JP2000141587A - 感熱孔版の製版装置 - Google Patents

感熱孔版の製版装置

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JP2000141587A
JP2000141587A JP10327938A JP32793898A JP2000141587A JP 2000141587 A JP2000141587 A JP 2000141587A JP 10327938 A JP10327938 A JP 10327938A JP 32793898 A JP32793898 A JP 32793898A JP 2000141587 A JP2000141587 A JP 2000141587A
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Atsushi Nakamura
淳 中村
Hideyuki Kinoshita
秀之 木下
Yukio Irie
幸夫 入江
Kunio Nomura
邦雄 野村
Atsushi Takada
淳 高田
Shinichi Takizawa
真一 滝沢
Tomiyuki Okada
富行 岡田
Hikari Oike
光 大池
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Riso Kagaku Corp
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  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱素子を劣化させることなく、多様な感度
をもつフィルムに対して、適正な穿孔形状が得られ高速
製版を可能にする感熱孔版の製版装置にする。 【解決手段】 発熱素子5に電圧を印加するサーマルヘ
ッド駆動手段6を、発熱素子5の温度が穿孔に適した温
度領域の温度に達するまで連続的に電圧を印加し、その
後、穿孔に適した時間に亘って前記領域内の温度を維持
するように断続的に電圧を印加するためのパルスを発生
するストローブ作成回路26を備える。ストローブ作成回
路26が、ストローブ開始信号STRTを受信すると、穿孔デ
ータをサーマルヘッド4内のラッチ回路にラッチしてス
トローブ信号/STBをオンにし、初期穿孔に適した時間t1
に達するとストローブ信号/STBをオフにする。次いでサ
ーマルヘッド駆動手段6が、穿孔に適した回数N1に達す
るまでストローブ信号/STBをH→Lと交互に出力して発
熱素子5をパルス駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版原紙のフ
ィルム(例えば熱可塑性樹脂フィルム)をサーマルヘッ
ドによって穿孔を施すことにより感熱孔版の製版を行う
製版装置に関し、より詳細には、多様な感度をもつフィ
ルムに対する適合性,穿孔形状の制御,耐刷性能,印刷
位置精度および印刷画質の向上、並びに短時間で製版を
行う高速性の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、孔版印刷に用いられる感熱孔版の
製版装置としては、多数の発熱体から構成されたサーマ
ルヘッドを、感熱孔版原紙の熱可塑性樹脂フィルム側に
圧接させて穿孔するものが知られている。
【0003】図25はこのような製版装置の一例を示す
概略構成図である。感熱孔版原紙1は、対向して設けら
れた2つの従動ローラ(搬送ローラ)2に挟持されつ
つ、不図示のモータにより駆動されたプラテンローラ3
により矢印A方向に搬送されて、プラテンローラ3とサ
ーマルヘッド4間に搬送される。これにより、原紙1の
熱可塑性フィルム1a側とサーマルヘッド4に設けられ
た発熱素子5が圧接された状態となり、不図示の駆動手
段により発熱素子5が発熱駆動され、感熱孔版原紙1の
フィルム1a側は発熱素子5により穿孔される。
【0004】原紙1におけるドット状の穿孔は、以下の
過程によって形成される。すなわち、サーマルヘッド4
に設けられた発熱素子5への通電開始による発熱素子5
の発熱によって、この発熱素子5と直接接触する状態に
おかれたフィルム1aの温度が上昇する。フィルム1a
の温度は発熱素子5の表面の温度分布と同様に、発熱素
子5の中心に対応する部分がもっとも高い。フィルム1
aのこの部分の温度が後述する穿孔発生温度に達する
と、フィルム1aのこの部分に微少な穿孔が発生する。
この微少な穿孔は、フィルム1a上の後述する収縮開始
温度の等温線領域にまで拡大成長する。その後、発熱素
子5への通電が終了し、その結果フィルム1a上の収縮
開始温度の等温線領域が最大となり、以後縮小していく
から、穿孔の成長も止まる。
【0005】上記製版装置においては、感熱孔版原紙1
のフィルム1aにサーマルヘッド4の発熱素子5によっ
て穿孔を施す際には、図26(A)に示すように、1画
素を穿孔する際に発熱素子5に対して目標の印加パワー
(正しくはサーマルヘッド内の全発熱素子の平均抵抗値
と目標の印加パワーから算出した一定の印加電圧)を、
一定時間に亘って連続で印加するのが一般的である。以
下、「印加パワー」を単に「パワー」といい、パワーま
たは電圧を印加する時間を単に「印加時間」という。
【0006】発熱素子5にパワーを印加すると、発熱素
子5の表面温度は、図27に示すように、該発熱素子5
の中心がもっとも高く、中心から離れるにしたがって低
くなるような分布をもつ。この温度分布は発熱素子5の
形状や構造とパワーと時間によって変化し、穿孔形状に
影響する重要な因子である。以下の説明においては、こ
の発熱素子表面の中心における温度を発熱素子の表面温
度の代表値とし、特に断らない限り「素子温度」をこの
意味で使用する。
【0007】なお、発熱素子5の形状や構造が同じであ
れば、発熱素子5の表面温度の分布はほぼ相似な状態で
あるので、素子温度によっても、発熱の状態をある程度
示すことができる。
【0008】図26(A)に示すように、パワーの波形
が矩形波であるために、パワーを印加中の素子温度は、
図26(B)に示すように、時間とともに一定の到達温
度に漸近していく指数関数状の変化をとる。したがって
印加のはじめの温度は低く、印加中は単調に温度が上昇
していき、印加の終わりで最高温度に達する。
【0009】ところで、感熱孔版またはその製版方法に
対する商品性能からの要求のひとつは、印刷物の画質を
高めるために個々の穿孔形状のばらつきを少なくするこ
とである。個々の穿孔形状のばらつきは、系統的なもの
とランダムなものとがあり、系統的なものは例えば環境
温度によるもの(雰囲気温度が高いと穿孔が大きく、低
いと小さい)、蓄熱によるもの(製版初期は穿孔が小さ
く、製版が連続すると蓄熱効果で大きくなる)、コモン
ドロップによるもの(大きい領域内の画素が全数穿孔さ
れるとき、電源線の抵抗が大きい主走査方向の中央部の
穿孔が小さく、端部が大きい)、等がある。また、ラン
ダムなものは例えば個々の発熱素子の発熱温度のばらつ
きによるもの、感熱孔版原紙の支持体繊維の分散状態に
よるもの、フィルムの表面粗さによる発熱素子との接触
状態の不均一性によるもの、等がある。感熱孔版の製版
において、他の感熱記録(感熱紙、熱転写)と違う特徴
的な点のひとつは、そうしたランダムな穿孔形状のばら
つきの程度が大きいことである。したがって個々の穿孔
形状の、特にランダムなばらつきを低減することが要求
される。また、それ以外には、耐刷性能や印刷位置精度
を向上させること、製版時間をより短縮すること、等が
要求される。これらを実現するために、フィルムについ
ては、種々の材料の研究がおこなわれている。
【0010】例えば、特許公報第2507612 号では、穿孔
形状を安定化させるために融解ピークを2つ以上もつフ
ィルムの使用が提案されている。これは、低温側の融解
ピークをもつ樹脂成分によって穿孔の発生を早め、高温
側の融解ピークをもつ樹脂成分によって穿孔形状を安定
化させている。一般に、熱収縮性フィルムに穿孔が生じ
るとき、穿孔はフィルム上の収縮開始温度に相当する等
温線の領域にまでひろがる。そのときの穿孔の大きさの
ばらつきは、その等温線付近の温度勾配が大きいほど、
また、フィルムの熱収縮率が収縮開始温度を超えて立ち
上がる程度が大きいほど小さい。実際、融解ピーク温度
が高い樹脂の熱収縮温度範囲は、比較的高い温度領域に
あり、したがってフィルム上の収縮開始温度に相当する
等温線付近の温度勾配が大きい。このことによって穿孔
形状を安定化させることができるが、それだけでは必要
な穿孔の大きさを低い印加工ネルギーで得る性能、いわ
ゆる穿孔感度が低下する。この穿孔感度を低下させない
ために、融解ピーク温度が低い樹脂を混合するわけであ
る。しかしながら、この方法で、穿孔感度を優先して融
解ピーク温度が低い樹脂の比率を多くすれば穿孔形状の
安定性が低下し、穿孔形状の安定性を優先して融解ピー
ク温度が高い樹脂の比率を多くすれば穿孔感度が低下す
る。すなわち、穿孔形状の安定性と穿孔感度とは背反の
関係にある。
【0011】また、例えば特開昭62-282984 号公報で
は、耐刷性能を向上させるために結晶融解熱、融解エネ
ルギ、および融点を規定したフィルムが提案されてい
る。一般に、熱収縮性フィルムの穿孔感度は、結晶融解
熱が小さいほど、融解エネルギが小さいほど、また、融
点が低いほど、高い。しかしながら、この提案による実
施例および比較例では、フィルム厚さが極端に大きい場
合をのぞいて、結晶融解熱が大きいほど、融解エネルギ
が大きいほど、また、融点が高いほど、フィルムが破損
するまでに印刷できる枚数、いわゆる耐刷枚数が大きい
ことが示されている。すなわち、耐刷性能や耐刷性能に
起因する印刷位置精度と穿孔感度とは背反の関係にあ
る。
【0012】以上に示したように、穿孔形状の安定しや
すい性質のフィルムや、耐刷性能や印刷位置精度の向上
のための機械強度に優れた性質のフィルムは、そうでな
いフィルムに比べて、一般に穿孔感度が低い。また、穿
孔感度が高い性質のフィルムでも、耐刷性能や印刷位置
精度の向上をねらって厚さを増したフィルムは、やはり
穿孔感度が低くなる。これらの場合、目標の穿孔形状を
得るために、発熱素子に、穿孔感度の高いフィルムに対
する以上の印加エネルギを与える必要が生じる。なお、
印加エネルギは、印加パワーの時間積分として計算され
るものである。以下の説明においては、この印加エネル
ギを単に「エネルギ」という。
【0013】穿孔感度が低い低感度フィルムの場合、目
標の穿孔形状を得るために、多くの場合、発熱素子に穿
孔感度の高い高感度フィルムに対する以上のエネルギを
与える必要が生じる。このようなエネルギを与える方法
としては、例えば、パワーを増やす、印加時間を増や
す、パワーと印加時間をともに増やす、という方法があ
る。それぞれの方法による素子温度と時間の関係を図2
8に示す。図28において、aは穿孔感度の高いフィル
ムに対する印加条件、bはaに対してパワーを増やした
条件、cはaに対して印加時間を増やした条件、dはa
に対してパワーと印加時間を共に増やした条件における
ものである。
【0014】経験的に、異なる印加条件が、同じエネル
ギすなわち「パワー×印加時間」の組み合わせであっ
て、基準となる組み合わせに対して、パワーまたは印加
時間が±30%程度以内の差であれば、ほぼ一定の穿孔形
状を与えることがわかっている。図28のb,c,dが
同じエネルギの組み合わせとすると、それらのピーク
は、図中点線で示した右下がりの曲線上にほぼ並ぶこと
も実験によって得られている。一方、cのピークはaの
ピークより高いから、b,dにおけるピークは、aのピ
ークよりも高くなる。
【0015】また、製版時間を短縮するためには、一般
に発熱素子への印加時間を短縮する必要があり、そのた
めに、従来の印加時間における以上のパワーを発熱素子
に与える必要が生じる。パワーを変えたときの夫々の素
子温度と時間の関係を図29に示す。図29において、
aは穿孔感度の高いフィルムに対する印加条件、bはa
に対して印加時間を短縮しパワーを増やした条件におけ
るものである。aとbのピークは、やはり点線で示した
右下がりの曲線上に並ぶので、bのピークはaのピーク
よりも高くなる。
【0016】一方、熱転写記録において、発熱素子へ印
加するパルスの波形を、矩形波ではなくチョップパルス
として、印字品質を向上させるという提案がされている
(例えば、特開昭62-51465号,特開昭62-227663号,特
開平4-85050号等)。これらは矩形波のかわりにチョッ
プパルスを印加することによって、インクシートのステ
ィッキングを防止する、印字に適した温度を維持する、
または印字濃度を制御するといったことを目的としてい
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、商
品性能からの要求を満足させるためには、発熱素子に
は、従来におけるより高い素子温度を与える印加条件を
設定する必要がある。
【0018】ところが、発熱素子が経験する温度を高く
しすぎると、発熱素子の酸化が進行して発熱能力が劣化
する(これは発熱素子の「劣化」とよばれている)、ま
たは発熱素子が破壊されるという現象が起こる。例えば
文献(羽山:「サーマルヘッドアレイ」,写真工業別冊
・電子写真学会編・イメージングPart3,p45〜54・写真
工業出版社(1988))に、発熱素子の劣化モードのいくつ
かが記載されているが、発熱素子自体の温度によるもの
としては、グレーズ層破壊モード、酸化モード、亀裂モ
ードがある。このうちグレーズ層破壊モードは発熱素子
の温度がグレーズ層の軟化点である600〜700℃を越える
場合であり、穿孔条件としては非現実的なものである。
酸化モードは、発熱素子の温度が使用可能温度城をやや
超過して使用される状態が続くと最終的には発熱素子が
酸化して抵抗値が大きく上昇し、発熱ができなくなる場
合である。酸化モードによる劣化の例として、筆者らの
実験によれば、薄膜サーマルヘッドを周期2.5msec 程度
で使用したとき、素子温度のピークが 400℃をやや越え
たあたりから、発熱素子の劣化の傾向が徐々に現れはじ
める。また、亀裂モードは、発熱素子が急激な温度変化
をすると熱衝撃や熱膨張率の違う層間のずりのために保
護層に亀裂が入り発熱素子が急速に酸化する場合であ
る。
【0019】実際、サーマルヘッドによる感熱孔版の製
版において、現在製品として実施されている印加条件
は、素子温度のピークが300〜400℃であり、これを2〜
4msecの周期で連続駆動させているが、これは感熱紙等
に対する記録と違って、発熱素子の耐久性能上、ほとん
ど余裕がない。
【0020】感熱紙の場合、例えば文献(宇佐美・五十
嵐,「直接感熱記録紙」,写真工業別冊,電子写真学会
編.イメージングPart3,p165〜176,写真工業出版社(1
988))に、感熱記録紙の感度特性の代表例として富士写
真フィルム(株)製F50SS のデータが記載されているが、
発色し始める温度は80℃程度、飽和濃度に達する温度は
110℃程度である。
【0021】また、溶融型熱転写の場合、例えば文献
(瀬戸・島崎・近藤,「転写型カラー感熱記録媒体」,
第1回ノンインパクトプリンティング技術シンポジュウ
ム論文集,3〜8,P61(1984))に、代表的な溶融型熱転
写インクの熱物性として、融点が65〜75℃と記載されて
いる。
【0022】また、昇華型熱転写の場合、例えば文献
(堀、「ビデオプリンタの技術」、電子写真学会誌、29
-1、p77(1990) )には、ビデオプリンタ用昇華染料の昇
華温度が図示されており、色別に昇華温度範囲は異なる
が、全体では140〜200℃の範囲にある。昇華型熱転写に
おけるサーマルヘッドの発熱素子の温度については、例
えば文献(望月・斉藤、「昇華型サーマルプリンターの
印画特性」、日本機械学会熱工学講演会講演概要集、vo
l.1989、p120(1989))に、発熱素子の表面中心温度の
時間変化のピークが 280℃程度に図示されている。この
印加条件の染料昇華率は70%程度に図示されており、転
写設定として十分以上のものである。
【0023】これらに対して、くわしくは後述するが、
