JP2004189807A - 透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度、透明性、成形性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】連続相および分散相を有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、特定のスチレン系重合体(A)、ブタジエン単位を含有する特定のゴム状重合体(B)および(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)を含有することを特徴とする透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】連続相および分散相を有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、特定のスチレン系重合体(A)、ブタジエン単位を含有する特定のゴム状重合体(B)および(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)を含有することを特徴とする透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強度、透明性、成形性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は強度、透明性、成形性に優れているため、食品容器、家庭用品、電気製品などの成形材料として、これまで広く用いられてきた。しかし、スチレン系樹脂は比較的脆いという欠点を有しており、ゴム状弾性体を分散粒子として含有する、いわゆる耐衝撃性ゴム変性スチレン系樹脂が開発された。しかし衝撃性は向上したが、この樹脂はシート、フィルムに成形しても不透明であり、透明性を要求される分野では利用できない。
【0003】
透明性を有するゴム変性スチレン系樹脂組成物が連続相とゴム成分を含む分散相との屈折率の差を小さくすることによって開発された(非特許文献1参照)。このような透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は流動性が低く、成形温度を上げて成形すると変色等の問題や透明性が低下する等の課題を有する。
【0004】
流動性を向上させるためにはスチレン系樹脂に流動パラフィンを添加することが古くから公知であり、また、脂肪酸エスエル、脂肪族アミドなどを配合する技術が開示されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような添加剤は透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物の流動性は向上させるが透明性を低下させるという欠点を有する。
【0005】
芳香族系樹脂の流動性改良を目的に、重量平均分子量Mw2200〜3800、分子量分布 Mw/Mn2.2以下の低分子量ポリスチレンを添加する技術が開示されている(特許文献3参照)。しかし、透明なゴム変性スチレン系樹脂組成物に対しては衝撃性、透明性を低下させる欠点を有する。
数平均重合度50以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合物をゴム変性スチレン系樹脂組成物に添加し流動性を改良する技術が知られている(特許文献4参照)。しかし、ここで開示されているゴム変性スチレン系樹脂組成物は不透明系樹脂であり、開示された方法では透明なゴム変性スチレン系樹脂において透明性、 衝撃性の双方をみたすことは出来ない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−223104
【特許文献2】
特開昭62−257951
【特許文献3】
特開平09−328589
【特許文献4】
特開昭52−130855
【非特許文献1】
日本化学会編 季刊化学総説39,1998、透明ポリマーの屈折率制御 P213−P218
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の技術における問題点を解決し、強度、透明性、成形性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、連続相および分散相を有し、下記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準とする成分(C)の割合が1〜20質量部であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在することを特徴とするものである。
成分(A):スチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するスチレン系重合体
成分(B):ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するゴム状重合体
成分(C):(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルともいう。
本発明で用いるスチレン系重合体(A)は、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位を必須構成単位として有するものである。
スチレン系重合体(A)を構成するスチレン系単量体としては、スチレンが一般的であるが、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン化スチレンなどを用いることができる。好ましいスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンがあり、特にスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル等が挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。 メタクリル酸メチルは特に好ましい。
【0011】
スチレン系重合体(A)はスチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するものである。
【0012】
スチレン系重合体(A)は公知の重合方法を用いて製造することができる。ただし、乳化重合法では得られた樹脂は透明であるものの、黄色く着色してしまうという問題があり、塊状重合後さらに懸濁重合を行う塊状−懸濁重合法では、得られた樹脂の透明性と強度のバランスが低下するという問題がある。そのため塊状重合法または溶液重合法などを用いることが好ましい。
