JP2006153770A - 分光計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化を実現し、距離バタツキや水平方向角度バタツキや垂直方向角度バタツキに対する耐性を付与することにより、例えば半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適な分光計測装置を提供すること。
【解決手段】透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記光電変換部アレイ手段の直前に備えると共に、試料からの反射光の偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚または膜質を求める。
【選択図】図2
【解決手段】透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記光電変換部アレイ手段の直前に備えると共に、試料からの反射光の偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚または膜質を求める。
【選択図】図2
Description
本発明は、薄膜の膜厚や膜質(光学定数、試料構造等)の計測等の用途に好適な光の偏光状態の変化を利用した分光計測装置に係り、特に、生産ラインにおけるインライン計測に好適な分光計測装置に関する。
近年、半導体製造プロセスにおいては、半導体基板の大型化やデザインルールの微細化に伴い、不良に対する莫大な損害の可能性や微妙な異常に対する管理の必要性が生じ、このことから検査の重要性がますます高まっている。
また、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)に代表されるFPD(Flat Panel Display)製造プロセスにおいても、ガラス基板の大型化が進む中で、大画面化・高精細化・高品位化が急速に進んでおり、高品質の製品を高歩留まりで生産するために、検査の重要性がますます高まっている。
従来、この種の製造プロセスにおける製品検査、特に、膜厚検査は、大きくかつ高価な分光計測装置を用いて、オフライン計測にて行われていた。このオフライン計測は、製造プロセス中から製品を抜き取り、離れたところにある分光計測装置まで運び、測定・確認を行うという一連の手順を通じて行われる。
このようなオフライン計測では、測定した結果が管理基準から外れていた場合、その情報をフィードバックしてプロセスに反映・修正するまでに時間を要し、また抜き取りを行っていない製品については管理基準から外れているかの判定もできず、歩留まりを低下させるという問題があった。
そこで、例えば、成膜プロセス中(in−situ)又は成膜プロセス直後の製造ライン中に分光計測装置を組み込むことでインライン膜厚計測を実現し、製造プロセス中から製品を抜き取ることなく全数測定を行うことで、製品歩留まりを向上させたいとするニーズが大きくなっている。
このようなインライン計測に適用可能な分光計測装置としては、(1)従来のオフライン膜厚計測に使用される分光計測装置と同等の性能を有すること、(2)小型で高速演算処理が可能であること、(3)後述する距離バタツキや角度バタツキに対する耐性を有すること、と言った諸条件が要求される。加えて、近年のデザインルールの微細化に伴い、絶縁膜等は極めて薄くなり、数nmの超薄膜の膜厚および膜質を検査する重要性がますます高まってきている。
従来、膜厚の測定には分光解析方式または偏光解析方式の膜厚計が主に使われているが、共に回折格子を用いた分光器により構成されているため、装置が大型になりインライン計測には不向きであるといった欠点がある。
また、分光解析方式の膜厚計ではS偏光とP偏光との平均値である反射率しか測定できないため、S偏光又はP偏光、それぞれの反射率を総合して膜厚を算出するエリプソメータなどに代表される偏光解析方式の膜厚計と比べ、情報量が少なく、高精度な計測は不可能である。
さらに、分光解析方式の膜厚計では、試料への入射波の強度分布波形と試料からの反射波の強度分布波形との比を取ることで反射率を算出するため、膜厚計測時には、別途、入射波の強度分布波形を測定する作業が必要になる。その結果、計測時間が増大するといった欠点があり、インライン計測には不利である。
一方、偏光解析方式の膜厚計では、S偏光の強度分布波形とP偏光の強度分布波形とを同時に測定し、それらにより膜厚を算出するため、別途入射波の強度分布波形を計測するなどの作業は必要ない。そのため、計測時間が少なくてすみ、インライン計測に好適といえる。
また、物質の膜質(光学定数、試料構造等)を解析するためには、広い波長領域で測定されたスペクトルが必要であり、膜質を計測する点から分光偏光解析方式の膜厚計が有利である。なお、ここで言う『膜質』とは、屈折率、吸収係数、バンド構造、結晶構造等の諸特性を意味する。
偏光解析方式の膜厚計である検光子を回転させる単入射角分光エリプソメータの従来例が図42に示されている(特許文献1参照)。図において、aは光源部、bは偏光子、cは1/4波長板、dは測定試料、eは回転検光子、fは検光子駆動部、gは電子計算機、h1〜h5は光検出器、iは回折格子である。
説明の便宜のために、図42に示される単入射角分光エリプソメータにおける光検出器h1〜h5をフォトアレイ型検出器とした例が、図43に示されている。図において、101は多色光源、102は偏光子、103は移相子、104は試料、105は検光子、106は集光レンズ、107は回折格子、108は一次元CCDである。
図43から明らかなように、多色光源101から発せられた光は、偏光子102及び移相子103を通過することにより直線偏光状態とされて、試料104の表面へと斜めに入射されるへと照射される。試料104からの反射光の光路上には、偏光状態を調べるための検光子105、集光レンズ106、分光機能を有する回折格子107、光電変換機能を有するフォトアレイ検出器108が順に配置されている。これにより、反射光の各波長についての偏光状態が測定されて、対応するスペクトルが取得される。最後に、図示しない演算部において理論波形と実測波形とのフィッティングが行われて、試料の膜厚が算出される。
特開平6−288835号公報
上述の単入射角分光エリプソメータにあっては、回折格子を利用した分光器により構成されているので装置が大型になり(第1の問題点)、インライン計測のためにラインに組み込むのが困難となる。
また、後述する距離バタツキが生じた場合、観測される反射光の強度分布波形は変化しないが、後述する水平方向角度バタツキまたは垂直方向角度バタツキが生じた場合には、観測される反射光の強度分布波形が大きく変動し(第2の問題点)、計測が困難となる。つまり、距離バタツキにも、角度バタツキにも弱いため、実仕様上、インライン計測は不可能となる。このような状況を解消しようとすると、測定したい試料を固定する専用のステージが必要になり、装置の設置条件が大幅に制限される。
さらに、測定前には試料までの距離および試料の傾斜の位置合わせをしなければならないため(第3の問題点)、ステージの調整に時間がかかる。その結果、計測時間が増大し、インラインでの計測には不適とされる。
[距離バタツキの説明]
図44〜図46を参照しつつ「距離バタツキ」について説明する。図44〜図46において、201は多色光源、202は偏光子、203は移相子、204は半導体製品やFDP等の試料、205は検光子、206は集光点を一次元CCDの受光面にもつ集光レンズ、207は回折格子、208は一次元CCDであり、特許文献1に記載の発明を簡略化して示すものである。
図44〜図46を参照しつつ「距離バタツキ」について説明する。図44〜図46において、201は多色光源、202は偏光子、203は移相子、204は半導体製品やFDP等の試料、205は検光子、206は集光点を一次元CCDの受光面にもつ集光レンズ、207は回折格子、208は一次元CCDであり、特許文献1に記載の発明を簡略化して示すものである。
なお、図44は試料が基準高さにあるとき、図45は試料が下降高さにあるとき、図46は試料が上昇高さにあるときのそれぞれにおける光学系と試料との位置関係を示す図である。
距離バタツキとは、光学系(例えば、移相子203)と試料204との距離が変動する現象のことである。この距離バタツキが発生すると、一次元CCD208を介して観測される反射光強度分布波形のアレイ列方向の幅は変動しないが、位置が変動するため、その強度分布波形に基づいて算出される薄膜の光学定数は誤ったものとなる。
図44と図45との比較から明らかなように、試料が基準高さにあるときの試料204からの反射光線L101と、試料が下降高さにあるときの試料204からの反射光線L102は平行であるが、回折格子207に入射する位置が異なるため、試料204が基準高さにあるときの反射光強度分布波形W101と下降高さにあるときの反射光強度分布波形W102とは一致しない。
同様に、図44と図46との比較から明らかなように、試料が基準高さにあるときの試料204からの反射光線L101と、試料が上昇高さにあるときの試料204からの反射光線L103は平行であるが、回折格子207に入射する位置が異なるため、試料204が基準高さにあるときの反射光強度分布波形W101と上昇高さにあるときの反射光強度分布波形W103とは一致しない。
[水平方向角度バタツキの説明]
図47〜図49を参照しつつ、「水平方向角度バタツキ」について説明する。図47〜図49において、図44〜図46と同一構成部分については同符号を付して説明は省略する。
図47〜図49を参照しつつ、「水平方向角度バタツキ」について説明する。図47〜図49において、図44〜図46と同一構成部分については同符号を付して説明は省略する。
なお、図47は試料が基準角度(入射面に対して垂直な平面)にあるとき、図48は試料が右下がり傾斜(右傾)状態にあるとき、図49は試料が左下がり傾斜(左傾)状態にあるときのそれぞれにおける光学系と試料との位置関係を示す図である。
水平方向角度バタツキとは、入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料204の傾きが変動する現象のことである。この水平方向角度バタツキが生ずると、一次元CCD208を介して観測される反射光強度分布波形のアレイ列方向の幅は変動し、その強度分布波形に基づいて算出される薄膜の光学定数は誤ったものとなる。
図47と図48との比較から明らかなように、試料204が基準角度にあるときの試料からの反射光線L201と、試料が右傾角度にあるときの試料からの反射光線L202とは平行ではなく、回折格子207上に入射する角度および位置が異なるため、試料204が基準角度にあるときの反射光強度分布波形W201と右傾角度にあるときの反射光強度分布波形W202とは一致しない。
同様に、図47と図49との比較から明らかなように、試料204が基準角度にあるときの試料からの反射光線L201と、試料が左傾角度にあるときの試料からの反射光線L203とは平行ではなく、回折格子207上に入射する角度および位置が異なるため、試料204が基準角度にあるときの反射光強度分布波形W201と左傾角度にあるときの反射光強度分布波形W203とは一致しない。
[垂直方向角度バタツキの説明]
図50〜図52を参照しつつ、「垂直方向角度バタツキ」について説明する。図50〜図52において、図44〜図46と同一構成部分については同符号を付して説明は省略する。
図50〜図52を参照しつつ、「垂直方向角度バタツキ」について説明する。図50〜図52において、図44〜図46と同一構成部分については同符号を付して説明は省略する。
なお、図47は試料が基準角度(入射面に対して垂直な平面)にあるとき、図48は試料が後下がり傾斜(後傾角度)にあるとき、図49は試料が前下がり傾斜(前傾角度)にあるときのそれぞれにおける光学系と試料との位置関係を示す図である。
