JP3731693B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小ノズルからインクなどの液体を吐出させ、記録紙やシート上に液体パターンを形成することにより文字や図形を描くプリンタなどに用いられるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンなどの印刷装置としてインクジェット記録装置を用いたプリンタが、取り扱いが簡単、印字性能がよい、低コストなどの理由から広く普及している。
【0003】
このようなインクジェット記録装置において、インクを吐出させるためには、従来より、熱エネルギーによってインク中に気泡を発生させ、その気泡による圧力波によってインク液滴を吐出させるものや、圧電素子のような振動子による圧力波を利用したもの、さらには、静電力によってインク液滴を吸引吐出させるもの等、種々の手法が提案されている。
【0004】
たとえば、上記の圧電素子を利用したものは、構成が極めて簡単であり、小型かつ低コストで、しかもインクの選択範囲が広い等の利点があるものの、1ドット単位での階調が取りにくいという問題がある。
【0005】
また、静電力を利用したものとして、従来、たとえばスリットジェット記録装置が提案されている(電子通信学会論文誌C分冊Vol:J68−C,No.2,1985参照)。
【0006】
これは、インク保持部から記録媒体に向かって開口するスリットを形成し、スリット内に多数の記録ドットに対応する記録電極を配置し、印字データに対応して各記録電極に個別的に電圧を印加し、これによって電圧が印加された記録電極と対向電極との間に静電界を生じさせ、その静電力によってインクを記録媒体に向けて飛翔させるように構成したものである。
【0007】
この構成によれば、インクを微小径の曳糸状に飛翔させることができるため、微小インク液滴を記録することが可能であり、かつ、電圧の印加時間を制御するなどして曳糸状の飛翔時間を変化させることで階調記録を容易に行うことができる。
【0008】
しかしながら、このような静電力を利用したものは、微小液滴記録や階調記録が可能であるものの、圧電素子による加圧力に比べて力が弱いため、インクが飛翔を始めるまでに時間がかかって応答性が悪く、記録速度が遅いという問題がある。
【0009】
そこで、従来技術では、圧電素子と静電力とを組み合わせることで、上記の問題点を解消しようとした装置も提供されている(たとえば特開平5−278212号公報参照)。
【0010】
この従来技術の装置を図18を用いて説明する。
【0011】
図18において、102はインクを吐出する吐出口、103は吐出口102に連通してインクを収容する圧力室である。106は圧力室103に圧力を印加するための圧電素子、111は吐出口102の先端部に形成されたインクメニスカスである。また、101はインクメニスカス111を形成しているインク部を帯電させる帯電用電極、109はこの帯電用電極101に記録紙112を介して対向配置された対向電極109である。そして、帯電用電極101と対向電極109との間には、高圧電源110により高圧を印加する構成になっている。
【0012】
この構成において、まず、圧電素子106に電圧を印加し、圧電素子106による発生力で圧力室103の体積を縮小させ、吐出口102にインクメニスカス111を形成する。
【0013】
しかし、この場合、圧電素子106のみで発生する力によっては、インクメニスカス111を飛翔できる程の加圧力がない。そこで、次に、このインクメニスカス111が帯電用電極101によって帯電させられると、このインクメニスカス111が帯電用電極101と対向電極109とで形成された電界によって対向電極109に向けて吐出される。このとき、対向電極109との間には記録紙112が配置されているため、この記録紙112にインク画像が形成される。
【0014】
図18に示す従来装置によれば、インクメニスカス111を形成する力を圧電素子106で発生させるため、このインクメニスカス111を飛翔させるまでの時間が短くて済み、記録速度の高速化を図ることができる。また、静電力を利用しているため、曳糸状での記録も可能であり、1ドット単位で階調をとることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図18に示した従来技術では、圧電素子106でインクメニスカス111を形成するため、通常の静電力のみを利用したものに比べて高速化を図ることができるものの、基本的には曳糸状の記録を行うものであるから、高い階調のドットを記録する場合には、圧電素子のみを利用して大きなインク液滴を飛翔する場合に比べて依然として時間がかかり、記録速度の点で特性が劣る。
【0016】
また、図18のものでは、1枚の記録紙112にインク像の形成を開始してから終了するまでの間は、帯電用電極101と対向電極109との間に電界を継続的に加える必要があるが、その場合、電界が強いと、圧電素子106に電圧を印加しない状態、つまり圧電素子106によって圧力室103を加圧していない状態でも、徐々にインクメニスカス111が形成されていき、最後にはインクが吐出口102より吐出する(以後、これを不要吐出と称する)という問題が生じる。
【0017】
このような不要吐出を防止するには、静電力を弱くすることが考えられるが、そうすると、逆にインクを飛翔させるための力が弱くてインク量も少なくなるため、記録速度が低下するなどの不都合を生じる。
【0018】