【0013】
スチレン系重合体(A)の製造に当っては、重合時に必要に応じて重合開始剤を使用することができる。例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物と、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ系化合物があり、これらを単独で、または2種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの重合開始剤の添加方法は特に制約されるものではなく、重合初期に一括仕込する方法、重合初期から重合後期にわたって数回に分けて分割添加する方法、あるいはそれら二つの方法を同時に使用することもできる。
【0014】
スチレン系重合体(A)の製造に当っては、重合時には必要に応じて連鎖移動剤や溶剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等を挙げることができる。また溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ジアルキル基キルケトン類の単独または2種類以上の混合物がある。溶剤の使用量としては、反応溶液全体に対して0〜50質量%の範囲で使用される。50質量%を超えると重合速度が著しく低下し、また溶剤回収エネルギーが大きくなり経済性が劣ってくる。
【0015】
本発明で用いるゴム状重合体(B)は、ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するものであり、好ましくはブタジエン単位 60〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜40質量%を含有するものである。ゴム状重合体中のブタジエン単位が40質量%未満になるとアイゾット衝撃強度と透明性のバランスを保つことが困難になってくる。
【0016】
透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物におけるスチレン系重合体(A)およびゴム状重合体(B)の比率は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準として質量比99/1〜60/40である。透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在する。ゴム状重合体の質量比が1%未満である場合には衝撃強度の改善効果がほとんど見られず、また40%を超えると、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の成形性や透明性が低下してしまう。またゴム変性スチレン系樹脂組成物の透明性を発現するためには、一般に連続相と分散ゴム粒子相との屈折率の差が0.01以下、好ましくは0.005以下であることが望ましい。
【0017】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下の(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。分子量がMw5000を超えると透明性の低下が起こり、流動性改良効果が低くなる。Mw1000未満では揮発性が出てきて成型時にガス発生やブリードなどが起きやすくなる。好ましくはMw1000〜2500であり、さらに好ましくはMw1000〜2000である。数平均分子量Mnは好ましくは1500以下であり、さらに好ましくは1250以下である。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は2.5以上では成型性、透明性、衝撃性のバランスがとれない。より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.8以下である。
【0019】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の原料となる(メタ)アクリル酸エステルは、たとえば炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等があげられる。これらは、一種または二種以上を用いることができる。特に好ましくは炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)であり、アルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分を5〜100質量%含む共重合体がよい。さらに流動改良性、衝撃性、透明性のバランスを最適化するとアルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分を5〜70質量%含む共重合体がよい。さらに好ましくはアルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分が2エチルヘキシルアクリレートである共重合体が好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有するものである。(メタ)アクリル酸エステル単位の好ましい割合は90〜100質量%であり、より好ましい割合は95〜100質量%である。(メタ)アクリル酸エステル単位の割合が80%以下では流動性改良効果は低下し、衝撃性、透明性を維持することが困難になる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の単量体単位を20質量%以下含有するのもであってもよい。(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体とラジカル共重合するものであれば何でもよく、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の芳香族系ビニル単量体や(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アリルエーテル類が挙げられる。 これらは一種または二種以上を併用できる。
【0022】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、通常のラジカル重合によって得ることができるが、好ましくは180〜300℃の高温連続重合方法により得られるものである。この方法によれば、高温重合のために高分子鎖からの水素引き抜き反応に始まるラジカル分岐反応が起こりにくく、切断反応が優先するために分岐成分の少ない、直鎖成分の多い高分子を得ることができる。また、切断反応が優先することにより多量の開始剤や連鎖移動剤等の不純物を含まない低分子量ポリマーが容易に製造できる。さらに、反応機に攪拌槽型反応器を用いれば組成分布や分子量分布の狭いビニル系共重合体を得ることができる。
