JP2000150923A - 裏面入射型受光装置およびその作製方法 - Google Patents

裏面入射型受光装置およびその作製方法

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JP2000150923A JP10321913A JP32191398A JP2000150923A JP 2000150923 A JP2000150923 A JP 2000150923A JP 10321913 A JP10321913 A JP 10321913A JP 32191398 A JP32191398 A JP 32191398A JP 2000150923 A JP2000150923 A JP 2000150923A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】受光素子の光吸収層部に信号光を斜めに入射す
ると共に、入射した信号光をさらに反射させ、より小さ
い素子面積で光吸収層に効率的に信号光を導入すること
が可能で、素子の高速化と高効率化をはかることができ
る裏面入射型受光装置およびその作製方法を提供する。 【解決手段】裏面入射型受光装置であって、半導体受光
素子と、受光素子の側部に独立して形成した単数もしく
は複数の凹状の斜面反射部とを少なくとも備え、基板の
裏面から入射した信号光が、斜面反射部で反射し、基板
面に対し斜め方向から受光素子に入射する構造にする。
基板の厚さをT、斜面反射部の深さをD、斜面反射部で
反射され受光素子へ入射する光の入射方向と基板面との
なす角度をθ′とした場合に、光吸収層の斜面反射部側
の端部と斜面反射部の最深部との水平距離zを、z<T
/(10・tanθ′)の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の裏面から信
号光を入射する構造の受光装置に係り、特に高速で、高
効率の裏面入射型受光装置およびその作製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フォトダイオードに代表される半導体受
光素子は、光信号を電気信号に変換する素子であり、光
通信や光測定などの分野で幅広く使われいる。従来のp
n接合を用いたフォトダイオードは、例えば、図20に
示すように基板の端面から信号光を入射する「導波路
型」受光素子と、図21に示すように基板に垂直に信号
光を入射する「面型」受光素子とに分類される。ここ
で、半導体層25は、半導体基板26上に形成されたn
型電極層、光吸収層27、p型電極層からなる半導体積
層構造を基本としており、必要とする層をさらに多層構
造にすることにより、光導波路構造を兼ねる構造にする
こともできる。受光素子28は、メサ加工により絶縁分
離されることが多く、素子の上部および下部電極層に接
して、それぞれ上部電極30および下部電極31が形成
される。導波路型受光素子の特徴は、入射光29の進行
方向と光励起キャリアの走行方向が互いに異なるため、
受光素子の帯域と効率を独立に設計できることである。
しかし、その反面、入射光との結合効率が低いことや、
光入射端面に劈開面33を用いるため、通常の半導体製
造プロセス等との整合性が悪く、量産性の観点で問題が
あり、他の素子とのモノリシック集積化の自由度も低い
などの欠点がある。さらに、劈開しないと素子特性の測
定ができないために、ウエハ状態での素子評価ができな
いのも欠点の一つである。これに対し、基板に垂直方向
から信号光を入力する面型受光素子は、幾つかの点にお
いて利点を有している。すなわち、入射光との結合効率
低下の問題が少なく、光吸収層の厚さを厚くすることに
より効率を高くできるという特徴や、通常の半導体製造
プロセスとの整合性が良いので量産性に富み、構造の類
似性からも他の素子とのモノリシック集積化の自由度も
高いなどの特徴がある。また、ウエハ状態での素子評価
も容易である。面型フォトダイオードのうち、信号光を
基板表面側から入射する面型受光素子、すなわち表面入
射型素子(図21)は、入射光を導入するファイバー等
とのモジュール化が簡便に行えることから、低速応用の
領域では多く用いられている。しかし、表面入射型の場
合は、上部電極30領域内に光入射用の窓32が必要で
あり、したがって窓領域(電極の無い部分)の広がり抵
抗が大きくなり、素子特性の向上がはかれないという欠
点があった。また、光吸収層27の厚さと素子効率はト
レードオフの関係にあり、吸収層を薄層化して高速化を
はかると効率が低下するという問題があった。これに対
し、高速応用や高効率が必要な領域では、面型受光素子
である裏面入射型(図22)が主流となっている。その
理由は、上部電極30領域全面に電極を形成することで
素子抵抗の低減をはかることができると共に、上部電極
30で信号光を反射させ、反射光34を再度、光吸収層
へ導くことにより、素子の高効率化がはかれるからであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
裏面入射面型フォトダイオードにおいて、さらなる高速
化をはかるためには、キャリア走行距離を極端に短くす
ること、すなわち光吸収層の厚さを極端に薄くせざるを
得ないために、高速性を保持したままで十分な素子効率
を得ることができないという問題があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消し、受光素子の光吸収層部に信号光を斜めに
入射すると共に、入射した信号光をさらに反射させ、よ
り小さい素子面積で光吸収層に効率的に信号光を導入す
ることが可能で、素子の高速化と高効率化をはかること