本発明は、このような課題に鑑み、1ドット単位で階調を取ることができ、かつ、ドット階調の高いものを形成する場合においても高速に記録ができ、かつ不要吐出の発生がないインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、この発明のインクジェット記録装置は、インクを収容する圧力室にはインクを吐出する吐出口が設けられ、また、前記吐出口に対向する位置には対向電極が配置される一方、前記圧力室に圧力を印加するための圧力印加手段と、前記対向電極と前記インクとの間に静電力を発生させる静電力発生手段とを有し、前記吐出口と前記対向電極との間に挿入された記録媒体に前記インクを吐出するときは、前記圧力印加手段によって圧力室に圧力を印加すると共に、前記静電力発生手段による静電力を発生させるようにしたインクジェット記録装置において、前記静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手段で印加される圧力のみで前記インクを吐出可能な高圧力範囲と、前記圧力印加手段による圧力に加えて前記静電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられている。これにより、吐出口から吐出するインク液滴の大きさを大小切り換えて階調記録を高速に行うことができるとともに、不要吐出を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、インクを収容する圧力室にはインクを吐出する吐出口が設けられ、また、前記吐出口に対向する位置には対向電極が配置される一方、前記圧力室に圧力を印加するための圧力印加手段と、前記対向電極と前記インクとの間に静電力を発生させる静電力発生手段とを有し、前記吐出口と前記対向電極との間に挿入された記録媒体に前記インクを吐出するときは、前記圧力印加手段によって圧力室に圧力を印加すると共に、前記静電力発生手段による静電力を発生させるようにしたインクジェット記録装置において、前記静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手段で印加される圧力のみで前記インクを吐出可能な高圧力範囲と、前記圧力印加手段による圧力に加えて前記静電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられている。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記圧力切換手段は、圧力印加手段により印加される圧力を切り換えるだけでなく、高圧力範囲から低圧力範囲に切り換わった場合には、これに応じて圧力を継続して印加保持する時間も、インクが曳糸状の吐出状態に達しない短時間側からインクが曳糸状の吐出状態に達する長時間側に切り換えるものであることを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のインクジェット記録装置において、圧力印加手段は、圧力室に形成された振動板と、前記振動板を振動させる圧電素子とからなることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のインクジェット記録装置において、圧力切換手段は、圧電素子への通電波形を切り換えるものであり、かつ、前記通電波形は、圧力室の体積を縮小させてインクを吐出口から吐出させる吐出第1段階と、前記体積が縮小した状態を所定時間保持する吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと膨張させて前記吐出口近傍にあるインクメニスカスを前記圧力室に引き戻すとともに前記圧力室に前記インクを補充する吐出第3段階とからなり、かつ、最も小さいインク液滴を吐出する場合は、最も大きいインク液滴を吐出する場合に比較して、前記通電波形の第2段階の電圧は低く、かつ保持時間が長くなるように設定されていることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のインクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、最も大きいインク液滴を吐出する場合と最も小さいインク液滴を吐出する場合とで、前記圧電素子への通電のタイミングがずれるように設定されていることを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のインクジェット記録装置において、最も大きいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も小さいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように通電のタイミングが設定されていることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項5記載のインクジェット記録装置において、最も小さいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も大きいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように通電のタイミングが設定されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項4記載のインクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記インクの吐出をさせない吐出口に対応する前記圧電素子に対しては、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる通電波形を加えることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項4記載のインクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記吐出第3段階の通電終了後、全ての吐出口に対応する前記圧電素子に対して、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる通電波形を通電することを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記静電力発生手段は、記録媒体へのインクの吐出動作を開始してから、インクの吐出動作を終了するまでの期間よりも短い所定時間だけ静電力を発生させるものであることを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記記録媒体へのインクの吐出動作時は、前記圧力室と前記吐出口と前記圧力印加手段とが一体となって移動させる駆動手段を備えるとともに、前記駆動手段の動作が停止したときは、これに応じて前記静電力発生手段による静電力の発生を停止させる手段を含むことを特徴とする。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図17を用いて説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明にかかる実施の形態1のインクジェット記録装置の縦断面図である。
