JP2000131229A - 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法 - Google Patents

鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法

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JP2000131229A
JP2000131229A JP30193198A JP30193198A JP2000131229A JP 2000131229 A JP2000131229 A JP 2000131229A JP 30193198 A JP30193198 A JP 30193198A JP 30193198 A JP30193198 A JP 30193198A JP 2000131229 A JP2000131229 A JP 2000131229A
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Takeo Yamada
健夫 山田
Tomoyuki Kobayashi
知之 小林
Mitsuaki Uesugi
満昭 上杉
Hiroharu Kato
宏晴 加藤
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JFE Engineering Corp
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Nireco Corp
NKK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線よりも取り扱いが簡単で装置が安価な装
置を利用して、鉄亜鉛合金メッキ鋼板表層のFe量を測
定する方法を提供する。 【解決手段】 光源2から放出された近赤外光は、回折
格子で単色光とされ鉄亜鉛合金メッキ鋼板7の表層に照
射される。その反射光は受光器8で受光されて電気信号
に変えられ、反射光度の分布測定装置9に入力される。
反射光度の分布測定器9は、測定波長と反射光度の関係
すなわち反射光度分布を求める。この方法で、Fe量が既
知な鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射さ
れた近赤外光を分光分析し、特定波長の近赤外光の反射
光度とFe量の関係を重回帰分析で求めて関係式を作成し
ておき、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板
に近赤外光を照射し、反射された近赤外光より、前記特
定波長の近赤外光の反射光度を求め、求められた反射光
度を前記関係式に当てはめてFe量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄亜鉛合金メッキ
鋼板表層のFe量を測定する方法に関するものであり、
さらに詳しくは、近赤外線を亜鉛メッキ鋼板の表層に照
射し、その反射光を測定して処理することにより、鉄亜
鉛合金メッキ鋼板表層のFe量を測定する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鉄亜鉛合金メッキ鋼板は、耐食性、塗装
性等において優れた性質を持つことから、自動車用鋼板
等に広く使用されるようになってきている。これら鉄亜
鉛合金メッキ鋼板においては、その性質が鉄亜鉛合金中
の鉄の含有量によって大きく変わるため、Fe含有量を
測定して所定の値に制御することが重要である。
【0003】鉄亜鉛合金中のFe量を測定する方法とし
ては、従来、もっぱらX線を使用した方法が用いられて
きた。たとえば、特開昭58−223047号公報に
は、鉄亜鉛合金メッキ鋼板上に多数の波長を持った、い
わゆる白色X線を照射した後、その下地金属からの蛍光
X線が実質的に検出されない第1の測定角と、下地金属
からの蛍光X線が検出できる第2の測定角とにおいて、
それぞれk系列の蛍光X線強度を測定し、この両測定値
に基づいてメッキ付着量及びメッキ被膜組成を求める方
法が開示されている。
【0004】また、特開昭60-169558号公報に
は、被膜による吸収を利用して下地のα−Feの回折X
線からメッキ付着量を求め、さらにメッキ被膜中の鉄亜
鉛合金相及びη相から選ばれた1つ以上の相のX線強度
からメッキ被膜相の組成を求める方法が開示されてい
る。
【0005】さらに、特開平2−257045号公報に
は、メッキ鋼板に所定の入射角で単色のX線を入射した
場合に得られる、2種類の所定の測定角での、分析目的
元素のk系列の蛍光X線強度又は強度比の理論計算式を
予め求めておくと共に、メッキ付着量及びメッキ被膜組
成が既知の標準試料を用い、前記理論計算式を求めたの
と同じ条件で、蛍光X線強度又は強度比を実測し、この
実測値と前記理論計算式より、前記実測値を理論計算値
に換算する係数を予め求めておき、これらの関係式を利
用して、実際に得られる蛍光X線強度又は強度比からメ
ッキ付着量及びメッキ被膜組成を測定する方法が開示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は、いずれも測定にX線を使用しているため、測
定機器が高価であり、かつメンテナンスが容易でないと
いう問題点を有する。また、X線を利用する場合、下地
から発生する蛍光X線、下地によって反射されるX線が
検出されるため、その影響を除くため、複雑な演算処理
が必要であるという問題点も有している。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、X線よりも取り扱いが簡単で装置
