JP2000136437A - 捲取性の改善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方法 - Google Patents

捲取性の改善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方法

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JP2000136437A
JP2000136437A JP10307213A JP30721398A JP2000136437A JP 2000136437 A JP2000136437 A JP 2000136437A JP 10307213 A JP10307213 A JP 10307213A JP 30721398 A JP30721398 A JP 30721398A JP 2000136437 A JP2000136437 A JP 2000136437A
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elongation
spun yarn
polyester
spinning
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Mitsue Yoshimura
三枝 吉村
Koichi Iohara
耕一 庵原
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 繊維伸度向上剤を添加したポリエステルフィ
ラメント糸の高速紡出糸において、残留伸度は維持しつ
つ該剤のブリードアウトに伴う“捲取不可”という致命
的欠点を克服する。 【解決手段】 1,000m/min以上の速度で引き
取ることを特徴とする高伸度紡出糸の製造方法において
重縮合反応が完結する以前の段階で、[式1]で表わさ
れる含金属リン化合物と、リン化合物のモル数に対し
て、2.0〜3.2倍量のアルカリ土類金属化合物とを
(重縮合系内で)反応させて得られる不溶性微粒子が、
ポリマー重量を基準として0.7〜7.0%の範囲で存
在する配向結晶抑制能のあるポリマーであること。 (式中、R1 及びR2 は一価の有機基であってR1 及び
2 は同一でも異なってもよく、Mはアルカリ金属又は
アルカリ土類金属であって、mはMがアルカリ金属の場
合は1、Mがアルカリ土類金属の場合は1/2であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、捲取性が改善され
た、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維の溶融紡糸に際し、そ
の口金からのポリマー吐出量をできるだけ多くすること
は、生産性を上げる上で、極めて有効な方法であり、昨
今の繊維業界においては、製糸コストを低減させる観点
から極めて望ましいこととされている。
【0003】これまで生産性を上げるために取られてき
た典型的な手段として、紡糸引取速度を上げて、口金か
らの吐出量を増加させる方法が知られている。しかしな
がら、この方法では、引取速度が速いために、個々のフ
ィラメントの分子配合が大きくなる結果、得られるフィ
ラメント紡出糸の残留伸度(以下、単に伸度と称するこ
とがある。)は逆に低下してしまう。従って、当然のこ
とながら、後に続く延伸または延伸仮撚時の延伸倍率が
低下するので、引取速度上昇による吐出量増加効果が、
延伸工程で相殺されてしまう。
【0004】このような問題を解消する一つの手段とし
て、ポリマーに対して非相溶で紡出時に伸度向上剤とし
て機能する有機ポリマー、例えば不飽和モノマーからな
る附加重合体をポリエステルに添加し、紡出糸の残留伸
度を高める方法が特公昭63―32885号公報(対応
欧州特許第47464(A1 )号)で提案されている。
本文献によれば、附加重合体の機能は、ポリエステル中
に分子オーダーでミクロ分散し、該重合体がポリエステ
ルの分子配向に対して、“コロ”の役割を担うと定義づ
けられている(例えば、前掲のEP特許第9頁第3行参
照)。
【0005】この方法によると中間配向糸(POY)を
はじめ、残留伸度の高い紡出糸(as―spun糸)や
超高速延伸プロセスによる延伸糸(FOY)が得られる
が、本発明者らは、この特公昭63―32885号公報
に開示されている残留伸度の高いas―spun糸を商
業べースのワインダーに捲取る際に、新たな問題に遭遇
した。
【0006】すなわち、現実には捲取パッケージの形成
は不可、つまリコマーシャルベースでの捲取は不可能で
ある、との問題点が、本発明者らの検討により明らかに
された。この問題点に係る現象として、フィラメント単
独あるいは数本のフィラメントがトラバースプリンティ
ング不良のため、捲端面に正常な円周巻き形態から外れ
た、“綾落ち”や端面が“いびつ”になる巻崩れ、さら
に捲取中に糸浮きが発生し、パーストにまで及ぶ等の致
命的な捲取不良が発生したのである。
【0007】この原因としては、前記の付加重合体が実
質的にポリエステルと非相溶状態で“コロ”として作用
するために、粒子状態で繊維表面に優勢的にブリードア
ウトして過度の表面凹凸を形成し、これにより、フィラ
メント/フィラメント間摩擦(F/F摩擦)、フィラメ
ント/金属(F/M摩擦)の低下もたらす結果、捲き工
程調子において不調をきたすものと考察される。
【0008】勿論、上述の捲取不良の問題を解決するた
めには、伸度向上剤の添加量を少なくすれば、該剤の繊
維表面へのブリードアウト量を低下させればよい。しか
しこれでは、所期の目的である伸度向上と相反する結果
を招来する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、繊維伸度向上剤を添加したポリエステルフィラ
メント糸の紡糸において、該紡出糸の残留伸度は可及的
に従来の水準に維持しつつも、これまで何等認識されて
いなかった該剤のブリードアウトに伴う“捲取付加”と
いう致命的欠陥を克服することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記の
要件Aを満足する配向結晶抑制能を有するポリエステル
に、その重縮合反応の完結後紡出以前の溶融段階て該ポ
リマーに対して非相溶で、紡出時に伸度向上剤として機
能する有機ポリマーを、ポリマー重量を基準として0.
