JP2000155324A - 液晶表示素子における液晶充填方法及びこれに使用する充填用治具の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示素子３においてシール体４にて囲わ
れた内部に、液晶を充填する場合に、液晶の劣化又は変
質により消費量の増大すること、及び、不良品の発生が
多くなることを防止する。 【手段】 充填用治具１１の上面に、突起１２を設け、
この突起１２の箇所に液１４を水玉状に供給し、真空中
において、この水玉状の液晶１４を、これに前記液晶表
示素子３における注入口５を接触したのち真空を解除す
ることにより、液晶表示素子３内に充填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、二枚の透明板をそ
の間に液晶を封入した状態で貼り合わせして成る液晶表
示素子において、その二枚の透明板の間に液晶を充填す
る方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、液晶表示素子に液晶を充填するに
際しては、図５及び図６に示すように、舟型に構成した
容器１に、液晶２を、当該液晶２が表面張力で盛り上が
る状態になるように供給し、この液晶２に対して、真空
中で、液晶表示素子３においてシール体４に設けた注入
口５を接触したのち、真空を解除することにより、液晶
を毛細管現象によって注入すると言う方法を採用してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この充填方法
によると、容器１内に、液晶表示素子３に対する充填量
も多い量の液晶を供給しなければならず、大気に晒され
る液晶の量が多く、ひいては、大気によって劣化又は変
質する量が多いから、液晶の消費量が多くなることに加
えて、劣化又は変質した液晶が液晶表示素子に入って不
良品になり、換言すると不良品の発生率が高いことによ
り、コストのアップを招来すると言う問題があった。

【０００４】本発明は、この問題を解消した充填方法を
提供することを技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「充填用治具における上面に、突起を
設け、前記充填用治具の上面のうち前記突起の箇所に、
液晶を水玉状に供給し、次いで、前記突起の箇所におけ
る水玉状液晶と、液晶表示素子における注入口とを、真
空中において相対的に接触したのち真空を解除すること
を特徴とする。」ものである。

【０００６】

【発明の作用・効果】このようにすることにより、充填
用治具における上面のうち突起の箇所に水玉状に供給さ
れた液晶は、液晶表示素子内に順次充填される。つま
り、本発明は、充填用治具における上面に設けた突起の
箇所に液晶を水玉状に供給することにより、この水玉状
の液晶を前記突起にて動くことがないように保持し、こ
の状態で、液晶表示素子内に充填するものであることに
より、前記充填用治具における上面に水玉状に供給した
液晶の殆ど全てを、液晶表示素子内に充填することがで
き、ひいては、前記充填用治具における上面に供給する
液晶の量を、従来の場合よりも大幅に少なくすることが
できるのである。

【０００７】従って、本発明によると、液晶の充填に際
して、劣化又は変質する液晶を大幅に少なくできて、液
晶の消費量と、液晶表示素子内に劣化又は変質した液晶
が充填されることによる不良品の発生とを確実に少なく
することができるから、コストの大幅な低減を達成でき
る効果を有する。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
１〜図４の図面について説明する。図１は、液晶の充填
に際して使用する充填用治具１１を示し、この充填用治
具１１における平面状の上面１１ａは、当該充填用治具
１１の全体をフッ素樹脂製にするか、その上面にフッ素
樹脂をコーティングすることにより、液晶に対する接触
角が直角よりも大きい鈍角になるように構成され、且
つ、その上面１１ａには、例えば、円錐形等の適宜の形
状に形成した突起１２の複数個が、適宜ピッチＰの間隔
で設けられている。

【０００９】そして、前記充填用治具１１における上面
１１ａのうち、前記各突１２の箇所に、図２に示すよう
に、マイクロシリンジ１３等により、液晶表示素子３内
に対する充填量を略同じ量の液晶１４を滴下・供給す
る。なお、この各突起１２に対する液晶１４の滴下・供
給は、一つのマイクロシリンジ１３にて順番に行うよう
にしても良いが、突起１２と同数個のマイクロシリンジ
１３にて同時に行うことにより、その作業能率を向上で
きる。

【００１０】このようにして充填用治具１１における上
面１１ａのうち各突起１２の箇所に滴下・供給された液
晶１４は、充填用治具１１における上面１１ａとの間に
おける接触角が鈍角であることにより、表面張力にて丸
い水玉状になると共に、前記突起１２を包むことによ
り、この突起１２の箇所から動くことがないように保持
される。

【００１１】次いで、真空中において、前記充填用治具
１１の上面における各液晶１４の各々に、図３及び図４
に示すように、複数枚の各液晶表示素子３の下降動又は
前記充填用治具１１の上昇動により、各液晶表示素子３
における注入口５を接触したのち、真空を解除すること
により、前記各液晶１４の全て又は殆ど全てが、各液晶
表示素子３内に毛細管現象にて吸い込まれて充填される
のである。

【００１２】なお、この各液晶表示素子３に対する液晶
の充填を完了すると、各液晶表示素子３における注入口
５を、ＵＶ樹脂の塗布等にて封止して液晶表示素子３の
完成品にする。また、前記充填用治具１１の上面に設け
た各突起１２の表面は、必ずしも、液晶に対する接触角
を鈍角にする必要はないが、この各突起１２の表面にお
ける液晶に対する接触角を、当該突起１２の全体をフッ
素樹脂製にするか、その表面にフッ素樹脂をコーティン
グすることによって鈍角にすれば、液晶表示素子３に対
する液晶の充填に際して、充填用治具１１側に残る液晶
の量を殆ど皆無にすることができる等の利点がある。

【００１３】更にまた、前記充填用治具１１の上面１１
ａは、これに対する液晶の接触角を当該上面１１ａの全
体にわたって鈍角にする必要はなく、少なくとも、液晶
との接触角を前記突起１２の付近部分のみにおいて鈍角
にするようにしても良いのである。加えて、前記実施の
形態は、充填用治具１１の上面１１ａに複数個の突起１
２を一列状に設けた場合を示したが、本発明は、これに
限らず、充填用治具１１の上面１１ａに、複数個の突起
１２を複数列に設けて、一つの充填用治具を使用して充
填することができる液晶表示素子の個数をより多くする
ことができることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法に使用する充填用治具を示す斜視
図である。

【図２】前記充填用治具に液晶を水玉状に供給した状態
を示す斜視図である。

【図３】本発明の方法にて液晶表示素子に液晶を充填す
る状態を示す斜視図である。

【図４】図３のIV−IV視断面図である。

【図５】従来の方法にて液晶表示素子に液晶を充填する
状態を示す斜視図である。

【図６】図５のVI−VI視断面図である。

【符号の説明】

３ 液晶表示素子 ４ シール体 ５ 注入口 １１ 充填用治具 １１ａ 充填用治具の上面 １２ 突起 １３ マイクロシリンジ １４ 液晶

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】充填用治具における上面に、突起を設け、
   前記充填用治具の上面のうち前記突起の箇所に、液晶を
   水玉状に供給し、次いで、前記突起の箇所における水玉
   状液晶と、液晶表示素子における注入口とを、真空中に
   おいて相対的に接触したのち真空を解除することを特徴
   とする液晶表示素子における液晶充填方法。
2. 【請求項２】充填用治具の上面に、突起を設け、更に、
   前記充填用治具の上面のうち少なくとも、前記突起の周
   囲の部分における液晶に対する接触角を鈍角にしたこと
   を特徴とする液晶表示素子における液晶の充填に使用す
   る充填用治具の構造。