JPH1048649A - 液晶注入皿およびそれを用いた液晶注入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶がこぼれたり、またははじいたりするな
どによる液晶セル内部への気泡の混入を好適に抑制する
ことができる液晶注入皿およびそれを用いた液晶注入方
法を提供する。 【解決手段】 液晶溜め溝２を有する、液晶セル内へ液
晶を注入するための液晶注入皿１であって、当該液晶注
入皿１の表面のうち、前記液晶セルに当接する当接面６
にぬれ性が低い樹脂膜３が形成され、かつ前記液晶溜め
溝２の内面には前記樹脂膜３が形成されていないことを
特徴とする液晶注入皿１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液晶注入皿およびそ
れを用いた液晶注入方法に関する。さらに詳しくは液晶
がこぼれたり、またははじいたりするなどによる液晶セ
ル内部への気泡の混入を好適に抑制することができる液
晶注入皿およびそれを用いた液晶注入方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置の液晶セルは、一対の透明
基板の対向面に設けられた一対の電極間に液晶およびス
ペーサー材を設け、この液晶に電界を加えることによっ
て、液晶の配向を制御し、透過光の状態によって画像を
表示するように構成されている。

【０００３】従来より知られている液晶セルは、図４〜
５に示すように構成されている。

【０００４】図４は液晶表示装置の表示面側から見た平
面図、図５は図４におけるＶ−Ｖ線断面図である。図４
〜５において、１１および１２は、それぞれ対向面側に
電極が設けられた第１および第２のガラス基板であっ
て、この第１および第２のガラス基板１１、１２の対向
面にはそれぞれ電極１３、１４が所定のパターンで設け
られており、かかる電極１３、１４は互いに所定の間隔
だけ離間して対向するように配置されている。１５は第
１および第２のガラス基板１１、１２によって形成され
ている空間の周囲を封止するためのシール部材、１６は
第１および第２のガラス基板１１、１２およびシール部
材１５によって規制されてなるセル空間、１７は液晶
（図示せず）を前記セル空間１６内に注入するための液
晶注入口である。かかる液晶注入口１７は、シール部材
１５を略Ｃ字状に配設して部分的に設けないことによっ
て形成される。１８は第１および第２の基板１１、１２
の表示部分における間隙を維持するために設けられたス
ペーサである。なお、シール部材１５の中にも、スペー
サ（図示せず）として所定のシリカなどが混入されてお
り、第１および第２の基板１１、１２の間隙を維持させ
ている。

【０００５】前液晶セルのセル空間１６に液晶を隅々ま
で封入するためには、つぎのような方法によって液晶の
注入が行なわれる。

【０００６】すなわち、図９〜１０に示すように、真空
槽３２の内部で、並列に複数個の液晶セルＣを、注入口
１７が下向きになるように、カセットなどの支持部材
（図示せず）によって支持させ、真空槽３２を真空引き
し、液晶セルＣ内の空気を充分に排気させる。ついで、
前記カセット（図示せず）またはその下方に配置された
液晶注入皿２１を移動させることにより、図１０に示さ
れるように、液晶注入皿２１を液晶セルＣへ当接させる
とともに液晶注入皿２１に溜められた液晶３１に対し、
液晶セルＣの注入口１７を接触させる。この状態におい
て、真空槽３２内を大気圧に戻すことにより、前記液晶
３１は減圧された液晶セルＣとその外部との圧力差から
液晶セルＣ内に注入される。

【０００７】このような液晶の注入を行なうばあい、従
来より、図６〜８に示すような液晶を溜めておく液晶溜
め溝２２を有する形状の液晶注入皿２１が使われ、図６
〜７に示すようなステンレスなどの金属材料だけで作製
された液晶注入皿、または図８に示すように、前記金属
製液晶注入皿２１の上面全体（液晶溜め溝２２および液
晶セルＣが接する部分２４の両方）に樹脂膜２３が形成
された構成である。かかる液晶溜め溝２２に液晶を溝上
面より盛り上がるように供給して、前記液晶注入を行な
う。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前記のような液晶注入
皿を用いた液晶の注入には、つぎのような問題がある。
第１には、前記図６〜７の液晶注入皿２１では、液晶と
金属部分とのぬれ性がよいため、液晶を液晶溜め溝２２
に供給した時点で、盛り上がった分が溝２２から流れ出
すとともに、液晶セルＣ（図９〜１０参照）と接触した
時点で液晶セルＣの下面をつたって液晶注入皿２１の外
側にこぼれてしまい、液晶不足による液晶セルＣ内への
気泡混入が発生しやすいという問題がある。

