JP2000153520A5 - - Google Patents
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【発明の名称】密閉型混練装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、
前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする密閉型混練装置。
【請求項2】ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、
前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする密閉型混練装置。
【請求項3】ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、
前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内でロータを回転させることによりゴムやプラスチック等の混練材料を混練する密閉型混練装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バッチ式の密閉型混練装置は、ゴムやプラスチック等の混練材料をフローティングウエイトによりチャンバ内に圧入した後、チャンバ内に設けられた一対のロータにより混練し、所望の混練状態の混練物となったときに、この混練物をチャンバ内からドロップドアを介して外部に排出するという一連の動作により1バッチ分の混練物を製造するようになっている。
【0003】
ところで、上記の混練は、ロータの回転力を混練物への剪断力として作用させることにより行われている。そして、剪断力は、ロータとチャンバ内壁面との間隙(チップクリアランス)において最大となり、この最大の剪断力は、チップクリアランスが減少するのに伴って増大することが知られている。従って、チップクリアランスを小さくすれば、大きな剪断力による分散作用により混練を促進できることは明らかであるが、チップクリアランスが小さくなると、局所的な高い剪断力が混練物に付与されるため、混練物が早期に高温化することになる。
【0004】
そこで、例えばゴム等の許容温度が低い混練物を製造する場合には、たとえ混練の効率が低くても許容温度以上の昇温が生じないように、チップクリアランスを拡大傾向に設定したり、或いは生産性は低下するがロータの回転数を小さくしたり、原料投入量を少なくする対策が採られている。また、許容温度が高い混練物を製造する場合には、混練の効率を重視して大きな剪断力が得られるようにチップクリアランスを十分に小さくしたり、ロータの回転数を大きくする対策が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、チップクリアランスが特定の混練条件に対してのみ適正なものであるため、例えば混練物の種類が切り替えられて混練条件が変更されたときに、この混練条件に対応したチップクリアランスとなるようにロータを取り替えなければ、チップクリアランスが過大または過小となって、混練や分散が不十分になったり、許容温度以上の昇温が生じたりするという不具合が発生することになる。しかしながら、混練条件に対応してロータを取り替えることは非実用的であり、実際には、許容温度以上の昇温が生じる場合には、回転数を下げたり、原料投入量を少なくする等、混練機が本来保有している処理能力を犠牲にして、得られる混練物の品質を確保するようにしている。
【0006】
ところで、単に冷却効率を上げる場合には、特開昭63−47106号公報に開示のように、軸方向に延びる螺旋状の長翼を周方向に2本配設するとともに、この長翼の背面側にスクレーパを配設し、チャンバ内面に付着する層状の混練物を前記スクレーパで剥ぎ取ることにより、チャンバからの冷却効率を上げる密閉式混練装置を用いることができる。しかし、特開昭63−47106号公報に開示の密閉式混練装置において、特定のチップクリアランスを有して剪断機能を果たすのは長翼だけであり、スクレーパに剪断機能を持たせるという思想があるわけではなく、チップクリアランスの変更という意味では不十分である。また、非実用的なロータの取り替えでなく、混練条件に応じてチップクリアランスを任意に変更できるように、ロータの回転軸を移動可能にした密閉型混練装置が開発されているが、この場合には、回転軸を平行移動させるロータ移動機構の保守点検がその都度必要になり、段取時間が増大すると共に、点検作業が繁雑になるという新たな負担が発生することになる。
【0007】
従って、本発明は、保守点検作業を必要とせず、且つ混練機の本来有する処理能力を減殺することなく、各混練条件の混練物を良好に混練および分散することができると共に、過剰な温度上昇を防止することができる密閉型混練装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。請求項2の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0 100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする。これにより、翼部により出現された異なるチップクリアランスは、少なくとも相対的に小さなチップクリアランスと大きなチップクリアランスとに区分することができる。そして、小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進して混練物に均等な剪断作用を加えると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現すると、混練対象物の種類が変わっても確実に混練対象物に剪断力が作用して分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータ移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0009】
請求項3の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、チャンバ内壁面に近接された翼部が、ロータの回転に伴って定期的にチャンバ内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすため、チャンバ内壁面への付着膜が薄くなることから、チャンバを介して混練対象物を冷却する際の冷却効率を高めることができる。
【0010】
尚、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記複数のチップクリアランスは、小チップクリアランス、中チップクリアランス、大チップクリアランスのうち、少なくとも2つを含んでなり、前記チャンバの内径に対するチップクリアランスの比率が、小チップクリアランスでは0.0025〜0.0250の範囲内にあり、中チップクリアランスでは0.0100〜0.0500の範囲内にあり、大チップクリアランスでは0.0250〜0.1000の範囲内にあることにより、小チップクリアランスが所定範囲にあって、混練物に含まれる充填剤、添加剤の凝集体或いはゲルを破壊し、混練物中に分散させる機能を果たすことができるとともに、中チップクリアランスと大チップクリアランスも所定範囲にあって、混練物に均等な剪断仕事を加えることができる。
【0011】
また、チャンバ内径に対するチップクリアランスの比率が、前記小チップクリアランスでは0.00625〜0.0125の範囲内にあり、前記中チップクリアランスでは0.0125〜0.0250の範囲内にあり、大チップクリアランスででは0.0250〜0.075の範囲内にあることが望ましい。これにより、凝集体或いはゲルの混練物中への分散と、混練物に均等な剪断仕事を加えることの両方が、バランス良く達成できる。
【0012】
請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記長翼は、一つの翼に複数のチップクリアランスが段階状に形成された翼を含む。ここで、段階状とは直線で形成されたものに限らず、曲線を含む種々の線で段差や折れ曲がり点のような不連続部を有するように形成されたものをいう。
【0013】
また、前記段階状を形成する複数のチップクリアランスのうち、少なくとも一つのチップクリアランスがテーパ状となっている。ここで、テーパ状とは、直線で傾斜するものに限らず、滑らかな曲線で全体として傾斜するものでもよい。
【0014】
