JP3419372B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP3419372B2 JP2000016179A JP2000016179A JP3419372B2 JP 3419372 B2 JP3419372 B2 JP 3419372B2 JP 2000016179 A JP2000016179 A JP 2000016179A JP 2000016179 A JP2000016179 A JP 2000016179A JP 3419372 B2 JP3419372 B2 JP 3419372B2
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薫 百瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノズル開口部から
インク滴を吐出させて記録を行う記録ヘッドを備えたイ
ンクジェット式記録装置に関し、特に、ドット抜け等の
記録画像の不良を防止するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式プリンタ等のインクジ
ェット式記録装置(以下、記録装置という)には、画質
の向上を図るため、マイクロドット、ミドルドット、ラ
ージドットのようにインク重量が異なる複数種類のイン
ク滴を、同一のノズル開口部から吐出させるようにした
ものがある。
【0003】この記録装置に用いられる記録ヘッドは、
例えば、印加された波形信号によって変形する圧電振動
子と、圧電振動子の変形によって膨張・収縮される圧力
室と、この圧力室に連通したノズル開口部とを備えて構
成されている。
【0004】そして、マイクロドットを形成する重量の
インク滴を吐出させるマイクロドット波形の後に、ミド
ルドットを形成する重量のインク滴を吐出させるミドル
ドット波形を配置した一連の駆動波形信号を圧力発生素
子に印加することにより複数種類のインク滴を同一のノ
ズル開口部から吐出させている。
【0005】即ち、記録紙上にマイクロドットを記録す
る場合にはマイクロドット波形を圧力発生素子へ印加
し、ミドルドットを記録する場合にはミドルドット波形
を圧力発生素子へ印加する。
【0006】また、ラージドットを記録する場合には、
マイクロドット波形とミドルドット波形を連続的に圧力
発生素子へ印加する。この場合において、マイクロドッ
ト波形を印加した直後はこのマイクロドット波形による
残留振動が圧力室内に残っているため、続けてミドルド
ット波形を印加することにより、ミドルドット波形によ
って吐出されるインク滴の重量はミドルドット波形を単
独で印加した場合よりも多くなる。従って、マイクロド
ット波形によって吐出したインク滴とともにラージドッ
トを形成する重量のインク滴が吐出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような記録装置で
は、マイクロドット波形とミドルドット波形とを連続的
に印加することによりラージドットを形成するので、マ
イクロドット波形とミドルドット波形の間隔をある程度
近付ける必要がある。そして、これらのマイクロドット
波形とミドルドット波形の時間間隔は、記録画像の画質
に影響を与える。
【0008】即ち、この時間間隔が最適値よりずれてし
まうと、ドットの太り(本来のドット径よりも大きなド
ットが形成されてしまう現象)やドット抜けといった記
録不良を生じさせてしまう。
【0009】この記録不良を防止するため、記録不良が
生じやすい記録パターン、例えば、1列が96個のノズ
ル開口部で構成された記録ヘッドにおいて、8個のノズ
ル開口部毎にラージドットのインク滴を吐出させる1本
吐出パターン、8個のノズル開口部毎に隣り合う3個の
ノズル開口部を選択し、選択したノズル開口部からラー
ジドットのインク滴を吐出させる3本吐出パターン、及
び、奇数番目のノズル開口部と偶数番目のノズル開口部
とから交互にラージドットのインク滴を吐出させる交互
吐出パターンを実際に記録して評価を行い、この評価の
結果に基づいてマイクロドット波形とミドルドット波形
との時間間隔を定めている。
【0010】しかしながら、これらの記録パターンによ
る評価によって定めた時間間隔であっても記録不良が生
じてしまう場合があることが分かった。
【0011】例えば、これらの記録パターンによってマ
イクロドット波形とミドルドット波形との時間間隔を定
めた場合において、1本抜きパターン、即ち、8個のノ
ズル開口部毎にインク滴を吐出しないノズル開口部を設
定し、設定したノズル開口部を除くノズル開口部からラ
ージドットのインク滴を吐出させる記録パターンのよう
に記録を行うノズル開口部の割合(記録密度)が高いパ
ターンの記録を行った場合には、上記した記録不良が生
じてしまうことがあった。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、1本抜きパターンのように、記録密度が
高い記録パターンを記録しても記録不良を少なくするこ
とができ、記録安定性の向上が図れるインクジェット式
記録装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために提案されたものであり、請求項1に記載さ
れたものは、波形信号の印加によって変形する圧力発生
素子と、圧力発生素子の変形によって膨張・収縮される
圧力室と、該圧力室に連通したノズル開口部とを備え、
一連の駆動波形信号を構成する少なくともマイクロドッ
ト波形とミドルドット波形とを連続的に圧力発生素子に
印加することによって、ラージドットのインク滴をノズ
ル開口部から吐出させるように構成したインクジェット
式記録装置において、マイクロドット波形の印加終了時
点からミドルドット波形の印加開始時点の時間間隔を、
次式 Tμm=Tc×(n/2) 但し、Tμmは、マイクロドット波形とミドルドット波