が安価な装置を利用して、鉄亜鉛合金メッキ鋼板表層の
Fe量を測定する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層における
Fe量を測定する方法であって、予めFe量が既知な鉄
亜鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近
赤外光を分光分析し、特定波長の近赤外光の反射光度と
Fe量の関係を重回帰分析で求めて関係式を作成してお
き、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近
赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析し、前
記特定波長の近赤外光の反射光度を求め、求められた反
射光度を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めること
を特徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方
法(請求項1)である。
【0009】後に説明するように、本発明者らの実験の
結果、鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層から反射される特定
波長の近赤外線の反射光度(反射率をRとした場合に、
−log10Rで示される値)の組み合わせと、その部分に
おけるFe量の間には強い相関が見られることが分かっ
た。本手段においては、これら特定波長を複数選択し、
予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼板(標準サンプ
ル)について、その波長における反射光度とFe量の関
係を重回帰分析によって求めておき、測定においては、
前記特定波長における反射光度を測定して、予め求めら
れた前記関係式にあてはめることにより、Fe量を求め
ているので、簡単な装置により、簡単な手法で、鉄亜鉛
合金メッキ鋼板の表層Fe量を求めることができる。
【0010】なお、本手段のうち、「近赤外光を照射
し、反射された近赤外光を分光分析し」とは、光源から
の光を回折格子等に照射する等により、波長を変化させ
た単色の近赤外光作り出してこれを試料に照射し、その
反射光を受光する方式の分光分析法と、連続スペクトル
を有する近赤外光を照射し、その反射光を回折格子等に
より分光する方式の分光分析法の双方を含むものであ
り、このことは以下の各手段においても同じである。
【0011】前記課題を解決するための第2の手段は、
鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるFe量を測定する
方法であって、予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼
板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析
し、特定波長における近赤外光の反射光度の一次微分値
とFe量の関係を重回帰分析で求めて関係式を作成して
おき、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に
近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析し、
前記特定波長における近赤外光の反射光度の一次微分値
を求め、求められた反射光度の一次微分値を前記関係式
に当てはめて、Fe量を求めることを特徴とする鉄亜鉛
合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法(請求項2)であ
る。
【0012】後に説明するように、本発明者らの実験の
結果、鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層から反射される近赤
外線の、特定波長における反射光度の一次微分値の組み
合わせと、その部分におけるFe量の間にも強い相関が
見られることが分かった。
【0013】本手段は、この原理を利用したもので、前
記第1の手段における特定波長における近赤外線の反射
光度を、その一次微分値で置き換えたものである。本手
段においても、簡単な装置により、簡単な手法で、鉄亜
鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量を求めることができる。
【0014】前記課題を解決するための第3の手段は、
鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるFe量を測定する
方法であって、予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼
板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析
し、特定波長における近赤外光の反射光度の二次微分値
とFe量の関係を重回帰分析で求めて関係式を作成して
おき、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に
近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析し、
前記特定波長における近赤外光の反射光度の二次微分値
を求め、求められた反射光度の二次微分値を前記関係式
に当てはめて、Fe量を求めることを特徴とする鉄亜鉛
合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法(請求項3)であ