【0033】
図1において、1はステンレスからなるノズル板であり、そのノズル板1にはインクを吐出する吐出口2が設けられている。3はその吐出口2に連通し、インクを収容する圧力室である。4は樹脂からなる圧力室構造体であり、この圧力室構造体4とノズル板1とで圧力室3が形成されいる。
【0034】
圧力室構造体4には圧力室3にインクを供給するためのインク供給口5が設けられている。6は0.02mm程度の厚みのPZTからなる圧電素子であり、この圧電素子6により0.01mm程度の厚みのステンレスからなる振動板7を振動させる。
【0035】
8は圧電素子に複数の異なる通電波形を所望のタイミングで印加することのできる駆動回路である。この圧電素子6と振動板7と駆動回路8とで特許請求の範囲における圧力印加手段が形成されている。
【0036】
また、駆動回路8は、特許請求の範囲における圧力切換手段も兼用しており、圧電素子6に加える通電波形を変えることにより、圧力室3に対する加圧力を切り換えることができるようになっている。
【0037】
9は金属からなる対向電極であり、吐出口2との距離が1mm程度に設定されている。また、対向電極9とノズル板1との間には、電源10によって2KV程度の高電圧が印加されている。そして、この電源10によって特許請求の範囲における静電力発生手段が構成されている。
【0038】
また、11は吐出口2に形成されたインクメニスカス、12はノズル板1と対向電極9との間に位置する記録媒体である。
【0039】
以上のように構成されたインクジェット記録装置について、以下、その動作を図1を用いて説明する。
【0040】
まず、吐出口2よりインクを飛翔させる場合の基本的な動作について説明する。
【0041】
圧電素子6に電圧を印加しない初期状態においては、インクメニスカス11は図1に示すように圧力室3内に凹んた状態にある。この状態で圧電素子6に電圧を印加すると、圧電素子6とともに振動板7が圧力室3の体積を減少させる方向にたわむため、圧力室3の内部の圧力が高まって、室内のインクが吐出口2より記録媒体12に向けて吐出される。
【0042】
次に、圧電素子6に加える電圧を次第に下げていくと、圧電素子6と振動板7とが圧力室3の体積が元の体積になるように戻っていく。このとき、吐出口2およびインク供給口5に吸引力が作用するが、吐出口2側ではインクメニスカス11の表面張力が大きいために、インク供給口5からインクが吸い込まれて供給されることとなる。そして、圧電素子6に対する印加電圧が零になったとき、圧電素子6、振動板7、およびインクメニスカス11が全て元の状態に戻り、次のインク吐出動作が可能となる。
【0043】
次いで、高いドット階調を得るために最も大きいインク液滴(以後、最大インク液滴と称する)を吐出する場合の動作について、図2および図3を用いて説明する。
【0044】
図2は、最大インク液滴を吐出するために、駆動回路8により圧電素子6に加える通電波形を示すタイムチャートである。
【0045】
この通電波形は、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の電圧Vaを印加する吐出第1段階と、圧電素子6に所定の電圧Vaを一定時間Taにわたって印加する吐出第2段階と、所定の電圧Vaから零の状態にまで徐々に低下させる第3段階とに区分される。
【0046】
そして、図2に示したような通電波形を圧電素子6に印加した場合、インクは、図3に示すようにして飛翔される。
【0047】
まず、圧力室3の体積が縮小してインクが吐出口2から吐出し(図3(a))、次に、インクメニスカス11が球状となり(図3(a))、引き続いてインクメニスカス11が切断してインク液滴となって対向電極9に向かって飛翔する(図3(c))。そして、インク液滴が飛翔した後は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下するのに伴って、吐出口2近傍にあるインクメニスカス11が圧力室3内に引き戻されるとともに、インク供給口5を通して圧力室3内にインクが補充される。
【0048】
なお、上記の動作は、対向電極9とノズル板1との間に電源10から高圧を印加した場合(以後、静電界をかけた場合と称する)であるが、静電界をかけない場合であっても圧電素子6による加圧力が大きいので、インク液滴はほぼ図3と同様の飛翔をする。
【0049】
次に、低いドット階調を得るために最も小さいインク液滴(以後、最小インク液滴と呼ぶ)を吐出する場合の動作について、図4ないし図6を用いて説明する。
【0050】
図4は、最小インク液滴を吐出するために、駆動回路8により圧電素子6に加える通電波形を示すタイムチャートである。
【0051】
図4に示す通電波形も、図2の場合と同様に、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の電圧Vbを印加する吐出第1段階と、圧電素子6に所定の電圧Vbを一定時間Tbにわたって印加する吐出第2段階と、所定の電圧Vbから零の状態にまで徐々に低下させる第3段階とに区分されるが、その所定電圧Vbのレベルが図2の場合と比べて低くなっている。すなわち、Vb<Vaである。