形の時間間隔 Tcは、キャビティ振動周期 nは、マイクロドット波形の残留振動によるミドルドッ
トのインク滴の重量が、ミドルドットのみのインク滴重
量よりも多くなるように設定された「3」以上の奇数 に基づく値の近傍に設定したことを特徴とするインクジ
ェット式記録装置である。
【0014】請求項2に記載のものは、請求項1に記載
のインクジェット式記録装置において、nを「3」に設
定したことを特徴とするインクジェット式記録装置であ
る。
【0015】請求項3に記載のものは少なくともマイ
クロドット波形とミドルドット波形の時間間隔を、キャ
ビティ振動周期間隔で生じる不良時間同士のほぼ中間の
長さに設定したことを特徴とする請求項1または請求項
2に記載のインクジェット式記録装置である。
【0016】請求項4に記載のものは、メニスカスを微
振動させる印字内微振動波形を、マイクロドット波形よ
りも前に含ませて一連の駆動波形信号を構成し、印字内
微振動波形とマイクロドット波形の時間間隔を、印字内
微振動波形による振動の影響を受けない程度に長く設定
したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに
記載のインクジェット式記録装置である。
【0017】請求項5に記載のものは前記波形間隔を
ャビティ振動周期であるTcの3倍以上としたことを特
徴とする請求項4に記載のインクジェット式記録装置で
ある。
【0018】請求項6に記載のものはマイクロドット
波形とミドルドット波形の時間間隔を吐出不良が発生し
ない間隔に設定したことを特徴とする請求項1から請求
項5の何れかに記載のインクジェット式記録装置である
【0019】
【0020】請求項に記載のものは前記不良時間が周
期性をもって現れることを特徴とする請求項3に記載の
インクジェット式記録装置である。
【0021】請求項に記載のものは、前記圧力発生素
子を、振動子の伸縮方向とは直交する方向に圧電体及び
電極を積層した櫛歯状振動子によって構成したことを特
徴とする請求項1から請求項の何れかに記載のインク
ジェット式記録装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、代
表的なインクジェット式記録装置であるインクジェット
式プリンタ(以下、プリンタという)を例に挙げて説明
する。図1に示すように、プリンタは、プリンタコント
ローラ1とプリントエンジン2とから概略構成してあ
る。
【0023】なお、本明細書中のマイクロドット、ミド
ルドット、ラージドットとは、マイクロドット、ミドル
ドット、ラージドットの順にそのドットを形成するイン
ク重量が増えているドットを表す。
【0024】プリンタコントローラ1は、外部インター
フェース3(以下、外部I/F3という。)と、各種デ
ータを一時的に記憶するRAM4と、制御プログラム等
を記憶したROM5と、CPU等を含んで構成した制御
部6と、クロック信号を発生する発振回路7と、記録ヘ
ッド8へ供給するための駆動波形信号(COM)を発生
する駆動信号発生回路9と、駆動波形信号や、印刷デー
タに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビット
マップデータ)等をプリントエンジン2に供給する内部
インターフェース10(以下、内部I/F10とい
う。)とを備えている。
【0025】外部I/F3は、例えば、キャラクタコー
ド、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成
される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等
から受信する。また、この外部I/F3を通じてビジー
信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、ホ
ストコンピュータ等に対して出力される。
【0026】RAM4は、受信バッファ4A、中間バッ
ファ4B、出力バッファ4C、及び、図示しないワーク
メモリとして機能する。そして、受信バッファ4Aは外
部I/F3を介して受信された印刷データを一時的に記
憶し、中間バッファ4Bは制御部6が変換した中間コー
ドデータを記憶し、出力バッファ4Cはドットパターン
データを記憶する。このドットパターンデータは、階調
データをデコード(翻訳)することにより得られる印字
データによって構成してある。
【0027】また、ROM5には、各種データ処理を行
わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、
フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させてあ
る。
【0028】制御部6は、各種の制御を行う他、受信バ
ッファ4A内の印刷データを読み出すと共に、この印刷
データを変換して得た中間コードデータを中間バッファ
4Bに記憶させる。また、中間バッファ4Bから読み出
した中間コードデータを解析し、ROM5に記憶されて
いるフォントデータ及びグラフィック関数等を参照し
て、ドットパターンデータに展開する。そして、制御部
6は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパター
ンデータを出力バッファ4Cに記憶させる。
【0029】そして、記録ヘッド8の1回の主走査で記
録可能な1行分のドットパターンデータが得られたなら
ば、この1行分のドットパターンデータは、出力バッフ
ァ4Cから内部I/F10を通じて順次記録ヘッド8に
出力される。また、出力バッファ4Cから1行分のドッ
トパターンデータが出力されると、展開済みの中間コー
ドデータは中間バッファ4Bから消去され、次の中間コ
ードデータについての展開処理が行われる。
【0030】駆動信号発生回路9は、上記したように駆
動波形信号を発生するものである。本実施形態では、図