3〜3.5%添加し、次いでこの溶融ポリマー混合物を
紡糸口金を通して吐出し、最後に1,000m/min
以上の速度で引き取ることを特徴とする高伸度紡出糸の
製造方法が提供される。
【0011】[要件A]その重縮合反応が完結する以前
の段階で、下記[式1]で表されるリン化合物とアルカ
リ土類金属化合物とを重縮合系内で反応させて得られる
不溶性微粒子がポリマー重量を基準として、0.7〜7
%の範囲で存在する配向結晶抑制能のあるポリマーであ
り、且つ該微粒子において金属の全当量数がリン化合物
のモル数に対して2.0〜3.2倍の範囲にあること。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R1 及びR2 は水素原子又は一価
の有機基、X1 は金属、水素原子又は一価の有機基、n
は1又は0である)
【0014】ここで、本発明に至った背景について触れ
ておく。これまで述べた伸度向上剤は、ポリエステルポ
リマーに対して通常0.5〜4.0重量%添加すること
により、紡出糸において所望の残留伸度が得られる。し
かし、同時に該剤のブリードアウトに伴う捲取不良を招
来することも前述のとおりである。
【0015】本発明者らは、伸度向上剤の添加量が0.
5〜40重量%の範囲で、その量を可及的に減少させて
捲取性を向上させつつも、紡出糸の残留伸度は、剤の減
少前の添加量に匹敵する水準に維持するという課題は、
驚くべきことにベースポリマーとして、特開昭58―1
04215号公報及び特開昭61―47729号公報に
記載されている配向結晶抑制能のあるポリマーを採用す
ることにより解決されることを究明した。
【0016】このポリマー中には、その重縮合反応が完
結する以前の段階で、前記[式1]で表わされる含金属
リン化合物と、該リン化合物のモル数に対して、2.0
〜3.2倍量のアルカリ土類金属化合物とを(重縮合系
内で)反応させて得られる不溶性微粒子が存在する。そ
して、この微粒子はその径が高々50μmという超微粒
子であって、紡出時に結晶配向抑制能を呈すると同時に
超微粒子であるが故に繊維表面にブリードアウトしても
捲取性には何等支障をもたらさない、という特性を伸度
向上剤との併用の際に巧みに利用したものである。
【0017】したがって、このようなポリマーをベース
ポリマーとして採用することにより、伸度向上剤の添加
量が低減され、捲取不良の問題が解消されるわけであ
る。
【0018】さらに本発明について詳述する。本発明で
採用されるベースポリマーは、テレフタル酸を主たる酸
成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエ
チレングリコール、トリメチレングリコールおよびテト
ラメチレングリコールからなる群から選ばれた少なくと
も1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分
とするポリエステルを主たる対象とする。
【0019】また、テレフタル酸成分の一部を他の二官
能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであっても
よく、及び/又はグリコール成分の一部を主成分以外の
上記グリコール、若しくは他のジオール成分で置換えた
ポリエステルであってもよい。
【0020】このようなポリエステルは任意の方法によ
って合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタ
レートについて説明すれば、通常、テレフタル酸とエチ
レングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ
るか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応さ
せるかしてテレフタル酸のグリコールエステル及び/又
はその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段
階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるま
で重縮合反応させる第2段階の反応によって製造され
る。
【0021】上述の重縮合段階で、不溶性微粒子を形成
させるわけであるが、その際[式1]で示されるリン化
合物と、アルカリ土類金属化合物とを、予め反応させる
ことなく重縮合系内に添加してから、両者を反応させ不
溶性微粒子を形成する。こうすることによって、不溶性
粒子をポリエステル中に均一な超微粒子状態で生成せし
めることができるようになる。
【0022】ここで[式1]中のR1 およびR2 は水素
原子または一価の有機基であって、中でも一価の有機基