ができる裏面入射型受光装置およびその作製方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、特許請求の範囲に記載のような構成とする
ものである。すなわち、本発明は請求項1に記載のよう
に、裏面入射型受光装置であって、半導体基板上に形成
された半導体受光素子と、上記基板表面に、上記受光素
子の側部に独立して形成された単数もしくは複数の凹状
の斜面反射部とを少なくとも備え、上記基板の裏面から
入射した信号光が上記斜面反射部で反射し、基板面に対
し斜め方向から上記受光素子に入射する構造に、上記受
光素子および上記斜面反射部を配設した裏面入射型受光
装置とするものである。また、本発明は請求項2に記載
のように、請求項1において、半導体基板の厚さをT、
斜面反射部の深さをD、上記斜面反射部で反射され受光
素子へ入射する信号光の入射方向と基板面とのなす角度
をθ′とした場合に、上記受光素子を構成する光吸収層
の上記斜面反射部側の端部と、上記斜面反射部の最深部
との水平距離zが、z<T/(10・tanθ′)とな
る範囲に設定した裏面入射型受光装置とするものであ
る。また、本発明は請求項3に記載のように、請求項1
または請求項2において、斜面反射部を受光素子に対し
て対称な位置に、偶数個、配設した裏面入射型受光装置
とするものである。また、本発明は請求項4に記載のよ
うに、請求項1ないし請求項3のいずれか1項におい
て、受光素子の全側面部、もしくは少なくとも斜面反射
部とは反対側の側面部において、上記受光素子に対し斜
め方向に入射する信号光を素子側へ反射させる構造に、
上記受光素子の側面形状を構成した裏面入射型受光装置
とするものである。また、本発明は請求項5に記載のよ
うに、請求項1ないし請求項3のいずれか1項におい
て、受光素子の全側面部、もしくは少なくとも斜面反射
部とは反対側の側面部において、上記受光素子に対し斜
め方向に入射する信号光を素子側へ反射させる構造とな
し、かつ上記斜面反射部とは反対側の素子側面が、上記
斜面反射部側の素子側面よりも深く掘り込まれた非対称
なメサ状の断面形状を有する裏面入射型受光装置とする
ものである。また、本発明は請求項6に記載のように、
請求項5において、受光素子の少なくとも斜面反射部と
は反対側の側面を、逆メサ状の断面形状となるように構
成した裏面入射型受光装置とするものである。また、本
発明は請求項7に記載のように、請求項1ないし請求項
6のいずれか1項に記載の裏面入射型受光装置の作製方
法であって、半導体基板上に凹状の斜面反射部を形成す
る際に、半導体基板に対し選択エッチング特性を有する
半導体薄膜をマスクとして用い、化学的エッチング法に
より、基板結晶の(111)A面、もしくはこれと等価
な面が露出されるようにエッチングする工程を含む裏面
入射型受光装置の作製方法とするものである。本発明
は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のよ
うに、受光素子側部に独立した斜面反射部を設け、裏面
からの入射光をすべて反射させ、光吸収層に斜め方向か
ら信号光を入射させるようにしたものである。このよう
な構成とすることにより、入射光にとって実効的な吸収
長が増大するため、受光素子の効率を顕著に増大させる
ことができる効果がある。そして、基板裏面から垂直に
入射した入射信号光を、受光素子とは独立して基板内に
形成された斜面反射部ですべて反射させることにより、
光吸収層に対して低角度で入射させる点が従来技術とは
異なるところである。また、本発明の他の構成として、
請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載のよう
に、受光素子の全側面部、もしくは少なくとも上記斜面
反射部とは反対側に位置する素子側面部も反射部となる
ように構成するものであって、このような構成とするこ
とにより、素子部に、斜めに入射した信号光をさらに反
射させ、より小さい素子面積で光吸収層に効率的に信号
光を導くことができる効果がある。そして、素子側面を
反射部とし、短い素子寸法であっても低角度の入射信号
光を効率良く光吸収層へ導くように構成した点が従来技
術とは異なるところである。さらに本発明は、請求項7
に記載のように、半導体基板に対し選択エッチング特性
を有する半導体薄膜をマスクとして用い、化学的エッチ
ング法によって、基板結晶の(111)A面、もしくは
これと等価な面が露出されるようにエッチングして斜面
反射部を形成する方法であるので、容易に、再現性良
く、高歩留まりで斜面反射部を有する半導体基板を作製
できる効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を引用しながら詳細に説明する。以下に述べる
実施の形態では、受光素子の一例として、高速性、高出
力性に優れるUTC−PD(Uni−Traveling−Carrier
Photodiode)と呼ばれるフォトダイオード(特開平9−
275224号公報)を用いた。 〈実施の形態1〉図1は本発明の第1の実施の形態であ
って、1は半絶縁性のInPからなる半導体基板、2は
n型InP電極層、3はアンドープInPキャリア走行
層、4は信号光を吸収するp型InGaAs吸収層(膜
厚2500Å)、5は p型InGaAsP電極層(組
成:波長1.3μm相当)、6は下部電極、7は上部電
極、8は素子側部に形成されたV溝からなる斜面反射
部、9は入射光、10は反射光である。また、基板裏面
には反射防止膜11が設けられている。なお、本発明の
構成には直接関係しないため、ここではUTC−PDの
層構成は簡略化して記述している。また、有限の径を有
する光ビームの半導体層界面での屈折の様子は、図3を