6に示すように、印字内微振動波形13、マイクロドッ
ト波形14及びミドルドット波形15を含み、マイクロ
ドット波形14よりも後にミドルドット波形15を配置
し、マイクロドット波形14よりも前に印字内微振動波
形13を配置した一連の信号を、駆動波形信号として発
生する。
【0031】ここで、印字内微振動波形13は、ノズル
開口部16(図3参照)のインクを攪拌するための波形
であり、マイクロドット波形14は、マイクロドットの
インク滴(例えば、約3.3ngのインク滴)をノズル
開口部16から吐出させるための波形であり、ミドルド
ット波形15は、ミドルドットのインク滴(例えば、約
10ngのインク滴)をノズル開口部16から吐出させ
るための波形である。
【0032】そして、本実施形態では、後述するよう
に、マイクロドット波形14とミドルドット波形15と
を続けて記録ヘッド8(即ち、後述する圧電振動子3
5)に印加することによって、ミドルドット波形15に
よるインク滴の重量を、ミドルドット波形15を単独で
印加した際におけるインク滴の重量よりも増加させて、
ラージドットのインク滴(マイクロドットのインク滴と
ミドルドットのインク滴との合計が約20ngのインク
滴)を吐出させるようにしている。
【0033】なお、この駆動波形信号については、後で
詳細に説明する。
【0034】プリントエンジン2は、紙送り機構19
と、キャリッジ機構20と、記録ヘッド8とを含んで構
成してある。
【0035】紙送り機構19は、図2に示すように、紙
送りモータ21と紙送りローラ22等から構成してあ
り、記録紙(印刷記録媒体の一種)23を記録ヘッド8
による記録動作に連動させて順次送り出す。即ち、この
紙送り機構19は、記録紙23を副走査方向である記録
紙送り方向に移動させる。
【0036】キャリッジ機構20は、記録ヘッド8及び
インクカートリッジ24を搭載可能であってガイド部材
25に移動自在に取り付けられたキャリッジ26と、駆
動プーリー27と従動プーリー28との間に架け渡され
ると共にキャリッジ26に接続されたタイミングベルト
29と、駆動プーリー27を回転させるパルスモータ3
0とを備えている。
【0037】このキャリッジ機構20では、パルスモー
タ30の作動により、記録紙23の幅方向に沿ってキャ
リッジ26を往復移動させる。即ち、キャリッジ26に
搭載された記録ヘッド8を主走査方向に沿って移動させ
る。
【0038】次に、記録ヘッド8について説明する。例
示した記録ヘッド8は、図3に示すように、例えばプラ
スチックからなる箱体状のケース33の収納室34内に
櫛歯状の圧電振動子35(櫛歯状振動子35)を一方の
開口から挿入して櫛歯状先端35aを他方の開口に臨ま
せ、この開口側のケース33の表面(下面)に流路ユニ
ット36を接合するとともに、櫛歯状先端35aをそれ
ぞれ流路ユニット36の所定部位に当接固定することに
より概略構成されている。
【0039】圧電振動子35は、圧電体37を挟んで共
通内部電極38と個別内部電極39とを交互に積層した
板状の振動子板を、ドット形成密度に対応させて櫛歯状
に切断して構成してある。そして、共通内部電極38と
個別内部電極39との間に電位差を与えることにより、
各圧電振動子35(即ち、櫛歯状振動子35)は、積層
方向と直交する振動子長手方向に伸縮する。
【0040】流路ユニット36は、流路形成板42を間
に挟んでノズルプレート43と弾性板44を両側に積層
することにより構成されている。
【0041】流路形成板42は、ノズルプレート43に
複数開設したノズル開口部16…とそれぞれ連通して圧
力室隔壁を隔てて列設された複数のキャビティ(圧力
室)45と、各キャビティ45の少なくとも一端に連通
する複数のインク供給部46が連通する細長い共通イン
ク室47を形成した板材である。本実施形態では、シリ
コンウエハーをエッチング加工することにより細長い共
通インク室47を形成し、共通インク室47の長手方向
に沿ってキャビティ45をノズル開口部16のピッチに
合わせて形成し、各キャビティ45と共通インク室47
との間に溝状のインク供給部46を形成してある。な
お、キャビティ45の一端にインク供給部46が接続
し、このインク供給部46とは反対側の端部近傍でノズ
ル開口部16が位置するように配置してある。また、共
通インク室47は、インクカートリッジ24に貯留され
たインクをキャビティ45…に供給するための室であ
り、長手方向のほぼ中央にインク供給管48が連通す
る。
【0042】弾性板44は、ノズルプレート43とは反
対側になる流路形成板42の他方の面に積層され、ステ
ンレス板49上にPPS等の高分子体フィルムを弾性体
膜50としてラミネート加工した二重構造である。そし
て、キャビティ45に対応した部分のステンレス板49
をエッチング加工して圧電振動子35を当接固定するた
めのアイランド部51を形成する。
【0043】上記の構成を有する記録ヘッド8では、圧
電振動子35を振動子長手方向に伸長させることによ
り、アイランド部51がノズルプレート43側に押圧さ
れ、アイランド部51周辺の弾性体膜50が変形してキ
ャビティ45の体積が収縮する。また、圧電振動子35
を振動子長手方向に収縮させると、弾性体膜50の弾性
によりキャビティ45の体積が膨張する。そして、キャ
ビティ45の体積の膨張・収縮を制御することによりノ
ズル開口部16からインク滴が吐出される。
【0044】このような構成を有する記録ヘッド8にお
けるキャビティ45内のインクの固有振動は、図4に示
す等価回路によって表すことができる。そして、キャビ
ティ45内のインクの固有振動周期Tcは、次式によっ
て算出できることが知られている。
【0045】Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn
+Ms)〕×C] この式において、記号Mは単位長さあたりの媒質の質量
であるイナータンス〔Kg/m4〕であり、Mnはノズル
