JP2000168071A - インクジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法およびプリントヘッド駆動装置 - Google Patents

インクジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法およびプリントヘッド駆動装置

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JP2000168071A JP10349718A JP34971898A JP2000168071A JP 2000168071 A JP2000168071 A JP 2000168071A JP 10349718 A JP10349718 A JP 10349718A JP 34971898 A JP34971898 A JP 34971898A JP 2000168071 A JP2000168071 A JP 2000168071A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な制御で印刷速度および印刷品質の向上
を実現する。 【解決手段】 プリントヘッドを用紙に沿って繰り返し
印刷領域内を往復運動させつつ駆動電圧をアクチュエー
タに繰り返し供給してインク滴をノズルより用紙に向け
吐出させて用紙に印刷する。プリントヘッドが印刷領域
を移動する期間を多数のほぼ一定時間の単位駆動期間T
に分割し駆動電圧2は各単位駆動期間Tに多くて1回ア
クチュエータに供給する。駆動電圧をアクチュエータに
供給しない単位駆動期間では予備駆動電圧をアクチュエ
ータに供給する。単位駆動期間で駆動電圧をアクチュエ
ータに供給した場合の次の単位駆動期間の開始時点にお
けるノズル先端部のインクメニスカスの振動状態と、単
位駆動期間で予備駆動電圧をアクチュエータに供給した
場合の次の単位駆動期間の開始時点におけるインクメニ
スカスの振動状態とがほぼ一致するように予備駆動電圧
を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリ
ンタのプリントヘッドを駆動する方法に関し、特に、駆
動電圧を供給するごとにプリントヘッドのノズルよりイ
ンク滴を吐出させて印刷を行うドロップオンデマンド型
プリントヘッドの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、印刷命令が発せられるごとに駆動
電圧をプリントヘッドに印加してノズルよりインク滴を
吐出させ印刷を行う従来のドロップオンデマンド型イン
クジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法について
説明する。図7はインクジェットプリンタのプリントヘ
ッドの一例を示す構成図である。図7に示したように、
プリントヘッド12は、インク吐出ノズル(以下単にノ
ズルという)14、このノズル14に連結されたインク
加圧室16、パルス状の駆動電圧を受けその大きさに応
じてインク加圧室16内のインクを加圧するアクチュエ
ータ18、アクチュエータ18に印加するための駆動電
圧を生成する駆動波形発生回路19を含んで構成されて
いる。プリントヘッド12は、不図示の用紙に沿って繰
り返し印刷領域内を往復運動され、その状態で駆動波形
発生回路19が生成したパルス状の駆動電圧をアクチュ
エータ18に繰り返し供給してインク加圧室16内のイ
ンクを加圧し、インク滴をノズル14より用紙に向け吐
出させる。そして、駆動波形発生回路19が生成したパ
ルス状の駆動電圧のアクチュエータ18への供給、非供
給を制御することで用紙に印刷する。
【0003】図8(A)ないし(C)はそれぞれ駆動電
圧の波形、ノズル先端部におけるインクのメニスカスの
変位、ならびにノズル先端部におけるインク粒子の速度
を表す波形図である。図中、横軸は時間を表し、縦軸
は、図8(A)では電圧、図8(B)ではメニスカスの
変位、図8(C)では粒子速度をそれぞれ表している。
アクチュエータ18に駆動電圧が供給されると、図8
(A)に示したように、駆動電圧はA−B間で急激に立
ち上がり、インク加圧室16内のインク20もアクチュ
エータ18により急激に加圧される。このときノズル先
端部での粒子速度は急速に上昇し(図8(C)における
イ−ロ間)、インク21のメニスカス22は、図9
(A)に示したもとの状態から図9(B)に示したよう
に、ノズル14先端から突出を開始し、そしてインク柱
24が形成される。このときメニスカス22の変位量は
図8(B)に示したように急激に大きくなる。
【0004】その後、駆動電圧は一定となり(図8
(A)におけるB−C間)、その結果、メニスカス22
の箇所における圧力は減少し、ノズル先端部でのインク
粒子の粒子速度は減少し始める(図8(C)におけるロ
−ハ間)。そして、ノズル14から突出したインク柱2
4と、ノズル内のインクとの粒子速度の差が大きくな
り、図9(C)に示したように、インク柱24はノズル
14内のインクから分断され、インク滴26がノズル1
4より吐出される。なお、プリンタによっては、駆動電
圧を図8(A)に示したB−C間で、一定にする代わり
に下降させることもあり、その場合には、インクの粒子
速度はより速いタイミングで低下することになるが、基
本的な動作は同じである。
【0005】インク滴26が吐出された後、ノズル14
先端部のメニスカス22の位置は、図9(D)に示した
ように、ほぼ吐出したインク滴に相当する分だけノズル
基部側へ後退する。また、図8(B)では、点線で示し
た断絶箇所がこのメニスカス位置の後退を表している。
その後、後退したメニスカス22は、ノズル14先端で
の表面張力によってもとの位置に戻ろうとして(リフィ
ール現象)振動し、また、アクチュエータ18による圧
力波の残留振動の影響を受けて振動する。そして振動は
除々に減衰してメニスカス22はもとの位置に戻ると共
に(図8(B)、図9(A))、インクの粒子速度も徐
々に減衰して零となる(図8(C))。そして、駆動電
圧がアクチュエータ18に供給されるごとにこのような
動作が繰り返され、印刷が行われる。
【0006】ところで、一度、駆動電圧を供給してイン
ク滴を吐出させると、ノズル部のインクメニスカスは上
述のようにしばらくの間、振動するので、次にインク滴
を吐出させるのは、図8における(ウ)のタイミングま
で待って、メニスカス22の振動が収まってからとな
る。しかし、それでは駆動電圧の供給周期が長く、高速
に印刷することは不可能であるため、(ウ)のタイミン
グの前に駆動電圧をアクチュエータ18に供給してイン
ク滴を吐出させることが考えられる。
【0007】例えば、図8における(ア)のタイミング
