JP4070899B2 - スライドルーフ装置のデフレクタ及びスライドルーフ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の乗り物の屋根に装備されるスライドルーフ装置のデフレクタと、このデフレクタを具備するスライドルーフ装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スライドルーフ装置は、乗り物屋根の開口部を閉鎖可能なパネルが閉鎖状態から後端をチルト上げして換気状態にしたり、このチルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部を開放状態にしたりできるようになったものである(例えば特開平7−164890号公報等参照)。
そして、この種、スライドルーフ装置において、パネルが閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部を開くときに、この開口部の前部で上昇揺動可能に設けられるデフレクタを具備したものが知られている(例えば、実開昭63−95922号公報、特開平7−156658号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パネルが開口部を全閉状態にあるとき、デフレクタは下降揺動して平らな低姿勢状態を保持しつつパネルの下方に収納されるようになっている。
従来における各種スライドルーフ装置では、このような収納状態にあるとき、パネルの前端部が当接する開口部前縁部からデフレクタの前端位置までの距離(以下、「前部余裕距離」と言う)には、比較的大きな寸法を確保してあった。そのため、パネルを後移動させるときに、水滴がデフレクタ上面を伝って車内に浸入するといったような問題は生じていなかった。
【0004】
しかし、今日、開口部を可及的に広くしたいというニーズに応えるため、上記の前部余裕距離を短くして、デフレクタを可及的に前方へ位置付けることが提案されている。このようにすると、パネルの後移動時に水滴がデフレクタ上面を伝って車内に浸入するという問題が生じることになる。
なお、この問題を解消するため、パネルの前端部に設けるウエザストリッスに対し、下方へ垂下するカーテン状の防水突起を形成させ、この防水突起によってデフレクタに水滴が及ぶのを防止することが考えられたが、この方法では、パネルの移動時にウエザストリップの上記防水突起がデフレクタと干渉することになり、採用できないということがあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、デフレクタを可及的に前方へ位置付けるようなことをした場合であっても、パネルの後移動時に水滴がデフレクタ上面を伝って車内に浸入するといったことがないようにできるスライドルーフ装置のデフレクタ及びスライドルーフ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のスライドルーフ装置のデフレクタでは、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
第1に、乗り物屋根2の開口部3を閉鎖可能なパネル4が閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部3を開くときに、該開口部3の前部で下降状態でデフレクタ上面部が平らな低姿勢から上昇揺動可能に設けられるスライドルーフ装置のデフレクタにおいて、
デフレクタ前縁部に前垂れ60が取り付けられ、この前垂れ60から後方へ延設されていてデフレクタ上面部に載る上面カバー部63が設けられ、この上面カバー部63の一部を上方へ突出させて水返し段差部64が設けられ、上面カバー部63の水返し段差部64より前方にぶつかる水滴を拡散する凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記水返し段差部64より前方の凹凸は、排水溝68とこの排水溝68の前後の波形をした突条68であることを特徴とする。
第3に、前記水返し段差部64より前方の凹凸は、水滴を吸収する多孔性面材70であることを特徴とする。
第4に、前記水返し段差部64より後方には上方へ湾曲した弾力部65を介してリップ部66が形成されていることを特徴とする。
また、本発明では次の特徴を有する。
【0008】
即ち、本発明に係るスライドルーフ装置のデフレクタでは、乗り物屋根の開口部を閉鎖可能なパネルが閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部を開くときに、この開口部の前部で上昇揺動可能に設けられたものであって、その上面の左右方向に沿って上方へ突出する水返し段差部が設けられている。
