JPH10315464A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH10315464A
JPH10315464A JP12950997A JP12950997A JPH10315464A JP H10315464 A JPH10315464 A JP H10315464A JP 12950997 A JP12950997 A JP 12950997A JP 12950997 A JP12950997 A JP 12950997A JP H10315464 A JPH10315464 A JP H10315464A
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ink
pressure
pressure chamber
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recording apparatus
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浩二 池田
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祐二 高島
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタ、FAX等の出力部に使用されるイ
ンクジェット記録装置において、階調記録を高速に行う
ことのできるようにする。 【解決手段】 インクを収容する圧力室3にはインクを
吐出する吐出口2が設けられ、また、吐出口2に対向す
る位置には対向電極9が配置される一方、圧力室3に圧
力を印加するための圧力印加手段6,7,8と、対向電
極9とインクとの間に静電力を発生させる静電力発生手
段10とを有し、吐出口2と対向電極9との間に挿入さ
れた記録媒体12にインクを吐出するときは、圧力印加
手段6,7,8によって圧力室3に圧力を印加すると共
に、静電力発生手段10により静電力を発生させるよう
にしたインクジェット記録装置において、静電力発生手
段10による静電力によらずに圧力印加手段6,7,8
で印加される圧力のみでインクを吐出可能な高圧力範囲
と、圧力印加手段6,7,8による圧力に加えて静電力
発生手段10による静電力によってインクを吐出する低
圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段8が設けら
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小ノズルからイ
ンクなどの液体を吐出させ、記録紙やシート上に液体パ
ターンを形成することにより文字や図形を描くプリンタ
などに用いられるインクジェット記録装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコンなどの印刷装置としてイ
ンクジェット記録装置を用いたプリンタが、取り扱いが
簡単、印字性能がよい、低コストなどの理由から広く普
及している。
【0003】このようなインクジェット記録装置におい
て、インクを吐出させるためには、従来より、熱エネル
ギーによってインク中に気泡を発生させ、その気泡によ
る圧力波によってインク液滴を吐出させるものや、圧電
素子のような振動子による圧力波を利用したもの、さら
には、静電力によってインク液滴を吸引吐出させるもの
等、種々の手法が提案されている。
【0004】たとえば、上記の圧電素子を利用したもの
は、構成が極めて簡単であり、小型かつ低コストで、し
かもインクの選択範囲が広い等の利点があるものの、1
ドット単位での階調が取りにくいという問題がある。
【0005】また、静電力を利用したものとして、従
来、たとえばスリットジェット記録装置が提案されてい
る(電子通信学会論文誌C分冊Vol:J68−C,No.
2,1985参照)。
【0006】これは、インク保持部から記録媒体に向か
って開口するスリットを形成し、スリット内に多数の記
録ドットに対応する記録電極を配置し、印字データに対
応して各記録電極に個別的に電圧を印加し、これによっ
て電圧が印加された記録電極と対向電極との間に静電界
を生じさせ、その静電力によってインクを記録媒体に向
けて飛翔させるように構成したものである。
【0007】この構成によれば、インクを微小径の曳糸
状に飛翔させることができるため、微小インク液滴を記
録することが可能であり、かつ、電圧の印加時間を制御
するなどして曳糸状の飛翔時間を変化させることで階調
記録を容易に行うことができる。
【0008】しかしながら、このような静電力を利用し
たものは、微小液滴記録や階調記録が可能であるもの
の、圧電素子による加圧力に比べて力が弱いため、イン
クが飛翔を始めるまでに時間がかかって応答性が悪く、
記録速度が遅いという問題がある。
【0009】そこで、従来技術では、圧電素子と静電力
とを組み合わせることで、上記の問題点を解消しようと
した装置も提供されている(たとえば特開平5−278
212号公報参照)。
【0010】この従来技術の装置を図18を用いて説明
する。
【0011】図18において、102はインクを吐出す
る吐出口、103は吐出口102に連通してインクを収
容する圧力室である。106は圧力室103に圧力を印
加するための圧電素子、111は吐出口102の先端部
に形成されたインクメニスカスである。また、101は
インクメニスカス111を形成しているインク部を帯電
させる帯電用電極、109はこの帯電用電極101に記
録紙112を介して対向配置された対向電極109であ
る。そして、帯電用電極101と対向電極109との間
には、高圧電源110により高圧を印加する構成になっ
ている。
【0012】この構成において、まず、圧電素子106
に電圧を印加し、圧電素子106による発生力で圧力室
103の体積を縮小させ、吐出口102にインクメニス
カス111を形成する。
【0013】しかし、この場合、圧電素子106のみで
発生する力によっては、インクメニスカス111を飛翔
できる程の加圧力がない。そこで、次に、このインクメ
ニスカス111が帯電用電極101によって帯電させら
れると、このインクメニスカス111が帯電用電極10
1と対向電極109とで形成された電界によって対向電
極109に向けて吐出される。このとき、対向電極10
9との間には記録紙112が配置されているため、この
記録紙112にインク画像が形成される。
【0014】図18に示す従来装置によれば、インクメ
ニスカス111を形成する力を圧電素子106で発生さ
せるため、このインクメニスカス111を飛翔させるま
での時間が短くて済み、記録速度の高速化を図ることが