が好ましい。この一価の有機基は具体的にはアルキル
基、アリール基、アラルキル基又は[―(CH2
l O]k 5 (但し、R5 は水素原子、アルキル基、ア
リール基又はアラルキル基、lは2以上の整数、kは1
以上の整数)等が好ましく、R1 とR2 とは同一でも異
なっていてもよい。X1 は金属、水素原子又は一価の有
機基であって、なかでも金属が好ましい。X1 における
金属としては特にアルカリ金属、アルカリ土類金属が好
ましく、より好ましくはLi、Na、K、Mg1/2、
Ca1/2、Sr1/2、Ba1/2をあげることがで
き、なかでもCa1/2が特に好ましい。X1 における
一価の有機基としてはは上記R1 とR2 における有機基
の定義と同様であって、R1 、R2 と同一でも異なって
いてもよい。nは1又は0である。
【0023】このようなリン化合物としては、例えば正
リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニルの如き
リン酸トリエステル、メチルアシドホスフェート、エチ
ルアシドフェート、ブチルアシドホスフェートの如きリ
ン酸モノ及びジエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチ
ル、亜リン酸トリエチル、亜燐酸トリブチルの如き亜リ
ン酸トリエステル、メチルアシドホスファイト、エチル
アシドホスファイト、ブチルアシドホスファイトの如き
亜リン酸モノ及びジエステル、上記リン化合物をグリコ
ール及び/又は水と反応することにより得られるリン化
合物、更に上記リン化合物を所定量のLi、Na、Kの
如きアルカリ金属の化合物又はMg、Ca、Sr、Ba
の如きアルカリ土類金属の化合物と反応することにより
得られる含金属リン化合物等から選ばれた1種以上のリ
ン化合物を用いることができる。
【0024】上記含金属リン化合物を製造するには、通
常正リン酸(又は亜リン酸)または対応する正リン酸
(又は亜リン酸)エステル(モノ、ジ又はトリ)と所定
量の対応する金属の化合物とを溶媒の存在下加熱反応さ
せることによって容易に得られる。
【0025】なお、この際溶媒として、対象ポリエステ
ルの原料として使用するグリコールを使用するのが最も
好ましい。
【0026】上記リン化合物と反応して不溶性微粒子を
形成するために用いるアルカリ土類金属化合物として
は、上記リン化合物と反応してポリエステルに不溶性の
塩を形成するものであれば特に制限はなく、アルカリ土
類金属の酢酸塩、しゅう酸塩、安息香酸塩、フタル酸
塩、ステアリン酸塩のような有機カルボン酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩の如き無機酸
塩、塩化物の如きハロゲン化物、エチレンジアミン4酢
酸錯塩の如きキレート化合物、水酸化物、酸化物、メチ
ラート、エチラート、グリコレートの如きアルコラート
類、フェノラート等をあげることができる。特にエチレ
ングリコールに可溶性である有機カルボン酸塩、ハロゲ
ン化物、キレート化合物、アルコラートが好ましく、な
かでも有機カルボン酸塩が特に好ましい。また、アルカ
リ土類金属としてはCaが特に好ましい。上記のアルカ
リ土類金属化合物は1種のみ単独で使用しても、2種以
上併用してもよい。
【0027】上記リン化合物とアルカリ土類金属化合物
とは予め反応させることなくポリエステル反応系に添加
することが必要であり、こうすることによって不溶性微
粒子をポリエステル中に均一な超微分酸状態で容易に生
成せしめることができる。予め外部で上記リン化合物と
アルカリ土類金属化合物とを反応させて不溶性粒子とし
て後にポリエステル反応系に添加したのでは、ポリエス
テル中の不溶性粒子の分散性が悪くなって粗大凝集粒子
が含有されるようになるので好ましくない。
【0028】上記のリン化合物及びアルカリ土類金属化
合物の添加は、それぞれポリエステルの合成が完了する
までの任意の段階において、任意の順序で行なうことが
できる。しかし、リン化合物のみを第1段階の反応が未
終了の段階で添加したのでは、第1段階の反応の完結が
阻害されることがあり、またアルカリ土類金属化合物の
みを第1段階の反応終了前に添加すると、この反応がエ
ステル化反応のときは、この反応中に粗大粒子が発生し
たり、エステル交換反応のときは、その反応が異常に早
く進行し突沸現象を引起すことがあるので、この場合、
その20重量%程度以下にするのが好ましい。アルカリ
土類金属化合物の少なくとも80重量%及びリン化合物
全量の添加時期は、ポリエステルの合成の第1段階の反
応が実質的に終了した段階以降であることが好ましい。
また、リン化合物及びアルカリ土類金属化合物の添加時
