JP2000158952A - スライドルーフ装置のデフレクタ及びスライドルーフ装置 - Google Patents

スライドルーフ装置のデフレクタ及びスライドルーフ装置

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JP2000158952A
JP2000158952A JP10337667A JP33766798A JP2000158952A JP 2000158952 A JP2000158952 A JP 2000158952A JP 10337667 A JP10337667 A JP 10337667A JP 33766798 A JP33766798 A JP 33766798A JP 2000158952 A JP2000158952 A JP 2000158952A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗り物屋根2の開口部3を閉鎖可能なパネル
4が閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチルト下げ後に
後方移動して開口部3を開くときに、この開口部3の前
部で上昇揺動可能となるデフレクタ43を設ける場合に
あって、デフレクタ43を可及的に前方へ位置付ける
と、パネル4の後方移動時にデフレクタ43の上面に水
滴が付着し、これがデフレクタ43の上面を伝って車内
に浸入するおそれがあった。 【解決手段】 デフレクタ43の上面の前部に、前垂れ
60から上方へ延ばした上面カバー部63を設け、この
上面カバー部63に対して、左右方向へ沿って上方へ突
出する水返し用の段差部64を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の乗り物
の屋根に装備されるスライドルーフ装置のデフレクタ
と、このデフレクタを具備するスライドルーフ装置とに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スライドルーフ装置は、乗り物屋根の開
口部を閉鎖可能なパネルが閉鎖状態から後端をチルト上
げして換気状態にしたり、このチルト上げ又はチルト下
げ後に後方移動して開口部を開放状態にしたりできるよ
うになったものである(例えば特開平7−164890
号公報等参照)。
【0003】そして、この種、スライドルーフ装置にお
いて、パネルが閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチル
ト下げ後に後方移動して開口部を開くときに、この開口
部の前部で上昇揺動可能に設けられるデフレクタを具備
したものが知られている(例えば、実開昭63−959
22号公報、特開平7−156658号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】パネルが開口部を全閉
状態にあるとき、デフレクタは下降揺動して平らな低姿
勢状態を保持しつつパネルの下方に収納されるようにな
っている。従来における各種スライドルーフ装置では、
このような収納状態にあるとき、パネルの前端部が当接
する開口部前縁部からデフレクタの前端位置までの距離
(以下、「前部余裕距離」と言う)には、比較的大きな
寸法を確保してあった。そのため、パネルを後移動させ
るときに、水滴がデフレクタ上面を伝って車内に浸入す
るといったような問題は生じていなかった。
【0005】しかし、今日、開口部を可及的に広くした
いというニーズに応えるため、上記の前部余裕距離を短
くして、デフレクタを可及的に前方へ位置付けることが
提案されている。このようにすると、パネルの後移動時
に水滴がデフレクタ上面を伝って車内に浸入するという
問題が生じることになる。なお、この問題を解消するた
め、パネルの前端部に設けるウエザストリッスに対し、
下方へ垂下するカーテン状の防水突起を形成させ、この
防水突起によってデフレクタに水滴が及ぶのを防止する
ことが考えられたが、この方法では、パネルの移動時に
ウエザストリップの上記防水突起がデフレクタと干渉す
ることになり、採用できないということがあった。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、デフレクタを可及的に前方へ位置付けるような
ことをした場合であっても、パネルの後移動時に水滴が