では、図8(B)に示したように、インクメニスカスの
位置はもとの位置に戻っているので、その点ではこのタ
イミングで駆動電圧を供給することは有効である。しか
し、(ア)のタイミングでは図8(C)から分かるよう
にインクメニスカスはある速度をもって移動しており、
したがって、このタイミングで駆動電圧を供給すると、
インクメニスカスの速度は、新たな駆動による速度に上
記残留速度を加算したものとなり、最初の速度とは異な
ったものになって、印刷品質の劣化を招く。
【0008】一方、(イ)のタイミングでは、図8
(C)から分かるようにインクメニスカスは停止してい
るので、このタイミングで次の駆動電圧を供給した場合
にはインク滴の吐出速度の点では問題は生じない。しか
し、図8(B)から分かるようにインクメニスカスは大
きく変位しているため、吐出されるインク滴の量が変わ
ってしまい、やはり印刷品質の劣化を招く。
【0009】従来より、これらの問題を解決すべく、一
度駆動電圧を供給した後、予備の駆動電圧を供給してイ
ンクメニスカスの状態を制御することで高速印刷などを
図るプリントヘッドの駆動方法が種々、提案されてい
る。また、1回のアクチュエータ18の駆動によりノズ
ル14から吐出されるインクの量を増加させてインクの
吐出効率を高める方法についても従来より種々提案され
ている。以下、代表的な方法を3つに分類して説明す
る。
【0010】[駆動方法1]駆動方法1は、ノズル14
先端のメニスカス22の状態を極力早くインク吐出前の
状態(以下、初期状態という)に戻して駆動電圧供給の
繰り返し周期を短縮するために、駆動電圧供給後に、メ
ニスカス22の残留振動を抑制するような駆動電圧を供
給する方法であり、例えば特開平5−338150号や
特開昭59−10495号公報に開示されている。
【0011】図10(A)は駆動方法1における1つの
駆動電圧および予備駆動電圧の波形を示す波形図、
(B)は駆動方法1においてアクチュエータ18に繰り
返し供給される駆動電圧および予備駆動電圧を示す波形
図である。図10(A)および(B)に示したように、
駆動方法1では、インク滴を吐出させるために駆動電圧
28をアクチュエータ18に供給するごとに、その直後
に、インクメニスカスの残留振動を抑制すべく、予備駆
動電圧30が供給される。したがって、一度、駆動電圧
28が供給され、次に駆動電圧が供給されるタイミング
(図10(B)において点線で示したタイミング)では
必ず、メニスカス22の状態は初期状態となる。
【0012】なお、このような予備駆動電圧をアクチュ
エータ18に供給した場合には、ノズル14におけるイ
ンクの粒子速度は、駆動電圧を供給した場合と同様、図
8(C)に示したように変化するが、予備駆動電圧の場
合には、図8(C)におけるロ−ハ間の粒子速度の変化
が小さいため、インク柱24がノズル14から突出して
も、図9(C)に示したようには分断されず、インク滴
は吐出されない。
【0013】[駆動方法2]駆動方法2は、インクメニ
スカスの振動を利用してインク滴を吐出させることによ
り、インクの吐出効率を高めようとするものであり、こ
の方法では駆動電圧を供給する前に予備駆動電圧が供給
される(特開平5−338148号、特開平5−318
766号、特開平9−29959号公報)。
【0014】図11(A)は駆動方法2における1つの
予備駆動電圧および駆動電圧の波形を示す波形図、
(B)は駆動方法2においてアクチュエータ18に繰り
返し供給される予備駆動電圧および駆動電圧を示す波形
図である。図11(A)および(B)に示したように、
駆動方法2では、アクチュエータ18に駆動電圧31を
供給する前に必ず予備駆動電圧29が供給される。した
がって、予備駆動電圧29の供給によりインクのメニス
カス22が振動し、そして、毎回ほぼ同じ振動状態のタ
イミングで駆動電圧31が供給されてインク滴がノズル
14より吐出される。
【0015】[駆動方法3]ノズル14の先端部ではイ
ンクの溶媒が揮発し、インクの粘度が増加し易い(以
下、この現象を増粘という)。このようなインクの増粘
が起こると、インクの吐出特性は大きく変化し、印刷品
位の劣化を招く。駆動方法3はインクの増粘を防止する
ためのものであり、定期的にプリントヘッド12をノズ
ルクリーニング機構部に移動してインクを吐出させる方
法や(以下この動作をパージという)、プリントヘッド
12が非印刷領域にあるときインク吐出に至らない程度
の駆動電圧を供給する方法(特願平2−19586
8)、さらにはインク滴を吐出させなかった周期の次の
周期でインク滴を吐出させる場合には、アクチュエータ
18に駆動電圧を供給する前に予備駆動電圧を供給する
方法(特開平9−226116号公報)などが提案され
ている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】[課題1]上述した駆
動方法1は、アクチュエータ18の駆動周期を短縮する
(駆動周波数を高める)方法であり、一方、駆動方法2
は、インクの吐出効率を上げるための方法である。これ
ら2つの方法は予備駆動電圧をアクチュエータ18に供
給するという点では同じであるが、その目的は上述のよ
うに異なっている。ところで、これらの方法によってア
クチュエータ18の駆動周波数の向上と、インクの吐出
効率の向上とを同時に図ろうとする場合には、まず予備
駆動電圧を供給してインクメニスカスを予備的に振動さ
せ、その後、駆動電圧を供給してインク滴を吐出させ、
つづいて予備駆動電圧を供給してメニスカス22の残留
振動を抑制することになる。
【0017】したがって、ある周期でアクチュエータ1
8に駆動電圧を供給し、次の周期でもアクチュエータ1
8に駆動電圧を供給する場合には、最初の駆動電圧と次
の駆動電圧との間に、メニスカス22の信号を抑制する
ための予備駆動電圧と、メニスカス22を予備的に振動
させるための予備駆動電圧とが供給される。すなわち、
1度、メニスカス残留振動を抑制した後、もう一度、メ
ニスカス22の振動を起こすという無駄な動作を行うこ
とになり、かえってアクチュエータ18の駆動周波数を
低下させる結果となる。
【0018】また、この問題を解決するために、連続駆
動時には予備駆動電圧を1回供給するだけで済ませると
いう方法が考えられるが、この場合には1つ前の周期で
インク滴が吐出されたか否か、すなわち連続駆動か否か
を管理する(履歴の管理)必要があり、駆動電圧の供給
制御が複雑になるという新たな問題が生じる。
【0019】[課題2]駆動方法3として、上述のよう
に、プリントヘッド12が非印刷領域などに移動してい
る状態で予備駆動電圧をアクチュエータ18に供給する
ことで、ノズル14先端でのインクの増粘を防止するこ
とができる。しかし、例えば印刷領域の最初と最後の箇