【0023】
高温連続ラジカル重合法としては、特表昭57−502171号、特開昭59−6207号、特開昭60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応器を加圧下で所定温度に設定した後、各ビニル系単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなるビニル系単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、ビニル系単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。又、ビニル系単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、ビニル系単量体混合物100重量部に対して0.001〜3重量部であることが好ましい。圧力は、反応温度と使用するビニル系単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
【0024】
本発明で用いる重合体(C)を製造する重合温度は180〜300℃が好ましい。300℃を超えると着色や熱劣化の問題が生じる場合があり、180℃未満では分岐反応が起こり分子量分布を広くし、分子量を下げるのに多量の開始剤や連鎖移動剤を必要とするため耐候性、耐熱性、耐久性に悪影響を与える。また除熱などの生産上の問題がおこることもある。さらに好ましくは200℃〜270℃がよい。また、単量体混合物の反応器内における滞留時間すなわち反応時間は、1〜60分であることが好ましく、5〜30分がより好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、滞留時間が60分を越える場合は、生産性が悪く、着色や熱劣化が起こってしまうことがある。また、管状型反応器よりも連続攪拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くするのでより好ましい。
【0025】
透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の配合割合は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準ととして1〜20質量部である。好ましくは1〜10質量部である。1質量部未満の場合は成形性の向上効果が認められず、20質量部を超える場合は、衝撃性、剛性、透明性の低下が起こる。
【0026】
上記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、例えば以下のような方法によって製造することができる。
▲1▼それぞれ別に製造された成分(A)、成分(B)および成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲2▼成分(A)および成分(B)が混合された組成物と成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲3▼成分(B)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させて製造された成分(A)および成分(B)を含有する組成物と成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲4▼成分(C)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させて製造された成分(A)および成分(C)を含有する組成物と成分(B)を混合し押出機などで混練する方法。
▲5▼成分(B)および成分(C)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させる方法。
上記▲2▼または▲3▼の方法において、成分(A)および成分(B)を含有する組成物が、連続相および分散相を有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在し、HAZEが20%以下である場合は、得られる透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物が特に強度、透明性、成形性のバランスに優れたものとなるために好ましい。
【0027】
本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、またはエチレンビスステアリルアミド等の滑剤、フェノール系やリン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などの添加剤や難燃剤を含んでいてもよい。
【0028】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例における物性等の測定方法は、以下の方法を用いた。また実施例における重合体C−1〜C−6は成分(C)すなわち(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体に相当するものである。また、重合体D−1〜D−3は、成分(C)に代えて使用された比較用重合体である。
(重合体C−1の製造)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、245℃に保った。次いで、アクリル酸ブチル(以下BAとする。)100質量部、イソプロピルアルコール40質量部および重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド(以下DTBP)1.0質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器内の混合液質量が580g一定になるように重合物を反応機出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、所望の245℃に保たれた。さらに抜き出した反応物を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機で連続的に揮発成分を分離し、揮発成分をほとんど含まない共重合体を回収した。
単量体混合物の供給開始後、反応器内部の温度が安定してからさらに36分後をほぼ平衡状態に達したと判断し、薄膜蒸発後の樹脂の回収開始点とし、それから180分反応を継続し重合体を回収した。