尚、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記長翼は、一つの翼に複数のチップクリアランスがテーパ状に形成された翼を含むものであることが望ましい。ここで、テーパ状とは、一つの翼の複数のチップクリアランスが全体として連続的変化をなしているものをいう。この連続的変化は、直線で傾斜するものに限らず、滑らかな曲線で傾斜するものでもよい。
【0015】
また、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記ロータの長翼を分割セグメントで構成していることが望ましい。これにより、長翼の加工が簡単となり、長翼の設計の自由度が広がる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図10に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係る密閉型混練装置は、図1に示すように、一対の第1ロータ1および第2ロータ2と、これらのロータ1・2を回転自在に支持するケース部材3とを有している。ケース部材3の外面壁には、ケース部材3を介して混練物を冷却するように図示しない冷却配管が接合されている。一方、ケース部材3の内部には、混練物を収容するチャンバ4が形成されている。チャンバ4は、図3に示すように、縦断面がまゆ型形状に形成されており、内径Dの円曲線を有する一対の第1混練室4aおよび第2混練室4bと、これらの混練室4a・4bを連通させる連通部4cとからなっている。
【0017】
上記のケース部材3の上側中央部には、ゴムやプラスチック等の混練材料をチャンバ4内に圧入するフローティングウエイト5が昇降可能に設けられている。一方、チャンバ4の下側中央部には、混練物を外部に排出するドロップドア6が設けられている。そして、これらのフローティングウエイト5およびドロップドア6は、混練時にケース部材3に密接することによって、チャンバ4の内壁面の一部を構成するようになっている。
【0018】
上記の第1および第2混練室4a・4bには、図1に示すように、第1および第2ロータ1・2がそれぞれ貫挿されている。これらのロータ1・2は、軸心同士が平行となるように配置されており、図示しない駆動機構により逆方向に回転駆動されるようになっている。また、これらのロータ1・2は、後述するように長翼7および短翼8を有した同一形状に形成されており、長翼7および短翼8の配置が両ロータ1・2間で逆向きに配置されている。
【0019】
上記の各ロータ1・2は、チャンバ4内に収容されたロータ混練部1a・2aと、ロータ混練部1aの両端に形成され、ケース部材3に回転自在に支持されたロータ支持部1b・1b・2b・2bとを有している。ロータ混練部1a・2aは、図2にも示すように、円周方向に120度等分配置され軸方向の延びる3個の長翼7・7・7と短翼8・8・8とを有している。各長翼7は、図1に示すように、チャンバ4の一方の壁面から他方の壁面側の途中までにかけて螺旋状に形成された送り翼となっている。一方、各短翼8は、長翼7の他方側に位置するように、長翼7・7同士の終端間からチャンバ4の他方の壁面までにかけて逆方向の螺旋状に形成された戻し翼となっている。
【0020】
上記の長翼7は、頂部のチップが高位チップ部7aと中位チップ部7bと低位チップ部7cとに区分され、軸方向に3種類の高さのチップ部が出現する。更に3個の長翼7・7・7の周方向にも3種類の高さのチップ部が交互に出現するようになっている。そして、各チップ部7a・7b・7cは、チャンバ4の内壁面との間隙であるチップクリアランスが小チップクリアランス→中チップクリアランス→大チップクリアランスとこの順に大きくなるようにそれぞれ設定されている。
【0021】
即ち、高位チップ部7aは、最も小さなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面に近接されており、ロータ1・2が回転したときに、大きな剪断力を混練物に付与して混練効率および分散効率を向上させるようになっていると共に、チャンバ4の内壁面に付着した混練物の表層を掻き落として冷却効率を向上させるようになっている。さらに、この高位チップ7aは、前進側に位置する混練物の大部分を軸方向に流動させることにより軸方向の流動を促進すると共に、第1混練室4aおよび第2混練室4b間における流動も促進させるようになっている。
【0022】
一方、低位チップ部7cは、最も大きなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面から十分に離隔されており、ロータ1・2が回転したときに、チップクリアランスにおける混練物の通過量を増加させ、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動を促進するようになっていると共に、局部的な大きな剪断力の付与を防止して混練物の過剰な昇温を抑制するようになっている。また、中位チップ部7bは、高位チップ部7aと低位チップ部7cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されており、高位チップ部7aおよび低位チップ部7cの混練物に対する剪断力および流動を調整するようになっている。尚、この実施例では小チップクリアランス→中チップクリアランス→大チップクリアランスの順に設定しているが、これに限定されるものでなく、中→小→大,大→中→小,小→大→中の順でも良いこと勿論である。
【0023】
また、長翼7の他方側に配置された短翼8・8・8は、図2に示すように、高位チップ8a、中位チップ8b、および低位チップ8cを有するようにそれぞれ形成されている。そして、高位チップ8aの短翼8は、上述の長翼7の高位チップ部7aと同様に、最も小さなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面に近接されており、混練物に対する大きな剪断力の付与と、チャンバ4の内壁面に付着した混練物の掻き落としと、軸方向および混練室4a・4b間における流動の促進とを行うようになっている。また、低位チップ8cの短翼8は、上述の長翼7の低位チップ部7cと同様に、最も大きなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面から十分に離隔されており、チップクリアランスにおける混練物の通過量の増加と、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動の促進と、局部的な大きな剪断力の付与の防止とを行うようになっている。また、中位チップ8bの短翼8は、上述の長翼7の中位チップ部7bと同様に、高位チップ8aと低位チップ8cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されており、高位チップ8aおよび低位チップ8cの短翼8による混練物に対する剪断力および流動を調整するようになっている。
【0024】
上記の構成において、密閉型混練装置の動作について説明する。先ず、図3に示すように、ケース部材3にドロップドア6を密接させた状態でフローティングウエイト5をケース部材3から離隔させることによって、チャンバ4の上面を開口する。そして、この開口からゴムやプラスチック、充填剤等の混練材料をチャンバ4内に装填した後、フローティングウエイト5をケース部材3に密接させてチャンバ4の連通部4cに圧入する。また、この圧入に前後してケース部材3の外壁面に接合された冷却配管に冷却水等を流動させ、ケース部材3を介してチャンバ4内の混練材料を冷却する。尚、混練材料の構成や種類によっては、混練材料を加熱させるため、冷却配管に熱水や蒸気等の熱媒体を流動させても良い。
【0025】
次に、各混練材料を剪断および分散しながら所望の混練状態の混練物となるように、第1および第2ロータ1・2を逆方向に回転させることにより混練を開始する。第1および第2ロータ1・2が回転すると、図3に示すように、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aが小さなチップクリアランスに設定されているため、例えばブロック状のゴムが混練材料として連通部4cに装填されていても、前述したようにこれらの混練材料が大きな食込み力により左右の第1および第2混練室4a・4bに移動する。従って、混練材料の形状やサイズが多種多様であっても、常に混練の開始から短時間のうちにチャンバ4内の全空間に混練材料を分散させることができる。
【0026】
上記のようにして混練材料がチャンバ4内に分散されながら混練されると、長翼7の各チップ部7a・7b・7cおよび短翼8の各チップ8a・8b・8cがそれぞれ下記のように混練材料や混練物からなる混練対象物に対して作用する。