垂直方向角度バタツキとは、入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾きが変動する現象のことである。この垂直方向角度バタツキが生ずると、回折格子207で回折した光線の広がり方向は一次元CCD208のアレイ列方向からずれ、一次元CCD208において反射光強度分布を完全に受光することは出来なくなる。その結果、その強度分布波形に基づいて算出される薄膜の光学定数は誤ったものとなる。
図50と図51との比較から明らかなように、試料204が基準角度にあるときの試料からの反射光線L301と、試料が後傾角度にあるときの試料204からの反射光線L302とは平行ではなく、回折格子207上に入射する角度および位置が異なるため、試料204が基準角度にあるときの反射光強度分布波形W301と右傾角度にあるときの反射光強度分布波形W302とは一致しない。
同様に、図50と図52との比較から明らかなように、試料204が基準角度にあるときの試料からの反射光線L301と、試料204が前傾角度にあるときの試料204からの反射光線L303とは平行ではなく、回折格子207上に入射する角度および位置が異なるため、試料204が基準角度にあるときの反射光強度分布波形W301と前傾角度にあるときの反射光強度分布波形W303とは一致しない。
なお、以下、水平方向角度バタツキと垂直方向角度バタツキを総称して、角度バタツキと称す。
この発明は、従来の分光解析方式及び偏光解析方式の膜厚計を含む分光計測装置における上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、例えば半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適な分光計測装置を提供することにある。
この発明の、より具体的な目的とするところは、小型化を実現し、距離バタツキや水平方向角度バタツキや垂直方向角度バタツキに対する耐性を有する分光計測装置を提供することにある。
本発明の分光計測装置は、様々な方位角度成分を含む測定媒体光を試料表面に集光して照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含み、透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記光電変換部アレイ手段の直前に備えると共に、試料からの反射光の偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚または膜質を求める演算部を具備する、ことを特徴とするものである。
好ましい実施の形態においては、前記受光側光学系に含まれる前記レンズと前記光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されている。
好ましい実施の形態においては、前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記試料の傾き変動における特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている。
好ましい実施の形態においては、前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている。
好ましい実施の形態においては、前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段が含まれており、さらに入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、前記受光側光学系に含まれる前記レンズと第2の光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されており、さらに前記演算手段には、請求項1に記載の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれており、さらに前記第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている。
好ましい実施の形態においては、前記特徴化手段が前記測定媒体光の断面輪郭のうちで試料の傾き基準に相当する部分をエッジ整形する断面輪郭整形手段である。
好ましい実施の形態においては、前記断面輪郭整形手段には、スリット、アパーチャ、又はナイフエッジが少なくとも含まれている。
好ましい実施の形態においては、前記光源に白色光源が使用されている。
好ましい実施の形態においては、前記白色光源がLED光源とされている。
好ましい実施の形態においては、試料上のスポット径が1mm以下とされている。
好ましい実施の形態においては、前記記載の光電変換部アレイ手段として、ニ次元アレイ手段が使用されている。
好ましい実施の形態においては、前記白色光源がLED光源とされている。
好ましい実施の形態においては、試料上のスポット径が1mm以下とされている。
好ましい実施の形態においては、前記記載の光電変換部アレイ手段として、ニ次元アレイ手段が使用されている。
好ましい実施の形態においては、理論波形を算出する演算部が、前記分光素子の波長分解能による誤差を解消する処理を含んでいる。
好ましい実施の形態においては、試料基板が透明基板の場合、演算部が試料基板の裏面からの反射した光を含む反射率の理論式により、理論波形を算出する処理を含んでいる。
好ましい実施の形態においては、演算部が、試料基板が透明基板であるか不透明基板であるかを入力できる入力手段を有するものとされている。
好ましい実施の形態においては、位相を遅らす機能を有する移相子を回転する機構を備え、投光側光学系には偏光子が含まれており、受光側光学系には検光子が含まれているものとされている。
好ましい実施の形態においては、位相を遅らす機能を有する移相子を前記投光側光学系に備えている。
好ましい実施の形態においては、前記投光側光学系から照射される前記測定媒体光には2以上の偏光成分が含まれており、かつ前記受光側光学系には前記各偏光成分に対応する2以上の光電変換部アレイ手段並びに前記試料上の膜厚計測点から到来する反射光を各偏光成分に分離して該当する光電変換部アレイ手段のそれぞれに導くための偏光分離手段が含まれている。
好ましい実施の形態においては、前記試料の色度を計測するように構成されている。
好ましい実施の形態においては、前記試料の膜厚を計測するように構成されている。
好ましい実施の形態においては、前記試料の膜質を計測するように構成されている。
好ましい実施の形態においては、前記試料の膜厚を計測するように構成されている。
好ましい実施の形態においては、前記試料の膜質を計測するように構成されている。
好ましい実施の形態におていは、製造ラインに配置されてインラインで計測を行うように構成されている。
好ましい実施の形態においては、製造ラインに配置されて、全数検査し、ロギングし解析した結果を製造ライン内の装置にフィードバックできるように構成されている。
本発明の分光計測装置によれば、小型化を実現すると共に、距離バタツキや水平方向角度バタツキや垂直方向角度バタツキに対する耐性を獲得することができ、これにより例えば半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適な分光計測装置を実現することができる。
先ず、本発明の実施形態の位置付けを明確にするため、従来の分光エリプソメータの課題と本発明の実施形態との関係について説明する。
[従来の分光エリプソメータの課題]
(1)第1の課題
分光手段として、回折格子型の分光素子を用いるため、装置が大型になり、インライン計測には不向きである。
(1)第1の課題
分光手段として、回折格子型の分光素子を用いるため、装置が大型になり、インライン計測には不向きである。
(2)第2の課題
距離バタツキおよび角度バタツキに弱く、インラインでの計測が不可能である。
距離バタツキおよび角度バタツキに弱く、インラインでの計測が不可能である。
[上記課題と本発明の実施形態との関係]
(1)第1の課題に対する解決策
第1実施形態〜第9実施形態に示すように分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を用いることで、小型化を実現した。
(1)第1の課題に対する解決策
第1実施形態〜第9実施形態に示すように分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を用いることで、小型化を実現した。
(2)第2の課題に対する解決策
第2実施形態および第6実施形態に示す距離バタツキに強い光学系、第3実施形態および第7実施形態に示す水平および垂直方向角度バタツキに強い光学系、第4実施形態および第8実施形態に示す距離バタツキおよび水平および垂直方向角度バタツキに強い光学系を実現し、インライン計測を可能とした。
第2実施形態および第6実施形態に示す距離バタツキに強い光学系、第3実施形態および第7実施形態に示す水平および垂直方向角度バタツキに強い光学系、第4実施形態および第8実施形態に示す距離バタツキおよび水平および垂直方向角度バタツキに強い光学系を実現し、インライン計測を可能とした。
以下に、この発明に係る分光計測装置の好適な実施の一形態を添付図面に従って詳細に説明する。
[第1実施形態]
単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図が図1に示されている。同図に示されるように、このエリプソメータ1は、センサヘッド部2と、演算処理部3と、モニタ・キーボード・マウス等のHMI(Human Machine Interface)部4とを含んでいる。なお、図において、5は試料(例えば半導体やFPD等)を構成する基板、5aは基板5の表面に存在する測定対象薄膜である。この図1に示されるエリプソメータの基本構成は、以下に述べる第1乃至第9実施形態のすべてに共通に適用される。
単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図が図1に示されている。同図に示されるように、このエリプソメータ1は、センサヘッド部2と、演算処理部3と、モニタ・キーボード・マウス等のHMI(Human Machine Interface)部4とを含んでいる。なお、図において、5は試料(例えば半導体やFPD等)を構成する基板、5aは基板5の表面に存在する測定対象薄膜である。この図1に示されるエリプソメータの基本構成は、以下に述べる第1乃至第9実施形態のすべてに共通に適用される。
図1に示される基本構成を前提として、透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子(以下、傾斜膜と称す)を用いることにより小型化を実現したエリプソメータの第1実施形態を、図2〜図15を参照しつつ詳細に説明する。
小型化技術が組み込まれたセンサヘッド部2の光学的構成が図2に示されている。同図に示されるように、このエリプソメータ1は、投光用光学系と受光用光学系とを有している。
投光用光学系は、光源(図示例では白色光源)301と、光源301から発せられた光をコリメート光にするためのコリメータレンズ302と、コリメータレンズ302から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子303と、偏光子303から出射される光を波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子304と、移相子304を回転させる駆動手段305と、移相子通過後の光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光レンズ306とを含んでいる。尚、当業者にはよく知られているように、位相子304は、駆動手段305からの動力を受けて、光軸を中心としてその周りを回転する。
