JP2000141557A - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

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JP2000141557A
JP2000141557A JP10317258A JP31725898A JP2000141557A JP 2000141557 A JP2000141557 A JP 2000141557A JP 10317258 A JP10317258 A JP 10317258A JP 31725898 A JP31725898 A JP 31725898A JP 2000141557 A JP2000141557 A JP 2000141557A
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vinyl chloride
chloride resin
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resin film
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JP10317258A
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Katsuhiro Fujiwara
克宏 藤原
Takashi Takazawa
孝 高澤
Kazuyoshi Murakami
主義 村上
Noboru Ichiyanagi
登 一柳
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Mitsubishi Chemical MKV Co
Original Assignee
Mitsubishi Chemical MKV Co
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低温時の物性を向上し、屋外暴露の物性低下
の著しく少ない農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供
する。 【解決手段】 平均重合度1000以上2500以下の
塩化ビニル系樹脂100重量部〔A〕に対して、可塑剤
〔B〕30〜60重量部、塩素含有量30〜50重量
%、メルトインデックス0.5〜150g/10分、結
晶化度0.01〜60%塩素化ポリエチレン〔C〕0.
5〜15重量部、平均粒子径が100〜300μm、部
分分離効率において25%分離粒子径(D25)と75
%分離粒子径(D75)との比(D75/D25)が
1.05〜2.5、アルキルメタクリレートを主成分と
する重合体であるアクリル系弾性体粒子〔D〕0.5〜
15重量部を混合してなる農業用塩化ビニル系樹脂フィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムに関する。更に詳しくは、加工性良好で
あり、展張後の外力(かぜ、雪、雹、アラレ等)による
破れ等の好ましくない現象に対して、低温下における強
度・耐衝撃・伸びに優れ、屋外暴露後の物性低下の著し
く少ない、さらには、屋外展張後の防塵性の低下の少な
い農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】近年、有用植物を栽培している農家では、
収益性向上を目的として、有用植物をハウス(温室)、
またはトンネル内で促進栽培や抑制栽培する方法が、広
く採用される様になった。このハウス(温室)またはト
ンネルの被覆資材としては、ポリエチレンフィルム、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフ
ィルムポリカーボネートフィルム、硬質および軟質塩化
ビニル系樹脂フィルム、ガラス等が使用されている。な
かでも軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、他の合成樹脂
フィルムに対して、光線透過率、保温性、機械的強度、
耐久性、作業性を総合して最も優れているので、広く使
用されている。
【0003】しかしながら、軟質塩化ビニル系樹脂フィ
ルムは、樹脂軟化剤として、可塑剤が配合されており、
この可塑剤は、感温性が大きく、特に寒冷地区での展張
使用される際の伸びが悪く破れ易い。また、展張後も
風、雪、雹、アラレ等の外力がフィルムに加わった際に
破れ易いという問題点があった。このため、寒冷地区に
おける伸び、耐衝撃性等の物性を改善する方法として、
下記のような農業用の塩化ビニル系樹脂フィルム中の可
塑剤の量を増加、あるいは、耐寒性可塑剤の配合等、可
塑剤配合に関する方法が提案されている。
【0004】塩化ビニル系樹脂フィルム中の可塑剤量を
増加させる方法は、低温強度に対して、向上効果がある
ことが知られているが、この方法では、夏場等の高温時
にフィルムが、べたついたり、たるむことが知られてい
る。そこで、可塑剤の量をあまり増量することなく、低
温時の物性を向上させるために耐寒性の可塑剤を配合す
る方法が提案されている(特開昭58−49742号公
報等)。しかしながら、この方法では、一般に塩化ビニ
ル系樹脂との相溶性が悪く、ブリードしたり耐熱性に劣
る欠点がある。又、耐候性が劣る(褐変等)欠点があ
る。
【0005】又、衝撃改良剤として、メチルメタクリレ
ート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)
(特開平6−322209)、アクリロニトリルーブタ
ジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)スチレンーブ
タジエンゴム(SBR)等が提案されているが、これら
衝撃改良剤は、耐衝撃強度は向上するものの、低温時の
耐衝撃強度以外の機械物性は向上しない。又、これら衝
撃改良剤は、その分子中に含まれる2重結合が、光・紫
外線 または熱に対して活性であるために、それらを配
合してなる樹脂から得られる塩化ビニル系樹脂フィルム
は、耐候性(褐変)が劣る欠点があり、これに対し、紫
外線吸収剤・酸化防止剤・光安定剤等を添加することが
提案されているが、満足する十分な諸物性が得られてい
ない。一方、農業用に使用される塩化ビニル系樹脂フィ
ルムは、展張使用される地域、場所等によって、ハウス
またはトンネルの外側の防塵性が低下する欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況にあって、低温時の物性(伸び、強度、耐衝撃性)
を向上し、さらには、屋外暴露(経時後)の物性低下の
著しく少ない農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供す
ることを目的とした。又、フィルム成形時の加工性に優
れ、寒冷地区での展張の際にも破れず、屋外での展張後
の風、雪、雹、アラレ等の 外力によって引き起こされ
る破れも生じない。又、夏場等の高温時におけるべたつ
