JP2000154298A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2000154298A JP10328347A JP32834798A JP2000154298A JP 2000154298 A JP2000154298 A JP 2000154298A JP 10328347 A JP10328347 A JP 10328347A JP 32834798 A JP32834798 A JP 32834798A JP 2000154298 A JP2000154298 A JP 2000154298A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】難燃性、透明性、耐衝撃性、耐光性、成形性、
及び熱安定性に優れたスチレン系難燃性樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】(A)スチレン系単量体35〜75重量
%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体65〜25重
量%、及びこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量
体0〜10重量%からなるスチレン−(メタ)アクリル
酸エステル系重合体99〜85重量部とゴム状弾性体1
〜15重量部とからなり、スチレン−(メタ)アクリル
酸エステル系重合体からなる連続相中にゴム状弾性体を
主成分とする軟質成分の分散粒子が分散相としてなるゴ
ム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、(B)ハ
ロゲン含有リン酸エステル3〜13重量部、及び(C)
リン系安定剤0.5〜7重量部を含有することを特徴と
する難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、透明性、
耐衝撃性、耐光性、成形性、及び熱安定性に優れたスチ
レン系難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、透明性、成形性、剛
性に優れた樹脂であるところから、家庭用品、電気製
品、包装等の成形材料として広く用いられてきた。利用
分野が拡大するに従い、様々な特性が要求されてきた。
これらの用途で、電気製品に用いられる樹脂には耐衝撃
性等の機械的強度以外にUL(米国)、CSA(カナ
ダ)、電気用品取締法(日本)、IEC等の規格に定め
られた難燃性が要求される。スチレン系樹脂の難燃化の
手法としては難燃剤等の添加が最も一般的であるが、必
要な難燃性を確保するには、多量に難燃剤を添加する必
要があり衝撃強度の低下が著しい。このためベースとな
る樹脂は衝撃強度に優れるHIPSやABS樹脂が用い
られる。HIPSやABS樹脂は一般に不透明であり、
また添加する難燃剤も透明性を維持できるものとは限ら
ないため、スチレン系樹脂を難燃化する場合、スチレン
系樹脂の特徴の一つである透明性については犠牲とされ
る場合が多かった。
【0003】スチレン系樹脂で透明難燃性樹脂の従来の
技術としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体に
テトラブロモビスフェノールAを添加するとこにより透
明性を維持したまま難燃性を付与できることが知られて
いるが、この樹脂は耐衝撃性、熱安定性、耐光性に劣る
ため適用される用途に制限があった。またスチレン系樹
脂以外の透明難燃樹脂の従来の技術としてはポリメチル
メタクリレートの透明難燃化技術が知られているが、や
はり耐衝撃性が低いという欠点がある。また耐衝撃性に
優れた透明難燃樹脂としてはポリカーボネート系難燃性
樹脂が知られているが、成形性が非常に劣るため大型成
形物への適用が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決し難燃性、透明性、耐衝撃性、耐光性、成形性、及び
熱安定性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を果たすべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゴム変性
スチレ系樹脂と特定のハロゲン含有リン酸エステルとリ
ン系安定剤を組み合わせる事により、透明性と耐衝撃性
に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(A)
スチレン系単量体35〜75重量%、(メタ)アクリル
酸エステル系単量体65〜25重量%、及びこれらの単
量体と共重合可能なビニル系単量体0〜10重量%から
なるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体9
9〜85重量部とゴム状弾性体1〜15重量部(但し,
合計量は100重量部とする。)とからなり、スチレン
−(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる連続相
中にゴム状弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が
分散相としてなるゴム変性スチレン系樹脂100重量部
に対して、(B)ハロゲン含有リン酸エステル3〜13
重量部、及び(C)リン系安定剤0.5〜7重量部を含
有することを特徴とする難燃性樹脂組成物である。更
に、好ましくは、(A)成分がゴム状弾性体の存在下で
スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、及びこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体
とからなる単量体混合物を重合してなるゴム変性スチレ
ン系樹脂であって、ゴム状弾性体1〜15重量部、並び
にスチレン系単量体35〜75重量%、(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体65〜25重量%、及びこれらの
単量体と共重合可能なビニル系単量体0〜10重量%か
らなるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体
99〜85重量部とからなり、かつスチレン−(メタ)
アクリル酸エステル系重合体からなる連続相中にゴム状
弾性体を主成分とする軟質成分の分散粒子が分散相とし