受光用光学系は、基板5に照射された測定媒体光の反射光を受光してコリメート光にするためのコリメータレンズ(受光レンズ)308と、コリメータレンズ308から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子309と、透過光波長が長手方向の各位置に応じて次第に変化する光干渉式の分光素子である傾斜膜311と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向(紙面と垂直な方向)にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD310が相当)を含んでいる。
傾斜膜311は、光電変換部アレイ手段を構成する一次元CCD310の受光面に被着された状態とされ、その長手方向が一次元CCD310の画素列方向と整合するように方向付けされている。
光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データは演算手段(図示例では演算処理部3が相当)へと送られ、これにより測定対象となる薄膜5aの膜厚が求められる。
演算処理部3の電気的構成が図3に示されている。同図に示されるように、演算処理部3は、投光部制御信号s1を生成出力する投光部駆動回路32と、一次元CCD出力信号s2をデジタル信号に変換するAD変換部33と、一次元CCD制御信号s3を生成出力するCCD駆動回路34と、各種のシステムプログラムを格納したROM35と、HMI部を構成するキーボードやマウスとのインタフェースとして機能する入出力部36と、HMI部を構成するディスプレイとのインタフェースとして機能する表示部37と、それらの構成要素32〜37を統括制御すると共に、後述する膜厚測定演算等を実行するためのCPU31とを含んで構成される。
次に、以上の構成よりなる本実施形態の作用を説明する。本実施形態にあっては、全てのストークスパラメータ(S0〜S3)を求めることが可能な回転移相子法を採用することにより、高精度な計測を可能とした。また干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用することにより、回折格子後段のレンズ等を省略して装置の小型化を実現した(図4参照)。
図2を参照しつつ、膜厚測定のための基本動作を説明する。光源301から発せられた測定媒体光は、コリメータレンズ302・偏光子303・移相子304を介し、集光レンズ306の作用で測定対象である基板5上の薄膜5aに集光して照射される。試料の膜厚測定点は、入射光のほぼ集光位置に置かれる。このとき、θ0〜θ1の範囲の連続した入射角成分を有する測定媒体光が試料へと入射されることになる。
集光レンズ306を介して入射された測定媒体光は試料で反射される。試料の膜厚測定点から到来する測定媒体光の反射光のうち入射角がθ2の光は、コリメータレンズ308・検光子309・傾斜膜311を介し、受光レンズ308の作用で一次元CCD310の受光面に導かれる。
これにより、一次元CCD310からは各受光素子(画素)の受光量データをシリアルに並べたものに相当する一次元CCD出力信号s2が送出される。この一次元CCD出力信号s2に基づいて、入射角(θ2)における波長に応じた反射光強度分布が観測される。このとき観測される反射光強度分布は、波長に応じた量である。
駆動手段(移相子)305を角度x°ずつ回転し、順次一次元CCDデータを計測する。駆動手段(移相子)305が半回転(180°)分回転したところで、これらを演算処理部3で処理することにより、実測値の位相差Δと振幅比ψを算出する。同時に、演算処理部3で理論値の位相差Δと振幅比ψを算出し、最後に、実測値と理論値を対比することで膜厚を求めることができる。
実測値の位相差Δと振幅比ψの算出法を以下に示す。回転移相子法では、一次元CCD310で検出される光強度波形Iは一般に以下の式で表される。
I=I0(1+α0cos2ωt+α1sin2ωt+α2cos4ωt+α3sin4ωt)
ここでα0,α1,α2,α3は規格化フーリエ級数、ωtは移相子の回転角を示している。
また、規格化フーリエ級数とストークスパラメータS0,S1,S2,S3には一般的に以下の関係式がある。
ここでα0,α1,α2,α3は規格化フーリエ級数、ωtは移相子の回転角を示している。
また、規格化フーリエ級数とストークスパラメータS0,S1,S2,S3には一般的に以下の関係式がある。
ここでPは偏光子の方位角、Aは検光子の方位角、φは移相子の位相差、λは波長を示す。また、ストークスパラメータS0,S1,S2,S3と位相差Δおよび振幅比ψには一般的に以下の関係式がある。なお、pは偏光度を示す。
次に、理論値の位相差Δと振幅比ψの算出法を以下に示す。例えば、図5に示されるように、Si基板702上に成膜された酸化膜(ゲート酸化膜等)701の膜厚を測定する場合、上記のようにして、空気(屈折率=N0)700中から角度θ0で照射された楕円偏光状態の入射光は、酸化膜(屈折率=N1)701表面で反射するとともに、そのほとんどは酸化膜701内に入射する。
酸化膜701内に入射した光は、Si基板702界面(基板面)(屈折率=N2)で反射して酸化膜701内から空気700中に戻り、酸化膜701表面での反射光と偏光干渉する。上記のような光について、それぞれp偏光成分とs偏光成分を計算し、それぞれの位相差Δと振幅比Ψから膜厚が算出される。
Si基板702面での反射光のp偏光成分(r1p)と、s偏光成分(r1s)は、それぞれ以下の式によって計算される。
r1p=(n2cosθ1−n1cosθ2)/(n2cosθ1+n1cosθ2)
r1s=(n1cosθ1−n2cosθ2)/(n1cosθ1+n2cosθ2)
r1p=(n2cosθ1−n1cosθ2)/(n2cosθ1+n1cosθ2)
r1s=(n1cosθ1−n2cosθ2)/(n1cosθ1+n2cosθ2)
また、検出される光のp偏光成分(RP)とs偏光成分(Rs)は、上記のr1p、r1sと、酸化膜701面での反射光のp偏光成分(r0p)と、s偏光成分(r0s)から、以下の式により偏光状態が計算される。
RP=(r0p+r1pexp(−2iδ))/(1+r0p・r1pexp(−2iδ))
Rs=(r0s+r1sexp(−2iδ))/(1+r0s・r1sexp(−2iδ))
但し(δ=2πn1dcosθ1/λ)
最終的に、
RP/Rs=tan(Ψ)・exp(−iΔ) ・・・式(9)
を用いて、ΔとΨを各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。そして、酸化膜701の膜厚値dをパラメータとして、実測スペクトルと、後述する傾斜膜の半値幅補正処理後の理論スペクトル(テーブルデータ)とを比較することで、膜厚値dを算出することができる。さらに、図6では単層膜に限定してRP,Rsを導出しているが、図7に示されるように、多層膜に対応した理論式も導出可能であり、多層膜の膜厚や屈折率測定も可能である。
RP=(r0p+r1pexp(−2iδ))/(1+r0p・r1pexp(−2iδ))
Rs=(r0s+r1sexp(−2iδ))/(1+r0s・r1sexp(−2iδ))
但し(δ=2πn1dcosθ1/λ)
最終的に、
RP/Rs=tan(Ψ)・exp(−iΔ) ・・・式(9)
を用いて、ΔとΨを各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。そして、酸化膜701の膜厚値dをパラメータとして、実測スペクトルと、後述する傾斜膜の半値幅補正処理後の理論スペクトル(テーブルデータ)とを比較することで、膜厚値dを算出することができる。さらに、図6では単層膜に限定してRP,Rsを導出しているが、図7に示されるように、多層膜に対応した理論式も導出可能であり、多層膜の膜厚や屈折率測定も可能である。
演算処理部3のCPU31における膜厚の計算処理法としては、カーブフィッティング法を利用することができる。カーブフィッティング法とは、予め計算してテーブルとして記憶しておいた各膜厚に対する後述する傾斜膜半値幅補正処理後の理論値の位相差Δ、振幅比ψの波形データ(テーブルデータ)と測定した受光量データから算出した実測値の位相差Δ、振幅比ψの波形データとを比較し、最小自乗法によりと最も誤差の少ないデータを抽出し、その波形データの膜厚を測定対象となっている薄膜の膜厚とする方法である。膜厚の計算処理法としては、他にも極値探索法または位相差Δ、振幅比ψに重みづけをするようなうな膜厚の計算方法を利用することも可能である。
あらかじめ、測定対象となる薄膜の屈折率n、及びr0,r1を、キーボード等の入出力部から入力すると、演算部では、入射角θで、膜厚d及び波長λの各値に対する位相差Δ、振幅比ψの値を演算し、これらを演算部内のメモリにテーブルとして保持する。このようなテーブルの例を、図8及び図9に示す。
次にカーブフィッティングの詳細を述べる。先ず、CPU31は、A/D変換部33よりデジタル化された測定データを取得し、実測値の位相差Δex(λ)、振幅比ψex(λ)を算出する(STEP1)。次に、膜厚dを最小膜厚dxとし(STEP2)、図8及び図9の理論テーブルを用いて、膜厚d=dxにおける理論値の位相差Δdx(λ)、振幅比ψdx(λ)と実測値の位相差Δex(λ)、振幅比ψex(λ)との差の自乗[Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2を波長範囲λpからλqまで、Δλ刻みで計算し、その和
評価式P(d)=Σ([Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2)
を求めて(STEP3)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
評価式P(d)=Σ([Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2)
を求めて(STEP3)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
このようにして、膜厚dが最大膜厚dyに達するまで膜厚dの値を順次Δdずつ増加させては(STEP5)、そのときの膜厚における理論データと測定データの差の自乗和を求めて(STEP3)メモリ内に記憶する。
こうして、最大膜厚dyまで自乗和の計算が終了すると(STEP5でYESの場合)、メモリに記憶しておいた膜厚範囲dx〜dyにおける自乗和P(dx)〜P(dx)の中から最小の値をとる自乗和P(dz)を抽出し(STEP6)、このときの膜厚dzを測定膜厚とする(STEP7)。
また、上記は不透明基板を想定し、基板の裏面からの反射は考慮していないが、透明基板では裏面からの反射を考慮する必要がある。このような場合には、図6のように、理論式も導出可能であり、この理論式を用いれば上記同様に、透明基板における多層膜の膜厚や膜質測定も可能である。ただし、図6中のrは、図5で示す反射光rを示す。
ここで、本発明で用いる傾斜膜について説明する。例えば、傾斜膜に対し波長450nmの光を入射し、1次元CCDで受光すると、受光波形は図11のようになる。つまり、受光波形は波長分解能の誤差により、ある程度の半値幅hを持つようになる。半値幅hは、最大受光量のの高さ(図ではライン)における幅を示す。図12に示されるように、傾斜膜の特性として半値幅hは波長特性を有する。その結果、理論値と実測値を対比し膜厚を求める際には、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する処理が必要となってくる。この処理を「半値幅補正」と称す。
次に、図8及び図9に示すテーブルの作成方法を述べる。理論値の位相差Δ、振幅比ψの半値幅補正方法は以下のとおりである。まず、以下の式(10)〜(12)を用いて,補正前のストークスパラメータS1,S2,S3を求める.なお、以下の式は、回転移相子法で用いられる一般的な式である。