き・たるみ(弾性率向上)を生じない、更には、経時後
においても、防塵性の低下の少ない農業用塩化ビニル系
樹脂フィルムを提供することを目的として、鋭意検討し
た結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
【発明が解決しようとする手段】しかして、本発明の要
旨とするところは、平均重合度1000以上2500以
下の塩化ビニル系樹脂100重量部〔A〕に対して、可
塑剤〔B〕30〜60重量部、塩素含有量30〜50重
量%、メルトインデックス0.5〜150g/10分、
結晶化度0.01〜60%塩素化ポリエチレン〔C〕
0.5〜15重量部、平均粒子径が100〜300μ
m、部分分離効率において25%分離粒子径(D25)
と75%分離粒子径(D75)との比(D75/D2
5)が1.05〜2.5、アルキルメタクリレートを主
成分とする重合体であるアクリル系弾性体粒子〔D〕
0.5〜15重量部を混合してなり、〔C〕+〔D〕が
1.0〜20重量部である塩化ビニル系樹脂フィルムの
両面又は片面にメチルメタクリレート40〜70重量
%、ヒドロキシアルキル(メタクリレート)化合物5〜
30重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキ
シル基を含むα、β不飽和カルボン酸0〜20重量%、
及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体とを共重
合して得られるアクリル系樹脂〔E〕の被膜が形成され
てなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに存ずる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。 1.塩化ビニル系樹脂〔A〕 本発明において塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル
のほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体をいう。
塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化
ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリ
ル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、酢酸ビニル等があげられる。これら塩化ビニル系樹
脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合
法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって
製造されたものであってもよい。又、本発明において
は、平均重合度1000以上2500以下のものを用い
るが、異なる平均重合度のものを2種混合してもよい。
この混合方法としては、フィルム製膜加工時に2種類の
樹脂を混合する方法が一般的であるが、塩化ビニル樹脂
の重合時に重合条件コントロールによって、見掛け上2種類の
平均重合度の異なる樹脂が混合されたことになる方法で
あってもよい。
【0009】2.可塑剤〔B〕 上記基体となる塩化ビニル系樹脂フィルムには、柔軟性
を付与するために、この樹脂100重量部に対して、3
0〜60重量部、好ましくは、40〜55重量部の可塑
剤が配合される。30重量部未満では、低温時での柔軟
性に乏しいため、充分な低温物性が得られない。また、
60重量部を越えると、常温下での取り扱い性(べたつ
き性等)が悪化したり、製膜加工時の作業性が低下する
ので好ましくない。
【0010】使用しうる可塑剤としては、例えば、ジー
n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレー
ト等のフタル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソ
フタル酸誘導体;ジーn−ブチルアジペート、ジオクチ
ルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマ
レート等のマレイン酸誘導体;トリーnーブチルシトレ
ート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等の
イタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘
導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘
導体;その他、エポキシ化大油、エポキシ樹脂系可塑剤
等があげられる。また、樹脂フィルムに柔軟性を付与す
るために、上述の可塑剤に限られるものでなく、例えば
熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル等を使用す
ることもできる。
【0011】3.塩素化ポチエチレン〔C〕 本発明の塩素化ポリエチレンとは、原料となるポリエチ
レンは、エチレンの単独重合、もしくは、エチレンと3
0重量%以下(好ましくは、20重量%以下)の炭素数
が12個以下(好ましくは、3〜9個)のα−オレフィ
ンを共重合することによって得られるものが好ましい。
α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブ
テン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙
げられる。原料となるポリオレフィンとしては、特にエ
チレンを単独重合したものが好ましい。本発明に使用さ
れる塩素化ポリエチレンは、ポリエチレンの粉末または
粒子を水性懸濁液中で塩素化するか、あるいは有機溶剤
中に溶解したポリエチレンを塩素化する方法が採用され
る。
【0012】上記塩素化ポリエチレンの塩化ビニル系樹
脂への配合量は、0.5〜15重量部でなければならな
い。0.5より少ないと初期物性および耐候後物性が向
上されることなく、15重量部より多い範囲では、フィ
ルムが白濁し、好ましくない。上記範囲内でも特に1.
0〜7重量部が好適である。この塩素化ポリエチレンの
塩素含有量は、30〜50重量%の範囲でなければなら
ない。30重量%より少ないと塩化ビニル系樹脂との相
溶性に劣り、フィルムが白濁し好ましくなく、50重量
%より多い範囲では、低温での物性が向上することがな
いために好ましくない。上記範囲内でも特に35〜45
重量%が好適である。
【0013】塩素化ポリエチレンのメルトインデックス
は、0.5〜150g/10分の範囲でなければならない。
0.5g/10分より小さいと塩化ビニル系樹脂との相溶性
が劣りフィルムが白濁し、150g/10分より大きい範囲
では、物性が添加量に比例して向上することがなく、好
ましくない。上記範囲内でも特に1.0〜130g/10分
が好適である。塩素化ポリエチレンの結晶化度は、0.
