JP2006071381A - 薄膜計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適なエリプソメトリ方式の薄膜計測装置を提供すること。
【解決手段】投光側光学系には、光源(21)と、コリメータレンズ(22)と、偏光子(23)と、回転式移相子(24)と、スリット板(20)と、集光レンズ(25)とが含まれる。受光側光学系には、コリメータレンズ(26)と、検光子(27)と、傾斜膜(28)と、一次元CCD(29)とが含まれる。コリメータレンズ(26)と一次元CCD(29)の受光面とは平行であり、かつそれらの距離はほぼレンズ(26)の焦点距離(f)とされる。それにより、距離バタツキ及び角度バタツキに対する耐性が向上する。
【選択図】図2
【解決手段】投光側光学系には、光源(21)と、コリメータレンズ(22)と、偏光子(23)と、回転式移相子(24)と、スリット板(20)と、集光レンズ(25)とが含まれる。受光側光学系には、コリメータレンズ(26)と、検光子(27)と、傾斜膜(28)と、一次元CCD(29)とが含まれる。コリメータレンズ(26)と一次元CCD(29)の受光面とは平行であり、かつそれらの距離はほぼレンズ(26)の焦点距離(f)とされる。それにより、距離バタツキ及び角度バタツキに対する耐性が向上する。
【選択図】図2
Description
本発明は、薄膜の膜厚や膜質(光学定数や試料構造)をエリプソメトリ方式で計測する薄膜計測装置に係り、特にインライン計測に適した薄膜計測装置に関する。
近年、半導体プロセスにおいては、半導体基板の大型化やデザインルールの微細化に伴い、不良に対する莫大な損害の可能性や微妙な異常に対する管理の必要性が生じており、このことから検査の重要性がますます高まってきている。また、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)、に代表されるFPD(Flat Panel Display)製造プロセスにおいても、ガラス基板の大型化が進む中で、大画面化・高精細化・高品位化が急速に進んでおり、高品質の製品を高歩留まりで生産するために、検査の重要性がますます高まってきている。
従来、この種の製造プロセスにおける検査は、大きくかつ高価な検査装置を用いて、オフライン計測にて行われていた。このオフライン計測は、製造プロセスの中から製品を抜き取り、離れたところにある膜厚測定装置まで運び、測定・確認を行うという一連の手順を通じて行われる。このようなオフライン計測では、測定した結果が管理基準から外れていた場合、その情報をフィードバックしてプロセスに反映・修正するまでに時間を要し、また抜き取りを行っていない製品については管理基準から外れているかの判定もできず、歩留まりを低下させるという問題があった。
そこで、例えば、成膜プロセス中(in-situ)又は成膜プロセス直後の製造ライン中に計測装置を組み込むことでインライン計測を実現し、製造プロセス中から製品を抜き取ることなく全数測定を行うことで、製品歩留まりを向上させたいというニーズが大きくなっている。
このようなインライン計測に適用可能な計測装置は、(1)従来のオフライン計測に使用される計測装置と同等の性能を有すること、(2)小型で高速データ取得が可能であること、(3)後述する設置条件(距離バタツキや角度バタツキ)にも強く、試料を固定するためのステージが不要であること、と言った諸条件が必要になってくる。
近年のデザインルールの微細化に伴い、半導体基板の絶縁膜等も薄くなり、数nmの超薄膜の膜厚および膜質を検査する重要性がますます高まってきている。従来、測定の簡便さ、速度などの点から膜厚の測定には分光解析方式の膜厚計測装置が主に使われているが、例えばSiO2/Si試料で10nm(SiO2)以下のものに関しては分光解析方式の膜厚計測装置では、安定した測定は困難とされる。そこで、エリプソメータ(偏光解析方式の薄膜計測装置)による膜厚測定が一般に行われている。また、物質の膜質(光学定数や試料構造)は広い波長領域で測定されたスペクトルが必要であり、分光エリプソメータが有利である。ここでいう膜質とは、屈折率、吸収係数、バンド構造、結晶構造などを示す。
[第1従来例]
[第1従来例]
検光子を回転させる従来の単入射角分光エリプソメータの構成図が図39に示されている。同図に示すような分光エリプソメータでは、光源111からの光を、偏光状態を調整する偏光子112の光学素子を通過させることによって、直線偏光状態の入射光を形成し、試料116に照射する。試料116からの反射光の光路上に、偏光状態を調べるための検光子113、所定波長の光を選択するための分光器114、検出器115を設けて反射光の各波長について偏光状態を測定し、スペクトルを得る。最後に、演算部(図示せず)において理論と実測をフィッティングすることにより膜厚を算出する。なお、分光器114としては回折格子を利用したものが一般的である。
このような単入射角の分光エリプソメータにあっては、光学系と試料116との相対的な位置関係が僅かに変動しても、観測される反射光の強度分布波形が大きく変動し、計測できなくなる。ここでいう変動とは、後述する距離バタツキや角度バタツキを意味する。このような状況を解消しようとすると、測定したい試料を固定する専用のステージが必要になり、装置の設置条件が大幅に制限される。さらに、測定前には試料までの距離および傾斜の位置合わせをしなければならないため、ステージの調整に時間がかかる。その結果、計測時間が増大し、インラインでの計測は不可能になる。
加えて、単入射角のエリプソメータにあっては、(1)より精度を上げる場合、入射角を変えて複数回計測することが必要であり、高速に計測することができないこと、(2)回折格子を利用した分光器により構成されているので装置が大型になること、(3)微少領域を計測しようとすると、レンズなどを用いスポット径を小さくする必要があり、スポット径を小さくすると、複数の入射角におけるデータが計測されること、(4)単一の入射角として計測データを処理し、膜厚値を算出するため、実測では複数の入射角におけるデータを含むので、実測値と理論値で誤差が生じ精度が悪くなること、と言った欠点がある。それらの理由から、単入射角のエリプソメータ(薄膜計測装置)は、インライン計測には不適とされる。
[第2従来例]
[第2従来例]