【0052】
図5は静電界をかけずに図4に示す通電波形を圧電素子に加えた場合のインクメニスカス11の状態を示している。
【0053】
静電界をかけずに図4の通電波形の電圧を加えた場合には、半月状より大きなインクメニスカス11が次第に形成されるが(図5(a))、吐出第2段階に到達しても電圧Vbのレベルが図2の場合の電圧Vaよりも低いので、インクが吐出することはなく、吐出第3段階になるとインクが吐出口2に次第に引き込まれていって凹状のインクメニスカス11となる(図5(c))。
【0054】
図6は静電界をかけつつ図4に示す通電波形を圧電素子に加えた場合のインクメニスカス11の状態を示している。
【0055】
静電界をかけつつ図4に示す通電波形を圧電素子に加えた場合には、半月状より大きなインクメニスカス11が形成され(図6(a))、静電界による力によって次第にインクメニスカス11の先端部が対向電極9側に近付く(図6(b))。そして、インクメニスカス11が切断してインク液滴となり、対向電極9に向かって飛翔する(図6(c))。そして、インク液滴が飛翔した後は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下するのに伴って、吐出口2近傍にあるインクメニスカス11が圧力室3内に引き戻されるとともに、インク供給口5を通して圧力室3内にインクが補充される。
【0056】
このように、この実施の形態1によれば、圧電素子6による加圧力と静電界とを組み合わることで、圧電素子6単独では吐出させることができない小径のインク液滴も吐出させることができ、しかも、図2および図4に示したように、圧電素子6に加える通電波形を切り換えることで大径のインク液滴と小径のインク液滴を自在に吐出させることができる。
【0057】
次に、最小インク液滴記録時に、さらに少量のインクを飛翔させる場合ための動作について、図7および図8を用いて説明する。
【0058】
図7は、駆動回路8により圧電素子6に加える通電波形を示すタイムチャートである。
【0059】
図7に示す通電波形も、図4の場合と同様に、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の電圧Vcを印加する吐出第1段階と、圧電素子6に所定の電圧Vcを一定時間Tbにわたって印加する吐出第2段階と、所定の電圧Vcから零の状態にまで徐々に低下させる第3段階とに区分されるが、図4の通電波形と異なるのは、吐出第2段階の電圧Vcを図4の場合の電圧Vbよりもさらに低く設定するとともに、その保持時間Tcを長くしている(Tc>Tb)ことである。
【0060】
静電界をかけつつ図7に示す通電波形を圧電素子に加えた場合、電圧Vcのレベルは図4の場合よりも低いので、図6に示した場合よりも小さいインクメニスカス11が形成される(図8(a))。そして、吐出第2段階の保持時間Tcが長く設定されているため、静電界の力によってインクメニスカス11の中央部が対向電極9に向かって次第に伸びてきて(図8(b))、ついには曳糸状に飛翔を始める(図8(c))。このように、吐出第2段階の保持時間Tcの設定によって、この曳糸状の飛翔時間を制御することができ、非常に少量のインクを曳糸状に飛翔させることができる。そして、インク液滴が飛翔した後は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下するのに伴って、吐出口2近傍にあるインクメニスカス11が圧力室3内に引き戻されるとともに、インク供給口5を通して圧力室3内にインクが補充される。
【0061】
以上のように、この実施の形態1では、インク吐出において、最大液滴記録時は液滴状吐出を、最小インク液滴記録時には曳糸飛翔を実現することができる。従来のように、曳糸状の飛翔時間を制御することにより階調をとる方式の場合には、多量のインクを飛翔させるのに時間がかかり、記録速度が遅くなっていたが、本発明では、最大インク液滴を記録する時には、曳糸飛翔でなく液滴状の飛翔にできるため、記録速度を速くして階調記録を行うことができる。また、圧電素子6に加える通電波形を切り換えるだけで、最小インク液滴記録時には曳糸飛翔を実現することができるため、非常に簡単な構成で階調記録を行うことができる。
【0062】
なお、実施の形態1では階調として最大インク液滴、最小インク液滴、無記録の3値であったが、さらに多くの階調を容易に取ることができる。また、従来方式において、静電界をかけずに圧電素子6だけでも、通常より小さい液滴を形成することにより階調記録ができる可能性はあるが、この場合には、圧電素子6による加圧力を小さくする関係上、飛翔速度が遅くなって液滴の飛翔直進性が悪くなり、著しく画質が低下するため好ましくない。
【0063】
また、以上の説明では、圧力発生手段として圧電素子6、振動板7、駆動回路8を用いたが、この圧力発生手段としては、この実施の形態1に限定されるものではなく、熱エネルギーによってインク中に気泡を発生させる手段や、圧電素子による高周波エネルギーを用いたものであってもよい。
【0064】
(実施の形態2)
図9は本発明にかかる実施の形態2のインクジェット記録装置を上部から見た概略平面図であり、実施の形態1に対応する部分には同一の符号を付す。
【0065】
図9の装置の特徴は、吐出口2a,2b,2c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5a,5b,5c、圧電素子6a,6b,6cがそれぞれ複数(本例では3つ)設けられていることである。
【0066】
また、振動板7は、各圧力室3a,3b,3cを全て覆う一枚のステンレスの板からなるが、圧力室3a,3b,3cに対応する部分を符号7a,7b,7cで示している。その他の構成は図1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0067】