できる。また、静電力を利用しているため、曳糸状での
記録も可能であり、1ドット単位で階調をとることがで
きる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図18
に示した従来技術では、圧電素子106でインクメニス
カス111を形成するため、通常の静電力のみを利用し
たものに比べて高速化を図ることができるものの、基本
的には曳糸状の記録を行うものであるから、高い階調の
ドットを記録する場合には、圧電素子のみを利用して大
きなインク液滴を飛翔する場合に比べて依然として時間
がかかり、記録速度の点で特性が劣る。
【0016】また、図18のものでは、1枚の記録紙1
12にインク像の形成を開始してから終了するまでの間
は、帯電用電極101と対向電極109との間に電界を
継続的に加える必要があるが、その場合、電界が強い
と、圧電素子106に電圧を印加しない状態、つまり圧
電素子106によって圧力室103を加圧していない状
態でも、徐々にインクメニスカス111が形成されてい
き、最後にはインクが吐出口102より吐出する(以
後、これを不要吐出と称する)という問題が生じる。
【0017】このような不要吐出を防止するには、静電
力を弱くすることが考えられるが、そうすると、逆にイ
ンクを飛翔させるための力が弱くてインク量も少なくな
るため、記録速度が低下するなどの不都合を生じる。
【0018】本発明は、このような課題に鑑み、1ドッ
ト単位で階調を取ることができ、かつ、ドット階調の高
いものを形成する場合においても高速に記録ができ、か
つ不要吐出の発生がないインクジェット記録装置を提供
することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、この発明のインクジェット記録装置は、インクを収
容する圧力室にはインクを吐出する吐出口が設けられ、
また、前記吐出口に対向する位置には対向電極が配置さ
れる一方、前記圧力室に圧力を印加するための圧力印加
手段と、前記対向電極と前記インクとの間に静電力を発
生させる静電力発生手段とを有し、前記吐出口と前記対
向電極との間に挿入された記録媒体に前記インクを吐出
するときは、前記圧力印加手段によって圧力室に圧力を
印加すると共に、前記静電力発生手段による静電力を発
生させるようにしたインクジェット記録装置において、
前記静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手
段で印加される圧力のみで前記インクを吐出可能な高圧
力範囲と、前記圧力印加手段による圧力に加えて前記静
電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低
圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられ
ている。これにより、吐出口から吐出するインク液滴の
大きさを大小切り換えて階調記録を高速に行うことがで
きるとともに、不要吐出を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、インクを収容する圧力室にはインクを吐出する吐出
口が設けられ、また、前記吐出口に対向する位置には対
向電極が配置される一方、前記圧力室に圧力を印加する
ための圧力印加手段と、前記対向電極と前記インクとの
間に静電力を発生させる静電力発生手段とを有し、前記
吐出口と前記対向電極との間に挿入された記録媒体に前
記インクを吐出するときは、前記圧力印加手段によって
圧力室に圧力を印加すると共に、前記静電力発生手段に
よる静電力を発生させるようにしたインクジェット記録
装置において、前記静電力発生手段による静電力によら
ずに圧力印加手段で印加される圧力のみで前記インクを
吐出可能な高圧力範囲と、前記圧力印加手段による圧力
に加えて前記静電力発生手段による静電力によってイン
クを吐出する低圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換
手段が設けられている。
【0021】請求項2記載の発明は、請求項1記載のイ
ンクジェット記録装置において、前記圧力切換手段は、
圧力印加手段により印加される圧力を切り換えるだけで
なく、高圧力範囲から低圧力範囲に切り換わった場合に
は、これに応じて圧力を継続して印加保持する時間も、
インクが曳糸状の吐出状態に達しない短時間側からイン
クが曳糸状の吐出状態に達する長時間側に切り換えるも
のであることを特徴とする。
【0022】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2記載のインクジェット記録装置において、圧力印
加手段は、圧力室に形成された振動板と、前記振動板を
振動させる圧電素子とからなることを特徴とする。
【0023】請求項4記載の発明は、請求項3記載のイ
ンクジェット記録装置において、圧力切換手段は、圧電
素子への通電波形を切り換えるものであり、かつ、前記
通電波形は、圧力室の体積を縮小させてインクを吐出口
から吐出させる吐出第1段階と、前記体積が縮小した状
態を所定時間保持する吐出第2段階と、前記圧力室を元
の体積へと膨張させて前記吐出口近傍にあるインクメニ
スカスを前記圧力室に引き戻すとともに前記圧力室に前
記インクを補充する吐出第3段階とからなり、かつ、最
も小さいインク液滴を吐出する場合は、最も大きいイン
ク液滴を吐出する場合に比較して、前記通電波形の第2
段階の電圧は低く、かつ保持時間が長くなるように設定
されていることを特徴とする。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項4記載のイ
ンクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口
を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、最も大きい
インク液滴を吐出する場合と最も小さいインク液滴を吐
出する場合とで、前記圧電素子への通電のタイミングが
ずれるように設定されていることを特徴とする。
【0025】請求項6記載の発明は、請求項5記載のイ
ンクジェット記録装置において、最も大きいインク液滴
を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形
の第3段階の間に、最も小さいインク液滴を吐出する前
記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように
通電のタイミングが設定されていることを特徴とする。
【0026】請求項7記載の発明は、請求項5記載のイ
ンクジェット記録装置において、最も小さいインク液滴