デフレクタ上面を伝って車内に浸入するといったことが
ないようにできるスライドルーフ装置のデフレクタ及び
スライドルーフ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発
明に係るスライドルーフ装置のデフレクタでは、乗り物
屋根の開口部を閉鎖可能なパネルが閉鎖状態から後端を
チルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部を開
くときに、この開口部の前部で上昇揺動可能に設けられ
たものであって、その上面の左右方向に沿って上方へ突
出する水返し段差部が設けられている。
【0008】そのため、このデフレクタ上面に水滴が付
着したとしても、この水滴は、水返し段差部によって反
射される等してこれを乗り越え難くなり、車内へ浸入す
るのを防止される。水返し段差部は、デフレクタ自体の
一部を上方へ突出させることで設けてもよいし、デフレ
クタの前縁部からその下方へ向けて取り付ける前垂れに
対して設けてもよい。
【0009】水返し段差部は、デフレクタの前端縁から
後方にへ延設されていてその上面部に載る上面カバー部
を形成するものとし、そのうえで、この上面カバー部の
一部を上方へ突出させるものとする。前垂れに水返し段
差部を設ける場合には、前垂れとして、まずデフレクタ
の上面側へ延びてデフレクタの上面部に載る上面カバー
部を形成するものとする。
【0010】水返し段差部として、デフレクタ上面から
の突出高さを抑えたい場合には、この水返し段差部の前
部に、長手方向を左右方向へ向けた少なくとも1本、好
ましくは複数本の排水溝を設けるようにするとよい。こ
の排水溝は、デフレクタ上面に凹凸を設けることになる
ので、水滴を拡散する作用が得られると共に、水滴をデ
フレクタの左右方向へ流して排水するといった整流作用
が得られることになる。
【0011】また、このような排水溝の他、水滴を吸収
する多孔性面材や、水滴を拡散する凹凸面(排水溝や多
孔性面材を除く構造で凹凸をつけるもの)等を、水返し
段差部の前部にスポンジ、布生地、植毛盤等を貼り付け
ることによって設けるものとしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1乃至図10に示すように、本
発明に係るスライドルーフ装置1は、自動車等の乗り物
の屋根2に装備されるものであり、屋根2に形成した開
口部3をパネル4で閉鎖状態、換気可能状態及び開放状
態に変更可能にしている。
【0013】そして、パネル4が開口部3を開放状態に
したときには、開口部3の前部側でデフレクタ43が上
昇揺動し、パネル4が開口部3を閉鎖するのに伴ってデ
フレクタ43が下降揺動し、パネル4の下方へ収納され
るようになっている。パネル4は透明もしくは有色のガ
ラス又はプラスチック、金属板等で形成されており、そ
の内面周囲には金属枠21が固定され、外周にはウェザ
ーストリップ等22が取り付けられており、金属枠21
の左右側部には下向き突出したリフタ6が取り付けられ
ている。
【0014】23は屋根2の下側に固着のフレームで、
左右側部と前部とを有する平面視コ字状であり、前後の
中途に連結板24を固着しており、この連結板24とフ
レーム23の前部で囲まれる部分が内開口部25となっ
ている。前記フレーム23の左右側部はガイドレール7
を形成している。この各ガイドレール7は、幅方向中央
の樋部7Aを挟んで外側にケーブルガイド溝7B及び外
シューガイド溝7Cが、内側(内開口部25側)に内シ
ューガイド溝7Dがそれぞれ形成され、内シューガイド
溝7Dより更に内側にサンシェードガイド溝7Eが形成
されている。なお、サンシェードは図1、図3及び図9
中において符号26で示している。
【0015】内シューガイド溝7Dにはリフタ6の前端
に設けた前シュー(前支持体)28が摺動自在に支持さ
れ、内外シューガイド溝7C、7Dにわたってスライダ
8が摺動自在に支持されている。スライダ8はケーブル
ガイド溝7B内に挿通されたケーブル29に連結されて
おり、このケーブル29はフレーム23の前下面に固定
の駆動装置30によって押し引き駆動可能になってい
る。
【0016】前記リフタ6の後部の外側面にはカム体3
1が固定されており、このカム体31のリフタ6側の面
に昇降カム溝5が形成されており、この昇降カム溝5は
前後中途部の閉鎖部5Aと、前側の前下向き傾斜状のチ