複数の異なる入射角のデータを一括で計測することができる、従来の多入射角分光エリプソメトリー(仮称)を用いたエリプソメータの説明図が図40及び図41に示されている。このエリプソメータは特許文献1に記載されたものである。
図40及び図41を参照して、多入射角分光エリプソメータについて説明する。このエリプソメータは試料表面2に偏光光を向けるための照明手段と、表面で反射された光の偏光状態を解析するための解析手段とから構成されている。前記照明手段は単色光源130と集光レンズ134と偏光子136と1/4波長板140とを有している。解析手段は、角度視準スリット146、偏光分析器152、光検出器154および他の要素を有している。なお、角度視準スリットは正確な反射角Arで測定すべき平面124から反射された光のみが光検出器に入射することを保証するもので、図40におけるセンサ自体は単入射角および単色のエリプソメータである。
図40におけるセンサを複数個用い、それぞれのセンサが異なる入射角になるように配置した実施形態を図41に示す。異なる入射角のセンサを複数個配置することで、多入射角を実現できる。また、同様に、各センサの光源の波長に異なる波長を用いることで複数の異なる波長の偏光状態を一括で計測すること(分光)も可能である。
このように、図41で示される多入射角分光エリプソメータにあっては、複数の異なる入射角および複数の異なる波長の光の偏光状態を一括で計測できるため、精度がよく高速計測が可能である。
しかし、このエリプソメータにあっても、第1従来例のそれと同様、測定したい試料を固定する専用のステージが必要になり、装置の設置条件が大幅に制限される。さらに、測定前には試料までの距離および傾斜の位置合わせをしなければならなくなるため、ステージの調整に時間がかかる。その結果、計測時間が増大し、インラインでの計測は不可能になる。
ここて゛、図42を参照して、距離バタツキについて説明する。なお、図において、301は入射光束、302は反射光束、311は試料が基準高さ状態にあるときの反射光の強度分布波形、312は試料が上昇状態にあるときの反射光の強度分布波形、313は試料が下降状態にあるときの反射光の強度分布波形、321は一次元CCDやLEDアレイ等の受光素子アレイ、322は基準高さ、323は対物レンズ、324は半導体製品やFDP等の試料、324aは試料表面の薄膜である。
距離バタツキとは、光学系(例えば、対物レンズ323)と試料324との距離が変動する現象のことである。この距離バタツキが発生すると、受光素子アレイ321を介して観測される反射光の強度分布波形311のアレイ列方向の幅が変動するため、その強度分布波形に基づいて算出される薄膜の光学定数は誤ったものとなる。
同図(b)に示されるように、試料324の上面が基準高さ322に一致する基準高さ状態においては、入射光束301の集光点は試料324の上面に一致して、入射光束301と反射光束302とは完全に重なり合うため、受光素子アレイ321の出力側においては、符号311で示される基準となるアレイ列方向幅を有する反射光の強度分布波形が観測される。
同図(a)に示されるように、試料324の上面が基準高さ322よりも上昇した上昇状態においては、入射光束301の集光点は試料324の上面よりも下方に位置して、入射光束301の輪郭よりも反射光束302の輪郭の方が小さくなるため、受光素子アレイ321の出力側においては、基準となる強度分布波形311よりも幅狭な反射光の強度分布波形312が観測される。
同図(c)に示されるように、試料324の上面が基準高さ322よりも下降した下降状態においては、入射光束301の集光点は試料324の上面よりも上方に位置して、入射光束301の輪郭よりも反射光束302の輪郭の方が大きくなるため、受光素子アレイ321の出力側においては、基準となる強度分布波形311よりも幅広な反射光の強度分布波形313が観測される。
図43を参照して、角度バタツキについて説明する。なお、図において、401は入射光束、402は反射光束、411は試料が基準角度(水平)状態にあるときの反射光の強度分布波形、412は試料が左下り傾斜状態にあるときの反射光の強度分布波形、413は試料が右下り傾斜状態にあるときの反射光の強度分布波形、421は一次元CCDやLEDアレイ等の受光素子アレイ、422は基準角度(水平)、423は対物レンズ、424は半導体製品やFDP等の試料、424aは試料表面の薄膜である。角度バタツキとは、光学系(例えば、対物レンズ423)の光軸と試料424とのなす角度が変動する現象のことである。この角度バタツキが生ずると、受光素子アレイ421を介して観測される反射光の強度分布波形411のアレイ列方向の位置が変動(シフト)するため、その強度分布波形に基づいて算出される薄膜の光学定数は誤ったものとなる。
同図(b)に示されるように、試料424の上面が基準角度(水平)422に一致する基準角度(水平)状態においては、入射光束401の集光点は試料424の上面に一致して、入射光束401と反射光束402とは完全に同軸で重なり合うため、受光素子アレイ421の出力側においては、符号411で示されるアレイ列方向の幅並びに位置を有する反射光の強度分布波形が観測される。
同図(a)に示されるように、試料424の上面が基準角度(水平レベル)よりも左下りに傾斜した左下り傾斜状態においては、反射光束402の光軸は入射光束401の光軸よりも左に傾斜するため、受光素子アレイ421の出力側においては、基準となる強度分布波形411よりも左方向へとシフトされた強度分布波形412が観測される。
同図(c)に示されるように、試料424の上面が基準角度(水平レベル)よりも右下りに傾斜した右下り傾斜状態においては、反射光束402の光軸は入射光束401の光軸よりも右に傾斜するため、受光素子アレイ421の出力側においては、基準となる強度分布波形411よりも右方向へとシフトされた強度分布波形413が観測される。
特表平4−501175号公報
この発明は、従来のエリプソメータ(薄膜計測装置)における上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、例えば半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測に好適なエリプソメトリ方式の薄膜計測装置を提供することにある。
この発明の、より具体的な目的とするところは、距離バタツキや角度バタツキに対する耐性を有し、高速計測・高精度計測・小型化を実現するエリプソメトリ方式を提供することにある。