所においてのみ印刷を行うような場合には、印刷領域の
最初の箇所でインク滴を吐出した後、印刷領域の最後の
箇所までプリントヘッド12が移動する間、インク滴は
吐出されないので、印刷領域の最後の箇所ではインク溶
媒の蒸発によりインクが増粘してしまい、印刷品質が劣
化し易い。
【0020】また、インク滴を吐出させなかった周期の
次の周期でインク滴を吐出させる場合に、アクチュエー
タ18にまず予備駆動電圧を供給する方法では、上記課
題1の場合と同様に、1つ前の周期でインク滴が吐出さ
れたか否かを管理する必要があり、駆動電圧の供給制御
が複雑になるという新たな問題が生じる。
【0021】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、その目的は、簡単な制御で、アクチュ
エータの駆動周期を短縮して印刷速度を高め、インクの
吐出条件を一定に保持すると共にインクの吐出効率を向
上させることによって印刷品質を高め、さらにインクの
増粘を防止して印刷品質を向上させることが可能なイン
クジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法およびプ
リントヘッド駆動装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、ノズル、およ
び前記ノズルに連結されたインク加圧室、ならびにパル
ス状の駆動電圧を受けその大きさに応じて前記インク加
圧室内のインクを加圧するアクチュエータを含むプリン
トヘッドを印字媒体に沿って繰り返し印刷領域内を往復
運動させつつ前記駆動電圧を前記アクチュエータに繰り
返し供給しインク滴を前記ノズルより前記印字媒体に向
け吐出させて前記印字媒体に印刷し、前記プリントヘッ
ドが前記印刷領域を移動する期間を多数のほぼ一定時間
の単位駆動期間に分割し前記駆動電圧は各単位駆動期間
で多くて1回前記アクチュエータに供給するインクジェ
ットプリンタのプリントヘッド駆動方法において、前記
単位駆動期間を、該単位駆動期間で前記駆動電圧を前記
アクチュエータに供給したとき次の前記単位駆動期間の
開始時点で、前記ノズル先端部のインクのメニスカスに
は、1つ前の前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前記ア
クチュエータに供給したことに伴う振動が残留するよう
に設定し、前記駆動電圧を前記アクチュエータに供給し
ない前記単位駆動期間では、予備駆動電圧を前記アクチ
ュエータに供給し、前記単位駆動期間で前記駆動電圧を
前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位駆動
期間の開始時点における前記ノズル先端部のインクメニ
スカスの振動状態と、前記単位駆動期間で前記予備駆動
電圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単
位駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部のイン
クメニスカスの振動状態とがほぼ一致するように、前記
予備駆動電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期間内
でのタイミングを設定することを特徴とする。
【0023】また、本発明は、ノズル、および前記ノズ
ルに連結されたインク加圧室、ならびにパルス状の駆動
電圧を受けその大きさに応じて前記インク加圧室内のイ
ンクを加圧するアクチュエータを含むプリントヘッドを
印字媒体に沿って繰り返し印刷領域内を往復運動させる
プリントヘッド駆動手段と、前記プリントヘッドが前記
プリントヘッド駆動手段によって往復運動している状態
で前記駆動電圧を前記アクチュエータに繰り返し供給す
る駆動電圧生成手段とを備え、前記駆動電圧生成手段か
ら供給された前記駆動電圧インク滴を前記ノズルより前
記印字媒体に向け吐出させて前記印字媒体に印刷し、前
記プリントヘッドが前記印刷領域を移動する期間を多数
のほぼ一定時間の単位駆動期間に分割し前記駆動電圧は
各単位駆動期間で多くて1回前記アクチュエータに供給
するように構成されたインクジェットプリンタのプリン
トヘッド駆動装置において、前記駆動電圧生成手段は、
前記単位駆動期間を、該単位駆動期間で前記駆動電圧を
前記アクチュエータに供給したとき次の前記単位駆動期
間の開始時点で、前記ノズル先端部のインクのメニスカ
スには、1つ前の前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前
記アクチュエータに供給したことに伴う振動が残留する
ように設定し、前記駆動電圧を前記アクチュエータに供
給しない前記単位駆動期間では、予備駆動電圧を前記ア
クチュエータに供給し、前記単位駆動期間で前記駆動電
圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位
駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部のインク
メニスカスの振動状態と、前記単位駆動期間で前記予備
駆動電圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前
記単位駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部の
インクメニスカスの振動状態とがほぼ一致するように、
前記予備駆動電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期
間内でのタイミングを設定するように構成されているこ
とを特徴とする。
【0024】本発明のインクジェットプリンタのプリン
トヘッド駆動方法およびプリントヘッド駆動装置では、
単位駆動期間の開始時点でアクチュエータに駆動電圧が
供給された場合、その結果生じたインクメニスカスの振
動が残留している段階で次の短期駆動期間が始まるよう
に単位駆動期間の長さが設定され、単位駆動期間で駆動
電圧をアクチュエータに供給した場合の次の単位駆動期
間の開始時点におけるノズル先端のインクメニスカスの
振動状態と、単位駆動期間で予備駆動電圧をアクチュエ
ータに供給した場合の次の単位駆動期間の開始時点にお
けるノズル先端のインクのメニスカスの振動状態とがほ
ぼ一致するように、予備駆動電圧の波形、大きさ、なら
びに単位駆動期間内でのタイミングが設定される。その
結果、単位駆動期間の長さは、インクメニスカスの残留
振動が完全に収束するまでの時間より短くなり、アクチ
ュエータの駆動周期を短縮して印刷速度を高めることが
できる。そして、1つ前の単位駆動期間でインク滴の吐
出が行われなかった場合でも、単位駆動期間の開始時点