【０００９】第２には、前記図８の上面全体に樹脂膜２
３が形成された液晶注入皿２１では、図６〜７のばあい
と比較して液晶とのぬれ性が低い樹脂膜が形成されたこ
とにより、前記のこぼれる問題は改善できるものの、液
晶注入中に溜め溝内の液晶が少なくなった時点で、ぬれ
性が低いために溜め溝２２内で液晶がはじかれて部分的
にかたより、供給すべき注入口と液晶が離れてしまい、
結果として液晶不足による液晶セルＣ内への気泡混入が
発生しやすいという問題がある。

【００１０】本発明はかかる問題を解消するためになさ
れたものであり、液晶がこぼれたり、またははじいたり
するなどによる液晶セル内部への気泡の混入を好適に抑
制することができる液晶注入皿およびそれを用いた液晶
注入方法を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶注入皿は、
液晶溜め溝を有する、液晶セル内へ液晶を注入するため
の液晶注入皿であって、当該液晶注入皿の表面のうち、
前記液晶セルに当接する面にぬれ性が低い樹脂膜が形成
され、かつ前記液晶溜め溝の内面には前記樹脂膜が形成
されていないことを特徴とするものである。

【００１２】前記液晶セルに当接する面において前記液
晶溜め溝を囲むように少なくとも１本の外溝が形成され
ているのが好ましい。

【００１３】前記液晶セルに当接する面のうち、前記樹
脂膜が前記外溝以外の部分に選択的に形成され、かつ前
記外溝の内面には前記樹脂膜が形成されていないのが好
ましい。

【００１４】前記液晶セルに当接する面のうち、前記液
晶溜め溝近傍の周辺部分が当該液晶溜め溝に近くなるに
つれて下降するように傾斜されることにより、傾き部が
形成されているのが好ましい。

【００１５】前記傾き部が２〜１０度程度の角度で前記
液晶溜め溝に近くなるにつれて下降するように傾斜され
ているのが好ましい。

【００１６】前記液晶セルに当接する面のうち、前記樹
脂膜が前記傾き部以外の部分に形成され、かつ前記傾き
部の表面には前記樹脂膜が形成されていないのが好まし
い。

【００１７】前記液晶注入皿の外周の側面に前記樹脂膜
が形成されているのが好ましい。

【００１８】請求項８記載の液晶注入方法は、請求項１
記載の液晶注入皿を用いて、液晶セル内へ液晶を注入す
ることを特徴とするものである。

【００１９】本発明者は液晶注入皿を構成する材料およ
び当該液晶注入皿の表面に形成された樹脂膜における液
晶のぬれ性の差異に着目して、かかる樹脂膜を部分的に
形成することにより、液晶のこぼれおよびはじきの不具
合を両方解消しうる液晶注入皿を創作するに至った。

【００２０】すなわち、本発明によれば、液晶溜め溝を
有する液晶注入皿において、液晶セルに当接する面にぬ
れ性が低い樹脂膜が選択的に形成されているため、液晶
を液晶溜め溝に供給したときに、液晶の盛り上がった分
が溜め溝から液晶注入皿の上面をつたって流れ出すこと
がない。しかも、盛り上がった液晶が液晶セルに接触し
たときに液晶セルの下面または液晶注入皿の上面をつた
って液晶が流れ出す不具合もなくなる。したがって、液
晶不足による液晶セル内への気泡混入が発生しなくな
る。

【００２１】一方、前記液晶溜め溝の内面には前記樹脂
膜が形成されておらず、液晶注入皿を構成するぬれ性が
よい材料部分が露出しているため、液晶注入中に溜め溝
内の液晶が少なくなっても液晶は溝内に均一に付着して
いるため、液晶セルの注入口と液晶が離れることがな
く、その結果、液晶不足による液晶セル内への気泡混入
が発生しなくなる。

【００２２】

【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明の液晶注入皿およびそれを用いた液晶注入方法を詳細
に説明する。図１は本発明の液晶注入皿の一実施例を示
す断面説明図、図２は本発明の液晶注入皿の他の実施例
を示す断面説明図および図３は本発明の液晶注入皿のさ
らに他の実施例を示す断面説明図である。

【００２３】本発明の液晶注入皿は、液晶注入皿の表面
のうち、液晶セルに当接する面に選択的に形成すること
により、液晶のこぼれおよびはじきの不具合を両方解消
しうるものである。かかる液晶注入皿について、以下の
実施例１〜３において順に説明する。

【００２４】実施例１．図１に示される液晶注入皿１
は、液晶溜め溝２を有しており、外形形状は従来の液晶
注入皿２１（図６参照）とほぼ同じである。液晶注入皿
１の表面のうち、液晶セルＣ（図９〜１０参照）に当接
する当接面６に樹脂膜３が選択的に形成されているが、
前記液晶溜め溝２の内面には前記樹脂膜３が形成されて
いない。