GPCより求めたポリスチレン換算による重合体C−1の重量平均分子量(以下Mw)は1,600、数平均分子量Mnは1,000、分子量分布Mw/Mnは1.6であった。またGCによる樹脂中の揮発成分量は1%以下であった。
さらに、重合体C−1を目視で確認したところ、黄変等の問題もなく、色調の優れたものであった。
【0029】
(重合体C−2〜6およびD−1〜3の製造)
重合体C−2〜6およびD−1〜3は、表1に示すビニル系単量体組成、溶剤、重合開始剤量、重合温度条件の他は重合体C−1の製造方法と同様の操作で得られた。このようにして得られた重合体C−1〜6、D−1〜3のMw、Mn、Mw/Mnは、表1に示されるものであった。また、各重合体の色調で黄変等の不具合は認められなかった。
(D−4)は、スモイルP260(松村石油株式会社製流動パラフィン)である。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例、比較例における諸物性は次の方法により測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミションクロマトグラフ(GPC)を用いて、溶離液にテトラフドロフランを用い、標準ポリスチレンによる較正曲線をもちいてポリスチレン換算で測定した。
【0032】
(2)メルトフローレート(MFR)についてはJIS K−7210の方法で、220℃、10kg荷重で測定された。ただし、T−HIPSを用いる実施例,比較例については200℃、5kg荷重で測定された。
【0033】
(3)シャルピー(Charpy)衝撃強度:ISO−179の方法でVノッチ付き(2mm, R=0.25mm)、温度23℃の条件で測定した。
【0034】
(4)HAZE評価:JIS K−7105の方法で直径100mm、厚み2mmの円盤状試験片を測定。
【0035】
(5)ビカット(Vicat)軟化温度:JIS K−7206の方法で測定。
【0036】
(6)引張試験:JIS K−7161の方法で測定。
【0037】
(7)試験片作成:全ての試験片は射出成形機(名機製作所M−50A−II−DM)、シリンダー温度220℃、金型温度50℃の条件で成形された。
【0038】
<実施例1〜26および比較例1〜12>
下記3種のスチレン系重合体(A)およびゴム状重合体(B)を含有する組成物(以下、組成物(AB)または成分(AB)ともいう。)が使用された。
T−ABS−1:Toyolac−900(東レ社製)
T−ABS−2:CT0520(Cheil社製)
T−HIPS:SX−100(A&Mポリスチレン社製)
成分(C)すなわち(メタ)アクリル酸エステル系重合体である重合体C−1〜C−6または成分(C)に代えて使用された比較用重合体である重合体D−1〜D−3と、上記組成物(AB)とを表2および表3にしめす割合で配合し、40mmφ二軸押出機を用いて、バレル温度220℃、スクリュー回転数100rpmの条件で押し出して、透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造した。その後、射出成型機で試験片を作成し、MFR、衝撃強度、HAZE,ビカット軟化点、引張特性等を評価した。結果を表2および表3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
本明細書における略号の意味を以下に示す。
BA:ブチルアクリレート
HA:2−エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DTBP:ジターシャリブチルパーオキサイド
【0042】
<評価結果>
表2に示す結果から明らかな通り、実施例1〜14では、メルトフローレートが無添加の透明ABS樹脂(T−ABS−1)と比較して5部添加で約40%以上向上しているが、衝撃強度の低下、透明性の低下は抑えられている。一方、比較例4〜6では流動性の向上効果も40%以下と小さく、比較例4と5では透明性の低下や衝撃強度の低下も著しい。比較例7〜8では添加量の割に流動性向上効果が小さく、衝撃強度の低下も大きい。
実施例15〜20では、別の透明ABS樹脂(T−ABS−2)に対する評価結果であるが実施例1〜14と同様に流動性改良効果は高いが、衝撃強度、透明性の低下は低い。
実施例21〜27では透明HIPSにたいする効果をしめす。ここでも、3部添加で40%以上の流動性向上効果を示し、しかも衝撃性の低下は小さい。比較例9では流動性改良効果は比較的高いが透明性は著しく低下する。比較例10、11は流動性改良効果が小さく、また衝撃性の低下が著しいことがわかる。比較例12には、スチレン系樹脂に一般的に用いられる流動性改良剤であるミネラルオイルについての結果を示した。流動性の改良、衝撃強度では優れているが、透明性の低下は著しい。
また、実施例の中でもHAを共重合した重合体(C−3〜6)を使用する実施例5〜14や実施例18〜20や実施例24〜26は実施例1〜4、実施例15〜17、実施例21〜23と比較して衝撃強度の低下の割合が小さい。また、HAとBAの共重合系は流動性の改良効果も高い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、透明なゴム変性スチレン系樹脂が本来有する優れた透明性、機械的性質(衝撃強度、耐熱性、引張特性強度等)を損なうこと無く、その成形加工性(流動性等)を飛躍的に向上でき、両特性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を得ることができる。
本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂脂組成物は、透明性、機械的特性と成形加工性のバランスに優れているので、特に家電製品、OA機器の部品等の各種分野において成形品の大型化および薄肉化を可能にするものであり、その工業的価値は大きいものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は強度、透明性、成形性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は強度、透明性、成形性に優れているため、食品容器、家庭用品、電気製品などの成形材料として、これまで広く用いられてきた。しかし、スチレン系樹脂は比較的脆いという欠点を有しており、ゴム状弾性体を分散粒子として含有する、いわゆる耐衝撃性ゴム変性スチレン系樹脂が開発された。しかし衝撃性は向上したが、この樹脂はシート、フィルムに成形しても不透明であり、透明性を要求される分野では利用できない。
【0003】