開口部16におけるイナータンス、Msはインク供給部
46におけるイナータンスである。また、記号Cはキャ
ビティ45(圧力室)のコンプライアンス〔m5/N〕
である。
【0046】そして、この式に基づいて算出したキャビ
ティ45内のインクの固有振動周期Tcは、本実施形態
では約8μsecである。
【0047】次に、この記録ヘッド8の電気的構成及び
インク滴を吐出させる制御について説明する。
【0048】この記録ヘッド8は、図1に示すように、
シフトレジスタ54、ラッチ回路55、レベルシフタ5
6、スイッチ57及び圧電振動子35等を備えている。
さらに、図5に示すように、これらのシフトレジスタ5
4、ラッチ回路55、レベルシフタ56、スイッチ57
及び圧電振動子35は、それぞれ、記録ヘッド8の各ノ
ズル開口部16…毎に設けたシフトレジスタ素子54A
〜54N、ラッチ素子55A〜55N、レベルシフタ素
子56A〜56N、スイッチ素子57A〜57N、圧電
振動子35A〜35Nから構成してある。
【0049】この記録ヘッド8でインク滴を吐出させる
には、まず、制御部6は、発振回路7からのクロック信
号(CK)に同期させて、印字データ(SI)の内、最
上位ビットのデータを出力バッファ4Cからシリアル伝
送させ、順次シフトレジスタ素子54A〜54Nにセッ
トさせる。全ノズル開口部16…分の印字データがシフ
トレジスタ素子54A〜54Nにセットされたならば、
制御部6は、所定のタイミングでラッチ回路55、即
ち、ラッチ素子55A〜55Nへラッチ信号(LAT)
を出力させる。このラッチ信号により、ラッチ素子55
A〜55Nは、シフトレジスタ素子54A〜54Nにセ
ットされた印字データをラッチする。このラッチされた
印字データは、電圧増幅器であるレベルシフタ56、即
ち、レベルシフタ素子56A〜56Nに供給される。
【0050】各レベルシフタ素子56A〜56Nは、印
字データが例えば「1」の場合に、スイッチ57が駆動
可能な電圧値、例えば、数十ボルトまでこの印字データ
を昇圧する。そして、この昇圧された印字データはスイ
ッチ57、即ち、スイッチ素子57A〜57Nに印加さ
れ、スイッチ素子57A〜57Nは、当該印字データに
より接続状態になる。なお、印字データが例えば「0」
の場合には、対応する各レベルシフタ素子56A〜56
Nは昇圧を行わない。そして、各スイッチ素子57A〜
57Nには、駆動信号発生回路9からの駆動波形信号
(COM)が印加されており、スイッチ素子57A〜5
7Nが接続状態になると、このスイッチ素子57A〜5
7Nに接続された圧電振動子35A〜35Nに駆動波形
信号が供給される。
【0051】最上位ビットのデータに基づいて駆動波形
信号を印加させたならば、続いて、制御部6は、1ビッ
ト下位のデータをシリアル伝送させてシフトレジスタ素
子54A〜54Nにセットする。そして、シフトレジス
タ素子54A〜54Nにデータがセットされたならば、
ラッチ信号を印加させることにより、セットされたデー
タをラッチさせ、駆動波形信号を圧電振動子35A〜3
5Nに供給させる。以後は、1ビットずつ印字データを
下位ビットにシフトしながら最下位ビットまで同様の動
作を繰り返し行う。
【0052】このように、例示したプリンタでは、圧電
振動子35に駆動波形信号を印加するか否かを、印字デ
ータによって制御できる。即ち、印字データを「1」に
することにより駆動波形信号を圧電振動子35に印加で
き、印字データを「0」にすることにより駆動波形信号
の圧電振動子35への印加を停止することができる。
【0053】従って、駆動波形信号を、印字内微振動波
形13、マイクロドット波形14、ミドルドット波形1
5に対応させて時間軸方向に分割し、各波形信号13,
14,15に対応して印字データの各ビットを設定する
ことにより、各波形信号13,14,15を選択的に圧
電振動子35に印加することができる。
【0054】例えば、図6に示す例では、印字データを
3ビットのデータD1,D2,D3により構成してあ
り、印字データD1を印字内微振動波形13に、印字デ
ータD2をマイクロドット波形14に、印字データD3
をミドルドット波形15にそれぞれ対応させてある。そ
して、各データD1,D2,D3を適宜変更することに
より、量が異なる複数種類のインク滴をノズル開口部1
6から吐出させることができる。
【0055】例えば、印字データを、D1=1,D2=
1,D3=0に設定すると印字内微振動波形13とマイ
クロドット波形14とが圧電振動子35に印加されて、
ノズル開口部16からはマイクロドットのインク滴が吐
出する。また、各データをD1=1,D2=0,D3=
1に設定すると、印字内微振動波形13とミドルドット
波形15とが圧電振動子35に印加され、ノズル開口部
16からはミドルドットのインク滴が吐出する。同様
に、各データをD1=1,D2=1,D3=1に設定す
ることで印字内微振動波形13とマイクロドット波形1
4とミドルドット波形15とが圧電振動子35に印加さ
れ、マイクロドット波形14によるインク滴とミドルド
ット波形15によるインク滴とが吐出し、ラージドット
が形成される。また、各データをD1=1,D2=0,
D3=0に設定することで印字内微振動波形13が圧電
振動子35に印加され、ノズル開口部16にてメニスカ
ス、即ち、ノズル開口部16にて露出したインクの自由
表面が微振動する。これにより、ノズル開口部16のイ
ンクが攪拌されて、インクの増粘が防止される。
【0056】次に、図7を参照して、各波形について詳
細に説明する。まず、印字内微振動波形13について説
明する。
【0057】この印字内微振動波形13は、基準電圧で
あるGNDレベルV0から微振動駆動電位V1まで一定の
勾配で電圧を上昇させる第1充電要素60と、微振動駆
動電位V1を一定時間保持する第1ホールド要素61
と、微振動駆動電位V1からGNDレベルV0まで一定の