ルト上げ部5Bと、後側の尻上がり状のチルト下げ部5
Cとを有する。前記スライダ8は後部に凹部8Aが形成
されており、この凹部8Aに昇降リンク9の中途部が挿
入され、この中途部に設けた横軸(中途支持体)16が
左右に突出し、その両端がスライダ8に支持されてい
る。
【0017】前記スライダ8に回動自在に枢支された昇
降リンク9は、側面視くの字形状で、後部がリフタ6の
後端が入り込むように二股形状に形成され、前部が立ち
上がりの1枚板形状に形成されている。この前部はリフ
タ6とカム体31との間に下側から挿入され、前端にピ
ンを挿入することにより形成された上係合部32が前記
昇降カム溝5に摺動自在に係合している。
【0018】昇降リンク9は横軸16が左右に突出して
スライダ8に支持されているため、スライダ8を介して
内外のシューガイド溝7C、7Dに両持ち支持された状
態になっており、姿勢が左右にグラ付かないようになっ
ている。昇降リンク9の後部の二股状後端には左右一方
に内シューガイド溝7D内を摺動する後シュー(後支持
体)12が設けられ、他方には外シューガイド溝7Cの
内側を移動する係合部10が設けられ、これら左右に振
り分け形成された後シュー12及び係合部10はピン状
の突起形状である。
【0019】14はドリップレールで、その左右両端は
支持部材15に連結されている。この各支持部材15は
少なくとも外シューガイド溝7Cに前後摺動自在に支持
されており、連動体34の後端が連結されている。連動
体34の前部には掛合溝35が形成されており、リフタ
6に設けた掛合ピン36が上下移動可能に掛合されてい
て、リフタ6が上下動するのを許容し、かつリフタ6が
前後移動するときに同伴移動するようになっている。
【0020】前記支持部材15には外シューガイド溝7
Cから突出した位置に昇降保持部11が設けられてい
る。この昇降保持部11は左右方向において係合部10
と対向する位置にあり、係合部10を導入可能な尻上が
り形状のカム溝が形成されていて、そのカム溝の上面が
上案内面11A、下面が下案内面11B、溝奥が保持部
11Cとなっている。
【0021】そして、係合部10が後方移動してきたと
き、カム溝に導入して下案内面11Bで後上方に案内
し、保持部11C内に保持する。この保持状態から係合
部10を前方移動させると、上案内面11Aが前下方に
案内する。前記保持部11Cは係合部10の上下位置を
規制するものであり、後方に開放されていてもよい。前
記ガイドレール7の内シューガイド溝7Dには、パネル
4閉鎖位置のときの昇降保持部11に対応して切欠13
が形成されており、内シューガイド溝7D内を摺動する
後シュー12が上方に逃げ可能になっている。
【0022】図2、図4及び図5において、40F、4
0Rはガイドレール7に形成された前後一対の係止溝で
あり、リフタ6に設けた前後一対の係止ピン41F、4
1Rを係止可能になっている。パネル4が閉鎖位置にあ
るとき後係止ピン41Rが後係止溝40Rと係合し、パ
ネル4がチルト上げ位置にあるとき前係止ピン41Fが
前係止溝40Fと係合し、車体が振動したりパネル4に
風を受けたりしても、パネル4が前後にガタ付いたりし
ないようにしている。
【0023】パネル4がチルト下げ位置にあるとき、前
後係止ピン41F、41Rは前後係止溝40F、40R
から離脱し、パネル4の後方移動を許容する。一方、前
記デフレクタ43は、内開口部25の前部でその左右方
向に向けて細長く形成された板状のもので、左右両端部
の後部寄りに、後方へ延びる左右一対のデフレクタリン
ク45がリンク接続されている。これらデフレクタリン
ク45の後端部は、開口部3における前後方向の中間部
付近で、揺動保持具46を介してガイドレール7へ保持
されており、上下揺動自在になっている。
【0024】また、デフレクタ43は、その前縁部下部
に左右一対のヒンジ装置47を介してフレーム23の前
部分に取り付けられている。このヒンジ装置47には、
デフレクタ43を常にその後端部が開口部3の上方へ突
出させるような状態(図1(c)参照)に付勢するバネ
(図12中に符号48,49で示す)が設けられてい
る。
【0025】これに対してパネル4側では、前記したリ
フタ6に対し、その前部側面から左右の各外方へ向けて
突出する状態で、デフレクタリンク45の上部に当接可
能な押下げ部材50が設けられている。この押下げ部材
50は、パネル4がチルト上げ・下げするときの回動中