でのインクメニスカスの振動状態は、予備駆動電圧の供
給によりインク滴が吐出された場合とほぼ一致している
ので、1つ前の単位駆動期間でインク滴が吐出されたか
否かにかかわらず常に同一の条件でインク滴が吐出さ
れ、良好な印刷品質を確保できる。また、インクメニス
カスがまだ振動している状態でアクチュエータが駆動さ
れるので、インクメニスカスの振動を利用してインクの
吐出効率を向上させることで吐出されるインク滴の量を
確保して印刷品質を高めることが可能になる。さらに、
インク滴が吐出されない単位駆動期間でも、予備駆動電
圧がアクチュエータに供給されてノズル内のインクは振
動するので、インク滴を吐出させない時間が長くなって
もインクの増粘を防止することができ、印刷品質を高め
ることが可能となる。そして、1つ前の単位駆動期間で
インク滴が吐出されたか否かにより制御を変えるといっ
たことは不要であるから、制御が複雑化することがな
い。
【0025】
【発明の実施の形態】次に本発明のインクジェットプリ
ンタのプリントヘッド駆動装置の実施の形態例について
図面を参照して説明し、同時に本発明のインクジェット
プリンタのプリントヘッド駆動方法の実施の形態例につ
いて説明する。まず、図2を参照してプリントヘッドの
機構部の構成の一例について説明する。プリントヘッド
の機構部120は、例えば圧電素子から構成されるアク
チュエータ18と、このアクチュエータ18の機械エネ
ルギーをインクに伝えるための振動板121と、インク
流路122と、インク流路板123と、ノズルプレート
124とを備えている。インク流路122は、厚板状に
形成されたインク流路板123に設けられており、供給
されたインクを収容するためのインク収容室122A
と、インク収容室122のインクをインク加圧室16に
導くためのインク供給路122Bと、インク加圧室16
とから構成されている。ノズルプレート124には、イ
ンク加圧室16に連通するノズル14が形成されてい
る。アクチュエータ18は、複数層にわたって形成され
た一方の電極18Aと他方の電極18Bを有して構成さ
れている。振動板121の上面には、アクチュエータ1
8によって押圧される振動板121の押圧領域を挟むよ
うに上面に開口した2つの凹溝121Aが延在形成され
ており、これら2つの凹溝121Aに挟まれた箇所にア
クチュエータ18によって押圧される被押圧突起121
Bが形成されている。そして、アクチュエータ18が被
押圧突起121Bを押圧することで振動板121の下方
に位置するインク加圧室16のインクが加圧されるよう
に構成されている。また、インクは、インク収容室12
2A、インク供給路122B、インク加圧室16を経て
ノズル14まで充填されている。
【0026】スイッチSWがオンした状態でアクチュエ
ータ18に駆動電圧S(後述する駆動電圧、予備駆動電
圧に相当)が印加されると、図100に示すようにアク
チュエータ18は振動板121の被押圧突起121Bを
介してインク加圧室16を加圧する方向(矢印d方向)
に動作する。このアクチュエータ18の動作によって、
インク加圧室16の内部のインクは加圧され、その一部
がノズル14から吐出される。スイッチSWがオフとな
り駆動電圧Sの印加状態が解除されるとアクチュエータ
18は初期状態に戻りインクの吐出が停止される。
【0027】次に、図3を参照して本実施の形態のプリ
ントヘッド12Aの構成について説明する。プリントヘ
ッド12Aは、ノズル14、インク加圧室16、アクチ
ュエータ18、セレクタ17、駆動波形発生回路19を
含んで構成されている。セレクタ17以外は既に説明し
た図7で示したものと同様の構成である。本実施の形態
例ではセレクタ17、駆動波形発生回路19によって特
許請求の範囲の駆動電圧生成手段が構成されている。駆
動波形発生回路19は、予備駆動電圧と駆動電圧を生成
するように構成され、セレクタ17は予備電圧と駆動電
圧を選択してアクチュエータ18に供給するように構成
されている。そして、駆動波形発生回路19とセレクタ
17の動作によって後述するようなタイミングで予備電
圧と駆動電圧がアクチュエータ18に供給されるように
構成されている。なお、前述した従来技術の各駆動方法
を実現する場合においても予備電圧と駆動電圧を選択し
てアクチュエータ18に供給するためにセレクタ17が
用いられているが、図7ではセレクタ17を省略して示
している。
【0028】本実施の形態例のインクジェットプリンタ
のプリントヘッド駆動装置は、基本的には、上述した構
成を有するプリントヘッド12を印刷用紙(印刷媒体)
に沿って繰り返し印刷領域内を往復運動させるプリント
ヘッド駆動手段(不図示)と、プリントヘッド12が上
記プリントヘッド駆動手段によって往復運動している状
態でパルス状の駆動電圧をアクチュエータ18に繰り返
し供給する駆動電圧生成手段を構成するセレクタ17お
よび駆動波形発生回路19を備えて構成されており、駆
動電圧をアクチュエータ18に繰り返し供給すること
で、インク加圧室16内のインクを加圧し、インク滴を
ノズル14より用紙に向け吐出させることにより用紙に
印刷するように構成されている。
【0029】そして、プリントヘッド12が印刷領域を
移動する期間を、図1(B)に示したように、多数のほ
ぼ一定時間の単位駆動期間Tに分割し駆動電圧は各単位
駆動期間で多くて1回アクチュエータに供給する。その
上で、本実施の形態例のインクジェットプリンタのプリ
ントヘッド駆動装置では、駆動電圧2をアクチュエータ
18に供給しない単位駆動期間Tでは、予備駆動電圧4
をアクチュエータ18に供給する。予備駆動電圧4は、
駆動電圧2と同様にパルス状の電圧であり、一方、その
電圧は駆動電圧2より低く、そして、インク滴がノズル
14から吐出されない程度にインク加圧室16内のイン
クを加圧する。
【0030】この予備電圧4についてさらに説明する。
図4(A)ないし(C)はそれぞれ予備駆動電圧4の波
形、ノズル先端部におけるインクのメニスカスの変位、
ならびにノズル先端部におけるインク粒子の速度を表す
波形図である。図中、横軸は時間を表し、縦軸は、図4
(A)では電圧、図4(B)ではメニスカスの変位、図
4(C)では粒子速度をそれぞれ表している。アクチュ
エータ18に予備駆動電圧4が供給されると、図4
(A)に示したように、駆動電圧はA1−B1間で急激
に立ち上がり、インク加圧室16内のインク20もアク
チュエータ18により急激に加圧される。このときノズ
ル先端部での粒子速度は急速に上昇するが、インクがノ
ズル14先端から突出しない程度にメニスカスの変位量
は抑えられている。その後、駆動電圧は一定となり(図
4(A)におけるB1−C1間)、その結果、メニスカ
ス22の箇所における圧力は減少し、メニスカスの変位