【0027】
即ち、図4において、ハッチッング部は混練対象物の充填量を示し、ベクトルは混練対象物の流量と方向を示し、白抜き矢印は混練室4a,4bを連通する連通部4cにおける混練対象物の流れの方向と流量とを模式的に示す展開図である。本発明にかかる図4(a)では、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aにおいては、上述のように小さなチップクリアランスであるため、混練対象物のチップクリアランスの通過量が小さなものとなっている。従って、高位チップ部7aおよび高位チップ8aの前進側に存在する混練対象物は、軸方向に大量に流動することによって、大部分が軸方向に隣接する長翼7の中位チップ部7bや短翼8の中位チップ8bの前進側に移動し、一部がチップクリアランスを通過する。そして、この一部の混練対象物は、小さなチップクリアランスによる大きな剪断力が付与されて分散される。この際、大きな剪断力が付与された混練対象物は、分散と同時に急激に昇温することになるが、大部分混練対象物が軸方向に流動するため、混練対象物の全体としては昇温が抑制されたものとなる。従って、混練対象物の許容温度が低くても、大きな剪断力による分散を継続することができる。
【0028】
また、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aは、チャンバ4の内壁面に近接した位置で移動するため、チャンバ4の内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすことになる。従って、チャンバ4の内壁面への付着膜の厚みが薄くなり、冷却配管によるチャンバ4を介した冷却効率が向上し、混練対象物の高温化を一層抑制することになる。さらに、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aが連通部4cを移動するとき、混練対象物を一方の第1または第2混練室4a・4bから他方の第2または第1混練室4b・4aに大きな押圧力で押し出すため、第1および第2混練室4a・4b間における混練対象物の流動も促進することになる。
【0029】
次に、長翼7の低位チップ部7cおよび短翼8の低位チップ8cにおいては、大きなチップクリアランスであるため、混練対象物のチップクリアランスの通過量が大きなものとなっている。従って、低位チップ部7cおよび低位チップ8cの前進側に存在する混練対象物は、チップクリアランスを通過して周方向に大量に流動することによって、大部分が周方向に隣接する長翼7の中位チップ部7bや短翼8の中位チップ8bの前進側に移動し、一部が軸方向に流動する。また、混練対象物を押し出す押圧力が小さなものであるため、連通部4cを移動する際の他方側の第1および第2混練室4a・4bへの流動を抑制する。従って、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動を促進した状態になっていると共に、この流動時において、大きなチップクリアランスが混練対象物への剪断力を低減しているため、混練対象物の過剰な昇温を抑制するようにもなっている。
【0030】
次に、長翼7の中位チップ部7bおよび短翼8の中位チップ8bにおいては、高位チップ部7aと低位チップ部7cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されているため、混練対象物に対する剪断力および流動を調整することになる。
【0031】
上記のようにして混練対象物が混練されると、周方向に混練対象物を大量に流動させる第1混練空間10cと、軸方向に大量の混練対象物を流動させながら少量の混練対象物を大きな剪断力により分散させる第2混練空間10aと、これらの中間的な剪断力を付与して軸方向および周方向に流動させる第3混練空間10bとを周方向および軸方向に連続して有した状態となる。従って、図4(a)と対比される図4(b)に示すように、長翼7および短翼8を中位チップ部7bおよび中位チップ8bで構成した従来の場合と比較すると、第1〜第3混練空間10a〜10cにおいて混練対象物が活発に流動しながら均等に分散することになるため、混練対象物の混練条件に対応してチップクリアランスを変更しなくても、或いは回転数変更や原料投入量を変更する等、本来混練機が保有している処理能力を犠牲にしなくても、常に良好な混練状態の混練物を得ることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の密閉型混練装置は、図1に示すように、チャンバ4内で第1および第2ロータ1・2を回転させながら、チャンバ4の内壁面と第1および第2ロータ1・2とのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とするものであり、第1および第2ロータ1・2には、軸方向および周方向に3段階の異なる複数のチップクリアランスを出現させるように、周方向の3か所に等分配置された長翼7および短翼8からなる翼部が形成された構成にされている。
【0033】
上記の構成によれば、図4(a)に示すように、長翼7および短翼8により出現された3段階のチップクリアランスのうちの小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進すると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが周方向および軸方向に出現すると、チャンバ4内の全体において混練対象物が活発に流動しながら大きな剪断力により分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータの移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練条件の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0034】
尚、本実施形態においては、第1および第2ロータ1・2からなる2本のロータが用いられているが、これに限定されるものではなく、1本のロータであっても良いし、或いは3本以上のロータであっても良い。また、本実施形態においては、周方向の3か所に等分配置された長翼7の高位〜低位チップ部7a〜7cと短翼8の高位〜低位チップ8a〜8cとで3段階のチップクリアランスを出現させているが、2段階以上の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現するものであれば、短翼8の有無、長翼7および短翼8の配置や数量、螺旋角度、各チップクリアランスが存在するその翼部分の軸方向長さ、等を任意に選択することができる。
【0035】
具体的には、長翼7のみからなる構成であっても良いし、図5(a)・(b)に示すように、長翼7および短翼8が周方向の2か所に等分配置された構成あっても良い。また、図6および図7に示すように、長翼7および短翼8の端部同士が一致するように構成されていても良いし、図8に示すように、3段階のチップクリアランスとなる高位〜低位チップ部7a〜7bが長翼7に4区分して形成された構成であっても良い。さらに、図9に示すように、軸方向に同一のチップクリアランスを周方向に3段階で有するように、高位チップ部7aのみからなる長翼7と、中位チップ部7bのみからなる長翼7と、低位チップ部7cのみからなる長翼7とが周方向に等分配置された構成であっても良い。尚、長翼7および短翼8におけるチップクリアランスの区分数は、製作を簡単に行えるように10までの範囲であることが望ましい。
【0036】
また、図10に示すように、長翼7および短翼8は、大きな螺旋角度で形成されていても良い。尚 螺旋角度は、10°〜60°の範囲で設定されていることが望ましい。これは、螺旋角度を小さくすると、軸方向の混練対象物の流動が減少してチップクリアランスの通過量の増加により分散作用の促進が図れるのに対し、螺旋角度を大きくすると、軸方向の流動の増加によるチャンバ4内の混合の促進が図れる。そして、螺旋角度が10°〜60°の範囲であれば、これら両者の特徴を同時に引き出すことができるからである。
【0037】
また、複数のチップクリアランスの出現の仕方は、大中小のチップクリアランスを直線で形成された段階状として出現させるものに限らない。例えば図2のロータ展開図において、長翼7を翼すくい面直交方向からみると、図11(a)のように第1翼、第2翼、第3翼の3つのパターンとなっている。第1翼は、一つの翼に対して、大中小の順に複数のチップクリアランスを出現させている。第2翼は、一つの翼に対して、小大中の順に複数のチップクリアランスを出現させている。第3翼は、一つの翼に対して、中小大の順に複数のチップクリアランスを出現させている。