感熱孔版を製版する場合、初期の穿孔を発生させるため
にフィルムの温度を融点付近まで加熱する必要がある。
また、初期の穿孔が発生してから穿孔を目標の大きさに
まで成長させるために、フィルムの温度をさらに高い温
度領域で維持する必要がある。
【0024】感熱孔版原紙のフィルムには、ポリエステ
ルフィルムが用いられることが多く、ポリエステルとし
ては、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレー
トとの共重合体、およびポリエチレンテレフタレート等
が使用される。これらのフィルムの融点は200〜250℃程
度である。したがって感熱孔版を製版する場合のフィル
ムに与える温度条件は、感熱紙や熱転写等の他の感熱記
録方式の場合の媒体に与える温度条件よりも厳しいもの
である。この条件にしたがって感熱孔版を製版する場
合、発熱素子とフィルムがお互いの表面粗さのために微
視的には密着せず、両者の間に空気層ができて熱伝達効
率が低下するために、発熱素子に対して、フィルムに与
える温度条件より高温になる条件を設定する必要があ
る。前述のように、2〜4msecの周期で連続駆動させた
場合、素子温度のピークは300〜400℃となる。
【0025】したがって、感熱孔版として、印刷物の画
質を高めるために個々の穿孔形状のばらつきが少ないこ
と、印刷位置精度や耐刷性能を向上させること、すなわ
ち、感熱孔版の製版方法として、多様な感度をもつフィ
ルムへの適合性を高めること、また、製版時間をより短
縮すること、等の要求は、発熱素子の劣化または破壊の
可能性のために、実現が困難であるという問題点があっ
た。
【0026】ところで、感熱孔版原紙に用いられる熱可
塑性ポリエステルフィルムに接したサーマルヘッドの発
熱素子に通電し、フィルムが穿孔されるようすを観察し
たところ、一連の穿孔の挙動は、以下の2つの段階に分
けられることがわかった。すなわち、印加開始から初期
の穿孔が発生するまでの「不感段階」、および発生した
穿孔が成長していき成長が止まるまでの「成長段階」で
ある。
【0027】熱可塑性ポリエステルフイルムとして厚さ
1.7μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、解
像度400dpi、発熱素子サイズが主走査方向30μm×副走
査方向40μmである薄膜型ラインサーマルヘッドを用い
て、1発熱素子あたり 120mWのパワーを 400μsecに亘
って連続で印加したところ、不感段階の終了(穿孔発
生)までは約 200μsec、成長段階の終了までは約 800
μsecを要した。この印加条件は、現在の感熱孔版の製
版方法として、一般的な条件である。このときの成長段
階における穿孔形状は、任意の時刻においてほぼ真円に
近いものであった。
【0028】図30は、穿孔の過程における、実測によ
るパワーP、素子温度a、主走査方向の穿孔サイズd、
と印加開始時からの時間tとの関係を示したものであ
る。ここで、主走査方向の「穿孔サイズ」とは、図31
に示すように、穿孔の主走査軸に対する正射影の長さで
ある。
【0029】なお、素子温度は、発熱素子の表面に何も
接触させない状態で、フィルムを穿孔させるのと同じ印
加条件を与えて、日本バーンズ(株)製の赤外放射温度
計RM−2Aを、直径 7.5μmの円形視野で、検知波長の半
値幅が4.9〜5.4μmとなるバンドパスフィルタを用い
て、赤外放射率ε=1として測定した。赤外放射で5μm
近辺の波長は、発熱素子5の表面のガラスの特性吸収帯
であり、この帯域ではガラスはほぼ黒体と見なして放射
強度から温度を計算することができる。
【0030】このことから、印加開始から初期の穿孔が
発生するまでには印加時間の約半分を要し、穿孔形状が
固定するまでには印加時間の約2倍を要することがわか
った。この理由として、以下のような説明が考えられ
る。
【0031】フィルムが穿孔されるとき、フィルムはそ
れ自体の、または支持体との接着状態によって生じる表
面粗さのために、発熱素子と完全には密着せず、フィル
ムと発熱素子とのあいだには空隙が存在する。この空隙
とそれに接触するフィルムはそれぞれ熱容量をもつか
ら、素子温度が図30に示したaのように変化しても、
発熱素子の表面の中心に接するフィルムの温度は、aの
ようには変化しない。すなわち、パワーの印加が終わる
と素子温度は直ちに低下していくが、同図に示すbのよ
うに、フィルム温度はさらに上昇し、素子温度のピーク
から少し遅れてピークに達し、その後緩やかに低下して
いくような変化をとる。
【0032】なお、実際には、フィルムは穿孔されて発
熱素子の表面の中心に接する部分からはなくなってしま
うが、初期の穿孔の発生以後のbは、熱を受けてもフィ
ルムは穿孔されないと想定した場合の仮想的な温度を示
している。以後、「フィルム温度」ということばを、特
に断らない限り、発熱素子の表面の中心に接するフィル
ムの仮想的な温度、という意味で使う。実際に存在しな
いにもかかわらず、この仮想的な温度を以後の議論に用
いる理由は、これがフィルム上の温度分布を示すひとつ
の指標とすることができるからである。
【0033】発熱素子による熱を受けたフィルムは、熱
によって穿孔されないと想定した場合、図27に示した
発熱素子の表面温度分布と同様に、発熱素子の表面の中
心に接する部分がもっとも高く、そこから離れるにした
がって低くなるような分布をもつ(図32参照)。ある
時刻における発熱素子の表面温度の分布(図27)のA
−A’断面と、フィルムの温度分布(図32)のA−
A’断面を図33に示す。図33に示すように、素子温
度はフィルム温度より高くなっている。
【0034】初期の穿孔は、発熱素子の表面の中心に接
するフィルムの部分に発生する。この時点のフィルム温
度を、以下「穿孔発生温度」という。穿孔発生温度は、
実験によれば、フィルムの融点にほぼ等しい。図34は
穿孔の過程における、シミュレーションによる素子温度
a,フィルム温度bおよび主走査方向の穿孔サイズdと
印加開始時からの時間tとの関係を示したものである。
図中のa,b,dは、それぞれ図30に示したa,b,
dに対応するものである。フィルム温度が穿孔発生温度
Taに達する時間が短いほど、初期の穿孔は短時間で発生
する。
【0035】初期の穿孔が発生したあと、フィルム温度
が上昇するにしたがって、穿孔の輪郭の近傍でフィルム
の熱収縮が起こり、穿孔の輪郭はより低い温度の側に引
き寄せられる。すなわち、穿孔が成長する。一般に、熱
収縮性フィルムの熱収縮率をTMA(熱機械分折)によ
って測定すると、図35に示すように、ある温度Tb付近
から収縮が起こる。以下、この収縮が起こる温度を「収
縮開始温度」という。フィルムの熱収縮が起こる範囲
は、フィルムの温度分布における収縮開始温度Tbの等温
線の内部である。図33におけるこの等温線が主走査軸
A−A’を切る長さを以下「収縮範囲」という。各時刻
における収縮範囲を図34のcに示す。
【0036】図34において、穿孔サイズdは、フィル
ム温度bが穿孔発生温度Taに達すると0から立ち上が
り、フィルム温度がピークに達するまでの間に収縮範囲
cに近づいていき、フィルム温度がピークに達するとそ
こからやや大きくなって、成長が止まる。
【0037】図34において、穿孔発生時からフィルム
温度bのピーク時までの穿孔サイズdが収縮範囲cに沿
わないのは、穿孔発生時の穿孔サイズdはほとんど0だ
が、そのとき収縮範囲cは最終的な穿孔サイズの半分以
上の大きさにあること、および穿孔の成長する速度(す
なわち輪郭の移動する速度)が有限であること、並びに
それらによって穿孔サイズは穿孔発生時の0から収縮範
囲dに漸近していくことを理由とする。
【0038】図34において、フィルム温度bのピーク
時以後の穿孔サイズdが収縮範囲cに沿わないのは、い
ったん成長した穿孔は小さくならないこと、および穿孔
の輪郭は熱せられたフィルムの樹脂が凝集したひとつの
熱源とみなせて、それが輪郭の近傍の熱収縮を起こすこ
と、並びにそれらによって穿孔サイズはフィルム温度の
ピークの後もやや上昇し、その後固定化することを理由
とする。
【0039】以上における収縮開始温度TbはTMAによ
って測定が可能である。一方、穿孔発生温度Taや穿孔の
成長する速度は、フィルムやサーマルヘッドの物性的、
構造的、温度的条件に依存するが、その関係はわかって
いない。したがって穿孔の現象は、それにかかわるすべ
ての条件が明らかではないが、定性的には以上のような
説明が成り立つと考えられる。
【0040】したがって、上に述べたフィルムおよびサ
ーマルヘッドの条件の場合、印加開始から初期の穿孔が
発生するまでには印加時間の約半分を要し、印加開始か
ら穿孔形状が固定するまでには印加時間の約2倍を要す
ることになると考えられる。
【0041】一方、上述したように、低感度フィルムの
場合、目標の穿孔形状を得るために、発熱素子に穿孔感
度の高いフィルムに対する以上のエネルギを与える必要
が生じ、そのためには、パワーを増やすか、印加時間を
増やすか、パワーと印加時間をともに増やす必要があ
る。これは、低感度フィルムにおいては、高感度フィル
ムにおけるより、穿孔発生温度、収縮開始温度、一定の
穿孔の成長速度を与える温度として、高いフィルム温度
が要求されることに相当する。
【0042】この低感度フィルムに、従来の製版方法に
よる高感度フィルム用の印加条件を適用した場合の素子
温度a,フィルム温度b,収縮範囲c,穿孔サイズdと
時間tとの関係を図36(A)に示す。図中のdから明
らかなように、高感度フィルムに対して設定した印加条
件による穿孔サイズφは目標値のφ0 に対して小さくな
ってしまう。
【0043】そのため、印加時間を長くして、低感度フ
ィルムとして必要な印加条件を設定すると、図36
(B)に示すように、目標の穿孔形状は得られるように
なるが、印加中に、素子温度が、該発熱素子の劣化が起
こらない上限温度(以後、これを「発熱素子の設定上限
温度」という)Tmaxを超えてしまう。
【0044】発熱素子の設定上限温度Tmaxは、確率的な
ものである。図中では、Tmaxはある特定の温度を示して
いるが、発熱素子の劣化は特定温度を超えたら一気に進
行するというものではない。発熱素子は、経験する温度
が高いほど、劣化の程度も大きくなる。
【0045】印加時間を長くするかわりに、パワーを大
きくする、または、印加時間を長くし且つパワーを大き
くすることでも、低感度フィルムに目標の穿孔形状を得
ることができるが、これらの場合は、印加時間を長くす
る場合に比べて、素子温度のピークが高くなるので、Tm
axを越える程度はさらに大きくなる。
【0046】また、上述のように、製版時間を短縮する
ためには、一般に発熱素子への印加時間を短縮する必要
があり、そのために、従来の印加時間における以上のパ
ワーを与えなければならない。これは、印加時間を短縮
して目標の穿孔形状を得るためには、フィルム温度を穿
孔発生温度Taまですみやかに立ち上げ、穿孔サイズを短
時間で目標値に達成させる必要があることを意味する。
【0047】従来の製版方法における素子温度a,フィ
ルム温度b,収縮範囲cおよび穿孔サイズdと時間tと
の関係を図37(A)に示す。この従来の製版方法に対
し、同じ穿孔形状を短時間で得るように、パワーを大き
くして印加時間を短くした場合の素子温度a,フィルム
温度b,収縮範囲cおよび穿孔サイズdと時間tとの関
係を図37(B)に示す。図37(B)から明らかなよ
うに、パワーを大きくして印加時間を短くした場合に
は,素子温度が発熱素子の設定上限温度Tmaxを超えてし
まう。
【0048】一方、上記特開昭62-51465号等に記載され
ている、発熱素子へ印加するパルスの波形をチョップパ
ルスとする方法は、上述したように、インクシートのス
ティッキングを防止する、印字に適した温度を維持す
る、または印字濃度を制御するといったことを目的とす
るものであるが、これらの技術は、感熱孔版の製版とは
異なる熱転写の機構を前提としているものである。
【0049】周知のように、熱転写フィルムはベースフ
ィルム(材料は一般に PET;融点≒260℃)を基本に、
ベースフィルムの発熱素子に接触する側の面に耐熱離型
層が形成され、ベースフィルムの記録紙に接触する側の
面にインク層が形成されている。ベースフィルムは、記
録紙に接触するインク層を平滑で一定の厚さに保つため
の基材としての機能をもつ。耐熱離型層は、ベースフィ
ルムが発熱素子に融着して搬送が困難になるスティック
現象をおさえる機能をもつ。インク層は、発熱素子によ
って加熱されて溶融または昇華しベースフィルムから記
録紙に転移する機能をもつ。インク層が記録紙に転写さ
れる温度領域はすでに述べたインク層の融点(65〜75
℃)以上または昇華温度範囲(140〜200℃)であり、し
たがって発熱素子により近いベースフィルムはさらに高
温になるが、ベースフィルム自体が溶融または熱収縮に
よって変形してしまうと、インク層を平滑に保てなくな
り、転写ムラが発生して画質が低下する。そのためベー
スフィルムの温度はベースフィルムが熱によって変形し
ない程度の領域にある必要がある。その温度領域の正確
な範囲はわからないが、ベースフィルムの融点が指標に
なる。すなわち、ベースフィルムはその温度が融点(約
260℃)付近を越えないようにする必要がある。熱転写
フィルムはその構成上、非常に平滑であり、したがって
発熱素子から熱転写フィルムへの熱の伝達の効率は非常
に高い。
【0050】一方、感熱孔版原紙は、フィルムと多孔性
支持体を貼り合わせてつくられている。フィルムは発熱
素子の熱を受けて穿孔を形成する機能をもつ。多孔性支
持体はフィルムに強度を与えると同時にインクを通過さ
せる機能をもつ。感熱孔版原紙の製版においては、すで
に述べたように、初期の穿孔を発生させるためにフィル
ムを穿孔発生温度(フィルムの融点にほぼ等しい;約20
0〜250℃)以上に過熱する必要がある。また、初期の穿
孔が発生してから穿孔を目標の大きさにまで成長させる
ために、フィルムの温度をさらに高い温度領域で維持す
る必要がある。感熱孔版原紙は、厚さ1〜2μmのフィ
ルム自体は平滑だが、それと貼り合わせる厚さ30〜40μ
mの多孔性支持体は繊維のばらつきが大きく、しかも両
者は弾性率や膨張/収縮率が異なるために、フィルム面
の平滑度は熱転写フィルムに比べて大きく劣る。実際、
筆者らの測定によれば、一般的な感熱孔版原紙のフィル
ム側の面のうねりは支持体繊維の径や分散状態にもよる
が、算術平均粗さRaが0.4〜3μm程度である。こ
れに対して一般的な溶融型および昇華型熱転写フィルム
のRaは、0.1μm程度以下であった。なお、この測
定は、三鷹光機(株)製非接触3次元形状測定装置NH
−3にてカットオフ値λc=0.8mm、評価長さln
=2.34mmにて行った。これらのRa,λc,ln
はJIS−B0601(表面粗さ−定義および表示)に
したがう。したがって感熱製版における発熱素子からフ
ィルムへの熱の伝達の効率は、熱転写におけるそれに比
べ非常に低い。
【0051】以上のことから、感熱製版時の発熱素子の
温度範囲は、熱転写時の発熱素子の温度範囲に比べて明
らかに高く、発熱素子はその設定上限温度を超える可能
性が非常に高い。
【0052】上記特開昭62-51465号等に記載されている
方法においては、上述のような、感熱孔版の製版の機構
における初期の穿孔が発生する温度条件、また初期の穿
孔が成長していく温度条件、さらにそれらの工程におけ
る素子温度が発熱素子を劣化させる温度領域に対してほ
とんど余裕がないこと等が考慮されていない。したがっ
てこれらの方法をただちに感熱孔版の製版に応用させる
ことは難しい。
【0053】本発明は、上記知見に基づいて、発熱素子
を劣化させることなく商品性能からの要求を満たす製版
装置、すなわち、多様な感度をもつフィルムに対して、
適正な穿孔形状が得られるように発熱素子に電圧を印加
して、印刷位置精度,耐刷性能,印刷画質にすぐれた製
版を行うこと、また、発熱素子を劣化させることなく短
時間で製版を行う高速性を可能ならしめる感熱孔版の製
版装置を提供することを目的とするものである。
【0054】
【課題を解決するための手段】本発明による感熱孔版の