期が、第2段階の反応があまり進行した段階では、粒子
の凝集、粗大化が生じ易いので、第2段階の反応におけ
る反応混合物の極減粘度が0.3に到達する以前である
ことが好ましい。
【0029】上記のリン化合物及びアルカリ土類金属化
合物はそれぞれ一時に添加しても、2回以上に分割して
も添加しても、または連続的に添加してもよい。
【0030】本発明においては、第1段階の反応に任意
の触媒を使用することができるが、上記アルカリ土類金
属化合物の中で第1段階の反応、特にエステル交換反応
の触媒能を有するものがあり、かかる化合物を使用する
場合は別に触媒を使用することを要さず、このアルカリ
土類金属化合物を第1段階の反応開始前又は反応中に添
加して、触媒としても兼用することができるが、前述し
た如く突沸現象を引起すことがあるので、その使用量は
添加するアルカリ土類金属化合物の全量の20重量%未
満にとどめるのが好ましい。
【0031】上記含金属リン化合物の使用量及アルカリ
土類金属化合物を添加するに当って、ポリマーの配向結
晶抑制の面から含金属リン化合物の使用量及び該リン化
合物の使用量に対するアルカリ土類金属化合物の使用量
の比を特定する必要がある。含金属リン化合物の添加量
はあまりに少ないと配向結晶抑制能が不充分になり、こ
の量を多くするに従って充分な重合度と軟化点を有する
ポリエステルを得ることが困難となり、更に紡糸時に糸
切れが多発するというトラブルを発生する。このため、
含金属リン化合物の添加量はポリエステルを構成する酸
成分に対して0.5〜3モル%の範囲にすべきであり、
特に0.6〜2モル%の範囲が好ましい。不溶性微粒子
において、金属の全当量数がリン化合物のモル数に対し
て2.0倍モルより少ない量では、ポリマーの配向結晶
抑制能が不充分であり、その上重縮合速度が低下し高重
合度のポリエステルを得ることが困難となり、同時に、
生成ポリエステルの軟化点が大幅に低下する。逆に該当
量数がリン化合物のモル数に対して3.2倍モルを超え
る量のアルカリ土類金属を使用すると、粗大粒子が生成
し、捲取性が改善されない。このため、不溶性微粒子中
の金属化合物の占める量はリン化合物のモル数に対して
2.0〜3.2倍モルの範囲にすべきであり、特に1.
5〜2.5倍モルの範囲が好ましい。
【0032】そして、最終的には、不溶性微粒子が、ポ
リマー重量を基準として、0.7〜7.0%の範囲にあ
るとき、配向結晶抑制能と紡糸調子、ポリマー物性とが
両立する。
【0033】本発明でいう繊維伸度向上剤とは、不飽和
モノマーからなり、実質的にポリエステルと非相溶性の
附加重合体のことであって、その熱変形温度(T)が、
98〜145℃、好ましくは105〜135℃の範囲に
あるものをいう。具体的な組成としては、アクリロニト
リルスチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジニン
・スチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、高
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリ
レート、およびこれら重合体を主成分とする誘導体が挙
げられる。これら重合体の分子量は、応力担持体として
ポリエステルとは独立に、高分子量体として構造粘弾性
の発現を必要とすることから少なくとも2000以上の
分子量(重量平均)を有していることが必要である。
【0034】詳しくは、その分子量が2000以上20
万以下であることが適当である。分子量が2000より
も小さいと、高分子量体としての構造粘弾性を発現しな
いために、応力担持体として作用しない。一方、20万
を超えると、重合体の凝集エネルギーが極めて高く、し
たがって、その溶融粘度がポリエステルに対して高すぎ
るために、ポリエステルへの分散が極めて困難になり、
その結果紡糸時の曳糸性が著しく悪化するとともに、捲
取も困難になり、さらには、ポリエステルに対する負の
異物効果が大きく、実用可能な物性を得ることができな
い。好ましい分子量の範囲は8000以上15万以下で
あり、このような高分子量重合体の場合、耐熱性も向上
するので、一層好ましい。
【0035】更に、本発明においてポリエステルに添加
する附加重合体として、より好ましいものは、分子量が
8000以上20万以下であって、ASTM―D123
8で規定される条件(230℃、荷重3.8kgf)に
おいて、メルトインデックス(M.I.)が0.5〜1
5.0g/minであるポリメチルメタクリレート系共
重合体やスチレンを主成分とするアイソタクチック系重
合体、また、同様の分子量範囲で、M.I.(ASTM
―D1238に準拠;260℃、5.0kgf)が5.