除いて省略して記述している。図1に示すように、本実
施の形態では、メサ形状の受光素子13が形成され、そ
の側部にV溝からなる斜面反射部8が独立して形成され
ている。後述するように、この斜面が基板表面とのなす
角度(鋭角側)は、約54.7°(度)とした。 ま
ず、基板裏面から基板面に垂直に入射した入射光9は、
斜面反射部(V溝)8ですべて反射され、メサ型素子部
の光吸収層4に斜め方向から入射する。ここで、図2に
示すように、基板表面12に対する斜面反射部8の角度
(鋭角側)をθとすると、光吸収層4への入射方向と基
板面の角度θ′は2θ−90°となる。この入射光9
は、キャリア走行層3と、InGaAs層よりなる光吸
収層4、および光吸収層4とInGaAsPよりなる電
極層5との界面で、図3に示すように、スネルの法則に
したがい屈折する。したがって、光吸収層4の厚をを
d、アンドープInPキャリア走行層3の屈折率を
1、光吸収層4の屈折率をn2とすると、光吸収層4に
入射した信号光は、光吸収層4内を、次の(数1)式で
示される距離deffだけ伝搬し、光吸収層4の上部に出
射する。 deff=d/〔1−4(n1/n22 sin2θcos2θ〕1/2………(数1) 出射した信号光は、上部電極7で反射され、再度、光吸
収層4へ入射し、光吸収層4内を再度、距離deffだけ
伝搬する。したがって、実効的な吸収長は、2deff
なる。これは、信号光が光吸収層4に対して垂直に入射
した場合(吸収長2d)に比べ、(数1)式に示す係数
だけ長くなり、結果として素子の効率増大に寄与するこ
とになる。本実施の形態における構成では、吸収長の増
大係数は約1.8倍となる。信号光の実効的な吸収長
(実効吸収長と言う)は、斜面反射部8の入射光9の角
度θに依存するが、光吸収層4への入射方向と基板面の
角度(θ′)が90度に近づくと、斜め入射による実効
吸収長の増大効果は少なくなり、一方、入射角を小さく
し過ぎると、後述するが、素子面積、すなわち素子容量
が増大して高速特性は低下することになる。また、実際
には、入射信号光は有限のビーム径を有するので、受光
素子13の素子面積(実際には入射方向の素子長)を
θ′と連動して増大させないと、図4に示すような信号
光9の「遮り」が生じ、信号光9の一部しか光吸収層4
に到達しないため素子効率は低下する。また、自明では
あるが、基板表面と斜面反射部とのなす角度(θ)が4
5度よりも小さい場合には、反射光10は素子に到達で
きないし、90度以上の場合は入射光9がいったん基板
から出射することなしには反射部として機能しない。し
たがって、θとして考えられる範囲は90°>θ>45
°となる。すなわち、「斜面反射部8」は、基板表面と
斜面反射部とのなす角(鋭角側)θは、上記の範囲内に
あるものと定義される。以上のように、素子の高速性と
効率は共にθの関数であり、トレードオフの関係にあ
る。図5に示すように、θが67度を越えると、実効吸
収長の増分(差分)%は30%程度以下となってしまう
ので、実効吸収長の増分の効果は十分ではない。したが
って、θは67度以下が好ましい。他方、θが低くなり
過ぎると、必要とする素子面積が増大し、素子容量の増
大による素子高速特性の著しい低下を招くため、やはり
実用的ではない。ところで、素子の高速性は、容量を制
限する要素と、キャリア走行時間を制限する要素とがあ
る。前者は素子面積と関連しており、後者は光吸収層の
厚さと関連している。一般に、光吸収層の厚さは、所定
の効率を確保するために有限の値に設定する(本実施の
形態では約2500Åに設定した)。したがって、ある
程度の素子面積までは、その面積増大が素子の高速性に
対し顕著な影響を及ぼさない。その影響が顕著になるの
は、垂直入射の場合に比べて、素子面積がおおむね5倍
以上に増大した場合であり、θとしては50度以上が好
適である。したがって、現実的な装置を考えた場合に、
上記θの好適な範囲としては、67°≧θ≧50°とな
る。本発明の裏面入射型受光装置の構成では、斜面反射
部(V溝)8で、入射光9の全反射が起こるようにθを
決定しなければならない。また、V溝表面に表面保護な
どの目的で膜を堆積する場含には、その屈折率について
も考慮する必要がある。本実施の形態で用いたInP基
板の屈折率は3.17(波長1.55μmの場合)である
ため、表面が空気あるいは封入ガスなど(いずれも屈折
率はほぼ1)の場合、θが45度以上ではすべて全反射
条件を満たしている。一方、保護膜を堆積する場合は、
全反射条件を保つためには屈折率の制約が生じる。例え
ば、θを54.7度と設定した場合にV溝表面に堆積す
る材料は、屈折率2.59以下でなければならない。本
実施の形態では用いていないが、一般には表面保護膜を
用いる構成が好まれ、通常の半導体プロセスとの整合性
の観点から、堆積膜としては、ポリイミド(屈折率1.
5程度)、有機膜の一種であるBCB(ビスベンゾシク
ロブテン:屈折率1.5程度)、シリコン酸化膜(屈折
率1.5程度)、シリコン窒化膜(屈折率1.8〜2.2
程度)等が好適に用いられる。これらはいずれも、θが
45度以上で全反射条件を満たしている。堆積膜の種類
は、上記以外の膜であっても良く、また屈折率の制約
は、θによって適宜規定されるものであり、θを大きく
すればこの制約は緩和される。図1において、入射光9
は上部電極7で反射すると述べたが、電極層5に用いる
材料と光吸収層4に用いる材料との屈折率差を適宜選択
することにより、図6に示すように、入射光9を吸収層
4および電極層5′の界面で全反射させることができ
る。実際の素子では、半導体/金属界面で光の吸収が生
じる場合があるため、この構造は素子効率の向上に有効
である。例えば、本実施の形態のように、θ′=19.