てなるゴム変性スチレン系樹脂である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
難燃性樹脂組成物を構成するゴム変性スチレン系樹脂
は、スチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体単位、及びこれらの単量体と共重合可能なビ
ニル系単量体単位とからなるスチレン−(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体の連続相中にゴム状弾性体を主成
分とする軟質成分の分散粒子が分散相を形成しているゴ
ム変性スチレン系樹脂である。
【0007】使用されるゴム状弾性体としては、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエ
ンランダム共重合体があげられる。スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、及びスチレン−ブタジエンランダ
ム共重合体のスチレン単量体単位とブタジエン単量体単
位の重量比は、15〜60:85〜40であることがゴ
ム変性スチレン系樹脂の透明性を得るために好ましい。
さらには、スチレン単量体単位とブタジエン単量体単位
の重量比が、20〜60:80〜40であることがゴム
変性スチレン系樹脂の良好な透明性を得るために好まし
い。
【0008】なお、ゴム状弾性体が、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体である場合には、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体のスチレン単量体単位とブタジ
エン単量体単位の重量比が30〜50:70〜50であ
ることがゴム変性スチレン系樹脂の良好な透明性を得る
ために更に好ましい。また、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体はポリスチレン部分の重量平均分子量(M
w)が45,000〜75,000の範囲にあることも
良好な透明性を得るために好ましい。Mwが45,00
0未満であるか75,000を越えると、ゴム変性スチ
レン系樹脂の透明性が劣る傾向になる。さらに、Mwの
数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は1.
20〜1.80であることが好ましい。この範囲を外れ
るとやはりゴム変性スチレン系樹脂の特に優れた透明性
を得ることができ難くなる。なお、ポリスチレン部分の
分子量は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を文
献「RUBBERCHEMISTRY AND TEC
HNOLOGY」、Vol.58、P.16(Y.Ta
naka,et.al.,1985)に記載の方法でオ
ゾン分解して得たポリスチレンのGPCを測定し、各ピ
ークに対応する分子量を標準ポリスチレンを用いて作成
した検量線から求めて算出した。
【0009】本発明で使用されるスチレン−ブタジエン
共重合体は、有機溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤
としてスチレン単量体とブタジエン単量体を特定の条件
下に重合するこよによって得られる。有機溶媒としては
ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタ
ン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シク
ロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環
式炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、エチルベンゼ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素等公知の有機溶媒が使
用できる。また、有機リチウム化合物は分子中に1個以
上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチ
ルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチ
ウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t
−ブチルリチウム等が使用できる。
【0010】また、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体の場合、ポリスチレン部分の重量平均分子量(M
w)は、スチレン単量体とブタジエン単量体の添加量に
対する開始剤の添加量割合を調整することにより制御さ
れる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の
ポリスチレン部分の重量平均分子量(Mw)の数平均分
子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は、酢酸、ステ
アリン酸のような有機酸、エタノール、ブタノールのよ
うなアルコールあるいは水等の失活剤を、重合途中に使
用量あるいは添加時期を調整して添加することにより制
御される。
【0011】本発明で得られるゴム変性スチレン系樹脂
に含まれるゴム状弾性体は1〜15重量部である。ゴム
状弾性体が1重量部未満では優れた衝撃強度を得ること
ができず、15重量部を越えると透明性、成形性が低下
し好ましくない。
【0012】本発明のゴム状弾性体は、実質的にスチレ
ン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体がゴム状弾性
体にグラフトし、かつ該グラフトしたゴム状弾性体がス
チレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体を内包
し、ゴム変性スチレン系樹脂に分散粒子として存在する
ものであるので、これらを総称してゴム状弾性を主成分
とする軟質成分の分散粒子という。
【0013】つぎに、本発明で使用されるゴム変性スチ
レン系樹脂の連続相を形成する重合体の単量体について
説明する。本発明において、ゴム変性スチレン系樹脂中
の連続相はスチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸
エステル系単量体単位、及び必要に応じてこれらの単量
体と共重合可能なビニル系単量体単位からなる。