心位置に略一致して設けられた後部作用片51と、この
回動中心より前方位置に設けられた前部作用片52とを
有している。いずれの作用片51,52も丸棒状のピン
等によって形成されたものとした。
【0026】リフタ6は、これら前後の作用片51,5
2の双方を支持するうえで(特に前部作用片52の支持
のために)、通常よりも前方へ延長形成されたものとな
っている。前部作用片52は、パネル4が開口部3を開
放させた状態から前方移動するときに、後部作用片51
よりも先行してデフレクタリンク45に当接するように
なっている(図1(c)参照)。そして、この時点から
すぐにデフレクタリンク45を押し下げるようになるの
で、デフレクタリンク45がパネル4のウェザーストリ
ップ等22と接触干渉することはなく、その磨耗やへた
り、或いは破損が防止されることになる。
【0027】そして、この状態からパネル4の前方移動
が更に進むと、デフレクタリンク45に対して後部作用
片51が当接するようになるが、このとき前部作用片5
2は後部作用片51と交替状にデフレクタリンク45か
ら離反するように位置付けられている(図1(b)参
照)。また、デフレクタリンク45には、その前寄りの
部分に下方へ向けて折れ曲がり状にされた当接回避部5
5が設けられている。この当接回避部55は、パネル4
が開口部3を閉鎖した後の状態で、前部作用片52の下
方領域を広くさせるようにしたものである(図1(a)
参照)。すなわち、この状態でパネル4がチルト上げさ
れたとき、前部作用片52は、後部作用片51を回動中
心として下方へ移動することになる(図3参照)が、こ
の移動によっても前部作用片52がデフレクタリンク4
5と当接しないようにしている。
【0028】そのため、パネル4のチルト上げ時にも、
デフレクタリンク45に対しては、後部作用片51によ
る押下げ作用だけがそのまま継続されることになり、デ
フレクタ43が上下動することはない。このようなデフ
レクタ43にあって、本発明に係る第1実施形態では、
図11及び図12に拡大して示すように、その前縁部に
対して左右方向の略全長にわたり前垂れ60が取り付け
られている。
【0029】この前垂れ60は、デフレクタ43の前縁
部(下方へ折曲された部分)へ差し込み可能になされた
溝部61を具備する取付部分60aと、この取付部分6
0aの下部で前方に対する内曲がりカーブを有しつつ下
方へ延長形成されたスカート部分60bとを有してい
る。取付部分60aはゴム等により形成されており、ス
カート部分60bはスポンジ等により形成されている。
【0030】そして、この前垂れ60には、取付部分6
0aからデフレクタ43の上面側へ延びて、このデフレ
クタ43の上面部へ載るようになった上面カバー部63
が設けられている。この上面カバー部63は、その前後
方向の中央部あたりに、長手方向を左右方向へ向けて上
方へ突出した水返し段差部64が設けられており、この
水返し段差部64より後方には、上方へ湾曲した弾力部
65を介してリップ部66が形成されている。また、水
返し段差部64より前方には、長手方向を左右方向へ向
けた少なくとも1本(図例では3本)の排水溝67が設
けられ、これら各排水溝67の前後間に波形をした突条
68が形成されている。
【0031】そのため、図1(a)から図1(b)へか
けて示したように、パネル4が開口部3を開き始めると
き等において、このデフレクタ43上面に水滴が付着す
るようなことがあったとしても、この水滴は、水返し段
差部64によって反射される等して、これを乗り越え難
くなされ、車内へ浸入するのを防止される。また、排水
溝67を設けた部分では、この排水溝67と突条68と
が交互配置となることでこれがデフレクタ43上面に凹
凸を設けたのと同じ状態になっているので、この領域に
水滴がぶつかった場合、水滴は細かく拡散されるという
作用が得られる。更に、このように拡散された水滴は、
排水溝67に沿ってデフレクタ43の左右方向へ流さ
れ、排水されるといった整流作用をも受けることになる
ので、ますます、車内への浸入を防止される効果は高ま
るものとなる。
【0032】デフレクタ43に対する前垂れ60(及び
上面カバー部63)の取り付けは、両面テープや接着剤
等による接着、又はねじ止めやリベット止めにより行え
ばよい。なお、図11中に示す65Aは、デフレクタ4
3へ取付前の弾力部65の湾曲形体を示したものであ
る。即ち、この弾力部65がデフレクタ43への取り付