透明性を有するゴム変性スチレン系樹脂組成物が連続相とゴム成分を含む分散相との屈折率の差を小さくすることによって開発された(非特許文献1参照)。このような透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は流動性が低く、成形温度を上げて成形すると変色等の問題や透明性が低下する等の課題を有する。
【0004】
流動性を向上させるためにはスチレン系樹脂に流動パラフィンを添加することが古くから公知であり、また、脂肪酸エスエル、脂肪族アミドなどを配合する技術が開示されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような添加剤は透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物の流動性は向上させるが透明性を低下させるという欠点を有する。
【0005】
芳香族系樹脂の流動性改良を目的に、重量平均分子量Mw2200〜3800、分子量分布 Mw/Mn2.2以下の低分子量ポリスチレンを添加する技術が開示されている(特許文献3参照)。しかし、透明なゴム変性スチレン系樹脂組成物に対しては衝撃性、透明性を低下させる欠点を有する。
数平均重合度50以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合物をゴム変性スチレン系樹脂組成物に添加し流動性を改良する技術が知られている(特許文献4参照)。しかし、ここで開示されているゴム変性スチレン系樹脂組成物は不透明系樹脂であり、開示された方法では透明なゴム変性スチレン系樹脂において透明性、 衝撃性の双方をみたすことは出来ない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−223104
【特許文献2】
特開昭62−257951
【特許文献3】
特開平09−328589
【特許文献4】
特開昭52−130855
【非特許文献1】
日本化学会編 季刊化学総説39,1998、透明ポリマーの屈折率制御 P213−P218
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の技術における問題点を解決し、強度、透明性、成形性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、連続相および分散相を有し、下記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準とする成分(C)の割合が1〜20質量部であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在することを特徴とするものである。
成分(A):スチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するスチレン系重合体
成分(B):ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するゴム状重合体
成分(C):(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルともいう。
本発明で用いるスチレン系重合体(A)は、スチレン系単量体単位および(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位を必須構成単位として有するものである。
スチレン系重合体(A)を構成するスチレン系単量体としては、スチレンが一般的であるが、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン化スチレンなどを用いることができる。好ましいスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンがあり、特にスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル等が挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。 メタクリル酸メチルは特に好ましい。
【0011】
スチレン系重合体(A)はスチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するものである。
【0012】
スチレン系重合体(A)は公知の重合方法を用いて製造することができる。ただし、乳化重合法では得られた樹脂は透明であるものの、黄色く着色してしまうという問題があり、塊状重合後さらに懸濁重合を行う塊状−懸濁重合法では、得られた樹脂の透明性と強度のバランスが低下するという問題がある。そのため塊状重合法または溶液重合法などを用いることが好ましい。
【0013】
スチレン系重合体(A)の製造に当っては、重合時に必要に応じて重合開始剤を使用することができる。例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物と、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ系化合物があり、これらを単独で、または2種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの重合開始剤の添加方法は特に制約されるものではなく、重合初期に一括仕込する方法、重合初期から重合後期にわたって数回に分けて分割添加する方法、あるいはそれら二つの方法を同時に使用することもできる。
【0014】
スチレン系重合体(A)の製造に当っては、重合時には必要に応じて連鎖移動剤や溶剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等を挙げることができる。また溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ジアルキル基キルケトン類の単独または2種類以上の混合物がある。溶剤の使用量としては、反応溶液全体に対して0〜50質量%の範囲で使用される。50質量%を超えると重合速度が著しく低下し、また溶剤回収エネルギーが大きくなり経済性が劣ってくる。
【0015】
本発明で用いるゴム状重合体(B)は、ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するものであり、好ましくはブタジエン単位 60〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜40質量%を含有するものである。ゴム状重合体中のブタジエン単位が40質量%未満になるとアイゾット衝撃強度と透明性のバランスを保つことが困難になってくる。
【0016】