そのため、このデフレクタ上面に水滴が付着したとしても、この水滴は、水返し段差部によって反射される等してこれを乗り越え難くなり、車内へ浸入するのを防止される。
【0009】
水返し段差部は、デフレクタ自体の一部を上方へ突出させることで設けてもよいし、デフレクタの前縁部からその下方へ向けて取り付ける前垂れに対して設けてもよい。
水返し段差部は、デフレクタの前端縁から後方にへ延設されていてその上面部に載る上面カバー部を形成するものとし、そのうえで、この上面カバー部の一部を上方へ突出させるものとする。
前垂れに水返し段差部を設ける場合には、前垂れとして、まずデフレクタの上面側へ延びてデフレクタの上面部に載る上面カバー部を形成するものとする。
【0010】
水返し段差部として、デフレクタ上面からの突出高さを抑えたい場合には、この水返し段差部の前部に、長手方向を左右方向へ向けた少なくとも1本、好ましくは複数本の排水溝を設けるようにするとよい。この排水溝は、デフレクタ上面に凹凸を設けることになるので、水滴を拡散する作用が得られると共に、水滴をデフレクタの左右方向へ流して排水するといった整流作用が得られることになる。
また、このような排水溝の他、水滴を吸収する多孔性面材や、水滴を拡散する凹凸面(排水溝や多孔性面材を除く構造で凹凸をつけるもの)等を、水返し段差部の前部にスポンジ、布生地、植毛盤等を貼り付けることによって設けるものとしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図10に示すように、本発明に係るスライドルーフ装置1は、自動車等の乗り物の屋根2に装備されるものであり、屋根2に形成した開口部3をパネル4で閉鎖状態、換気可能状態及び開放状態に変更可能にしている。
そして、パネル4が開口部3を開放状態にしたときには、開口部3の前部側でデフレクタ43が上昇揺動し、パネル4が開口部3を閉鎖するのに伴ってデフレクタ43が下降揺動し、パネル4の下方へ収納されるようになっている。
【0012】
パネル4は透明もしくは有色のガラス又はプラスチック、金属板等で形成されており、その内面周囲には金属枠21が固定され、外周にはウェザーストリップ等22が取り付けられており、金属枠21の左右側部には下向き突出したリフタ6が取り付けられている。
23は屋根2の下側に固着のフレームで、左右側部と前部とを有する平面視コ字状であり、前後の中途に連結板24を固着しており、この連結板24とフレーム23の前部で囲まれる部分が内開口部25となっている。
【0013】
前記フレーム23の左右側部はガイドレール7を形成している。この各ガイドレール7は、幅方向中央の樋部7Aを挟んで外側にケーブルガイド溝7B及び外シューガイド溝7Cが、内側(内開口部25側)に内シューガイド溝7Dがそれぞれ形成され、内シューガイド溝7Dより更に内側にサンシェードガイド溝7Eが形成されている。なお、サンシェードは図1、図3及び図9中において符号26で示している。
内シューガイド溝7Dにはリフタ6の前端に設けた前シュー(前支持体)28が摺動自在に支持され、内外シューガイド溝7C、7Dにわたってスライダ8が摺動自在に支持されている。
【0014】
スライダ8はケーブルガイド溝7B内に挿通されたケーブル29に連結されており、このケーブル29はフレーム23の前下面に固定の駆動装置30によって押し引き駆動可能になっている。
前記リフタ6の後部の外側面にはカム体31が固定されており、このカム体31のリフタ6側の面に昇降カム溝5が形成されており、この昇降カム溝5は前後中途部の閉鎖部5Aと、前側の前下向き傾斜状のチルト上げ部5Bと、後側の尻上がり状のチルト下げ部5Cとを有する。
【0015】
前記スライダ8は後部に凹部8Aが形成されており、この凹部8Aに昇降リンク9の中途部が挿入され、この中途部に設けた横軸(中途支持体)16が左右に突出し、その両端がスライダ8に支持されている。
前記スライダ8に回動自在に枢支された昇降リンク9は、側面視くの字形状で、後部がリフタ6の後端が入り込むように二股形状に形成され、前部が立ち上がりの1枚板形状に形成されている。この前部はリフタ6とカム体31との間に下側から挿入され、前端にピンを挿入することにより形成された上係合体32が前記昇降カム溝5に摺動自在に係合している。
【0016】
昇降リンク9は横軸16が左右に突出してスライダ8に支持されているため、スライダ8を介して内外のシューガイド溝7C、7Dに両持ち支持された状態になっており、姿勢が左右にグラ付かないようになっている。
昇降リンク9の後部の二股状後端には左右一方に内シューガイド溝7D内を摺動する後シュー(後支持体)12が設けられ、他方には外シューガイド溝7Cの内側を移動する係合部10が設けられ、これら左右に振り分け形成された後シュー12及び係合部10はピン状の突起形状である。