5°となるように、基板表面と斜面反射部とのなす角度
θを選んで斜面反射部8を形成すると、光吸収層4およ
び電極層5′の界面で全反射条件となるのに必要な屈折
率比は約0.83となる。したがって光吸収層4をIn
GaAs(屈折率3.59)で構成した場合、電極層
5′は例えばA1PやA1As(いずれも1.55μm
における屈折率2.8以下)で構成すれば良いことにな
る。
【0007】〈実施の形態2〉図7(a)、(b)およ
び図8は、半導体基板1に斜面反射部(V溝)8の作製
方法を示す模式図である。V溝の作製方法としては、半
導体の化学エッチング特性を利用するものである。すな
わち、化合物半導体基板として一般的に用いられる(0
01)面、あるいはこれと等価な面を表面とする基板
を、メサエッチングした場合に、その(−110)断面
および(110)断面(あるいは、これらと等価な面の
組み合わせであっても良い。)からみたエッチング断面
形状は、それぞれ、図7(a)および図7(b)に示す
ように、前者がいわゆる「逆メサ」形状となり、後者が
「順メサ」形状となる。より具体的には、通常市販され
ている基板のOF(オリエンテーションフラット)に対
して平行なストライブ状メサの側面(OFから見て前
後)は順メサとなり、90度異なる方向の側面(OFか
ら見て左右)は逆メサとなる。これらのメサ斜面の基板
表面に対する角度(順メサの場合は鋭角側、逆メサの場
合は鈍角側)は、エッチング液によっても異なるが、適
当なエッチング液、エッチング条件を選択すれば、メサ
側面を表面として(111)面、あるいはこれと等価な
面を露出させることができる。これは、例えばIII−V族
化合物半導体の場合、金属原子面(通常、A面と称す
る)でエッチングが停止しやすい性質を有しているから
である。基板がInPの場合、この面はIn面となり、
典型的には、ブロムとメタノールの混合液、臭酸、塩酸
と燐酸の混合液、硫酸と過酸化水素の混合液などを用い
て露出させることができる(例えば、S.Adachi他、J.E1
ectrochem.Soc.Vo1,128,No.6.1981,pp.1342〜1349)。
(111)A面、あるいはこれと等価な面でエッチング
を止めた場合、(−110)断面、あるいはこれと等価
な面から見た基板表面と斜面とのなす角度は約54.7
度となる。図8は本実施の形態で作製した斜面反射部
(V溝)を示す図であって、まず、InP基板上に形成
されたInGaAs層上に、フォトレジストで開口部を
有するマスクを作製し、続いてクエン酸系のエッチング
液でInGaAs層を選択的にエッチングする。その
後、塩酸と燐酸の混合液を用いてInPのみを選択的に
エッチングし、(111)A面でエッチングを自動的に
停止させることによりV溝を形成する。図8に示すよう
に、V溝の深さはエッチングマスクの開口部長さに依存
する(開口部長さに対し深さは1/√2となる)ので、
マスク設計によりV溝の深さを決定することができる。
必要なV溝の深さは、受光素子とV溝との位置関係によ
り決まる。ここでは、開口部長を約28μm、V溝深さ
を約20μmとした。また、光吸収層の端部からV溝最
深部(中心)までの水平距離を27μmとした。これら
の値は、素子からの引き出し電極の形状、配置、素子の
放熱(基板の熱抵抗)の観点、基板の機械的強度の観
点、膜堆積などによるV溝の埋め直しの必要性の有無、
入射信号光の位置合わせ余裕度などにより、適宜設定す
ることができる。V溝位置を素子から離すほど、V溝深
さを深くする必要がある。また、ある程度V溝深さを深
くしておけば、斜面反射部を十分な長さにすることがで
き、入射光9の位置合わせ余裕度が増大する。しかし、
V溝の位置は、その深さに応じて、基板裏面からの入射
光が反射されて受光素子に到達できるように受光素子の
近傍に配置しなければならない。また、基板の機械的強
度を考慮すると、斜面反射部の深さは、おおむね基板厚
さの1/10程度に留めるのが望ましい。例えば、市販
のInP基板では、2インチ基板の厚さは450μm程
度、3インチ基板の厚さは600μm程度であるので、
それぞれ斜面反射部の最適深さは約45μm以下、およ
び約60μm以下となる。これらを勘案すると、光吸収
層の斜面反射部側の端部と斜面反射部の最深部との水平
距離z(図9)に関する制約は以下のように記述され
る。すなわち、入射光ビーム径を無限小と仮定した場
合、斜面反射部の最深部の光吸収層端部で反射した入射
光が少なくとも光吸収層に到達するためには、基板厚さ
をT、斜面反射部深さをDとすると、z≦T/(10・
tanθ′)とする必要がある。実際にはビーム径は有
限であるため上記の式は等号を除くべきである。したが
って、必要な条件はz<T/(10・tanθ′)とな
る。上述の2インチおよび3インチ基板では、この距離
zは、それぞれ約127μmおよび約169μmとな
る。ただし、チップサイズを無意昧に大きくしないため
には、必要十分な距離を置いて両者をできるだけ近接さ
せるのが好適である。一方、逆に斜面反射部を光吸収層
の端部に接して形成するのは好ましくない。それは、斜
面の作製が困難になるだけではなく、電極の配置が制限
されたり、放熱が阻害されるなどの問題が生じるからで
ある。したがって、斜面反射部を光吸収層端部に極端に
近接させて形成するのは、上記の問題点を上回るメリッ
トがある場含に限られる。図8に示すように、半導体基
板(InP基板)1の表面に、例えば50Å程度以上の
InGaAs層やInGaAsP層などのInP基板に
対してエッチングの選択性のある層を残し、これをエッ
チングマスク20として用いれば、InP基板のサイド
エッチを防ぐことができるので、V溝の開口部長および
深さを、より正確に制御することができる。また、本手
法により(111)A面、あるいはこれと等価な面を露
出させた場合、上述のようにθは約54.7度、したが
って光吸収層への入射方向と基板面の角度θ′は約1
9.5度となり、屈折を考慮すると実効吸収長は、垂直
入射の場合に比べて約1.8倍となる。したがって、こ