01〜60%でなければならない。高すぎる範囲では、
塩化ビニル系樹脂との相溶性が悪く、フィルム表面にブ
リードするために好ましくない。上記範囲内でも特に
0.1〜30%、更には1〜20%が好適である。
【0014】4.アクリル系弾性体粒子〔D〕 本発明のアクリル系弾性体とは、アルキルメタクリレー
トモノマーを主成分とし、アルキルメタクリレートモノ
マーと共重合可能な他のビニルモノマーとを逐次多段重
合法にて得られるものであり、これら共重合体が多層構
造重合体をなしているものである。多層構造重合体とし
ては、3段重合物(3層構造)もしくは4段重合物(4
層構造)が好ましい。
【0015】アルキルメタクリレートモノマーとして
は、炭素数8以下のアルキル基を有するアルキルメタク
リレートモノマーが好ましい。具体的、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、i−ブチルメタクリレート、シクロヘキシ
ルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート
などを挙げることができる。
【0016】アルキルメタクリレートと共重合可能な他
の単量体としては、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、i−ブチルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デ
シルアクリレート等のようなアクリル酸のC1〜C16
のアルキルエステル類:エチルメタクリレート、n−プ
ロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、デシルメタクリレート等のようなメ
タクリル酸のC1〜C16のアルキルエステル類:スチ
レン、アクリルニトリル、メタクリロニトリルなどを挙
げることができる。これらメチルメタクリレートと共重
合可能なビニルモノマー単量体は、1種類もしくは数種
類を組み合わせて共重合させても良い。
【0017】上記アクリル系弾性体粒子の塩化ビニル系
樹脂への配合量は、0.5〜15重量部でなければなら
ない。0.5重量部よりも少ないと十分な衝撃強度が得
られず、多すぎる範囲では、機械物性がかえって低下す
るために好ましくない。上記範囲内でも1.0〜8重量
部が特に好適である。さらに上記アクリル系弾性体粒子
の平均粒子径は、100〜300μmの範囲が必要であ
る。100μmよりも小さいと十分な物性強度が得られ
ず、300μmよりも大きい範囲では、光の乱反射のた
めに十分な透明性が得られず好ましくない。上記範囲内
でも特に150〜250μmの範囲が好適である。
【0018】又、上記アクリル系弾性体粒子の部分分離
効率において、75%分離粒子径(D75)と25%分
離粒子径(D25)との比(D75/D25)は、1.
05〜2.5でなければならない。2.5よりも大きい
範囲では、十分な衝撃強度・透明性が得られないために
好ましくない。上記範囲内でも特に好ましい範囲は、
1.1〜2.3が特に好適である。
【0019】アクリル系弾性体粒子は、上記単量体の2
種以上を所定量組み合わせて重合缶に仕込み、重合開始
剤、乳化剤、必要に応じてグラフト交叉剤を加えて、通
常の乳化重合によって逐次多段重合法によって得られ
る。この逐次多段重合法は、水性分散液又はエマルジョ
ン中に連続的に添加される単量体が先に添加した単量体
によって形成されるエマルジョン粒子上に逐次シート重
合されるような条件下で行う。各層の重合はそれぞれ前
段階の重合が完了したのちにつづけて滴下重合した後、
通常の塩析方法により凝固し、乾燥され得られる。重合
開始剤は、通常乳化重合の際に使用されるものであれば
よく、水溶性の過硫酸塩およびレドックス系開始剤が挙
げられる。乳化剤としては、アニオン性界面活性剤が好
ましいが、通常、乳化重合の際使用されるものであれば
よい。
【0020】塩素化ポリエチレン〔C〕とアクリル系弾
性体粒子〔D〕との重量部の和は、1.0〜20重量部
の範囲でなければならない。1.0重量部より少ないと
十分な衝撃強度が得られず、好ましくない。また、20
重量部より多い範囲では、機械物性、特に引き裂き強度
が低下するために好ましくない。上記範囲内でも特に好
ましい範囲は、1.5〜15重量部が特に好適である。
【0021】5.アクリル系共重合体 本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムには、加工性
の観点から、アクリル系共重合体を配合することが好ま
しい。アクリル系共重合体としては、メチルメタクリレ
ートモノマーを主単量体とし、メチルメタクリレートモ
ノマーと共重合可能なビニルモノマー単量体とを共重合
して得られるものが好ましい。
【0022】共重合される割合は、(A)メチルメタク
リレート60〜100重量%(B)メチルメタクリレー
トモノマーと共重合可能なビニルモノマー単量体0〜4
0重量部であることが好ましい。メチルメタクリレート
モノマーが60重量%より少ない範囲では、アクリル系
共重合体と塩化ビニル系樹脂との相溶性が悪くフィルム
外観が劣るために好ましくない。
【0023】メチルメタクリレートと共重合可能なビニ
ルモノマー単量体としては、エチルアクリレート、n−
プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n
−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、デシルアクリレート等のようなアクリル酸のC1
〜C16のアルキルエステル類:エチルメタクリレー
ト、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタク
リレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート等の
ようなメタクリル酸のC1〜C16のアルキルエステル
類:スチレン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル
などを挙げることができる。これらメチルメタクリレー
トと共重合可能なビニルモノマー単量体は、1種類もし
くは数種類を組み合わせて共重合させても良い。
【0024】上記アクリル系共重合体の塩化ビニル系樹
脂への配合量は、0.1〜10重量部の範囲が好まし
い。0.1重量部より少ないと加工性が改良されず、1
0重量部より多い範囲では、加工性・物性共に比例して
向上することないために好ましくない。上記範囲内でも
特に0.5〜5重量部が好適である。アクリル系共重合
体は、上記単量体の2種以上を所定量組み合わせて有機
溶剤ないし水とともに重合缶に仕込み、重合開始剤、必
要に応じて分子量調節剤を加えて攪拌しつつ加熱重合し
て得られる。重合は、公知の方法、例えば懸濁重合法、
溶液重合法、乳化重合法などが採用される。
【0025】6.β−ジケトン化合物 本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムには、加工の
際、熱に対する変色防止の点からβ−ジケトン化合物を
配合することが好ましい。β−ジケトン化合物として
は、農業用塩化ビニルフィルムに通常配合されるもので
あればよく、β−ジケトン、デヒドロ酢酸等が挙げられ
る。β−ジケトンとしては、次の一般式[I]で表され
る構造単位を一分子中に1個以上含有する化合物が適当
である。
【0026】
【化1】
【0027】([I]式においてR1、R2は炭素数1
〜4のアルキル基、又はフェニル基を示す。) 一般式[I]に含まれるものとしては、具体的にアセチ
ルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルプロピオ
ニルメタン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0028】β−ジケトン化合物の塩化ビニル系樹脂フ
ィルムへの配合量は、余り少ないと成形加工時の熱に対
して変色が生じるために好ましくなく、余り多くしても
フィルムの耐着色性は添加量に比例して向上することが
ない。好ましい配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量
部に対して、0.005〜0.10重量部の範囲であ
る。
【0029】7.光安定剤 本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムには、被膜の
形成性、屋外展張性の点から光安定剤を配合することが
好ましい。光安定剤としては、農業用塩化ビニルフィル
ムに通常配合されるものであればよく、ヒンダードアミ
ン系、金属錯塩系等があげられる。特にヒンダードアミ
ン系光安定剤が好ましい。具体的には、以下の様なもの
が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、
次の一般式[II]又は[III ]で表される構造単位を一
分子中に1個以上含有する化合物が適当である。
【0030】
【化2】
【0031】([II]式においてR1〜R4は炭素数1
〜4のアルキル基、R5は水素又は炭素数1〜4のアル
キル基を示す。)
【0032】
【化3】
【0033】([III ]式においてR1〜R4は炭素数
1〜4のアルキル基、R5は水素又は炭素数1〜4のア
ルキル基を示す。) 例えば一般式[IV]で表されるヒンダードアミン系化合
物が代表的なものである。
【0034】
【化4】
【0035】(式中、Rはリン又は、1〜4価のカルボ
ン酸から誘導されるモノ〜テトラアシル基、nは1〜4
の整数をそれぞれ示す。) 上記一般式[IV]に含まれるものとしては具体的には例
えば特公昭63−51458号公報に例示されている、
4−シクロヘキシノイルオキシ−2,6,6−テトラメ
チルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾ
イルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン等が挙げられる。
【0036】金属錯塩系光安定剤としては、金属が、ニ
ッケルとコバルトが好ましい。具体的には、以下の様な
ものが挙げられる。 ニッケル金属錯体:ニッケル〔2,2’チオビス(4−
ターシャリオクチル)フェノレート〕ノルマルブチルア
ミン、ニッケルジブチルジチオカーバメイト、ニッケル
ビス〔oエチル3,5(ジターシャリブチル4−ヒドロ
キシベンジル)〕ホスフェート、ニッケルビス(オクチ
ルフェニルサルファイド)等が挙げられる。コバルト金
属錯体:コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェー
ト、〔1−フェニル,3−メチル,4−デカノイル,ピ
ラゾレート(5)2〕ニッケル等が挙げられる。
【0037】光安定剤の塩化ビニル系樹脂フィルムへの
配合量は、余り少ないとフィルムの耐候性が十分に優れ
たものとならないので好ましくなく、余り多くしてもフ
ィルムの耐候性は添加量に比例して向上することがな
く、フィルム表面の噴き出しがおこる。好ましい配合量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.1〜
1.0重量部の範囲である。
【0038】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
には、被膜の形成性、屋外展張性の点から紫外線吸収
剤、光安定剤を併用することが好ましい。紫外線吸収剤
としては、農業用塩化ビニルフィルムに通常配合される
ものであればよく、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェ
ノン系、サリチル酸エステル系、ハイドロキノン系、シ
アノアクリレート系等各種の紫外線吸収剤があげられ
る。特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフ
ェノン系紫外線吸収剤が好ましい。具体的には、以下の
ようなものが挙げられる。
【0039】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−ヒド
ロキシー4ーメトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オク
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒド
ロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェ
ノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾ
フェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5
−ベンゾイルフェニル)メタン。
【0040】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル
フェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェ
ニル)−5,6−ジクロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エ
チルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾ
トリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシ
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリ
ルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)56−メチ
ルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−
カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステ
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−
ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸
ベンゾトリアゾール、ブチルエステル、2−(2’−ヒ
ドロキシ−4’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメ
チルフェニル)−5−エチルスルホベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−4’オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2
−(2’−アセトキシ−メチルフェニル)ベンゾトリア
ゾール。
【0041】上記紫外線吸収剤の基体フィルムへの配合
量は、基体の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
0.02〜8重量部の範囲が好ましい。0.02重量部
より少ない時は、農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの耐
候性が、十分に優れたものとならないので好ましくな
い。他方、8重量部より多い時は、フィルム使用時に他
の添加剤とともにフィルム表面に噴き出したりするとい
う問題がおこり、好ましくない。上記範囲のうち、0.