製版装置は、複数の発熱素子から構成されたサーマルヘ
ッドと、複数の発熱素子の夫々に電圧を印加する電圧印
加手段とを備えた感熱孔版の製版装置であって、電圧印
加手段が、被穿孔画素に対応する発熱素子に対し、該発
熱素子の温度が、穿孔に適した温度領域内に任意に定め
た温度に達するまで連続的に電圧を印加し、その後、穿
孔に適した時間に亘って前記領域内を維持するように断
続的に電圧を印加するものであることを特徴とする。
【0055】ここで、断続的に電圧を印加する際のデュ
ーティは、一定のものに限らず変化するものであっても
よい。「デューティ」とは、断続パルスにおける隣り合
うオン時間とオフ時間から、 デューティ=オン時間/(オン時間+オフ時間) と定義する。したがって、断続パルスにおいてオン時
間、オフ時間がそれぞれ一定値ならデューティはつねに
一定、オン時間および/またはオフ時間が時間とともに
変化すれば、デューティは電圧がオンまたはオフに切り
かわるたびに変化する。
【0056】この製版装置の電圧印加手段は、断続的な
電圧の印加を、該電圧の印加中における発熱素子の中心
の表面温度から該断続的な電圧の印加による周期的変動
分を除いたものが、感熱孔版に使用されるフィルムの融
点以上該発熱素子に対して定めた設定上限温度(例えば
400℃)以下にあるように行うものであることが望ま
しい。
【0057】また、この製版装置の電圧印加手段は、連
続的な電圧の印加を、室温(例えば10〜30℃)の状態に
ある発熱素子の中心の表面温度が電圧の印加開始から25
μs以上の時間で 200℃に達する速度条件、および50μs
以上の時間で 300℃に達する速度条件の少なくともいず
れか一方を満足するように行なうものであることが望ま
しく、さらに 150μs以下の時間で 200℃に達する速度
条件、および 300μs以下の時間で 300℃に達する速度
条件の少なくともいずれか一方を満足するように行うも
のであればより望ましい。
【0058】また、本発明の製版装置においては、サー
マルヘッドにより製版される感熱孔版の主走査方向と副
走査方向の画素密度がともに200dpi以上800dpi以下の範
囲にあって、電圧印加手段が、式
【0059】
【数1】
【0060】を満足する印加電圧を印加するものである
ことが望ましい。
【0061】ここで、vは印加電圧(V)、rは発熱素子
の平均抵抗値(Ω)、Pxは主走査のピッチ(μm)、Pyは
副走査のピッチ(μm)、lxは発熱素子の主走査方向長さ
(μm)、lyは発熱素子の副走査方向長さ(μm)である。
【0062】さらに、本発明の製版装置においては、被
穿孔画素に対応する、またはすべての発熱素子に対し、
該発熱素子の温度が、予熱に適した温度領域内に任意に
定めた温度に達するまで連続的に電圧を印加し、その
後、予熱に適した時間に亘って前記領域内を維持するよ
うに断続的に電圧を印加する予熱手段をさらに備えたも
のとするとよい。したがって、この予熱は、穿孔しない
画素の発熱素子に対して行なっても良い。
【0063】この予熱手段は、予熱中の発熱素子の中心
の表面温度から予熱中の断続的な電圧の印加による周期
的変動分を除いたものが、フィルムの融点±50℃の範囲
内にあるように電圧を印加するものであることが望まし
い。
【0064】
【発明の効果】本発明による感熱孔版の製版装置によれ
ば、発熱素子への電圧印加を、被穿孔画素に対応する発
熱素子に対し、その温度が穿孔に適した温度領域内に任
意に定めた温度に達するまで連続的に電圧を印加し、そ
の後、穿孔に適した時間に亘って前記領域内を維持する
ように断続的に電圧を印加するようにしたので、連続的
な電圧の印加によりフィルム温度を穿孔発生温度まです
みやかに立ち上げることができ、またその後の断続的な
電圧の印加により多様な感度のフィルムに対しても必要
なフィルム温度を確保することができる。
【0065】ここで、断続的に電圧を印加する時間を制
御すれば、熱の伝達時間のばらつきによらない、すなわ
ち画素間の穿孔サイズのばらつきの少ない、安定した穿
孔サイズの感熱孔版を、短い印加時間で得ることがで
き、効果的に穿孔サイズの制御を行うことができる。こ
れにより、印刷位置精度,耐刷性能,印刷画質にすぐれ
た製版を行うことが可能となり、また、発熱素子を劣化
させることなく高速製版が可能な製版装置とすることが
できる。
【0066】また、発熱素子の中心の表面温度が感熱孔
版に使用されるフィルムの融点以上発熱素子の設定上限
温度以下となるようにすれば、穿孔サイズを短い時間で
目標値に達成させるとともに、発熱素子の劣化を確実に
防ぐことができる。
【0067】また、発熱素子の設定上限温度を 400℃と
すれば、発熱素子の酸化による抵抗値の上昇をおさえ
て、発熱素子の酸化モードによる劣化を避けることがで
きる。
【0068】また、連続的な電圧の印加を、上述のよう
な昇温速度を満足するように行なえば、発熱素子の急激
な温度変化を避けることができ、発熱素子の亀裂モード
による劣化を避けることができる。
【0069】また、上記式を満足するように、発熱素子
に電圧を印加するようにすれば、解像度による発熱素子
の昇温速度の影響を抑えることができる。
【0070】更に、予熱手段を備えるようにすれば、フ
ィルム温度を穿孔発生温度までよりすみやかに立ち上
げ、穿孔のための電圧印加の期間をさらに短くすること
ができ、製版時間をより短くすることができる。また、
このように予熱を行うようにすれば、予熱を行わない場
合に較べて、穿孔のための電圧印加中に素子温度として
高い温度領域を経験する時間を短くすることができ発熱
素子の劣化に対し、さらに大きい余裕をもつことができ
る。さらに、この予熱の際の発熱素子の中心の表面温度
が、フィルムの融点±50℃の範囲内にあるようにすれ
ば、製版時間を一層短くすることができる。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。
【0072】図1は、本発明による感熱孔版の製版装置
の一例を示す概略構成図である。感熱孔版原紙1は、対
向して設けられた2つの従動ローラ(搬送ローラ)2に
挟持されつつ、不図示のモータにより駆動されたプラテ
ンローラ3により矢印A方向に搬送されて、プラテンロ
ーラ3とサーマルヘッド4間に搬送される。これによ
り、原紙1の熱可塑性フィルム1a側とサーマルヘッド4
を構成する複数の発熱素子5の夫々が圧接された状態と
なり、電圧印加手段(サーマルヘッド駆動回路)6から
後述するように所定の電圧が各発熱素子5に印加されて
発熱駆動され、感熱孔版原紙1のフィルム1a側は発熱素
子5により穿孔される。サーマルヘッド4は、印字速度
を上げるために、所定の数の発熱素子5毎に4つのブロ
ックに分割されて、サーマルヘッド駆動回路6により発
熱駆動されるようになっている。
【0073】この製版装置7は、サーマルヘッド4を構
成する発熱素子5の温度(素子温度)が、常温から穿孔
に適した温度領域内の所定の温度Tmに達するまでは、該
発熱素子5に連続で電圧を印加し続け、その後、該領域
内を維持しながら穿孔に適した時間に亘って、一定また
は変化するデューティをもつチョップパルスを該発熱素
子5に印加するものである。ここで、「穿孔に適した温
度領域内の所定の温度」を、以下、「初期穿孔温度」と
いうことにする。初期穿孔温度Tmは、発熱素子の温度の
ことであるが、本来的にはその時点でのフィルム温度に
ついての間接的な表現である。また、このときのフィル
ム温度は、製版時間短縮の観点から、穿孔発生温度Taを
超えていることが望ましい。
【0074】図2は、上記製版装置7の製版作用を説明
するための電気的な回路ブロックを示したものである。
この製版装置7においては、まずスキャナ10から読み込
まれた多値データD0は二値化回路12に入力される。二値
化回路12は二値化処理を行い、二値化終了後の画像デー
タD1をサーマルヘッド駆動回路6に出力する。タイミン
グジェネレー夕14はクロックCLK ,主走査方向の走査の
スタートポイントを規定するラインスタート信号/LST,
ページスタート信号/PST,ストローブ開始信号STRT,パ
ラメータセット信号/PSET を作製し、夫々をサーマルヘ
ッド駆動回路6に出力する。
【0075】サーマルヘッド駆動回路6は、クロックCL
K ,ラインスタート信号/LST,ページスタート信号/PS
T,ストローブ開始信号STRT,パラメータセット信号/PS
ET およびサーミスタデータTHdataを入力信号とし、こ
れらを元にサーマルヘッド4の第1〜第4ブロックの各
発熱素子5に出力される印字データdata0〜3,該印字デ
ータdata0〜3を各発熱素子5に出力するための印字クロ
ックCLKO〜3 ,後述する2つの各印字データ列に対応し
てシリアル信号をパラレル信号に変換し保持するための
ラッチ信号/LATO〜3,サーマルヘッド4の第1〜第4ブ
ロックの各発熱素子5に印加されるストローブ信号/STB
0〜3を作成する。サーマルヘッド4は印字データdata0
〜3,印字クロックCLKO〜3 ,ラッチ信号/LATO〜3,ス
トローブ信号/STB0〜3を入力信号とし製版動作を行う。
なおサーマルヘッド4から出力されるサーミスタデータ
THdataはサーマルヘッド4本体の温度、正確には、サー
マルヘッド4上の基板上に設けたサーミスタが検知する
温度を表している。この温度は、製版装置7が数時間以
上使用されない状態では、雰囲気温度に等しくなり、製
版装置7が短時間に高頻度で使用されサーマルヘッド4
の発熱量がサーマルヘッド4本体に蓄積すると、雰囲気
温度より高くなる。したがって、サーマルヘッド4本体
の温度は、雰囲気温度の効果と蓄熱の効果を含んで製版
状態に影響すると考えられる。以下、サーマルヘッド4
本体の温度、すなわちサーマルヘッド4上の基板上に設
けたサーミスタが検知する温度を、「環境温度」とい
う。ラインスタート信号/LSTとサーマルヘッド駆動回路
6から出力される各信号のタイミングチャートを図3に
示す。なお、この図3では、簡略化のため、ストローブ
信号/STB0〜3については、後述する断続的な制御を行う
チョップパルスではなく、従来の製版装置の場合と同様
に矩形パルスとして表している。
【0076】サーマルヘッド駆動回路6は、印字データ
data0〜3,ラッチ信号/LATO〜3,ストローブ信号/STB0
〜3,印字クロックCLKO〜3 という4つの信号を使用し
て、サーマルヘッド4の分割された各ブロック夫々を制
御および駆動するものであり、サーマルヘッド4に入力
された印字データdata0〜3は、サーマルヘッド4に設け
られた不図示のシリアル入力シフトレジスタ(例えば1
024ビット)を介してシリアルデータとしてサーマル
ヘッド4へ入力され、パラレルデータに変換され、所定
のタイミングで発せられるラッチ信号/LATO〜3によりサ
ーマルヘッド4に設けられた不図示のラッチ部に保持さ
れる。入力されたストローブ信号/STB0〜3と、ラッチ部
に保持されたデータとの論理積によって所望のタイミン
グで発熱素子5が発熱させられる。
【0077】図4は、サーマルヘッド駆動回路6の詳細
を示すブロック図である。印字データ選択回路23は、ラ
インバッファを介した画像データD2を穿孔データとし
て、このデータ列からなる印字データdata0〜3を、図3
に示す出力タイミングで出力する。
【0078】A/D変換器25はサーミスタデータTHdata
をA/D変換し、温度データTMdataとして出力する。こ
こでサーミスタデータTHdataはサーマルヘッド4の温度
を検出しサーマルヘッド4から出力される信号である。
【0079】サーマルヘッドタイミングジェネレー夕27
は、入力信号のラインスタート信号/LST,ストローブ信
号/STB0〜3、クロックCLK に基づいて、図3に示すタイ
ミングで印字クロックCLKO〜3とラッチ信号/LATO〜3を
作成し出力する。
【0080】図5はストローブ作成回路26の詳細を示す
ブロック図である。ストローブ作成回路26では、まず温
度データTMdataをパラメータセット信号/PSET により温
度データレジスタ31に格納し保持する。保持された温度
データTMdataはパラメータテーブル32に出力される。
【0081】パラメータテーブル32は、温度データTMda
taに対応した予熱ストローブパラメータP1,標準メイン
ストローブパラメータP2,短メインストローブパラメー
タP3,履歴ストローブパラメータP4をパラメータ用RAM1
〜4 を有するRAM33に出力する。パラメータ用RAM1に
は予熱ストローブパラメータP1が格納され、パラメータ
用RAM2には標準メインストローブパラメータP2が格納さ
れ、パラメータ用RAM3には短メインストローブパラメー
タP3が格納され、パラメータ用RAM4には履歴ストローブ
パラメータP4が格納される。図6に各ストローブパラメ
ータの例を示す。なお、予熱ストローブパラメータP1,
短メインストローブパラメータP3および履歴ストローブ
パラメータP4並びにこれらに対応するRAM1,RAM3,RAM4
等は、この製版装置7では使用するものではなく、後述
する他の製版装置において使用するものであるが、パラ
メータテーブル32の説明の都合上ここで説明することに
したものである。
【0082】セレクタ35は、ストローブ選択回路36から
出力される予熱ストローブ有効信号SRM1,標準メインス
トローブ選択信号SRM2,メインストローブ有効信号SRM3
および履歴ストローブ有効信号SRM4に基づいて、パラメ
ータ用RAM1〜4 のうちの1つを選択し、パラメータ用RA
M データとして出力するものである。具体的には、標準
メインストローブ選択信号SRM2,メインストローブ有効
信号SRM3および履歴ストローブ有効信号SRM4のうちのい
ずれか1つが有効になり、予熱ストローブ有効信号SRM1
が有効ならパラメータ用RAM1のデータDRM1を選択し、メ
インストローブ有効信号SRM3が有効で標準メインストロ
ーブ選択信号SRM2が有効ならパラメータ用RAM2のデータ
DRM2を選択し、メインストローブ有効信号SRM3が有効で
標準メインストローブ選択信号SRM2が無効ならパラメー
タ用RAM3のデータDRM3を選択し、履歴ストローブ有効信
号SRM4が有効ならパラメータ用RAM4のデータDRM4を選択
する。なお、本例においては、標準メインストローブ選
択信号SRM2は常に有効になっている。
【0083】チョップ有効区間作成回路37は、ストロー
ブ開始信号STRTがタイミングジェネレータ14から入力さ
れると動作を開始するものであって、セレクタ35で選択
されたパラメータ用RAM1〜4 のデータDRM1〜4 の何れか
にしたがい(図6)、アドレス0から始まる、パルス回
数,オフタイム,オンタイムの設定値に従い、ストロー
ブ信号/STBを作成する。アドレスは、1づつ増加し、パ
ルス回数に0が出現したら、次のストローブ開始信号ま
で待機する。なお、本例においては、セレクタ35により
パラメータ用RAM2のデータDRM2が選択され、標準メイン
ストローブパラメータP2に基づいて、パルス回数,オフ
タイム,オンタイムがチョップ有効区間作成回路37に設
定される。
【0084】以下、上記構成の製版装置7の作用につい
て詳細に説明する。なお、各サーマルヘッドブロックは
同様の動作を行うものであるので、以下の説明において
使用する各信号を表す記号は、各ブロックを示すサフィ
ックスを省略して示す。
【0085】発熱素子5に電圧を断続的に印加するため
に、ストローブ信号/STBにチョップパルスを使用した場
合のストローブ作成回路26の動作と、発熱素子5の温度
変化を示すタイミングチャートを図7に示す。
【0086】素子温度が、常温(例えば10〜30℃)から
穿孔に適した温度領域内の所定の温度(初期穿孔温度)
Tmに達するまでに要する時間をメインベタストローブ時
間t1に、該領域内であって所定の温度変化を有する穿
孔に適した時間t2をメインチョップパルスQ1のデュー
ティ(オンタイムt2b およびオフタイムt2a )と回数N1
に置き換え、それぞれ標準メインストローブパラメータ
P2として設定する。これらの時間と温度変化との関係は
実験的に求められたものであり、環境温度の変化への対