【0014】本発明で使用されるスチレン系単量体と
は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチル
スチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることがで
きるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系
単量体は、単独で用いてもよいが2種類以上を併用して
もよい。
【0015】また、本発明で使用される(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体とは、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのメタ
クリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オク
チルアクリレート等のアクリル酸エステルがあげられる
が、好ましくはメチルメタクリレート、又はn−ブチル
アクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体は単独で用いてもよいが2種類以上を併用
してもよい。
【0016】更に、必要に応じてこれらの単量体と共重
合可能なビニル系単量体としては、アクリル酸、メタア
クリル酸、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等があげられる。
【0017】本発明で使用されるゴム変性スチレン系樹
脂を形成するスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル
酸エステル系単量体単位の重量比は35〜75:65〜
25であり、好ましくは42〜59:58〜41であ
る。スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体単位の重量比が35〜75:65〜25の範
囲外では、ゴム変性スチレン系樹脂の透明性が低下す
る。またこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量体
は、単量体混合物中0〜10重量%存在するものである
が、10重量%を越えるとゴム変性スチレン系樹脂の透
明性が低下するので好ましくない。
【0018】本発明で使用するゴム変性スチレン系樹脂
の製造は、常用されている塊状重合法、溶液重合法、懸
濁重合法、乳化重合法等が用いられる。また、回分式重
合法、あるいは連続式重合法のいずれの方法も用いるこ
とができる。
【0019】これらの重合法は、重合開始剤としてアゾ
ビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニ
トリル等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3
−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の有機過
酸化物を用いることができる。また、分子量調節剤とし
てt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1を、
また、可塑剤としてジイソブチルアジペートやブチルベ
ンジルフタレート等を必要に応じて添加してもよい。
【0020】次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる
ハロゲン含有リン酸エステルについて説明する。本発明
に用いるハロゲン含有リン酸エステルとしては、トリス
(クロロエチル)ホスフェート、トリアリルホスフェー
ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス−β
−クロロプロピルホスフェート、クロロアルキルホスフ
ェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェー
ト等があげられる。これらのハロゲン含有リン酸エステ
ルを単独もしくは併用使用することもできる。これらの
うち、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート
が特に好ましい。
【0021】ハロゲン含有リン酸エステルの添加量は3
〜13重量部が好ましく、更に3.5〜11重量部が好
ましい。ハロゲン含有リン酸エステルの添加量が3重量
部より少ないと難燃性の確保、向上が期待できない。ま
た、13重量部を越えると難燃樹脂組成物の耐衝撃性、
耐光性、熱安定性の低下が著しい。
【0022】次に、本発明の難燃性樹脂組成物に用いる
リン系安定剤について説明する。本発明で用いるリン系
安定剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリキシニルホスフェート、トリメ
チルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジル
フェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニ
ルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホス
フェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホ
スフェート、芳香族リン酸エステル、ジエチル−N,N
ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェー
ト、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート、
芳香族縮合リン酸エステル等のリン酸エステルがあげら
れる。これらのリン系安定剤は単独もしくは併用使用す
ることもできる。これらのうち、トリフェニルホスフェ
ートが特に好ましい。
【0023】リン系安定剤の添加量は0.5〜7重量部
が好ましく、更に1〜6重量部が好ましい。リン系安定
剤の添加量が0.5重量部より少ないと難燃性の確保、
向上が期待できない。また、7重量部を越えると難燃樹
脂組成物の耐熱性の低下が著しい。
【0024】また、ハロゲン含有リン酸エステルとリン
系安定剤との総添加量は、4〜15重量部が好ましく、
更に5〜14重量部が好ましい。総添加量が4重量部未
満では必要な難燃性が確保できず、15重量部を越える
と衝撃強度の低下が著しい。
【0025】上記ゴム変性スチレン系樹脂に、ハロゲン