本発明の薄膜計測装置は、試料表面に様々な照射角度成分を含む偏光光を照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含むと共に、試料からの反射光の入射角情報を保持し、偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析により反射光の入射角に対応したS偏光とP偏光の位相差Δと振幅比ψの分布を算出し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚、および/または、膜質を求める演算部を具備し、前記受光側光学系に含まれる前記レンズと前記光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されている、ことを特徴とするものである。
別の一面から見た本発明の薄膜計測装置は、試料表面に様々な照射角度成分を含む偏光光を照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含むと共に、試料からの反射光の入射角情報を保持し、偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析により反射光の入射角に対応したS偏光とP偏光の位相差Δと振幅比ψの分布を算出し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚、および/または、膜質を求める演算部を具備し、前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚又は膜質計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とするものである。
レンズと受光面との距離に着目した本発明にあっても、投光側光学系には、測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段が含まれており、受光側光学系には、試料の膜厚又は膜質計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれていてもよい。
本発明には以下に述べる種々の実施形態を含むことができる。すなわち、前記特徴化手段が前記測定媒体光の断面輪郭のうちで基準光軸に相当する部分をエッジ整形する断面輪郭整形手段であってもよい。また、前記断面輪郭整形手段には、スリット、アパーチャ、又はナイフエッジが少なくとも含まれていてもよい。また、試料上のスポット径が1mm以下であってもよい。また、投光側光学系の試料への照射角範囲内に試料基板のブリュースター角を含むものであってもよい。また、位相を遅らす機能を有する移相子を回転する機構を備えていてもよい。また、位相を遅らす機能を有する移相子を前記記載の投光側光学系に備えていてもよい。また、光源に白色光源を使用し、受光側光学系に分光素子を備えていてもよい。また、白色光源がLED光源であってもよい。また、透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記記載の受光側光学系に備えていてもよい。また、光電変換部アレイ手段として、ニ次元アレイ手段を用いてもよい。また、理論の位相差Δおよび振幅比ψを算出する演算部が、分光素子の波長分解能による誤差を解消する処理を含むものであってもよい。また、試料基板が透明基板の場合、演算部が試料基板の裏面からの反射した光を含む複素反射率の理論式により、理論の位相差Δおよび振幅比ψを算出する処理を含むものであってもよい。また、演算部が、試料基板が透明基板であるか不透明基板であるかを入力できる入力手段を有するものであってもよい。また、半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ラインに配置されてインラインで製品の膜厚又は膜質計測を行うようにしてもよい。また、半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ラインに配置されて、全数検査し、ロギングし解析した結果を製造ライン内の装置にフィードバックできるようにしてもよい。
本発明の薄膜計測装置によれば、距離バタツキや角度バタツキに対する耐性を有し、高速計測、高精度計測、小型化が可能であるため、半導体製造プロセスやFPD製造プロセス等におけるインライン計測を実現することができる。
以下に、この発明に係るエリプソメトリ方式の薄膜計測装置の好適な実施の一形態を添付図面に従って詳細に説明する。
[第1実施形態]
[第1実施形態]
本発明の多入射角分光エリプソメトリ法を用いた薄膜計測装置の全体を示す構成図が図1に示されている。同図に示されるように、この計測装置1は、センサヘッド部2と、演算処理部3と、モニタ・キーボード・マウス等のHMI(Human Machine Interface)部4とを含んでいる。なお、図において、5は試料(例えば半導体やFPD等)を構成する基板、5aは基板5の表面に存在する測定対象薄膜である。
センサヘッド部2の光学的構成が図2に示されている。同図に示されるように、センサヘッド部2には、投光部制御信号s1により発光状態が制御される光源21と、光源21からの測定媒体光をコリメート光にするコリメータレンズ22と、コリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子23と、波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子と、移相子を回転させる駆動手段24aと、光源21(図示例では白色光源)からの光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光用レンズ25とからなる「投光用光学系」と、測定媒体光の反射光をコリメート光にするコリメータレンズ(受光レンズ)26と、コリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子27と、透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子(以下、傾斜膜と称す)28と、多数の画素29aを受光面上にアレイ状に配置してなる一次元CCD29とを含む「受光側光学系」と、を含んでいる。