【0038】
これらの複数のチップクリアランスは、図11(b)〜(e)のように、テーパ状になったものを含んで形成することができる。図11(b)のものは、第1長翼は全体が直線となったテーパで形成されている。第2長翼及び第3長翼は、同じ傾きのテーパと段差の組み合わせになっている。図11(c)のものは、大チップクリアランスは直線のままにし、残りの中小チップクリアランスをテーパとしたものである。図11(c)において、中又は小チップクリアランスを直線のままにし、残りのチップクリアランスをテーパとしても良い。図11(d)のものは、段差ではなく折れ曲がり点を有するようにテーパを組み合わせたものである。図11(e)のものは、大中小チップクリアランスを僅かな段差で区別するとともにテーパにしたものである。このようなテーパとなったチップクリアランスは、翼部の全体、翼部を形成する翼のうち特定の翼、又は、特定の翼の複数のチップクリアランスの一部に採用できる。また、直線によるテーパに限らず、滑らかな曲線によるテーパ状とすることもできる。尚、折れ曲がり点や段差部コーナーには折損や欠けを防止する観点から面取り乃至Rを付すのが好ましい。
【0039】
尚、上記ロータは一体鋳造或いは削り出しにて製作できるが、翼部全体或いは長翼部を複数に分割して構成する所謂分割セグメント方式とすることができる。この場合には、図15に示すように各分割セグメントの位相をずらすことにより、混練対象物の流れが更に大きく変化し、混練対象物の混練度合が一層改善される。また、各分割セグメントの幅は均等でも不均等でも良く、翼の捻り角についても一定としても或いは変化させても良く、本願発明の技術的思想を逸脱しない範囲において自由に設計することができる。
【0040】
【実施例】
以下、試験用の小型密閉式混練装置による混練テストの結果を説明する。用いた密閉式混練装置の混練室の容積は約4リットルであり、本発明例で用いたロータの翼配置と大中小チップクリアランスの配置は図12の展開図に示される。大チップクリアランスLは6mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0467)であり、中チップクリアランスMは3mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0233)であり、小チップクリアランスSは1mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0078)である。比較例で用いたロータの翼配置は同じであるものの、チップクリアランスは全て3mmである。
【0041】
本発明例及び比較例ともに、天然ゴム(CV60)100部に対して、カーボンブラック(SAF)を50部添加したコンパウンドを混練試験に供した。また、混練室に対するコンパウンドの充填率はいずれも70%であり、ラム圧力はいずれも5kgf/cm2であり、チャンバを形成するケース部材及びロータに流される冷却水の温度もいずれも30°Cである。
【0042】
そして、混練時間の経過とともに、混練物の温度Tdis(°C)と、混練物に加えられた機械的仕事量Esp(KWh/kg)と、混練物のムーニー粘度がどう変化するかを測定した。ロータ回転数が60rpmの場合が図13に示され、ロータ回転数90rpmの場合が図14に示される。なお、Yは本発明例のロータを示し、Xは比較例のロータを示している。
【0043】
図13及び図14によると、本発明例のロータYと比較例のロータXとの間につぎのような特性の違いが認められる。
1 混練物に加えられる機械的エネルギーは、本発明例のロータYが比較例のロータXより大きい。
2 混練物の温度は、本発明例のロータYが比較例のロータXより若干高くなっているが、ほぼ同等である。
3 混練物のムーニー粘度は、本発明例のロータYが比較例のロータXより低くなっている。また、比較例のロータXは時間の経過とともに、ムーニー粘度の低下の程度が少なくなっているが、本発明例のロータYは時間の経過と共に略比例的に低下している。
【0044】
以上の1〜3の特性差から、本発明例のロータYは比較例のロータXに比べて冷却能力が大きく、混練物に多くの機械的エネルギーを加えることができる。また、混練物の粘度は、加えられる機械的仕事量が大きいほど低下する程度が大きくなる傾向にあり、本発明例のロータYは比較例のロータXに比べて加工性に優れた混練物が得られることが判る。
【0045】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。請求項2の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、翼部により出現された異なるチップクリアランスは、少なくとも相対的に小さなチップクリアランスと大きなチップクリアランスとに区分することができる。そして、小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進して混練物に均等な剪断作用を加えると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現すると、混練対象物の種類が変わっても確実に混練対象物に剪断力が作用して分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータ移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0046】
請求項3の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所 望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、チャンバ内壁面に近接された翼部が、ロータの回転に伴って定期的にチャンバ内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすため、チャンバ内壁面への付着膜が薄くなることから、チャンバを介して混練対象物を冷却する際の冷却効率を高めることができる。
【0047】
請求項1〜3の密閉型混練装置の翼部の一つの翼に着目したときの、複数のチップクリアランスの出現形態の変形可能性を示す。一つの翼に例えば大チップクリアランス、中チップクリアランス、小チップクリアランスと変化させることに加えて、複数のチップクリアランスをテーパ状を有して形成したとしても、同等の混練効果が期待できる。またこのテーパ状チップクリアランスによって、混練対象物の流れを変えたり、ロータ加工し易いロータ形状も採用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】密閉型混練装置におけるロータの正面図である。
【図2】ロータの展開図である。
【図3】混練対象物を混練する状態を示す説明図である。
【図4】混練対象物の流動状態を示す説明図であり、(a)は本発明の密閉型混練装置における流動状態、(b)は従来の密閉型混練装置における流動状態である。
【図5】ロータの長翼および短翼の状態を示す説明図であり、(a)はロータを展開し
た状態、(b)はロータを正面視した状態である。
【図6】ロータの展開図である。
【図7】ロータの展開図である。
【図8】ロータの展開図である。
【図9】ロータの展開図である。
【図10】ロータの展開図である。
【図11】一つの翼の複数のチップクリアランスの出現パターンを示す図である。
【図12】実験に用いたロータの展開図である。
【図13】本発明例のロータの60rpm時の特性を示すグラフ図である。
【図14】本発明例のロータの90rpm時の特性を示すグラフ図である。
【図15】分割タイプのロータの斜視図である。
【符号の説明】
1 第1ロータ
1a ロータ混練部
1b ロータ支持部
2 第2ロータ
2a ロータ混練部
2b ロータ支持部
3 ケース部材
4 チャンバ
4a 第1混練室
4b 第2混練室
4c 連通部
5 フローティングウエイト
6 ドロップドア
7 長翼
7a 高位チップ部
7b 中位チップ部
7c 低位チップ部
8 短翼
8a 高位チップ
8b 中位チップ
8c 低位チップ
10a 第1混練空間
10b 第2混練空間
10c 第3混練空間
L 大チップクリアランス
M 中チップクリアランス
S 小チップクリアランス
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、
前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする密閉型混練装置。