を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への通電波形
の第3段階の間に、最も大きいインク液滴を吐出する前
記吐出口に対応する圧電素子への通電を開始するように
通電のタイミングが設定されていることを特徴とする。
【0027】請求項8記載の発明は、請求項4記載のイ
ンクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口
を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記インク
の吐出をさせない吐出口に対応する前記圧電素子に対し
ては、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出口におけ
るインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第1段階
と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に至るま
で所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力室を元
の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる通電波
形を加えることを特徴とする。
【0028】請求項9記載の発明は、請求項4記載のイ
ンクジェット記録装置において、複数の圧力室と吐出口
を備え、かつ、同一の1ライン周期の中で、前記吐出第
3段階の通電終了後、全ての吐出口に対応する前記圧電
素子に対して、前記圧力室の体積を膨張させて前記吐出
口におけるインクを前記圧力室側へ後退させる非吐出第
1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる段階に
至るまで所定時間待機する非吐出第2段階と、前記圧力
室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段階とからなる
通電波形を通電することを特徴とする。
【0029】請求項10記載の発明は、請求項1ないし
請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録装置に
おいて、前記静電力発生手段は、記録媒体へのインクの
吐出動作を開始してから、インクの吐出動作を終了する
までの期間よりも短い所定時間だけ静電力を発生させる
ものであることを特徴とする。
【0030】請求項11記載の発明は、請求項1ないし
請求項10のいずれかに記載のインクジェット記録装置
において、前記記録媒体へのインクの吐出動作時は、前
記圧力室と前記吐出口と前記圧力印加手段とが一体とな
って移動させる駆動手段を備えるとともに、前記駆動手
段の動作が停止したときは、これに応じて前記静電力発
生手段による静電力の発生を停止させる手段を含むこと
を特徴とする。
【0031】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図17を用いて説明する。
【0032】(実施の形態1)図1は本発明にかかる実
施の形態1のインクジェット記録装置の縦断面図であ
る。
【0033】図1において、1はステンレスからなるノ
ズル板であり、そのノズル板1にはインクを吐出する吐
出口2が設けられている。3はその吐出口2に連通し、
インクを収容する圧力室である。4は樹脂からなる圧力
室構造体であり、この圧力室構造体4とノズル板1とで
圧力室3が形成されいる。
【0034】圧力室構造体4には圧力室3にインクを供
給するためのインク供給口5が設けられている。6は
0.02mm程度の厚みのPZTからなる圧電素子であ
り、この圧電素子6により0.01mm程度の厚みのステ
ンレスからなる振動板7を振動させる。
【0035】8は圧電素子に複数の異なる通電波形を所
望のタイミングで印加することのできる駆動回路であ
る。この圧電素子6と振動板7と駆動回路8とで特許請
求の範囲における圧力印加手段が形成されている。
【0036】また、駆動回路8は、特許請求の範囲にお
ける圧力切換手段も兼用しており、圧電素子6に加える
通電波形を変えることにより、圧力室3に対する加圧力
を切り換えることができるようになっている。
【0037】9は金属からなる対向電極であり、吐出口
2との距離が1mm程度に設定されている。また、対向電
極9とノズル板1との間には、電源10によって2KV
程度の高電圧が印加されている。そして、この電源10
によって特許請求の範囲における静電力発生手段が構成
されている。
【0038】また、11は吐出口2に形成されたインク
メニスカス、12はノズル板1と対向電極9との間に位
置する記録媒体である。
【0039】以上のように構成されたインクジェット記
録装置について、以下、その動作を図1を用いて説明す
る。
【0040】まず、吐出口2よりインクを飛翔させる場
合の基本的な動作について説明する。
【0041】圧電素子6に電圧を印加しない初期状態に
おいては、インクメニスカス11は図1に示すように圧
力室3内に凹んた状態にある。この状態で圧電素子6に
電圧を印加すると、圧電素子6とともに振動板7が圧力
室3の体積を減少させる方向にたわむため、圧力室3の
内部の圧力が高まって、室内のインクが吐出口2より記
録媒体12に向けて吐出される。
【0042】次に、圧電素子6に加える電圧を次第に下
げていくと、圧電素子6と振動板7とが圧力室3の体積
が元の体積になるように戻っていく。このとき、吐出口
2およびインク供給口5に吸引力が作用するが、吐出口
2側ではインクメニスカス11の表面張力が大きいため
に、インク供給口5からインクが吸い込まれて供給され
ることとなる。そして、圧電素子6に対する印加電圧が
零になったとき、圧電素子6、振動板7、およびインク
メニスカス11が全て元の状態に戻り、次のインク吐出
動作が可能となる。
【0043】次いで、高いドット階調を得るために最も
大きいインク液滴(以後、最大インク液滴と称する)を吐
出する場合の動作について、図2および図3を用いて説
明する。
【0044】図2は、最大インク液滴を吐出するため
に、駆動回路8により圧電素子6に加える通電波形を示
すタイムチャートである。
【0045】この通電波形は、圧電素子6に電圧を印加
しない零の状態から所定の電圧Vaを印加する吐出第1
段階と、圧電素子6に所定の電圧Vaを一定時間Taにわ
たって印加する吐出第2段階と、所定の電圧Vaから零
の状態にまで徐々に低下させる第3段階とに区分され
る。
【0046】そして、図2に示したような通電波形を圧