S1=−cos2ψ ・・・式(10)
S2=sin2ψcosΔ ・・・式(11)
S3=−sin2ψsinΔ ・・・式(12)
補正前のS1,S2,S3に対して、図12に示す傾斜膜の半値幅hと図13に示すローレンツ関数f(x)とにより受光量データの注目波長αごとに重み付けを行う.以下に補正後S1,S2,S3の算出式を示す。ここで、xは受光量データの任意の波長を示す。なお、ここではローレンツ関数を用いて傾斜膜の波長分解能の誤差を解消しているが、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する方法であればこれ以外でもよい。
S1=−cos2ψ ・・・式(10)
S2=sin2ψcosΔ ・・・式(11)
S3=−sin2ψsinΔ ・・・式(12)
補正前のS1,S2,S3に対して、図12に示す傾斜膜の半値幅hと図13に示すローレンツ関数f(x)とにより受光量データの注目波長αごとに重み付けを行う.以下に補正後S1,S2,S3の算出式を示す。ここで、xは受光量データの任意の波長を示す。なお、ここではローレンツ関数を用いて傾斜膜の波長分解能の誤差を解消しているが、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する方法であればこれ以外でもよい。
上記で求めた補正後のストークスパラメータS1,S2,S3から式(10)〜(12)より再び理論値の位相差Δ、振幅比ψを算出し、これをテーブルデータとして、メモリに格納する。半値幅補正をした結果を図14及び図15に示す。
なお、本実施形態では以下の応用例がある。これらの応用例は後述する第2〜9実施形態にも適用できる。
(応用例1)
光源に白色光源以外のLEDを用いることも可能である。複数のLEDを用いることで、白色光源と同等の広い波長帯を実現することができ、光源としての寿命が大幅に伸び、本発明装置のメンテナンス性が上がり、よりインライン計測に有効となる。
(応用例1)
光源に白色光源以外のLEDを用いることも可能である。複数のLEDを用いることで、白色光源と同等の広い波長帯を実現することができ、光源としての寿命が大幅に伸び、本発明装置のメンテナンス性が上がり、よりインライン計測に有効となる。
(応用例2)
光電変換部アレイ手段に一次元CCD以外の二次元CCDを用いる場合を考える。一次元CCDでは、入射角はほとんど変化しなく、波長は変化するのに対し、ニ次元CCDでは、入射角と波長がそれぞれ独立で変化する。つまり、二次元CCDの場合さらに情報量が多くなりより高精細な計測が可能となる。
光電変換部アレイ手段に一次元CCD以外の二次元CCDを用いる場合を考える。一次元CCDでは、入射角はほとんど変化しなく、波長は変化するのに対し、ニ次元CCDでは、入射角と波長がそれぞれ独立で変化する。つまり、二次元CCDの場合さらに情報量が多くなりより高精細な計測が可能となる。
[第2実施形態]
距離バタツキ対策が組み込まれた分光エリプソメータの実施形態を、図16〜図27を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は、図1や図3等を参照しつつ第1実施形態で示した通りである。
距離バタツキ対策が組み込まれた分光エリプソメータの実施形態を、図16〜図27を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は、図1や図3等を参照しつつ第1実施形態で示した通りである。
距離バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部2の光学的構成が図16に示されている。同図に示されるように、このエリプソメータ1は、投光用光学系と受光用光学系とを有している。
投光用光学系は、光源(図示例では白色光源)301と、光源301から発せられた光をコリメート光にするためのコリメータレンズ302と、コリメータレンズ302から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子303と、偏光子303から出射される光を波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子304と、移相子304を回転させる駆動手段305と、移相子通過後の光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光レンズ306とを含んでいる。
受光用光学系は、基板5に照射された測定媒体光の反射光を受光してコリメート光にするためのコリメータレンズ(受光レンズ)308と、コリメータレンズ308から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子309と、透過光波長が長手方向の各位置に応じて次第に変化する光干渉式の分光素子である傾斜膜311と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向(紙面と垂直な方向)にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD310が相当)を含んでいる。傾斜膜311は、光電変換部アレイ手段を構成する一次元CCD310の受光面に被着された状態とされ、その長手方向が一次元CCD310の画素列方向と整合するように方向付けされている。
加えて、受光側光学系に含まれるレンズ(図示例では受光レンズが相当)と光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCDが相当)の受光面との距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。
光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データは演算手段(図示例では演算処理部3が相当)へと送られ、これにより測定対象となる薄膜5aの膜厚が求められる。
本実施形態のセンサヘッド部の大きな特徴としては、[1]回転移相子法の分光エリプソメータを採用したこと、[2]分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したこと、[3]受光レンズに対して後方焦点距離に一次元CCDを配置したこと、[4]投光側光学系に、移相子を配置したこと、を挙げることができる。[1]、[2]、及び[4]については、第1実施形態で示した通りであるので割愛する。
以下に、[3]の点を詳細に説明する。[3]の特徴は、要するに、(1)受光レンズ308と一次元CCD310の受光面とが平行であること、及び(2)受光レンズ308と一次元CCD310の受光面との距離が、受光レンズの焦点距離fとほぼ一致していることであり、換言すれば、受光レンズ308に対して試料(基板5)側を前方、一次元CCD310側を後方と定義すれば、一次元CCD310の受光面の位置は受光レンズ308のほぼ後方焦点位置であると表現することができる。そして、このような配置によれば、距離バタツキの影響を受けない光学系を実現することができる。
距離バタツキ対策の作用説明図が図17に示されている。今仮に、集光レンズ306からの光束のうちで、光軸を通る光線をL1と定義する。また、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。また、光線L1が基板5で反射された反射光線を符号L11、基板5´で反射された反射光線をL12とする。さらに、一次元CCD310の受光面上における反射光線L11,L12の入射点をP1とする。
すると、図から明らかなように、同一の入射光線L1に関しては、距離バタツキにより基板が上下移動したとしても、対応する反射光(L11,L12)については、一次元CCD310の受光面上の同一の入射点P1に入射することが理解されるであろう。
上述の距離バタツキによる影響を解消する作用は、以下の原理に基づくものである。スネルの法則によれば、入射光の角度と試料の法線方向とが決定されれば、反射角は一意に決定されることが知られている。
図18に示されるように、入射角θで試料に光線L1が入射している状況を考えると、このときに距離バタツキにより試料の上下変動ΔLが生じたとしても、入射光線L1の角度θと試料の法線L01,L02,L03,L04の方向は変化しないから、反射角も変化しないことが判る。しかし、距離バタツキが生ずると、反射面の平行移動に伴い、反射する点がP11,P12,P13,P14の如く移動するため、反射光線L11,L12,L13,L14も平行に移動する。
ここで、それぞれ異なる入射角θ1,θ3,θ2を有する3本の入射光線L1,L3,L2を想定する。このとき、距離バタツキ(基準高さの基板5,下降位置の基板5′、上昇位置の基板5″)が生ずると、図19〜図21に示されるように、各入射光線L1,L3,L2のそれぞれについて、平行な3本の反射光線(L10,L11,L12),(L30,L31,L32),(L20,L21,L22)が生ずる。
先に述べたように、受光レンズと一次元CCDの受光面との距離は、受光レンズ308の焦点距離fとほぼ一致させてあるため、図22に示されるように、それら3組の平行光線(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L32)は、一次元CCD310の受光面上の3点であるP1,P2,P3に収束することになる。つまり、距離バタツキが生じたとしても、一次元CCD310の出力信号s2を介して観測される波形に応じた反射光強度分布は変化しないので、正常な膜厚測定が可能になることが理解されるであろう。
ただ、受光レンズ308には収差があるのが普通であるから、仮に受光レンズ308と一次元CCD310の受光面310aが平行で、かつ両者の距離が受光レンズの焦点距離fと完全に一致したとしても、図23に示されるように、各組の平行光線の集光点は、厳密な意味では受光面上の一点に収束しない。『〜焦点距離fとほぼ一致〜』と表現したのは、このことを意識したためである。
本発明とは異なり、受光側光学系に移相子304Aを配置し、距離バタツキがある場合を図24に念のため示す。今仮に、集光レンズ306からの光束のうちで、光軸の光線をL1と定義する。また、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。また、光線L1が基板5で反射されコリメートレンズ308を通過した直後の光線を符号L11、基板5´でコリメートレンズ308を通過した直後の光線をL12´とする。また、光線L11が移相子304Aを通過した直後の光線をL11´、光線L12が移相子304Aを通過した直後の光線をL12´とする。
図24より、光線L12が移相子304Aへ入射する角度θ1と光線L11が移相子304Aへ入射する角度θ2は等しくないことが分かる。一般に移相子は、入射角依存性を持つため、L11´とL12´における偏光状態も異なってくる。よって、受光側光学系に移相子を配置し、距離バタツキに強い光学系は実現できないことがわかる。
受光側光学系に移相子を配置し、角度バタツキがある場合を図25に示す。今仮に、集光レンズからの光束のうちで、基準角度A1にあるときのCCD310に入射する光線をL1、角度A2にあるときのCCD310に入射する光線をL2とする。また、光線L1が基準角度A1にあるときの基板5で反射された光線をL11、光線L2が角度A2にあるときの基板5で反射された光線をL21とする。このとき、光線L11と光線21は一致する。つまり、CCD310に入射される光線は角度バタツキがない場合と角度バタツキがある場合では一致していることが分かる。その結果、移相子に入射する角度も等しくなり偏光状態も等しくなる。よって、受光側光学系に移相子304Aを配置する場合、CCD310に入射する光線の入射角が算出できれば、角度バタツキに強い光学系は実現できる。