加えて、受光側光学系に含まれるレンズ(図示例では受光レンズ26が相当)と一次元CCD29(光電変換部アレイ手段)の受光面との距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。尚、一次元CCD29の撮影動作は、一次元CCD制御信号s3により制御される。一次元CCDの各画素29aから得られる一連の受光量データは、一次元CCD出力信号s2として外部へ出力される。
演算処理部3の電気的構成が図3に示されている。同図に示されるように、演算処理部3は、投光部制御信号s1を生成出力する投光部駆動回路32と、一次元CCD出力信号s2をデジタル信号に変換するAD変換部33と、一次元CCD制御信号s3を生成出力するCCD駆動回路34と、各種のシステムプログラムを格納したROM35と、HMI部を構成するキーボードやマウスとのインタフェースとして機能する入出力部36と、HMI部を構成するディスプレイとのインタフェースとして機能する表示部37と、それらの構成要素32〜37を統括制御すると共に、後述する膜厚測定演算等を実行するためのCPU31とを含んで構成される。
膜厚測定のための基本動作は次の通りである。光源21から発せられた測定媒体光は、コリメータレンズ22・偏光子23・移相子24を介し、集光レンズ25の作用で測定対象である基板5上の薄膜5aに集光して照射される。試料の膜厚測定点は、入射光のほぼ集光位置に置かれる。このとき、θ0〜θ1の範囲の連続した入射角成分を有する測定媒体光が試料へと入射されることになる。
集光レンズ25を介して入射された測定媒体光は試料で反射される。試料の膜厚測定点から到来する測定媒体光の反射光は、コリメータレンズ26・検光子27・傾斜膜28を介し、受光レンズ26の作用で一次元CCD29の受光面に導かれる。これにより、一次元CCD29からは各受光素子(画素)の受光量データをシリアルに並べたものに相当する一次元CCD出力信号s2が送出される。この一次元CCD出力信号s2に基づいて、入射角(θ0〜θ1)のそれぞれに応じた反射光強度分布が観測される。このとき観測される入射角のそれぞれに応じた反射光強度分布は、入射角および波長に応じた量である。そして、駆動手段24aの作用で(移相子)24を角度x°ずつ回転し順次一次元CCDデータを計測する。移相子24が半回転(180度)分回転したところで、これらを演算処理部3で処理することにより、実測値の位相差Δと振幅比ψを算出する。同時に、演算処理部3で理論値の位相差Δと振幅比ψを算出し、最後に、実測値と理論値を対比することで膜厚を求めることができる。
実測値の位相差Δと振幅比ψの算出法を以下に述べる。回転移相子法では、一次元CCDで検出される光強度波形Iは一般的に以下の式で表される。
I=I0(1+α0cos2ωt+α1sin2ωt+α2cos4ωt+α3sin4ωt)
ここでα0,α1,α2,α3は規格化フーリエ級数、ωtは移相子24の回転角を示している。
ここでα0,α1,α2,α3は規格化フーリエ級数、ωtは移相子24の回転角を示している。
また、ストークスパラメータS0,S1,S2,S3と位相差Δおよび振幅比ψには一般的に以下の関係式がある。なお、pは偏光度を示す。
上記に示した式(1)〜(8)より実測値の位相差Δおよび振幅比ψを算出することができる。
上記に示した式(1)〜(8)より実測値の位相差Δおよび振幅比ψを算出することができる。
次に、理論値の位相差Δと振幅比ψの算出法を以下に述べる。例えば、図2(a)に示すように、Si基板202上に成膜された酸化膜(ゲート酸化膜など)201の膜厚を測定する場合、上記のようにして、空気(屈折率=N0)200中から角度θ0で照射された楕円偏光状態の入射光は、酸化膜(屈折率=N1)201表面で反射するとともに、そのほとんどは酸化膜201内に入射する。酸化膜201内に入射した光は、Si基板202界面(基板面)(屈折率=N2)で反射して酸化膜201内から空気200中に戻り、酸化膜201表面での反射光と偏光干渉する。上記のような光について、それぞれp偏光成分とs偏光成分を計算し、それぞれの位相差Δと振幅比Ψから膜厚が算出される。
Si基板202面での反射光のp偏光成分(r1p)と、s偏光成分(r1s)は、それぞれ以下の式によって計算される。
r1p=(n2 cos θ1−n1 cos θ2)/(n2 cos θ1+n1 cos θ2)
r1s=(n1 cos θ1−n2 cos θ2)/(n1 cos θ1+n2 cos θ2)
r1s=(n1 cos θ1−n2 cos θ2)/(n1 cos θ1+n2 cos θ2)
また、検出される光のp偏光成分(RP)とs偏光成分(Rs)は、上記のr1p、r1sと、酸化膜201面での反射光のp偏光成分(r0p)と、s偏光成分(r0s)から、以下の式により偏光状態が計算される。
RP=(r0p+r1pexp(−2iδ))/(1+r0p・r1pexp(−2iδ))
Rs=(r0s+r1sexp(−2iδ))/(1+r0s・r1sexp(−2iδ))
但し(δ=2πn1 dcos θ1/λ)
最終的に、
Rs=(r0s+r1sexp(−2iδ))/(1+r0s・r1sexp(−2iδ))
但し(δ=2πn1 dcos θ1/λ)
最終的に、
RP/Rs=tan(Ψ)・exp(−iΔ) ・・・式(9)
を用いて、ΔとΨを各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。そして、酸化膜201の膜厚値dをパラメータとして実測スペクトルと、後述する傾斜膜の半値幅補正処理後の理論スペクトル(テーブルデータ)を比較することで、膜厚値dが算出できる。
を用いて、ΔとΨを各波長について計算することで、波長依存スペクトルが得られる。そして、酸化膜201の膜厚値dをパラメータとして実測スペクトルと、後述する傾斜膜の半値幅補正処理後の理論スペクトル(テーブルデータ)を比較することで、膜厚値dが算出できる。
さらに、図4では単層膜に限定してRP、Rsを導出しているが、図6に示されるように、多層膜に対応した理論式も導出可能であり、多層膜の膜厚や屈折率測定も可能である。