量とノズル先端部でのインク粒子の粒子速度は振動しな
がら減少して零に収束する。
【0031】図1(B)に戻って説明を続けると、駆動
電圧2は単位駆動期間Tの開始時点TBでアクチュエー
タ18に供給し、予備駆動電圧4は単位駆動期間Tにお
いて駆動電圧2より遅いタイミングでアクチュエータ1
8に供給する。そして、単位駆動期間Tで駆動電圧2を
アクチュエータ18に供給したとき次の単位駆動期間T
の開始時点では、ノズル14先端のインクのメニスカス
22には、1つ前の単位駆動期間で駆動電圧2をアクチ
ュエータ18に供給したことに伴う振動が残留してい
る。すなわち、単位駆動期間Tの長さは、アクチュエー
タ18が駆動されてからインクメニスカスの振動が完全
に収束するまでの時間より短く設定する。
【0032】その上で、単位駆動期間で駆動電圧2をア
クチュエータ18に供給した場合の次の単位駆動期間の
開始時点におけるノズル14先端のインクのメニスカス
22の振動状態と、単位駆動期間で予備駆動電圧4をア
クチュエータ18に供給した場合の次の単位駆動期間の
開始時点におけるノズル14先端のインクのメニスカス
22の振動状態とがほぼ一致するように、予備駆動電圧
4の波形、大きさ、ならびに単位駆動期間内でのタイミ
ングを設定する(図1(A))。なお、メニスカス22
の振動状態はメニスカス22の位置および移動速度によ
り決まる。
【0033】上述したメニスカスの振動状態を各単位駆
動期間の開始時点で一致させることについて図5、図6
を参照して具体的に説明する。図5(A)ないし(C)
はそれぞれ単位駆動期間で予備駆動電圧4をアクチュエ
ータ18に供給し次の単位駆動期間の開始時点で駆動電
圧2をアクチュエータ18に供給した場合の電圧の波
形、ノズル先端部におけるインクのメニスカスの変位、
ならびにノズル先端部におけるインク粒子の速度を表す
波形図である。図中、横軸は時間を表し、縦軸は、図5
(A)では電圧、図5(B)ではメニスカスの変位、図
5(C)では粒子速度をそれぞれ表している。図5
(A)に示す(エ)のタイミングが単位駆動期間の開始
時点を示している。この(エ)のタイミングでは、図5
(B)に示すようにメニスカス変位は零となっており、
図5(C)に示すようにノズル先端部におけるインク粒
子の速度はインクが吐出される方向の所定速度となって
いる。
【0034】図6(A)ないし(C)はそれぞれ図5で
示すタイミングで予備駆動電圧4と駆動電圧2をアクチ
ュエータ18に供給し、次の単位駆動期間の開始時点で
駆動電圧2をアクチュエータ18に供給した場合の場合
の電圧の波形、ノズル先端部におけるインクのメニスカ
スの変位、ならびにノズル先端部におけるインク粒子の
速度を表す波形図である。図中、横軸は時間を表し、縦
軸は、図6(A)では電圧、図6(B)ではメニスカス
の変位、図6(C)では粒子速度をそれぞれ表してい
る。図6(A)に示す(エ)のタイミングが単位駆動期
間の開始時点を示し、(オ)のタイミングが次の単位駆
動期間の開始時点を示している。この(エ)のタイミン
グと(オ)のタイミングとでは、図6(B)に示すよう
にメニスカス変位は零で一致しており、図6(C)に示
すようにノズル先端部におけるインク粒子の速度も前述
した図5(C)の場合と同じ方向と速度で一致してい
る。
【0035】すなわち、単位駆動期間で予備駆動電圧4
をアクチュエータ18に供給した場合の次の単位駆動期
間の開始時点(タイミング(エ))におけるノズル14
先端のインクのメニスカス22の振動状態と、単位駆動
期間で駆動電圧2をアクチュエータ18に供給した場合
の次の単位駆動期間の開始時点(タイミング(オ))に
おけるノズル14先端のインクのメニスカス22の振動
状態とがほぼ一致している。上述したようにメニスカス
の振動状態を各単位駆動期間の開示時点でほぼ一致させ
るように、予備駆動電圧4の波形、大きさ、ならびに単
位駆動期間内でのタイミングを設定しているが、駆動波
形2および予備駆動波形4の波形と大きさの設定は駆動
波形発生回路19によって行われ、駆動波形2および予
備駆動波形4のアクチュエータ18への供給タイミング
の設定はセレクタ17によって行われるようになってい
る。
【0036】なお、駆動電圧2および予備駆動電圧4は
図1(A)に示したように、本実施の形態例では、直線
的に上昇した後、ほぼ一定の電圧を維持し、その後、ほ
ぼ直線的に下降する波形となっている。また、本実施の
形態例では、単位駆動期間内にアクチュエータに供給す
る予備駆動電圧4の数が1個である場合を例示したが、
単位駆動期間内にアクチュエータに供給する予備駆動電
圧4の数は複数個であってもよい。
【0037】本実施の形態例では以上のようにアクチュ
エータ18を駆動するため、単位駆動期間の長さは、上
述のように、インクメニスカスの残留振動が完全に収束
するまでの時間より短くなり、アクチュエータ18の駆
動周期を短縮して印刷速度を高めることができる。そし
て、1つ前の単位駆動期間でインク滴の吐出が行われな
かった場合でも、単位駆動期間の開始時点でのインクメ
ニスカスの振動状態は、予備駆動電圧4の供給によりイ
ンク滴が吐出された場合とほぼ一致しているので、1つ
前の単位駆動期間でインク滴が吐出されたか否かにかか
わらず常に同一の条件でインク滴が吐出され、良好な印
刷品質を確保できる。
【0038】また、インクメニスカスがまだ振動してい
る状態でアクチュエータ18が駆動されるので、インク
メニスカスの振動を利用してインクの吐出効率を向上さ
せることができ、吐出されるインク滴の量を確保するこ
とで印刷品質を高めることが可能になる。さらに、イン
ク滴が吐出されない単位駆動期間でも、予備駆動電圧4
がアクチュエータ18に供給されてノズル14内のイン
クは振動するので、インク滴を吐出させない時間が長く
なってもインクの増粘を防止することができ、印刷品質
を高めることが可能となる。そして、1つ前の単位駆動
期間でインク滴が吐出されたか否かにより制御を変える
といったことは不要であるから、制御が複雑化すること
がない。
【0039】また、本実施の形態例では、図1(B)に
示したように、プリントヘッド12が印刷領域の外側か
ら印刷領域の内側に移動するとき、プリントヘッド12
が印刷領域の内側に入る直前に予備駆動電圧6をアクチ
ュエータ18に供給する。なお、図1(B)において時
点TLが印刷領域の端部に対応している。そして、予備
駆動電圧6は、印刷領域の外で供給される点を除いて、
予備駆動電圧4と同一の電圧である。したがって、時点
TLにおけるインクメニスカスの振動状態は、2番目以
降の単位駆動期間の開始時点における振動状態と同じで
あり、そのため、印刷領域内の最初の単位駆動期間にお
いても、他の単位駆動期間と同じ条件でインク滴を吐出
させることができ、印刷領域の開始箇所においても良好