上記から受光側光学系に移相子304Aを配置する場合、角度バタツキに強い光学系は実現できるが、距離バタツキに強い光学系は実現できないことがわかる。つまり、角度バタツキおよび距離バタツキの双方に強い光学系は実現できないので、インライン計測は不可能である。
次に、投光側光学系に移相子を配置し、距離バタツキがある場合を図26に示す。今仮に、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。また、符号5で反射した光線をL1、符号5´で反射した光線をL2とする。
同図から、距離バタツキがない場合と距離バタツキがある場合では、移相子304に入射する光線は一致していることが分かる。よって、距離バタツキがない場合と距離バタツキがある場合では、偏光状態も等しい。したがって、投光側光学系に移相子を配置する場合、距離バタツキに強い光学系を実現できる。なお、本実施形態の応用例は第1実施形態に示した応用例が適用できる。
[第3実施形態]
次に、角度バタツキが組み込まれたエリプソメータの実施形態を、図27〜図29を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は第1実施形態(図3、図5等)で示した通りである。
次に、角度バタツキが組み込まれたエリプソメータの実施形態を、図27〜図29を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は第1実施形態(図3、図5等)で示した通りである。
角度バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図28に示されている。同図に示されるように、このエリプソメータは、投光用光学系と受光用光学系とを有している。
投光用光学系は、光源(図示例では白色光源)301と、光源301から発せられた光をコリメート光にするためのコリメータレンズ302と、コリメータレンズ302から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子303と、偏光子303から出射される光を波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子304と、移相子304を回転させる駆動手段305と、移相子通過後の光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光レンズ306とを含んでいる。
受光用光学系は、基板5に照射された測定媒体光の反射光を受光してコリメート光にするためのコリメータレンズ(受光レンズ)308と、コリメータレンズ308から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子309と、透過光波長が長手方向の各位置に応じて次第に変化する光干渉式の分光素子である傾斜膜311と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向(紙面と垂直な方向)にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD310が相当)を含んでいる。傾斜膜311は、光電変換部アレイ手段を構成する一次元CCD310の受光面に被着された状態とされ、その長手方向が一次元CCD310の画素列方向と整合するように方向付けされている。
加えて、受光側光学系に含まれるレンズ(図示例では受光レンズが相当)と光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCDが相当)の受光面との距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。
光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データは演算手段(図示例では演算処理部3が相当)へと送られ、これにより測定対象となる薄膜5aの膜厚が求められる。
さらに、投光側光学系には、測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能する第1のスリット313Aが相当)が含まれており、さらに入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能する第2のスリット313Bが相当)が含まれている。
また、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段(図では一次元CCD314)が含まれている。
また、演算手段には、第1の光電変換手段により検出された試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段と、第2の光電変換手段により検出された試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段とが含まれている。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第1実施形態で説明した通りである。
本実施形態のセンサヘッド部の大きな特徴としては、(1)回転移相子法の分光エリプソメータを採用したこと、(2)分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したこと、(3)入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(4)入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(5)投光側光学系に、移相子を配置したこと、を挙げることができる。
(1)、(2)については、第1実施形態で示した通りであるので割愛する。以下に、(3)及び(4)の点について説明する。先に説明したように、この種のエリプソメータにおいて角度バタツキが生ずると、一次元CCDを介して観測される波形の画素列方向両端が基準位置からずれる。この状態では演算処理部で正常に波形処理を行うことができないため、これを膜厚測定のための演算処理に先立って一次元CCDで受光される光線の試料に対する入射角を正確に算出する必要がある。
(3)及び(4)の点については、図28に示すように、(1)集光レンズの入射側にエッジ整形手段として機能するスリット板313が配置されて、入射光の断面がエッジ整形されて、主に水平方向角度バタツキを検知するための基準光軸Lref0,Lref1および主に垂直方向角度バタツキを検知するための基準光軸Lref2,Lref3が特徴づけられていること、(2)反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′の到達点Pref0,Pref1が一次元CCD314を介して検出されること、(3)反射光の基準光軸Lref2′,Lref3′の到達点Pref2,Pref3が一次元CCD310を介して検出されること、(4)検出された入射点Pref0,Pref1に基づいて、一次元CCD314からの出力信号s2に含まれる試料の主に水平方向角度バタツキによる誤差成分が修正されること、(5)検出された入射点Pref0,Pref1に基づいて、一次元CCD310からの出力信号s2に含まれる試料の主に垂直方向角度バタツキによる誤差成分が修正されること、に関連する。
ここで、「主に」と記述しているのは、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキが生じた場合には、到達点Pref0,Pref1は垂直方向角度バタツキによる影響を受け多少なりとも変動し、同様に、到達点Pref2,Pref3も水平方向角度バタツキによる影響を受け多少なりとも変動するためである。
すなわち、投光光学系に配置されたエッジ整形手段としてのスリット板313には、図29(a)に示されるように、その中央部に矩形開口313aが形成されており、この矩形開口313aの上下縁部313b,313cにより入射角範囲(θ0〜θ1)が決定され、換言すれば、測定媒体光中に2本の基準光軸Lref0,Lref1が特徴付けされる。
これらの2本の基準光軸Lref0,Lref1は、試料で反射されて反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′となり、一次元CCDの受光面上の画素位置Pref0,Pref1に入射される。これら入射点の画素座標Rref0,Rref1は、一次元CCD314の出力信号を例えば暗レベル相当のしきい値で二値化することで、容易に検出することができる。
したがって、上下縁部313b,313cにおける入射角を一次元CCD314の各画素を介して観測し、基準位置からの画素位置のずれを見ることで、主に水平方向角度バタツキを検出し、かつ一次元CCD310に入射する光線の入射角を決定することができる。ここで基準位置とは、図28においてPref0,Pref1に示されるように、角度バタツキが存在しない状態で測定した画素位置のことである。
同様に、矩形開口313aの左右縁部313d,313eにより入射角範囲が決定され、換言すれば、測定媒体光に2本の基準光軸Lref2,Lref3が特徴付けされる。
これらの2本の基準光軸Lref2,Lref3は、試料で反射されて反射光の基準光軸Lref2′,Lref3′となり、一次元CCD310の受光面上の画素位置Pref2,Pref3に入射される。これら入射点の画素座標Rref2,Rref3は、一次元CCD310の出力信号を例えば暗レベル相当のしきい値で二値化することで、容易に検出することができる。
したがって、左右縁部313d,313eにおける一次元CCD310の各画素を介して観測し、基準位置からの画素位置のずれを見ることで、主に垂直方向角度バタツキを検出し、かつ一次元CCD1に入射する光線の入射角を決定することができる。ここで基準位置とは、図28においてPref2,Pref3に示されるように、角度バタツキが存在しない状態で測定した画素位置のことである。
水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキが生じた場合には、厳密には、到達点Pref0,Pref1,Pref2,Pref3はそれぞれ、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキによる影響を受ける。
以下に、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキが生じた場合の一次元CCD310で受光される光線の試料に対する入射角の算出法を示す。
水平方向角度バタツキをθ1、垂直方向角度バタツキをθ2、一次元CCD1における基準位置からの画素位置ずれをP1、一次元CCD2における基準位置からの画素位置ずれをP2とすると、
P1=F(θ1,θ2) ・・・式(16)
P2=G(θ1,θ2) ・・・式(17)
と表せる。つまり、式(16)、式(17)の連立方程式を解くことにより、θ1,θ2を算出することができる。なお、θ1,θ2を算出する方法は、フィッティングなどの数値解析などを利用してもよい。そして、θ1,θ2から数学的に本実施形態の光線を追跡することで、一次元CCDで受光される光線の試料に対する入射角を算出することができる。換言すれば、水平方向および垂直方向角度バタツキを検知することで、一次元CCDで受光される光線の、より正確な入射角を算出できる。その結果、正確な膜厚測定が可能となり、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキに強い光学系を実現できる。
P1=F(θ1,θ2) ・・・式(16)
P2=G(θ1,θ2) ・・・式(17)