応を含めた値として、パラメータテーブル32(図5)に
用意されている。なお、上記「穿孔に適した温度領域」
の上限としては、発熱素子5の設定上限温度Tmaxより低
くなるようにするのが望ましい。
【0087】この設定された条件に従い、標準メインベ
タストローブ期間(以下「メインベタストローブ期間」
という)t1およびメインチョップパルス期間t2となるよ
うに、ストローブ作成回路26のパラメータ用RAM2,セレ
クタ35およびチョップ有効区間作成回路37により、スト
ローブ信号/STBを作成する。
【0088】ここで、メインチョップパルス期間t2中の
メインチョップパルスQ1のデューティと回数を変化させ
ることにより、図8(A)に示すように初期穿孔温度Tm
から温度Tuまで素子温度を暫時上昇させたり、図8
(B)に示すように初期穿孔温度Tmから温度Tdまで暫時
下降させたり、または図8(C)に示すようにデューテ
ィと回数の組み合わせにより温度TdからTuの範囲内で任
意に温度を変化させることができる。ストローブ時間は
環境温度に応じて発熱パターンを変え、常に希望する温
度になるような時間に設定することができる(詳細は後
述)。
【0089】次に図9に示すフローチャートを参照し
て、ストローブ作成回路26の動作を説明する。なお、図
中ステップ番号はST印を付けて表す。
【0090】パラメータセット信号/PSET がタイミング
ジェネレータ14からストローブ選択回路36に入力される
と、環境温度すなわち温度データレジスタ31からの温度
データTMdataに対応した標準メインストローブパラメー
タP2がパラメータテーブル32からRAM33に入力され、
RAM33から該標準メインストローブパラメータP2に基
づくデータDRM2がセレクタ35に入力される。セレクタ35
は、両メインストローブ信号SRM2,SRM3が有効のときデ
ータDRM2を出力し、該データDRM2に基づくパルス回数N
1,オフタイム t2a,オンタイムt1, t2bをチョップ有
効区間作成回路37に設定する。ページスタート信号が/P
STが立ち上がり1ページの製版が開始される(ST10,ST
11)。
【0091】ストローブ開始信号STRTをトリガとしてス
トローブ作成回路26(図4)が動作を始める(ST12)。
ストローブ作成回路26は、ストローブ選択回路36がスト
ローブ開始信号STRTを受信すると、サーマルヘッド4内
のシフトレジスタに格納されている穿孔データを同サー
マルヘッド4内のラッチ回路にラッチする(ST13)。次
いで、チョップ有効区間作成回路37がストローブ信号/S
TBをL(ロー)にしてメインベタストローブをオンにし
(ST14)、設定された初期穿孔に適した時間t1に達する
とストローブ信号/STBをH(ハイ)にしてメインベタス
トローブをオフにする(ST15)。次いでストローブ信号
/STBをH→Lと交互にしてメインチョップパルスQ1をオ
フオンの順に出力する(ST16)。メインチョップパルス
Q1の出力回数が設定された穿孔に適した回数N1に達した
らストローブ信号/STBをHにしてストローブをオフにす
る(ST17,ST18)。ページスタート信号/PSTが立ち下が
っていれば、1ページ分の製版が終了したものと判断し
動作を終了するが、ページスタート信号/PSTが立ち上が
っていればST12に戻り処理を継続する(ST19)。
【0092】チョップ有効区間作成回路37(図5)が、
クロックCLK からの出力をカウントしたカウントデータ
と、セレクタ35で選択されたデータDRM1〜DRM4の何れか
とによりストローブの有効区間を確定し、各ストローブ
信号/STB0 〜/STB3 を出力する。
【0093】これにより、発熱素子5の温度変化は、図
7に示すように、ストローブ信号/STBのLの期間t1すな
わちメインベタストローブのオンタイムで素子温度が初
期穿孔温度Tmに達し、その後メインチョップパルスQ1に
より、この温度Tm(正確にはTm近傍の温度)が期間t2中
保持される。期間t2は、穿孔に適した時間であるので、
適正なサイズの穿孔が原紙1に形成されることになる。
【0094】上記のように発熱素子5に電圧を印加した
場合の、素子温度a,フィルム温度b,フィルムの収縮
範囲cおよび穿孔サイズdと時間tとの関係を図36
(C)に示す。初期穿孔温度Tmに対応するフィルム温度
Tm’は、製版時間短縮の観点から、上述のように穿孔発
生温度Taを超えていることが望ましい。同図に示すよう
に、フィルム温度はTm’に達すると、そこから上昇の傾
きを変えて、素子温度に漸近していく。
【0095】このような方法で発熱素子5に電圧を印加
するようにすれば、原紙1として低感度フィルムを使用
した場合であっても、発熱素子5は、メインチョップパ
ルスQ1が発せられている期間t2中は、低感度フィルムに
穿孔を形成するために必要なフィルム温度を確保するこ
とができる。
【0096】また、発熱素子5への印加時間を長くして
も、上記「穿孔に適した温度領域」の上限を発熱素子5
の設定上限温度Tmaxより低くなるようにし、該電圧印加
中の素子温度が該設定上限温度Tmaxを越えないようにチ
ョップパルスQ1のデューティを設定することができるの
で、発熱素子5の温度を、該発熱素子5の設定上限温度
Tmaxより常に低く保つことができ、発熱素子5の劣化を
防ぐこともできる。さらに、この発熱素子5への印加時
間には、矩形波を印加した場合のような、発熱素子の過
熱による制限がない。
【0097】したがって、どのような感度のフィルムで
も、発熱素子5への印加時間を長くすることによりフィ
ルム温度が素子温度に近づくので、穿孔発生温度Taより
高い素子温度を与えれば穿孔が発生し、図36(C)に
示すように、穿孔サイズは収縮範囲のピークをやや越え
る値に達する。
【0098】上記説明は、発熱素子5への印加パワーと
して、従来と同じパワーを印加するものについて説明し
たものであるが、本発明はこれに限らず、発熱素子5へ
の印加パワーを大きくすることも可能である。以下、こ
の態様の製版装置8について説明する。
【0099】この製版装置8は、上記製版装置7に対し
て発熱素子5への印加パワーが異なるだけであり、装置
自体の構成は製版装置7と同じであって、発熱素子5へ
のパワーを大きくするとともに、上記製版装置7と同様
に、サーマルヘッド4を構成する発熱素子5の温度が、
常温から初期穿孔温度Tmに達するまでは、該発熱素子5
に連続で電圧を印加し続け、その後、穿孔に適した温度
領域内を維持しながら穿孔に適した時間に亘って、一定
または変化するデューティをもつチョップパルスを該発
熱素子5に印加するようにしたものである。この製版装
置8において、上記図37(B)の例よりも、さらにパ
ワーを大きく設定した場合の、素子温度a,フィルム温
度b,フィルムの収縮範囲cおよび穿孔サイズdと時間
tとの関係を図37(C)に示す。
【0100】この製版装置8によれば、発熱素子5への
印加パワーを大きくしたので、フィルム温度を穿孔発生
温度Taまですみやかに立ち上げ、穿孔サイズを短時間で
目標値に達成させることができるとともに、上記製版装
置7と同様に、素子温度を発熱素子5の設定上限温度Tm
axよりつねに低く保つことができるので、発熱素子5の
劣化を防ぐことができる。
【0101】また、この製版装置8によれば、大きなパ
ワーを加えても、印加中の素子温度が設定上限温度Tmax
を越えないように印加時間を設定することができる。し
たがって、設定するパワーは、発熱素子5の設定上限温
度Tmaxからの制限はない。またパワーの設定を大きくす
るほど、素子温度の立ち上がりが、したがってフィルム
温度の立ち上がりが速くなり、穿孔の発生が速くなる。
【0102】さらに、図37(A)と(C)とを比較す
ると判るように、穿孔発生時からフィルム温度のピーク
時までのフィルム温度は、従来の製版方法における同一
時刻のフィルム温度より高く、したがって収縮範囲が一
定の値に達するまでの時間は短くなる。すなわち、印加
開始から目標の穿孔サイズを得るまでの時間が短くな
る。
【0103】一方、従来の製版装置90および該製版装置
8の何れの場合にも、パワーを大きくしたときの亀裂モ
ードによる劣化の危険は変わらないから、パワーを大き
くしすぎると、昇温速度が大きくなりすぎて、発熱素子
5が劣化する。
【0104】そこで、このパワーを大きくする際の亀裂
モードによる劣化を抑えるために、時間に対する素子温
度の変化量、またはパワーそのものを一定範囲内に設定
することが望ましい。
【0105】具体的には、サーマルヘッド駆動回路6
(図2)が発熱素子5へ印加する電圧として、以下のよ
うに設定するのが望ましい。すなわち、 a)発熱素子5に連続で電圧を印加したとき、室温(例
えば10〜30℃)の状態にある発熱素子5の中心の表面温
度が、印加開始から25μs以上の時間で 200℃に達する
速度条件、および、 b)発熱素子5に連続で電圧を印加したとき、室温の状
態にある発熱素子5の中心の表面温度が、印加開始から
50μs以上の時間で 300℃に達する速度条件、の少なく
ともいずれか一方を満足するように設定する。
【0106】素子温度の上昇速度をこの条件にしたがっ
て設定した場合、発熱素子5の急激な温度上昇を避ける
ことができ、発熱素子5の亀裂モードによる劣化を避け
ることができる。
【0107】一方、素子温度の上昇速度を非常にゆっく
りとしたものにすると、チョップパルスを印加する意味
がほとんどない。すでに述べたように、チョップパルス
を印加する目的は、穿孔発生までの時間を短くするため
に素子温度を初期穿孔温度まで急速に立ち上げること、
低感度や厚膜のフィルムを穿孔するために発熱素子の設
定上限温度を超えずに穿孔の成長に十分な温度をフィル
ムに与えること、穿孔形状を制御するために素子温度を
任意の温度領域で任意の温度変化をさせること、などが
ある。素子温度の上昇速度が非常にゆっくりであると、
穿孔発生までの時間が短くならず、素子温度が発熱素子
の上限温度に達するまでに相当な時間がかかるので、チ
ョップパルスでなく矩形波を長時間与えても低感度や厚
膜のフィルムを穿孔可能であり、また、現実的な時間内
に目的の温度領域まで素子温度を上げられない、といっ
たことになる。
【0108】したがって、サーマルヘッド駆動回路6は
発熱素子5へ印加する電圧として、さらに以下のように
設定するのが望ましい。すなわち、 c)発熱素子5に連続で電圧を印加したとき、室温の状
態にある発熱素子5の中心の表面温度が、印加開始から
150μs以下の時間で 200℃に達する速度条件、およ
び、 d)発熱素子5に連続で電圧を印加したとき、室温の状
態にある発熱素子5の中心の表面温度が、印加開始から
300μs以下の時間で 300℃に達する速度条件、の少な
くともいずれか一方を満足するように設定する。
【0109】素子温度の上昇速度をこの条件にしたがっ
て設定した場合、穿孔発生までの時間を短くするために
素子温度を初期穿孔温度まで急速に立ち上げること、低
感度や厚膜のフィルムを穿孔するために発熱素子の設定
上限温度を超えずに穿孔の成長に十分な温度をフィルム
に与えること、穿孔形状を制御するために素子温度を任
意の温度領域で任意の温度変化をさせること、などが現
実的に可能になる。
【0110】ところで、筆者らは実験によって、発熱素
子5の形状や構造が同じならば、その昇温速度は発熱素
子5の単位面積あたりのパワー(以下、「パワー密度」
という)に依存するとともに、解像度の影響も受けるこ
と、さらに、解像度の影響が主走査のピッチと副走査の
ピッチの相乗平均で得られることを見いだした。
【0111】この知見に基づいて、本発明による製版装
置においては、サーマルヘッド4により製版される感熱
孔版の主走査方向と副走査方向の画素密度がともに200d
pi以上800dpi以下の範囲にあって、サーマルヘッド駆動
回路6(図2)が、下記式(1)
【0112】
【数1】
【0113】を満足する印加電圧を印加するものとする
のが望ましい。
【0114】上式において、vは印加電圧(V)、rは発
熱素子の平均抵抗値(Ω)、Pxは主走査のピッチ(μ
m)、Pyは副走査のピッチ(μm)、lxは発熱素子の主走査
方向長さ(μm)、lyは発熱素子の副走査方向長さ(μm)で
ある。
【0115】また、上式において、
【0116】
【数2】
【0117】は、パワー密度である。
【0118】サーマルヘッド駆動回路6が、上記式
(1)を満足するように、発熱素子5に電圧を印加する
ようにすれば、発熱素子5の急激な温度上昇を避けるこ
とができ、発熱素子5の亀裂モードによる劣化を避ける
ことができる。また、穿孔発生までの時間を短くするた
めに素子温度を初期穿孔温度まで急速に立ち上げるこ
と、低感度や厚膜のフィルムを穿孔するために発熱素子
の設定上限温度を超えずに穿孔の成長に十分な温度をフ
ィルムに与えること、穿孔形状を制御するために素子温
度を任意の温度領域で任意の温度変化をさせること、な
どが現実的に可能になる。
【0119】上記製版装置7および製版装置8において
は、夫々図36(C)および図37(C)に示したよう
に、チョップパルスQ1の印加中は、素子温度がわずかに
上下するがほぼ一定の温度を維持する。しかし、該チョ
ップパルスQ1の印加中の素子温度が設定上限温度Tmaxを
越えず、穿孔サイズが目的の値を実現できれば、上記図
8に示したように、チョップパルスQ1のデューティを変
えて、該パルスQ1の印加中の素子温度を変化させてもよ
い。
【0120】例えば、図10(A)に示すように、チョ
ップパルスQ1の印加中の素子温度を、初期穿孔温度Tmか
ら徐々に下げて温度Td近辺で維持するようにチョップパ
ルスQ1のデューティをきめてもよい。
【0121】このときフィルム温度は最初の連続印加に
よる素子温度の上昇によって立ち上がるが、その後素子
温度がTd近辺まで下がってくるので、フィルム温度もTd
近辺で早期に飽和する。したがってこれ以後、電圧の印
加が終了するまで収縮範囲も一定値で安定する。このこ
とは、収縮範囲が一定値に達してからチョップパルスQ1
の印加をいつ停止しても、得られる穿孔サイズはほとん
ど一定であることになる。あるいは逆に、ある印加時間
以後、いつ印加を終了しても最終穿孔サイズが一定にな
るような連続印加時間とチョップパルスQ1のデューティ
を選ぶことができる。
【0122】一方、上述したように、感熱孔版原紙1の
フィルム1aはそれ自体の、または支持体との接着状態
によって生じる表面粗さのために、発熱素子5と完全に
は密着せず、フィルム1aと発熱素子5とのあいだには
空隙が存在する。また、フィルム1aには接着剤や支持
体繊維が場所的にばらついて接する。これらは発熱素子
5とフィルム1aとの熱伝達条件のばらつき、すなわち
熱の伝達時間のばらつきとなり、結果的には各画素での
穿孔サイズのばらつきとなる。
【0123】そこで、このような、チョップパルスQ1の
印加中の素子温度を初めの温度から徐々に下げて一定温
度近辺で一定時間以上維持させることによって、熱の伝
達時間のばらつきによらない、すなわち画素間の穿孔サ
イズのばらつきの少ない、安定した穿孔サイズの感熱孔
版を、短い印加時間で得ることができる。
【0124】また、チョップパルスQ1の印加中の素子温
度を、図10(B)の線a3に示すように、初期穿孔温度
Tmから温度Tuまで徐々に上げていくようにチョップパル
スQ1を設定することもできる(これに対応するフィルム
温度,収縮範囲,穿孔サイズを夫々b3,c3,d3とす
る)。
【0125】あるいは、上記図8(C)に示したよう
に、チョップパルスQ1のデューティを次第に変化させ
て、温度の上がり方或いは下がり方を調節することもで
きる。
【0126】もちろん、これらチョップパルスQ1のデュ
ーティを変えて素子温度を変化させる場合には、素子温
度が設定上限温度Tmaxを越えないようにデューティとチ
ョップパルス数を設定する。このときフィルム温度が最
初の連続印加による素子温度の上昇だけで穿孔発生温度
Taに達するようにする。
【0127】図10(B)において、最初の連続印加の
後、フィルム温度は素子温度に近づこうとするが、素子
温度はチョッピング中に徐々に上がっていくから、フィ
ルム温度も徐々に上がっていく。この、フィルム温度の