勾配で電圧を下降させる第1放電要素62とからなる台
形状の信号によって構成してある。
【0058】そして、本実施形態では、微振動駆動電位
V1とGNDレベルV0との電位差Vkpを、マイクロド
ット波形14における電位差VHμに基づいて設定して
あり、電位差VHμの40%に設定してある。また、第
1充電要素60の印加時間(充電時間)を7μsecに
設定し、第1ホールド要素61の印加時間(保持時間)
を2μsecに設定し、第1放電要素62の印加時間
(放電時間)を7μsecに設定してある。
【0059】このような印字内微振動波形13を圧電振
動子35に印加することにより、圧電振動子35が僅か
に収縮・伸長し、キャビティ45が少しだけ膨張・収縮
する。この膨張・収縮に伴ってメニスカスが微振動す
る。
【0060】マイクロドット波形14は、GNDレベル
V0からマイクロ駆動電位V2まで一定の勾配で電圧を上
昇させる第2充電要素64と、マイクロ駆動電位V2を
一定時間保持する第2ホールド要素65と、マイクロ駆
動電位V2から第1中間電位V3まで一定の勾配で電圧を
下降させる第2放電要素66と、第1中間電位V3を一
定時間保持する第3ホールド要素67と、第1中間電位
V3からGNDレベルV0まで一定の勾配で電圧を下降さ
せる第3放電要素68とからなる略台形状の信号によっ
て構成してある。
【0061】そして、本実施形態では、マイクロ駆動電
位V2とGNDレベルV0との電位差VHμに関し、吐出
インク重量が3.3ngとなるように記録ヘッド毎に個
別の電圧設定が行われる。また、第1中間電位V3とG
NDレベルV0との電位差Vcμは電位差VHμに基づ
いて設定してあり、具体的には、電位差VHμの65%
に設定してある。また、第2充電要素64の印加時間は
8μsecに設定してあり、第2ホールド要素65の印
加時間は1μsecに設定してあり、第2放電要素66
の印加時間は1.5μsecに設定してある。第3ホー
ルド要素67の印加時間は1μsecに設定してあり、
第3放電要素68の印加時間は5.4μsecに設定し
てある。
【0062】このようなマイクロドット波形14を圧電
振動子35に印加すると、第2充電要素64の印加によ
って圧電振動子35が収縮してキャビティ45が膨張
し、この膨張に伴ってメニスカスがキャビティ45の内
部側に引き込まれる。そして、引き込んだメニスカスが
吐出方向に戻ろうとする力によって、極く微量(3.3
ng)のインク滴が吐出する。
【0063】ミドルドット波形15は、GNDレベルV
0からミドル駆動電位V4まで一定の勾配で電圧を上昇さ
せる第3充電要素70と、ミドル駆動電位V4を一定時
間保持する第4ホールド要素71と、ミドル駆動電位V
4からGNDレベルV0まで一定の勾配で電圧を下降させ
る第4放電要素72と、GNDレベルV0を一定時間保
持する第5ホールド要素73と、GNDレベルV0から
第2中間電位V5まで一定の勾配で電圧を上昇させる第
4充電要素74と、第2中間電位V5を一定時間保持す
る第6ホールド要素75と、第2中間電位V5からGN
DレベルV0まで一定の勾配で電圧を下降させる第5放
電要素76とからなる大小の2つの台形状波形を並べて
配置した信号によって構成してある。
【0064】本実施形態では、ミドル駆動電位V4とG
NDレベルV0との電位差VHMに関し、前述のマイク
ロドット波形14とミドルドット波形15を連続して印
加することにより吐出するラージドットのインク重量が
20ngとなるようにヘッド毎に設定されている。ま
た、第2中間電位V5とGNDレベルV0との電位差Vs
pは電位差VHMに基づいて設定してあり、具体的に
は、電位差VHMの20%に設定してある。
【0065】また、第3充電要素70の印加時間は7.
5μsecに設定してあり、第4ホールド要素71の印
加時間は2μsecに設定してあり、第4放電要素72
の印加時間は4μsecに設定してある。第5ホールド
要素73の印加時間は4μsecに設定してあり、第4
充電要素74の印加時間は4μsecに設定してあり、
第6ホールド要素75の印加時間は2μsecに設定し
てあり、第5放電要素76の印加時間は4μsecに設
定してある。
【0066】このようなミドルドット波形15を圧電振
動子35に印加すると、第3充電要素70の印加によっ
て圧電振動子35が収縮してキャビティ45が膨張し、
第4放電要素72の印加による圧電振動子35の伸長に
よって膨張したキャビティ45を収縮させ、このキャビ
ティ45の収縮に伴ってインク滴が吐出する。そして、
第4充電要素、第6ホールド要素75及び第5放電要素
76の印加によって、メニスカスに逆位相の振動を与
え、メニスカスの振動を抑えている。
【0067】次に、各波形信号(印字内微振動波形1
3、マイクロドット波形14、ミドルドット波形15)
同士の配置間隔について説明する。
【0068】まず、マイクロドット波形14とミドルド
ット波形15の時間間隔について説明する。本実施形態
では、マイクロドット波形14とミドルドット波形15
との時間間隔、即ち、第3放電要素68の印加終了時点
から第3充電要素70の印加開始までの時間を、キャビ
ティ振動周期Tc(本実施形態では8μsec)の約
1.5倍である11.5μsecに設定してある。
【0069】以下、このように両波形の間隔を定めた理
由について説明する。
【0070】図8は、マイクロドット波形14とミドル
ドット波形15の時間間隔Tμmを変えながら、1本吐
出パターン、3本吐出パターン、交互吐出パターン、1
本抜きパターンの各パターンを、ラージドットで記録し
た場合における記録結果の評価を示す図である。
【0071】ここで、1本吐出パターンとは、図9
(a)に示すように、8個のノズル開口部16毎にラー
ジドットのインク滴を吐出させる記録パターンであり、
インク滴の吐出対象となるノズル開口部16を一定時間
毎に切り換えている。3本吐出パターンとは、図9
(b)に示すように、8個のノズル開口部16毎に隣り