ここで、複数の圧電素子6a〜6cの内、たとえば中央の圧電素子6bに対して電圧を印加した場合、振動板7の中央部分7bのみでなくその左右の部分7a、7cも同時に振動する。以後、この現象をクロストークと称する。
【0068】
このようなクロストークは、各圧電素子6a,6b,6c、振動板7、圧力室3a,3b,3cのサイズにもよるが、通常、インクを吐出させようとする力が大きい系であればあるほどクロストークの影響は大きくなる。そして、このようなクロストークの影響が大きいときには、特に曳糸飛翔を利用して階調記録を行う場合、各吐出2a,2b,2cからのインク液滴の飛翔量がばらついて、一定の階調で印字できなくなるなどの不都合を生じる。
【0069】
たとえば、中央の吐出口2bからは最小インク液滴を吐出し、同時にその左右の吐出口2a,2bからは最大インク液滴を吐出させるような場合には、中央の吐出口2bに対応する圧電素子6bに対して、図7に示す通電波形を印加するとともに、その左右の吐出口2a,2bに対応する各圧電素子6a,6cに対して図2に示す通電波形を印加することになるが、このとき、振動板7の中央部分7bには、その左右の部分7a,7cのクロストークの影響が加わり、その結果、中央の吐出口2bから飛翔されるインク量は、圧電素子6bだけに図7に示した通電波形を単独に印加した場合よりも多くなる。
【0070】
このように、各圧電素子6a〜6cに対して図7および図2に示したような通電波形を同時に加えた場合には、クロストークの影響が大きくでて、飛翔するインク量が変動する場合があるため、クロストークの影響をできるだけ低減することが極めて重要となる。
【0071】
そこで、この実施の形態2では、インク液滴を吐出させる場合の動作として、駆動回路8により各圧電素子6a,6b,6cに加える通電波形を、実施の形態1の場合と異なり、図10に示すようにしている。
【0072】
すなわち、中央の吐出口2bからは最小インク液滴を、その左右の吐出口2a,2bからは最大インク液滴をそれぞれ吐出させるような場合、中央の圧電素子6bに対しては、図10(a)に示す通電波形を、その左右の圧電素子6a,6cに対しては、図10(b)に示す通電波形をそれぞれ印加する。
【0073】
すなわち、図10から分かるように、中央の圧電素子6bとその左右の各圧電素子6a,6cとで通電波形を印加するタイミングをずらすようにする。このようにすれば、最小インク液滴記録時において最大インク液滴記録によるクロストークの影響を少なくできるので、安定した階調記録を実現することができる。
【0074】
なお、図10においては最小インク液滴記録(同図(a))を最大インク液滴記録(同図(b))に対して先行するようにタイミングをずらしたが、最大インク液滴記録を最小インク液滴記録に対して先行するようにタイミングをずらしても同様の効果を得ることができる。
【0075】
次に、クロストークの影響が少ない状態で、さらに図10に示した場合よりも記録速度を向上させる方法について、図11および図12を用いて説明する。
【0076】
上記の説明の場合と同様に、中央の吐出口2bからは最小インク液滴を、その左右の吐出口2a,2bからは最大インク液滴をそれぞれ吐出させるものとする。
【0077】
この場合には、中央の圧電素子6bに対しては、図11(a)に示す通電波形を、その左右の圧電素子6a,6cに対しては、図11(b)に示す通電波形をそれぞれ印加する。
【0078】
すなわち、図11(a)に示す最小インク液滴記録時の吐出第3段階が終了するまでの間に、図11(b)に示す最大インク液滴の通電波形の印加を開始する。このように、図10に示した場合よりも最大インク液滴記録時の通電波形の印加開始のタイミングを早くすれば、クロストークを防ぐ効果を発揮しながら、記録時間をより一層短縮化することができる。
【0079】
また、図11の場合とは逆に、図12に示すように、最大インク液滴記録時の通電波形(同図(a))の吐出第3段階が終了するまでの間に、最小インク液滴の通電波形(同図(b))の印加を開始するようにしてもよい。この場合も、図11の場合と同様に、クロストークを防ぐ効果を発揮しながら、記録時間をより一層短縮化することができる。
【0080】
このように、この実施の形態2では、最大インク液滴を吐出する場合と、最小インク液滴を吐出する場合とで、圧電素子6a〜6cに対する通電のタイミングをずらしたことにより、クロストークの影響の少ない少ないインクジェット記録装置を提供することができる。
【0081】
その場合に、図11および図12に示したように、同一の1ライン周期の中で、通電波形が一部オーバーラップするように印加開始のタイミングを早くすれば、クロストークを防ぐ効果を発揮しながら、記録時間をより一層短縮化することができる。
【0082】
なお、実施の形態2では、吐出口2bから最小インク液滴を、吐出口2a,2cから最大インク液滴を記録する場合について説明したが、これはあくまで一例であって、これはどのような組み合わせでも同様の効果が発揮できる。
【0083】
また、実施の形態2では、最小インク液滴記録時において曳糸飛翔をさせる通電波形を圧電素子6bに印加する場合であるが、曳糸飛翔でなく液滴状吐出においても同様の効果が得られる。
【0084】
さらに、この実施の形態2では、吐出口2a,2b,2c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5a,5b,5c、圧電素子6a,6b,6cはそれぞれ3つ設けた場合であるが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、これらをさらに多数設けたものであってもよい。
【0085】
(実施の形態3)
図13は本発明にかかる実施の形態3のインクジェット記録装置の概略側面図であり、実施の形態1に対応する部分には同一の符号を付す。
【0086】
この実施の形態3の特徴は、図1の構成に対して、ノズル板1と対向電極9との間に印加した静電界をオン・オフする静電界オン・オフ手段13を設けたことである。
