 0004177539
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