【請求項2】ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、
前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする密閉型混練装置。
【請求項3】ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、
前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、
前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内でロータを回転させることによりゴムやプラスチック等の混練材料を混練する密閉型混練装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バッチ式の密閉型混練装置は、ゴムやプラスチック等の混練材料をフローティングウエイトによりチャンバ内に圧入した後、チャンバ内に設けられた一対のロータにより混練し、所望の混練状態の混練物となったときに、この混練物をチャンバ内からドロップドアを介して外部に排出するという一連の動作により1バッチ分の混練物を製造するようになっている。
【0003】
ところで、上記の混練は、ロータの回転力を混練物への剪断力として作用させることにより行われている。そして、剪断力は、ロータとチャンバ内壁面との間隙(チップクリアランス)において最大となり、この最大の剪断力は、チップクリアランスが減少するのに伴って増大することが知られている。従って、チップクリアランスを小さくすれば、大きな剪断力による分散作用により混練を促進できることは明らかであるが、チップクリアランスが小さくなると、局所的な高い剪断力が混練物に付与されるため、混練物が早期に高温化することになる。
【0004】
そこで、例えばゴム等の許容温度が低い混練物を製造する場合には、たとえ混練の効率が低くても許容温度以上の昇温が生じないように、チップクリアランスを拡大傾向に設定したり、或いは生産性は低下するがロータの回転数を小さくしたり、原料投入量を少なくする対策が採られている。また、許容温度が高い混練物を製造する場合には、混練の効率を重視して大きな剪断力が得られるようにチップクリアランスを十分に小さくしたり、ロータの回転数を大きくする対策が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、チップクリアランスが特定の混練条件に対してのみ適正なものであるため、例えば混練物の種類が切り替えられて混練条件が変更されたときに、この混練条件に対応したチップクリアランスとなるようにロータを取り替えなければ、チップクリアランスが過大または過小となって、混練や分散が不十分になったり、許容温度以上の昇温が生じたりするという不具合が発生することになる。しかしながら、混練条件に対応してロータを取り替えることは非実用的であり、実際には、許容温度以上の昇温が生じる場合には、回転数を下げたり、原料投入量を少なくする等、混練機が本来保有している処理能力を犠牲にして、得られる混練物の品質を確保するようにしている。
【0006】
ところで、単に冷却効率を上げる場合には、特開昭63−47106号公報に開示のように、軸方向に延びる螺旋状の長翼を周方向に2本配設するとともに、この長翼の背面側にスクレーパを配設し、チャンバ内面に付着する層状の混練物を前記スクレーパで剥ぎ取ることにより、チャンバからの冷却効率を上げる密閉式混練装置を用いることができる。しかし、特開昭63−47106号公報に開示の密閉式混練装置において、特定のチップクリアランスを有して剪断機能を果たすのは長翼だけであり、スクレーパに剪断機能を持たせるという思想があるわけではなく、チップクリアランスの変更という意味では不十分である。また、非実用的なロータの取り替えでなく、混練条件に応じてチップクリアランスを任意に変更できるように、ロータの回転軸を移動可能にした密閉型混練装置が開発されているが、この場合には、回転軸を平行移動させるロータ移動機構の保守点検がその都度必要になり、段取時間が増大すると共に、点検作業が繁雑になるという新たな負担が発生することになる。
【0007】
従って、本発明は、保守点検作業を必要とせず、且つ混練機の本来有する処理能力を減殺することなく、各混練条件の混練物を良好に混練および分散することができると共に、過剰な温度上昇を防止することができる密閉型混練装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。請求項2の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0 100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴とする。これにより、翼部により出現された異なるチップクリアランスは、少なくとも相対的に小さなチップクリアランスと大きなチップクリアランスとに区分することができる。そして、小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進して混練物に均等な剪断作用を加えると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現すると、混練対象物の種類が変わっても確実に混練対象物に剪断力が作用して分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータ移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0009】
請求項3の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、チャンバ内壁面に近接された翼部が、ロータの回転に伴って定期的にチャンバ内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすため、チャンバ内壁面への付着膜が薄くなることから、チャンバを介して混練対象物を冷却する際の冷却効率を高めることができる。
【0010】
尚、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記複数のチップクリアランスは、小チップクリアランス、中チップクリアランス、大チップクリアランスのうち、少なくとも2つを含んでなり、前記チャンバの内径に対するチップクリアランスの比率が、小チップクリアランスでは0.0025〜0.0250の範囲内にあり、中チップクリアランスでは0.0100〜0.0500の範囲内にあり、大チップクリアランスでは0.0250〜0.1000の範囲内にあることにより、小チップクリアランスが所定範囲にあって、混練物に含まれる充填剤、添加剤の凝集体或いはゲルを破壊し、混練物中に分散させる機能を果たすことができるとともに、中チップクリアランスと大チップクリアランスも所定範囲にあって、混練物に均等な剪断仕事を加えることができる。
【0011】
また、チャンバ内径に対するチップクリアランスの比率が、前記小チップクリアランスでは0.00625〜0.0125の範囲内にあり、前記中チップクリアランスでは0.0125〜0.0250の範囲内にあり、大チップクリアランスででは0.0250〜0.075の範囲内にあることが望ましい。これにより、凝集体或いはゲルの混練物中への分散と、混練物に均等な剪断仕事を加えることの両方が、バランス良く達成できる。
【0012】
請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記長翼は、一つの翼に複数のチップクリアランスが段階状に形成された翼を含む。ここで、段階状とは直線で形成されたものに限らず、曲線を含む種々の線で段差や折れ曲がり点のような不連続部を有するように形成されたものをいう。
【0013】
また、前記段階状を形成する複数のチップクリアランスのうち、少なくとも一つのチップクリアランスがテーパ状となっている。ここで、テーパ状とは、直線で傾斜するものに限らず、滑らかな曲線で全体として傾斜するものでもよい。
【0014】
尚、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記長翼は、一つの翼に複数のチップクリアランスがテーパ状に形成された翼を含むものであることが望ましい。ここで、テーパ状とは、一つの翼の複数のチップクリアランスが全体として連続的変化をなしているものをいう。この連続的変化は、直線で傾斜するものに限らず、滑らかな曲線で傾斜するものでもよい。
【0015】