上がり方は、素子温度の上がり方に依存し、したがって
チョップパルスQ1のデューティの設定によって変化させ
ることができる。素子温度がTuに達するまでチョップパ
ルスQ1を印加すれば、穿孔サイズは穿孔発生の時点から
徐々に成長していく。もしチョップパルスQ1の印加を途
中でやめると、穿孔サイズは印加終了のタイミングにし
たがって変化する(同図に示す各線a1〜d1,a2〜d2を参
照。但し、a は素子温度を,b はフィルム温度を,c は
収縮範囲を,d は穿孔サイズを示す。)。このことは、
印加するチョップパルスQ1の数N1によって、得られる穿
孔サイズを変えられることになる。このことと従来の製
版装置90における矩形パルスの印加時間を調節すること
とは効果が異なる。図26或いは図36(A)等に示す
ように、従来の製版装置90では、素子温度は徐々に頭打
ちになってしまい、温度の上がり方を自由に調節するこ
とができないからである。
【0128】ところで、感熱孔版の穿孔サイズは、従
来、ひとつの目標値をねらって製版条件を設定してい
た。印刷物上で同じ大きさの画素を表現するために、穿
孔の大きさを統一するためである。しかし近年、画素の
大きさを多値制御して、ハーフトーンやパターンのエッ
ジをより良く表現しようとする動きがある。この目的
で、従来の製版装置においては、矩形パルスの印加時間
を調節して穿孔サイズを変化させることがある。しかし
ながら、この矩形パルスの印加時間を調節して穿孔サイ
ズを変化させるという方法では、図26或いは図36
(A)等に示すように、素子温度が徐々に頭打ちになっ
てしまい、したがって収縮範囲の変化が大きくないこ
と、また穿孔の成長する速度が小さいことから、満足な
穿孔サイズの制御を行うことができなかった。
【0129】一方、本発明による製版装置によれば、例
えば上述の図8(A)或いは図10(B)に示すよう
に、チョップパルスQ1の印加中の素子温度を初めの温度
から徐々に上げていき、任意のパルス数で該パルスQ1の
印加を止めることによって、効果的に穿孔サイズの制御
を行うことができ、ハーフトーンやパターンのエッジを
より適切に表現することができる。
【0130】上記製版装置7および8は、いずれも、サ
ーマルヘッド4を構成する発熱素子5の温度が、常温か
ら初期穿孔温度Tmに達するまでは、該発熱素子5に連続
で電圧を印加し続け、その後、穿孔に適した温度領域内
を維持しながら穿孔に適した時間に亘って、一定または
変化するデューティをもつチョップパルスQ1を該発熱素
子5に印加するようにしたものである。ここで、初期穿
孔温度Tmの条件としては、そのときのフィルム温度が、
製版時間短縮の観点から、穿孔発生温度Taを超えている
ことが望ましいものである。
【0131】ところで、上述のように、穿孔発生温度Ta
はフィルムの融点にほぼ等しい。また、発熱素子5とフ
ィルム1aの間の空隙や、フィルム1aと空隙の熱容量
のために、素子温度の立ち上がり時は、素子温度はフィ
ルム温度より高い。したがって、穿孔のための連続印加
の終了時の素子温度、すなわち穿孔に適した初期穿孔温
度Tmは、少なくともフィルム1aの融点以上であること
が望ましい。また、穿孔に適した温度領域内を維持する
条件としては、そのときの素子温度からチョップパルス
Q1の断続による周期的変動を除いたものが、発熱素子5
の設定上限温度Tmaxを越えないことが望ましい。この発
熱素子5の設定上限温度Tmaxは、実験の結果、 400℃程
度である。ここで、「チョップパルスQ1の断続による周
期的変動を除く」のは、上述のように、発熱素子5の劣
化は設定上限温度Tmaxを超えたら一気に進行するという
ものではないので、パルスQ1の断続により、発熱素子5
の温度が設定上限温度Tmaxを瞬時的に越えることがあっ
ても問題がないからである。
【0132】これらのことから、本発明による製版装置
においては、発熱素子5の中心の表面温度からチョップ
パルスQ1の断続による周期的変動分を除いたものがフィ
ルム1aの融点以上、設定上限温度Tmaxである 400℃以
下となるように、サーマルヘッド駆動回路6がチョップ
パルスQ1を発生して発熱素子5に断続的な電圧の印加が
行われるようにするのが望ましい。
【0133】製版時間を短縮するためには、上記製版装
置8のように、パワーを大きくするとよいが、一方パワ
ーを大きくしたときの亀裂モードによる劣化を避けるに
は、パワーを一定範囲内に設定する必要があるため、製
版時間の短縮に一定の限界がある。
【0134】そこで、製版時間の短縮を更に図るために
は、穿孔の発生をさらに早める必要があるが、本発明に
よる製版装置では、予熱を行う予熱手段を更に備えたも
のとすることによりこれに対応することができる。以
下、この予熱を行うことができるようにした態様の装置
について説明する。
【0135】既に、ストローブ作成回路26(図5)の構
成説明で述べたように、製版装置7或いは8のストロー
ブ作成回路26は、パラメータテーブル32に予熱ストロー
ブパラメータP1を設定でき、パラメータ用RAM1には予熱
ストローブパラメータP1が格納されるようになってお
り、ストローブ作成回路26が予熱手段の機能を兼ねてい
る。したがって、上記製版装置7或いは8をそのまま予
熱対応の装置として使用することができる。なお、この
ようにストローブ作成回路26に予熱手段の機能を持たせ
るものに限らず、本発明による製版装置においては、発
熱素子5の温度が、予熱に適した温度領域内に任意に定
めた温度に達するまで連続的に電圧を印加し、その後、
予熱に適した時間にわたって前記領域内を維持するよう
に発熱素子5に断続的に電圧を印加することができる予
熱手段を備えたものであれば、どのような構成を採るも
のであってもよいのはいうまでもない。
【0136】以下、上記製版装置7および8における予
熱の作用について詳細に説明する。
【0137】発熱素子5に予熱用の電圧を断続的に印加
するために、ストローブ信号/STBに予熱用のチョップパ
ルスを使用した場合のストローブ作成回路26の動作と、
発熱素子5の温度変化を示すタイミングチャートを図1
1に示す。
【0138】図11に示すように、素子温度が予熱に適
した発熱に至らない温度(以下、これを「初期予熱温
度」という)Tpに達するまでに要する時間を予熱ベタス
トローブ時間t3に、予熱に適した温度領域を維持するた
めの予熱に適した時間を予熱チョップパルスQ2のデュー
ティ(オンタイムt4b およびオフタイムt4a )と回数N2
に置き換え、それぞれ予熱ストローブパラメータP1とし
て設定し、該予熱後の穿孔に適した温度領域内の所定の
温度(初期穿孔温度)Tmに達するまでに要する時間をメ
インベタストローブ時間t5に、該領域内を維持するため
の穿孔に適した時間t6をメインチョップパルスQ3のデュ
ーティ(オンタイムt6b およびオフタイムt6a )と回数
N3に置き換え、それぞれ標準メインストローブパラメー
タP2として設定する。これらの時間と温度変化との関係
は実験的に求められたものであり、環境温度の変化への
対応を含めた値として、パラメータテーブル32(図5)
に用意されている。
【0139】この設定された条件に従い、予熱ベタスト
ローブ期間t3および予熱チョップパルス期間t4並びにメ
インベタストローブ期間t5およびメインチョップパルス
期間t6となるように、ストローブ作成回路26のパラメー
タ用RAM1,RAM2,セレクタ35およびチョップ有効区間作
成回路37により、ストローブ信号/STBを作成する。図1
1に示すように、ストローブ信号/STBは、メインストロ
ーブと予熱ストローブの合成信号として出力される。
【0140】夫々のストローブ時間は発熱素子5の温度
に応じて発熱パターンを変え、常に希望する温度になる
ような時間に設定される。
【0141】次に、図12に示すフローチャートを参照
して、ストローブ作成回路26の予熱制御について説明す
る。
【0142】パラメータセット信号/PSET がストローブ
選択回路36に入力されると、環境温度すなわち温度デー
タレジスタ31からの温度データTMdataに対応した予熱ス
トローブパラメータP1および標準メインストローブパラ
メータP2がパラメータテーブル32からRAM33に入力さ
れ、RAM33から該予熱ストローブパラメータP1に基づ
くデータDRM1および標準メインストローブパラメータP2
に基づくデータDRM2がセレクタ35に入力される。セレク
タ35は、予熱ストローブ信号SRM1が有効のときデータDR
M1を出力し、該データDRM1に基づくパルス回数N2,オフ
タイム t4a,オンタイムt3, t4bをチョップ有効区間作
成回路37に設定する。また両メインストローブ信号SRM
2,SRM3が有効のときデータDRM2を出力し、該データDRM
2に基づくパルス回数N3,オフタイム t6a,オンタイムt
5, t6bをチョップ有効区間作成回路37に設定する。ペ
ージスタート信号/PSTが立ち上がり、1ページの製版が
開始される(ST20,ST21)。
【0143】ストローブ開始信号STRTをトリガとしてス
トローブ発生回路26(図4)が動作を始める(ST22)。
ストローブ発生回路26は、ストローブ選択回路36がスト
ローブ開始信号STRTを受信するとサーマルヘッド4内の
シフトレジスタに格納されている予熱データを同サーマ
ルヘッド4内のラッチ回路にラッチする(ST23)。次い
で、チョップ有効区間作成回路37がストローブ信号/STB
をLにして予熱ベタストローブをオンにし(ST24)、設
定された初期予熱温度に達する時間t3に達するとストロ
ーブ信号/STBをHにして予熱ベタストローブをオフにす
る(ST25)。次いで、ストローブ信号/STBをH→Lと交
互にして予熱チョップパルスをオフオンの順に出力する
(ST26)。予熱チョップパルスP2の出力回数が設定され
た予熱に適した回数N2に達したらストローブ信号/STBを
Hにして予熱ストローブをオフにする(ST27,ST28)。
この時、予熱データと穿孔データとを同じにした場合に
は、穿孔データに応じて発熱すべき発熱素子5に対して
のみ予熱が行われる。一方、予熱データとして、全画素
オン(黒)となるようなデータとした場合は、サーマル
ヘッド4全体について予熱が行われる。
【0144】予熱時間 t34が終わると穿孔データラッチ
信号を発生し、サーマルヘッド4内のシフトレジスタに
格納されている穿孔データを同サーマルヘッド4内のラ
ッチ回路にラッチし(ST33)、次いで、上記図9に示し
たフローチャートのステップ14〜19と同様に、メインチ
ョップパルスQ1に関する所定の処理を行う(図9のステ
ップ14〜19を30番台の同番号を付し、詳細は省略す
る)。
【0145】これにより、発熱素子5の温度変化は、図
11に示すように、ストローブ信号/STBのLの期間t3す
なわち予熱ベタストローブのオンタイムで素子温度が初
期予熱温度Tpに達し、その後予熱チョップパルスQ2によ
り、この温度Tp(正確にはTp近傍の温度)が期間t4中保
持される。予熱によって暖められた状態からメインベタ
ストローブの印加により初期穿孔温度Tmまで発熱素子5
の温度は上昇する。予熱がない場合に比べて、この時印
加されるエネルギは発熱素子5が既に温度Tpまで暖めら
れている分だけ少なくてすみ、またメインベタストロー
ブの印加時間t5も短くて済むので穿孔の発生をさらに早
めることができる。初期穿孔温度Tmに達した発熱素子5
はメインチョップパルスQ3により、この温度Tm(正確に
はTm近傍の温度)が期間t6中保持される。期間t6は、穿
孔に適した時間であるので、適正なサイズの穿孔が原紙
1に形成されることになる。
【0146】なお、「予熱ベタストローブのオンタイム
で素子温度が初期予熱温度Tpに達し、その後、この温度
Tpが期間t4中保持される」ように、発熱素子5に予熱チ
ョップパルスQ2を印加すること、すなわち発熱素子5
に、当初は連続的な電圧を印加し、その後、断続的な電
圧を印加することが「予熱」に対応し、その時間区間を
「予熱区間」とい、該予熱区間において印加する予熱ベ
タストローブと予熱チョップパルスQ2とを併せて「予熱
パルス」という。
【0147】また、この予熱後の「メインベタストロー
ブおよびメインチョップパルスQ3を印加する」ことを
「本加熱」といい、その時間区間を「本加熱区間」とい
い、該本加熱区間において印加するメインベタストロー
ブとメインチョップパルスQ3とを併せて「本加熱パル
ス」という。
【0148】この予熱制御による素子温度a,フィルム
温度b,フィルムの収縮範囲cおよび穿孔サイズdと時
間との関係を図13(A)に示す。
【0149】図13(A)において、予熱区間 t34(t3
4 =t3+t4;図11参照)では、フィルム温度をあらか
じめ穿孔発生温度Taより低いがそれに近い温度Tpまで立
ち上げる。これにより、本加熱の開始時点から穿孔発生
までの時間が、図37(C)に示したものよりも短くな
る(比較のため図37(C)を改めて図13(B)に示
す)。また、素子温度を初期穿孔温度Tmまで上昇させる
ための本加熱の最初の連続印加の時間t5も、図13
(B)に示した時間t1よりも短くなる。しかも、フィル
ム1aは予熱区間 t34で一定の熱量を受けているから、
本加熱区間 t56(t56 =t5+t6;図11参照)でのフィ
ルム温度の立ち上がりが速く、したがって穿孔の成長が
速い。このことは、目標の穿孔サイズを得るために、本
加熱パルスのチョップパルスQ3の数N3が、図13(B)
に示すものにおけるチョップパルスQ1の数N1に対して少
なくなることになり、また、本加熱の開始時点から穿孔
サイズが固定化するまでの時間が、図13(B)に示す
ものにおけるパルスP1の印加の開始時点から穿孔サイズ
が固定化するまでの時間より短くなることになる。
【0150】したがって、穿孔データに基づいてメイン
ベタストローブとメインチョップパルスQ3を発熱素子5
に印加する、すなわち本加熱パルスを発熱素子5に印加
する直前に、予熱区間 t34に亘って予熱パルスを発熱素
子5に印加するようにすれば、本加熱パルスの印加期間
t56をさらに短くすることができ、製版時間をより短く
することができる。
【0151】しかも、このように予熱を行うようにすれ
ば、予熱を行わない場合に較べて、本加熱中に素子温度
として高い温度領域を経験する時間が短くなる。このこ
とは発熱素子5の劣化に対し、さらに大きい余裕をもつ
ことになる。
【0152】なお、このように予熱を行う場合にあって
は、予熱パルスおよび本加熱パルスにおけるチョップパ
ルスの印加中の素子温度を変化させてもよい。予熱パル
スにおけるチョップパルスの印加中の素子温度を徐々に
下げることによって、予熱区間におけるフィルム温度を
早期に安定させることができ、したがって予熱区間を早
期に終了させることができる。
【0153】また、本加熱パルスにおけるチョップパル
スの印加中の素子温度を徐々に下げることによって、熱
の伝達時間のばらつきによらない、すなわち画素間の穿
孔サイズのばらつきの少ない、安定した穿孔サイズの感
熱孔版を、短い印加時間で得ることができる。あるい
は、本加熱パルスにおけるチョップパルスの印加中の素
子温度を徐々に上げ、任意のパルス数で印加を止めるこ
とによって、効果的に穿孔サイズの制御を行うことがで
きる。
【0154】さらに、このように予熱を行う場合にあっ
ては、予熱に適した初期予熱温度、および予熱に適した
温度領域内を維持する条件としては、この予熱パルスに
よってフィルム1aが十分に予熱されること、同時に、
予熱パルスによって穿孔されないこと、である。実験に
よれば、素子温度としての予熱に適した初期予熱温度、
および予熱に適した温度領域の範囲は、フィルム1aの
融点士50℃の範囲内であることが望ましい。なお、予熱
において素子温度がフィルム1aの融点を若干超えて
も、発熱素子5とフィルム1aの間の空隙やフィルム1
aと空隙の熱容量のために、予熱だけでは、フィルム温
度は穿孔発生温度Taにまでは達しない。
【0155】これらのことから、本発明による予熱を行
う製版装置においては、予熱中の発熱素子5の中心の表
面温度から予熱チョップパルスQ2の断続による断続的な