含有リン酸エステル及びリン系安定剤の混合方法には特
に制約が無いが、たとえば、タンブラー、ヘンシェルミ
キサー等の公知のブレンダーであらかじめゴム変性スチ
レン系樹脂とハロゲン含有リン酸エステル及びリン系安
定剤を予備混合し、押出機にて溶融混練後ペレット化し
て難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【0026】また、必要に応じて酸化防止剤、耐候剤、
滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等の
添加剤を重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理、
重合体の造粒、成形、加工等の任意の段階で配合しても
よい。
【0027】
【実施例】次に実施例をもって本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの例によって限定されるものではな
い。
【0028】次に、本発明で用いた原料樹脂、難燃剤、
及び添加剤等について説明する。 (1)ゴム変性スチレン系樹脂(A)の製造 A1:オートクレーブ中で、スチレン42.5重量部及
びメチルメタクリレート57.5重量部のモノマー混合
物にスチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量25
%、旭化成社製商品名タフデン2000)5.0重量部
を溶解し、重合開始剤としてt−ドデシルメルカプタン
0.2重量部を添加し、オートクレーブを撹拌下で温度
90℃に加熱した。重合転化率が30%に達した時に冷
却して塊状重合を停止した。次いで該反応混合液に新た
に重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.2重
量部を添加した。純水200重量部にドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムを0.001重量部、第三リン酸
カリウム0.5重量部を懸濁安定剤として添加し、撹拌
下に混合液を分散させた。分散後、温度100℃で2時
間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間重合
反応させた。反応終了後、洗浄、脱水後乾燥しビーズ状
のゴム変性スチレン系樹脂A1を得た。
【0029】A2及びA3:A1の製造過程で、スチレ
ン−ブタジエン共重合体(スチレン含量25%、旭化成
社製商品名タフデン2000)の溶解量を10重量部
(A2)、20重量部(A3)に変更した以外はゴム変
性スチレン系樹脂A1と同様に製造し、それぞれゴム変
性スチレン系樹脂A2、A3を得た。
【0030】A4:オートクレーブ中で、スチレン5
8.5重量部、メチルメタクリレート36.0重量部及
びn−ブチルアクリレート5.5重量部のモノマー混合
物にスチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン
含量40%、ポリスチレン部分の重量平均分子量46,
500、重量平均分子量/数平均分子量=1.27)を
6.0重量部溶解し、重合開始剤としてベンゾイルパー
オキサイド0.04重量部、連鎖移動剤としてt−ドデ
シルメルカプタン0.2重量部を添加し、撹拌下で温度
90℃にした。重合転化率が30%に達したとき冷却し
て塊状重合を停止した。それ以降はゴム変性スチレン系
樹脂A1と同様に製造し、A4を得た。なお、ゴム変性
スチレン系樹脂A1〜A4の単量体単位及びゴム状弾性
体の量を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】なお、表1のゴム変性スチレン系樹脂中の
ゴム状弾性体の量の測定は、赤外吸収スペクトル法によ
りあらかじめ求めたゴム状弾性体のスチレンとブタジエ
ンの重量比と、赤外吸収スペクトル法により求めたゴム
変性スチレン系樹脂中のブタジエンの重量比から、ゴム
変性スチレン系樹脂中のゴム状弾性体量を求めた。赤外
吸収スペクトルは、日本バイオラッドラボラトリーズ社
製 FTS−575C型を用いて測定した。
【0033】また、ゴム変性スチレン系樹脂中の連続相
の構成単量体単位は、ゴム変性スチレン系樹脂をトルエ
ンに溶解後、遠心分離を行い、上澄み液を分取しメタノ
ールを加え、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系
重合体を沈澱させる。この沈澱物を乾燥し、これを重ク
ロロホルムに溶解して2%溶液に調製して測定試料と
し、FT−NMR(日本電子社製FX−90Q型)を用
いて、13Cを測定し、スチレン−(メタ)アクリル酸エ
ステル系重合体のピーク面積から連続相の構成単位を求
めた。
【0034】(2)ハロゲン含有リン酸エステル ハロゲン含有リン酸エステルとして下記の(B1)を用
いた。 (B1):トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェ
ート(大八化学社製CR900) (3)リン系安定剤 リン系安定剤として下記の(C1)を用いた。 (C1):トリフェニルフォスフェート(大八化学社製
TPP) (4)その他の難燃剤 また比較例に以下のハロゲン系難燃剤を用いた (D1):テトラブロモビスフェノールA(GLC社製
BA−59) (D2):テトラブロモビスフェノールA系エポキシオ
リゴマー(東都化成社製TB60)
【0035】(5)その他の添加剤として以下の3種類
を用いた。 (E1)錫系安定剤(三共有機合成社製STANN B
N(N)) (E2)滑剤:エチレンビスマレイミド(花王社製EP
−P) (6)その他の比較例樹脂と以下の樹脂を用いた。 PMMA:ポリメチルメタアクリレート(住友化学社製
スミペックLG6) GPPS:一般ポリスチレン(電気化学工業社製デンカ
スチロールGP−1)
【0036】次に、本発明の難燃性樹脂組成物の製造に
ついて説明する。表2、及び表3に示す原料配合比(重
量部)で、タンブラーを用い予備混練後、単軸押出機に
より下記の条件にて溶融混練して難燃樹脂組成物を得
た。得られた難燃性樹脂組成物の難燃性及び各種評価結
果を表2及び表3の下段に示す。 単軸押出機:中谷社製VSK−40(スクリュー径40
mm、L/D=28)
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】実施例、比較例に示された各種測定は以下
の方法で実施した。 1)難燃性:UL−94垂直燃焼性試験に準拠し、1.