な印刷品質を確保することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ノズル、
および前記ノズルに連結されたインク加圧室、ならびに
パルス状の駆動電圧を受けその大きさに応じて前記イン
ク加圧室内のインクを加圧するアクチュエータを含むプ
リントヘッドを印字媒体に沿って繰り返し印刷領域内を
往復運動させつつ前記駆動電圧を前記アクチュエータに
繰り返し供給しインク滴を前記ノズルより前記印字媒体
に向け吐出させて前記印字媒体に印刷し、前記プリント
ヘッドが前記印刷領域を移動する期間を多数のほぼ一定
時間の単位駆動期間に分割し前記駆動電圧は各単位駆動
期間で多くて1回前記アクチュエータに供給するインク
ジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法において、
前記単位駆動期間を、該単位駆動期間で前記駆動電圧を
前記アクチュエータに供給したとき次の前記単位駆動期
間の開始時点で、前記ノズル先端部のインクのメニスカ
スには、1つ前の前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前
記アクチュエータに供給したことに伴う振動が残留する
ように設定し、前記駆動電圧を前記アクチュエータに供
給しない前記単位駆動期間では、予備駆動電圧を前記ア
クチュエータに供給し、前記単位駆動期間で前記駆動電
圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位
駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部のインク
メニスカスの振動状態と、前記単位駆動期間で前記予備
駆動電圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前
記単位駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部の
インクメニスカスの振動状態とがほぼ一致するように、
前記予備駆動電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期
間内でのタイミングを設定する。
【0041】また、本発明は、ノズル、および前記ノズ
ルに連結されたインク加圧室、ならびにパルス状の駆動
電圧を受けその大きさに応じて前記インク加圧室内のイ
ンクを加圧するアクチュエータを含むプリントヘッドを
印字媒体に沿って繰り返し印刷領域内を往復運動させる
プリントヘッド駆動手段と、前記プリントヘッドが前記
プリントヘッド駆動手段によって往復運動している状態
で前記駆動電圧を前記アクチュエータに繰り返し供給す
る駆動電圧生成手段とを備え、前記駆動電圧生成手段か
ら供給された前記駆動電圧インク滴を前記ノズルより前
記印字媒体に向け吐出させて前記印字媒体に印刷し、前
記プリントヘッドが前記印刷領域を移動する期間を多数
のほぼ一定時間の単位駆動期間に分割し前記駆動電圧は
各単位駆動期間で多くて1回前記アクチュエータに供給
するように構成されたインクジェットプリンタのプリン
トヘッド駆動装置において、前記駆動電圧生成手段は、
前記単位駆動期間を、該単位駆動期間で前記駆動電圧を
前記アクチュエータに供給したとき次の前記単位駆動期
間の開始時点で、前記ノズル先端部のインクのメニスカ
スには、1つ前の前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前
記アクチュエータに供給したことに伴う振動が残留する
ように設定し、前記駆動電圧を前記アクチュエータに供
給しない前記単位駆動期間では、予備駆動電圧を前記ア
クチュエータに供給し、前記単位駆動期間で前記駆動電
圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位
駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部のインク
メニスカスの振動状態と、前記単位駆動期間で前記予備
駆動電圧を前記アクチュエータに供給した場合の次の前
記単位駆動期間の開始時点における前記ノズル先端部の
インクメニスカスの振動状態とがほぼ一致するように、
前記予備駆動電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期
間内でのタイミングを設定する。
【0042】本発明のインクジェットプリンタのプリン
トヘッド駆動方法およびプリントヘッド駆動装置では、
単位駆動期間の開始時点でアクチュエータに駆動電圧が
供給された場合、その結果生じたインクメニスカスの振
動が残留している段階で次の短期駆動期間が始まるよう
に単位駆動期間の長さが設定され、単位駆動期間で駆動
電圧をアクチュエータに供給した場合の次の単位駆動期
間の開始時点におけるノズル先端のインクメニスカスの
振動状態と、単位駆動期間で予備駆動電圧をアクチュエ
ータに供給した場合の次の単位駆動期間の開始時点にお
けるノズル先端のインクのメニスカスの振動状態とがほ
ぼ一致するように、予備駆動電圧の波形、大きさ、なら
びに単位駆動期間内でのタイミングが設定される。その
結果、単位駆動期間の長さは、インクメニスカスの残留
振動が完全に収束するまでの時間より短くなり、アクチ
ュエータの駆動周期を短縮して印刷速度を高めることが
できる。そして、1つ前の単位駆動期間でインク滴の吐
出が行われなかった場合でも、単位駆動期間の開始時点
でのインクメニスカスの振動状態は、予備駆動電圧の供
給によりインク滴が吐出された場合とほぼ一致している
ので、1つ前の単位駆動期間でインク滴が吐出されたか
否かにかかわらず常に同一の条件でインク滴が吐出さ
れ、良好な印刷品質を確保できる。また、インクメニス
カスがまだ振動している状態でアクチュエータが駆動さ
れるので、インクメニスカスの振動を利用してインクの
吐出効率を向上させることで吐出されるインク滴の量を
確保して印刷品質を高めることが可能になる。さらに、
インク滴が吐出されない単位駆動期間でも、予備駆動電
圧がアクチュエータに供給されてノズル内のインクは振
動するので、インク滴を吐出させない時間が長くなって
もインクの増粘を防止することができ、印刷品質を高め
ることが可能となる。そして、1つ前の単位駆動期間で
インク滴が吐出されたか否かにより制御を変えるといっ
たことは不要であるから、制御が複雑化することがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明によるインクジェットプリンタ
のプリントヘッド駆動装置の一例における1つの駆動電
圧および予備駆動電圧の波形を示す波形図、(B)はア