透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物におけるスチレン系重合体(A)およびゴム状重合体(B)の比率は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準として質量比99/1〜60/40である。透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在する。ゴム状重合体の質量比が1%未満である場合には衝撃強度の改善効果がほとんど見られず、また40%を超えると、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の成形性や透明性が低下してしまう。またゴム変性スチレン系樹脂組成物の透明性を発現するためには、一般に連続相と分散ゴム粒子相との屈折率の差が0.01以下、好ましくは0.005以下であることが望ましい。
【0017】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下の(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。分子量がMw5000を超えると透明性の低下が起こり、流動性改良効果が低くなる。Mw1000未満では揮発性が出てきて成型時にガス発生やブリードなどが起きやすくなる。好ましくはMw1000〜2500であり、さらに好ましくはMw1000〜2000である。数平均分子量Mnは好ましくは1500以下であり、さらに好ましくは1250以下である。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は2.5以上では成型性、透明性、衝撃性のバランスがとれない。より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.8以下である。
【0019】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の原料となる(メタ)アクリル酸エステルは、たとえば炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等があげられる。これらは、一種または二種以上を用いることができる。特に好ましくは炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)であり、アルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分を5〜100質量%含む共重合体がよい。さらに流動改良性、衝撃性、透明性のバランスを最適化するとアルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分を5〜70質量%含む共重合体がよい。さらに好ましくはアルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体成分が2エチルヘキシルアクリレートである共重合体が好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有するものである。(メタ)アクリル酸エステル単位の好ましい割合は90〜100質量%であり、より好ましい割合は95〜100質量%である。(メタ)アクリル酸エステル単位の割合が80%以下では流動性改良効果は低下し、衝撃性、透明性を維持することが困難になる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の単量体単位を20質量%以下含有するのもであってもよい。(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体とラジカル共重合するものであれば何でもよく、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の芳香族系ビニル単量体や(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アリルエーテル類が挙げられる。 これらは一種または二種以上を併用できる。
【0022】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、通常のラジカル重合によって得ることができるが、好ましくは180〜300℃の高温連続重合方法により得られるものである。この方法によれば、高温重合のために高分子鎖からの水素引き抜き反応に始まるラジカル分岐反応が起こりにくく、切断反応が優先するために分岐成分の少ない、直鎖成分の多い高分子を得ることができる。また、切断反応が優先することにより多量の開始剤や連鎖移動剤等の不純物を含まない低分子量ポリマーが容易に製造できる。さらに、反応機に攪拌槽型反応器を用いれば組成分布や分子量分布の狭いビニル系共重合体を得ることができる。
【0023】
高温連続ラジカル重合法としては、特表昭57−502171号、特開昭59−6207号、特開昭60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応器を加圧下で所定温度に設定した後、各ビニル系単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなるビニル系単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、ビニル系単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。又、ビニル系単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、ビニル系単量体混合物100重量部に対して0.001〜3重量部であることが好ましい。圧力は、反応温度と使用するビニル系単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。
【0024】
本発明で用いる重合体(C)を製造する重合温度は180〜300℃が好ましい。300℃を超えると着色や熱劣化の問題が生じる場合があり、180℃未満では分岐反応が起こり分子量分布を広くし、分子量を下げるのに多量の開始剤や連鎖移動剤を必要とするため耐候性、耐熱性、耐久性に悪影響を与える。また除熱などの生産上の問題がおこることもある。さらに好ましくは200℃〜270℃がよい。また、単量体混合物の反応器内における滞留時間すなわち反応時間は、1〜60分であることが好ましく、5〜30分がより好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が充分に反応しない恐れがあり、滞留時間が60分を越える場合は、生産性が悪く、着色や熱劣化が起こってしまうことがある。また、管状型反応器よりも連続攪拌槽型反応器を用いるプロセスが組成分布、分子量分布を狭くするのでより好ましい。