【0017】
14はドリップレールで、その左右両端は支持部材15に連結されている。この各支持部材15は少なくとも外シューガイド溝7Cに前後摺動自在に支持されており、連動体34の後端が連結されている。連動体34の前部には掛合溝35が形成されており、リフタ6に設けた掛合ピン36が上下移動可能に掛合されていて、リフタ6が上下動するのを許容し、かつリフタ6が前後移動するときに同伴移動するようになっている。
前記支持部材15には外シューガイド溝7Cから突出した位置に昇降保持部11が設けられている。この昇降保持部11は左右方向において係合部10と対向する位置にあり、係合部10を導入可能な尻上がり形状のカム溝が形成されていて、そのカム溝の上面が上案内面11A、下面が下案内面11B、溝奥が保持部11Cとなっている。
【0018】
そして、係合部10が後方移動してきたとき、カム溝に導入して下案内面11Bで後上方に案内し、保持部11C内に保持する。この保持状態から係合部10を前方移動させると、上案内面11Aが前下方に案内する。前記保持部11Cは係合部10の上下位置を規制するものであり、後方に開放されていてもよい。
前記ガイドレール7の内シューガイド溝7Dには、パネル4閉鎖位置のときの昇降保持部11に対応して切欠13が形成されており、内シューガイド溝7D内を摺動する後シュー12が上方に逃げ可能になっている。
【0019】
図2、図4及び図5において、40F、40Rはガイドレール7に形成された前後一対の係止溝であり、リフタ6に設けた前後一対の係止ピン41F、41Rを係止可能になっている。
パネル4が閉鎖位置にあるとき後係止ピン41Rが後係止溝40Rと係合し、パネル4がチルト上げ位置にあるとき前係止ピン41Fが前係止溝40Fと係合し、車体が振動したりパネル4に風を受けたりしても、パネル4が前後にガタ付いたりしないようにしている。
【0020】
パネル4がチルト下げ位置にあるとき、前後係止ピン41F、41Rは前後係止溝40F、40Rから離脱し、パネル4の後方移動を許容する。
一方、前記デフレクタ43は、内開口部25の前部でその左右方向に向けて細長く形成された板状のもので、左右両端部の後部寄りに、後方へ延びる左右一対のデフレクタリンク45がリンク接続されている。これらデフレクタリンク45の後端部は、開口部3における前後方向の中間部付近で、揺動保持具46を介してガイドレール7へ保持されており、上下揺動自在になっている。
【0021】
また、デフレクタ43は、その前縁部下部に左右一対のヒンジ装置47を介してフレーム23の前部分に取り付けられている。このヒンジ装置47には、デフレクタ43を常にその後端部が開口部3の上方へ突出させるような状態(図1(c)参照)に付勢するバネ(図12中に符号48,49で示す)が設けられている。
これに対してパネル4側では、前記したリフタ6に対し、その前部側面から左右の各外方へ向けて突出する状態で、デフレクタリンク45の上部に当接可能な押下げ部材50が設けられている。この押下げ部材50は、パネル4がチルト上げ・下げするときの回動中心位置に略一致して設けられた後部作用片51と、この回動中心より前方位置に設けられた前部作用片52とを有している。いずれの作用片51,52も丸棒状のピン等によって形成されたものとした。
【0022】
リフタ6は、これら前後の作用片51,52の双方を支持するうえで(特に前部作用片52の支持のために)、通常よりも前方へ延長形成されたものとなっている。
前部作用片52は、パネル4が開口部3を開放させた状態から前方移動するときに、後部作用片51よりも先行してデフレクタリンク45に当接するようになっている(図1(c)参照)。そして、この時点からすぐにデフレクタリンク45を押し下げるようになるので、デフレクタリンク45がパネル4のウェザーストリップ等22と接触干渉することはなく、その磨耗やへたり、或いは破損が防止されることになる。
【0023】
そして、この状態からパネル4の前方移動が更に進むと、デフレクタリンク45に対して後部作用片51が当接するようになるが、このとき前部作用片52は後部作用片51と交替状にデフレクタリンク45から離反するように位置付けられている(図1(b)参照)。
また、デフレクタリンク45には、その前寄りの部分に下方へ向けて折れ曲がり状にされた当接回避部55が設けられている。この当接回避部55は、パネル4が開口部3を閉鎖した後の状態で、前部作用片52の下方領域を広くさせるようにしたものである(図1(a)参照)。すなわち、この状態でパネル4がチルト上げされたとき、前部作用片52は、後部作用片51を回動中心として下方へ移動することになる(図3参照)が、この移動によっても前部作用片52がデフレクタリンク45と当接しないようにしている。