クチュエータに繰り返し供給される駆動電圧および予備
駆動電圧を示す波形図である。
【図2】インクジェットプリンタのプリントヘッドの機
構部の構成を示す断面図である。
【図3】インクジェットプリンタのプリントヘッドの構
成を示すブロック図である。
【図4】(A)ないし(C)は予備駆動電圧のみを供給
した場合における波形、ノズル部におけるインクのメニ
スカスの変位、ならびにインク粒子の速度を表す波形図
である。
【図5】(A)ないし(C)は予備駆動電圧に続いて駆
動電圧を供給した場合における波形、ノズル部における
インクのメニスカスの変位、ならびにインク粒子の速度
を表す波形図である。
【図6】(A)ないし(C)は予備駆動電圧に続いて駆
動電圧を2回供給した場合における波形、ノズル部にお
けるインクのメニスカスの変位、ならびにインク粒子の
速度を表す波形図である。
【図7】インクジェットプリンタのプリントヘッドの一
例を示す構成図である。
【図8】(A)ないし(C)はそれぞれ駆動電圧の波
形、ノズル部におけるインクのメニスカスの変位、なら
びにインク粒子の速度を表す波形図である。
【図9】(A)ないし(D)は図7のプリントヘッドを
構成するノズルの先端部におけるインクの状態を示す説
明図である。
【図10】(A)は駆動方法1における1つの駆動電圧
および予備駆動電圧の波形を示す波形図、(B)は駆動
方法1においてアクチュエータに繰り返し供給される駆
動電圧および予備駆動電圧を示す波形図である。
【図11】(A)は駆動方法2における1つの予備駆動
電圧および駆動電圧の波形を示す波形図、(B)は駆動
方法2においてアクチュエータに繰り返し供給される予
備駆動電圧および駆動電圧を示す波形図である。
【符号の説明】
2……駆動電圧、4……予備駆動電圧、6……予備駆動
電圧、12……プリントヘッド、14……ノズル、16
……インク加圧室、18……アクチュエータ、20……
インク、22……メニスカス、24……インク柱、26
……インク滴、28……駆動電圧、30……予備駆動電
圧、29……予備駆動電圧、31……駆動電圧、T……
単位駆動期間。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル、および前記ノズルに連結された
    インク加圧室、ならびにパルス状の駆動電圧を受けその
    大きさに応じて前記インク加圧室内のインクを加圧する
    アクチュエータを含むプリントヘッドを印字媒体に沿っ
    て繰り返し印刷領域内を往復運動させつつ前記駆動電圧
    を前記アクチュエータに繰り返し供給しインク滴を前記
    ノズルより前記印字媒体に向け吐出させて前記印字媒体
    に印刷し、前記プリントヘッドが前記印刷領域を移動す
    る期間を多数のほぼ一定時間の単位駆動期間に分割し前
    記駆動電圧は各単位駆動期間で多くて1回前記アクチュ
    エータに供給するインクジェットプリンタのプリントヘ
    ッド駆動方法において、 前記単位駆動期間を、該単位駆動期間で前記駆動電圧を
    前記アクチュエータに供給したとき次の前記単位駆動期
    間の開始時点で、前記ノズル先端部のインクのメニスカ
    スには、1つ前の前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前
    記アクチュエータに供給したことに伴う振動が残留する
    ように設定し、 前記駆動電圧を前記アクチュエータに供給しない前記単
    位駆動期間では、予備駆動電圧を前記アクチュエータに
    供給し、 前記単位駆動期間で前記駆動電圧を前記アクチュエータ
    に供給した場合の次の前記単位駆動期間の開始時点にお
    ける前記ノズル先端部のインクメニスカスの振動状態
    と、前記単位駆動期間で前記予備駆動電圧を前記アクチ
    ュエータに供給した場合の次の前記単位駆動期間の開始
    時点における前記ノズル先端部のインクメニスカスの振
    動状態とがほぼ一致するように、前記予備駆動電圧の波
    形、大きさ、ならびに単位駆動期間内でのタイミングを
    設定すること、 を特徴とするインクジェットプリンタのプリントヘッド
    駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記インクメニスカスの前記振動状態を
    決める要因は前記メニスカスの位置および移動速度を含
    むことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリ
    ンタのプリントヘッド駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記予備駆動電圧は、インク滴が前記ノ
    ズルから吐出されない程度に前記インク加圧室内のイン
    クを加圧するパルス状を呈することを特徴とする請求項
    1または2記載のインクジェットプリンタのプリントヘ
    ッド駆動方法。
  4. 【請求項4】 前記駆動電圧は前記単位駆動期間の開始
    時点で前記アクチュエータに供給し、前記予備駆動電圧
    は前記単位駆動期間において前記駆動電圧より遅いタイ
    ミングで前記アクチュエータに供給することを特徴とす
    る請求項1、2または3記載のインクジェットプリンタ
    のプリントヘッド駆動方法。
  5. 【請求項5】 前記プリントヘッドが前記印刷領域の外
    側から前記印刷領域の内側に移動するとき、前記プリン
    トヘッドが前記印刷領域の内側に入る直前に前記予備駆
    動電圧を前記アクチュエータに供給することを特徴とす
    る請求項1乃至4に何れか1項記載のインクジェットプ
    リンタのプリントヘッド駆動方法。
  6. 【請求項6】 前記プリントヘッドが前記印刷領域の内
    側に入る直前に前記予備駆動電圧を前記アクチュエータ
    に供給したことによって生じる、つづく前記単位駆動期
    間の開始時点における前記ノズル先端部のインクメニス
    カスの振動状態が、前記単位駆動期間で前記駆動電圧を
    前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位駆動
    期間の開始時点における前記ノズル先端部のインクメニ
    スカスの振動状態とほぼ一致するように、前記予備駆動
    電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期間内でのタイ
    ミングを設定することを特徴とする請求項5記載のイン
    クジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法。