電圧の印加による周期的変動分を除いたものが、フィル
ム1aの融点±50℃の範囲内にあるように、予熱手段
(本例においてはストローブ作成回路26)が、予熱チョ
ップパルスQ2を発生して発熱素子5に断続的な電圧の印
加が行われるようにするのが望ましい。
【0156】また、この予熱を行う製版装置において
は、発熱素子5に予熱パルスのみが印加され本加熱パル
スが印加されない場合はフィルム1aを穿孔するに至ら
ないから、穿孔しない画素に対しても、すなわち、すべ
ての画素について予熱パルスを加えるようにすることも
できる。
【0157】ところで、製版速度を旧来のものよりも高
速にした高速製版装置においては、発熱素子5に印加し
た熱エネルギが十分に拡散,放出する前に次のラインの
製版が開始されるため、発熱素子5に徐々に熱エネルギ
が蓄積され、この結果、各発熱素子5には夫々の過去の
発熱履歴に応じた熱エネルギが蓄積され、エネルギ状態
にバラツキが発生し、画質劣化を生じるという問題が生
じる。
【0158】この発熱履歴に起因した画質劣化を解消す
るため、高速製版装置においては、熱履歴制御を行うこ
とが必須とされており、この熱履歴制御の方法として、
従来、発熱素子単位で数ラインの発熱履歴データを記憶
し該発熱履歴データを用いて発熱量を制御する方法(例
えば、特開昭60-161163号,特開平2-8065号参照。以下
「履歴データ制御」という)と、サーマルヘッド4の副
走査方向の数ライン分の総発熱量を集計し、サーマルヘ
ッド4の主走査方向のブロック単位で、発熱量を制御し
てサーマルヘッド4の温度が上昇することを制御する方
法(以下「ヒストグラム制御」という)が知られてい
る。
【0159】本発明による製版装置は、このような熱履
歴制御を行うものにも適用することができる。先ず、履
歴データ制御を行う製版装置に本発明を適用した態様に
ついて説明する。
【0160】図14は、この履歴データ制御を行う製版
装置40を構成するサーマルヘッド駆動回路41のブロック
図を示すものであり、ラインバッファ21と印字データ選
択回路23との間に履歴データ作成回路22が設けられてい
る。その他の構成は、上記製版装置7或いは8のサーマ
ルヘッド駆動回路6(図4)と同様である。
【0161】履歴データ作成回路22は、ラインバッファ
21を介した画像データD2を入力信号とし、図15に示す
ように1ライン前の3つの画像データDm-1,n-1 ,D
m,n-1,Dm+1,n-1 と現在の画像データDm,n を参照
し、表1に示す履歴有無データ作成ルールに従い履歴有
無データD3を作成し出力する。ここで、mは主走査方向
の画素番号を意味し、nは副走査方向のライン番号を意
味する。
【0162】
【表1】
【0163】印字データ選択回路23は、ラインバッファ
を介した画像データD2と履歴有無データD3とを各々デー
タビットに対応させ、それぞれ穿孔データ,履歴データ
としてこれらデータ列からなる印字データdata0〜3を、
図16に示す出力タイミングで出力する。
【0164】ストローブ作成回路26(図5)の構成説明
で述べたように、該ストローブ作成回路26は、パラメー
タテーブル32に履歴ストローブパラメータP4を設定で
き、パラメータ用RAM4には履歴ストローブパラメータP4
が格納されるようになっており、ストローブ作成回路26
が履歴データ制御を行う機能を兼ねている。なお、この
ようにストローブ作成回路26に履歴データ制御の機能を
持たせるものに限らず、本発明による製版装置において
は、発熱素子単体で数ラインの発熱履歴データを記憶し
該発熱履歴データを用いて発熱量を制御することができ
る履歴データ制御手段を備えたものであれば、どのよう
な構成を採るものであってもよいのはいうまでもない。
【0165】以下、上記製版装置40における履歴データ
制御の作用について説明する。
【0166】発熱素子5に履歴データ制御用の電圧を断
続的に印加するために、ストローブ信号/STBに履歴デー
タ制御用のチョップパルスを使用した場合のストローブ
作成回路26の動作と、発熱素子5の温度変化を示すタイ
ミングチャートを図16に示す。
【0167】図16に示すように、素子温度が穿孔に適
した温度領域内の所定の温度(初期穿孔温度)Tmに達す
るまでに要する時間をメインベタストローブ時間t7に、
該領域内を維持する穿孔に適した時間t8をメインチョッ
プパルスQ4のデューティ(オンタイムt8b およびオフタ
イムt8a )と回数N4に置き換え、それぞれ標準メインス
トローブパラメータP2として設定し、同様に該領域内で
あって所定の温度変化を有する履歴データ制御を行う時
間t9を履歴チョップパルスQ5の回数N5とデューティ(オ
ンタイムt9b およびオフタイムt9a )にそれぞれ置き換
え、それぞれ履歴ストローブパラメータP4として設定す
る。
【0168】これらの時間と温度変化との関係は実験的
に求められたものであり、環境温度の変化への対応を含
めた値として、パラメータテーブル32(図5)に用意さ
れている。
【0169】履歴チョップパルスQ5は履歴データがある
場合は有効に、履歴データがない場合は無効となり、発
熱素子5の発熱を押さえ無駄な蓄熱が無くなるようにす
る。
【0170】この設定された条件に従い、メインベタス
トローブ期間t7,メインチョップパルス期間t8および履
歴チョップパルス期間T9となるように、ストローブ作成
回路26のパラメータ用RAM2,セレクタ35およびチョップ
有効区間作成回路37により、ストローブ信号/STBを作成
する。
【0171】ストローブ時間t9(履歴データラッチタイ
ミング)は、環境温度に応じて発熱パターンを変え、常
に希望する設定温度になるような時間に設定される。
【0172】次に、図17に示すフローチャートを参照
して、ストローブ作成回路26の履歴データ制御について
説明する。
【0173】パラメータセット信号/PSET がストローブ
選択回路36に入力されると、環境温度すなわち温度デー
タレジスタ31からの温度データTMdataに対応した標準メ
インストローブパラメータP2および履歴ストローブパラ
メータP4がパラメータテーブル32からROM33に入力さ
れ、ROM33から該標準メインストローブパラメータP2
に基づくデータDRM2および履歴ストローブパラメータP4
に基づくデータDRM4がセレクタ35に入力される。セレク
タ35は、両メインストローブ信号SRM2,SRM3が有効のと
きデータDRM2を出力し、該データDRM2に基づくパルス回
数N4,オフタイム t8a,オンタイムt7, t8bをチョップ
有効区間作成回路37に設定する。また履歴ストローブ信
号SRM4が有効のときデータDRM4を出力し、該データDRM4
に基づくパルス回数N5,オフタイム t9a,オンタイム t
9bをチョップ有効区間作成回路37に設定する。ページス
タート信号/PSTが立ち上がり、1ページの製版が開始さ
れる(ST40,ST41)。
【0174】これとともに、ストローブ作成回路26はサ
ーマルヘッド4内のシフトレジスタに格納されている穿
孔データを同サーマルヘッド4内のラッチ回路にラッチ
する(ST42)。次いで、ストローブ開始信号STRTをトリ
ガとしてストローブ作成回路26(図14)が動作を始め
る(ST43)。
【0175】チョップ有効区間作成回路37は、ストロー
ブ選択回路36がストローブ開始信号STRTを受信するとス
トローブ信号/STBをLにしてメインベタストローブをオ
ンにし(ST44)、パラメータとして設定された初期穿孔
温度に達する時間t7に達するとストローブ信号/STBをH
にしてメインベタストローブをオフにする(ST45)。次
にストローブ信号/STBをH→Lと交互にしてメインチョ
ップパルスQ4をオフオンの順にパラメータとして設定さ
れた履歴データ開始の回数N4に達するまで出力する(ST
46)。続いて履歴データラッチ信号を発生し(ST47)、
サーマルヘッド4内部のシフトレジスタに格納されてい
る履歴データをラッチ回路にラッチする(ST48)。次に
ストローブ信号/STBをH→Lと交互にして履歴チョップ
パルスQ5をオフオンの順に出力する(ST49)。履歴チョ
ップパルスQ5の回数が履歴チョップパルス終了回数N5に
達したらストローブ信号/STBをHにしてストローブをオ
フにする(ST49,ST50)。ページスタート信号/PSTが立
ち下がっていれば、1ページ分の製版が終了したものと
判断し動作を終了するが、ページスタート信号/PSTが立
ち上がっていればST42に戻り処理を継続する(ST51)。
【0176】これにより、発熱素子5の温度変化は、図
16に示すように、ストローブ信号/STBのLの期間t7す
なわちメインベタストローブのオンタイムで素子温度が
初期穿孔温度Tmに達し、その後メインチョップパルスQ4
が印加され、この温度Tm(正確にはTm近傍の温度)が期
間t8中保持される。図16(A)に示す熱履歴データ有
りの場合には、メインチョップパルスQ4の後に履歴チョ
ップパルスQ5が発熱素子5に印加されて発熱し、温度Tm
が期間t9中も保持される。一方図16(B)に示す履歴
データ無しの場合には、メインチョップパルスQ4が発熱
素子5に印加されるが、履歴チョップパルスQ5が該発熱
素子5に印加されないので、同図(A)に示す期間t9に
相当する期間には発熱素子5は発熱せず、素子温度が低
下する。
【0177】したがって、図16(A)に示す熱履歴デ
ータ有りの場合には、ストローブ時間t9として環境温度
に応じて発熱パターンを変え常に希望する設定温度にな
るような時間が設定されるので、発熱素子5の発熱履歴
に応じた温度制御が行われ、該発熱履歴に起因した画質
劣化の問題が解消される。
【0178】次に、熱履歴制御としてヒストグラム制御
を行う装置に本発明を適用した態様について説明する。
【0179】図18は、このヒストグラム制御を行う製
版装置42を構成するサーマルヘッド駆動回路43のブロッ
ク図を示すものであり、入力される画像データD1よりj
×k画素からなるブロックの黒画素数を数えて黒画素率
BKをストローブ作成回路44に入力するヒストグラム作成
回路24が設けられている。その他の構成は、上記製版装
置7或いは8のサーマルヘッド駆動回路6(図4)と同
様である。
【0180】図19にヒストグラムブロックの構成を示
す。ここで、jは主走査方向の画素数を意味し、kは副
走査方向のライン数を意味する。主走査方向の分割数は
最大でサーマルヘッド4のブロック数であり、画素数j
はサーマルヘッド4の1ブロックの画素数に依存する。
出力される黒画素率BKは、現在製版中のブロックの副走
査方向に1つ前のブロックの黒画素率である。
【0181】図20はストローブ作成回路44の詳細を示
すブロック図である。このストローブ作成回路44には標
準メインストローブ選択信号SRM2をセレクタ35に入力す
る比較器34が設けられており、該比較器34は、ヒストグ
ラム作成回路24(図18)が出力する黒画素率BKと所定
の設定値とを比較し、黒画素率BKが設定値より小さけれ
ば標準メインストローブ選択信号SRM2を有効にし、それ
以外なら該選択信号SRM2を無効にする。その他の構成
は、上記製版装置7或いは8のストローブ作成回路26
(図5)と同様である。
【0182】製版装置7のストローブ作成回路26(図
5)の構成説明で述べたように、この製版装置42のスト
ローブ作成回路44は、パラメータテーブル32に標準メイ
ンストローブパラメータP2および短メインストローブパ
ラメータP2を設定でき、パラメータ用RAM2には標準メイ
ンストローブパラメータP2が,パラメータ用RAM3には短
メインストローブパラメータP3が夫々格納されるように
なっており、ストローブ作成回路44がヒストグラム制御
を行う機能を兼ねている。なお、このようにストローブ
作成回路44にヒストグラム制御の機能を持たせるものに
限らず、本発明による製版装置においては、サーマルヘ
ッド4の副走査方向の数ライン分の総発熱量を集計し、
サーマルヘッド4の主走査方向のブロック単位で発熱量
を制御してサーマルヘッド4の温度が上昇することを制
御するヒストグラム制御手段を備えたものであれば、ど
のような構成を採るものであってもよいのはいうまでも
ない。
【0183】以下、上記製版装置42におけるヒストグラ
ム制御の作用について説明する。
【0184】発熱素子5にヒストグラム制御用の電圧を
断続的に印加するために、ストローブ信号/STBにヒスト
グラム制御用のチョップパルスを使用した場合のストロ
ーブ作成回路44の動作と、発熱素子5の温度変化を示す
タイミングチャートを図21に示す。
【0185】図21に示すように、黒画素率に応じてヒ
ストグラムブロック毎に標準メインストローブパラメー
タP2と短メインストローブパラメータP3とを設定する。
すなわち、黒画素率が設定値より低い場合において、素
子温度が穿孔に適した温度領域内の所定の温度(初期穿
孔温度)Tmに達するまでに要する時間をメインベタスト
ローブ時間 t10に、該領域内を維持する穿孔に適した時
間 t11をメインチョップパルスQ6のデューティ(オンタ
イムt11bおよびオフタイムt11a)と回数N6に置き換え、
これらを標準メインストローブパラメータP2として設定
し、同様に黒画素率が設定値より高い場合において、素
子温度が初期穿孔温度Tmに達するまでに要する時間をメ
インベタストローブ時間 t12に、該領域内を維持する穿
孔に適した時間 t13をメインチョップパルスQ7のデュー
ティ(オンタイムt13bおよびオフタイムt13a)と回数N7
に置き換え、これらを短メインストローブパラメータP3
として設定する。
【0186】これらの時間と温度変化との関係は実験的
に求められたものであり、環境温度の変化への対応を含
めた値として、パラメータテーブル32(図20)に用意
されている。
【0187】この設定された条件に従い、標準メインベ
タストローブ期間 t10,標準メインチョップパルス期間
t11および短メインベタストローブ期間 t12,短メイン
チョップパルス期間 t13となるように、ストローブ作成
回路44のパラメータ用RAM2,RAM3,セレクタ35およびチ
ョップ有効区間作成回路37により、ストローブ信号/STB
を作成する。
【0188】ヒストグラム作成回路24で求めた黒画素率
BKが設定値より低い場合には、図21(A)に示すよう
にヒストグラムベタストローブ時間として標準メインベ
タストローブ期間 t10が設定され、またヒストグラムチ
ョップパルス期間としてこれに対応する標準メインチョ
ップパルス期間 t11が設定されるようになっており、一
方黒画素率BKが設定値より高い場合には、短メインベタ
ストローブ期間 t12およびこれに対応する短メインチョ
ップパルス期間 t13が設定されて、ヒストグラムベタス
トローブ時間が短くされたりヒストグラムチョップパル
スの条件が変更される。なお、これらのストローブ期間
は環境温度に応じて発熱パターンを変え、常に希望する
設定温度になるような時間に設定される。
【0189】次に、図22に示すフローチャートを参照
して、ストローブ作成回路44のヒストグラム制御につい
て説明する。
【0190】パラメータセット信号/PSET がストローブ
選択回路36に入力されると、環境温度すなわち温度デー
タレジスタ31からの温度データTMdataに対応した標準メ
インストローブパラメータP2および短メインストローブ
パラメータP3がパラメータテーブル32からRAM33に入
力され、RAM33から該標準メインストローブパラメー
タP2に基づくデータDRM2および短メインストローブパラ
メータP3に基づくデータDRM3がセレクタ35に入力され
る。セレクタ35は、黒画素率BKが設定値よりも小さく両
メインストローブ信号SRM2,SRM3が有効のときデータDR
M2を出力し、該データDRM2に基づくパルス回数N6,オフ
タイムt11a,オンタイム t10,t11bをチョップ有効区間
作成回路37に設定する。また黒画素率BKが設定値よりも
大きく標準メインストローブ信号SRM2が無効のときデー
タDRM3を出力し、該データDRM3に基づくパルス回数N7,
オフタイムt13a,オンタイム t12,t13bをチョップ有効