0〜40.0g/10分の範囲にあるポリメチルペンテ
ンないしその誘導体、さらに、同様の分子量範囲で、
M.I.(ASTM―D1238に準拠;300℃、
2.16kgf)が6.0〜25.0g/10分のシン
ジオタクチック(結晶性)ポリスチレンないしその誘導
体である。これらの特定の物性を有する重合体は、ポリ
エステルの紡糸温度において、熱安定性と分散状態の安
定性に優れている。
【0036】これらの中でも、特に熱変形温度(T)が
105〜135℃にあるものは、ポリエステルと実質的
に非相溶な海/島状態、つまり、ポリエステルを海、粒
子状の繊維伸度向上剤を海成分として口金孔から吐出さ
れ、紡糸ライン上で冷却細化過程を経る際に、ポリエス
テルよりも先に溶融状態からガラス状態へと転移し、紡
糸応力(張力)に対して伸長変形低抗体の役割を果た
す。そのため、口金近傍のポリマー温度が高い状態での
ブレンド系の伸長粘度に関して、従来の伸長粘度式に従
わない非線形性増加をもたらし、その結果紡出糸の細化
を促進し、紡出糸の糸速度を最終捲取速度に到達せしめ
る働きをもつものと考えられる。このように、細化完了
位置は、該重合体を含まないポリエステルを同じ速度で
紡糸した場合に比ベ、紡糸ラインのより上流で完了し、
しかも4000〜5000m/min以上の引取速度下
で顕著に見られる配向結晶化を伴うネック状細化を示さ
ない。このことから、該伸度向上剤の作用は、高速紡糸
において低張力紡糸を可能にし、捲取性を改善しなが
ら、残留伸度の高いポリエステル繊維を与えるものと言
える。
【0037】さらにこの点に付いて若干の説明を加えて
おく。紡糸応力に対する“伸長変形抵抗体”という概念
からして、紡出(吐出)されつつあるポリマー流中で繊
維伸度向上剤は、マトリックスポリマーよりも早く溶融
状態からガラス状態へ転移することが望まれる。この意
味から、該伸度向上剤の熱変形温度(T)は、98〜1
45℃、好ましくは105〜130℃の範囲であること
が好ましい。ポリエステルの熱変形温度は、一般に70
℃程度であり、これより熱変形温度が少なくとも35℃
以上高い、粒子状の繊維伸度向上剤は優勢的に紡糸応力
を担持しつつ、細化されつつあるポリマー流の比較的内
部へ集中するため、フィラメント表面への粒子の析出が
低減でき、捲取性が著しく改善される。この熱変形温度
(T)が105℃未満では従来の“コロ”としての機能
に留り、伸長変形抵抗体としての機能が十分に発現しな
い場合がある。
【0038】次に、本発明の紡出糸を得る方法について
述べる。本発明が意図する捲取性と高い残留伸度とを実
現するためには、紡糸条件として、紡出(吐出)前の溶
融ポリマーの濾過および紡糸ドラフトが重要になる。
【0039】ここでは、40μ以下のポアサイズをもつ
フィルターを紡糸パック内に設置し、繊維伸度向上剤が
分散した溶融ポリエステルを該フィルターを通した後、
150〜1500の範囲のみかけの紡糸ドラフト(率)
のもとに、紡出することが必要である。40μを超える
ポアサイズをもつフィルターでは、吐出ポリマー流中に
粗大粒子が混入し、安定な紡糸調子が確保できないし、
またフィラメント表面にブリートアウトした粗大粒子が
形成する表面凹凸によって、捲取性にも問題が生じる。
一方、紡糸ドラフトについては、高ドラフト範囲が重要
であることが判明した。すなわち、150未満の低ドラ
フト即ち、紡糸口金の吐出孔径の小さい場合、そこを通
過するポリマー流は高い剪断力を受け、粒子状の繊維伸
度向上剤はフィラメントの長手方向に引きちぎられ、紡
出糸の伸度向上効果が阻害される。つまり、該粒子は、
応力担持体としての機能を十分には果たすことなく、単
にフィラメント表面への析出頻度が増え、捲取性にも支
障をきたすことになる。これに対して、1500を越え
る高いドラフトになると、吐出孔内での剪断力による引
き千切り効果が小さくなり、紡出糸の残留伸度は著しく
向上するが、粗大粒子の発生による捲取時のトラブルは
解決されない。
【0040】さらに、その他の紡糸要件として関係して
くるのは紡糸温度(口金温度)および紡糸口金下の冷却
である。
【0041】前者については、繊維伸度向上剤が分散し
た溶融ポリエステルを吐出する際の口金温度を通常より
も低くすることも、残留伸度の増加と安定な捲取性の確
保に寄与する。これは、口金吐出後の伸度向上剤の伸長
粘度がより紡糸ライン上流で大きくなり応力担持体とし
ての機能が発現する結果、紡糸張力を大幅に低下させな
がらフィラメント断面内に粒子濃度の極大点を固定する
傾向を示すからである。最適な口金温度は270〜29
0℃である。270℃未満では、ポリエステルの種類に
もよるが、曳糸性の問題が生じ、他方290℃を越える
と、伸度向上剤である附加重合体の耐熱安定性が低下す
る。
【0042】後者の口金下の冷却は、横吹き冷却の場
合、その風速を0.15〜0.6m/secの範囲に維
持することにより、残留伸度の向上と捲取性の向上との
両立に寄与する。風速が0.15m/sec未満では、
フィラメントの長手方向の斑が大きく、事後に高品位の
延伸糸および加工糸を得ることができない。また、0.