1〜3重量部の範囲が好ましい。
【0042】8.有機リン酸エステル又は有機リン酸金
属塩 本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムには、上記塩
化ビニル系樹脂に、有機リン酸エステル又は有機リン酸
金属塩を配合することが好ましい。有機リン酸エステル
としては、トリイソプロピルフェニルホスフェート、イ
ソデシルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピ
ルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、
トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフ
ェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリキシレ
ニルホスフェート等があるが中でもトリクレジルホスフ
ェート、及びトリキシレニルホスフェートが特に好まし
い。上記の有機リン酸エステルは、単独さらに複合物に
しても使用できる。例えば、有機リン酸エステルと有機
亜リン酸エステルの複合物が挙げられ、有機リン酸エス
テルには、ジフェニルホスフェートのようなホスホネー
ト系化合物も含まれる。有機リン酸金属塩としては、一
般式〔V〕又は〔VI〕
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】(式中、Mは、亜鉛、カルシウム、バリウ
ム、マグネシウム、コバルト又は、ストロンチウムを意
味する。また、R1、R2およびR3は各々、アルキ
ル、アリーリ、アリールアルキル、アルキルアリール又
はエーテル結合を有するアルキル基を意味する。)で示
されるものがあげれる。R1、R2及びR3で表される
アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3
ブチル、アミン、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチ
ル、2−エチルヘキシル、デシル、イソデシル、ラウリ
ル、トリデシル、C12〜C13混合アルキル、ステア
リル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチ
ル、シクロドデシル、4−メチルシクロヘキシル基等を
挙げることができる。
【0046】アリール基の例としては、フェニル、ナフ
チル基等を挙げることができる。アリールアルキル基の
例としては、ベンジル、β−フェニルエチル、α−フェ
ニルプロピル、β−フェニルプロピル基等を挙げること
ができる。アリールアルキル基の例としては、ベンジ
ル、β−フェニルエチル、α−フェニルプロピル、β−
フェニルプロピル基等をあげることができる。アルキル
アリール基の例としては、トリル、キシリル、エチルフ
ェニル、ブチルフェニル、第3ブチルフェニル、オクチ
ルフェニル、イソオクチルフェニル、第3オクチルフェ
ニル、ノニルフェニル、2,4−ジ−第3ブチルフェニ
ル基等が挙げられる。
【0047】エーテル結合を有するアルキル基として
は、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、5−メチル
フルフリル及びα−メチルフルフリル基、又は、メチル
−、エチル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル
−、ヘキシル−、シクロヘキシル−、フェニルセロソル
ブ残基;メチル−、エチル−、イソプロピル−、ブチル
−、イソブチルカルビトール残基;トリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、−モノエチルエーテル、−モ
ノブチルエーテル残基;グリセリン1、2−ジメチルエ
ーテル、−モノエチルエーテル、−モノブチルエーテル
残基;グリセリン1、2−ジメチルエーテル、−1,3
−ジエチルエーテル、−1−エチル−2−プロピルエー
テル残基;ノニルフェノキシポリエトキシエチル、ラウ
ロキシポリエトキシエチル残基等が挙げられる。又、M
で表される金属は、亜鉛、カルシウム及びバリウムが特
に好ましい。これら有機リン酸エステル又は有機リン酸
金属塩は、1種又は2種以上配合することができる。
【0048】本発明の農業用フィルムは、有機リン酸エ
ステル及び有機リン酸金属塩を併用するのが被膜の形成
性、屋外展張性の点からも好ましい。有機リン酸エステ
ル又は有機リン酸金属塩の配合量は、塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲内、好
ましくは、0.2〜10重量部の範囲内で選ばれる。配
合量が0.1重量部未満では軟質塩化ビニル系樹脂フィ
ルムの耐候性及び防塵性は向上しない。配合量が15重
量部より多いとフィルムの透明性が極度に劣ってしまう
ので好ましくない。前記範囲内では、0.2〜8重量部
の範囲であるのが特に好ましい。
【0049】勿論、前記塩化ビニル系樹脂には、上記可
塑剤、アクリル系共重合体、着色防止剤、光安定剤、有
機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩、紫外線吸収剤
の他に、必要に応じて、成形用の合成樹脂に通常配合さ
れる公知の樹脂添加物、例えば、滑剤、熱安定剤、酸化
防止剤、安定化助剤、帯電防止剤、防曇剤、防カビ剤、
防藻剤、無機フェラー、着色剤等を配合することができ
る。
【0050】本発明に係わるフィルムに配合しうる滑剤
としては、ポリエチレンワックス、ビスアマイド系化合
物、流動パラフィン等が挙げられ、酸化防止剤として
は、有機フォスファイト化合物等が挙げられる。また、
熱安定剤としては、β−ジケトン化合物等が挙げられ
る。以上の各種樹脂添加物は、それぜれ1種又は数種を
組み合わせて使用することができる。上記各種樹脂添加
物の添加量は、フィルムの性質を悪化させない範囲、通
常は基体の塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1
0重量部以下の範囲で選ぶことができる。
【0051】フィルムの基体となる塩化ビニル系樹脂
に、前記可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、有機リン酸
エステル又は有機リン酸金属塩、更に他の樹脂添加物を
配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、
バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他従来から
知られている配合機、混合機を使用すればよい。このよ
うにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、そ
れ自体公知の方法例えば溶融押出成形法(T−ダイ法、
インフレーション法を含む)、カレンダー成形法、溶液
流延法等によればよい。