と表せる。つまり、式(16)、式(17)の連立方程式を解くことにより、θ1,θ2を算出することができる。なお、θ1,θ2を算出する方法は、フィッティングなどの数値解析などを利用してもよい。そして、θ1,θ2から数学的に本実施形態の光線を追跡することで、一次元CCDで受光される光線の試料に対する入射角を算出することができる。換言すれば、水平方向および垂直方向角度バタツキを検知することで、一次元CCDで受光される光線の、より正確な入射角を算出できる。その結果、正確な膜厚測定が可能となり、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキに強い光学系を実現できる。
なお、この例では、エッジ整形手段(スリット板)は集光用レンズ近傍の光源側に配置されているが、レンズ近傍の基板側に配置しても同様の作用を得ることができる。また、本実施形態においては、基準光軸特徴付けのためのエッジ整形手段としてスリット板を使用したが、これに代えて、図29(b)に示されるアパーチャ板313′等の他のエッジ整形手段を採用しても良い。なお、313a′はアパーチャである。
次に、[5]の点について説明する。投光側光学系に移相子304を配置し、角度バタツキがある場合を図27に示す。今仮に、集光レンズからの光束のうちで、基準角度A1にあるときのCCD310に入射する光線をL1、角度A2にあるときのCCD310に入射する光線をL2とする。また、光線L1が基準角度A1にあるときの基板で反射された光線をL11、光線L2が角度A2にあるときの基板で反射された光線をL21とする。このとき、光線L11と光線21は一致する。また、光線L1と光線L2は平行光であることより、移相子に入射する角度も等しくなり偏光状態も等しくなる。よって、受光側光学系に移相子を配置する場合、角度バタツキに強い光学系は実現できる。なお、本実施形態の応用例は第一実施形態に示した応用例が適用できる。
[第4実施形態]
距離バタツキ及び角度バタツキが組み込まれたエリプソメータの実施形態を、図30〜図33を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は第1実施形態で示した通りである。
距離バタツキ及び角度バタツキが組み込まれたエリプソメータの実施形態を、図30〜図33を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の単入射角分光エリプソメータの全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図、膜厚測定のための基本動作は第1実施形態で示した通りである。
同図30に示されるように、このエリプソメータは、投光用光学系と受光用光学系とを有している。
投光用光学系は、光源(図示例では白色光源)301と、光源301から発せられた光をコリメート光にするためのコリメータレンズ302と、コリメータレンズ302から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子303と、偏光子303から出射される光を波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子304と、移相子304を回転させる駆動手段305と、移相子通過後の光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光レンズ306とを含んでいる。
受光用光学系は、基板5に照射された測定媒体光の反射光を受光してコリメート光にするためのコリメータレンズ(受光レンズ)308と、コリメータレンズ308から出射されるコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子309と、透過光波長が長手方向の各位置に応じて次第に変化する光干渉式の分光素子である傾斜膜311と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向(紙面と垂直な方向)にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD310が相当)を含んでいる。傾斜膜311は、光電変換部アレイ手段を構成する一次元CCD310の受光面に被着された状態とされ、その長手方向が一次元CCD310の画素列方向と整合するように方向付けされている。
受光側光学系に含まれるレンズ(図示例では受光レンズが相当)と光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCDが相当)の受光面との距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。
光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データは演算手段(図示例では演算処理部3が相当)へと送られ、これにより測定対象となる薄膜5aの膜厚が求められる。
投光側光学系には、測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能する第1のスリット313Aが相当)が含まれており、さらに入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能する第2のスリット313Bが相当)が含まれている。
受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段(図では一次元CCD314)が含まれている。
演算手段には、第1の光電変換手段により検出された試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段と、第2の光電変換手段により検出された試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段とが含まれている。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第1実施形態で説明した通りである。
本実施形態のセンサヘッド部の大きな特徴としては、(1)回転移相子法の分光エリプソメータを採用したこと、(2)分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したこと、(3)受光レンズに対して後方焦点距離に第一の光電変換アレイ手段(図示例では一次元CCD1が相当)を配置したこと、(4)入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(5)入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(6)第2の光電変換アレイ手段(図示例では一次元CCD314が相当)の受光面上に焦点がくるように、第2の光電変換アレイ手段を配置したこと、(7)投光側光学系に、移相子を配置したこと、を挙げることができる。
(1)、(2)については第1実施形態、(3)については第2実施形態、(4)、(5)については第3実施形態、(7)については第2・3実施形態で示した通りであるので、ここでの説明は割愛する。
以下に、(6)の点について説明する前に、距離及び角度バタツキ対策を併用する場合の作用を説明する。距離及び水平方向角度バタツキ対策を併用する場合の作用説明図(その1〜その3)が図31〜図33に示されている。図31〜図33は、本実施形態(図30)における一次元CCD314を省略した図である。
先に、図19〜図22を参照して説明したように、受光レンズ308と一次元CCD301の受光面315との光路上の距離が、受光レンズの焦点距離fとほぼ一致すること、なる条件が満たされる限り、受光レンズ310に入射される平行光線は一次元CCD310の受光面315平上の一点に集光して入射される。
ここで、図31〜図33を参照して明らかなように、水平方向ズレ角Δθが一定である限り、距離バタツキの有無に拘わらず、各高さ位置(上昇高さ、基準高さ、下降高さ)にある基板5″,5,5′からの3組の反射光(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L33)は、いずれの組においても互いに平行な関係を維持している。
そのため、この実施形態にあっても、入射光L1,L2,L3に対する反射光(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L33)は、一次元CCD310の受光平面上の3点P1,P2,P3に必ず集光されるから、距離バタツキによる影響の受けない光学系を実現することができる。
同様に、垂直方向角度ズレに対しても、受光レンズ308と一次元CCD310の受光面315との距離が、受光レンズ308の焦点距離fとほぼ一致すること、なる条件が満たされる限り、受光レンズ308に入射される平行光線は一次元CCD310の受光平面315上の一点に集光して入射される。
以下に、[6]の点について説明する。本実施形態(図30)における一次元CCD314においても、上記同様のことが言える。つまり、受光レンズ308と一次元CCD314の受光面との光路上の距離が、受光レンズの焦点距離fとほぼ一致すること、なる条件が満たされる限り、受光レンズ308に入射される平行光線は一次元CCD310の受光面平315上の一点に集光して入射される。その結果、距離バタツキによる影響の受けない光学系を実現することができる。
なお、水平方向角度バタツキおよび垂直方向角度バタツキが生じた場合の入射角の算出法については第3実施形態で示した通りである。
したがって、この実施形態によれば、試料の距離バタツキ並びに角度バタツキに拘わらず、試料の単層薄膜又は多層薄膜の膜厚/膜質を高精度に測定することが可能となる。殊に、この実施形態によれば、距離バタツキに関する補正は一次元CCD310で観測された時点で既に完了しており、距離バタツキによる観測波形の変化は解消されている。したがって、観測波形が変化する要因は角度バタツキのみであり、演算処理部では角度バタツキに起因する誤差成分を補正する処理(正確な入射角を算出する処理)を実行するだけで済む。
このように、距離バタツキ及び角度バタツキは互いに独立な過程で補正されるため、これら2種類のバタツキに起因する観測波形の変化を演算処理部で同一の過程で補正する場合のように、2つの補正処理が互いに競合して演算処理が収束しないと言った不都合は生じない。また、スポット径が大きくなっても、試料の距離バタツキ並びに角度バタツキの理論が成り立ち、距離バタツキ並びに角度バタツキに強い光学系が実現できることも特徴の一つである。
その結果、この実施形態によれば、設置条件(距離/角度バタツキ)が緩和され、従来必要だったオートフォーカス機能、または測定前のステージのピント及び傾き調整が不要となる。同時に、装置の小型化も実現され、インライン計測に適した装置を提供することが可能となる。なお、本実施形態の応用例は第一実施形態に示した応用例が適用できる。
[第5実施形態]
次に、小型化技術が組み込まれS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図34〜図36を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で示した通りである。
次に、小型化技術が組み込まれS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図34〜図36を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で示した通りである。
小型化技術が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図34に示されている。なお、図34の光学系構成図において、先の実施形態と同一構成部分については同符号を付すことにより説明は省略する。