演算処理部3のCPU31における膜厚の計算処理法としては、カーブフィッティング法を利用することができる。カーブフィッティング法とは、予め計算してテーブルとして記憶しておいた各膜厚に対する後述する傾斜膜半値幅補正処理後の理論値の位相差Δ、振幅比ψの波形データ(テーブルデータ)と、測定した受光量データから算出した実測値の位相差Δ、振幅比ψの波形データとを比較し、最小自乗法により最も誤差の少ないデータを抽出し、その波形データの膜厚を測定対象となっている薄膜の膜厚とする方法である。膜厚の計算処理法としては、他にも極値探索法または位相差Δ、振幅比ψに重みづけをするような膜厚の計算方法を利用することも可能である。
あらかじめ、測定対象となる薄膜の屈折率、及び、を、キーボード等の入出力部から入力すると、演算部では、膜厚及び入射角の各値に対する位相差Δ、振幅比ψの値を演算し、これらを演算部内のメモリにテーブルとして保持する。このようなテーブルの例を、図6及び図7に示す。
次にカーブフィッティングの詳細を述べる。図8に示す処理フローにしたがって、カーブフィッティングが実行される。演算部はまず、A/D変換よりデジタル化された測定データを取得し、実測値の位相差Δ_ex(θ)、振幅比ψ_ex(θ)を算出する(ステップ801)。まず膜厚dを最小膜厚dxとし(ステップ802)、図6及び図7の理論テーブルを用いて、膜厚d=dxにおける理論値の位相差Δdx(θ)、振幅比ψdx(θ)と実測値の位相差Δ_ex(θ)、振幅比ψ_ex(θ)との差の自乗
[Δ_ex(θ)−Δdx(θ)]2+[ψ_ex(θ)−ψdx(θ)]2
を入射角範囲θpからθqまで、Δθ刻みで計算し、その和
評価式P(d)=Σ([Δ_ex(θ)−Δdx(θ)]2
+[ψ_ex(θ)−ψdx(θ)]2)
を求めて(ステップ803)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
を入射角範囲θpからθqまで、Δθ刻みで計算し、その和
評価式P(d)=Σ([Δ_ex(θ)−Δdx(θ)]2
+[ψ_ex(θ)−ψdx(θ)]2)
を求めて(ステップ803)、メモリ内に記憶しておく。なお、フィッティングにおける評価式P(d)は理論値と実測値の差を表すものであればこれ以外でもよい。
このようにして、膜厚dが最大膜厚dyに達するまで膜厚dの値を順次Δdずつ増加させては(ステップ804)、そのときの膜厚における理論データと測定データの差の自乗和を求めて(ステップ803)メモリ内に記憶する。
こうして、最大膜厚dyまで自乗和の計算が終了すると(ステップ805でYESの場合)、メモリに記憶しておいた膜厚範囲dx〜dyにおける自乗和P(dx)〜P(dx)の中から最小の値をとる自乗和P(dz)を抽出し(ステップ806)、このときの膜厚dzを測定膜厚とする(ステップ807)。
また、上記は不透明基板を想定し、基板の裏面からの反射は考慮していないが、透明基板では裏面からの反射を考慮する必要がある。このような場合には、図9のように、理論式も導出可能であり、この理論式を用いれば上記同様に、透明基板における多層膜の膜厚、および/または、膜質測定も可能である。ただし、図9中rは、図4で示す反射光rを示す。
図12に示されるセンサヘッド部2の大きな特徴は、(1)受光レンズ26と一次元CCD29の受光面とが平行であること、及び(2)受光レンズ26と一次元CCD29の受光面との距離が、受光レンズの焦点距離fとほぼ一致していること、が挙げられる。換言すれば、受光レンズ26に対して試料(基板5)側を前方、一次元CCD29側を後方と定義すれば、一次元CCD29の受光面の位置は受光レンズのほぼ後方焦点位置であると表現することができる。そして、このような配置によれば、距離バタツキの影響を受けない光学系を実現することができる。
距離バタツキ対策の作用説明図が図10に示されている。今仮に、集光レンズ22からの光束のうちで、入射角が最も離隔した2本の光線をL1,L2と定義する。また、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。また、光線L1が基板5で反射された反射光線を符号L11、基板5´で反射された反射光線をL12とする。また、光線L2が基板5で反射された反射光線をL21、基板5´で反射された反射光線をL22とする。さらに、一次元CCDの受光面上における反射光線L11,L12の入射点をP1、反射光線L21,L22の入射点をP2とする。
すると、図から明らかなように、同一の入射光線L1,L2に関しては、距離バタツキにより基板が上下移動したとしても、対応する反射光(L11,L12),(L21,L22)については、一次元CCD23の受光面上の同一の入射点P1,P2に入射することが理解されるであろう。
上述の距離バタツキによる影響を解消する作用は、以下の原理に基づくものである。スネルの法則によれば、入射光の角度と試料の法線方向とが決定されれば、反射角は一意に決定されることが知られている。
図11に示されるように、入射角θで試料に光線L1が入射している状況を考えると、このときに距離バタツキにより試料の上下変動ΔLが生じたとしても、入射光線L1の角度θと試料の法線L01,L02,L03,L04の方向は変化しないから、反射角も変化しないことが判る。しかし、距離バタツキが生ずると、反射面の平行移動に伴い、反射する点がP11,P12,P13,P14の如く移動するため、反射光線L11,L12,L13,L14も平行に移動する。
ここで、それぞれ異なる入射角θ1,θ2,θ3を有する3本の入射光線L1,L3,L2を想定する。このとき、距離バタツキ(基準高さの基板5,下降位置の基板5′、上昇位置の基板5″)が生ずると、図12〜図14に示されるように、各入射光線L1,L2,L3のそれぞれについて、平行な3本の反射光線(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L32)が生ずる。
先に述べたように、受光レンズ26と一次元CCD29の受光面との距離は、受光レンズ26の焦点距離fとほぼ一致させてあるため、図15に示されるように、それら3組の平行光線(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L32)は、一次元CCD29の受光面上の3点であるP1,P2,P3に収束することになる。つまり、距離バタツキが生じたとしても、一次元CCD29の出力信号s2を介して観測される波形の入射角(θ1〜θ3)に応じた反射光強度分布は変化しないので、正常な膜厚測定が可能になることが理解されるであろう。