6m/secを超えると、ポリエステル側の伸長粘度が
上昇するので、残留伸度の増加幅が小さくなる。
【0043】ポリエステルへの繊維伸度向上剤の添加に
当たっては、任意の方法を採用することができる。例え
ばポリエステルの重合末期段階で該剤を混合してもよ
く、また、ポリエステルと前記剤とを溶融混合して、押
出し冷却後、切断してチップ化してもよい。更には、サ
イドストリームから該剤を溶融状態でポリエステルの溶
融紡糸装置に、動的および/または静的ミキサーを介し
て導入してもよい。また、両者をチップ状で混合した
後、そのまま溶融紡糸してもよい。その中でも、連垂直
結ラインのポリエステル配管から一部のポリマーを引き
出し、それをマトリックスとして該剤を混練り分散させ
たものを元のニートポリマーラインへ、任意の動的およ
び/または静的ミキサーを介して戻し、各配管に分配す
るという手法が最も好ましい。
【0044】この場合、ベースポリマー中の不溶性微粒
子と伸度向上剤の合計量は、ポリマー重量を基準とし
て、0.3〜3.5%の範囲に調整することが好まし
い。
【0045】以上に述べた紡糸の態様は、本発明の紡出
糸を単独で得る場合のみならず、種々の形で応用され
る。
【0046】例えば、繊維伸度向上剤を混合したポリエ
ステルと該剤を実質的に含まないポリエステルとをコス
パン(Co−span)方式により同一口金から吐出す
ることによって、あたかも紡糸速度の異なる(互いに伸
度の異なる)未延伸糸を複合した特性を示す混繊糸を直
接捲き取ることが可能となる。
【0047】従来は、吐出孔径が極端に異なる吐出孔を
設けた口金から同一ポリエステルを吐出させる方法がと
られている。しかし、この場合は高い残留伸度の紡出糸
を得るための紡速、具体的には、伸度270〜340%
の糸条が得られる1500m/min前後の低い紡糸速
度とが律速である。これに対して、繊維伸度向上剤を含
むポリエステルと含まないポリエステルとを同一口金か
ら吐出した場合には、後者のポリエステルから所望の低
い残留伸度糸条を得るための紡糸速度、つまり高速で捲
き取ることができるため、複合化しただけでなく、飛躍
的な生産性の向上につながる。
【0048】そして、このような伸度差のあるヤーンか
らなる紡出糸はU.S.P2,013,746号(特公
昭61―19733号公報)によって代表される芯鞘タ
イプの複合仮撚捲縮糸用の原糸として好ましく採用され
る。すなわち、この紡出糸を上記特許の教えるところに
従って同時延伸仮撚加工に供する際、より高い延伸倍率
を採用できるのでその分だけ捲取速度が増加し生産性の
向上につながる。
【0049】本発明の紡糸態様は1000m/min以
上の引取速度でその効果が発現するが、引取速度が25
00〜8000m/minでさらに残留伸度が大幅に向
上した紡出糸が得られる。
【0050】さらに、本発明の紡糸態様は、直接紡糸未
延伸プロセスにも好ましく組込むこともできる。特に8
000m/min以上の高速高性能ワインダーが実現し
たならば、引取ローラーG1(兼予熱ローラー:斯界で
は第1ゴデットローラーと呼ばれている)速度が500
0〜6000m/minにて引き取った後、延伸熱セッ
トローラーG2(斯界では第2ゴデットローラーと呼ば
れている)速度が7000〜9000m/minの下に
直接紡糸延伸プロセスを採用することができる。また、
G1速度を7000〜8000m/minとし、G2/
G1速度比を高々1.10〜1.25とした冷延伸を施
した後、該糸条のもつ歪の解消と熱セットを目的とした
スチームチャンバー内を通過させた後、捲き取るという
省エネルギープロセスへの展開も可能である。
【0051】
【実施例】本発明で採用する物性値の測定方法について
説明する。 (1)熱変形温度(T) ASTM D―648に従う。
【0052】(2)残留伸度 紡出糸を気温25℃、湿度60%の恒温恒湿に保たれた
部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ100mmを島
津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200m
m/minの速度、即ちひづみ速度2min―lにて引
張り破断伸度を測定する。
【0053】(3)メルトインデックス ASTM D―1238に従う。
【0054】(4)みかけの紡糸ドラフト(Df) 単糸(フィラメント)吐出量g/minをポリエステル
の溶融状態の密度1.2g/cm3 で除して吐出体積c
c/minを算出し、これを吐出孔断面積で除して吐出
線速度V0 を算出する。これを捲き取り速度Vwとの比
(下記式)からDfを算出する。 Df=Vw/V0
【0055】(5)口金温度 紡糸捲取運転状態の口金に予め口金表面に加工した深さ
2mmの温度検出端差込孔に検出端を差込み、口金温度
を測定する。
【0056】(6)口金下冷却風速度 風速計をハニカム構造の冷却風吹き出し口の上端面から
30cmの箇所においてハニカム面に密着させた状態で
風速をn=5(5回測定)で測定し平均値を算出する。
【0057】(7)羽毛数ケ/m 少なくとも25mの仮撚り加工糸について目視にて毛羽
の個数を数え、1メートルあたりの毛羽に換算する。以
下、実施例により本発明を説明する。
【0058】[実施例1] ・結晶抑制能を有するポリエステルの製造 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.066モル%)をエステル交換缶
に仕込み、窒素がス雰囲気下4時間かけて140℃から
230℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去
しながらエステル交換反応を行なった。続いて得られた
反応生成物に、0.5部のリン酸トリメチル(テレフタ
ル酸ジメチルに対して0.693モル%)と0.31部
の酢酸カルシウム1水塩(リン酸トリメチルに対して
0.5倍モル)とを8.5部のエチレングリコール中で
120℃の温度において全環流下60分間反応せしめて
調製したリン酸ジエステルカルシウム塩の透明溶液9.