区間作成回路37に設定する。ページスタート信号/PSTが
立ち上がり、1ページの製版が開始される(ST60,6
1)。なお、当初はヒストグラム情報すなわち黒画素率B
Kは初期値に設定する(ST62)。
【0191】ストローブ開始信号STRTをトリガとしてス
トローブ作成回路44(図20)が動作を始める(ST6
3)。ストローブ作成回路44は、ストローブ選択回路36
がストローブ開始信号STRTを受信するとサーマルヘッド
4内のシフトレジスタに格納されている穿孔データを同
サーマルヘッド4内のラッチ回路にラッチする(ST6
4)。次いで、チョップ有効区間作成回路37がストロー
ブ信号/STBをLにしてヒストグラムベタストローブをオ
ンにし(ST65)、パラメータとして設定された初期穿孔
に適した時間 t10または t12に達するとストローブ信号
/STBをHにしてヒストグラムベタストローブをオフにす
る(ST66)。次にストローブ信号/STBをH→Lと交互に
してヒストグラムチョップパルスをオフオンの順に出力
する(ST67)。メインチョップバルス回数が黒画素率BK
によりパラメータとして設定された穿孔に適した回数N6
またはN7に達したらストローブ信号/STBをHにしてスト
ローブをオフにする(ST68,ST69)。ページスタート信
号/PSTが立ち下がっていれば、1ページ分の製版が終了
したものと判断し動作を終了するが、ページスタート信
号/PSTが立ち上がっていればST63に戻り処理を継続する
(ST70)。
【0192】ヒストグラム更新信号HISTがヒストグラム
作成回路24に入力されると黒画素率BKに応じて各パラメ
ータを変更する(ST71)。次いで、チョップ有効区間作
成回路37(図20)が、カウントデータと更新されたパ
ラメータによりストローブの有効区間を確定し、各スト
ローブ信号を出力する。
【0193】これにより、発熱素子5の温度変化は、図
21に示すように、ストローブ信号/STBのLの期間 t10
または t12すなわちヒストグラムベタストローブのオン
タイムで素子温度が初期穿孔温度Tmに達し、その後ヒス
トグラムチョップパルスQ6またはQ7が印加され、この温
度Tm(正確にはTm近傍の温度)が期間 t11または t13中
保持される。すなわち、黒画素率BKが設定値より小さい
場合には、通常の場合と同様に,ヒストグラムベタスト
ローブ時間として標準メインストローブ期間 t10が、ヒ
ストグラムチョッピング時間として標準メインチョッピ
ング期間 t11が夫々設定され、図21(A)に示すよう
な温度変化となる。一方、黒画素率BKが設定値より大き
い場合には、ヒストグラムベタストローブ時間として短
メインストローブ期間 t12が、ヒストグラムチョッピン
グ時間として短メインチョッピング期間 t13が夫々設定
され、図21(B)に示すような温度変化となる。した
がって、発熱素子5の発熱履歴に応じた温度制御が行わ
れ、該発熱履歴に起因した画質劣化の問題が解消され
る。
【0194】次に、本発明による製版装置を使用して製
版を行った実施例および従来の製版装置を使用して製版
を行った比較例について説明する。なお、以下に示す方
法により素子温度,耐エネルギー性、穿孔サイズおよび
穿孔サイズのSN比の測定を行った。
【0195】1.素子温度(矩形パルスによるピーク温
度、予熱パルスによる温度領域,本加熱パルスによる温
度領域) (1)発熱素子5の表面に何も接触させない状態で、フ
ィルム1aを穿孔させるのと同じ電圧印加条件を与え
て、日本バーンズ(株)製の赤外放射温度計RM.2A を、直
径7.5μm の円形視野で、検知波長の半値幅が4.9〜5.4
μmとなるバンドバスフィルタを用いて、このバンドで
赤外放射率=1,サンプリング周期=7.5μsとして測定
した。円形視野の中心は発熱素子の中心とした。
【0196】(2)矩形パルスにおけるピーク温度の測
定では、素子温度は矩形パルスの印加終了時点で最も高
くなる。この最も高温となったときの素子温度を測定し
た。
【0197】(3)予熱パルスにおける温度領域の測定
では、予熱パルスのチョッピング中の温度の最低値、最
高値を測定した。この温度はチョップパルスの断続によ
る変動を含んでいる。
【0198】(4)本加熱パルスにおける温度領域の測
定では、本加熱パルスのチョッピング中の温度の最低
値、最高値を測定した。この温度はチョップパルスの断
続による変動を含んでいる。
【0199】2.耐エネルギー性 (1)耐エネルギー性は一般に定義されている概念では
ないが、ここでは、後述するように、ステップストレス
テストにおける印加条件のマージンという意味に定義す
る。
【0200】(2)ステップストレステストは、サーマ
ルヘッドの印加条件の厳しさに対する耐性を調べるため
の一般に知られた方法で、サーマルヘッドの発熱素子
を、一定の周期で、はじめは緩やかな印加条件で、次に
段階的に印加条件を厳しくして、それぞれ一定の回数を
駆動していき、発熱素子が完全に劣化するまでつづける
ものである。そして、最初と各段階の印加終了時の発熱
素子の抵抗値を測定する。印加条件を段階的に厳しくし
ていく方法は、通常、はじめの緩やかな印加条件におけ
るパワーと印加時間に対し、パワーまたは印加時間のど
ちらか一方を段階的に大きくまたは長くしていく。発熱
素子の抵抗値は印加条件の緩いはじめのうちは変化しな
いが、印加条件が段階的に厳しくなっていくと、発熱素
子の経験する温度は高くなり、発熱素子は前述した酸化
モードによって最終的にその抵抗値が大きくなってい
く。スパッタリング法により形成される薄膜サーマルヘ
ッドにおける発熱素子は、ステップストレステストのあ
る段階では、むしろ抵抗値は減少することがある。これ
は酸化による抵抗値増加よりもアニール効果によるひず
みの減少によるものと考えられている。あらかじめある
程度の強さのパルスを印加して履歴を与えた場合は、ア
ニーリングが十分になされ、抵抗値の減少はほとんどな
く、ステップストレステストによって抵抗値はある段階
から増加する。
【0201】(3)ステップストレステストにおいて、
抵抗値の減少があるものは、抵抗値が最小値を与える印
加条件を、抵抗値の減少がないものは、抵抗値が実質的
な上昇を始める印加条件を、ともに上限印加条件とよぶ
ことにする。上限印加条件より厳しい印加条件を与える
と、発熱素子は酸化モードによって劣化していき、抵抗
値が増加して発熱能力が低下する。
【0202】(4)以下の実施例および比較例における
本加熱の立上り時間または矩形パルスの印加時間を、そ
れぞれの印加条件の前後で段階的に長くしていったとき
のステップストレステストを実施した。この発明の実施
例1の条件に対応するステップストレステストの結果を
図23に示す。そして、それぞれの印加条件が、対応す
る上限印加条件に対してどの程度余裕があるかを調べ
た。それぞれの印加条件における本加熱の立上り時間ま
たは矩形パルスの印加時間を 100%とし、対応する上限
印加条件における本加熱の立上り時間または矩形パルス
の印加時間をM%としたとき、(M− 100)%をその印
加条件における耐エネルギー性と定義する。
【0203】(5)耐エネルギー性は、上述のように、
ステップストレステストにおける印加条件のマージンを
示すが、これは同時に、印加条件にしたがって連続で駆
動したときの、発熱素子の耐久性の指標となることが知
られている。耐エネルギー性が大きいほど耐久性に優
れ、劣化し難いといえる。
【0204】(6)耐エネルギー性は、ステップストレ
ステストの条件(パワーと時間のどちらを変化させる
か、周期、毎回のパルス数、記録媒体の熱容量、その
他)によって値が異なるから、一元的な評価は難しい
が、筆者らは経験的に33%以上が現実的に必要で、60%
以上であれば望ましく、 100%以上であれば特に望まし
いと考え、逆に、33%に満たない場合は問題が大きいと
考えている。
【0205】3.平均穿孔サイズ(主走査方向、副走査
方向)および穿孔面積のSN比 (1)ベタのパターンを製版し、製版物上の熱履歴状態
が同じような状態の領域(製版開始ラインから副走査方
向の下流に 5mm以上、15mm以内)における、光学顕微鏡
を通して CCDカメラで取り込んだ画像から、三谷商事
(株)製画像解析パッケージMacSCOPEを使用し、穿孔 1
00個を2値化によって切り出し、形状を解析した。
【0206】(2)平均穿孔サイズとしては、主走査方
向は主走査軸に対する、副走査方向は副走査軸に対す
る、個々の穿孔(貫通部分)の正射影の長さを測定し、
平均をとった。
【0207】(3)穿孔面積のSN比としては、個々の穿
孔(貫通部分)の面積を測定し、それによる望目特性の
SN比を求めた。この値が大きいほど、穿孔面積のばらつ
きが少ない。SN比もステップストレステストの結果と同
様に、測定条件によって値が異なるので一元的には評価
しにくいが、筆者らは経験的に、穿孔面積のSN比は現実
的には10db以上が必要で、13db以上であれば望ましく、
16db以上であれば特に望ましいと考え、逆に、10dbに満
たない場合は問題が大きいと考えている。
【0208】実施例および比較例を表2に整理して示
す。なお、以下および表2における「本加熱の総時間」
とは、本加熱の開始から終了までの時間で、チョップパ
ルスにおけるオフ時間を含んでいる。
【0209】
【表2】
【0210】<比較例1>以下に示す実施例1と比較を
するために、主走査解像度=副走査解像度=400dpi、発
熱素子サイズ=主走査方向長さ30μm×副走査方向長さ4
0μm、周期=2.5ms、 平均印加パワー= 120mWで 400μ
sの矩形波を印加し、厚さ1.7μm のポリエチレンテレフ
タレートフィルム(PETフィルム)と多孔性支持体を
貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。この製版条件は
解像度400dpiの製品として標準的なものである。素子温
度のピークは 370℃であった。
【0211】この比較例1の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は75%と優れており、穿孔面積のSN比は12.8
dbと標準的であった。
【0212】<実施例1>主走査解像度=副走査解像度
=400dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ30μm×副
走査方向長さ40μm、周期=1.5ms、 平均印加パワー=
240mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパルスを印
加し、厚さ1.7μm のPETフィルムと多孔性支持体を
貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング中
の素子温度の範囲は330〜350℃でほぼ一定温度を維持し
ており、しかもこの温度は比較例1におけるピーク温度
370℃よりも低かった。本加熱の総時間は 208μsであ
り、比較例1に対して約半分であった。
【0213】この実施例1の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は90.9%と優れており、穿孔面積のSN比は1
2.5dbで標準的であった。
【0214】なお、実施例1の条件とはチョップパルス
のパターンが若干異なるがほぼ似た発熱状態を示す設定
での実験における、パワー,素子温度,主走査方向の穿
孔サイズの測定結果を図24に示す。図30(矩形波を
印加した場合)と比較して判るように、主走査方向の穿
孔サイズの成長が、図30では約 800μsかかるのに対
し、図24ではその半分の約 400μsでほぼ完了するこ
とが判る。しかも素子温度は 400℃まで十分な余裕があ
る。
【0215】<比較例2>以下に示す実施例2および3
と比較をするために、主走査解像度=副走査解像度=60
0dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ20μm×副走査
方向長さ25μm、周期= 2.5ms、平均印加パワー=80mW
で 360μsの矩形波を印加し、厚さ 1.7μmのPETフィ
ルムと多孔性支持体を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版
した。この製版条件は解像度600dpiの製品として標準的
なものである。素子温度のピークは 362℃であった。
【0216】この比較例2の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は56.3%、穿孔面積のSN比は11.5dbであり、
ともに標準的なものであった。
【0217】<実施例2>主走査解像度=副走査解像度
=600dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ20μm×副
走査方向長さ25μm、周期= 1.5ms、平均印加パワー=
160mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパルスを印
加し、厚さ 1.7μmのPETフィルムと多孔性支持体を
貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング中
の素子温度の範囲は324〜354℃でほぼ一定温度を維持し
ており、しかもこの温度は比較例2におけるピーク温度
362℃よりも低かった。本加熱の総時間は 180μsと、
比較例2における印加時間 360μsの丁度半分にするこ
とができた。
【0218】この実施例2の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は52.6%、穿孔面積のSN比は12dbであり、と
もに標準的なものであった。
【0219】<実施例3>主走査解像度=副走査解像度
=600dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ20μm×副
走査方向長さ25μm、周期= 1.5ms、平均印加パワー=
160mWで予熱と本加熱のそれぞれ連続パルス+チョップ
パルスを印加し、厚さ 1.7μmのPETフィルムと多孔
性支持体を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。予熱
におけるチョッピング中の素子温度の範囲は204〜232℃
でほぼ一定温度を維持し、本加熱におけるチョッピング
中の素子温度の範囲も330〜366℃でほぼ一定温度を維持
している。本加熱の総時間は 143μsと、比較例2にお
ける印加時間 360μsより大幅に短くすることができ、
予熱による効果が十分に得られた。
【0220】この実施例3の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は46.2%、穿孔面積のSN比は12.9dbであり、
ともに標準的なものであった。
【0221】<比較例3>上記実施例2および3と比較
をするために、主走査解像度=副走査解像度=600dpi、
発熱素子サイズ=主走査方向長さ20μm×副走査方向長
さ25μm、周期= 1.5ms、平均印加パワー= 160mWで 16
0μsの矩形波を印加し、厚さ 1.7μmのPETフィルム
と多孔性支持体を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版し
た。この製版条件は従来の矩形パルスで周期= 1.5msを
実現するために厳しい条件となっており、素子温度のピ
ークは 462℃であった。この製版条件で製版を続けたと
ころ、製版開始ラインから副走査方向の下流に10〜20mm
の位置で発熱素子の劣化によって穿孔が不能になり、以
後穿孔されなかった。
【0222】この比較例3の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は0%以下、穿孔面積のSN比は8.7dbであり、
ともに著しく劣っていた。
【0223】<実施例4>主走査解像度=300dpi、副走
査解像度=400dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ45