の手法は、本発明の受光装置を作製する上で好適であ
る。その理由は、1.8倍の実効吸収長の増大は、高効
率化の観点から十分な効果が得られる一方、それに対応
する素子面積の増大(3倍)は、上述したように素子の
高速性にそれほど悪影響を及ぼさないので、この本発明
の手法により得られる素子構造は、高速性を犠性にせず
に素子の高効率化がはかれるメリットがある。加えて、
化学的な性質によりθが自律的に決定されるため、装置
作製における再現性、均一性に対し非常に優れた手法と
なる。なお、本実施の形態ではV溝を形成する場合につ
いて述べたが、エッチングを途中で停止することによ
り、図7(b)に示すように、溝の底部に平坦な箇所を
残しても良い。また、InP以外の基板、例えばGaA
sやGaP基板でも適宜エッチング液を選択することに
より、上記と同様の工程が適用可能であり、同様の効果
が得られる。図10は、θを54.7度とした場合の、
本発明の裏面入射型受光装置と従来の裏面入射型受光素
子との効率の膜厚依存性(計算値)を比較して示したグ
ラフである。ここでは、基板裏面での反射が無く、入射
光の吸収は光吸収層のみで生じると仮定している。例え
ば、実施の形態1における光吸収層の厚さ2500Åの
場合、従来の受光素子では受光感度は0.4A/W程度
にしかならないが、本発明の受光装置では、受光感度を
0.7A/W程度にまで増大させることができる。ま
た、θをさらに小さくすれば、受光感度をさらに増大さ
せることもできる。
【0008】〈実施の形態3〉図11は、本発明の実施
の形態3で例示する受光装置の上面図である。ここで1
5は上部電極、16は下部電極、17は斜面反射部であ
るV溝である。ここで、光吸収層を含む素子部分は上部
電極15の下部に存在する。素子部の層構造は、実施の
形態1と同様である。信号光を斜面反射部(V溝)17
の受光素子13側の斜面で反射させ、素子領域(上部電
極)15に斜めに入射させるため、素子の形状は図4に
示したような「遮り」が生じないように、信号光入射方
向に対し長辺を有する長方形となっている。一方、短辺
の長さは、信号光のビーム径と同程度以上であれば良
い。本実施の形態では、ビーム径が3μmであるのに対
し、入射光ビームの合わせ余裕を考慮して素子寸法を4
μm×11μmとした。この程度の面積では、例えばキ
ャリア走行層の厚さが0.2μmの場合、素子の帯域と
して100GHz以上を有している。また、本実施の形
態のように、斜面反射部17を受光素子に対して対称に
2箇所設けるのが好適である。このようにすることによ
り、片方の反射部が劣化したり、製作プロセスの途中で
ダメージを受けたりした場合でも、もう一方の反射部で
代用することが可能であることに加え、各々の反射部を
独立に利用して、異なる信号を同時、あるいは時分割的
に素子に入力させるようにすることもできる。また、反
射部の位置が受光素子に関して対称であるため、図12
に示すように、片方の斜面反射部(V溝)8から受光素
子13に入射した信号光(入射光)9の反射光10を再
び基板裏面側へ垂直に導くことができ、基板裏面側に上
記受光素子13とは独立したフォトダイオード等のモニ
タ素子18を配することにより、信号光のモニタリング
を行うこともできる。また、受光素子あるいは発光素子
を搭載した基板を積層し、基板間で信号を授受する光イ
ンターコネクト構成とすることもできる。図13は、本
実施の形態で例示する受光装置の模式図あって、斜め溝
19を除いて、図1と同様である。斜面反射部8を作製
する方法としては、実施の形態2で示した半導体のウェ
ットエッチング特性を利用するものの他に、斜めドライ
エッチングを用いることもできる。すなわち、図14に
示すように、基板上にエッチングマスク(例えばInG
aAs層)20を形成した後、半導体基板(例えばIn
P基板)1を斜めに保持し、エッチングガス、およびエ
ッチング条件を選択することにより、異方性および側面
の平坦性に優れた深い溝を掘ることができる。例えば、
本実施の形態のInP基板に対する優れた異方性エッチ
ング手法としては、Br2−N2系のガスを用いたものが
報告されている(S.Oku他、Conference Proceedings of
the International Conference on Indium Phosphide
and Re1ated Materials、(1997)、pp.574〜577)。も
ちろん、これ以外の公知のガスや手法を用いることもで
きるし、他の基板、例えばGaAsやGaP基板をエッ
チングする場合でも、それぞれ公知の最適なガス種、手
法を用いることにより、平坦性に優れた斜め溝を作製す
ることができる。そして、この斜め溝19は、実施の形
態1で述べたV溝と等価な役割を果たす。このように、
斜めドライエッチングを用いる場合は、結晶の性質で決
まる特定の面を用いなければならないという実施の形態
2で述べたような制約が無くなり、実施の形態1で述べ
た最適配置条件の範囲内で、斜面の角度や溝の深さを任
意に設計することができる。さらに、斜めドライエッチ
ングを用いれば、素子に対して順メサになる配置以外に
も斜面反射部19を設けることができるので、素子形状
を三角形、矩形、円形、十字型等に適宜変形させ、素子
側部の任意の位置に、任意の数の反射部となる溝を設け
ることもできる。このようにすることにより、代用反射
部の数を任意の数まで増大させることができると共に、
任意の数の複数の異なる信号を同時、あるいは時分割的
に受光素子へ入力させることも可能となる。例えば、図
15(a)、(b)は、上述の斜めドライエッチングを
用いて、円形の受光素子の周囲4箇所に、斜面反射部2
1を設けたものである(4入力装置)。図15(b)に
示すように、受光素子13に対し、順メサ断面が生じる
結晶方位だけでなく、逆メサ断面が生じる方位など任意
の方位に、断面が順メサ形状の斜面反射部(斜め溝)2
1を形成することができる。なお、図15(b)は、図
15(a)のA−A断面を示す。図16は、実施の形態
1の受光素子に、有限なビーム径wを有する信号光を入