電素子6に印加した場合、インクは、図3に示すように
して飛翔される。
【0047】まず、圧力室3の体積が縮小してインクが
吐出口2から吐出し(図3(a))、次に、インクメニスカ
ス11が球状となり(図3(a))、引き続いてインクメニ
スカス11が切断してインク液滴となって対向電極9に
向かって飛翔する(図3(c))。そして、インク液滴が飛
翔した後は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下する
のに伴って、吐出口2近傍にあるインクメニスカス11
が圧力室3内に引き戻されるとともに、インク供給口5
を通して圧力室3内にインクが補充される。
【0048】なお、上記の動作は、対向電極9とノズル
板1との間に電源10から高圧を印加した場合(以後、
静電界をかけた場合と称する)であるが、静電界をかけ
ない場合であっても圧電素子6による加圧力が大きいの
で、インク液滴はほぼ図3と同様の飛翔をする。
【0049】次に、低いドット階調を得るために最も小
さいインク液滴(以後、最小インク液滴と呼ぶ)を吐出す
る場合の動作について、図4ないし図6を用いて説明す
る。
【0050】図4は、最小インク液滴を吐出するため
に、駆動回路8により圧電素子6に加える通電波形を示
すタイムチャートである。
【0051】図4に示す通電波形も、図2の場合と同様
に、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の
電圧Vbを印加する吐出第1段階と、圧電素子6に所定
の電圧Vbを一定時間Tbにわたって印加する吐出第2段
階と、所定の電圧Vbから零の状態にまで徐々に低下さ
せる第3段階とに区分されるが、その所定電圧Vbのレ
ベルが図2の場合と比べて低くなっている。すなわち、
Vb<Vaである。
【0052】図5は静電界をかけずに図4に示す通電波
形を圧電素子に加えた場合のインクメニスカス11の状
態を示している。
【0053】静電界をかけずに図4の通電波形の電圧を
加えた場合には、半月状より大きなインクメニスカス1
1が次第に形成されるが(図5(a))、吐出第2段階に到
達しても電圧Vbのレベルが図2の場合の電圧Vaよりも
低いので、インクが吐出することはなく、吐出第3段階
になるとインクが吐出口2に次第に引き込まれていって
凹状のインクメニスカス11となる(図5(c))。
【0054】図6は静電界をかけつつ図4に示す通電波
形を圧電素子に加えた場合のインクメニスカス11の状
態を示している。
【0055】静電界をかけつつ図4に示す通電波形を圧
電素子に加えた場合には、半月状より大きなインクメニ
スカス11が形成され(図6(a))、静電界による力によ
って次第にインクメニスカス11の先端部が対向電極9
側に近付く(図6(b))。そして、インクメニスカス11
が切断してインク液滴となり、対向電極9に向かって飛
翔する(図6(c))。そして、インク液滴が飛翔した後
は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下するのに伴っ
て、吐出口2近傍にあるインクメニスカス11が圧力室
3内に引き戻されるとともに、インク供給口5を通して
圧力室3内にインクが補充される。
【0056】このように、この実施の形態1によれば、
圧電素子6による加圧力と静電界とを組み合わること
で、圧電素子6単独では吐出させることができない小径
のインク液滴も吐出させることができ、しかも、図2お
よび図4に示したように、圧電素子6に加える通電波形
を切り換えることで大径のインク液滴と小径のインク液
滴を自在に吐出させることができる。
【0057】次に、最小インク液滴記録時に、さらに少
量のインクを飛翔させる場合ための動作について、図7
および図8を用いて説明する。
【0058】図7は、駆動回路8により圧電素子6に加
える通電波形を示すタイムチャートである。
【0059】図7に示す通電波形も、図4の場合と同様
に、圧電素子6に電圧を印加しない零の状態から所定の
電圧Vcを印加する吐出第1段階と、圧電素子6に所定
の電圧Vcを一定時間Tbにわたって印加する吐出第2段
階と、所定の電圧Vcから零の状態にまで徐々に低下さ
せる第3段階とに区分されるが、図4の通電波形と異な
るのは、吐出第2段階の電圧Vcを図4の場合の電圧Vb
よりもさらに低く設定するとともに、その保持時間Tc
を長くしている(Tc>Tb)ことである。
【0060】静電界をかけつつ図7に示す通電波形を圧
電素子に加えた場合、電圧Vcのレベルは図4の場合よ
りも低いので、図6に示した場合よりも小さいインクメ
ニスカス11が形成される(図8(a))。そして、吐出第
2段階の保持時間Tcが長く設定されているため、静電
界の力によってインクメニスカス11の中央部が対向電
極9に向かって次第に伸びてきて(図8(b))、ついには
曳糸状に飛翔を始める(図8(c))。このように、吐出第
2段階の保持時間Tcの設定によって、この曳糸状の飛
翔時間を制御することができ、非常に少量のインクを曳
糸状に飛翔させることができる。そして、インク液滴が
飛翔した後は、圧電素子6に加わる電圧が次第に低下す
るのに伴って、吐出口2近傍にあるインクメニスカス1
1が圧力室3内に引き戻されるとともに、インク供給口
5を通して圧力室3内にインクが補充される。
【0061】以上のように、この実施の形態1では、イ
ンク吐出において、最大液滴記録時は液滴状吐出を、最
小インク液滴記録時には曳糸飛翔を実現することができ
る。従来のように、曳糸状の飛翔時間を制御することに
より階調をとる方式の場合には、多量のインクを飛翔さ
せるのに時間がかかり、記録速度が遅くなっていたが、
本発明では、最大インク液滴を記録する時には、曳糸飛
翔でなく液滴状の飛翔にできるため、記録速度を速くし
て階調記録を行うことができる。また、圧電素子6に加
える通電波形を切り換えるだけで、最小インク液滴記録
時には曳糸飛翔を実現することができるため、非常に簡
単な構成で階調記録を行うことができる。
【0062】なお、実施の形態1では階調として最大イ
ンク液滴、最小インク液滴、無記録の3値であったが、
さらに多くの階調を容易に取ることができる。また、従
来方式において、静電界をかけずに圧電素子6だけで
も、通常より小さい液滴を形成することにより階調記録
ができる可能性はあるが、この場合には、圧電素子6に
よる加圧力を小さくする関係上、飛翔速度が遅くなって
液滴の飛翔直進性が悪くなり、著しく画質が低下するた
め好ましくない。
【0063】また、以上の説明では、圧力発生手段とし
て圧電素子6、振動板7、駆動回路8を用いたが、この
圧力発生手段としては、この実施の形態1に限定される
ものではなく、熱エネルギーによってインク中に気泡を