けによって湾曲形状を変形させられることにより、リッ
プ部66によるデフレクタ43へのなじみ圧が高めら
れ、確実に当接するようになっている。
【0033】次に、前記構成のスライドルーフ装置1の
開閉動作を説明する。図2に示す閉鎖状態から、ケーブ
ル29を介してスライダ8を前移動させると、昇降リン
ク9が前移動して上係合体32が昇降カム溝5の閉鎖部
5Aからチルト上げ部5Bへ移行し、パネル4を図2に
1点鎖線で示すチルト上げ位置まで上昇し、乗り物内の
空気を排出可能な換気状態にする。
【0034】また、このパネル4のチルト上げ時には、
図3に示したようにデフレクタ43は上下動しない。一
方、図2に示す閉鎖状態から、スライダ8を介して昇降
リンク9を後移動させると、上係合体32が昇降カム溝
5の閉鎖部5Aからチルト下げ部5Cへ移行し、これと
同時に係合部10が昇降保持部11内に導入され、係合
部10が下案内面11Bで後上方に案内されることにな
り、後支持体12は切欠13を通ってガイドレール7の
上側へ移動する。
【0035】これによって、昇降リンク9は横軸16を
中心に前傾回動し、チルト下げ部5Cへの移行と前傾回
動の二重動作によって、パネル4を図4に示すチルト下
げ位置まで下降させる。このとき係合部10は昇降保持
部11の保持部11Cに保持される。前記図4に示すチ
ルト下げ位置の状態から、更にスライダ8を介して昇降
リンク9を後移動させると、係合部10が保持部11C
に保持されたまま、リフタ6とドリップレール14及び
支持部材15は一体的に後方移動し、パネル4を図2に
2点鎖線で示すように開口部3の全開位置まで移動す
る。
【0036】この間、図1(b)及び(c)に示すよう
にリフタ6に設けられた後部作用片51がデフレクタリ
ンク45上を後方移動し、この後部作用片51がデフレ
クタリンク45から離れる時点で、今度は前部作用片5
2がデフレクタリンク45を押し下げる状態を引き継ぐ
ようになる。そして、デフレクタリンク45とパネル4
の前縁部(ウェザーストリップ等22)との干渉のおそ
れがなくなった時点で、デフレクタリンク45の上方揺
動を完全に許容する。従って、デフレクタ43は、その
後端部が開口部3の上方へ突出するように上昇すること
になる。
【0037】パネル4を全開位置から全閉位置へ前方移
動させるときは、前記チルト下げ部5Cが尻上がり形状
になっていることにより、昇降リンク9の上係合体32
がリフタ6を介してパネル4を前移動させる。このと
き、上係合体32がチルト下げ部5Cを押動する力は斜
め上方に向けられるので、昇降リンク9にかかる摺動抵
抗は軽減され、また、昇降カム溝5に対する上係合体3
2の位置をガタ付かせないように保持できる。
【0038】パネル4が図4に示すチルト下げ位置の状
態からスライダ8を前移動させると、昇降リンク9は横
軸16が前方移動すると同時に、係合部10が保持部1
1Cから出て上案内面11Aで前下方に案内されて、強
制的に起立姿勢に姿勢変更され、上係合体32が昇降カ
ム溝5のチルト下げ部5Cから閉鎖部5Aへ確実に移行
する。
【0039】このとき、デフレクタリンク45に対して
は、まず前部作用片52が当接することによってこれを
下向きに揺動させ、パネル4の前縁部との干渉を防止
し、次に後部作用片51が当接してデフレクタリンク4
5を最低位まで押し下げ、デフレクタ43をパネル4の
下方へ収納すべく、下降させる。図13は、本発明に係
るデフレクタ43の第2実施形態を示しており、この第
2実施形態が上記第1実施形態(図11)と異なるとこ
ろは、前垂れ60の上面カバー部63に対して、水返し
段差部64の前部には排水溝67や突条68に相当する
ものが何も設けられていない点にある。その他は、第1
実施形態と全く同じである。
【0040】すなわち、この第2実施形態は本発明の最
もシンプルな実施形態の一つであると言うことができ、
排水溝67や突条60を設けないとしても、水返し段差
部64による作用効果は十分に得られることになる。図
14は、本発明に係るデフレクタ43の第3実施形態を
示しており、この第3実施形態では、水返し段差部64
が前方へ向けてオーバーハング状に突き出している点を
除いて、第1実施形態(図11)と全く同じとなってい
る。
【0041】このように水返し段差部64をオーバーハ
ング状とすれば、水返し効果が高まることは言うまでも
ない。図15は、本発明に係るデフレクタ43の第4実