ただ、受光レンズ26には収差があるのが普通であるから、仮に受光レンズ26と一次元CCD29の受光面29bが平行で、かつ両者の距離が受光レンズの焦点距離fと完全に一致したとしても、図16に示されるように、各組の平行光線の集光点は、厳密な意味では受光面29b上の一点に収束しない。『〜焦点距離fとほぼ一致〜』と表現したのは、このことを意識したためである。
図2に示されるセンサヘッド部2の大きな特徴の他の1つとしては、(1)ブリュースター角を入射角範囲に容易に含むことができる多入射角の分光エリプソメトリ方式を採用したこと、及び(2)回転移相子法を採用したこと、が挙げられる。
分光エリプソメトリ方式の薄膜計測装置では、ブリュースター角のときに、測定感度(RP/Rs)が最大になる(図17参照)。つまり、ブリュースター角近傍では位相差Δ、振幅比ψの変化が激しく、Δおよびψの範囲も広範囲に及ぶ。また、多入射角としたことにより、単入射角のエリプソメータでは実現できなかった微少領域の計測が可能となった。すなわち、本実施形態における一次元CCDではスポット径の大小に関わらず画素ごとに入射角を分離して受光することができる。その結果、理論の入射角と実測の入射角を1対1に対応付けて処理することができ、理論と実測の誤差がなくなり正確な膜厚を算出することができるからである。また、本実施形態ではブリュースター角を入射角範囲に含み、かつ一括で計測することができるのも特徴の一つであり、これにより高感度・高速計測を可能にした。
さらに、ブリュースター角近傍ではΔおよびψの範囲が広範囲に及ぶことに加え、回転移相子法は回転検光子法などと違いS0〜S3までの全てのストークスパラメータを求めることができるため、どのような偏光状態でも精度よく測定できること、の2つの利点から、回転移相子法を採用したことにより、高精度な計測が可能となった。
図2に示されるセンサヘッド部2の大きな特徴のさらに他の1つとしては、(1)投光側光学系に移相子を配置したこと、及び(2)分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を用いたこと、が挙げられる。
投光側光学系に移相子を配置した理由を以下に述べる。受光側光学系に移相子を配置し、距離バタツキがある場合を図18に示す。今仮に、集光レンズ25からの光束のうちで、入射角が最も離隔した2本の光線をL1,L2と定義する。また、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。また、光線L1が基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線を符号L11、基板5´でコリメートレンズを通過した直後の光線をL12とする。また、光線L2が基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線をL21、基板5´で反射されコリメートレンズを通過した直後の光線をL22とする。また、光線L11が移相子24を通過した直後の光線をL11'、光線L12が移相子を通過した直後の光線をL12'、光線L21が移相子を通過した直後の光線をL21'、光線L22が移相子24を通過した直後の光線をL22'とする。
図18より、光線L12が移相子24へ入射する角度θ1と光線L11が移相子24へ入射する角度θ2とは等しくないことが分かる。また、光線L21が移相子へ入射する角度θ3と光線L22が移相子24へ入射する角度θ4も等しくないことが分かる。一般に移相子24は、入射角依存性を持つため、光線L11'と光線L12'、光線L21'と光線L22'における偏光状態も異なってくる。よって、受光側光学系に移相子を配置した場合、距離バタツキに強い光学系は実現できないことが分かる。
受光側光学系に移相子を配置し、角度バタツキがある場合を図19に示す。今仮に、集光レンズ25からの光束のうちで、入射角が最も離隔した2本の光線をL1,L2と定義する。また、光線L1が基準角度A1にあるときの基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線をL11とする。また、光線L1が角度A2にあるときの基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線をL12、また、光線L2が基準角度A1にあるときの基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線をL21とする。また、光線L2が角度A2にあるときの基板5で反射されコリメートレンズ26を通過した直後の光線をL22とする。また、光線L11が移相子24を通過した直後の光線をL11'、光線L12が移相子24を通過した直後の光線をL12'、光線L21が移相子24を通過した直後の光線をL21'、光線L22が移相子24を通過した直後の光線をL22'とする。
図19より明らかなように、光線L12が移相子24へ入射する角度θ1と光線L11が移相子24へ入射する角度θ2は等しいことが分かる。また、光線L21が移相子24へ入射する角度θ3と光線L22が移相子24へ入射する角度θ4も等しいことが分かる。一般に移相子24は、入射角依存性を持つため、光線L11'と光線L12'、光線L21'と光線L22'における偏光状態も等しくなる。よって、受光側光学系に移相子を配置する場合、角度バタツキに強い光学系は実現できることが分かる。尚、図19において25aはスリット板である。。上記から受光側光学系に移相子24を配置する場合、角度バタツキに強い光学系は実現できるが、距離バタツキに強い光学系は実現できないことがわかる。
次に、投光側光学系に移相子を配置し、距離バタツキがある場合を図20に示す。今仮に、偏光子24からの光束のうちで、入射角が最も離隔した2本の光線をL1,L2と定義する。また、基準高さHrefにあるときの基板を符号5(薄膜を5a)、また距離バタツキにより下降したときの基板を符号5´(薄膜を5a´)とする。
図20より明らかなように、距離バタツキがない場合と距離バタツキがある場合とでは、光線L2から移相子24への入射角θ1および光線L2から移相子24への入射角θ2に変化はないことが分かる。その結果、移相子24を通過した直後の偏光状態も変化しない。したがって、投光側光学系に移相子24を配置する場合、距離バタツキに強い光学系を実現できることが分かる。