【0024】
そのため、パネル4のチルト上げ時にも、デフレクタリンク45に対しては、後部作用片51による押下げ作用だけがそのまま継続されることになり、デフレクタ43が上下動することはない。
このようなデフレクタ43にあって、本発明に係る第1実施形態では、図11及び図12に拡大して示すように、その前縁部に対して左右方向の略全長にわたり前垂れ60が取り付けられている。
この前垂れ60は、デフレクタ43の前縁部(下方へ折曲された部分)へ差し込み可能になされた溝部61を具備する取付部分60aと、この取付部分60aの下部で前方に対する内曲がりカーブを有しつつ下方へ延長形成されたスカート部分60bとを有している。取付部分60aはゴム等により形成されており、スカート部分60bはスポンジ等により形成されている。
【0025】
そして、この前垂れ60には、取付部分60aからデフレクタ43の上面側へ延びて、このデフレクタ43の上面部へ載るようになった上面カバー部63が設けられている。
この上面カバー部63は、その前後方向の中央部あたりに、長手方向を左右方向へ向けて上方へ突出した水返し段差部64が設けられており、この水返し段差部64より後方には、上方へ湾曲した弾力部65を介してリップ部66が形成されている。また、水返し段差部64より前方には、長手方向を左右方向へ向けた少なくとも1本(図例では3本)の排水溝67が設けられ、これら各排水溝67の前後間に波形をした突条68が形成されている。
【0026】
そのため、図1(a)から図1(b)へかけて示したように、パネル4が開口部3を開き始めるとき等において、このデフレクタ43上面に水滴が付着するようなことがあったとしても、この水滴は、水返し段差部64によって反射される等して、これを乗り越え難くなされ、車内へ浸入するのを防止される。
また、排水溝67を設けた部分では、この排水溝67と突条68とが交互配置となることでこれがデフレクタ43上面に凹凸を設けたのと同じ状態になっているので、この領域に水滴がぶつかった場合、水滴は細かく拡散されるという作用が得られる。更に、このように拡散された水滴は、排水溝67に沿ってデフレクタ43の左右方向へ流され、排水されるといった整流作用をも受けることになるので、ますます、車内への浸入を防止される効果は高まるものとなる。
【0027】
デフレクタ43に対する前垂れ60(及び上面カバー部63)の取り付けは、両面テープや接着剤等による接着、又はねじ止めやリベット止めにより行えばよい。なお、図11中に示す65Aは、デフレクタ43へ取付前の弾力部65の湾曲形体を示したものである。即ち、この弾力部65がデフレクタ43への取り付けによって湾曲形状を変形させられることにより、リップ部66によるデフレクタ43へのなじみ圧が高められ、確実に当接するようになっている。
次に、前記構成のスライドルーフ装置1の開閉動作を説明する。
【0028】
図2に示す閉鎖状態から、ケーブル29を介してスライダ8を前移動させると、昇降リンク9が前移動して上係合体32が昇降カム溝5の閉鎖部5Aからチルト上げ部5Bへ移行し、パネル4を図2に1点鎖線で示すチルト上げ位置まで上昇し、乗り物内の空気を排出可能な換気状態にする。
また、このパネル4のチルト上げ時には、図3に示したようにデフレクタ43は上下動しない。
一方、図2に示す閉鎖状態から、スライダ8を介して昇降リンク9を後移動させると、上係合体32が昇降カム溝5の閉鎖部5Aからチルト下げ部5Cへ移行し、これと同時に係合部10が昇降保持部11内に導入され、係合部10が下案内面11Bで後上方に案内されることになり、後シュー12は切欠13を通ってガイドレール7の上側へ移動する。
【0029】
これによって、昇降リンク9は横軸16を中心に前傾回動し、チルト下げ部5Cへの移行と前傾回動の二重動作によって、パネル4を図4に示すチルト下げ位置まで下降させる。このとき係合部10は昇降保持部11の保持部11Cに保持される。
前記図4に示すチルト下げ位置の状態から、更にスライダ8を介して昇降リンク9を後移動させると、係合部10が保持部11Cに保持されたまま、リフタ6とドリップレール14及び支持部材15は一体的に後方移動し、パネル4を図2に2点鎖線で示すように開口部3の全開位置まで移動する。
【0030】
この間、図1(b)及び(c)に示すようにリフタ6に設けられた後部作用片51がデフレクタリンク45上を後方移動し、この後部作用片51がデフレクタリンク45から離れる時点で、今度は前部作用片52がデフレクタリンク45を押し下げる状態を引き継ぐようになる。