本実施形態のセンサヘッド部の大きな特徴としては、分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したことを挙げることができる。図34を参照しつつ、膜厚測定のための基本動作を説明する。
光源301から発せられた測定媒体光は、コリメータレンズ302を介し、集光レンズ306の作用で測定対象である基板5上の薄膜5aに集光して照射される。試料の膜厚測定点は、入射光のほぼ集光位置に置かれる。このとき、θ0〜θ1の範囲の連続した入射角成分を有する測定媒体光が試料へと入射されることになる。
集光レンズを介して入射された測定媒体光は試料で反射される。試料の膜厚測定点から到来する測定媒体光の反射光のうち入射角がθ2の光は、コリメータレンズ308・偏光ビームスプリッタ318・傾斜膜316a,317aを介し、受光レンズ308の作用でS偏光成分は一次元CCD316の受光面に、またP偏光成分は一次元CCD317の受光面に導かれる。
これにより、一次元CCD316および一次元CCD317からは各受光素子(画素)の受光量データをシリアルに並べたものに相当する一次元CCD316および一次元CCD317の出力信号s2が送出される。この一次元CCD出力信号s2に基づいて、入射角(θ2)で波長に応じた反射光強度分布が観測される。
このとき観測される反射光強度分布は、波長に応じた量である。そして、S偏光の反射率とP偏光の反射率の比(実測値Rs/Rp)を算出する。同時に、演算処理部3で理論値のS偏光の反射率とP偏光の反射率比(理論値Rs/Rp)を算出し、最後に、実測値と理論値を対比することで膜厚を求めることができる。実測値Rs/Rpは1次元CCD1の強度分布波形と1次元CCD2の強度分布波形の比をとることで算出する。理論のRsおよびRpの算出は第一実施形態で示した通りである。
最終的に、以下の絶対反射率比Rを理論値として
S/P偏光絶対反射率比R=|Rp|/|Rs| ・・・式(18)
を用いて、各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。
S/P偏光絶対反射率比R=|Rp|/|Rs| ・・・式(18)
を用いて、各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。
そして、酸化膜701の膜厚値dをパラメータとして実測スペクトルと、後述する傾斜膜の半値幅補正処理後の理論スペクトル(テーブルデータ)(図35参照)とを比較することで、膜厚値dが算出できる。
演算処理部3のCPU31における膜厚の計算処理法としては、カーブフィッティング法を利用することができる。先に説明したように、カーブフィッティング法とは、予め計算してテーブルとして記憶しておいた各膜厚に対する後述する傾斜膜半値幅補正処理後の理論値のS/P偏光絶対反射率比Rの波形データ(テーブルデータ)と測定した受光量データから算出した実測値のRの波形データを比較し、最小自乗法によりと最も誤差の少ないデータを抽出し、その波形データの膜厚を測定対象となっている薄膜の膜厚とする方法である。膜厚の計算処理法としては、他にも極値探索法またはS/P偏光絶対反射率比Rに重みづけをするようなうな膜厚の計算方法を利用することも可能である。
あらかじめ、測定対象となる薄膜の屈折率n、及び、r0,r1を、キーボード等の入出力部から入力すると、演算部では、入射角で、膜厚及び波長λの各値に対する位相差Δ、振幅比ψの値を演算し、これらを演算部内のメモリにテーブルとして保持する。このようなテーブルの例を、図35に示す。
カーブフィッティングのについては、図36のフローチャートに従って実行される。すなわち、先ず、CPU31は、A/D変換部33よりデジタル化された測定データを取得し、実測値の位相差Δex(λ)、振幅比ψex(λ)を算出する(STEP1)。次に、膜厚dを最小膜厚dxとし(STEP2)、図8及び図9の理論テーブルを用いて、膜厚d=dxにおける理論値の位相差Δdx(λ)、振幅比ψdx(λ)と実測値の位相差Δex(λ)、振幅比ψex(λ)との差の自乗[Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2を波長範囲λpからλqまで、Δλ刻みで計算し、その和
評価式P(d)=Σ([Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2)
を求めて(STEP3)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
評価式P(d)=Σ([Δex(λ)−Δdx(λ)]2+[ψex(λ)−ψdx(λ)]2)
を求めて(STEP3)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
このようにして、膜厚dが最大膜厚dyに達するまで膜厚dの値を順次Δdずつ増加させては(STEP5)、そのときの膜厚における理論データと測定データの差の自乗和を求めて(STEP3)メモリ内に記憶する。
こうして、最大膜厚dyまで自乗和の計算が終了すると(STEP5でYESの場合)、メモリに記憶しておいた膜厚範囲dx〜dyにおける自乗和P(dx)〜P(dx)の中から最小の値をとる自乗和P(dz)を抽出し(STEP6)、このときの膜厚dzを測定膜厚とする(STEP7)。
[第6実施形態]
次に、小型化技術が組み込まれ距離バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図37を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で、膜厚計測の基本動作は第5実施形態で示した通りである。
次に、小型化技術が組み込まれ距離バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図37を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で、膜厚計測の基本動作は第5実施形態で示した通りである。
距離バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図37に示されている。図において、先の実施形態と同一構成部分については、同符号を付すことにより説明は省略する。
本実施形態のセンサヘッド部の大きな特徴としては、(1)分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したこと、(2)受光レンズに対して光路上の後方焦点距離に一次元CCD1、一次元CCD2を配置したこと、(3)投光側光学系に、移相子を配置したこと、を挙げることができる。それらの特徴(1)〜(3)の個々については、第1及び第2実施形態にて説明した通りである。
[第7実施形態]
次に、小型化技術が組み込まれ角度バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図38を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で、示した通りである。
次に、小型化技術が組み込まれ角度バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し反射率比により膜厚または膜質を計測する偏光解析装置の実施形態を、図38を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で、示した通りである。
角度バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図38に示されている。図において、先の実施形態と同一構成部分については、同符号を付すことにより説明は省略する。
この分光偏光解析装置は、試料の膜厚測定点に対して、測定媒体光をコリメート光にするコリメータレンズ302と、光源(図示例では白色光源)301からの光を集光して基板5(試料)の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光用レンズ306からなる投光用光学系と、媒体光の反射光をコリメート光にするコリメータレンズ(受光レンズ)308と、S偏光とP偏光に分離する偏光ビームスプリッタ318と、傾斜膜と多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向にアレイ状に配置してなるS偏光を検出するための第1の光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD316が相当)およびP偏光を検出するための第2の光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD317が相当)とを含む受光側光学系と、光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて測定対象となる膜厚を求める演算手段(図示例では演算処理部3が相当)と、を含んでいる。
さらに、投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能するスリット313Aが相当)と、入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能するスリット313Bが相当)とが含まれている。
受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段(図示例では一次元CCD319が相当)が含まれている。
演算手段には、前記第1の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段と、第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段とが含まれている。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第一実施形態で説明した通りである。
本実施形態に示されるセンサヘッド部の大きな特徴としては、(1)分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を採用したこと、(2)入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(3)入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段を配置したこと、(4)投光側光学系に、移相子を配置したこと、を挙げることができる。
(1)については第1実施形態、(2)及び(3)については第4実施形態、(4)につていは第3実施形態で既に示した通りであるので説明は割愛する。なお、本実施形態の応用例は第一実施形態に示した応用例が適用できる。
[第8実施形態]
次に、小型化技術が組み込まれ、距離バタツキおよび角度バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し、反射率比により膜厚または膜質を計測する、偏光解析装置の実施形態を説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で示した通りである。
次に、小型化技術が組み込まれ、距離バタツキおよび角度バタツキに強いS偏光およびP偏光を分離検出し、反射率比により膜厚または膜質を計測する、偏光解析装置の実施形態を説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図、演算処理部の電気的構成図は第1実施形態で示した通りである。