次に、投光側光学系に移相子24を配置し、角度バタツキがある場合を図21に示す。今仮に、偏光子24からの光束のうちで、入射角が最も離隔した2本の光線をL1,L2と定義する。図21より、角度バタツキがない場合と角度バタツキがある場合では、光線L1から移相子24への入射角θ1および光線L2から移相子24への入射角θ2に変化はないことが分かる。その結果、移相子24を通過した直後の偏光状態も変化しない。したがって、投光側光学系に移相子24を配置する場合、角度バタツキに強い光学系を実現できる。上記から投光側光学系に移相子24を配置する場合、距離バタツキおよび角度バタツキの双方に強い光学系を実現できることがわかる。
次に、分光手段として干渉方式の分光素子(傾斜膜)を用いた理由を以下に述べる。すなわち、回折格子を利用した分光手段では、距離バタツキおよび角度バタツキの双方に強い光学系を実現することができず、加えて装置が大型になる。以下に、図22〜24を用い、回折格子を利用した分光手段では、距離バタツキおよび角度バタツキに強い光学系を実現できない理由を述べる。
図22は受光側光学系に回折格子とレンズと一次元CCDに配置した図である。図において、201は測定対象、202はコリメータレンズ、203は回折格子、204は集光レンズ、205は一次元CCDである。このような構成によれば、光線aと光線bは一次元CCD205上の同じ位置に集光する。つまり、波長は分離して検出できるが、入射角は分離して検出できないことがわかる。
次に、受光側光学系に回折格子とシリンドリカルレンズとニ次元CCDを配置する場合を考える。図において、201は測定対象、202はコリメータレンズ、203は回折格子、206はシリンドリカルレンズ、207は二次元CCDである。図23は角度バタツキがある場合、図24は距離バタツキがある場合である。
まず、角度バタツキがある場合を考える。図23に示すように、入射面に対し正面方向から見た場合には、回折格子203を通過する前の光はコリメート光になり、ニ次元CCD207上での集光位置は平行移動するだけなので後述する第2実施形態と同じ手法で角度検知および補正が可能である。また、図23に示すように、真上方向から見た場合には、ニ次元CCD207で集光位置は変化しない。よって、波長および入射角を分離して検出することができ、角度バタツキに強い光学系を実現できる。
次に、距離バタツキがある場合を考える。図24(a)に示すように、入射面に対し正面方向から見た場合には、ニ次元CCD207上での集光位置は変化しないが、図24(b)に示すように、真上方向から見た場合には、回折格子203を通過する前の光はコリメート光でなくなくなるため、正確に分光することができなくなり、距離バタツキに強い光学系を実現することはできない。
したがって、一次元CCDを用いる場合でもニ次元CCDを用いる場合でも、角度バタツキに強い光学系は実現できるが、距離バタツキに強い光学系は実現できない。よって、回折格子を利用した分光手段では距離バタツキおよび角度バタツキに強い光学系を実現できないことがわかる。また、回折格子を利用した分光手段は装置が大型になることから、本発明では、距離バタツキおよび角度バタツキに強い光学系を実現でき、かつ小型化が可能な干渉方式の分光手段(傾斜膜)を採用した。
ここで、本発明で用いる傾斜膜について説明する。例えば、傾斜膜に対し波長450nmの光を入射し、ニ次元CCDで受光すると、受光波形は図25のようになる。つまり、受光波形は波長分解能の誤差によりある程度の半値幅hを持つようになる。半値幅hは、最大受光量のの高さ(図ではライン)における幅を示す。図25のように、傾斜膜の特性として半値幅hは波長特性を有する。その結果、理論値と実測値を対比し膜厚を求める際には、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する処理が必要となってくる。なお、この処理を半値幅補正と称す。
次に、図6及び図7に示すテーブルの作成方法を述べる。理論値の位相差Δ、振幅比ψの半値幅補正方法は次のようにして行なわれる。まず、以下の式(10)〜(12)を用いて,補正前のストークスパラメータS1,S2,S3を求める。なお、以下の式は、回転移相子法で用いられる一般的な式である。
S1 = −cos 2ψ ・・・式(10)
S2 = sin 2ψcosΔ ・・・式(11)
S3 = −sin 2ψsinΔ ・・・式(12)
補正前のS1,S2,S3に対して,図25に示す傾斜膜の半値幅hと図26に示すローレンツ関数f(x)により受光量データの注目波長αごとに重み付けを行う。以下に補正後S1,S2,S3の算出式を式(13)〜(15)に示す。ここで、xは受光量データの任意の波長を示す。なお、ここではローレンツ関数を用いて傾斜膜の波長分解能の誤差を解消しているが、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する方法であればこれ以外でもよい。
上記で求めた補正後のストークスパラメータS1,S2,S3から式(10)〜(12)より再び理論値の位相差Δ、振幅比ψを算出し、これをテーブルデータとして、メモリに格納する。半値幅補正をした結果を図28に示す。
S2 = sin 2ψcosΔ ・・・式(11)
S3 = −sin 2ψsinΔ ・・・式(12)
補正前のS1,S2,S3に対して,図25に示す傾斜膜の半値幅hと図26に示すローレンツ関数f(x)により受光量データの注目波長αごとに重み付けを行う。以下に補正後S1,S2,S3の算出式を式(13)〜(15)に示す。ここで、xは受光量データの任意の波長を示す。なお、ここではローレンツ関数を用いて傾斜膜の波長分解能の誤差を解消しているが、傾斜膜の波長分解能の誤差を解消する方法であればこれ以外でもよい。
上記で求めた補正後のストークスパラメータS1,S2,S3から式(10)〜(12)より再び理論値の位相差Δ、振幅比ψを算出し、これをテーブルデータとして、メモリに格納する。半値幅補正をした結果を図28に示す。
なお、本実施形態では以下の変形例がある。光源に白色光源以外のLEDを用いることも可能である。複数のLEDを用いることで、白色光源と同等の広い波長帯を実現することができ、光源としての寿命が大幅に伸び、本発明装置のメンテナンス性が上がり、よりインライン計測に有効となる。