そして、デフレクタリンク45とパネル4の前縁部(ウェザーストリップ等22)との干渉のおそれがなくなった時点で、デフレクタリンク45の上方揺動を完全に許容する。従って、デフレクタ43は、その後端部が開口部3の上方へ突出するように上昇することになる。
【0031】
パネル4を全開位置から全閉位置へ前方移動させるときは、前記チルト下げ部5Cが尻上がり形状になっていることにより、昇降リンク9の上係合体32がリフタ6を介してパネル4を前移動させる。このとき、上係合体32がチルト下げ部5Cを押動する力は斜め上方に向けられるので、昇降リンク9にかかる摺動抵抗は軽減され、また、昇降カム溝5に対する上係合体32の位置をガタ付かせないように保持できる。
パネル4が図4に示すチルト下げ位置の状態からスライダ8を前移動させると、昇降リンク9は横軸16が前方移動すると同時に、係合部10が保持部11Cから出て上案内面11Aで前下方に案内されて、強制的に起立姿勢に姿勢変更され、上係合体32が昇降カム溝5のチルト下げ部5Cから閉鎖部5Aへ確実に移行する。
【0032】
このとき、デフレクタリンク45に対しては、まず前部作用片52が当接することによってこれを下向きに揺動させ、パネル4の前縁部との干渉を防止し、次に後部作用片51が当接してデフレクタリンク45を最低位まで押し下げ、デフレクタ43をパネル4の下方へ収納すべく、下降させる。
図13は、第1参考例を示しており、この第1参考例が上記第1実施形態(図11)と異なるところは、前垂れ60の上面カバー部63に対して、水返し段差部64の前部には排水溝67や突条68に相当するものが何も設けられていない点にある。その他は、第1実施形態と全く同じである。
【0033】
すなわち、排水溝67や突条68を設けないとしても、水返し段差部64による作用効果は十分に得られることになる。
図14は、本発明に係るデフレクタ43の第2実施形態を示しており、この第2実施形態では、水返し段差部64が前方へ向けてオーバーハング状に突き出している点を除いて、第1実施形態(図11)と全く同じとなっている。
このように水返し段差部64をオーバーハング状とすれば、水返し効果が高まることは言うまでもない。
【0034】
図15は、第2参考例を示しており、この第2参考例では、水返し段差部64の前部に排水溝67や突条68に相当するものが何も設けられていない点を除いて、第2実施形態(図14)と全く同じとなっている。
図16は、本発明に係るデフレクタ43の第3実施形態を示しており、この第3実施形態では、図15に示した第2参考例をベースとして、水返し段差部64の前部にスポンジ、布生地、植毛盤(絨毯状の起毛生地や人工芝状の樹脂製マット等)の多孔性面材70を両面テープや接着剤等によって貼り付けたものである。
【0035】
このような多孔性面材70を設けることにより、ここにぶつかった水滴を吸収したり、或いは水滴を吸収しないまでも、水滴の衝突力を吸収・緩和して周辺へ飛び散らないようにしたりする等の効果が得られるものである。
特に、多孔性面材70として植毛盤を用いた場合、デフクレタ43の上面に細かな凹凸を設けたのと同じことになるため、ここにぶつかった水滴を細かく拡散させ、それによって飛び散りを防止するという効果も得られる。
図17は、本発明に係るデフレクタ43の第4実施形態を示しており、この第4実施形態では、前垂れ60の上面カバー部63として、水返し段差部64の前部(即ち、前垂れ60の取付部分60aから水返し段差部64までの前後間)を、直接、多孔性面材70により形成したものである。
【0036】
図18は、第3参考例を示しており、この第3参考例では、上記第1乃至第4実施形態とは根本的に異なり、デフレクタ43自体の一部に上方へ突出する部位を設けることで、ここに水返し段差部64を形成させたものである。
なお、この第3参考例でも、水返し段差部64の前部に多孔性面材70を両面テープや接着剤等によって貼り付けてある。
図19は、第4参考例を示しており、この第4参考例でも、上記第3参考例と同様に、デフレクタ43自体に水返し段差部64を設けたものである。
【0037】
ただ、第3参考例とは異なり、水返し段差部64の前部には、前垂れ60の取付部分60aからデフレクタ43の上面側へ延ばした上面カバー部71を貼り付けてあり、これによって前垂れ60の取付強度を高めてある。
ところで、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。
例えば、デフレクタ43に水返し段差部64を設ける点を除けば、スライドルーフ装置1としての細部構造は、何ら限定されるものではなく、パネル4を全閉位置からチルト上げをせずに、チルト下げした状態から後方に移動するインナースライド式でもよい。
【0038】