発生させる手段や、圧電素子による高周波エネルギーを
用いたものであってもよい。
【0064】(実施の形態2)図9は本発明にかかる実施
の形態2のインクジェット記録装置を上部から見た概略
平面図であり、実施の形態1に対応する部分には同一の
符号を付す。
【0065】図9の装置の特徴は、吐出口2a,2b,2
c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5a,5b,5
c、圧電素子6a,6b,6cがそれぞれ複数(本例では3
つ)設けられていることである。
【0066】また、振動板7は、各圧力室3a,3b,3
cを全て覆う一枚のステンレスの板からなるが、圧力室
3a,3b,3cに対応する部分を符号7a,7b,7cで示
している。その他の構成は図1の場合と同様であるか
ら、ここでは詳しい説明は省略する。
【0067】ここで、複数の圧電素子6a〜6cの内、た
とえば中央の圧電素子6bに対して電圧を印加した場
合、振動板7の中央部分7bのみでなくその左右の部分
7a、7cも同時に振動する。以後、この現象をクロスト
ークと称する。
【0068】このようなクロストークは、各圧電素子6
a,6b,6c、振動板7、圧力室3a,3b,3cのサイズ
にもよるが、通常、インクを吐出させようとする力が大
きい系であればあるほどクロストークの影響は大きくな
る。そして、このようなクロストークの影響が大きいと
きには、特に曳糸飛翔を利用して階調記録を行う場合、
各吐出2a,2b,2cからのインク液滴の飛翔量がばら
ついて、一定の階調で印字できなくなるなどの不都合を
生じる。
【0069】たとえば、中央の吐出口2bからは最小イ
ンク液滴を吐出し、同時にその左右の吐出口2a,2bか
らは最大インク液滴を吐出させるような場合には、中央
の吐出口2bに対応する圧電素子6bに対して、図7に示
す通電波形を印加するとともに、その左右の吐出口2
a,2bに対応する各圧電素子6a,6cに対して図2に示
す通電波形を印加することになるが、このとき、振動板
7の中央部分7bには、その左右の部分7a,7cのクロ
ストークの影響が加わり、その結果、中央の吐出口2b
から飛翔されるインク量は、圧電素子6bだけに図7に
示した通電波形を単独に印加した場合よりも多くなる。
【0070】このように、各圧電素子6a〜6cに対して
図7および図2に示したような通電波形を同時に加えた
場合には、クロストークの影響が大きくでて、飛翔する
インク量が変動する場合があるため、クロストークの影
響をできるだけ低減することが極めて重要となる。
【0071】そこで、この実施の形態2では、インク液
滴を吐出させる場合の動作として、駆動回路8により各
圧電素子6a,6b,6cに加える通電波形を、実施の形
態1の場合と異なり、図10に示すようにしている。
【0072】すなわち、中央の吐出口2bからは最小イ
ンク液滴を、その左右の吐出口2a,2bからは最大イン
ク液滴をそれぞれ吐出させるような場合、中央の圧電素
子6bに対しては、図10(a)に示す通電波形を、その左
右の圧電素子6a,6cに対しては、図10(b)に示す通
電波形をそれぞれ印加する。
【0073】すなわち、図10から分かるように、中央
の圧電素子6bとその左右の各圧電素子6a,6cとで通
電波形を印加するタイミングをずらすようにする。この
ようにすれば、最小インク液滴記録時において最大イン
ク液滴記録によるクロストークの影響を少なくできるの
で、安定した階調記録を実現することができる。
【0074】なお、図10においては最小インク液滴記
録(同図(a))を最大インク液滴記録(同図(b))に対して先
行するようにタイミングをずらしたが、最大インク液滴
記録を最小インク液滴記録に対して先行するようにタイ
ミングをずらしても同様の効果を得ることができる。
【0075】次に、クロストークの影響が少ない状態
で、さらに図10に示した場合よりも記録速度を向上さ
せる方法について、図11および図12を用いて説明す
る。
【0076】上記の説明の場合と同様に、中央の吐出口
2bからは最小インク液滴を、その左右の吐出口2a,2
bからは最大インク液滴をそれぞれ吐出させるものとす
る。
【0077】この場合には、中央の圧電素子6bに対し
ては、図11(a)に示す通電波形を、その左右の圧電素
子6a,6cに対しては、図11(b)に示す通電波形をそ
れぞれ印加する。
【0078】すなわち、図11(a)に示す最小インク液
滴記録時の吐出第3段階が終了するまでの間に、図11
(b)に示す最大インク液滴の通電波形の印加を開始す
る。このように、図10に示した場合よりも最大インク
液滴記録時の通電波形の印加開始のタイミングを早くす
れば、クロストークを防ぐ効果を発揮しながら、記録時
間をより一層短縮化することができる。
【0079】また、図11の場合とは逆に、図12に示
すように、最大インク液滴記録時の通電波形(同図(a))
の吐出第3段階が終了するまでの間に、最小インク液滴
の通電波形(同図(b))の印加を開始するようにしてもよ
い。この場合も、図11の場合と同様に、クロストーク
を防ぐ効果を発揮しながら、記録時間をより一層短縮化
することができる。
【0080】このように、この実施の形態2では、最大
インク液滴を吐出する場合と、最小インク液滴を吐出す
る場合とで、圧電素子6a〜6cに対する通電のタイミン
グをずらしたことにより、クロストークの影響の少ない
少ないインクジェット記録装置を提供することができ
る。
【0081】その場合に、図11および図12に示した
ように、同一の1ライン周期の中で、通電波形が一部オ
ーバーラップするように印加開始のタイミングを早くす
れば、クロストークを防ぐ効果を発揮しながら、記録時
間をより一層短縮化することができる。
【0082】なお、実施の形態2では、吐出口2bから
最小インク液滴を、吐出口2a,2cから最大インク液
滴を記録する場合について説明したが、これはあくまで
一例であって、これはどのような組み合わせでも同様の
効果が発揮できる。
【0083】また、実施の形態2では、最小インク液滴
記録時において曳糸飛翔をさせる通電波形を圧電素子6
bに印加する場合であるが、曳糸飛翔でなく液滴状吐出
においても同様の効果が得られる。
【0084】さらに、この実施の形態2では、吐出口2
a,2b,2c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5
a,5b,5c、圧電素子6a,6b,6cはそれぞれ3つ設
けた場合であるが、本発明は、このような構成に限定さ
れるものではなく、これらをさらに多数設けたものであ
ってもよい。
【0085】(実施の形態3)図13は本発明にかかる実