る。
【0015】本発明者らが更に実験を進めた結果、鉄亜
鉛合金メッキ鋼板の表層から反射される近赤外線の、特
定波長における反射光度の二次微分値の組み合わせと、
その部分におけるFe量の間にも強い相関が見られるこ
とが分かった。
【0016】本手段は、この原理を利用したもので、前
記第1の手段における特定波長における近赤外線の反射
光度を、その二次微分値で置き換えたものである。本手
段においても、簡単な装置により、簡単な手法で、鉄亜
鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量を求めることができる。
【0017】前記課題を解決するための第4の手段は、
鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるFe量を測定する
装置であって、予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼
板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析
し、近赤外光の反射光度とFe量の関係をPLS回帰分
析で求めて関係式を作成しておき、実際の測定に際して
は、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射さ
れた近赤外光を分光分析して赤外光の反射光度を求め、
求められた反射光度を前記関係式に当てはめて、Fe量
を求めることを特徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層
Fe量測定方法(請求項4)である。
【0018】前記課題を解決するための第5の手段は、
鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるFe量を測定する
装置であって、予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼
板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析
し、近赤外光の反射光度の一次微分値とFe量の関係を
PLS回帰分析で求めて関係式を作成しておき、実際の
測定に際しては、亜鉛メッキ鋼板に近赤外光を照射し、
反射された近赤外光を分光分析して近赤外光の反射光度
の一次微分値を求め、求められた反射光度の一次微分値
を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めることを特徴
とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法(請
求項5)である。
【0019】前記課題を解決するための第6の手段は、
鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるFe量を測定する
装置であって、予めFe量が既知な鉄亜鉛合金メッキ鋼
板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析
し、近赤外光の反射光度の二次微分値とFe量の関係を
PLS回帰分析で求めて関係式を作成しておき、実際の
測定に際しては、亜鉛メッキ鋼板に近赤外光を照射し、
反射された近赤外光を分光分析し、近赤外光の反射光度
の二次微分値を求め、求められた反射光度の二次微分値
を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めることを特徴
とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法(請
求項6)である。
【0020】本発明者らがさらに実験を続けた結果、反
射光度、その一次微分値、及びその二次微分値とFe含
有量の関係式は、重回帰分析によらず、PLS(partic
al least squares)回帰分析法を用いて求めても良い相
関を有する関係式が得られ、むしろ精度が向上すること
がわかった。前記第4の手段〜第6の手段は、それぞれ
前記第1の手段〜第3の手段の重回帰分析をPLS回帰
分析法に変えたものである。これらの手段においても、
簡単な装置により、簡単な手法で、鉄亜鉛合金メッキ鋼
板の表層Fe量を求めることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面と実測データに
基づいて説明する。図1は本発明の実施に使用した装置
の概略構成を示す図であり、1は近赤外分光分析計、2
は光源、3はレンズ、4はスリット、5は回折格子、6
はスリット、7は鉄亜鉛合金メッキ鋼板、8は受光器、
9は反射光度の分布測定装置、10はデータ処理装置で
ある。
【0022】光源2から放出された近赤外光は、レンズ
3で平行光線とされ、スリット4でビーム状の光線とさ
れて回折格子4に照射される。回折格子4は図示されな
い回転機構で回転されるようになっており,その回転角
に応じた波長の近赤外光のみがスリット6を通して鉄亜
鉛合金メッキ鋼板7の表層に照射される。そして、その
反射光は受光器8で受光されて電気信号に変えられ、反
射光度の分布測定装置9に入力される。図示されていな
いが、反射光度の分布測定装置9には、回折格子4の回
転角度及び鉄亜鉛合金メッキ鋼板7に照射される光量が
測定されて入力されている。反射光度の分布測定器9
は、回折格子4の回転角から鉄亜鉛合金メッキ鋼板7に
照射される近赤外光の波長を求めると共に、鉄亜鉛合金
メッキ鋼板7に照射される光量A0と反射光量Aから鉄
亜鉛合金メッキ鋼板7の反射率RをR=A/A0により