【0087】
その他の構成は、図1に示した実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0088】
以上のように構成されたインクジェット記録装置の動作について、次に説明する。
【0089】
静電力の効果を大きくするために静電界を非常に強くし、このような静電界をノズル板1と対向電極9との間に常時印加し続けた場合には、図14に示すような不都合な現象が起こる。
【0090】
いま、インクを飛翔させた直後は、図14(a)に示すような状態にあるとする。以降、圧電素子6に通電波形を印加しない場合でも、静電界が強いと、インクメニスカス11が対向電極9側へ徐々に引き寄せられて図14(b)に示す状態になり、続いて図14(c)に示すように対向電極9側へ凸のインクメニスカス11となる。さらに、インクメニスカス11の中央部が尖って図14(d)に示す状態になり、ついには図14(e)に示すように曳糸飛翔を開始して不要な吐出となる。
【0091】
このような不要吐出が起こらないように、この実施の形態3では、一定時間以上静電界を印加したならば、静電界オン・オフ手段13によって電源10をオフにする。その場合の静電界を印加する一定時間は、電界強度やインクの物性等によって一概に決定できないが、不要吐出が発生する時間の1/10以下に設定するのが好ましい。また、静電界をオフにする時間も一概に決定できないが、通常、0.01秒程度で十分である。しかしながら、連続記録時に、突然に静電界をオフするのは、画像の連続性より困難であるため、シリアル記録方式では、インクジェットヘッドのリターン時に静電界をオフにするのが好ましい。
【0092】
このように、記録媒体へのインクの吐出動作を開始してから、インクの吐出動作を終了する迄の間において、静電界オン・オフ手段13によって電源10をオフして、所定時間以上は対向電極9とノズル板1との間に電圧を印加し続けないようにすれば、インクの不要吐出を有効に防止することができる。
【0093】
(実施の形態4)
図15は本発明にかかる第4の実施の形態のインクジェット記録装置の概略構成図である。
【0094】
14はインクジェットヘッドであって、その基本的な構成は図13に示したものと同じであるが、この実施の形態4の特徴は、インクジェットヘッド14がモータ、ギア、タイミングベルト等からなる駆動手段(図示せず)によって対向電極9に対して往復動可能に設けられていることである。
【0095】
以上のように構成されたインクジェット記録装置について、以下、その動作を説明する。
【0096】
インクジェットヘッド14が符号Aの位置と符号Bの位置の間を往復動する場合において、停止状態から加速するときには加速力が加わり、また、動いている状態から減速して停止するときには、インクジェットヘッド14に慣性力が加わる。特に、停止状態から動き出した瞬間と、動いている状態から停止した瞬間が最も大きな力がかかる。そして、このようにインクジェットヘッド14に余分な力がかかると、インクメニスカス11が吐出口2より凸状態になりやすく、その状態で静電界がかかっているとインクが飛翔して不要吐出が起こってしまう。
【0097】
そこで、実施の形態4では、インクジェットヘッド14に大きな力がかかる状態、すなわち、インクジェットヘッド11の停止直前の状態から完全に停止するまでの間(たとえば、停止手前0.01秒)、あるいは、停止状態から加速が開始される間(たとえば、加速を始めて0.01秒)は、静電界オン・オフ手段13によって電源10をオフにしてインクジェットヘッド14と対向電極9との間に静電界が加わらないようにする。これによって、インクの不要吐出を防ぐことができる。
【0098】
(実施の形態5)
この実施の形態5にかかるインクジェット記録装置の構成は、図9の場合と全く同じである。
【0099】
ここで、記録インク液滴の均一性や、吐出の安定性を確保するためには、圧電素子6へ通電する前はインクメニスカス11を常に同一の位置に保持しておくことが好ましい。すなわち、インクを連続して吐出させている吐出口2のインクメニスカス11は、常に同一の位置に保持することができるものの、インクの吐出が一時的にしろ停止している吐出口に対しては、静電界によって対向電極9側へインクメニスカス11が移動してしまい、この状態でインクの吐出を行うと所望の記録インク液滴が得られない。
【0100】
実施の形態3,4に示したような構成にすれば、不要吐出を防ぐことができるものの、それだけでは吐出口におけるインクメニスカス11を常に同一の位置に保持するのは困難である。
【0101】
そこで、この実施の形態5では、吐出口におけるインクメニスカス11を常に同一の位置に保持できるようにするため、次のようにしている。
【0102】
いま、図9の構成において、たとえば、同一の1ライン周期の中で、中央の吐出口2bからは最大インク液滴を吐出させるが、その左右の吐出口2a,2bからはインク液滴は共に吐出させないものとする。
【0103】
そのような場合、中央の圧電素子6bに対しては、図16(a)に示す通電波形を、その左右の圧電素子6a,6cに対しては、図16(b)に示す通電波形をそれぞれ印加する。
【0104】
中央の圧電素子6bに対して図16(a)に示す通常の通電波形を加えた場合には、図3に示した場合と同様の過程を経てインクが飛翔される。
【0105】
一方、その左右の圧電素子6a,6cに対して図16(b)に示す通電波形を加えた場合、次のような現象が起こる。
【0106】
図16(b)の通電波形は、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の負の電圧Vdを印加する非吐出第1段階と、圧電素子6に所定の負の電圧Vdを一定時間Tdにわたって印加する非吐出第2段階と、所定の負の電圧Vdから零の状態にまで徐々に低下させる非第3段階とに区分され、このような通電波形を加えると、最初に圧力室3の体積が膨張して吐出口2におけるインクを圧力室3側に後退し、続いてインクが圧力室3側に後退した状態が所定時間Tdだけ保持された後、圧力室3が元の体積へと縮小される。
