JP2000296610A - インクジェット式記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッドの駆動方法Info
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Abstract
度の高いインクも使用することのできるインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法を提供する。 【解決手段】 圧力発生室を収縮させてノズル開口から
インクを吐出させる第1の駆動信号を出力する第1の工
程(b)と、メニスカス振動の振幅を大きくするように
アクチュエータを駆動する第2の駆動信号を出力する第
2の工程(d)とを具備することにより、インクのメニ
スカス振動の振幅を大きくする。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面にアクチュエータを設け、この
アクチュエータの駆動によって圧力発生室に圧力を付与
することによりノズル開口からインク滴を吐出させるイ
ンクジェット式記録ヘッドの駆動方法に関する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板をア
クチュエータにより変形させて、圧力発生室のインクを
加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジ
ェット式記録ヘッドには、例えば、アクチュエータとし
て圧電素子や静電アクチュエータを用いたものがある。
また、圧電素子を用いたインクジェット式記録ヘッドに
は、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの
圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モー
ドの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用
化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるという利点を有する。
インクジェット式記録ヘッドでは、各製品毎に圧力発生
室のヘルムホルツ振動周期Tcのばらつきが有るため、
インクの供給の残留振動を十分にうち消すことは困難で
ある。また、インクは低温では粘度が高くなってしまう
ため、低温ではインクの供給が遅くインク滴量が低下し
てしまうという問題がある。
度を低くすると、高温で残留振動が抑制しきれず吐出が
不安定になってしまうという問題がある。
め、例えば、顔料インクや、高濃度の染料を添加して印
字濃度を向上させたインク等の粘度の高いインクを利用
することができず、インクの選択範囲が制限されてしま
うという問題がある。
ら高温まで安定した吐出が得られ、粘度の高いインクも
使用することのできるインクジェット式記録ヘッドの駆
動方法を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口及びリザーバに連通する
圧力発生室に付設されたアクチュエータを駆動すること
により前記圧力発生室を膨張又は収縮させて前記ノズル
開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘ
ッドの駆動方法において、前記圧力発生室を収縮させて
前記ノズル開口からインクを吐出させる第1の駆動信号
を出力する第1の工程と、メニスカス振動の振幅を大き
くするように前記アクチュエータを駆動する第2の駆動
信号を出力する第2の工程とを具備することを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
よってアクチュエータが駆動されることにより、メニス
カス振動の振幅が大きくなるが、その減衰期間が短縮さ
れ、吐出特性が安定する。
て、前記第2の駆動信号は、前記第1の駆動信号の電圧
とは反対の符号の電圧変化であり、且つ前記第1の駆動
信号の出力と前記第2の駆動信号の出力との間の期間
が、実質的に前記圧力発生室のヘルムホルツ振動周期T
cの略(n−1/2)倍(nは自然数)であることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
よりインクが引き込まれると共にアクチュエータの駆動
によってもインクが引き込まれるため、メニスカス振動
が効果的に大きくなる。
て、前記第2の駆動信号は、前記第1の駆動信号と同一
符号の電圧変化であると共にインクが吐出されない程度
の駆動信号であり、且つ前記第1の駆動信号の出力と前
記第2の駆動信号の出力との間の期間が、実質的に前記