もとめ、さらに反射光度R’を−log10Rとして求め
る。そして、測定波長と反射光度の関係すなわち反射光
度分布を、データ処理装置10に出力する。この近赤外
分光分析計においては、400〜2500nmの範囲の近赤外光
の反射光度を2nmピッチで測定している。
【0023】測定された鉄亜鉛メッキ鋼板の反射光度分
布の例を図2に、反射光度の一次微分値(dR'/dλ)の
例を図3に、反射光度の2次微分値(d2R'/dλ2)の例
を図4に示す。各図において、横軸は波長λ、縦軸は、
それぞれ、反射光度、その一次微分値、二次微分値を示
す。また、図中の番号は、鉄亜鉛メッキ鋼板のサンプル
番号である。図中1100nm付近で大きな変化が観測されて
いるのは、検出素子がPbSからSiに代わっているためで
あり、反射光度が急変しているためではない。よって、
データ処理上は、この付近のデータは除外して扱った。
【0024】図5に、これらのサンプルデータを使用し
て、反射光度とFeの関係を重回帰分析により求めた検
量線を示す。図において、横軸は実験室において基準と
なる方法(化学分析)で求めたFe%であり、縦軸が重
回帰分析によって求まったFe%である。重回帰分析に
使用した反射光度の波長は、2318nm、1044nm、2320nmで
あり、0.9486の相関係数、0.911%の標準偏差が得られ
ている。
【0025】図6は、図5の検量線を使用して、重回帰
分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採取し
た結果である。横軸は実験室において基準となる方法で
求めたFe%であり、縦軸は反射光度より検量線を使用
して求めたデータである。これを見ると、Fe%が2〜
14%の広い範囲にわたる場合は、全体として良い測定
精度が得られていることが分かる。しかし、Fe%が10
%を超えるデータのみに着目した場合、基準値と測定値
の関係が必ずしも検量線にそっていない点に多少不満が
残る。この場合の相関係数は0.892、標準偏差は1.24%
であった。
【0026】図7に、これらのサンプルデータを使用し
て、反射光度の一次微分値とFeの関係を重回帰分析に
より求めた検量線を示す。図において、横軸は実験室に
おいて基準となる方法で求めたFe%であり、縦軸が重
回帰分析によって求まったFe%である。重回帰分析に
使用した反射光度の波長は、920nm、550nm、612nmであ
り、当然のことながら、反射光度とFeの関係を求める
のに使用した波長とは異なっている。この回帰分析で
は、0.9595の相関係数、0.811%の標準偏差が得られて
いる。
【0027】図8は、図7の検量線を使用して、重回帰
分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採取し
た結果である。横軸は実験室において基準となる方法で
求めたFe%であり、縦軸は反射光度の一次微分値より
検量線を使用して求めたデータである。これを見ると、
Fe%が10%を超えるデータにおいても、基準値と測定
値の関係が検量線に沿うようになっていることがわか
る。この場合の相関係数は0.959、標準偏差は0.782%で
あった。
【0028】図9に、これらのサンプルデータを使用し
て、反射光度の二次微分値とFeの関係を重回帰分析に
より求めた検量線を示す。図において、横軸は実験室に
おいて基準となる方法で求めたFe%であり、縦軸が重
回帰分析によって求まったFe%である。重回帰分析に
使用した反射光度の波長は、828nm、974nm、2056nmであ
り、この回帰分析では、0.9649の相関係数、0.756%の
標準偏差が得られている。
【0029】図10は、図9の検量線を使用して、重回
帰分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採取
した結果である。横軸は実験室において基準となる方法
で求めたFe%であり、縦軸は反射光度の一次微分値よ
り検量線を使用して求めたデータである。この場合の相
関係数は0.886、標準偏差は1.18%であった。これらを
比較すると、重回帰分析を用いた以上の3つの方法は、
いずれも測定方法として使用可能ではあるものの、反射
光度の一次微分値を用いた方法がもっとも好ましいこと
がわかる。
【0030】次に、重回帰分析に使用したものと同じデ
ータを使用して、PLS(partialleast squares)回帰
分析による検量線の作成を試みた。PLS回帰分析法
は、S. Wold により開発された方法であり、通常の回帰
分析では、誤差の存在は説明変数中にのみあると仮定す
るが、PLS回帰分析法では説明変数と目的変数の両変
数に誤差を仮定するという違いがある。このように、変
数が含む全情報を利用して回帰式を算出するので、主成
分回帰分析より高い予測制度が得られることに特徴を有
する。PLS回帰分析法は、すでに周知のものであり、
それを計算するプログラムも標準化されたものが市販さ
れているようなものであるし、その内容は煩雑であるの
で、ここでは説明を省略する(必要とあれば、「ケモメ
トリックス」(相島鐵郎著、丸善株式会社発行、P.116-
118)等を参照)。本実施例においても、PLSの計算
は近赤外分光装置に付属の標準プログラムを用いて行っ
た。
【0031】図11は、前記重回帰分析で使用したもの
と同じデータを使用し、反射光度とFe%の関係をPL
S回帰分析で求めた検量線を示すものである。図におい
て、横軸は実験室において基準となる方法で求めたFe
%であり、縦軸がPLS回帰分析によって求まったFe
%である。この場合、相関係数は0.9140、標準偏差は1.