【0107】
したがって、インクを吐出させない吐出口2a,2cに対して図16(b)に示す通電波形を圧電素子6に加えることにより、静電界によって対向電極9側へ移動していたインクメニスカス11が圧力室3内に引き戻されるようになり、記録インク液滴の均一性と吐出の安定性を維持することができる。
【0108】
インクメニスカス11を常に所望の位置に保持するためには、図16に示したような通電波形を加える代わりに、たとえば、図17に示すような通電波形を加えることも可能である。
【0109】
すなわち、最大インク液滴を吐出させる中央の吐出口2bに対しては、図17(a)に示す通電波形を、インク液滴を吐出させない左右の吐出口2a,2bに対しては、図17(b)に示す通電波形をそれぞれ印加する。
【0110】
図17に示す通電波形の特徴は、同図(a)に示す吐出第1段階から吐出第3段階に引き続いて、非吐出第1段階から非吐出第3段階が設けられていることである。
【0111】
これにより、中央の吐出口2bからインクが吐出された後は、全ての吐出口2a〜2cに対応する圧電素子6a〜6cに対して、同じ通電波形、すなわち、非吐出第1段階、第2段階、第3段階からなる同一の波形が、同一のタイミングで印加されるため、図16の通電波形を印加した場合に比較して、さらに安定してインクメニスカス11を所望の位置に保持することができる。しかも、同一の波形を同一タイミングで印加するため駆動回路8のコスト上昇もない。
【0112】
なお、この実施の形態5では、吐出口2a,2b,2c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5a,5b,5c、圧電素子6a,6b,6cはそれぞれ3つ設けた場合を前提としているが、本発明は、これに限定されるものではなく、これらをさらに多数設けたものであってもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、次の効果を奏する。
【0114】
(1) インクを収容する圧力室と、圧力室に連通しインクを吐出する吐出口と、吐出口に対向する位置に配置された対向電極と、圧力室に圧力を印加するための圧力印加手段と、圧力印加手段の圧力を切り換える圧力切換手段とを備えたことにより、大径のインク液滴と小径のインク液滴を自在に吐出させ、階調記録を高速に行うことができる。
【0115】
(2) また、圧力印加手段が、圧力室に形成された振動板と、この振動板を振動させる圧電素子とからなり、圧力切換手段は、圧電素子への通電波形を切り換える構成を備えたことにより、非常に簡単な手段で階調記録を行うことができる。
【0116】
(3) また、複数の圧力室と吐出口を備え、かつ同一の1ライン周期の中で、最も大きいインク液滴を吐出する場合と最も小さいインク液滴を吐出する場合とで、圧電素子への通電のタイミングをずらすことにより、クロストークの少ないインク吐出を実現することができる。
【0117】
(4) また、対向電極とインクとの間に加える静電界をオン・オフする構成を備えたことにより、インクの不要吐出を抑えることができる。
【0118】
(5) また、圧電素子に非吐出第1段階、第2段階、第3段階からなる通電波形を通電する構成を備えたことにより、インクメニスカスを常に所望の位置に保持することができ、記録インク液滴の均一性と吐出の安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるインクジェット記録装置の概略断面図。
【図2】本発明の実施の形態1における最大インク液滴を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1における最大インク液滴を吐出する場合のインクメニスカスの状態を示す図。
【図4】本発明の実施の形態1における最小インク液滴を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1における最小インク液滴を吐出する場合、かつ静電界をかけない場合のインクメニスカスの状態を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1における最小インク液滴を吐出する場合、かつ静電界をかけた場合のインクメニスカスの状態を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1における曳糸飛翔にて最小インク液滴を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1における曳糸飛翔にて最小インク液滴を吐出する場合のインクメニスカスの状態を示す図。
【図9】本発明の実施の形態2におけるインクジェット記録装置の概略平面図。
【図10】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出する場合の通電波形を示す図。
【図11】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出する場合の他の通電波形を示す図。
【図12】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出する場合の他の通電波形を示す図。
【図13】本発明の実施の形態3におけるインクジェット記録装置の概略側面図。
【図14】本発明の実施の形態3における不要吐出の現象を示す図。
【図15】本発明の実施の形態4におけるインクジェット記録装置の概略構成図。
【図16】本発明の実施の形態5におけるインクを吐出する場合の通電波形を示す図。
【図17】本発明の実施の形態5におけるインクを吐出する場合の他の通電波形を示す図。
【図18】従来のインクジェット記録装置の概略断面図。
【符号の説明】
1 ノズル板