水返し段差部64の前部に対し、排水溝67と突条68との交互配置による凹凸を設けることや、多孔性面材70による細かな凹凸を設けることとは別の方法として、例えば板チョコレートのような複数の台状突起や半球状突起を整然と配置したり、アミ材や多孔板を貼り付けたりすることによって凹凸面を形成させることも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係るスライドルーフ装置のデフレクタでは、その上面の左右方向に沿って上方へ突出する水返し段差部が設けられているため、このデフレクタ上面に水滴が付着したとしても、この水滴は、水返し段差部によって反射される等してこれを乗り越え難くなり、車内へ浸入するのを防止される。
その結果、本発明に係るスライドルーフ装置では、デフレクタを可及的に前方へ位置付けることができ、これによって開口部を可及的に広くすることができる。
【0040】
水返し段差部の前部に排水溝、凹凸面、多孔性面材等を設けて、水滴を拡散したり吸収したりできるようにすれば、デフレクタ上面から水返し段差部が突出する高さを抑えることができ、スライドルーフ装置を薄型にできる利点がある。
なお、水返し段差部の前部に排水溝を設けた場合には、拡散後の水滴を効率良く排水する整流作用が得られるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パネルが閉鎖状態から開放状態へ向けて後方移動するのに伴ってデフレクタが上昇する状況を説明した動作説明図である。
【図2】 本発明の実施の形態を示していて、パネルが閉鎖位置の断面側面図である。
【図3】 パネルがチルト下げになってもデフレクタが動作しない状況を示す動作説明図である。
【図4】 パネルがチルト下げ位置の断面側面図である。
【図5】 同要部の平面図である。
【図6】 図2のX−X線断面図である。
【図7】 図2のY−Y線断面図である。
【図8】 図10のZ−Z線に対応して示した断面図である。
【図9】 スライドルーフ装置全体の分解斜視図である。
【図10】 リフタ周辺の分解斜視図である。
【図11】 本発明に係るデフレクタの第1実施形態を拡大して示す側断面図である。
【図12】 第1実施形態のデフレクタの主要部を拡大して示す分解斜視図である。
【図13】 第1参考例を拡大して示す側断面図である。
【図14】 本発明に係るデフレクタの第2実施形態を拡大して示す側断面図である。
【図15】 第2参考例を拡大して示す側断面図である。
【図16】 本発明に係るデフレクタの第3実施形態を拡大して示す側断面図である。
【図17】 本発明に係るデフレクタの第4実施形態を拡大して示す側断面図である。
【図18】 第3参考例を拡大して示す側断面図である。
【図19】 第4参考例を拡大して示す側断面図である。
【符号の説明】
1 スライドルーフ装置
2 屋根
3 開口部
4 パネル
43 デフレクタ
60 前垂れ
63 上面カバー部
64 水返し段差部
67 排水溝
70 多孔性面材
Claims (5)
- 乗り物屋根(2)の開口部(3)を閉鎖可能なパネル(4)が閉鎖状態から後端をチルト上げ又はチルト下げ後に後方移動して開口部(3)を開くときに、該開口部(3)の前部で下降状態でデフレクタ上面部が平らな低姿勢から上昇揺動可能に設けられるスライドルーフ装置のデフレクタにおいて、
デフレクタ前縁部に前垂れ(60)が取り付けられ、この前垂れ(60)から後方へ延設されていてデフレクタ上面部に載る上面カバー部(63)が設けられ、この上面カバー部(63)の一部を上方へ突出させて水返し段差部(64)が設けられ、上面カバー部(63)の水返し段差部(64)より前方にぶつかる水滴を拡散する凹凸が形成されていることを特徴とするスライドルーフ装置のデフレクタ。 - 前記水返し段差部(64)より前方の凹凸は、排水溝(68)とこの排水溝(68)の前後の波形をした突条(68)であることを特徴とする請求項1記載のスライドルーフ装置のデフレクタ。
- 前記水返し段差部(64)より前方の凹凸は、水滴を吸収する多孔性面材(70)であることを特徴とする請求項1記載のスライドルーフ装置のデフレクタ。
- 前記水返し段差部(64)より後方には上方へ湾曲した弾力部(65)を介してリップ部(66)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスライドルーフ装置のデフレクタ。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のデフレクタ(43)を具備していることを特徴とするスライドルーフ装置。
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