1679%となっている。(なお、この場合を含め、以下の
PLS回帰分析に使用した波長は、500〜1050nm、1150
〜1900nm、2200〜2400nmの3波長域であり、サンプル間
隔は2nmである。)
【0032】図12は、図11の検量線を使用して、重
回帰分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採
取した結果である。横軸は実験室において基準となる方
法で求めたFe%であり、縦軸は反射光度より検量線を
使用して求めたデータである。この場合の相関係数は0.
941、標準偏差は0.864%であった。
【0033】図11と図5、図12と図6を比べてみる
と分かるように、同じ反射光度のデータを使用した場合
でも、PLS回帰分析で検量線を求めたほうが、精度の
良い検量線が得られることが分かる。特に、重回帰分析
で求めた場合と異なり、Fe%が10%を超える場合で
も、基準値と測定値の対応がとれている。
【0034】図13は、前記重回帰分析で使用したもの
と同じデータを使用し、反射光度の一次微分値とFe%
の関係をPLS回帰分析で求めた検量線を示すものであ
る。図において、横軸は実験室において基準となる方法
で求めたFe%であり、縦軸がPLS回帰分析によって
求まったFe%である。この場合、相関係数は0.9498、
標準偏差は0.8999%となっている。
【0035】図14は、図13の検量線を使用して、重
回帰分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採
取した結果である。横軸は実験室において基準となる方
法で求めたFe%であり、縦軸は反射光度より検量線を
使用して求めたデータである。この場合、相関係数は0.
952,標準偏差は0.841%となっている。
【0036】図13と図7、図14と図8を比べてみる
と分かるように、この場合には、重回帰分析で検量線を
求めた方が、PLS回帰分析で検量線を求めるよりも、
精度の良い検量線が得られることが分かる。とくに、図
13、図14において、Fe%が11%を超えた場合、
検量線の傾きと実際値が必ずしも一致しなくなる点に不
満が残る。
【0037】図15は、前記重回帰分析で使用したもの
と同じデータを使用し、反射光度の二次微分値とFe%
の関係をPLS回帰分析で求めた検量線を示すものであ
る。図において、横軸は実験室において基準となる方法
で求めたFe%であり、縦軸がPLS回帰分析によって
求まったFe%である。この場合、相関係数は0.9510、
標準偏差は0.8899%となっている。
【0038】図16は、図15の検量線を使用して、重
回帰分析に用いなかった他のサンプルの測定データを採
取した結果である。横軸は実験室において基準となる方
法で求めたFe%であり、縦軸は反射光度より検量線を
使用して求めたデータである。この場合、相関係数は0.
953,標準偏差は0.831%となっている。図15と図9、
図16と図10を比べてみると分かるように、PLS回
帰分析で検量線を求めたほうが、精度の良い検量線が得
られることが分かる。
【0039】以上のように、PLS回帰分析を用いて、
反射光度、反射光度の一次微分値、反射光度の二次微分
値からFe量を推定する方法は、いずれも使用すること
ができるが、反射光度の二次微分値を使用する方法が最
も精度が良いことが分かる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、標準サンプルである鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近赤外
線を照射し、その反射光度、反射光度の一次微分値、反
射光度の二次微分値のいずれかを使用して、重回帰分析
法又はPLS回帰分析法によって検量線を求め、測定時
においては、この検量線を使用してFe量を求めてい
る。よって、高価、メンテナンスが困難で,複雑な演算
を必要とするX線を使用することなく、鉄亜鉛合金メッ
キ鋼板表層のFe量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用した装置の概略構成を示す
図である。
【図2】測定された鉄亜鉛メッキ鋼板の反射光度分布の
例を示す図である。
【図3】測定された鉄亜鉛メッキ鋼板の反射光度の一次
微分値の例を示す図である。
【図4】測定された鉄亜鉛メッキ鋼板の反射光度の二次
微分値の例を示す図である。
【図5】反射光度とFeの関係を重回帰分析により求め
た検量線の例を示す図である。
【図6】図5に示す検量線を使用して測定したデータ
と、基準データの関係を示す図である。
【図7】反射光度の一次微分値とFeの関係を重回帰分
析により求めた検量線の例を示す図である。
【図8】図7に示す検量線を使用して測定したデータ
と、基準データの関係を示す図である。
【図9】反射光度の二次微分値とFeの関係を重回帰分
析により求めた検量線の例を示す図である。
【図10】図9に示す検量線を使用して測定したデータ
と、基準データの関係を示す図である。
【図11】反射光度とFeの関係をPLS回帰分析によ
り求めた検量線の例を示す図である。
【図12】図11に示す検量線を使用して測定したデー
タと、基準データの関係を示す図である。
【図13】反射光度の一次微分値とFeの関係をPLS
回帰分析により求めた検量線の例を示す図である。
【図14】図13に示す検量線を使用して測定したデー
タと、基準データの関係を示す図である。
【図15】反射光度の二次微分値とFeの関係をPLS
回帰分析により求めた検量線の例を示す図である。
【図16】図15に示す検量線を使用して測定したデー
タと、基準データの関係を示す図である。
【符号の説明】
1…近赤外分光分析計 2…光源 3…レンズ 4…スリット 5…回折格子 6…スリット 7…鉄亜鉛合金メッキ鋼板 8…受光器 9…反射光度の分布測定装置 10…データ処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 知之 東京都八王子市石川町2951番地4 株式会 社ニレコ内 (72)発明者 上杉 満昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 宏晴 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB10 BB15 CC03 EE02 HH01 JJ05 MM01 MM02 MM05 MM12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する方法であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、特定波長の近赤外光の反射光度とF