圧力発生室のヘルムホルツ振動周期Tcの自然数倍であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法にある。
よりインクが押し出されると共にアクチュエータの駆動
によっても押し出されるため、メニスカス振動が効果的
に大きくなる。
において、前記第2の駆動信号の波形の幅は、実質的に
前記圧力発生室のヘルムホルツ振動周期Tcの略(n−
1/2)倍(nは自然数)であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
同期してアクチュエータを駆動させることができ、メニ
スカス振動の振幅が確実に大きくなる。
の態様において、第2の工程では、インクの温度が低い
ほどメニスカス振動の振幅が大きくなる第2の駆動信号
を出力することを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法にある。
じて、第2の駆動信号が調整されるため、インクの温度
に拘わらず吐出特性を安定させることができる。
て、第2の工程では、第2の駆動信号に代わってインク
が所定の温度を越えた場合には、インク吐出後のメニス
カス振動の振幅を小さくするように第3の駆動信号を出
力することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
駆動方法にある。
い場合には、第3の駆動信号によるアクチュエータの駆
動によりメニスカス振動の振幅を小さくすることによ
り、減衰期間が確実に短縮される。
て、前記第3の駆動信号の変化の割合は常に一定であ
り、インクの温度に応じて異なるタイミングで前記第3
の駆動信号を出力することを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法にある。
じて、確実にメニスカスの振動の振幅を小さくすること
ができる。
の態様において、メニスカス振動の振幅の大小を前記第
2の駆動信号が出力されている期間によって調整するこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法
にある。
同期してアクチュエータを駆動させることができ、メニ
スカス振動が効果的に大きくなる。
の態様において、メニスカス振動の振幅の大小を前記第
2の駆動信号の電圧変化の割合によって調整することを
特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
振幅の大きさに合わせてアクチュエータを駆動させるこ
とができ、メニスカス振動の振幅が効果的に大きくな
る。
かの態様において、メニスカス振動の振幅の大小を前記
第1の駆動信号の出力と前記第2の駆動信号の出力との
期間によって調整することを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法にある。
に同期してアクチュエータを駆動させることができ、メ
ニスカス振動が効果的に大きくなる。
れかの態様において、前記第1の工程の前に、前記圧力
発生室を膨張させてインク吐出の準備を行う工程を具備
することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆
動方法にある。
に圧力発生室を膨張させて、ノズル開口のメニスカスを
圧力発生室側に引き込んで吐出の準備を行うことによ
り、インク滴を高速且つ大きく吐出させることができ
る。
いて詳細に説明する。
ンクジェット式記録装置の概略構成を示す。図1に示す
ように、インクジェット式記録装置は、プリンタコント
ローラ101とプリントエンジン102とから概略構成
してある。
ターフェース103(以下、外部I/F103という)
と、各種データを一時的に記憶するRAM104と、制
御プログラム等を記憶したROM105と、CPU等を
含んで構成した制御部106と、クロック信号を発生す
る発振回路107と、インクジェット式記録ヘッド10
8へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号発生回
路109と、駆動信号や印刷データに基づいて展開され
たドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプ
リントエンジン102に送信する内部インターフェース
110(以下、内部I/F110という)とを備えてい
る。
コード、グラフィック関数、イメージデータ等によって
構成される印刷データを、図示しないホストコンピュー
タ等から受信する。また、この外部I/F103を通じ
てビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(AC
K)が、ホストコンピュータ等に対して出力される。