【００２５】液晶注入皿１は、アルミニウム、ステンレ
スまたはその他種々のぬれ性がよい材料によって作製さ
れる。そのうち、とくにアルミニウム、ステンレスなど
の金属材料を用いれば、きわめて良好なぬれ性がえられ
るとともに加工が容易であり、さらに耐薬品性および耐
腐食性を有するとともに液晶への汚染を防止することが
できるという利点を有しているためとくに好ましい。な
お、液晶注入皿１を構成する材料は、液晶溜め溝２に液
晶を供給したときに液晶が液晶溜め溝２内部に均一に分
布できる程度の良好なぬれ性を有する材料であれば、い
かなるものでも採用可能であり、本発明においてとくに
限定されるものではない。

【００２６】前記当接面６上に形成される樹脂膜３は、
フッ素樹脂（たとえば、テフロン（商品名：（株）デュ
ポン社製）など）などのぬれ性が低い樹脂からなる。な
お、樹脂膜３は、液晶溜め溝２に液晶が盛り上がるよう
に供給したときに液晶が液晶溜め溝２から流れ出さない
程度の低いぬれ性を有する材料であれば、いかなるもの
でも採用可能である。

【００２７】本実施例の液晶注入皿を用いて液晶セル内
に液晶を注入するばあい、液晶と樹脂膜３とのぬれ性が
低いために、液晶が液晶溜め溝２に盛られた時点、およ
び真空槽３２内（図９〜１０参照）が減圧されたのち液
晶セルＣ（図９〜１０参照）が接触した時点において、
液晶注入皿１の上面をつたって液晶がこぼれなくなる。
したがって、液晶不足による液晶セル内への気泡混入が
発生しなくなる。

【００２８】また、液晶と液晶注入皿１の金属などの母
材の表面とのぬれ性がよいため、液晶溜め溝２に残って
いる液晶が少なくなっても、液晶溜め溝２の底面にはじ
くことなく均一に分布することができる。したがって、
液晶不足による液晶セル内への気泡混入が発生しなくな
る。

【００２９】実施例２．図２に示される液晶注入皿１
は、液晶注入皿１の表面のうち、液晶セルＣ（図９〜１
０参照）に当接する当接面６に樹脂膜３が選択的に形成
されているが、前記液晶溜め溝２の内面には前記樹脂膜
３が形成されていない点では、前記図１の液晶注入皿１
と共通しているが、図２のばあい、液晶注入皿１の上面
の液晶セルＣ（図９〜１０参照）と当接する当接面６
に、液晶溜め溝２を囲むように外溝４が形成され、当該
外溝４の内面は樹脂膜３が形成されない構成になってい
る点で図１の液晶注入皿とは構成が異なっている。かか
る構成により、前記実施例１と同様に液晶不足による液
晶セル内への気泡混入を防止することができるととも
に、それに加えて液晶注入皿１の上面と当接する液晶セ
ルＣ（図９〜１０参照）の注入口１７近傍の部位におい
て一対のガラス基板に段差があるばあい（いいかえれ
ば、一対のガラス基板の注入口１７側の端面が一致して
いないばあい）にも、液晶が液晶注入皿と段差とのあい
だをつたってこぼれようとしても、外溝４で液晶がとど
まり、こぼれにくくなる。

【００３０】外溝４の内面についても樹脂膜３を省略す
れば、外溝４の内面もぬれ性がよくなり、液晶のこぼれ
をより効果的に抑えることができる。また、外溝４の内
面に樹脂膜３を形成しても、外溝４が充分深ければ、液
晶はこぼれない。

【００３１】なお、図２にはループ状の外溝４が１本形
成されている例が示されているが、本発明はこれに限定
されるものではなく、適宜の本数を形成すればよい。外
溝４の本数を増やせば、液晶のこぼれを防止する効果は
より向上する。

【００３２】実施例３．図３に示される液晶注入皿１
は、液晶注入皿１の表面のうち、液晶セルＣ（図９〜１
０参照）に当接する当接面６に樹脂膜３が選択的に形成
されているが、前記液晶溜め溝２の内面には前記樹脂膜
３が形成されていない点では、前記図１の液晶注入皿１
と共通しているが、図３のばあい、液晶注入皿１の上面
の液晶セルＣ（図９〜１０参照）と当接する面のうち、
前記液晶溜め溝２近傍の周辺部分が当該液晶溜め溝２に
近くなるにつれてなだらかに下降するように傾斜される
ことにより、傾き部５が形成されている点で図１の液晶
注入皿とは構成が異なっている。なお、図３において、
液晶注入皿１の上面のうち、傾き部５に対して、実際に
液晶セルに当接する面を当接面６として区別している。
かかる構成により、前記実施例１と同様に液晶不足によ
る液晶セル内への気泡混入を防止することができるとと
もに、それに加えて液晶注入皿１と液晶セルＣとの接触
部分（すなわち、当接面６）が前記図１〜２の液晶注入
皿のばあいに比べて狭くなるため、かかる接触部分をつ
たって液晶がこぼれにくくなる。