施の形態3のインクジェット記録装置の概略側面図であ
り、実施の形態1に対応する部分には同一の符号を付
す。
【0086】この実施の形態3の特徴は、図1の構成に
対して、ノズル板1と対向電極9との間に印加した静電
界をオン・オフする静電界オン・オフ手段13を設けた
ことである。
【0087】その他の構成は、図1に示した実施の形態
1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略
する。
【0088】以上のように構成されたインクジェット記
録装置の動作について、次に説明する。
【0089】静電力の効果を大きくするために静電界を
非常に強くし、このような静電界をノズル板1と対向電
極9との間に常時印加し続けた場合には、図14に示す
ような不都合な現象が起こる。
【0090】いま、インクを飛翔させた直後は、図14
(a)に示すような状態にあるとする。以降、圧電素子6
に通電波形を印加しない場合でも、静電界が強いと、イ
ンクメニスカス11が対向電極9側へ徐々に引き寄せら
れて図14(b)に示す状態になり、続いて図14(c)に示
すように対向電極9側へ凸のインクメニスカス11とな
る。さらに、インクメニスカス11の中央部が尖って図
14(d)に示す状態になり、ついには図14(e)に示すよ
うに曳糸飛翔を開始して不要な吐出となる。
【0091】このような不要吐出が起こらないように、
この実施の形態3では、一定時間以上静電界を印加した
ならば、静電界オン・オフ手段13によって電源10を
オフにする。その場合の静電界を印加する一定時間は、
電界強度やインクの物性等によって一概に決定できない
が、不要吐出が発生する時間の1/10以下に設定する
のが好ましい。また、静電界をオフにする時間も一概に
決定できないが、通常、0.01秒程度で十分である。
しかしながら、連続記録時に、突然に静電界をオフする
のは、画像の連続性より困難であるため、シリアル記録
方式では、インクジェットヘッドのリターン時に静電界
をオフにするのが好ましい。
【0092】このように、記録媒体へのインクの吐出動
作を開始してから、インクの吐出動作を終了する迄の間
において、静電界オン・オフ手段13によって電源10
をオフして、所定時間以上は対向電極9とノズル板1と
の間に電圧を印加し続けないようにすれば、インクの不
要吐出を有効に防止することができる。
【0093】(実施の形態4)図15は本発明にかかる
第4の実施の形態のインクジェット記録装置の概略構成
図である。
【0094】14はインクジェットヘッドであって、そ
の基本的な構成は図13に示したものと同じであるが、
この実施の形態4の特徴は、インクジェットヘッド14
がモータ、ギア、タイミングベルト等からなる駆動手段
(図示せず)によって対向電極9に対して往復動可能に設
けられていることである。
【0095】以上のように構成されたインクジェット記
録装置について、以下、その動作を説明する。
【0096】インクジェットヘッド14が符号Aの位置
と符号Bの位置の間を往復動する場合において、停止状
態から加速するときには加速力が加わり、また、動いて
いる状態から減速して停止するときには、インクジェッ
トヘッド14に慣性力が加わる。特に、停止状態から動
き出した瞬間と、動いている状態から停止した瞬間が最
も大きな力がかかる。そして、このようにインクジェッ
トヘッド14に余分な力がかかると、インクメニスカス
11が吐出口2より凸状態になりやすく、その状態で静
電界がかかっているとインクが飛翔して不要吐出が起こ
ってしまう。
【0097】そこで、実施の形態4では、インクジェッ
トヘッド14に大きな力がかかる状態、すなわち、イン
クジェットヘッド11の停止直前の状態から完全に停止
するまでの間(たとえば、停止手前0.01秒)、あるい
は、停止状態から加速が開始される間(たとえば、加速
を始めて0.01秒)は、静電界オン・オフ手段13によ
って電源10をオフにしてインクジェットヘッド14と
対向電極9との間に静電界が加わらないようにする。こ
れによって、インクの不要吐出を防ぐことができる。
【0098】(実施の形態5)この実施の形態5にかか
るインクジェット記録装置の構成は、図9の場合と全く
同じである。
【0099】ここで、記録インク液滴の均一性や、吐出
の安定性を確保するためには、圧電素子6へ通電する前
はインクメニスカス11を常に同一の位置に保持してお
くことが好ましい。すなわち、インクを連続して吐出さ
せている吐出口2のインクメニスカス11は、常に同一
の位置に保持することができるものの、インクの吐出が
一時的にしろ停止している吐出口に対しては、静電界に
よって対向電極9側へインクメニスカス11が移動して
しまい、この状態でインクの吐出を行うと所望の記録イ
ンク液滴が得られない。
【0100】実施の形態3,4に示したような構成にす
れば、不要吐出を防ぐことができるものの、それだけで
は吐出口におけるインクメニスカス11を常に同一の位
置に保持するのは困難である。
【0101】そこで、この実施の形態5では、吐出口に
おけるインクメニスカス11を常に同一の位置に保持で
きるようにするため、次のようにしている。
【0102】いま、図9の構成において、たとえば、同
一の1ライン周期の中で、中央の吐出口2bからは最大
インク液滴を吐出させるが、その左右の吐出口2a,2b
からはインク液滴は共に吐出させないものとする。
【0103】そのような場合、中央の圧電素子6bに対
しては、図16(a)に示す通電波形を、その左右の圧電
素子6a,6cに対しては、図16(b)に示す通電波形を
それぞれ印加する。
【0104】中央の圧電素子6bに対して図16(a)に示
す通常の通電波形を加えた場合には、図3に示した場合
と同様の過程を経てインクが飛翔される。
【0105】一方、その左右の圧電素子6a,6cに対し
て図16(b)に示す通電波形を加えた場合、次のような
現象が起こる。
【0106】図16(b)の通電波形は、圧電素子6に電
圧を印加しない零の状態から所定の負の電圧Vdを印加
する非吐出第1段階と、圧電素子6に所定の負の電圧V
dを一定時間Tdにわたって印加する非吐出第2段階と、
所定の負の電圧Vdから零の状態にまで徐々に低下させ
る非第3段階とに区分され、このような通電波形を加え
ると、最初に圧力室3の体積が膨張して吐出口2におけ
るインクを圧力室3側に後退し、続いてインクが圧力室
3側に後退した状態が所定時間Tdだけ保持された後、
圧力室3が元の体積へと縮小される。
【0107】したがって、インクを吐出させない吐出口
2a,2cに対して図16(b)に示す通電波形を圧電素子
6に加えることにより、静電界によって対向電極9側へ
移動していたインクメニスカス11が圧力室3内に引き