間バッファ112、出力バッファ113、及び、図示し
ないワークメモリとして機能する。そして、受信バッフ
ァ111は外部I/F103によって受信された印刷デ
ータを一時的に記憶し、中間バッファ112は制御部1
06が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッフ
ァ113はドットパターンデータを記憶する。なお、こ
のドットパターンデータは、階調データをデコード(翻
訳)することにより得られる印字データによって構成し
てある。なお、後述するように、本実施形態における印
字データは4ビットの信号により構成してある。
を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他
に、フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させて
ある。
印刷データを読み出すと共に、この印刷データを変換し
て得た中間コードデータを中間バッファ112に記憶さ
せる。また、中間バッファ112から読み出した中間コ
ードデータを解析し、ROM105に記憶させているフ
ォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、中間
コードデータをドットパターンデータに展開する。そし
て、制御部106は、必要な装飾処理を施した後に、こ
の展開したドットパターンデータを出力バッファ113
に記憶させる。
8の1行分に相当するドットパターンデータが得られた
ならば、この1行分のドットパターンデータは、内部I
/F110を通じてインクジェット式記録ヘッド108
に出力される。また、出力バッファ113から1行分の
ドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間
コードデータは中間バッファ112から消去され、次の
中間コードデータについての展開処理が行われる。
ト式記録ヘッド108と、紙送り機構114と、キャリ
ッジ機構115とを含んで構成してある。
りローラ等から構成してあり、記録紙等の印刷記憶媒体
をインクジェット式記録ヘッド108の記録動作に連動
させて順次送り出す。即ち、この紙送り機構114は、
印刷記憶媒体を副走査方向に相対移動させる。
式記録ヘッド108を搭載可能なキャリッジと、このキ
ャリッジを主走査方向に沿って走行させるキャリッジ駆
動部とから構成してあり、キャリッジを走行させること
によりインクジェット式記録ヘッド108を主走査方向
に移動させる。なお、キャリッジ駆動部は、タイミング
ベルトを用いたもの等、キャリッジを走行させ得る機構
であれば任意の構成を採り得る。
走査方向に沿って多数のノズル開口を有し、ドットパタ
ーンデータ等によって規定されるタイミングで各ノズル
開口からインク滴を吐出する。
108について詳細に説明する。まず、要部断面を示す
図3を参照して、インクジェット式記録ヘッド108の
機械的構成について説明する。
板となるスペーサ1は、例えば、150μm程度の厚み
を有するジルコニア(ZrO2)などのセラミックス板
で、圧力発生室2となる貫通孔を形成して構成される。
μmのジルコニアの薄板からなる弾性板3により封止さ
れ、弾性板3の表面には下電極4が形成されている。ま
た、下電極4の上には、圧力発生室2毎に独立して圧電
体層5が固定されている。この圧電体層5は、圧電材料
からなるグリーンシートを貼付したり、圧電材料をスパ
ッタリングする等の方法により形成される。さらに、各
圧電体層5の表面には、それぞれ上電極6が形成されて
いる。従って、下電極4と、各圧力発生室2毎に設けら
れた圧電体層5上の上電極6との間に、印刷データに基
づいて電圧を印加することにより、各圧電体層5は弾性
板3と共にたわみ変形する。
ジルコニアの薄板からなるインク供給口形成基板7によ
り封止されている。インク供給口形成基板7は、ノズル
プレートのノズル開口と圧力発生室2とを接続するノズ
ル連通孔8と、後述するリザーバ11と圧力発生室2と
を接続するインク供給口9を穿設して構成されている。
路を構成するのに適した、例えば、150μmのステン
レス鋼などの耐食性を備えた板材に、外部のインクタン
クからインクの供給を受けて圧力発生室2にインクを供
給するリザーバ11と、圧力発生室2と後述するノズル
開口13とを連通するノズル連通孔12とを有する。リ
ザーバ形成基板10のスペーサ1の反対側は、圧力発生
室2と同一の配列ピッチでノズル開口13が形成された
ノズルプレート14により封止されている。
は積層された後焼結されて一体的に形成されており、リ
ザーバ形成基板10及びノズルプレート14は、接着剤
層15及び16を介して固着されている。なお、リザー
バ形成基板10及びノズルプレート14もセラミックス