施形態を示しており、この第4実施形態では、水返し段
差部64の前部に排水溝67や突条68に相当するもの
が何も設けられていない点を除いて、第3実施形態(図
14)と全く同じとなっている。
【0042】図16は、本発明に係るデフレクタ43の
第5実施形態を示しており、この第5実施形態では、図
15に示した第4実施形態をベースとして、水返し段差
部64の前部にスポンジ、布生地、植毛盤(絨毯状の起
毛生地や人工芝状の樹脂製マット等)の多孔性面材70
を両面テープや接着剤等によって貼り付けたものであ
る。
【0043】このような多孔性面材70を設けることに
より、ここにぶつかった水滴を吸収したり、或いは水滴
を吸収しないまでも、水滴の衝突力を吸収・緩和して周
辺へ飛び散らないようにしたりする等の効果が得られる
ものである。特に、多孔性面材70として植毛盤を用い
た場合、デフクレタ43の上面に細かな凹凸を設けたの
と同じことになるため、ここにぶつかった水滴を細かく
拡散させ、それによって飛び散りを防止するという効果
も得られる。
【0044】図17は、本発明に係るデフレクタ43の
第6実施形態を示しており、この第6実施形態では、前
垂れ60の上面カバー部63として、水返し段差部64
の前部(即ち、前垂れ60の取付部分60aから水返し
段差部64までの前後間)を、直接、多孔性面材70に
より形成したものである。図18は、本発明に係るデフ
レクタ43の第7実施形態を示しており、この第7実施
形態では、上記第1乃至第6実施形態とは根本的に異な
り、デフレクタ43自体の一部に上方へ突出する部位を
設けることで、ここに水返し段差部64を形成させたも
のである。
【0045】なお、この第7実施形態でも、水返し段差
部64の前部に多孔性面材70を両面テープや接着剤等
によって貼り付けてある。図19は、本発明に係るデフ
レクタ43の第8実施形態を示しており、この第8実施
形態でも、上記第7実施形態と同様に、デフレクタ43
自体に水返し段差部64を設けたものである。
【0046】ただ、第7実施形態とは異なり、水返し段
差部64の前部には、前垂れ60の取付部分60aから
デフレクタ43の上面側へ延ばした上面カバー部71を
貼り付けてあり、これによって前垂れ60の取付強度を
高めてある。ところで、本発明は前記実施の形態に限定
されるものではなく、種々変形することができる。
【0047】例えば、デフレクタ43に水返し段差部6
4を設ける点を除けば、スライドルーフ装置1としての
細部構造は、何ら限定されるものではなく、パネル4を
全閉位置からチルト上げをせずに、チルト下げした状態
から後方に移動するインナースライド式でもよい。ま
た、デフレクタ43に対して前垂れ60を設けることは
限定されるものではなく、各実施形態において前垂れ6
0を削除することは可能である。
【0048】水返し段差部64の前部に対し、排水溝6
7と突条68との交互配置による凹凸を設けることや、
多孔性面材70による細かな凹凸を設けることとは別の
方法として、例えば板チョコレートのような複数の台状
突起や半球状突起を整然と配置したり、アミ材や多孔板
を貼り付けたりすることによって凹凸面を形成させるこ
とも可能である。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るスライ
ドルーフ装置のデフレクタでは、その上面の左右方向に
沿って上方へ突出する水返し段差部が設けられているた
め、このデフレクタ上面に水滴が付着したとしても、こ
の水滴は、水返し段差部によって反射される等してこれ
を乗り越え難くなり、車内へ浸入するのを防止される。
【0050】その結果、本発明に係るスライドルーフ装
置では、デフレクタを可及的に前方へ位置付けることが
でき、これによって開口部を可及的に広くすることがで
きる。水返し段差部の前部に排水溝、凹凸面、多孔性面
材等を設けて、水滴を拡散したり吸収したりできるよう
にすれば、デフレクタ上面から水返し段差部が突出する
高さを抑えることができ、スライドルーフ装置を薄型に
できる利点がある。
【0051】なお、水返し段差部の前部に排水溝を設け
た場合には、拡散後の水滴を効率良く排水する整流作用
が得られるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】パネルが閉鎖状態から開放状態へ向けて後方移
動するのに伴ってデフレクタが上昇する状況を説明した