合う3個のノズル開口部16…を選択し、選択したノズ
ル開口部16…からラージドットのインク滴を吐出させ
る記録パターンであり、インク滴の吐出対象となるノズ
ル開口部16…を一定時間毎に切り換えている。交互吐
出パターンとは、図9(c)に示すように、奇数番目の
ノズル開口部16と偶数番目のノズル開口部16とから
一定時間毎に交互にラージドットのインク滴を吐出させ
る記録パターンである。また、1本抜きパターンとは、
図9(d)に示すように、8個のノズル開口部16毎に
インク滴を吐出しないノズル開口部16を設定し、設定
したノズル開口部16を除くノズル開口部16からラー
ジドットのインク滴を吐出させる記録パターンである。
この1本抜きパターンでも、インク滴を吐出しないノズ
ル開口部16を、一定時間毎に切り換えている。
【0072】換言すれば、1本吐出パターンは、4パタ
ーンの中で、記録を行うノズル開口部16の割合(以
下、記録密度という)が最も低い記録パターンであり、
3本吐出パターンは、記録密度が2番目に低い記録パタ
ーンである。そして、交互吐出パターンは、4パターン
の中で、記録密度が2番目に高い記録パターンであり、
1本抜きパターンは記録密度が最も高い記録パターンで
ある。
【0073】また、図8においては、評価結果を
「○」,「△」,「×」,「××」の4種類の記号で表
している。ここで、記号「○」は不良がなく良好な記録
が行えたことを意味し、記号「△」は多少の記録不良、
例えば、吐出パターンが通常に比べて幅の広いドットの
太りや、吐出パターンが印刷されないドット抜けが発生
したことを意味し、記号「×」は比較的多くの記録不良
が発生したことを意味し、記号「××」は非常に多くの
記録不良が発生したことを意味する。評価結果が「○」
のみ、実用に耐えられる。
【0074】なお、MPBFは画像印字時における平均
ドット抜けページ数である。この平均ドット抜けページ
数とは、評価用の画像の記録を行った際に、ドット抜け
が生じた頁から次のドット抜けが生じる頁までの平均値
のことである。例えば、MPBFが「100」の場合に
は、約100頁毎にドット抜けが生じることを意味す
る。
【0075】そして、図8に示すように、上記した1本
吐出パターンでは、時間間隔Tμmが6.5μsecの
場合に多少の記録不良が生じたものの全般的に記録不良
がなく良好な記録が行えている。
【0076】3本吐出パターンでは、時間間隔Tμmが
6.5〜10.5μsecの範囲で多少の記録不良が生
じているが、時間間隔Tμmが11.5μsec以上に
なると記録不良がなく良好な記録が行えている。
【0077】交互吐出パターンでは、時間間隔Tμmが
6.5及び8.5μsecにおいて比較的多くの記録不
良が発生し、時間間隔Tμmが9.5、10.5及び1
8.5μsecにおいて多少の記録不良が生じている。
そして、時間間隔Tμmが11.5〜16.5μsec
の範囲で記録不良がなく良好な記録が行えている。
【0078】1本抜きパターンでは、時間間隔Tμmが
10.5〜12.5μsecの範囲と18.5及び2
0.5μsecとで記録不良がなく良好な記録が行えて
いる。そして、時間間隔Tμmが6.5及び16.5μ
secにおいて比較的多くの記録不良が発生し、時間間
隔Tμmを14.5μsecにすると非常に多くの記録
不良が発生する。また、時間間隔Tμmが8.5,9.
5,13.5及び22.5μsecの場合には多少の記
録不良が生じている。
【0079】以上から、記録密度が高くなる程、記録に
良好に使用できる時間間隔が限られてしまうことが分か
る。即ち、記録密度が最も低い1本吐出パターンでは、
時間間隔Tμmが8.5μsec以上であれば良好に記
録を行えるのに対し、記録密度が最も高い1本抜きパタ
ーンでは、時間間隔Tμmが10.5〜12.5μse
c及び18.5〜20.5μsecの限られた範囲でし
か良好に記録が行えない。
【0080】また、記録密度が高くなると、記録不良の
発生する時間間隔Tμmに周期性が現れてくることが分
かる。即ち、1本抜きパターンでは、時間間隔Tμmが
6.5,14.5,16.5,22.5μsecの場合
に記録不良が生じており、記録不良が生じる時間間隔T
μmがキャビティ振動周期Tcとほぼ等しい8μsec
毎に現れている。なお、22.5μsecでは、評価が
「△」であり、多少の記録不良しか生じていないが、マ
イクロ波形の印加時点からの経過時間が比較的長く、こ
の間にマイクロ波形による振動の影響が薄らいでいるこ
とを考慮すると、記録不良が生じていると考えられる。
【0081】そして、この1本抜きパターンにおける記
録不良は、記録をしない状態を経た直後のノズル開口部
16によって記録を行う場合に生じることが分かった。
このことから、1本抜きパターンにおける記録不良は、
隣り合うノズル開口部16のインク吐出の影響を受けて
生じていると考えられる。
【0082】即ち、記録を行わないノズル開口部16に
連通するキャビティ(圧力室)45には、共通インク室
47を通じて両隣のキャビティ45,45からの振動が
伝播してきたり、両隣の圧電振動子35,35からのク
ロストークによってこのキャビティ45に接合している
圧電振動子35が振動したりすることにより、無用な振
動が加わってしまう。
【0083】この振動が加わるタイミングによっては、
印字内微振動波形13によって僅かに振動しているメニ
スカスの振動が増幅されて、その結果、メニスカスの振
幅が過剰に大きくなりノズル開口部16から気泡を取り
込んでしまう。この取り込んだ気泡によって、キャビテ
ィ45内のコンプライアンスが上昇し、まず、ドット径
の大きいインク滴が吐出され、ドットの太りが生じる。
そして、さらに多くの気泡を取り込むと、ドット抜けが
生じる。
【0084】そして、このような記録不良を生じさせる
タイミング(不良時間)が、キャビティ振動周期Tcと
ほぼ等しい8μsec毎、即ち、時間間隔Tμmで6.