31部に室温下0.57部の酢酸カルシウム1水塩(リ
ン酸トリメチルに対して0.9倍モル)を溶解せしめて
得たリン酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カルシウムと
の混合透明溶波9.88部を添加し、次いで三酸化アン
チモン0.04部、更に、艶消剤としてに酸化チタン
0.3部を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけ
て760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1
時間30分かけて230℃から285℃まで昇温した。
1mmHg以下の減圧下、重合温度285℃で更に3時
間、合計4時間3分重合して極限粘度0.641、軟化
点259℃のポリマーを得た。反応終了後ポリマーを常
法に従いチップ化した。
【0059】このチップ中には、粒径が10〜30mの
範囲にある不溶性微粒子が、ポリマー重量を基準として
1.4%含有されていた。また、該粒子において、金属
すなわちカルシウムの全当量数はリン酸トリメチル1モ
ルに対して2.8倍[(0.5+0.9)倍モル×2当
量]である。
【0060】・残留伸度の高い紡出糸の製造 上記のチップを160℃で5時間乾燥した後、直径25
mの1軸フルフライト型溶融押出し機にて300℃で溶
融し、熱変形温度(T)が121℃、M.Iが1.0g
/10min(230℃×3.8kgf)で分子量15
0,000のポリメチルメタクリレート(PMMA)、
および熱変形温度(T)が95℃、M.I.が2.5g
/10min(230℃×3.8kgf)で分子量6
0,000のPMMA、さらに熱変形温度(T)が15
0℃、M.I.が0.6g/10min(230℃×
3.8kgf)で分子量70,000のPMMA系共重
合体を、それぞれサイドストリームから溶融状態で、押
出し機中の溶融ポリエステルへ導入し、次いで20段の
スタティックミキサーを通して混合分散させた後、口金
直上に設けた254mのポアサイズをもつ金属繊維フィ
ルターおよび直径0.4mmφ―ランド長0.8mm
(L)の吐出札を36個有する紡糸口金から、口金温度
285℃にて溶融ポリマーを表1のNo.1〜11に示
すような各紡速にあわせてその吐出量を変化させつつ吐
出した。さらに口金下下方9cm〜100cmに設けた
横吹き紡糸冷却筒から25℃の空気を0.23m/se
cの速度で吹きつけて吐出ポリマー流を冷却固化せし
め、OPU0.25〜0.30wt%範囲内で油剤付着
処理を施した後、120de/36fの紡出糸として捲
取った。なお、各実験におけるドラフトは407であ
る。
【0061】尚、本実施例で用いた油剤組成(Fa)を
下記に記す。また、エマルジョン濃度10wt%とし
て、ミータリングオイルノズルを用いて付着させた。
【0062】この紡出糸の特性ならびに、捲取張力をd
e×0.15〜0.25の範囲内で調節して捲取った7
kg捲きパッケージの捲姿について結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】尚、捲き姿については、◎:極めて良好、
○:良好、△:綾はずれあり、×:捲き崩れ、バースト
として各記号を記した。
【0065】 油剤組成(Fa) ・ブタノールPO/EO(50/50)ランダム付加物(分子量2000) 50wt% ・グリセリンPO/EO(50/50)ランダム付加物(分子量6000) 47wt% ・アルキルスルホネートナトリウム塩(アルキル基C12〜C16) 1.5wt% ・EO2molラウリルホスフェートカリウム塩 l.5wt%
【0066】以下、表1の結果について考察する。実験
No.1のような低速紡糸糸においては、紡糸時のひず
み速度が遅いために、繊維伸度向上剤の伸長変形はポリ
エステルに追従し、伸張変形抵抗体として実質的に作用
しないために、伸度向上効果がわずかである。また、フ
ィラメント表面への粒子の析出個数が多いために、捲き
姿に関して単糸、マルチフィラメントの綾落ちが見られ
た。
【0067】また、No.2については、PMMAの添
加量を減少させることによって、フィラメント表面摩擦
係数低下による捲取性不良の問題は発生しないが、ベー
スポリマー中の不溶性微粒子含有量が少なく、PMMA
も実質的に伸度向上剤として作用しないために、伸度向
上効果がほとんど認められない。一方、No.3〜5に
ついては、ベースポリマー中の不溶性微粒子含有量およ
びPMMAの熱変形温度ならびに添加量が本発明の要件
を満たすため、紡出糸の残留伸度、捲取性ともに十分な
効果が認められる。No.6については、不溶性微粒子
含有量が多く、ポリマー中での析出粒子が凝集し、粗大
粒子となったため、繊維表面に析出して、捲取性を阻害
するとともに、長時間の紡糸工程中には徐々にパック内
のサンド層やフィルターに堆積、目づまりをひきおこし
てパンク圧の上昇が認められ、実用に供する事ができな
い。
【0068】またNo.7については、PMMAを多量
に添加しており、伸度向上効果は極めて高いが、綾外れ
やバースト等の捲取不良が頻発する他、大きなPMMA
粒子に応力が集中したものと推定される紡糸断糸の頻度
もかなり高い。一方、No.8では、捲取性不良となる
PMMA量を減少させて捲取性を満足させると同時に、
不溶性微粒子の働きにより、残留伸度にも十分な効果が
得られた。但し、No.9については、PMMAの熱変
形温度が、95℃と低いために、残留伸度向上を効果的
に発現する粒子径を形成できず、そのため繊維表面に析
出する粒子数が増加し、捲取不可となる。一方、No.