2 吐出口
3 圧力室
4 圧力室構造体
5 インク供給口
6 圧電素子
7 振動板
8 駆動回路
9 対向電極
10 電源
11 インクメニスカス
13 静電界オン・オフ手段
14 インクジェットヘッド
Claims (11)
- インクを収容する圧力室にはインクを吐出する吐出口が設けられ、また、前記吐出口に対向する位置には対向電極が配置される一方、前記圧力室に圧力を印加するための圧力印加手段と、前記対向電極と前記インクとの間に静電力を発生させる静電力発生手段とを有し、前記吐出口と前記対向電極との間に挿入された記録媒体に前記インクを吐出するときは、前記圧力印加手段によって圧力室に圧力を印加すると共に、前記静電力発生手段による静電力を発生させるようにしたインクジェット記録装置において、
前記静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手段で印加される圧力のみで前記インクを吐出可能な高圧力範囲と、前記圧力印加手段による圧力に加えて前記静電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記圧力切換手段は、圧力印加手段により印加される圧力を切り換えるだけでなく、高圧力範囲から低圧力範囲に切り換わった場合には、これに応じて圧力を継続して印加保持する時間も、インクが曳糸状の吐出状態に達しない短時間側からインクが曳糸状の吐出状態に達する長時間側に切り換えるものであることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1または請求項2記載のインクジェット記録装置において、
圧力印加手段は、圧力室に形成された振動板と、前記振動板を振動させる圧電素子とからなることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項3記載のインクジェット記録装置において、
圧力切換手段は、圧電素子への通電波形を切り換えるものであり、かつ、前記通電波形は、圧力室の体積を縮小させてインクを吐出口から吐出させる吐出第1段階と、前記体積が縮小した状態を所定時間保持する吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと膨張させて前記吐出口近傍にあるインクメニスカスを前記圧力室に引き戻すとともに前記圧力室に前記インクを補充する吐出第3段階とからなり、かつ、最も小さいインク液滴を吐出する場合は、最も大きいインク液滴を吐出する場合に比較して、前記通電波形の第2段階の電圧は低く、かつ保持時間が長くなるように設定されていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項4記載のインクジェット記録装置において、
複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、最も大きいインク液滴を吐出する場合と最も小さいインク液滴を吐出する場合とで、前記圧電素子への通電のタイミングがずれるように設定されていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項5記載のインクジェット記録装置において、
最も大きいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も小さいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように通電のタイミングが設定されていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項5記載のインクジェット記録装置において、
最も小さいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も大きいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように通電のタイミングが設定されていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項4記載のインクジェット記録装置において、
複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記インクの吐出をさせない吐出口に対応する前記圧電素子に対しては、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる通電波形を加えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項4記載のインクジェット記録装置において、
複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記吐出第3段階の通電終了後、全ての吐出口に対応する前記圧電素子に対して、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる通電波形を通電することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、
前記静電力発生手段は、記録媒体へのインクの吐出動作を開始してから、インクの吐出動作を終了するまでの期間よりも短い所定時間だけ静電力を発生させるものであることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体へのインクの吐出動作時は、前記圧力室と前記吐出口と前記圧力印加手段とが一体となって移動させる駆動手段を備えるとともに、前記駆動手段の動作が停止したときは、これに応じて前記静電力発生手段による静電力の発生を停止させる手段を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
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