    e量の関係を重回帰分析で求めて関係式を作成してお
    き、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近
    赤外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析し、前
    記特定波長の近赤外光の反射光度を求め、求められた反
    射光度を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めること
    を特徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方
    法。
  2. 【請求項2】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する方法であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、特定波長における近赤外光の反射光
    度の一次微分値とFe量の関係を重回帰分析で求めて関
    係式を作成しておき、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合
    金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光
    を分光分析し、前記特定波長における近赤外光の反射光
    度の一次微分値を求め、求められた反射光度の一次微分
    値を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めることを特
    徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法。
  3. 【請求項3】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する方法であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、特定波長における近赤外光の反射光
    度の二次微分値とFe量の関係を重回帰分析で求めて関
    係式を作成しておき、実際の測定に際しては、鉄亜鉛合
    金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤外光
    を分光分析し、前記特定波長における近赤外光の反射光
    度の二次微分値を求め、求められた反射光度の二次微分
    値を前記関係式に当てはめて、Fe量を求めることを特
    徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe量測定方法。
  4. 【請求項4】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する装置であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、近赤外光の反射光度とFe量の関係
    をPLS回帰分析で求めて関係式を作成しておき、実際
    の測定に際しては、鉄亜鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を
    照射し、反射された近赤外光を分光分析して赤外光の反
    射光度を求め、求められた反射光度を前記関係式に当て
    はめて、Fe量を求めることを特徴とする鉄亜鉛合金メ
    ッキ鋼板の表層Fe量測定方法。
  5. 【請求項5】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する装置であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、近赤外光の反射光度の一次微分値と
    Fe量の関係をPLS回帰分析で求めて関係式を作成し
    ておき、実際の測定に際しては、亜鉛メッキ鋼板に近赤
    外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析して近赤
    外光の反射光度の一次微分値を求め、求められた反射光
    度の一次微分値を前記関係式に当てはめて、Fe量を求
    めることを特徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe
    量測定方法。
  6. 【請求項6】 鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層におけるF
    e量を測定する装置であって、予めFe量が既知な鉄亜
    鉛合金メッキ鋼板に近赤外光を照射し、反射された近赤
    外光を分光分析し、近赤外光の反射光度の二次微分値と
    Fe量の関係をPLS回帰分析で求めて関係式を作成し
    ておき、実際の測定に際しては、亜鉛メッキ鋼板に近赤
    外光を照射し、反射された近赤外光を分光分析し、近赤
    外光の反射光度の二次微分値を求め、求められた反射光
    度の二次微分値を前記関係式に当てはめて、Fe量を求
    めることを特徴とする鉄亜鉛合金メッキ鋼板の表層Fe
    量測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013035726A1 (ja) * 2011-09-07 2013-03-14 Jfeスチール株式会社 測定方法および測定装置
JP2015161579A (ja) * 2014-02-27 2015-09-07 三菱電機株式会社 貴金属量算出装置および貴金属量算出方法

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