動作説明図である。
【図2】本発明の実施の形態を示していて、パネルが閉
鎖位置の断面側面図である。
【図3】パネルがチルト下げになってもデフレクタが動
作しない状況を示す動作説明図である。
【図4】パネルがチルト下げ位置の断面側面図である。
【図5】同要部の平面図である。
【図6】図2のX−X線断面図である。
【図7】図2のY−Y線断面図である。
【図8】図10のZ−Z線に対応して示した断面図であ
る。
【図9】スライドルーフ装置全体の分解斜視図である。
【図10】リフタ周辺の分解斜視図である。
【図11】本発明に係るデフレクタの第1実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図12】第1実施形態のデフレクタの主要部を拡大し
て示す分解斜視図である。
【図13】本発明に係るデフレクタの第2実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図14】本発明に係るデフレクタの第3実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図15】本発明に係るデフレクタの第4実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図16】本発明に係るデフレクタの第5実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図17】本発明に係るデフレクタの第6実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図18】本発明に係るデフレクタの第7実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【図19】本発明に係るデフレクタの第8実施形態を拡
大して示す側断面図である。
【符号の説明】
1 スライドルーフ装置 2 屋根 3 開口部 4 パネル 43 デフレクタ 60 前垂れ 63 上面カバー部 64 水返し段差部 67 排水溝 70 多孔性面材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗り物屋根(2)の開口部(3)を閉鎖
    可能なパネル(4)が閉鎖状態から後端をチルト上げ又
    はチルト下げ後に後方移動して開口部(3)を開くとき
    に、該開口部(3)の前部で上昇揺動可能に設けられる
    スライドルーフ装置のデフレクタにおいて、 上面の左右方向に沿って上方へ突出する水返し段差部
    (64)が設けられていることを特徴とするスライドル
    ーフ装置のデフレクタ。
  2. 【請求項2】 前記水返し段差部(64)は、デフレク
    タ自体の一部を上方へ突出させることで設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載のスライドルーフ装置の
    デフレクタ。
  3. 【請求項3】 前記水返し段差部(64)は、デフレク
    タの前縁部から後方へ延設されていてデフレクタの上面
    部に載る上面カバー部(63)を形成することにより、
    該上面カバー部(63)の一部を上方へ突出させること
    で設けられていることを特徴とする請求項1記載のスラ
    イドルーフ装置のデフレクタ。
  4. 【請求項4】 前記水返し段差部(64)の前部には、
    長手方向を左右方向へ向けた少なくとも1本の排水溝
    (67)が設けられていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項3のいずれかに記載のスライドルーフ装置のデ
    フレクタ。
  5. 【請求項5】 前記水返し段差部(64)の前部には、
    水滴を吸収する多孔性面材(70)が設けられているこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    のスライドルーフ装置のデフレクタ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    のデフレクタ(43)を具備していることを特徴とする
    スライドルーフ装置。
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