また、請求項1〜3記載の密閉型混練装置であって、前記ロータの長翼を分割セグメントで構成していることが望ましい。これにより、長翼の加工が簡単となり、長翼の設計の自由度が広がる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図10に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係る密閉型混練装置は、図1に示すように、一対の第1ロータ1および第2ロータ2と、これらのロータ1・2を回転自在に支持するケース部材3とを有している。ケース部材3の外面壁には、ケース部材3を介して混練物を冷却するように図示しない冷却配管が接合されている。一方、ケース部材3の内部には、混練物を収容するチャンバ4が形成されている。チャンバ4は、図3に示すように、縦断面がまゆ型形状に形成されており、内径Dの円曲線を有する一対の第1混練室4aおよび第2混練室4bと、これらの混練室4a・4bを連通させる連通部4cとからなっている。
【0017】
上記のケース部材3の上側中央部には、ゴムやプラスチック等の混練材料をチャンバ4内に圧入するフローティングウエイト5が昇降可能に設けられている。一方、チャンバ4の下側中央部には、混練物を外部に排出するドロップドア6が設けられている。そして、これらのフローティングウエイト5およびドロップドア6は、混練時にケース部材3に密接することによって、チャンバ4の内壁面の一部を構成するようになっている。
【0018】
上記の第1および第2混練室4a・4bには、図1に示すように、第1および第2ロータ1・2がそれぞれ貫挿されている。これらのロータ1・2は、軸心同士が平行となるように配置されており、図示しない駆動機構により逆方向に回転駆動されるようになっている。また、これらのロータ1・2は、後述するように長翼7および短翼8を有した同一形状に形成されており、長翼7および短翼8の配置が両ロータ1・2間で逆向きに配置されている。
【0019】
上記の各ロータ1・2は、チャンバ4内に収容されたロータ混練部1a・2aと、ロータ混練部1aの両端に形成され、ケース部材3に回転自在に支持されたロータ支持部1b・1b・2b・2bとを有している。ロータ混練部1a・2aは、図2にも示すように、円周方向に120度等分配置され軸方向の延びる3個の長翼7・7・7と短翼8・8・8とを有している。各長翼7は、図1に示すように、チャンバ4の一方の壁面から他方の壁面側の途中までにかけて螺旋状に形成された送り翼となっている。一方、各短翼8は、長翼7の他方側に位置するように、長翼7・7同士の終端間からチャンバ4の他方の壁面までにかけて逆方向の螺旋状に形成された戻し翼となっている。
【0020】
上記の長翼7は、頂部のチップが高位チップ部7aと中位チップ部7bと低位チップ部7cとに区分され、軸方向に3種類の高さのチップ部が出現する。更に3個の長翼7・7・7の周方向にも3種類の高さのチップ部が交互に出現するようになっている。そして、各チップ部7a・7b・7cは、チャンバ4の内壁面との間隙であるチップクリアランスが小チップクリアランス→中チップクリアランス→大チップクリアランスとこの順に大きくなるようにそれぞれ設定されている。
【0021】
即ち、高位チップ部7aは、最も小さなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面に近接されており、ロータ1・2が回転したときに、大きな剪断力を混練物に付与して混練効率および分散効率を向上させるようになっていると共に、チャンバ4の内壁面に付着した混練物の表層を掻き落として冷却効率を向上させるようになっている。さらに、この高位チップ7aは、前進側に位置する混練物の大部分を軸方向に流動させることにより軸方向の流動を促進すると共に、第1混練室4aおよび第2混練室4b間における流動も促進させるようになっている。
【0022】
一方、低位チップ部7cは、最も大きなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面から十分に離隔されており、ロータ1・2が回転したときに、チップクリアランスにおける混練物の通過量を増加させ、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動を促進するようになっていると共に、局部的な大きな剪断力の付与を防止して混練物の過剰な昇温を抑制するようになっている。また、中位チップ部7bは、高位チップ部7aと低位チップ部7cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されており、高位チップ部7aおよび低位チップ部7cの混練物に対する剪断力および流動を調整するようになっている。尚、この実施例では小チップクリアランス→中チップクリアランス→大チップクリアランスの順に設定しているが、これに限定されるものでなく、中→小→大,大→中→小,小→大→中の順でも良いこと勿論である。
【0023】
また、長翼7の他方側に配置された短翼8・8・8は、図2に示すように、高位チップ8a、中位チップ8b、および低位チップ8cを有するようにそれぞれ形成されている。そして、高位チップ8aの短翼8は、上述の長翼7の高位チップ部7aと同様に、最も小さなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面に近接されており、混練物に対する大きな剪断力の付与と、チャンバ4の内壁面に付着した混練物の掻き落としと、軸方向および混練室4a・4b間における流動の促進とを行うようになっている。また、低位チップ8cの短翼8は、上述の長翼7の低位チップ部7cと同様に、最も大きなチップクリアランスとなるようにチャンバ4の内壁面から十分に離隔されており、チップクリアランスにおける混練物の通過量の増加と、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動の促進と、局部的な大きな剪断力の付与の防止とを行うようになっている。また、中位チップ8bの短翼8は、上述の長翼7の中位チップ部7bと同様に、高位チップ8aと低位チップ8cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されており、高位チップ8aおよび低位チップ8cの短翼8による混練物に対する剪断力および流動を調整するようになっている。
【0024】
上記の構成において、密閉型混練装置の動作について説明する。先ず、図3に示すように、ケース部材3にドロップドア6を密接させた状態でフローティングウエイト5をケース部材3から離隔させることによって、チャンバ4の上面を開口する。そして、この開口からゴムやプラスチック、充填剤等の混練材料をチャンバ4内に装填した後、フローティングウエイト5をケース部材3に密接させてチャンバ4の連通部4cに圧入する。また、この圧入に前後してケース部材3の外壁面に接合された冷却配管に冷却水等を流動させ、ケース部材3を介してチャンバ4内の混練材料を冷却する。尚、混練材料の構成や種類によっては、混練材料を加熱させるため、冷却配管に熱水や蒸気等の熱媒体を流動させても良い。
【0025】
次に、各混練材料を剪断および分散しながら所望の混練状態の混練物となるように、第1および第2ロータ1・2を逆方向に回転させることにより混練を開始する。第1および第2ロータ1・2が回転すると、図3に示すように、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aが小さなチップクリアランスに設定されているため、例えばブロック状のゴムが混練材料として連通部4cに装填されていても、前述したようにこれらの混練材料が大きな食込み力により左右の第1および第2混練室4a・4bに移動する。従って、混練材料の形状やサイズが多種多様であっても、常に混練の開始から短時間のうちにチャンバ4内の全空間に混練材料を分散させることができる。
【0026】
上記のようにして混練材料がチャンバ4内に分散されながら混練されると、長翼7の各チップ部7a・7b・7cおよび短翼8の各チップ8a・8b・8cがそれぞれ下記のように混練材料や混練物からなる混練対象物に対して作用する。
【0027】