戻されるようになり、記録インク液滴の均一性と吐出の
安定性を維持することができる。
【0108】インクメニスカス11を常に所望の位置に
保持するためには、図16に示したような通電波形を加
える代わりに、たとえば、図17に示すような通電波形
を加えることも可能である。
【0109】すなわち、最大インク液滴を吐出させる中
央の吐出口2bに対しては、図17(a)に示す通電波形
を、インク液滴を吐出させない左右の吐出口2a,2bに
対しては、図17(b)に示す通電波形をそれぞれ印加す
る。
【0110】図17に示す通電波形の特徴は、同図(a)
に示す吐出第1段階から吐出第3段階に引き続いて、非
吐出第1段階から非吐出第3段階が設けられていること
である。
【0111】これにより、中央の吐出口2bからインク
が吐出された後は、全ての吐出口2a〜2cに対応する圧
電素子6a〜6cに対して、同じ通電波形、すなわち、非
吐出第1段階、第2段階、第3段階からなる同一の波形
が、同一のタイミングで印加されるため、図16の通電
波形を印加した場合に比較して、さらに安定してインク
メニスカス11を所望の位置に保持することができる。
しかも、同一の波形を同一タイミングで印加するため駆
動回路8のコスト上昇もない。
【0112】なお、この実施の形態5では、吐出口2
a,2b,2c、圧力室3a,3b,3c、インク供給口5
a,5b,5c、圧電素子6a,6b,6cはそれぞれ3つ設
けた場合を前提としているが、本発明は、これに限定さ
れるものではなく、これらをさらに多数設けたものであ
ってもよい。
【0113】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、次の効
果を奏する。
【0114】(1) インクを収容する圧力室と、圧力室
に連通しインクを吐出する吐出口と、吐出口に対向する
位置に配置された対向電極と、圧力室に圧力を印加する
ための圧力印加手段と、圧力印加手段の圧力を切り換え
る圧力切換手段とを備えたことにより、大径のインク液
滴と小径のインク液滴を自在に吐出させ、階調記録を高
速に行うことができる。
【0115】(2) また、圧力印加手段が、圧力室に形
成された振動板と、この振動板を振動させる圧電素子と
からなり、圧力切換手段は、圧電素子への通電波形を切
り換える構成を備えたことにより、非常に簡単な手段で
階調記録を行うことができる。
【0116】(3) また、複数の圧力室と吐出口を備
え、かつ同一の1ライン周期の中で、最も大きいインク
液滴を吐出する場合と最も小さいインク液滴を吐出する
場合とで、圧電素子への通電のタイミングをずらすこと
により、クロストークの少ないインク吐出を実現するこ
とができる。
【0117】(4) また、対向電極とインクとの間に加
える静電界をオン・オフする構成を備えたことにより、
インクの不要吐出を抑えることができる。
【0118】(5) また、圧電素子に非吐出第1段階、
第2段階、第3段階からなる通電波形を通電する構成を
備えたことにより、インクメニスカスを常に所望の位置
に保持することができ、記録インク液滴の均一性と吐出
の安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるインクジェット
記録装置の概略断面図。
【図2】本発明の実施の形態1における最大インク液滴
を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1における最大インク液滴
を吐出する場合のインクメニスカスの状態を示す図。
【図4】本発明の実施の形態1における最小インク液滴
を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1における最小インク液滴
を吐出する場合、かつ静電界をかけない場合のインクメ
ニスカスの状態を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1における最小インク液滴
を吐出する場合、かつ静電界をかけた場合のインクメニ
スカスの状態を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1における曳糸飛翔にて最
小インク液滴を吐出する場合の通電波形を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1における曳糸飛翔にて最
小インク液滴を吐出する場合のインクメニスカスの状態
を示す図。
【図9】本発明の実施の形態2におけるインクジェット
記録装置の概略平面図。
【図10】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出
する場合の通電波形を示す図。
【図11】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出
する場合の他の通電波形を示す図。
【図12】本発明の実施の形態2におけるインクを吐出
する場合の他の通電波形を示す図。
【図13】本発明の実施の形態3におけるインクジェッ
ト記録装置の概略側面図。
【図14】本発明の実施の形態3における不要吐出の現
象を示す図。
【図15】本発明の実施の形態4におけるインクジェッ
ト記録装置の概略構成図。
【図16】本発明の実施の形態5におけるインクを吐出
する場合の通電波形を示す図。
【図17】本発明の実施の形態5におけるインクを吐出
する場合の他の通電波形を示す図。
【図18】従来のインクジェット記録装置の概略断面
図。
【符号の説明】
1 ノズル板 2 吐出口 3 圧力室 4 圧力室構造体 5 インク供給口 6 圧電素子 7 振動板 8 駆動回路 9 対向電極 10 電源 11 インクメニスカス 13 静電界オン・オフ手段 14 インクジェットヘッド

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを収容する圧力室にはインクを吐
    出する吐出口が設けられ、また、前記吐出口に対向する
    位置には対向電極が配置される一方、前記圧力室に圧力
    を印加するための圧力印加手段と、前記対向電極と前記
    インクとの間に静電力を発生させる静電力発生手段とを
    有し、前記吐出口と前記対向電極との間に挿入された記
    録媒体に前記インクを吐出するときは、前記圧力印加手
    段によって圧力室に圧力を印加すると共に、前記静電力
    発生手段による静電力を発生させるようにしたインクジ
    ェット記録装置において、 前記静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手
    段で印加される圧力のみで前記インクを吐出可能な高圧