距離および角度バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図39に示されている。この分光偏光解析装置は、試料の膜厚測定点に対して、測定媒体光をコリメート光にするコリメータレンズ302と、光源(図示例では白色光源)301からの光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光用レンズを含む投光用光学系と、媒体光の反射光をコリメート光にするコリメータレンズ(受光レンズ)308と、S偏光とP偏光に分離する偏光ビームスプリッタ318Aと、傾斜膜と多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向にアレイ状に配置してなるS偏光を検出するための第1の光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD316が相当)およびP偏光を検出するための第2の光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD317が相当)とを含む受光側光学系と、光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて測定対象となる膜厚を求める演算手段(図示例では演算処理部3が相当)と、を含んでいる。
さらに、投光側光学系には、測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能するスリット313Aが相当)と、入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能するスリット313Bが相当)が含まれてている。
受光側光学系には、試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段(図示例では一次元CCD319が相当)が含まれている。
演算手段には、第1の光電変換手段により検出された試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段と、第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段とが含まれている。
加えて、受光側光学系に含まれるレンズ(図示例では受光レンズ308が相当)と第1・第2の光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD316、一次元CCD317が相当)の受光面との光路上の距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第一実施形態で説明した通りである。
[第9実施形態]
次に、第1実施形態〜第8実施形態のいずれかを利用した適用例を図40を参照して説明する。図示の内容は、半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ライン内での適用例を示す。図において、401はプロセス装置、402はコントローラ、403はパソコン等のコンピュータ、404は本発明が組み込まれた計測装置(センサ)、405は幅方向移動ガイド、406はライン方向移動ガイドである。この適用例によれば、まず、ライン上を流れる製品の上にセンサ(本発明装置)を配置し、インラインで全製品に対しデータ収集を行い、パソコンなどのコンピュータ403にデータを転送する。次に、コンピュータ403内で転送されてきたデータをロギングし、ロギングしたデータを解析する。最後に、解析した結果を製造ライン内のプロセス装置401のコントローラ402にフィードバックすることによりプロセスを改善し歩留まりを向上することができる。
次に、第1実施形態〜第8実施形態のいずれかを利用した適用例を図40を参照して説明する。図示の内容は、半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ライン内での適用例を示す。図において、401はプロセス装置、402はコントローラ、403はパソコン等のコンピュータ、404は本発明が組み込まれた計測装置(センサ)、405は幅方向移動ガイド、406はライン方向移動ガイドである。この適用例によれば、まず、ライン上を流れる製品の上にセンサ(本発明装置)を配置し、インラインで全製品に対しデータ収集を行い、パソコンなどのコンピュータ403にデータを転送する。次に、コンピュータ403内で転送されてきたデータをロギングし、ロギングしたデータを解析する。最後に、解析した結果を製造ライン内のプロセス装置401のコントローラ402にフィードバックすることによりプロセスを改善し歩留まりを向上することができる。
本発明の分光計測装置によれば、小型化を実現すると共に、距離バタツキや水平方向角度バタツキや垂直方向角度バタツキに対する耐性を獲得することができ、これにより例えば半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適な分光計測装置を実現することができる。
1 入射角分光エリプソメータ
2 センサヘッド部
3 演算処理部
4 操作表示部
5 基板
6 薄膜
301 光源
302 コリメータレンズ
303 偏光子
304 移相子
305 駆動手段
306 投光レンズ
308 受光レンズ
309 検光子
310 一次元CCD
311 傾斜膜
2 センサヘッド部
3 演算処理部
4 操作表示部
5 基板
6 薄膜
301 光源
302 コリメータレンズ
303 偏光子
304 移相子
305 駆動手段
306 投光レンズ
308 受光レンズ
309 検光子
310 一次元CCD
311 傾斜膜
Claims (22)
- 様々な方位角度成分を含む測定媒体光を試料表面に集光して照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を入射面に対し垂直な方向にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含み、透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記光電変換部アレイ手段の直前に備えると共に、試料からの反射光の偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚または膜質を求める演算部を具備する、ことを特徴とする分光計測装置。
- 前記受光側光学系に含まれる前記レンズと前記光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の分光計測装置。
- 前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記試料の傾き変動における特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とする請求項1に記載の分光計測装置。
- 前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける特徴化手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とする請求項1に記載の分光計測装置。
- 前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して入射面に対し垂直な直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第1の特徴化手段が含まれており、さらに入射面と測定対象面の交わる直線を中心軸として回転する方向における試料の傾き変動を特徴付ける第2の特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる前記第1の特徴化手段における特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、前記受光側光学系に含まれる前記レンズと第2の光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されており、さらに前記演算手段には、請求項1に記載の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれており、さらに前記第2の光電変換手段により検出された前記試料の傾き変動の特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の傾き変動による誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とする請求項2に記載の分光計測装置。
- 前記特徴化手段が前記測定媒体光の断面輪郭のうちで試料の傾き基準に相当する部分をエッジ整形する断面輪郭整形手段である、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の分光計測装置。
- 前記断面輪郭整形手段には、スリット、アパーチャ、又はナイフエッジが少なくとも含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載の分光計測装置。
- 前記光源に白色光源を使用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の分光計測装置。
- 前記白色光源がLED光源であることを特徴とする、請求項8に記載の分光計測装置。
- 試料上のスポット径が1mm以下である、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の分光計測装置。
- 前記記載の光電変換部アレイ手段として、ニ次元アレイ手段を用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の分光計測装置。
- 理論波形を算出する演算部が、前記記載の分光素子の波長分解能による誤差を解消する処理を含むことを特徴とする、請求項1〜11に記載の分光計測装置。
- 試料基板が透明基板の場合、演算部が試料基板の裏面からの反射した光を含む反射率の理論式により、理論波形を算出する処理を含むことを特徴とする、請求項1〜12に記載の分光計測装置。
- 演算部が、試料基板が透明基板であるか不透明基板であるかを入力できる入力手段を有することを特徴とする、請求項13に記載の分光計測装置。
- 位相を遅らす機能を有する移相子を回転する機構を備え、投光側光学系には偏光子が含まれており、受光側光学系には検光子が含まれていることを特徴とした、請求項1〜14のいずれかに記載の分光計測装置。
- 位相を遅らす機能を有する移相子を前記投光側光学系に備えることを特徴とした、請求項15に記載の分光計測装置。
- 前記投光側光学系から照射される前記測定媒体光には2以上の偏光成分が含まれており、かつ前記受光側光学系には前記各偏光成分に対応する2以上の光電変換部アレイ手段並びに前記試料上の膜厚計測点から到来する反射光を各偏光成分に分離して該当する光電変換部アレイ手段のそれぞれに導くための偏光分離手段が含まれている、請求項1〜14のいずれかに記載の分光計測装置。
- 前記試料の色度を計測することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の分光計測装置。
- 前記試料の膜厚を計測することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の分光計測装置。
- 膜質センサ
前記試料の膜質を計測することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の分光計測装置。 - 製造ラインに配置されてインラインで計測を行うことを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の分光計測装置。
- 製造ラインに配置されて、全数検査し、ロギングし解析した結果を製造ライン内の装置にフィードバックできることを特徴とする請求項21に記載の分光計測装置。
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