即ち、図4において、ハッチッング部は混練対象物の充填量を示し、ベクトルは混練対象物の流量と方向を示し、白抜き矢印は混練室4a,4bを連通する連通部4cにおける混練対象物の流れの方向と流量とを模式的に示す展開図である。本発明にかかる図4(a)では、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aにおいては、上述のように小さなチップクリアランスであるため、混練対象物のチップクリアランスの通過量が小さなものとなっている。従って、高位チップ部7aおよび高位チップ8aの前進側に存在する混練対象物は、軸方向に大量に流動することによって、大部分が軸方向に隣接する長翼7の中位チップ部7bや短翼8の中位チップ8bの前進側に移動し、一部がチップクリアランスを通過する。そして、この一部の混練対象物は、小さなチップクリアランスによる大きな剪断力が付与されて分散される。この際、大きな剪断力が付与された混練対象物は、分散と同時に急激に昇温することになるが、大部分混練対象物が軸方向に流動するため、混練対象物の全体としては昇温が抑制されたものとなる。従って、混練対象物の許容温度が低くても、大きな剪断力による分散を継続することができる。
【0028】
また、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aは、チャンバ4の内壁面に近接した位置で移動するため、チャンバ4の内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすことになる。従って、チャンバ4の内壁面への付着膜の厚みが薄くなり、冷却配管によるチャンバ4を介した冷却効率が向上し、混練対象物の高温化を一層抑制することになる。さらに、長翼7の高位チップ部7aおよび短翼8の高位チップ8aが連通部4cを移動するとき、混練対象物を一方の第1または第2混練室4a・4bから他方の第2または第1混練室4b・4aに大きな押圧力で押し出すため、第1および第2混練室4a・4b間における混練対象物の流動も促進することになる。
【0029】
次に、長翼7の低位チップ部7cおよび短翼8の低位チップ8cにおいては、大きなチップクリアランスであるため、混練対象物のチップクリアランスの通過量が大きなものとなっている。従って、低位チップ部7cおよび低位チップ8cの前進側に存在する混練対象物は、チップクリアランスを通過して周方向に大量に流動することによって、大部分が周方向に隣接する長翼7の中位チップ部7bや短翼8の中位チップ8bの前進側に移動し、一部が軸方向に流動する。また、混練対象物を押し出す押圧力が小さなものであるため、連通部4cを移動する際の他方側の第1および第2混練室4a・4bへの流動を抑制する。従って、同一混練室4a・4bにおける混練物の流動を促進した状態になっていると共に、この流動時において、大きなチップクリアランスが混練対象物への剪断力を低減しているため、混練対象物の過剰な昇温を抑制するようにもなっている。
【0030】
次に、長翼7の中位チップ部7bおよび短翼8の中位チップ8bにおいては、高位チップ部7aと低位チップ部7cとの中間のチップクリアランスとなるように設定されているため、混練対象物に対する剪断力および流動を調整することになる。
【0031】
上記のようにして混練対象物が混練されると、周方向に混練対象物を大量に流動させる第1混練空間10cと、軸方向に大量の混練対象物を流動させながら少量の混練対象物を大きな剪断力により分散させる第2混練空間10aと、これらの中間的な剪断力を付与して軸方向および周方向に流動させる第3混練空間10bとを周方向および軸方向に連続して有した状態となる。従って、図4(a)と対比される図4(b)に示すように、長翼7および短翼8を中位チップ部7bおよび中位チップ8bで構成した従来の場合と比較すると、第1〜第3混練空間10a〜10cにおいて混練対象物が活発に流動しながら均等に分散することになるため、混練対象物の混練条件に対応してチップクリアランスを変更しなくても、或いは回転数変更や原料投入量を変更する等、本来混練機が保有している処理能力を犠牲にしなくても、常に良好な混練状態の混練物を得ることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の密閉型混練装置は、図1に示すように、チャンバ4内で第1および第2ロータ1・2を回転させながら、チャンバ4の内壁面と第1および第2ロータ1・2とのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とするものであり、第1および第2ロータ1・2には、軸方向および周方向に3段階の異なる複数のチップクリアランスを出現させるように、周方向の3か所に等分配置された長翼7および短翼8からなる翼部が形成された構成にされている。
【0033】
上記の構成によれば、図4(a)に示すように、長翼7および短翼8により出現された3段階のチップクリアランスのうちの小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進すると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが周方向および軸方向に出現すると、チャンバ4内の全体において混練対象物が活発に流動しながら大きな剪断力により分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータの移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練条件の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0034】
尚、本実施形態においては、第1および第2ロータ1・2からなる2本のロータが用いられているが、これに限定されるものではなく、1本のロータであっても良いし、或いは3本以上のロータであっても良い。また、本実施形態においては、周方向の3か所に等分配置された長翼7の高位〜低位チップ部7a〜7cと短翼8の高位〜低位チップ8a〜8cとで3段階のチップクリアランスを出現させているが、2段階以上の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現するものであれば、短翼8の有無、長翼7および短翼8の配置や数量、螺旋角度、各チップクリアランスが存在するその翼部分の軸方向長さ、等を任意に選択することができる。
【0035】
具体的には、長翼7のみからなる構成であっても良いし、図5(a)・(b)に示すように、長翼7および短翼8が周方向の2か所に等分配置された構成あっても良い。また、図6および図7に示すように、長翼7および短翼8の端部同士が一致するように構成されていても良いし、図8に示すように、3段階のチップクリアランスとなる高位〜低位チップ部7a〜7bが長翼7に4区分して形成された構成であっても良い。さらに、図9に示すように、軸方向に同一のチップクリアランスを周方向に3段階で有するように、高位チップ部7aのみからなる長翼7と、中位チップ部7bのみからなる長翼7と、低位チップ部7cのみからなる長翼7とが周方向に等分配置された構成であっても良い。尚、長翼7および短翼8におけるチップクリアランスの区分数は、製作を簡単に行えるように10までの範囲であることが望ましい。
【0036】
また、図10に示すように、長翼7および短翼8は、大きな螺旋角度で形成されていても良い。尚 螺旋角度は、10°〜60°の範囲で設定されていることが望ましい。これは、螺旋角度を小さくすると、軸方向の混練対象物の流動が減少してチップクリアランスの通過量の増加により分散作用の促進が図れるのに対し、螺旋角度を大きくすると、軸方向の流動の増加によるチャンバ4内の混合の促進が図れる。そして、螺旋角度が10°〜60°の範囲であれば、これら両者の特徴を同時に引き出すことができるからである。
【0037】
また、複数のチップクリアランスの出現の仕方は、大中小のチップクリアランスを直線で形成された段階状として出現させるものに限らない。例えば図2のロータ展開図において、長翼7を翼すくい面直交方向からみると、図11(a)のように第1翼、第2翼、第3翼の3つのパターンとなっている。第1翼は、一つの翼に対して、大中小の順に複数のチップクリアランスを出現させている。第2翼は、一つの翼に対して、小大中の順に複数のチップクリアランスを出現させている。第3翼は、一つの翼に対して、中小大の順に複数のチップクリアランスを出現させている。
【0038】