として一体的に形成することもできる。
録ヘッド108は、各圧力発生室2に対向してたわみ振
動モードの圧電素子5を有する。また、この圧電素子5
には、図示しないフレキシブルケーブルを介して電気信
号、例えば、後述する駆動信号(COM)や印字データ
(SI)等を供給する。
ェット式記録ヘッド108では、充電されることにより
圧電素子5が下に凸にたわみ変形して圧力発生室2が収
縮する。この収縮に伴って圧力発生室2におけるインク
圧力が高くなる。一方、放電することにより圧電素子5
のたわみ変形が引き戻され、収縮した圧力発生室2が膨
張する。この膨張に伴ってリザーバ11のインクがイン
ク供給口9を通って圧力発生室2内に流入する。このよ
うに、圧電素子5を充放電させることにより圧力発生室
2の容積が変化するので、各圧電素子5に対して充放電
を制御することにより、所望のノズル開口13から所望
の大きさのインク滴を吐出させることができる。
08の電気的構成について説明する。
は、図1に示すように、シフトレジスタ141、ラッチ
回路142、レベルシフタ143、スイッチ144及び
圧電素子5等を備えている。さらに、図2に示すよう
に、これらのシフトレジスタ141、ラッチ回路14
2、レベルシフタ143、スイッチ144及び圧電素子
5は、それぞれ、インクジェット式記録ヘッド108の
各ノズル開口13毎に設けたシフトレジスタ素子141
A〜141N、ラッチ素子142A〜142N、レベル
シフタ素子143A〜143N、スイッチ素子144A
〜144N、圧電素子5A〜5Nから構成してあり、シ
フトレジスタ141、ラッチ回路142、レベルシフタ
143、スイッチ144、圧電素子5の順で電気的に接
続してある。
ッチ回路142、レベルシフタ143及びスイッチ14
4は、駆動信号発生回路109が発生した駆動信号から
駆動パルスを生成する。ここで、駆動パルスとは実際に
圧電素子5に印加される印加パルスのことであり、そし
て、駆動信号とは駆動パルスを生成するために必要な元
波形により構成される一連のパルス信号(元駆動パル
ス)のことである。また、スイッチ144はスイッチ手
段としても機能する。
ッド108では、図4に示すように、発振回路107か
らのクロック信号(CK)に同期して、ドットパターン
データを構成する印字データ(SI)が出力バッファ1
13からシフトレジスタ141へシリアル伝送され、順
次セットされる。この場合、まず、全ノズル開口13の
印字データにおける最上位ビットのデータがシリアル伝
送され、この最上位ビットのデータシリアル伝送が終了
したならば、上位から2番目のビットのデータがシリア
ル伝送される。以下同様に、下位ビットのデータが順次
シリアル伝送される。
ル分シフトレジスタ素子141A〜141Nにセットさ
れたならば、制御部106は、所定のタイミングでラッ
チ回路142へラッチ信号(LAT)を出力させる。こ
のラッチ信号により、ラッチ回路142は、シフトレジ
スタ141にセットされた印字データをラッチする。こ
のラッチ回路142がラッチした印字データ(LATo
ut)は、電圧増幅器であるレベルシフタ143に印加
される。このレベルシフタ143は、印字データが例え
ば「1」の場合に、スイッチ144が駆動可能な電圧
値、例えば、数十ボルトまでこの印字データを昇圧す
る。そして、この昇圧された印字データはスイッチ素子
144A〜144Nに印加され、スイッチ素子144A
〜144Nは、当該印字データにより接続状態になる。
Nには、駆動信号発生回路109が発生した基本駆動信
号(COM)も印加されており、スイッチ素子144A
〜144Nが接続状態になると、このスイッチ素子14
4A〜144Nに接続された圧電素子5A〜5Nに駆動
信号が印加される。
録ヘッド108では、印字データによって圧電素子5に
駆動信号を印加するか否かを制御することができる。例
えば、印字データが「1」の期間においてはラッチ信号
(LAT)により、スイッチ144が接続状態となるの
で、駆動信号(COMout)を圧電素子5に供給する
ことができ、この供給された駆動信号(COMout)
により圧電素子5が変位(変形)する。また、印字デー
タが「0」の期間においてはスイッチ144が非接続状
態となるので、圧電素子5への駆動信号(COMou
t)の供給は遮断される。なお、この印字データが
「0」の期間において、各圧電素子5は直前の電荷を保
持するので、直前の変位状態が維持される。
明する。なお、図5(a)は、実施形態1の駆動信号
(COMout)の波形の一例を示す図であり、図5
(b)は、この波形に対応するメニスカスの変動を示す
図である。
ーマルドットのインク滴を吐出させる駆動波形である。
この駆動波形は、両電極間の電圧を最低電圧VL、例え