【0052】9.被膜成分 9−1 アクリル系樹脂〔E〕 本発明に使用されるアクリル系樹脂は、メチルメタクリ
レート40〜70重量%、ヒドロキシアルキル(メタク
リレート)化合物5〜30重量%、分子内に1個もしく
は2個以上のカルボキシル基を含むα、β不飽和カルボ
ン酸0〜20重量%、及びこれらと共重合可能な他のビ
ニル系単量体とを含むモノマー混合物を共重合して得ら
れる共重合体である。前記メチルメタクリレートが70
重量%より多い場合には、充分な低温時の物性が維持で
きず、他方、40重量%より少ない場合には、防塵性効
果が発揮できず、好ましくない。
【0053】ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
モノマーとしては、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒ
ドロキシメチルメタクリレート、2ーヒドロキシエチル
アクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、
2ーヒドロキシプロピルアクリレート、2ーヒドロキシ
プロピルメタクリレート、3ーヒドロキシプロピルアク
リレート、3ーヒドロキシプロピルメタクリレート、2
ーヒドロキシブチルアクリレート、2ーヒドロキシブチ
ルメタクリレート、4ーヒドロキシブチルアクリレー
ト、4ーヒドロキシブチルメタクリレート、2ーヒドロ
キシペンチルアクリレート、2ーヒドロキシペンチルメ
タクリレート、6ーヒドロキシヘキシルアクリレート、
6ーヒドロキシヘキシルメタクリレート等があげられ
る。
【0054】このヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ートのアクリル系樹脂中で占める割合が、4重量%より
少ない場合は、有機溶媒との溶解性等を充分に発揮し得
ず、他方、30重量%より多い場合にはコスト上昇に比
べて得られる効果は大きくないので好ましくない。分子
内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基を含むα,
β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アコ
ニット酸、フマル酸、クロトン酸等があげられる。
【0055】上述のメチルメタクリレートモノマー、ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー及び
α,β−不飽和カルボン酸と共重合可能な他のビニル系
単量体としては、例えばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のア
ルキル基の測鎖が1〜8のアルキルアクリレート;エチ
ルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソ
プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レート等のアルキル基の測鎖が2〜8のアルキルメタク
リレート;エチレンスルホン酸のようなα,β−エチレ
ン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸
のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アク
リロニトリル類;アクリルアマイド類;(メタ)アクリ
ル酸のグリシジルエステル類等がる。これら単量体は単
独で用いても、又は2種以上の併用でもよい。
【0056】9−2.アクリル系重合体[E]の重合 単量体を所定量配合して、有機溶剤とともに重合缶に仕
込み、重合開始剤、必要に応じて分子量調節剤を加え
て、攪拌しつつ加熱し、重合する。重合は、通常公知の
方法、例えば懸濁重合法、溶液重合法などが採用され
る。この際、使用しうる重合開始剤としては、α,αー
アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド等のラジカル生成触
媒があげられ、分子量調節剤としては、ブチルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメル
カプタン、β−メルカプトエタノール等があげられる。
重合に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミ
ルアルコール、イソアミルアルコール、tert−アミルア
ルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキサノー
ル等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸
エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−
n−プロピルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノ
ン、ジーn−プロピルケトン、ジーn−アミルケトンシ
クロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン等が
あり、これらは、1種もしくは2種以上混合して使用す
ることができる。
【0057】上記被膜組成物には、これら成分の他に、
補助的な成分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、発泡剤、滑剤
等配合することができる。有機溶剤に分散及び/又は溶
解して用いることができる。有機溶剤としては、例えば
脂肪族炭化水素としてヘプタン、シクロヘキサン等;芳
香族炭化水素としてベンゼン、トルエン、キシレン等;
アルコール類としてメタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、ポリオキシエチレングリコール等:ハ
ロゲン化炭化水素としてクロロホルム、四塩化炭化水
素、クロロベンゼン等;エステル類としてメチルアセテ
ート、アリルアセテート、エチルステアレート等;アミ
ン類としてトリメチルアミン、ジフェニルアミン、ヘキ
サメチレンジアミン等;その他ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル、ジエチレンジチオグリコール、ジアセトンアルコー
ル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキサイド等があ
り、これは単独もしくは2種以上の併用で使うことがで
きる。
【0058】基体フィルムの表面に防塵塗膜の被膜を形
成するには、各組成物の溶液または分散液をドクターブ
レードコート法、グラビアロールコート法、エヤナイフ
コート法、リバースロールコート法、デイプコート法、
カーテンロールコート法、スプレイコート法、ロッドコ
ート法等の塗布方法が用いられる。また、溶液状態とせ
ず上記被膜組成物を単独の被膜として形成する場合は、
共押出し法、押出しコーティング法、押出しラミネート
法、ラミネート法が用いられる。被膜形成法としては、