5,14.5,22.5μsecの場合に現れているこ
とから、時間間隔Tμmをこれらの不良時間のほぼ中間
に設定することにより、記録不良を防止することができ
る。これは、時間間隔Tμmを不良時間のほぼ中間に設
定すると、隣り合うキャビティ45,45からの振動の
伝播や、圧電振動子35のクロストークに起因して生じ
るキャビティ45内の振動の影響が効率良く抑えられる
ためと考えられる。そして、この時間間隔Tμmの設定
は、次式のように表すこともできる。
【0085】Tμm=Tc×(n/2) この式において、Tμm〔μsec〕は、マイクロドッ
ト波形14とミドルドット波形15の時間間隔であり、
Tc〔μsec〕は、キャビティ振動周期であり、n
は、「3」以上の奇数である。
【0086】本実施形態では、nを「3」に設定し、時
間間隔Tμmを、キャビティ振動周期Tcの約1.5倍
に設定してある。なお、キャビティ振動周期Tcは約8
μsecであるので、その1.5倍は12μsecとな
るが、この12μsecに近い11.5μsecを時間
間隔Tμmとして設定してある。そして、時間間隔Tμ
mを11.5μsecに設定した場合には、MPBF
(平均ドット抜けページ数)は150頁となり、最もM
PBFの値が低い時間間隔Tμmが14.5μsecの
場合(MPBF=10)よりも格段に記録不良を少なく
することができることが確認できた。
【0087】ここで、nを「3」に設定したのは、マイ
クロドット波形14とミドルドット波形15とを圧電振
動子35に連続的に印加することでラージドットを吐出
させることに起因している。
【0088】即ち、ラージドットを吐出させる際には、
マイクロドット波形14の印加後の残留振動を利用して
おり、この残留振動によってミドルドットのインク滴の
重量が本来の重量である10ngよりも多くなるように
している。そして、時間間隔Tμmが離れすぎてしまう
と、残留振動の効果が薄らいでしまい、マイクロドット
波形14とミドルドット波形15とを印加しても本来の
重量の合計値である13.3ngのインク滴となり、ノ
ズル開口部16から吐出可能なインク滴の重量範囲を広
くすることが困難になる。また、記録周期も延びてしま
うことから、プリンタの記録速度の低下をも招いてしま
う。
【0089】このように、時間間隔Tμmをキャビティ
振動周期Tcの約1.5倍に設定すると、記録不良を防
止すること、インク滴の重量範囲を広げること、並び
に、プリンタの記録速度を向上させることができる。
【0090】次に、印字内微振動波形13とマイクロド
ット波形14との時間間隔について説明する。本実施形
態では、印字内微振動波形13とマイクロドット波形1
4とミドルドット波形15との時間間隔、即ち、第1放
電要素62の印加終了時点から第2充電要素64の印加
開始タイミングまでの時間を約50μsecに設定して
ある。
【0091】この印字内微振動波形13とマイクロドッ
ト波形14との時間間隔についても、上記したマイクロ
ドット波形14とミドルドット波形15の時間間隔Tμ
mと同様な関係が生じていると考えられる。即ち、記録
不良を生じさせるタイミング(不良時間)が、キャビテ
ィ振動周期Tcとほぼ等しい8μsec毎に現れると考
えられる。
【0092】そこで、本実施形態では、印字内微振動波
形13とマイクロドット波形14の時間間隔を、印字内
微振動波形13による振動の影響を受けない程度に長く
設定している。具体的には、図7に示すように、この時
間間隔を50μsecに設定してある。
【0093】この時間間隔に関し、上記したように、記
録不良を生じさせるタイミングは、キャビティ振動周期
Tcとほぼ等しい8μsec毎、具体的には、図8の場
合と同様に、6.5,14.5,22.5μsecの時
間間隔において現れると考えられる。ここで、図8の場
合には、時間間隔が22.5μsecの評価結果は
「△」であり、多少の記録不良が生じる程度でおさまっ
ている。これは、上記したように、時間間隔が長くなる
ことによって振動が減衰しているためと考えられる。
【0094】このため、この22.5μsecからキャ
ビティ振動周期Tcだけ長い30.5μsecに時間間
隔を設定した場合には、印字内微振動波形13による振
動の影響は殆ど無視できると考えられる。従って、印字
内微振動波形13とマイクロドット波形14の時間間隔
に関し、印字内微振動波形13による振動の影響をマイ
クロドット波形14(マイクロドット)に与えずに済む
時間間隔は約3×Tc以上と考えることができる。換言
すれば、印字内微振動波形13とマイクロドット波形1
4の時間間隔を3×Tc以上に設定することにより、印
字内微振動波形13による振動の影響をなくしてマイク
ロドット波形14によるインク滴の吐出を安定させるこ
とができる。
【0095】なお、本実施形態では、圧力発生素子を、
振動子をキャビティー押圧方向とは直交する方向に圧電
体37及び内部電極38,39を積層したいわゆるd3
1縦振動モードの櫛歯状振動子35によって構成したも
のを例示したが、本発明は、振動子をキャビティー押圧
方向に圧電体37及び内部電極38,39を積層したい
わゆるd33縦振動モードの圧電振動子や、たわみ振動
モードを利用した圧力発生素子にも適用することができ
る。
【0096】そして、縦振動モードの櫛歯状振動子35
は、基端側の部分で隣り合う振動子と一体に接合されて
いるので、隣り合う振動子からのクロストークの影響を
受けやすく、記録不良が発生しやすい。このため、本発
明を縦振動モードの櫛歯状振動子35に適用することに
より、記録不良をより効果的に防止できる。
【0097】また、本実施例ではマイクロドット、ミド
ルドット、ラージドットと記載したが、もちろんこれら
の本願発明におけるインクジェット式記録ヘッドから吐
出されるドット径は相対的なものであり、その結果得ら
れるドットの大きさは特に限定されるものではない。す
なわち、本願発明はマイクロドット、ミドルドット、ラ
ージドットの3種類のドット変調のみに限定されるもの
ではなく、ドット変調を目的に駆動波形を調整するイン
クジェット式記録装置に適用できる。特にメニスカスの
残留振動を利用してドット変調を実現させるインクジェ
ット式記録装置における効果は顕著である。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように本発明は以下の効果
を奏する。
【0099】請求項1及び請求項3及び請求項6及び請
求項7及び請求項8に記載の発明によれば、少なくとも
マイクロドット波形とミドルドット波形とを連続的に圧
力発生素子に印加することによって、ラージドットのイ
ンク滴をノズル開口部から吐出させるように構成したイ
ンクジェット式記録装置において、マイクロドット波形
とミドルドット波形の時間間隔を、キャビティ振動周期
間隔で生じる不良時間同士のほぼ中間の長さに設定した
ので、隣り合うキャビティからの振動の伝播や、圧電振
動子のクロストークに起因して生じるキャビティ内の振
動の影響を抑えることができる。
【0100】このため、記録密度が高い記録パターンを
記録しても記録不良を少なくすることができ、記録安定