ば0Vのままインク滴の吐出のタイミングを図る第1の
ホールド工程aを有し、次いで、両電極間の電圧を最大
電圧VH、例えば30V程度に上げて圧力発生室2を収
縮させてインク滴を吐出する第1の収縮工程bを有し、
この直後に、圧力発生室2が最も収縮した状態を保持す
る第2のホールド工程cを有する。ここで、図5(b)
に示すように、実際には、インクが吐出されるタイミン
グは第1の収縮工程bよりも若干遅れ、第2のホールド
工程cにおいて吐出される。そして、インクが吐出され
ると、その反動によってインクにはメニスカス振動が発
生する。
後にインクのメニスカス振動を大きくするタイミングで
第1の膨張工程dを実行しメニスカス振動の抑制を図っ
ている。すなわち、所定のタイミングで第1の膨張工程
dを実行することにより、初めはメニスカス振動の振幅
は大きくなるものの、インクの粘性により振動の減衰期
間を短くすることができる。また、メニスカスのノズル
開口への復帰が速やかに短時間で行われ、安定した吐出
特性と必要十分なインク量を得ることができる。
力と第1の膨張工程dの駆動信号の出力との間の期間T
1、すなわち、本実施形態では、第1の収縮工程bの駆
動信号が出力されている期間と第1の膨張工程dの駆動
信号が出力されている期間との和の1/2と第2のホー
ルド期間cとの合計の期間T1が、圧力発生室2のヘル
ムホルツ振動周期Tcの略(n−1/2)倍(nは自然
数)であることが好ましい。これにより、メニスカス振
動によってインクが引き込まれると共に第1の膨張工程
dでの圧電素子の駆動によってインクが引き込まれ、メ
ニスカス振動の振幅が効果的に大きくなりインク供給が
加速され、駆動可能な最大周波数が著しく向上する。
使用等によりインクの粘度が高い場合ほど顕著である。
このため、例えば、本実施形態では、インクの温度を検
出し、その温度に応じて第1の膨張工程dにおいて駆動
電圧の変化の割合を調整することにより、メニスカス振
動の振幅の大きさを調整するようにした。これにより、
インクの温度変化によるインク吐出特性の変化を防止す
ることができる。
調整する駆動波形としては、特に限定されないが、例え
ば、本実施形態では、インクの温度が低い場合には、図
5(a)に実線で示すように、第1の膨張工程dの駆動
電圧の変化期間を短く、すなわち駆動電圧の変化の割合
を大きく調整して、メニスカス振動の振幅を大きくす
る。そして、インクの温度が高くなるにつれて、図5
(a)に点線に示すように、第1の膨張工程dの駆動電
圧の変化時間を長く、すなわち駆動電圧の変化の割合を
小さく調整して、メニスカス振動の振幅が大きくなる割
合を徐々に減少させるようにした。これにより、インク
の温度が低い場合には、図5(b)に実線で示すよう
に、メニスカス振動の振幅が大きくなるものの、メニス
カス振動の振幅が大きいのでインクは急速に供給され
る。また、インク粘度が高いため、振動の減衰期間は短
くなる。一方、インクの温度が高い場合には、図5
(b)に点線で示すように、メニスカス振動が打ち消さ
れて振動が減衰される。この時は、インク粘度が低いた
め、インクを供給する速度が速い。
の温度を検出することに限定されず、例えば、インクが
収容されたインクカートリッジ又はインクカートリッジ
を保持したヘッドの温度、あるいはインクカートリッジ
近傍の環境温度を検出するようにしてもよい。
振幅を大きくすることにより、メニスカスの復帰時間、
つまりインク供給に要する時間が短くなり、インク量を
高い周波数で確保しながら安定した吐出特性を得ること
ができる。特に、インクの粘度が高い場合に効果的であ
り、従来では使うことのできなかった粘度の高いインク
も利用することができ、インクの選択範囲が広がる。さ
らに、インクの温度に応じて、メニスカス振動の振幅が
大きくなる割合を調整するようにすれば、インクの温度
に拘わらず、安定した吐出特性を得ることができる。
駆動波形を示す図である。
電圧の変化の割合を変化させて、駆動信号が出力されて
いる期間を調整するようにしたが、本実施形態では、図
6に示すように、例えば、駆動電圧の変化の割合が実施
形態1の第1の膨張工程dと同一である第1の膨張工程
d1と、この第1の膨張工程d1よりも駆動電圧の変化
の割合が小さい第2の膨張工程d2との2段階として、
温度に応じて第2の膨張工程d2の期間を調整するよう
にした。すなわち、インクの温度が低いほど、第2の膨
張工程d2の期間を短くするようにして、第1の膨張工
程d1及び第2の膨張工程d2全体で、駆動信号が出力
されている期間を調整するようにした以外は、実施形態
1と同様である。
様に、インクの温度に拘わらず、吐出特性を安定させる
ことができる。
駆動波形の一例及びメニスカス振動を示す図である。
ニスカス振動の振幅が大きくなるようにした他の例であ