射させる場合に必要な素子長Lを説明するものである。
実施の形態1でも示したが、現実的こは図1に示すよう
に、受光素子として、光吸収層までを第1段のメサ型に
形成し、キャリア走行層は、もう一段広いメサ形状とす
るのが好適である。その理由は、2段目のメサをθ′
(光吸収層への入射方向と基板面の角度)に応じた距離
だけ広くしておけば、図4に示した入射光の「遮り」を
防ぐことができるからである。また、この2段メサ構造
は、キャリア走行層の側面部への電界集中を防止する意
昧からも効果的である。「遮り」に関しては、下部電極
層メサに関しても同様であり、必要な距離だけ広げて、
さらにもう一段広いメサ形状となっている。このように
すれば、必要な素子長Lを考える場合、問題を光吸収層
より上部のメサ長に簡略化することができる。以下の実
施の形態では、このような仮定の下に詳述する。もちろ
ん、2段メサを採用しない場合は、「遮り」についても
考慮する必要がある。また、上述したように、ここでは
半導体層界面での入射光の屈折の影響は省略して記述し
ているが、実際の素子では、素子長に比べ光吸収層の厚
さは2桁程度小さいので、これは良い近似値となる。図
16に示されているように、入射光9の入射方向と基板
面の角度がθ′の場合、入射光9の遮りが生じないため
の最小限必要な素子長(光吸収層4までのメサ長)は、
光吸収層4、および上部電極層(p型InGaAsP電
極層)5の厚さの合計をt、入射光9のビーム径をwと
すると、w/sinθ′+t/tanθ′となる。例え
ば、w=3μm、θ′=19.5度、t=0.5μmとす
ると、L=10.4μmとなる。実施の形態1のところ
で述べたように、基板表面と斜面反射部とのなす角θの
値によっては、この素子長の増大は、素子の高速特性を
著しく低下させる原因となる。
【0009】〈実施の形態4〉図17は、本発明の第4
の実施の形態を示すものであって、図16で示した受光
装置に比べて、素子長が異なる点と、素子側面が反射面
となるように加工されている点を除いて、他は同様であ
る。ここで、素子側面を反射加工面(素子側壁)22と
することにより、図17に示すように、光吸収層4に入
射させた入射光9を素子側壁で反射させることができ、
すべて光吸収層4へ導くことができる。そして、上部電
極7で反射した信号光を効率的に再度、光吸収層4へ導
くこともできる。これにより、入射光9の遮りが生じな
いための最小限必要な素子長をw/sinθ′まで短縮
することができる。例えばw=3μm、θ′=19.5
度とすると、L=9μmとなる。反射加工面22は、斜
面反射部と反対側の素子側面に設けるだけでも効果があ
るが、両面とも反射加工面22としておけば、さらに効
率よく入射光を光吸収層4へ導くことができる。ここ
で、素子側面における全反射条件についても考慮する必
要がある。素子側壁が基板に対し垂直であり、素子周囲
部に膜が堆積されていない(周囲部の屈折率1)と仮定
した場合、InGaAsよりなる光吸収層(屈折率3.
59)では、臨界角は約16.2度となる。InP層の
場合(屈折率3.17)は、臨界角は約18.4度とな
る。斜面反射部として実施の形態2で示した(111)
面あるいはこれと等価な面を用いる場合、θ′は約1
9.5度であり、光吸収層内では半導体層界面での屈折
の結果、入射角は約33.7度となっており、したがっ
て、受光素子をInP、InGaAs、およびInGa
AsPのいずれの材料で構成しても、この全反射条件を
満足している。素子側壁に膜を堆積する場合は、側壁で
全反射が生じる条件にするため、その屈折率に関して考
慮する必要があるが、図17のように構成すれば、側面
反射は光吸収層4より上部で生じるため、屈折率の条件
は緩和される。そして、InGaAs光吸収層の側壁に
おいては屈折率が1.99以下の材料であれば良いの
で、堆積膜としてボリイミド、BCB、シリコン酸化
膜、シリコン窒化膜等を用いることができる。基板に対
し垂直な側壁は、例えばInGaAsであればクエン酸
系のウェットエッチング液を用いることにより形成する
ことができる。もちろん、ドライエッチングでも形成す
ることができる。
【0010】〈実施の形態5〉図18は本発明の第5の
実施の形態を示すものであって、図17の受光装置と比
べて異なるところは、斜面反射部と反対側の受光素子の
側部を、さらに、深さt′だけ掘り込んだ非対称の断面
形状としている。そして、入射光9がすべて直接もしく
は素子側壁23で反射して吸収層に導かれるように、そ
の位置および深さを選定している。また、ここでは側壁
はすべて基板に対し垂直としている。素子側部の掘り込
み深さt′は、直接、光吸収層に入射しない入射光をす
べて光吸収層側へ反射させるだけの深さ以上とする必要
があり、一方、素子長は、上記反射した入射光がすべて
光吸収層へ導かれる範囲に設定しなければならない。そ
のためには、素子長が、1/2・w/sinθ′以上で
あれば良く、その場合、t′はL・tanθ′以上であ
れば良い。したがって、最大で、素子長を実施の形態4
の半分にまで短縮することができる。例えばw=3μ
m、θ′=19.5度とすると、L=4.5μmとなる。
このような構成とすることにより、図18に示すよう
に、入射光の遮りを生じさせずに、入射光をすべて光吸
収層へ導くことができる。ここでは、上記側面のうち、
斜面反射部側を光吸収層の下部まで、斜面反射部の反対
側を、キャリア走行層以下の層にまで掘り込んだ構成と
したが、メサ深さはこれに制限されるものではなく、前
者をキャリア走行層以下の層まで堀り込んだ場合でも、
後者をより深く掘り込むことにより非対称な断面形状と
し、入射光9の一部を斜面反射部の反対側の側壁で反射
させて光吸収層へ導くことができる。
【0011】〈実施の形態6〉図19は、本発明の第6
の実施の形態であって、図18と比べて異なるところ
は、斜面反射部の反対側の素子側壁24を、断面が逆メ
サ形状(すなわち、φ<90度)となるようにしてい
る。そして、図18の場合と同様に、側壁で反射した信
号光がすべて光吸収層4に到達するようにしている。こ