【0025】
透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物における(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の配合割合は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準ととして1〜20質量部である。好ましくは1〜10質量部である。1質量部未満の場合は成形性の向上効果が認められず、20質量部を超える場合は、衝撃性、剛性、透明性の低下が起こる。
【0026】
上記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、例えば以下のような方法によって製造することができる。
▲1▼それぞれ別に製造された成分(A)、成分(B)および成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲2▼成分(A)および成分(B)が混合された組成物と成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲3▼成分(B)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させて製造された成分(A)および成分(B)を含有する組成物と成分(C)を混合し押出機などで混練する方法。
▲4▼成分(C)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させて製造された成分(A)および成分(C)を含有する組成物と成分(B)を混合し押出機などで混練する方法。
▲5▼成分(B)および成分(C)の存在下に成分(A)の原料単量体を重合させる方法。
上記▲2▼または▲3▼の方法において、成分(A)および成分(B)を含有する組成物が、連続相および分散相を有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在し、HAZEが20%以下である場合は、得られる透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物が特に強度、透明性、成形性のバランスに優れたものとなるために好ましい。
【0027】
本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、またはエチレンビスステアリルアミド等の滑剤、フェノール系やリン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などの添加剤や難燃剤を含んでいてもよい。
【0028】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例における物性等の測定方法は、以下の方法を用いた。また実施例における重合体C−1〜C−6は成分(C)すなわち(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体に相当するものである。また、重合体D−1〜D−3は、成分(C)に代えて使用された比較用重合体である。
(重合体C−1の製造)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケット温度を、245℃に保った。次いで、アクリル酸ブチル(以下BAとする。)100質量部、イソプロピルアルコール40質量部および重合開始剤であるジターシャリーブチルパーオキサイド(以下DTBP)1.0質量部からなる単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給し、反応器内の混合液質量が580g一定になるように重合物を反応機出口から連続的に抜き出した。その時の反応器内温は、所望の245℃に保たれた。さらに抜き出した反応物を減圧度30kPa、温度250℃に保った薄膜蒸発機で連続的に揮発成分を分離し、揮発成分をほとんど含まない共重合体を回収した。
単量体混合物の供給開始後、反応器内部の温度が安定してからさらに36分後をほぼ平衡状態に達したと判断し、薄膜蒸発後の樹脂の回収開始点とし、それから180分反応を継続し重合体を回収した。
GPCより求めたポリスチレン換算による重合体C−1の重量平均分子量(以下Mw)は1,600、数平均分子量Mnは1,000、分子量分布Mw/Mnは1.6であった。またGCによる樹脂中の揮発成分量は1%以下であった。
さらに、重合体C−1を目視で確認したところ、黄変等の問題もなく、色調の優れたものであった。
【0029】
(重合体C−2〜6およびD−1〜3の製造)
重合体C−2〜6およびD−1〜3は、表1に示すビニル系単量体組成、溶剤、重合開始剤量、重合温度条件の他は重合体C−1の製造方法と同様の操作で得られた。このようにして得られた重合体C−1〜6、D−1〜3のMw、Mn、Mw/Mnは、表1に示されるものであった。また、各重合体の色調で黄変等の不具合は認められなかった。
(D−4)は、スモイルP260(松村石油株式会社製流動パラフィン)である。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例、比較例における諸物性は次の方法により測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミションクロマトグラフ(GPC)を用いて、溶離液にテトラフドロフランを用い、標準ポリスチレンによる較正曲線をもちいてポリスチレン換算で測定した。
【0032】
(2)メルトフローレート(MFR)についてはJIS K−7210の方法で、220℃、10kg荷重で測定された。ただし、T−HIPSを用いる実施例,比較例については200℃、5kg荷重で測定された。
【0033】
(3)シャルピー(Charpy)衝撃強度:ISO−179の方法でVノッチ付き(2mm, R=0.25mm)、温度23℃の条件で測定した。
【0034】
(4)HAZE評価:JIS K−7105の方法で直径100mm、厚み2mmの円盤状試験片を測定。
【0035】
(5)ビカット(Vicat)軟化温度:JIS K−7206の方法で測定。
【0036】
(6)引張試験:JIS K−7161の方法で測定。
【0037】
(7)試験片作成:全ての試験片は射出成形機(名機製作所M−50A−II−DM)、シリンダー温度220℃、金型温度50℃の条件で成形された。
【0038】
<実施例1〜26および比較例1〜12>