る。すなわち、図7(a)に示すように、第2のホール
ド期間c1を長くして第1の収縮工程bの駆動信号の出
力と第1の膨張工程d3の駆動信号の出力との間の期間
T1を変化させることにより、メニスカス振動の振幅が
大きくなる割合を調整するようにした以外は、実施形態
1と同様である。
力と第1の膨張工程d3の出力との間の期間T1は、イ
ンクの温度が低いほど、圧力発生室2のヘルムホルツ振
動周期Tcの(n−1/2)倍(nは自然数)に近いこ
とが好ましく、インクの温度が高いほど、圧力発生室2
のヘルムホルツ振動周期Tcの自然数倍に近いことが好
ましい。これにより、インクの温度が低い場合には、メ
ニスカス振動の振幅を効果的に大きくすることができ、
インクの温度が高い場合には、第1の膨張工程d3の駆
動信号による圧電素子の駆動によってインクにメニスカ
ス振動とは反対方向の力が働き、メニスカス振動の振幅
が小さくなる。
度に応じて、第2のホールド工程c1を長くして第1の
収縮工程bの出力と第1の膨張工程d3の出力との間の
期間T1を調整するようにした。これにより、インクの
温度によって、メニスカス振動の波形の位置はずれるも
のの、実施形態1と同様に、インクの温度の変化に拘わ
らず吐出特性を安定させることができる。
駆動波形を示す図である。
に、第3のホールド工程eを介して第2の収縮工程f、
第4のホールド工程g及び第2の膨張工程hを実行する
ようにした以外は、実施形態1と同様である。
力と第2の収縮工程fの駆動信号の出力との間の期間T
2、すなわち、本実施形態では、第1の収縮工程bの駆
動信号の出力が開始されてから第2の収縮工程fの駆動
信号の出力が開始されるまでの期間T2は、圧力発生室
2のヘルムホルツ振動周期Tcの自然数倍に近いことが
好ましい。また、第2の収縮工程fの駆動信号の出力と
第2の膨張工程hの駆動信号の出力との間の期間T3、
すなわち、第2の収縮工程fの駆動信号が出力されてい
る期間と第1の膨張工程hの駆動信号が出力されている
期間との和の1/2と第3のホールド期間gとの合計の
期間T3が、圧力発生室2のヘルムホルツ振動周期Tc
の(n−1/2)倍(nは自然数)に近いことが好まし
い。
カス振動によってインクが押し出されるタイミングで実
行され、且つ第2の膨張工程hがインクが引き込まれる
タイミングで実行される。したがって、メニスカス振動
の振幅がさらに大きくなり、メニスカスが復帰する期間
がより短縮され、インク吐出特性をより確実に安定させ
ることができる。また、このように第2の収縮工程fで
出力される駆動信号の変化の割合及び第2の膨張工程h
で出力される駆動信号の割合は常に一定として、例え
ば、インクの温度に応じて第3のホールド工程gの期間
を調整して、異なるタイミングで駆動信号を出力するよ
うにすれば、インクの温度に拘わらず確実にメニスカス
振動の振幅を小さくすることができる。
方法により、すなわち図9に示す駆動波形を下記表に示
すように設定して、圧電素子を駆動しメニスカスの重量
変位を計算したところ、以下のような結果が得られた。
なお、図9に示す駆動波形は、第1の収縮工程bの前
に、インク吐出の準備を行うための準備の収縮工程i、
準備のホールド工程j及び準備の膨張工程kを設けたも
のである。
ンクの温度5℃、アクチュエータの最大駆動周波数1
4.4kHz、インク振動の固有周期Tcを15μsと
した場合のメニスカス重量の変位を計算した結果を図1
0に示す。図10(a)、(b)に示す駆動波形は、そ
れぞれ、実施形態1及び実施形態3の駆動方法を用いた
例であり、インクのメニスカス振動の振幅が大きくなる
ように、第1の収縮工程bの駆動振動の出力と第1の膨
張工程dの駆動信号の出力との間の期間を調整した例で
ある。すなわち、図10(a)に示す実施形態1の駆動
波形は、第1の膨張工程dの駆動電圧の変化の割合を調
整した例であり、(b)に示す実施形態3の駆動波形
は、第2のホールド工程cの期間を調整した例である。
これら実施形態1及び3の駆動波形では、メニスカス振
動の振幅は、最大で−25ng以上と大きいものの、次
にインクが吐出までにメニスカスは復帰している。ま
た、十分に振動を減衰させることができ、所望の吐出量
(20ng)を確実に得ることができることが分かる。
一方、図10(c)に示す従来例の駆動波形では、メニ
スカス振動の振幅は、−20ng程度と小さいものの、
メニスカスがノズル開口に復帰しておらず、所望の吐出
量を得ることができないことが分かった。
態を説明したが、圧電素子の駆動波形は、上述の駆動波
形に限定されず、例えば、図示した台形波形の他、矩形
の波形などでもよい。また、インクを吐出するための波
形のパターンも、特に限定されず、例えば、図11に示
すように、インク吐出のための第1の収縮工程b1の前