μm×副走査方向長さ45μm、周期=2ms、平均印加パワ
ー= 300mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパルス
を印加し、厚さ2μmのPETフィルムと多孔性支持体
を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング
中の素子温度の範囲は333〜361℃でほぼ一定温度を維持
させた。
【0224】この実施例4の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は 121%と非常に優れており、穿孔面積のSN
比は13.3dbと優れていた。
【0225】<実施例5>主走査解像度=副走査解像度
=400dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ30μm×副
走査方向長さ40μm、周期= 2.5ms、平均印加パワー=
240mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパルスを印
加し、厚さ 3.5μmのPETフィルムと多孔性支持体を
貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング中
の素子温度の範囲は345〜380℃でほぼ一定温度を維持さ
せた。
【0226】この実施例5の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は 156.5%、穿孔面積のSN比は15.3dbであ
り、ともに非常に優れたものであった。
【0227】<比較例4>上記実施例5と比較をするた
めに、主走査解像度=副走査解像度=400dpi、発熱素子
サイズ=主走査方向長さ30um×副走査方向長さ40μm、
周期=4ms、平均印加パワー= 120mWで 800μsの矩形
波を印加し、厚さ 3.5μmのPETフィルムと多孔性支
持体を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。この製版
条件は従来の矩形パルスで厚さ 3.5μmのフィルムを製
版するために厳しい条件となっており、素子温度のピー
クは 480℃であった。
【0228】この比較例4の条件で製版を行うと、耐エ
ネルギー性は0%以下、穿孔面積のSN比は 9.9dbであ
り、ともに著しく劣っていた。
【0229】<実施例6>主走査解像度=副走査解像度
=600dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ20μm×副
走査方向長さ25μm、周期= 2.5ms、平均印加パワー=
120mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパルスを印
加し、厚さ 1.7μmのPETフィルムと多孔性支持体を
貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング中
の素子温度の範囲は280〜344℃で、初期穿孔温度を高く
し( 344℃)、その後徐々に低下させた(280〜300
℃)。
【0230】この実施例6の条件で製版を行うと、製版
の穿孔のバラツキが標準のものより改善されて、穿孔サ
イズのSN比は16.5dbとなっており、例えば比較例2の1
1.5dbと比較すると大きく向上していた。また、耐エネ
ルギー性は 142.9%と、非常に優れていた。
【0231】<比較例5>実施例1に対して、平均印加
パワーが過大な場合の比較として、主走査解像度=副走
査解像度=400dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ30
μm×副走査方向長さ40μm、周期=1.5ms、平均印加パ
ワー=330mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパル
スを印加し、厚さ1.7μmのPETフィルムと多孔性支持体
を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピング
中の素子温度の範囲は344〜385℃で、ほぼ一定温度を維
持させた。この製版条件の平均印加パワーは実施例1に
対して約 1.4倍、比較例1に対しては約 2.8倍となって
おり、素子温度は56μsの連続パルス時間の間に室温か
ら 385℃程度まで上昇し、昇温速度は非常に大きい。パ
ルス印加中の昇温速度は一様ではないし、パルス印加前
の素子温度(≒室温=25℃)が明確ではないが、およそ
の平均昇温速度は、( 385−25)/56≒ 6.4(℃/μ
s)である。これに対して、実施例1および比較例1の
それは、それぞれ3.7、 0.9(℃/μs)である。
【0232】この比較例5の条件で製版をおこなうと、
穿孔面積のSN比は11.3dbで標準的だが、耐エネルギー性
は22.2%で標準よりも劣っていた。
【0233】<比較例6>実施例2に対して、平均印加
パワーが過大な場合の比較として、主走査解像度=副走
査解像度=600dpi、発熱素子サイズ=主走査方向長さ20
μm×副走査方向長さ25μm、周期= 1.5ms、平均印加パ
ワー= 240mWで本加熱のみの連続パルス+チョップパル
スを印加し、厚さ 1.7μmのPETフィルムと多孔性支
持体を貼りあわせた感熱孔版原紙を製版した。チョッピ
ング中の素子温度の範囲は371〜409℃で、ほぼ一定温度
を維持させた。この製版条件の平均印加パワーは実施例
2に対して 1.5倍、比較例2に対しては3倍となってお
り、素子温度は44μsの連続パルス時間の間に室温から
409℃程度まで上昇し、昇温速度は非常に大きい。パル
ス印加中の昇温速度は一様ではないし、パルス印加前の
素子温度(≒室温=25℃)が明確ではないが、およその
平均昇温速度は、( 409−25)/44≒8.7(℃/μs)で
ある。これに対して、実施例2および比較例2のそれは、
それぞれ 4.3、 0.9(℃/μs)である。
【0234】この比較例6の条件で製版をおこなうと、
穿孔面積のSN比は10.7dbで標準的だが、耐エネルギー性
は 9.1%で標準よりもかなり劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による感熱孔版の製版装置の概略構成図
【図2】上記製版装置の製版作用を説明するための電気
的な回路ブロック図
【図3】上記製版装置におけるラインスタート信号/LST
とサーマルヘッド駆動回路から出力される各信号のタイ
ミングチャート
【図4】上記製版装置のサーマルヘッド駆動回路の詳細
を示すブロック図
【図5】上記サーマルヘッド駆動回路のストローブ作成
回路の詳細を示すブロック図
【図6】上記ストローブ作成回路が使用するストローブ
パラメータの例を示す図
【図7】ストローブ信号にチョップパルスを使用した場
合のストローブ作成回路の動作と発熱素子の温度変化を
示すタイミングチャート
【図8】メインチョップパルスのデューティと回数を変
化させて素子温度を暫時上昇させた場合を示す図
(A)、暫時下降させた場合を示す図(B)、デューテ
ィと回数の組み合わせにより任意に温度を変化させた場
合を示す図(C)
【図9】上記製版装置のストローブ作成回路の作用を説
明するフローチャート
【図10】チョップパルスの印加中の素子温度を、初期
穿孔温度から徐々に下げた場合を示す図(A)、初期穿
孔温度から徐々に上げた場合を示す図(B)
【図11】ストローブ信号に予熱用のチョップパルスを
使用した場合のストローブ作成回路の動作と、発熱素子
の温度変化を示すタイミングチャート
【図12】上記ストローブ作成回路における予熱制御の
動作を説明をするフローチャート
【図13】予熱制御による素子温度,フィルム温度,フ
ィルムの収縮範囲および穿孔サイズと時間との関係を示
す図(A)、比較例(B)
【図14】履歴データ制御を行う製版装置を構成するサ
ーマルヘッド駆動回路のブロック図
【図15】上記サーマルヘッド駆動回路の履歴データ作
成回路が参照する画像データを示す図
【図16】上記サーマルヘッド駆動回路のストローブ作
成回路の動作と発熱素子の温度変化を示すタイミングチ
ャート
【図17】上記ストローブ作成回路における履歴データ
制御の動作を説明をするフローチャート
【図18】ヒストグラム制御を行う製版装置を構成する
サーマルヘッド駆動回路のブロック図
【図19】上記サーマルヘッド駆動回路のヒストグラム
作成回路が使用するヒストグラムブロックの構成を示す
【図20】上記サーマルヘッド駆動回路のストローブ作
成回路の詳細を示すブロック図
【図21】上記ストローブ作成回路の動作と発熱素子の
温度変化を示すタイミングチャート
【図22】上記ストローブ作成回路におけるヒストグラ
ム制御の動作を説明をするフローチャート
【図23】実施例1の条件に対応するステップストレス
テストの結果を示す図
【図24】実施例1のチョップパルスのパターンとほぼ
似た発熱状態を示す設定における、パワー,素子温度,
主走査方向の穿孔サイズの測定結果を示す図
【図25】従来の感熱孔版の製版装置の一例を示す概略
構成図
【図26】従来の感熱孔版の製版装置における印加パワ
ーを示す図(A)および素子温度を示す図(B)
【図27】発熱素子の表面温度分布を示す図
【図28】発熱素子への印加エネルギの印加方法によ
る、素子温度と時間の関係を示す図
【図29】パワーを変えたときの素子温度と時間との関
係を示す図
【図30】パワーと素子温度と時間との関係を示す図
【図31】フィルムに形成された穿孔の拡大図
【図32】フィルムの温度分布を示す図
【図33】発熱素子の表面温度分布の断面A−A’とフ
ィルムの温度分布の断面A−A’を同一図面上に表した
【図34】穿孔の過程における、素子温度,フィルム温
度,収縮範囲,および主走査方向の穿孔サイズと、時間
との関係を示した図
【図35】フィルム温度と熱収縮率との関係を示す図
【図36】素子温度,フィルム温度,収縮範囲および穿
孔サイズと時間との関係を示す図であって、低感度フィ
ルムに従来の製版方法による高感度フィルム用の印加条
件を適用した場合の図(A)、同じパワーで印加時間を
長くした場合の図(B)、本発明による場合の図(C)
【図37】素子温度,フィルム温度,収縮範囲および穿
孔サイズと時間との関係を示す図であって、従来の製版
方法における図(A)、従来の製版方法に対して同じ穿
孔形状を短時間で得るようにパワーを大きくして印加時
間を短くした場合の図(B)、本発明による場合の図
(C)
【符号の説明】
1 感熱孔版原紙 1a フィルム 2 従動ローラ 3 プラテンローラ 4 サーマルヘッド 5 発熱素子 6,41,43 サーマルヘッド駆動回路(電圧印加手
段) 7,8,40,42 製版装置 10 スキャナ 12 二値化回路 14 タイミングジェネレータ 21 ラインバッファ 22 履歴データ作成回路 23 印字データ作成回路 24 ヒストグラム作成回路 25 A/D変換器 26,44 ストローブ作成回路 27 サーマルヘッドタイミングジェネレータ 31 温度データレジスタ 32 パラメータテーブル 33 RAM 34 比較器 35 セレクタ 36 ストローブ選択回路 37 チョップ有効区間作成回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 幸夫 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 野村 邦雄 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 高田 淳 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 滝沢 真一 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 岡田 富行 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 大池 光 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 Fターム(参考) 2C066 AA01 AC01 BD01 BF01 CB02 2H084 AA13 AE05 AE06 BB04 CC09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発熱素子から構成されたサーマル
    ヘッドと、前記複数の発熱素子の夫々に電圧を印加する
    電圧印加手段とを備えた感熱孔版の製版装置において、 前記電圧印加手段が、被穿孔画素に対応する前記発熱素
    子に対し、該発熱素子の温度が、穿孔に適した温度領域
    内に任意に定めた温度に達するまで連続的に電圧を印加
    し、その後、穿孔に適した時間に亘って前記領域内を維
    持するように断続的に電圧を印加するものであることを
    特徴とする感熱孔版の製版装置。
  2. 【請求項2】 前記電圧印加手段が、前記断続的な電圧
    の印加を、該電圧の印加中における前記発熱素子の中心
    の表面温度から該断続的な電圧の印加による周期的変動
    分を除いたものが、前記感熱孔版に使用されるフィルム
    の融点以上該発熱素子に対して定めた設定上限温度以下
    にあるように行うものであることを特徴とする請求項1
    項記載の製版装置。
  3. 【請求項3】 前記設定上限温度を 400℃とすることを
    特徴とする請求項2記載の製版装置。
  4. 【請求項4】 前記電圧印加手段が、前記連続的な電圧
    の印加を、室温の状態にある前記発熱素子の中心の表面
    温度が前記電圧の印加開始から25μs以上の時間で 200
    ℃に達する速度条件、および50μs以上の時間で 300℃
    に達する速度条件の少なくともいずれか一方を満足する
    ように行うものであることを特徴とする、請求項1から
    3いずれか1項記載の製版装置。
  5. 【請求項5】 前記電圧印加手段が、前記連続的な電圧
    の印加を、室温の状態にある前記発熱素子の中心の表面
    温度が前記電圧の印加開始から 150μs以下の時間で 20
    0℃に達する速度条件、および 300μs以下の時間で 300
    ℃に達する速度条件の少なくともいずれか一方を満足す
    るように行うものであることを特徴とする請求項1から
    4いずれか1項記載の製版装置。
  6. 【請求項6】 前記電圧印加手段が、式 【数1】 を満足する印加電圧を印加するものであることを特徴と
    する請求項1から5いずれか1項記載の製版装置。(た
    だし、vは印加電圧(V)、rは発熱素子の平均抵抗値
    (Ω)、Pxは主走査のピッチ(μm)、Pyは副走査のピッ
    チ(μm)、lxは発熱素子の主走査方向長さ(μm)、lyは発
    熱素子の副走査方向長さ(μm)である。)
  7. 【請求項7】 少なくとも被穿孔画素に対応する前記発
    熱素子の温度が、予熱に適した温度領域内に任意に定め
    た温度に達するまで連続的に電圧を印加し、その後、予
    熱に適した時間に亘って前記領域内を維持するように断
    続的に電圧を印加する予熱手段をさらに備えたものであ
    ることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の
    製版装置。
  8. 【請求項8】 前記予熱手段が、前記予熱中の前記発熱
    素子の中心の表面温度から前記予熱中の断続的な電圧の
    印加による周期的変動分を除いたものが、前記フィルム
    の融点±50℃の範囲内にあるように電圧を印加するもの
    であることを特徴とする請求項7記載の製版装置。
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Cited By (1)

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