下記3種のスチレン系重合体(A)およびゴム状重合体(B)を含有する組成物(以下、組成物(AB)または成分(AB)ともいう。)が使用された。
T−ABS−1:Toyolac−900(東レ社製)
T−ABS−2:CT0520(Cheil社製)
T−HIPS:SX−100(A&Mポリスチレン社製)
成分(C)すなわち(メタ)アクリル酸エステル系重合体である重合体C−1〜C−6または成分(C)に代えて使用された比較用重合体である重合体D−1〜D−3と、上記組成物(AB)とを表2および表3にしめす割合で配合し、40mmφ二軸押出機を用いて、バレル温度220℃、スクリュー回転数100rpmの条件で押し出して、透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造した。その後、射出成型機で試験片を作成し、MFR、衝撃強度、HAZE,ビカット軟化点、引張特性等を評価した。結果を表2および表3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
本明細書における略号の意味を以下に示す。
BA:ブチルアクリレート
HA:2−エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
DTBP:ジターシャリブチルパーオキサイド
【0042】
<評価結果>
表2に示す結果から明らかな通り、実施例1〜14では、メルトフローレートが無添加の透明ABS樹脂(T−ABS−1)と比較して5部添加で約40%以上向上しているが、衝撃強度の低下、透明性の低下は抑えられている。一方、比較例4〜6では流動性の向上効果も40%以下と小さく、比較例4と5では透明性の低下や衝撃強度の低下も著しい。比較例7〜8では添加量の割に流動性向上効果が小さく、衝撃強度の低下も大きい。
実施例15〜20では、別の透明ABS樹脂(T−ABS−2)に対する評価結果であるが実施例1〜14と同様に流動性改良効果は高いが、衝撃強度、透明性の低下は低い。
実施例21〜27では透明HIPSにたいする効果をしめす。ここでも、3部添加で40%以上の流動性向上効果を示し、しかも衝撃性の低下は小さい。比較例9では流動性改良効果は比較的高いが透明性は著しく低下する。比較例10、11は流動性改良効果が小さく、また衝撃性の低下が著しいことがわかる。比較例12には、スチレン系樹脂に一般的に用いられる流動性改良剤であるミネラルオイルについての結果を示した。流動性の改良、衝撃強度では優れているが、透明性の低下は著しい。
また、実施例の中でもHAを共重合した重合体(C−3〜6)を使用する実施例5〜14や実施例18〜20や実施例24〜26は実施例1〜4、実施例15〜17、実施例21〜23と比較して衝撃強度の低下の割合が小さい。また、HAとBAの共重合系は流動性の改良効果も高い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、透明なゴム変性スチレン系樹脂が本来有する優れた透明性、機械的性質(衝撃強度、耐熱性、引張特性強度等)を損なうこと無く、その成形加工性(流動性等)を飛躍的に向上でき、両特性のバランスに優れた透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物を得ることができる。
本発明の透明ゴム変性スチレン系樹脂脂組成物は、透明性、機械的特性と成形加工性のバランスに優れているので、特に家電製品、OA機器の部品等の各種分野において成形品の大型化および薄肉化を可能にするものであり、その工業的価値は大きいものである。
Claims (4)
- 連続相および分散相を有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、下記成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準とする成分(C)の割合が1〜20質量部であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在することを特徴とする透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
成分(A):スチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するスチレン系重合体
成分(B):ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するゴム状重合体
成分(C):(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体 - 連続相および分散相を有する透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物において、下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(A)および成分(B)の割合が質量比99/1〜60/40であり、成分(A)は実質的に連続相に存在し、成分(B)は実質的に分散相に存在し、HAZEが20%以下であり、連続相および分散相を有する組成物(AB)100質量部および下記成分(C)1〜20質量部を混合させて得られることを特徴とする透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
成分(A):スチレン系単量体単位20〜65質量%、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる単量体単位35〜80質量%、アクリロニトリル単位0〜15質量%を含有するスチレン系重合体
成分(B):ブタジエン単位40〜100質量%およびスチレン系単量体単位0〜60質量%を含有するゴム状重合体
成分(C):(メタ)アクリル酸エステル単位80〜100質量%を含有し、重量平均分子量が1000〜5000であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5以下である(メタ)アクリル酸エステル系重合体 - 成分(C)が、アルキル基を形成する炭素数が6個以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を5〜100質量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
- 成分(C)が、原料単量体を180〜300℃において連続重合させて得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
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