10は、PMMA、アクリル酸イミド付加物およびスチ
レンをモル比で25:45:30の割合で共重合し、光
熱変形温度となしたPMMA共重合体を含有している。
この場合、ポリマーとの熱変形温度差が非常に大きくて
伸長変形抵抗体としての作用が大きすぎるために、該P
MMA共重合の粒子はポリエチレンテレフタレートの変
形に追従できず、曵糸性、捲取性ともに、不可である。
【0069】また、No.11については、本発明の要
件を満たすので、高速製糸性を達成しているが、ここ
で、伸度向上剤であるPMMAと不活性微粒子を添加し
ないポリマーはワインダー昇速中に単糸切れ、断糸が発
生し、捲き取る事ができなかった。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の要件Aを満足する配向結晶抑制能
    を有するポリエステルに、その重縮合反応の完結後紡出
    以前の溶融段階で該ポリマーに対して非相溶で、紡出時
    に伸度向上剤として機能する有機ポリマーを、ポリマー
    重量を基準として0.3〜3.5%添加し、次いでこの
    溶融ポリマー混合物を紡糸口金を通して吐出し、最後に
    1,000m/min以上の速度で引き取ることを特徴
    とする高伸度紡出糸の製造方法。 [要件A]その重縮合反応が完結する以前の段階で、下
    記[式1]で表されるリン化合物とアルカリ土類金属化
    合物とを重縮合系内で反応させて得られる不溶性微粒子
    がポリマー重量を基準として、0.7〜7%の範囲で存
    在する配向結晶抑制能のあるポリマーであり、且つ該微
    粒子において金属の全当量数がリン化合物のモル数に対
    して2.0〜3.2倍の範囲にあること。 【化1】 (式中、R1 及びR2 は水素原子又は一価の有機基、X
    1 は金属、水素原子又は一価の有機基、nは1又は0で
    ある)
  2. 【請求項2】 不活性微粒子の径が高々50μmである
    請求項1記載の捲取性の改善された、高伸度ポリエステ
    ル紡出糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 不溶性微粒子と伸度向上剤との合計量が
    ポリマー重量を基準として、1.0〜10.5%の範囲
    にある請求項1記載の捲取性の改善された、高伸度ポリ
    エステル紡出糸の製造方法。
  4. 【請求項4】 伸度向上剤の熱変形温度(T)が105
    ℃〜130℃の範囲にある請求項1記載の捲取性の改善
    された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方法。
  5. 【請求項5】 伸度向上剤が、ポリエステルと実質的に
    非相溶性で且つ分子量が少なくとも2000以上の、不
    飽和モノマーからなる附加重合体である請求項1記載の
    捲取性の改善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
    分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
    ックス(230℃、荷重3.8kg)が0.5〜8.0
    g/10分のメチルメタクリレートを主成分とするポリ
    メチルメタクリレート系重合体である請求項5記載の捲
    取性の改善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
    分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
    ックス(230℃、荷重3.8kg)が0.5〜8.0
    g/10分のスチレンを主成分とするアイソタクチック
    ポリスチレン系重合体である請求項5記載の捲取性の改
    善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方法。
  8. 【請求項8】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
    分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
    ックス(230℃、荷重2.16kg)が6〜25g/
    10分のシンジオタクチック(結晶性)ポリスチレン系
    重合体である請求項5記載の捲取性の改善された、高伸
    度ポリエステル紡出糸の製造方法。
  9. 【請求項9】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
    分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
    ックス(260℃、荷重5.0kg)が5.0〜40.
    0g/10分の4―メチルペンテン―lを主成分とする
    ポリメチルペンテン系重合体である請求項5記載の捲取
    性の改善された、高伸度ポリエステル紡出糸の製造方
    法。
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