塗布方式を用いた場合の溶剤の乾燥方法としては、例え
ば自然乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾
燥法等があるが、乾燥速度、安全性を勘案すれば熱風乾
燥法が有利である。この場合の温度条件は50℃〜20
0℃の範囲とし、時間は、10秒〜15分の間で選ぶの
がよい。
【0059】本発明において、基体フィルムの表面に形
成させる被膜の厚さは、基体フィルムの1/10以下で
あるのが好ましい。被膜の厚さが基体フィルムの1/1
0より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈曲性に
差があるため、被膜が基体フィルムから剥離する等の現
象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基体フィ
ルムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましく
ない。なお、上記被膜組成物を塗布する前に、軟質塩化
ビニル系樹脂フィルムの表面を予め、アルコールまたは
水で洗浄したり、プラズマ放電処理、あるいはコロナ放
電処理したり、他の塗料あるいはプライマーを下塗りす
る等の前処理を施してもよい。本発明に係わる農業用塩
化ビニル系樹脂フィルムを実際に農業用に使用するにあ
たっては、被膜が片面のみに形成されているときは、こ
の被膜の設けられた側をハウスまたはトンネルの外側と
なるようにして使用する。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとずいて詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例
に限定されるものではない。 I.基体フィルムの調整 実施例1〜3、比較例1〜7 塩化ビニル樹脂(平均重合度 1500) 100重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP) 45重量部 塩素化ポリエチレン(第1表に示す組成、第4表、第5表に示す重量部) アクリル系弾性体粒子(第2表に示す組成、第4表、第5表に示す重量部) エポキシ樹脂 3重量部 バリウム−亜鉛系複合液状安定剤 1.5重量部 ステアリン酸バリウム 0.2重量部 ステアリン酸亜鉛 0.4重量部 ソルビタンラウレート 1.5重量部 エチレンビスステアロアミド 0.4重量部 エチレンビスラウリルアミド 0.2重量部 よりなる樹脂組成物を準備し、第4表、第5表に示した
種類及び量のβ−ジケトン化合物、有機リン酸エステル
又は有機リン酸金属塩、光安定剤および紫外線吸収剤
を配合した。
【0061】各配合物を、スーパーミキサーで10分間
攪拌混合したのち、180℃に加温したミルロール上で
混練し、厚さ0.10mmの基体フィルムを調整した。
ただし、比較例1,7にはβ−ジケトン化合物を配合し
なかった。又、比較例1,4には、光安定剤を、比較例
1,3には紫外線吸収剤を配合しなかった。また、比較
例1,2には、有機リン酸エステル又は有機リン酸金属
塩を配合しなかった。
【0062】 比較例8 塩化ビニル樹脂(平均重合度1500) 100重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP) 20重量部 塩素化ポリエチレン(第1表に示す組成、第4表、第5表に示す重量部) アクリル系弾性体粒子(第2表に示す組成、第4表、第5表に示す重量部) エポキシ樹脂 3重量部 バリウム−亜鉛系複合液状安定剤 1.5重量部 ステアリン酸バリウム 0.2重量部 ステアリン酸亜鉛 0.4重量部 ソルビタンラウレート 1.5重量部 エチレンビスステアロアミド 0.4重量部 エチレンビスラウリルアミド 0.2重量部 よりなる樹脂組成物を準備し、実施例1〜3と同様の添
加剤、同様の加工方法において、厚さ0.10mmの基
体フィルムを調整した。
【0063】V.フィルムの評価 以下の方法においてフィルムの性能を評価し、その結果
を第6表、第7表に示す。 初期外観 実施例、比較例で作製したフィルムの外観を、肉眼での
観察および日立製作所(株)製EPS-2U型により直進光線
透過率(波長555nm)を測定した。この評価基準
は、次のとおりである。 I)目視外観 ◎・・・表面光沢にむらがなく、かつ荒れ、しわのない
もの。 △・・・表面光沢にむらがあり、または荒れ、しわのな
いもの。 ×・・・表面光沢にむらがあり、かつ荒れ、しわのある
もの。 II)直進光線透過率 ◎・・・透過率が、85%以上のもの。 ○・・・透過率が、65%〜84%のもの。 △・・・透過率が、45%〜64%のもの。 ×・・・透過率が、45%未満のもの。
【0064】初期着色性 実施例、比較例で作成したフィルムを170℃ギヤーオ
ーブンで熱劣化させ20分毎に着色状態を肉眼で観察し
た。 ◎・・・透明であり、黄変が全くないもの。 ○・・・透明であるが、若干の黄変が見られるもの。 △・・・透明性が無く、黄変見られるもの。 ×・・・透明性が無く、黒変したもの。
【0065】常温物性 I)引張り特性:実施例、比較例で得られたフィルムを
JIS K6732に準拠し、23℃の室内において、
破断のびを測定した。 II)促進耐候後引張り特性:実施例、比較例で得られた
フィルムをJISK6732に準拠し、促進劣化させた
後、破断のびを測定した。 III )伸び残率:試験後の伸び残率をJIS K673
2に準拠し、下記の一般式より、伸び残率を求めた。 伸び残率(%)=耐候促進前の伸び(%)/耐候促進後
の伸び(%)×100
【0066】低温物性 衝撃強度・脆性破壊率:実施例、比較例で得られたフィ
ルムを10cm×10cmのサンプルを9枚用意し、JI
S B-7503に規定されたダイヤルゲージでサンプルの中心
部の厚みを測定する。上記サンプルを−15℃の室内に
おいて、東洋精機(株)製パンクチャーにより測定し
た。尚、脆性破壊(材料が、ほとんど塑性変形を伴わ
ず、割れの急速な進展によって、破壊されたもの。)率
および衝撃度は、下記の式によって表す。 脆性破壊率(%)=脆性破壊した枚数/5(大小それぞ
れ2枚を除く)×100 衝撃強度=測定値(衝撃値)/測定厚み×公称厚み
【0067】屋外展張試験 9種のフィルムを、三重県一志郡の試験圃場に設置した
屋根型ハウス(間口3m、奥行き5m、棟高1.5m、
屋根勾配30度)に、被膜を設けた面をハウスの側にし
て被覆し、平成8年3月〜平成9年2月までの1年間展
張試験を行った。展張したフィルムについて、以下の方
法により、フィルムの耐候後の伸び残率、フィルムの低
温時における衝撃強度、脆性破壊率を評価した。
【0068】I)常温物性 で実施した内容と同様の方法で、試験および評価を実
施した。 II)低温物性 で実施した内容と同様の方法で、試験および評価を実
施した。 III )防塵性 次式により算出した値を以下の評価基準により判断し
た。 (展張後、経時的に回収したフィルムの光線透過率*)
/(展張前の光線透過率*)×100 *波長555nmにおける直進光線透過率(日立製作所