  7. 【請求項7】 前記インクメニスカスの振動状態を決め
    る要因は前記インクメニスカスの位置および移動速度を
    含むことを特徴とする請求項6記載のインクジェットプ
    リンタのプリントヘッド駆動方法。
  8. 【請求項8】 前記パルス状の前記駆動電圧はほぼ直線
    的に上昇した後、ほぼ一定の電圧を維持し、その後、ほ
    ぼ直線的に下降することを特徴とする請求項1乃至7に
    何れか1項記載のインクジェットプリンタのプリントヘ
    ッド駆動方法。
  9. 【請求項9】 前記パルス状の前記予備駆動電圧はほぼ
    直線的に上昇した後、ほぼ一定の電圧を維持し、その
    後、ほぼ直線的に下降することを特徴とする請求項1乃
    至8に何れか1項記載のインクジェットプリンタのプリ
    ントヘッド駆動方法。
  10. 【請求項10】 前記予備駆動電圧は前記駆動電圧より
    低いことを特徴とする請求項1乃至9に何れか1項記載
    のインクジェットプリンタのプリントヘッド駆動方法。
  11. 【請求項11】 ノズル、および前記ノズルに連結され
    たインク加圧室、ならびにパルス状の駆動電圧を受けそ
    の大きさに応じて前記インク加圧室内のインクを加圧す
    るアクチュエータを含むプリントヘッドを印字媒体に沿
    って繰り返し印刷領域内を往復運動させるプリントヘッ
    ド駆動手段と、 前記プリントヘッドが前記プリントヘッド駆動手段によ
    って往復運動している状態で前記駆動電圧を前記アクチ
    ュエータに繰り返し供給する駆動電圧生成手段とを備
    え、 前記駆動電圧生成手段から供給された前記駆動電圧イン
    ク滴を前記ノズルより前記印字媒体に向け吐出させて前
    記印字媒体に印刷し、前記プリントヘッドが前記印刷領
    域を移動する期間を多数のほぼ一定時間の単位駆動期間
    に分割し前記駆動電圧は各単位駆動期間で多くて1回前
    記アクチュエータに供給するように構成されたインクジ
    ェットプリンタのプリントヘッド駆動装置において、 前記駆動電圧生成手段は、前記単位駆動期間を、該単位
    駆動期間で前記駆動電圧を前記アクチュエータに供給し
    たとき次の前記単位駆動期間の開始時点で、前記ノズル
    先端部のインクのメニスカスには、1つ前の前記単位駆
    動期間で前記駆動電圧を前記アクチュエータに供給した
    ことに伴う振動が残留するように設定し、前記駆動電圧
    を前記アクチュエータに供給しない前記単位駆動期間で
    は、予備駆動電圧を前記アクチュエータに供給し、前記
    単位駆動期間で前記駆動電圧を前記アクチュエータに供
    給した場合の次の前記単位駆動期間の開始時点における
    前記ノズル先端部のインクメニスカスの振動状態と、前
    記単位駆動期間で前記予備駆動電圧を前記アクチュエー
    タに供給した場合の次の前記単位駆動期間の開始時点に
    おける前記ノズル先端部のインクメニスカスの振動状態
    とがほぼ一致するように、前記予備駆動電圧の波形、大
    きさ、ならびに単位駆動期間内でのタイミングを設定す
    るように構成されていること、 を特徴とするインクジェットプリンタのプリントヘッド
    駆動装置。
  12. 【請求項12】 前記インクメニスカスの前記振動状態
    を決める要因は前記メニスカスの位置および移動速度を
    含むことを特徴とする請求項11記載のインクジェット
    プリンタのプリントヘッド駆動装置。
  13. 【請求項13】 前記予備駆動電圧は、インク滴が前記
    ノズルから吐出されない程度に前記インク加圧室内のイ
    ンクを加圧するパルス状を呈することを特徴とする請求
    項11または12記載のインクジェットプリンタのプリ
    ントヘッド駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記駆動電圧は前記単位駆動期間の開
    始時点で前記アクチュエータに供給し、前記予備駆動電
    圧は前記単位駆動期間において前記駆動電圧より遅いタ
    イミングで前記アクチュエータに供給することを特徴と
    する請求項11、12または13記載のインクジェット
    プリンタのプリントヘッド駆動装置。
  15. 【請求項15】 前記プリントヘッドが前記印刷領域の
    外側から前記印刷領域の内側に移動するとき、前記プリ
    ントヘッドが前記印刷領域の内側に入る直前に前記予備
    駆動電圧を前記アクチュエータに供給することを特徴と
    する請求項11乃至14に何れか1項記載のインクジェ
    ットプリンタのプリントヘッド駆動装置。
  16. 【請求項16】 前記プリントヘッドが前記印刷領域の
    内側に入る直前に前記予備駆動電圧を前記アクチュエー
    タに供給したことによって生じる、つづく前記単位駆動
    期間の開始時点における前記ノズル先端部のインクメニ
    スカスの振動状態が、前記単位駆動期間で前記駆動電圧
    を前記アクチュエータに供給した場合の次の前記単位駆
    動期間の開始時点における前記ノズル先端部のインクメ
    ニスカスの振動状態とほぼ一致するように、前記予備駆
    動電圧の波形、大きさ、ならびに単位駆動期間内でのタ
    イミングを設定することを特徴とする請求項15記載の
    インクジェットプリンタのプリントヘッド駆動装置。
  17. 【請求項17】 前記インクメニスカスの振動状態を決
    める要因は前記インクメニスカスの位置および移動速度
    を含むことを特徴とする請求項16記載のインクジェッ
    トプリンタのプリントヘッド駆動装置。
  18. 【請求項18】 前記パルス状の前記駆動電圧はほぼ直
    線的に上昇した後、ほぼ一定の電圧を維持し、その後、
    ほぼ直線的に下降することを特徴とする請求項11乃至
    17に何れか1項記載のインクジェットプリンタのプリ
    ントヘッド駆動装置。
  19. 【請求項19】 前記パルス状の前記予備駆動電圧はほ
    ぼ直線的に上昇した後、ほぼ一定の電圧を維持し、その
    後、ほぼ直線的に下降することを特徴とする請求項11
    乃至18に何れか1項記載のインクジェットプリンタの
    プリントヘッド駆動装置。
  20. 【請求項20】 前記予備駆動電圧は前記駆動電圧より
    低いことを特徴とする請求項1乃至19に何れか1項記
    載のインクジェットプリンタのプリントヘッド駆動装
    置。
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