に準備の膨張工程k1を設けるようにしてもよく、これ
により、インクの吐出速度が増加され吐出特性がさらに
向上される。
クジェット式記録ヘッドの構成は、特に限定されるもの
ではない。例えば、セラミック基板の代わりに、シリコ
ン基板に薄膜プロセスで圧電アクチュエータを形成する
と共に異方性エッチングにより圧力発生室を形成したイ
ンクジェット式記録ヘッドにも適用できるし、また、ノ
ズル開口の位置、リザーバの位置などのインク供給の構
造なども特に限定されない。また、たわみ変形型圧電ア
クチュエータによるインクジェット式記録ヘッドに限定
されず、縦変位型インクジェット式記録ヘッドの駆動に
も適用できる。
を有するインクジェット式記録ヘッドの一例を示す。図
示するように、スペーサ21には、圧力発生室22が形
成され、スペーサ21の両側は、ノズル開口23を有す
るノズルプレート24と、弾性板25とにより封止され
ている。また、スペーサ21には、圧力発生室22にイ
ンク供給口26を介して連通するリザーバ27が形成さ
れており、リザーバ27には、図示しないインクタンク
が接続される。
対側には、圧電素子28の先端が当接している。圧電素
子28は、圧電材料29と、電極形成材料30及び31
とを交互にサンドイッチ状に挟んで積層構造になるよう
に構成され、振動に寄与しない不活性領域が固定基板3
2に固着されている。なお、固定基板32と、弾性板2
5、スペーサ21及びノズルプレート24とは、基台3
3を介して一体的に固定されている。
録ヘッドは、圧電素子28の電極形成材料30及び31
に電圧が印加されると、圧電素子28がノズルプレート
24側に伸張するから、弾性板25が変位し、圧力発生
室22の容積が圧縮される。従って、例えば、予め電圧
を30V程度印加した状態から電圧を除去し、圧電素子
28を収縮させてインクをリザーバ27からインク供給
口26を介して圧力発生室22に流れ込ませることがで
きる。また、その後、電圧を印加することにより、圧電
素子28を伸張させて弾性板25により圧力発生室22
を収縮させ、ノズル開口23からインク滴を吐出させる
ことができる。
ドを駆動する場合でも、上述した駆動方法を用いること
により、高い周波数でもインク量を低下させることな
く、比較的小さな体積のインク滴を吐出することができ
る。
ヘッドでは、電圧を印加することにより、圧力発生室を
収縮させるものを例示したが、電圧を印加することによ
り、圧力発生室を膨張させるインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法にも本発明の駆動方法を適用することがで
きる。
ッドの一例を図13に示す。図13のインクジェット式
記録ヘッドは、図12の圧電素子28の代わりに圧電素
子28Aを有する以外は同様な構造を有する。圧電素子
28Aは、圧電体材料29Aの中に電極形成材料30A
及び31Aを交互に縦に配置して積層したものである。
従って、両電極形成材料30A及び31Aに電圧を印加
すると圧電素子28Aが収縮して圧力発生室22が膨張
し、この状態から電圧の印加を解除すると圧力発生室2
2が収縮し、ノズル開口23からインク滴を吐出させる
ことができる。上述した駆動方法の収縮及び膨張の際の
電圧の印加及び解除を逆に行うことにより、同様な駆動
方法を実施できる。
ッドでの駆動信号の例を示す。図13のインクジェット
式記録ヘッドの各駆動信号は、図11の各駆動信号に対
応し、同様の作用を有する工程には同じ符号を付して説
明は省略する。この場合に異なるのは、例えば、準備の
膨張工程i及び第1の膨張工程dでは、上述した場合と
異なって電圧を印加し、逆に、例えば、第1の収縮工程
bでは、電圧の印加を解除するという点であり、作用効
果は上述した場合と同様である。
生室を収縮させてノズル開口からインクを吐出させる第
1の駆動信号を出力する第1の工程と、吐出されたイン
クのメニスカス振動の振幅を大きくする第2の駆動信号
を出力する第2の工程とを有するため、第1の工程での
圧力発生室の収縮により吐出されたインク滴のメニスカ
ス振動の復帰期間を短縮することができ、高い駆動周波
数で十分なインク量が得られる。吐出特性が安定し、画
質を向上することができる。また、インクの粘度が高い
場合に特に効果的であり、従来では粘度が高くて使えな
かったインクも利用することができ、インクの選択範囲
が広がるという効果を奏する。
録装置の概略構成を示すブロック図である。
録ヘッドの回路構成を示す回路図である。
録ヘッドの断面図である。
例を示す図である。
例を示す図である。
例を示す図である。
例を示す図である。
形例を示す図である。
ニスカス振動の比較に用いた駆動信号の波形を示す図で
ある。
動及び従来の駆動信号の波形によるメニスカス振動を示
す図である。
の一例を示す図である。