これらの複数のチップクリアランスは、図11(b)〜(e)のように、テーパ状になったものを含んで形成することができる。図11(b)のものは、第1長翼は全体が直線となったテーパで形成されている。第2長翼及び第3長翼は、同じ傾きのテーパと段差の組み合わせになっている。図11(c)のものは、大チップクリアランスは直線のままにし、残りの中小チップクリアランスをテーパとしたものである。図11(c)において、中又は小チップクリアランスを直線のままにし、残りのチップクリアランスをテーパとしても良い。図11(d)のものは、段差ではなく折れ曲がり点を有するようにテーパを組み合わせたものである。図11(e)のものは、大中小チップクリアランスを僅かな段差で区別するとともにテーパにしたものである。このようなテーパとなったチップクリアランスは、翼部の全体、翼部を形成する翼のうち特定の翼、又は、特定の翼の複数のチップクリアランスの一部に採用できる。また、直線によるテーパに限らず、滑らかな曲線によるテーパ状とすることもできる。尚、折れ曲がり点や段差部コーナーには折損や欠けを防止する観点から面取り乃至Rを付すのが好ましい。
【0039】
尚、上記ロータは一体鋳造或いは削り出しにて製作できるが、翼部全体或いは長翼部を複数に分割して構成する所謂分割セグメント方式とすることができる。この場合には、図15に示すように各分割セグメントの位相をずらすことにより、混練対象物の流れが更に大きく変化し、混練対象物の混練度合が一層改善される。また、各分割セグメントの幅は均等でも不均等でも良く、翼の捻り角についても一定としても或いは変化させても良く、本願発明の技術的思想を逸脱しない範囲において自由に設計することができる。
【0040】
【実施例】
以下、試験用の小型密閉式混練装置による混練テストの結果を説明する。用いた密閉式混練装置の混練室の容積は約4リットルであり、本発明例で用いたロータの翼配置と大中小チップクリアランスの配置は図12の展開図に示される。大チップクリアランスLは6mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0467)であり、中チップクリアランスMは3mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0233)であり、小チップクリアランスSは1mm(チャンバ内径128.6φmmに対する比率で0.0078)である。比較例で用いたロータの翼配置は同じであるものの、チップクリアランスは全て3mmである。
【0041】
本発明例及び比較例ともに、天然ゴム(CV60)100部に対して、カーボンブラック(SAF)を50部添加したコンパウンドを混練試験に供した。また、混練室に対するコンパウンドの充填率はいずれも70%であり、ラム圧力はいずれも5kgf/cm2であり、チャンバを形成するケース部材及びロータに流される冷却水の温度もいずれも30°Cである。
【0042】
そして、混練時間の経過とともに、混練物の温度Tdis(°C)と、混練物に加えられた機械的仕事量Esp(KWh/kg)と、混練物のムーニー粘度がどう変化するかを測定した。ロータ回転数が60rpmの場合が図13に示され、ロータ回転数90rpmの場合が図14に示される。なお、Yは本発明例のロータを示し、Xは比較例のロータを示している。
【0043】
図13及び図14によると、本発明例のロータYと比較例のロータXとの間につぎのような特性の違いが認められる。
1 混練物に加えられる機械的エネルギーは、本発明例のロータYが比較例のロータXより大きい。
2 混練物の温度は、本発明例のロータYが比較例のロータXより若干高くなっているが、ほぼ同等である。
3 混練物のムーニー粘度は、本発明例のロータYが比較例のロータXより低くなっている。また、比較例のロータXは時間の経過とともに、ムーニー粘度の低下の程度が少なくなっているが、本発明例のロータYは時間の経過と共に略比例的に低下している。
【0044】
以上の1〜3の特性差から、本発明例のロータYは比較例のロータXに比べて冷却能力が大きく、混練物に多くの機械的エネルギーを加えることができる。また、混練物の粘度は、加えられる機械的仕事量が大きいほど低下する程度が大きくなる傾向にあり、本発明例のロータYは比較例のロータXに比べて加工性に優れた混練物が得られることが判る。
【0045】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。請求項2の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、少なくとも軸方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させた長翼が形成されており、前記長翼の軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、翼部により出現された異なるチップクリアランスは、少なくとも相対的に小さなチップクリアランスと大きなチップクリアランスとに区分することができる。そして、小さなチップクリアランスにおいては、このチップクリアランスの前進側に存在する混練対象物の大部分を軸方向に流動させると共に、一部を通過させて大きな剪断力により分散を行う。一方、大きなチップクリアランスにおいては、前進側に存在する混練対象物の大部分を通過させて周方向の流動を促進して混練物に均等な剪断作用を加えると共に、小さな剪断力により昇温を防止する。これにより、大小の異なるチップクリアランスが少なくとも軸方向に出現すると、混練対象物の種類が変わっても確実に混練対象物に剪断力が作用して分散されると共に、分散時の高温化が防止されることになる。従って、従来のようにロータ移動機構の保守作業や混練機の処理能力を減殺するような運転を行わなくても、各種の混練対象物を常に所望の混練状態の混練物とすることができる。
【0046】
請求項3の発明は、ロータを回転させながら、チャンバ内壁面とロータとのチップクリアランスで混練対象物を流動させると共に剪断力を付与して分散させることによって、所 望の混練状態の混練物とする密閉型混練装置において、前記ロータには、長翼が周方向に2以上形成されており、前記長翼は、軸方向及び周方向に異なる複数のチップクリアランスを出現させ、軸方向に異なる複数のチップクリアランスのうち一つは、前記チャンバの内径に対する比率が、0.0025〜0.0250の範囲内の小チップクリアランス、0.0100〜0.0500の範囲内の中チップクリアランス、または、0.0250〜0.1000の範囲内の大チップクリアランスであることを特徴としている。これにより、チャンバ内壁面に近接された翼部が、ロータの回転に伴って定期的にチャンバ内壁面に付着した混練対象物の表層を掻き落とすため、チャンバ内壁面への付着膜が薄くなることから、チャンバを介して混練対象物を冷却する際の冷却効率を高めることができる。
【0047】
請求項1〜3の密閉型混練装置の翼部の一つの翼に着目したときの、複数のチップクリアランスの出現形態の変形可能性を示す。一つの翼に例えば大チップクリアランス、中チップクリアランス、小チップクリアランスと変化させることに加えて、複数のチップクリアランスをテーパ状を有して形成したとしても、同等の混練効果が期待できる。またこのテーパ状チップクリアランスによって、混練対象物の流れを変えたり、ロータ加工し易いロータ形状も採用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】密閉型混練装置におけるロータの正面図である。
【図2】ロータの展開図である。
【図3】混練対象物を混練する状態を示す説明図である。
【図4】混練対象物の流動状態を示す説明図であり、(a)は本発明の密閉型混練装置における流動状態、(b)は従来の密閉型混練装置における流動状態である。
【図5】ロータの長翼および短翼の状態を示す説明図であり、(a)はロータを展開し
た状態、(b)はロータを正面視した状態である。
【図6】ロータの展開図である。
【図7】ロータの展開図である。
【図8】ロータの展開図である。
【図9】ロータの展開図である。
【図10】ロータの展開図である。
【図11】一つの翼の複数のチップクリアランスの出現パターンを示す図である。
【図12】実験に用いたロータの展開図である。
【図13】本発明例のロータの60rpm時の特性を示すグラフ図である。
【図14】本発明例のロータの90rpm時の特性を示すグラフ図である。
【図15】分割タイプのロータの斜視図である。
【符号の説明】
1 第1ロータ
1a ロータ混練部
1b ロータ支持部
2 第2ロータ
2a ロータ混練部
2b ロータ支持部
3 ケース部材
4 チャンバ
4a 第1混練室
4b 第2混練室
4c 連通部
5 フローティングウエイト
6 ドロップドア
7 長翼
7a 高位チップ部
7b 中位チップ部
7c 低位チップ部
8 短翼
8a 高位チップ
8b 中位チップ
8c 低位チップ
10a 第1混練空間
10b 第2混練空間
10c 第3混練空間
L 大チップクリアランス
M 中チップクリアランス
S 小チップクリアランス
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