製、EPS−2U型使用) ◎・・・展張後の光線透過率が展張前の90%以上のも
の。 ○・・・展張後の光線透過率が展張前の70〜89%の
範囲のもの。 △・・・展張後の光線透過率が展張前の50〜69%の
範囲のもの。 ×・・・展張後の光線透過率が展張前の50%未満のも
の。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【発明の効果】以上、実施例からも明らかなように本発
明は、次のような効果を奏し、その農業上の利用価値
は、極めて大である。 (1)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、加工性に優れている。 (2)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、経時後の低温時における物性低下が少なく、使用末
期においても、低温における物性に優れている。 (3)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、低温下における物性に優れており、展張時による破
れ、展張後の外力(かぜ、雪、雹、アラレ 等)による
破れに対する抵抗性に優れている。 (4)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、夏場等の高温時において、べたつきが発生しない。
又、弾性率が優れているために、夏場等の高温時に”た
るみ”等が発生しない。 (5)本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、屋外に展張されても防塵性の低下度合いが少ない。
【0077】尚、本発明に係わる農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムにおいて、ある特定の塩素化ポリエチレンお
よびある特定のアクリル系弾性体粒子を混合することに
よる内部応力緩和効果・分子の絡まりの増大によって、
低温時の物性向上(特に低温時の耐衝撃性)を引き出
し、さらには、耐候後の物性の低下を抑える効果を引き
出す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 C08J 7/04 B 4J002 C08L 27/06 C08L 27/06 (72)発明者 村上 主義 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業 所内 (72)発明者 一柳 登 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業 所内 Fターム(参考) 2B024 DB01 EA01 2B029 EB03 EC04 EC09 EC19 EC20 4F006 AA12 AA17 AA22 AA55 AB24 BA11 CA06 4F071 AA24 AA33 AA42 AA79 AA88 AA89 AC07 AC10 AC15 AC19 AD02 AE04 AH01 BC01 4F100 AH02A AH02H AH08A AH08H AH10A AH10H AK10A AK15A AK25A AK25B AK25C AK25H AK25J AL01B AL01C AL05A BA02 BA03 BA06 BA10A BA10B BA10C CA04A CA05A CA07A CA30 DE01A DE01H GB01 JA06A JA07A JA11A JA20A JA20H JJ04 JK07 JL01 YY00A YY00H 4J002 BB243 BC044 BD031 BF022 BG044 BG054 BG104 CK022 EE038 EE049 EH096 EH146 EU077 EU178 EW049 FD022 FD026 FD047 FD058 GA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均重合度1000以上2500以下の塩
    化ビニル系樹脂100重量部〔A〕に対して、可塑剤
    〔B〕30〜60重量部、塩素含有量30〜50重量
    %、メルトインデックス0.5〜150g/10分、結
    晶化度0.01〜60%塩素化ポリエチレン〔C〕0.
    5〜15重量部、平均粒子径が100〜300μm、部
    分分離効率において25%分離粒子径(D25)と75
    %分離粒子径(D75)との比(D75/D25)が
    1.05〜2.5、アルキルメタクリレートを主成分と
    する重合体であるアクリル系弾性体粒子〔D〕0.5〜
    15重量部を混合してなり、〔C〕+〔D〕が1.0〜
    20重量部であることを特徴とする特定の塩化ビニル系
    樹脂の片面又は、両面にメチルメタクリレート40〜7
    0重量%、ヒドロキシアルキル(メタクリレート)化合
    物5〜30重量%、分子内に1個もしくは2個以上のカ
    ルボキシル基を含むα、β不飽和カルボン酸0〜20重
    量%、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体と
    を共重合して得られる特定のアクリル系樹脂〔E〕の被
    膜が形成されてなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】アクリル系弾性体粒子が多層構造重合体で
    あることを特徴とする請求項1記載の農業用塩化ビニル
    系樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】塩化ビニル系樹脂がアクリル系共重合体を
    含有してなる請求項1ないし請求項2のいずれかの項記
    載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】塩化ビニル系樹脂が光安定剤を含有してな
    る請求項1ないし請求項3のいずれかの項記載の農業用
    塩化ビニル系樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】塩化ビニル系樹脂が紫外線吸収剤を含有し
    てなる請求項1ないし請求項4のいずれかの項記載の農
    業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】塩化ビニル系樹脂が有機リン酸エステルま
    たは、有機リン酸金属塩を含有してなる請求項1ないし
    請求項5のいずれかの項記載の農業用塩化ビニル系樹脂
    フィルム。
  7. 【請求項7】塩化ビニル系樹脂が、β−ジケトン化合物
    を含有してなる請求項1ないし請求項6のいずれかの項
    記載の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。
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