5mm及び3.0mmの厚さのテストピースにつき、燃
焼性を評価した。 2)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256に準拠
し、幅1/4”のVノッチ付きテストピースを使用し温
度23℃で測定した。 3)落錘衝撃強度:JIS K−7211に従い、90
mm×90mm×2mmの射出成形角板を使用し、温度
23℃、湿度90%RHの条件で50%破壊高さを測定
した。錘重量は500gである。 4)メルトフローレート(MFR):ASTM D−1
238に準拠し、温度220℃、10kg荷重下で測定
した。 5)全線透過率:2mm厚のサンプルを用いてASTM
D−1003に準じて測定した。 6)透明性:2mm厚の射出成形プレートを目視にて以
下のように4段階によりランク分けした。 ◎:曇りなく透明性良好 ○:若干曇るが透明性良好 △:曇りあり透明性に劣る ×:透明性が無い 7)耐光性:アトラス社製キセノンウエザーメータを用
い、照射強度0.35W/m2 、ブラックパネル温度6
3℃、湿度50%で300時間照射後のテストプレート
の色相差△Eを、日本電色工業社製Σ80で測定した。 8)熱安定性:小型射出成形機(IS50EP/東芝機
械製)で、樹脂をシリンダー設定温度240℃で20分
滞留後、2mm厚プレートを成形し、滞留前のテストプ
レートとの色相差を日本電色工業社製Σ80で測定し
た。
【0040】
【発明の効果】本発明により、難燃性、透明性、耐衝撃
性、成形性、耐光性、及び熱安定性に優れた難燃性樹脂
組成物を得ることができる。このようにして得られたゴ
ム変性スチレン系樹脂の難燃性樹脂組成物は、家電、O
A機器部品等の幅広い用途に適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC081 BC071 BN141 BP011 EW047 EW056 FD037 FD136 GC00 GG02 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スチレン系単量体35〜75重量
    %、(メタ)アクリル酸エステル系単量体65〜25重
    量%、及びこれらの単量体と共重合可能なビニル系単量
    体0〜10重量%からなるスチレン−(メタ)アクリル
    酸エステル系重合体99〜85重量部とゴム状弾性体1
    〜15重量部(但し,合計量は100重量部とする。)
    とからなり、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系
    重合体からなる連続相中にゴム状弾性体を主成分とする
    軟質成分の分散粒子が分散相としてなるゴム変性スチレ
    ン系樹脂100重量部に対して、(B)ハロゲン含有リ
    ン酸エステル3〜13重量部、及び(C)リン系安定剤
    0.5〜7重量部を含有することを特徴とする難燃性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)ゴム状弾性体の存在下でスチレン
    系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び
    これらの単量体と共重合可能なビニル系単量体とからな
    る単量体混合物を重合してなるゴム変性スチレン系樹脂
    であって、ゴム状弾性体1〜15重量部、並びにスチレ
    ン系単量体35〜75重量%、(メタ)アクリル酸エス
    テル系単量体65〜25重量%、及びこれらの単量体と
    共重合可能なビニル系単量体0〜10重量%からなるス
    チレン−(メタ)アクリル酸エステル系重合体99〜8
    5重量部とからなり、かつスチレン−(メタ)アクリル
    酸エステル系重合体からなる連続相中にゴム状弾性体を
    主成分とする軟質成分の分散粒子が分散相としてなるゴ
    ム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、(B)ハ
    ロゲン含有リン酸エステル3〜13重量部、及び(C)
    リン系安定剤0.5〜7重量部を含有することを特徴と
    する難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分のゴム状弾性体がスチレン単
    量体15〜60重量%とブタジエン単量体40〜85重
    量%からなるスチレン−ブタジエン共重合体であること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の難燃性樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 (A)成分のゴム状弾性体がスチレン単
    量体30〜50重量%とブタジエン単量体70〜50重
    量%からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体で
    あって、該スチレン−ブタジエンブロック共重合体のポ
    リスチレン部分の重量平均分子量が45,000〜7
    5,000であり、かつ重量平均分子量(Mw)と数平
    均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.20〜1.
    80であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ハロゲン含有リン酸エステルとしてトリ
    ス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを用いるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記
    載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 リン系安定剤としてトリフェニルホスフ
    ェートを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
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