こでの条件は、実施の形態5と同様に、入射光10がす
べて光吸収層4へ導かれるように、素子長L、掘り込み
深さt′、および側面角度φを設定するところである。
ここでの素子長Lは、素子容量を規定する光吸収層4の
下面の長さを意昧している。このような構成とすること
により、実施の形態5と同様、図19に示されるよう
に、入射光10をすべて光吸収層4へ導くことができ
る。そして、素子側部を逆メサ状にしているため、入射
光10の遮りが生じないための最小限必要な素子長を、
実施の形態5の場合よりもいっそう短縮することができ
る。ここで、斜面反射部側の素子側面は基板に対して垂
直としたが、もちろん角度を有していても良い。これを
逆メサ断面にすることにより、上部電極7のコンタクト
面積を増大させ、コンタクト抵抗の低減をはかることも
できる。上述の各実施の形態では、受光素子としてフォ
トダイオードの一種であるUTC−PDを用いた。UT
C−PDの層構成は、本実施の形態で示したもの以外に
も、吸収層とキャリア走行層との間に複数の層を挿入
し、伝導帯不連続を低減することによりキャリアブロッ
ク現象を防止したり、キャリア走行層の一部を光吸収層
として用いるハイブリッド構造など、さまざまなバリエ
ーションが可能である。また、フォトダイオードとして
は、高不純物濃度p型電極層、アンドープもしくは低不
純物濃度光吸収層、高不純物濃度n型電極層の積層構造
を基本とする通常のpinフォトダイオード、超格子構
造の吸収層を用いたフォトダイオード、アバランシェフ
ォトダイオード等、その他のフォトダイオードを用いる
こともできる。また受光素子としては、フォトダイオー
ドやフォトトランジスタ等の単体受光素子以外にも、受
光素子と他の素子を縦積みに形成した複合素子や、受光
素子と電子デバイスとの集積回路であっても良い。受光
装置を構成する材料としては、上記実施の形態ではIn
P基板に格子整合するInP/InGaAs(P)系を
用いたが、InAl(Ga)As/InGaAs、In
A1As/GaAsSbなどのInPに格子整合する他
の材料系、A1GaAs/(A1)GaAs、InGa
P/GaAsなどのGaAsに格子整合する材料系、A
1GaN/GaN/InGaNなどのGaNに格子整合
する半導体材料の組み合わせなどや、格子不整合系材料
など、通常の半導体材料の組み合わせを用いることもで
きる。基板としては、半絶縁性のものを用いたが、導電
性のものであっても良い。なお、詳述しなかったが、裏
面入射型受光素子の場合は、基板が入射光に対して透明
であることが必要であり、電極層なども極力入射光に対
して透明であることが望ましい。光通信で通常用いられ
ている1.3μm帯や、1.5μm帯の波長の光に対し、
InPは透明であることから、一般に用いられているI
nP基板上に作製されたInP、InGaAs、InG
aAsPなどを用いた受光素子は好適な例である。この
他にも、例えば1.3μm帯や1.5μm帯の波長の光に
対しGaAs、0.85μm帯の波畏の光に対しA1G
aAsを基板として用いることも好適な例である。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の裏面入射
型受光装置は、受光素子の側部に受光素子とは独立した
斜面反射部を設け、基板裏面からの入射光をすべて反射
させ、吸収層に斜めから信号光を入射させることによ
り、吸収層内での実効的な吸収長を増大させることがで
きるので、吸収層の厚さの増大による高速性の低下を招
くことなく、素子効率を向上できる効果がある。また、
上記構成に加え、少なくとも斜面反射部の反対側に位置
する素子の側端部も反射部となるように構成することに
より、素子部に斜めに入射した信号光の一部をさらに反
射させ、より小さい素子面積で光吸収層に効率的に信号
光を導くことができるので、素子の高速性の低下を招く
ことなく、さらに素子効率を向上できる効果がある。さ
らに、複数の斜面反射部を設けることにより、容易に複
数の入射光の入力が可能となり、受光装置の機能化がは
かれると共に、斜面反射部を代替えできる効果もある。
また、半導体薄膜をエッチングマスクとして基板結晶の
(111)A面あるいはこれと等価な面が露出するよう
なエッチング液を用いて斜面反射部を形成することによ
り、斜面反射部として好適な角度を有するV溝を、寸法
および角度の制御性良く形成できる効果がある。本発明
の受光装置は、従来の受光素子と比べ、層構成やプロセ
ス上の特別の配慮が不要であり、単純に受光素子から必
要な距離範囲で、素子が存在しない領域に斜面反射部と
なる凹部を形成するだけで良いので、他の素子、例え
ば、電子回路との集積化(OEIC化)などが容易に行
える効果もある。また、素子効率をそれほど必要としな
い場合は、さらなる光吸収層の薄層化により、素子のさ
らなる高速化をはかることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で例示した裏面入射型受
光装置の構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態1で例示した裏面入射型受
光装置の斜面反射部角度と吸収層への入射角の関係を示
す模式図。
【図3】本発明の実施の形態1で例示した裏面入射型受
光装置の斜め入射による実効吸収長の増大効果を示す模
式図。
【図4】本発明の実施の形態1で例示した入射光の遮り
が生じる場合を示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態1で例示した実効吸収長の
増分と素子速度(相対値)の斜面反射部の角度(θ)依
存性を示すグラフ。
【図6】本発明の実施の形態1で例示した裏面入射型受
光装置の他の構成を示す模式図。
【図7】本発明の実施の形態2で例示した基板結晶の面
方位と逆メサ形状(a)および順メサ形状(b)を示す
模式図。
【図8】本発明の実施の形態2で例示したV溝の作製方
法を示す模式図。
【図9】本発明の実施の形態2で例示した斜面反射部の
深さ(D)と光吸収層からの距離(z)の制約に関する