性の向上を図ることができる。
【0101】請求項2に記載の発明によれば、nを
「3」に設定することにより、ミドルドット波形の時間
間隔Tμmがキャビティ振動周期Tcの1.5倍になる
ので、マイクロドット波形とミドルドット波形とを比較
的短い時間間隔に配置することができる。このため、ラ
ージドットを記録する場合において、マイクロドット波
形の印加後の残留振動をミドルドットのインク滴の吐出
に利用することができ、ラージドット記録時におけるミ
ドルドットの重量を、ミドルドットを単独で記録する際
の重量よりも多くすることができる。従って、インク滴
の重量範囲を広げることができ、幅広いドット径の記録
を行うことができる。
【0102】請求項4および請求項5に記載の発明によ
れば、印字内微振動波形とマイクロドット波形の時間間
隔を、印字内微振動波形による振動の影響を受けない程
度に長く設定したので、マイクロドット波形によるイン
ク滴の吐出をも安定させることができる。
【0103】請求項9に記載の発明によれば、振動子の
伸縮方向とは直交する方向に圧電体及び電極を積層した
櫛歯状振動子によって圧力発生素子を構成したので、記
録不良をより効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式プリンタの構成を説明するブ
ロック図である。
【図2】インクジェット式プリンタの内部機構を説明す
る斜視図である。
【図3】記録ヘッドの構造を説明する断面図である。
【図4】キャビティ内のインクの固有振動を説明するた
めの等価回路である。
【図5】記録ヘッドにおける電気的構成を説明するブロ
ック図である。
【図6】駆動波形信号と記録ドットの関係を説明する図
である。
【図7】駆動波形信号を説明する図である。
【図8】マイクロドット波形とミドルドット波形の時間
間隔Tμmを変えながら、各パターンを記録した場合に
おける記録結果の評価を示す図である。
【図9】評価用の記録パターンを説明する図であり、
(a)は1本吐出パターンを、(b)は3本吐出パター
ンを、(c)は交互吐出パターンを、(d)が1本抜き
パターンをそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ 2 プリントエンジン 3 外部インターフェース 4 RAM 5 ROM 6 制御部 7 発振回路 8 記録ヘッド 9 駆動信号発生回路 10 内部インターフェース 13 印字内微振動波形 14 マイクロドット波形 15 ミドルドット波形 16 ノズル開口部 19 紙送り機構 20 キャリッジ機構 21 紙送りモータ 22 紙送りローラ 23 記録紙 24 インクカートリッジ 25 ガイド部材 26 キャリッジ 27 駆動プーリー 28 従動プーリー 29 タイミングベルト 30 パルスモータ 33 ケース 34 収納室 35 圧電振動子 36 流路ユニット 37 圧電体 38 共通内部電極 39 個別内部電極 42 流路形成板 43 ノズルプレート 44 弾性板 45 キャビティ(圧力室) 46 インク供給部 47 共通インク室 48 インク供給管 49 ステンレス板 50 弾性体膜 51 アイランド部 54 シフトレジスタ 55 ラッチ回路 56 レベルシフタ 57 スイッチ 60 第1充電要素 61 第1ホールド要素 62 第1放電要素 64 第2充電要素 65 第2ホールド要素 66 第2放電要素 67 第3ホールド要素 68 第3放電要素 70 第3充電要素 71 第4ホールド要素 72 第4放電要素 73 第5ホールド要素 74 第4充電要素 75 第6ホールド要素 76 第5放電要素
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/485

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波形信号の印加によって変形する圧力発
    生素子と、圧力発生素子の変形によって膨張・収縮され
    る圧力室と、該圧力室に連通したノズル開口部とを備
    え、一連の駆動波形信号を構成する少なくともマイクロ
    ドット波形とミドルドット波形とを連続的に圧力発生素
    子に印加することによって、ラージドットのインク滴を
    ノズル開口部から吐出させるように構成したインクジェ
    ット式記録装置において、 マイクロドット波形の印加終了時点からミドルドット波
    形の印加開始時点の時間間隔を、次式 Tμm=Tc×(n/2) 但し、Tμmは、マイクロドット波形とミドルドット波
    形の時間間隔 Tcは、キャビティ振動周期 nは、マイクロドット波形の残留振動によるミドルドッ
    トのインク滴の重量が、ミドルドットのみのインク滴重
    量よりも多くなるように設定された「3」以上の奇数 に基づく値の近傍に設定したことを特徴とするインクジ
    ェット式記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェット式記録
    装置において、nを「3」に設定したことを特徴とする
    インクジェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 マイクロドット波形とミドルドット波形
    の時間間隔を、キャビティ振動周期間隔で生じる不良時
    間同士のほぼ中間の長さに設定したことを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装
    置。
  4. 【請求項4】 メニスカスを微振動させる印字内微振動
    波形を、前記マイクロドット波形よりも前に含ませて一
    連の駆動波形信号を構成し、 印字内微振動波形とマイクロドット波形の時間間隔を、
    印字内微振動波形による振動の影響を受けない程度に長
    く設定したことを特徴とする請求項1から請求項3の何
    れかに記載のインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】 前記時間間隔は3×Tc以上であること
    を特徴とする請求項4に記載のインクジェット式記録装
    置。
  6. 【請求項6】 マイクロドット波形とミドルドット波形
    の時間間隔を吐出不良が発生しない間隔に設定したこと
    を特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のイ
    ンクジェット式記録装置。
  7. 【請求項7】 前記不良時間が周期性をもって現れるこ
    とを特徴とする請求項3に記載のインクジェット式記録
    装置。
  8. 【請求項8】 前記圧力発生素子を、振動子の伸縮方向
    とは直交する方向に圧電体及び電極を積層した櫛歯状振
    動子によって構成したことを特徴とする請求項1から請
    求項7の何れかに記載のインクジェット式記録装置。
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