【００３３】前記傾き部５の角度は液晶のこぼれを防止
しうるように適宜設定すればよいが、好ましくは、前記
傾き部５が２〜１０度程度の角度θで前記液晶溜め溝に
近くなるにつれて下降するように傾斜されているのが好
ましい。

【００３４】前記樹脂膜３は、図３のように傾き部５の
部位にも形成すれば、液晶のこぼれをより効果的に抑え
ることができる。

【００３５】一方、前記液晶セルに当接する面のうち、
前記樹脂膜３が前記傾き部５以外の部分に形成され、か
つ前記傾き部５の表面には前記樹脂膜３が形成されない
ようにしてもよい。すなわち、図３において、傾き部５
の部分の樹脂膜３を省略し、当接面６の部分のみに樹脂
膜３を形成してもよい。これにより、樹脂膜３が形成さ
れる面積を減少させることができ、液晶注入皿の生産コ
ストを削減することができる。

【００３６】前記実施例１〜３において，前記樹脂膜３
がさらに液晶注入皿１の外周の側面（たとえば、図１に
おいてＳで示す面）にも形成されていれば、液晶のこぼ
れをより効果的に抑えることができる。

【００３７】

【発明の効果】本発明によれば、液晶溜め溝を有する液
晶注入皿において、液晶セルに対して接触する面に選択
的に樹脂膜を形成し、かつ液晶溜め溝内面には樹脂膜を
形成しない構成としたことにより、液晶の外部へのこぼ
れおよび液晶溜め溝内部におけるはじきの両方を解消す
ることができ、その結果、液晶セル内への気泡の混入を
防止することができる。したがって、本発明の液晶注入
皿を用いて液晶の注入作業を行なうことにより、高品質
の液晶セルを製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液晶注入皿の一実施例を示す断面説明
図である。

【図２】本発明の液晶注入皿の他の実施例を示す断面説
明図である。

【図３】本発明の液晶注入皿のさらに他の実施例を示す
断面説明図である。

【図４】液晶セルの平面図である。

【図５】図４の液晶セルのＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】従来の金属製の液晶注入皿の斜視図である。

【図７】図６の液晶注入皿のＶＩＩ−ＶＩＩ線断面図で
ある。

【図８】従来の樹脂膜を有する液晶注入皿の断面図であ
る。

【図９】従来の液晶注入方法の液晶注入直前の状態を示
す断面図である。

【図１０】従来の液晶注入方法の液晶注入中の状態を示
す断面図である。

【符号の説明】

１ 液晶注入皿 ２ 液晶溜め溝 ３ 樹脂膜 ４ 外溝 ５ 傾き部 ６ 当接面

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶溜め溝を有する、液晶セル内へ液晶
   を注入するための液晶注入皿であって、当該液晶注入皿
   の表面のうち、前記液晶セルに当接する面にぬれ性が低
   い樹脂膜が形成され、かつ前記液晶溜め溝の内面には前
   記樹脂膜が形成されていないことを特徴とする液晶注入
   皿。
2. 【請求項２】 前記液晶セルに当接する面において前記
   液晶溜め溝を囲むように少なくとも１本の外溝が形成さ
   れてなる請求項１記載の液晶注入皿。
3. 【請求項３】 前記液晶セルに当接する面のうち、前記
   樹脂膜が前記外溝以外の部分に選択的に形成され、かつ
   前記外溝の内面には前記樹脂膜が形成されていない請求
   項２記載の液晶注入皿。
4. 【請求項４】 前記液晶セルに当接する面のうち、前記
   液晶溜め溝近傍の周辺部分が当該液晶溜め溝に近くなる
   につれて下降するように傾斜されることにより、傾き部
   が形成されてなる請求項１、２または３記載の液晶注入
   皿。
5. 【請求項５】 前記傾き部が２〜１０度程度の角度で前
   記液晶溜め溝に近くなるにつれて下降するように傾斜さ
   れてなる請求項４記載の液晶注入皿。
6. 【請求項６】 前記液晶セルに当接する面のうち、前記
   樹脂膜が前記傾き部以外の部分に形成され、かつ前記傾
   き部の表面には前記樹脂膜が形成されていない請求項４
   記載の液晶注入皿。
7. 【請求項７】 外周の側面に前記樹脂膜が形成されてな
   る請求項１、２、３、４、５または６記載の液晶注入
   皿。
8. 【請求項８】 請求項１記載の液晶注入皿を用いて、液
   晶セル内へ液晶を注入することを特徴とする液晶注入方
   法。