式記録ヘッドの例を示す断面図である。
式記録ヘッドの例を示す断面図である。
の一例を示す図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 ノズル開口及びリザーバに連通する圧力
発生室に付設されたアクチュエータを駆動することによ
り前記圧力発生室を膨張又は収縮させて前記ノズル開口
からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド
の駆動方法において、 前記圧力発生室を収縮させて前記ノズル開口からインク
を吐出させる第1の駆動信号を出力する第1の工程と、
メニスカス振動の振幅を大きくするように前記アクチュ
エータを駆動する第2の駆動信号を出力する第2の工程
とを具備することを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドの駆動方法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記第2の駆動信号
は、前記第1の駆動信号の電圧とは反対の符号の電圧変
化であり、且つ前記第1の駆動信号の出力と前記第2の
駆動信号の出力との間の期間が、実質的に前記圧力発生
室のヘルムホルツ振動周期Tcの略(n−1/2)倍
(nは自然数)であることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項3】 請求項1において、前記第2の駆動信号
は、前記第1の駆動信号と同一符号の電圧変化であると
共にインクが吐出されない程度の駆動信号であり、且つ
前記第1の駆動信号の出力と前記第2の駆動信号の出力
との間の期間が、実質的に前記圧力発生室のヘルムホル
ツ振動周期Tcの自然数倍であることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項4】 請求項1又は3において、前記第2の駆
動信号の波形の幅は、実質的に前記圧力発生室のヘルム
ホルツ振動周期Tcの略(n−1/2)倍(nは自然
数)であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、第2の
工程では、インクの温度が低いほどメニスカス振動の振
幅が大きくなる第2の駆動信号を出力することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項6】 請求項5において、第2の工程では、第
2の駆動信号に代わってインクが所定の温度を越えた場
合には、インク吐出後のメニスカス振動の振幅を小さく
するように第3の駆動信号を出力することを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項7】 請求項6において、前記第3の駆動信号
の変化の割合は常に一定であり、インクの温度に応じて
異なるタイミングで前記第3の駆動信号を出力すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、メニス
カス振動の振幅の大小を前記第2の駆動信号が出力され
ている期間によって調整することを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8の何れかにおいて、メニス
カス振動の振幅の大小を前記第2の駆動信号の電圧変化
の割合によって調整することを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドの駆動方法。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、メニ
スカス振動の振幅の大小を前記第1の駆動信号の出力と
前記第2の駆動信号の出力との間の期間によって調整す
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動
方法。 - 【請求項11】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
記第1の工程の前に、前記圧力発生室を膨張させてイン
ク吐出の準備を行う工程を具備することを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドの駆動方法。
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1999
- 1999-04-14 JP JP10721499A patent/JP4102511B2/ja not_active Expired - Fee Related
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