説明図。
【図10】本発明の実施の形態2で例示した本発明の受
光装置の素子効率の光吸収層の厚さ依存性を、従来の素
子と比較して示したグラフ。
【図11】本発明の実施の形態3で例示した裏面入射型
受光素子と斜面反射部の配置を示す模式図。
【図12】本発明の実施の形態3で例示した裏面入射型
受光装置の構成を示す模式図。
【図13】本発明の実施の形態3で例示した裏面入射型
受光装置の他の構成を示す模式図。
【図14】本発明の実施の形態3で例示した斜めエッチ
ングによる斜面反射部の作製方法を示す模式図。
【図15】本発明の実施の形態3で例示した4入力型裏
面入射型受光装置の構成を示す模式図。
【図16】本発明の実施の形態3で例示した裏面入射型
受光素子の最小素子長を示す説明図。
【図17】本発明の実施の形態4で例示した裏面入射型
受光素子の最小素子長を示す説明図。
【図18】本発明の実施の形態5で例示した裏面入射型
受光素子の最小素子長を示す説明図。
【図19】本発明の実施の形態6で例示した裏面入射型
受光素子の最小素子長を示す説明図。
【図20】従来の導波路型受光素子の構成を示す模式
図。
【図21】従来の表面入射型受光素子の構成を示す模式
図。
【図22】従来の裏面入射型受光素子の構成を示す模式
図。
【符号の説明】
1…半導体基板(InP基板など) 2…n型InPよりなる電極層(下部電極層) 3…アンドープInPよりなるキャリア走行層 4…p型InGaAsよりなる光吸収層 5…p型InGaAsPよりなる電極層(上部電極層) 5′…p型半導体よりなる電極層(上部電極層) 6…下部電極 7…上部電極 8…斜面反射部(V溝) 9…入射光 10…反射光 11…反射防止膜 12…基板表面 13…受光素子 14…基板裏面 15…上部電極 16…下部電極 17…斜面反射部(V溝) 18…モニタ素子 19…斜め溝 20…エッチングマスク(InGaAs層など) 21…斜面反射部(斜め溝) 22…反射加工面(素子側壁) 23…素子側壁 24…素子側壁 25…半導体層 26…半導体基板 27…光吸収層 28…受光素子 29…入射光 30…上部電極 31…下部電極 32…入射窓 33…劈開面 34…反射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 知史 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 児玉 聡 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 Fターム(参考) 5F088 AA01 AB07 BA01 CB14 GA05 GA07 LA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】裏面入射型受光装置であって、半導体基板
    上に形成された半導体受光素子と、上記基板表面に、上
    記受光素子の側部に独立して形成された単数もしくは複
    数の凹状の斜面反射部とを少なくとも備え、上記基板の
    裏面から入射した信号光が上記斜面反射部で反射し、基
    板面に対し斜め方向から上記受光素子に入射する構造
    に、上記受光素子および上記斜面反射部を配設してなる
    ことを特徴とする裏面入射型受光装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、半導体基板の厚さを
    T、斜面反射部の深さをD、上記斜面反射部で反射され
    受光素子へ入射する信号光の入射方向と基板面とのなす
    角度をθ′とした場合に、上記受光素子を構成する光吸
    収層の上記斜面反射部側の端部と、上記斜面反射部の最
    深部との水平距離zが、z<T/(10・tanθ′)
    となる範囲に設定してなることを特徴とする裏面入射型
    受光装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、斜面反
    射部を受光素子に対して対称な位置に、偶数個、配設し
    てなることを特徴とする裏面入射型受光装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、受光素子の全側面部、もしくは少なくとも斜面
    反射部とは反対側の側面部において、上記受光素子に対
    し斜め方向に入射する信号光を素子側へ反射させる構造
    に、上記受光素子の側面形状を構成してなることを特徴
    とする裏面入射型受光装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、受光素子の全側面部、もしくは少なくとも斜面
    反射部とは反対側の側面部において、上記受光素子に対
    し斜め方向に入射する信号光を素子側へ反射させる構造
    となし、かつ上記斜面反射部とは反対側の素子側面が、
    上記斜面反射部側の素子側面よりも深く掘り込まれた非
    対称なメサ状の断面形状を有することを特徴とする裏面
    入射型受光装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、受光素子の少なくとも
    斜面反射部とは反対側の側面を、逆メサ状の断面形状に
    構成してなることを特徴とする裏面入射型受光装置。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
    記載の裏面入射型受光装置の作製方法であって、半導体
    基板上に凹状の斜面反射部を形成する際に、半導体基板
    に対し選択エッチング特性を有する半導体薄膜をマスク
    として用い、化学的エッチング法により、基板結晶の
    (111)A面、もしくはこれと等価な面が露出される
    ようにエッチングする工程を含むことを特徴とする裏面
    入射型受光装置の作製方法。
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