    力範囲と、前記圧力印加手段による圧力に加えて前記静
    電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低
    圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられ
    ていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェット記録装置
    において、 前記圧力切換手段は、圧力印加手段により印加される圧
    力を切り換えるだけでなく、高圧力範囲から低圧力範囲
    に切り換わった場合には、これに応じて圧力を継続して
    印加保持する時間も、インクが曳糸状の吐出状態に達し
    ない短時間側からインクが曳糸状の吐出状態に達する長
    時間側に切り換えるものであることを特徴とするインク
    ジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のインクジ
    ェット記録装置において、 圧力印加手段は、圧力室に形成された振動板と、前記振
    動板を振動させる圧電素子とからなることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のインクジェット記録装置
    において、 圧力切換手段は、圧電素子への通電波形を切り換えるも
    のであり、かつ、前記通電波形は、圧力室の体積を縮小
    させてインクを吐出口から吐出させる吐出第1段階と、
    前記体積が縮小した状態を所定時間保持する吐出第2段
    階と、前記圧力室を元の体積へと膨張させて前記吐出口
    近傍にあるインクメニスカスを前記圧力室に引き戻すと
    ともに前記圧力室に前記インクを補充する吐出第3段階
    とからなり、かつ、最も小さいインク液滴を吐出する場
    合は、最も大きいインク液滴を吐出する場合に比較し
    て、前記通電波形の第2段階の電圧は低く、かつ保持時
    間が長くなるように設定されていることを特徴とするイ
    ンクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のインクジェット記録装置
    において、 複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周
    期の中で、最も大きいインク液滴を吐出する場合と最も
    小さいインク液滴を吐出する場合とで、前記圧電素子へ
    の通電のタイミングがずれるように設定されていること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のインクジェット記録装置
    において、 最も大きいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する
    圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も小さいイ
    ンク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への
    通電を開始するように通電のタイミングが設定されてい
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のインクジェット記録装置
    において、 最も小さいインク液滴を吐出する前記吐出口に対応する
    圧電素子への通電波形の第3段階の間に、最も大きいイ
    ンク液滴を吐出する前記吐出口に対応する圧電素子への
    通電を開始するように通電のタイミングが設定されてい
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のインクジェット記録装置
    において、 複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周
    期の中で、前記インクの吐出をさせない吐出口に対応す
    る前記圧電素子に対しては、前記圧力室の体積を膨張さ
    せて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側へ後退さ
    せる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小
    させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出第2段階
    と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐出第3段
    階とからなる通電波形を加えることを特徴とするインク
    ジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項4記載のインクジェット記録装置
    において、 複数の圧力室と吐出口を備え、かつ、同一の1ライン周
    期の中で、前記吐出第3段階の通電終了後、全ての吐出
    口に対応する前記圧電素子に対して、前記圧力室の体積
    を膨張させて前記吐出口におけるインクを前記圧力室側
    へ後退させる非吐出第1段階と、前記圧力室を元の体積
    へと縮小させる段階に至るまで所定時間待機する非吐出
    第2段階と、前記圧力室を元の体積へと縮小させる非吐
    出第3段階とからなる通電波形を通電することを特徴と
    するインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかに
    記載のインクジェット記録装置において、 前記静電力発生手段は、記録媒体へのインクの吐出動作
    を開始してから、インクの吐出動作を終了するまでの期
    間よりも短い所定時間だけ静電力を発生させるものであ
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれか
    に記載のインクジェット記録装置において、 前記記録媒体へのインクの吐出動作時は、前記圧力室と
    前記吐出口と前記圧力印加手段とが一体となって移動さ
    せる駆動手段を備えるとともに、前記駆動手段の動作が
    停止したときは、これに応じて前記静電力発生手段によ
    る静電力の発生を停止させる手段を含むことを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
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