次に、光電変換部アレイ手段に一次元CCD以外の二次元CCDを用いる場合を考える。一次元CCDでは、図29(a)に示すように入射角が変化すると必然的に波長も変化するのに対し、ニ次元CCDでは、図29(b)に示すように、入射角と波長がそれぞれ独立で変化する。つまり、一次元CCD・ニ次元CCD共に入射角および波長を分離して検出することが可能であるが、二次元CCDの場合さらに情報量が多くなりより高精細な計測が可能となる。
[第2実施形態]
[第2実施形態]
次に、角度バタツキ対策が組み込まれたエリプソメトリ方式の薄膜計測装置の実施形態を図30〜図33を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図および演算処理部3の電気的構成は第1実施形態に示したとおりである。
角度バタツキ対策が組み込まれたセンサヘッド部2の光学的構成が図30に示されている。このセンサヘッド部2は、試料の膜厚測定点に対して、試料のブリュースター角を挟む広範囲の照射角度成分(図示例ではθ0〜θ1)を含む測定媒体光を照射するために、光源21からの光をコリメート光にするコリメータレンズ22と、コリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子23と、波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子24と、移相子24を回転させる駆動手段24aと光源(図示例では白色光源)21からの光を集光して基板(試料)5の薄膜5aの膜厚測定点に照射する集光用レンズからなる「投光用光学系」と、媒体光の反射光をコリメート光にするコリメータレンズ(受光レンズ)26とコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子27と傾斜膜28と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCDが相当)29を含む「受光側光学系」と、を含んでいる。
さらに、投光側光学系には、測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段(図示例ではエッジ整形手段として機能するスリット板20のスリット20aが相当)が含まれており、また受光側光学系には、試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段(図示例では一次元CCD29そのものが相当)が含まれている。
さらに、演算処理部3には、第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている。
膜厚測定のための基本動作は次の通りである。光源21から発せられた測定媒体光は、コリメータレンズ22・偏光子23・移相子24を介し、集光レンズ25の作用で測定対象である基板5上の薄膜5aに集光して照射される。試料の膜厚測定点は、入射光のほぼ集光位置に置かれる。このとき、θ0〜θ1の範囲の連続した入射角成分を有する測定媒体光が試料へと入射されることになる。
集光レンズ25を介して入射された測定媒体光は試料5で反射される。試料の膜厚測定点から到来する測定媒体光の反射光は、コリメータレンズ26・検光子27・傾斜膜28を介し、受光レンズ26の作用で一次元CCD29の受光面に導かれる。これにより、一次元CCD29からは各受光素子(画素)29aの受光量データをシリアルに並べたものに相当する一次元CCD出力信号s2が送出される。この一次元CCD出力信号s2に基づいて、入射角(θ0〜θ1)のそれぞれに応じた反射光強度分布が観測される。このとき観測される入射角のそれぞれに応じた反射光強度分布は、入射角および波長に応じた量である。そして、駆動手段(移相子)24aを角度x°ずつ回転し順次一次元CCDデータを計測する。駆動手段(移相子)24aが半回転(180度)分回転したところで、これらを演算処理部3で処理することにより、実測値の位相差Δと振幅比ψを算出する。同時に、演算処理部3で理論値の位相差Δと振幅比ψを算出し、最後に、実測値と理論値を対比することで膜厚を求めることができる。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第一実施形態で説明した通りである。
図30に示されるセンサヘッド部2の大きな特徴は、(1)集光レンズの入射側にエッジ整形手段として機能するスリット板(スリット)20が配置されて、入射光の断面がエッジ整形されて、基準光軸Lref0,Lref1が特徴づけられていること、(2)反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′の到達点Pref0,Pref1が一次元CCDを介して検出されること、(3)検出された入射点Pref0,Pref1に基づいて、一次元CCDからの出力信号s2に含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分が修正されること、にある。
すなわち、投光光学系に配置されたエッジ整形手段としてのスリット板20には、図31(a)に示されるようにその中央部にスリット20aが形成されており、このスリットの長手方向の両端縁により入射角範囲(θ0〜θ1)が決定され、換言すれば、測定媒体光中に2本の基準光軸Lref0,Lref1が特徴付けされる。これらの2本の基準光軸Lref0,Lref1は、試料で反射されて反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′となり、一次元CCDの受光面上の画素位置Pref0,Pref1に入射される。これら入射点の画素座標Rref0,Rref1は、一次元CCD29の出力信号s2を例えば暗レベル相当のしきい値で二値化することで、容易に検出することができる。したがって、入射角範囲の両端(θ0とθ1)を一次元CCD29の各画素29aを介して観測し、基準位置からの画素位置のずれを見ることで、角度バタツキを検出し、かつ角度バタツキのない状態に戻すことができる。ここで基準位置とは、図30においてPref0,Pref1に示されるように、角度バタツキが存在しない状態で測定した画素位置のことである。
なお、この例では、エッジ整形手段(スリット板20)は集光用レンズ近傍の光源側に配置されているが、レンズ近傍の基板側に配置しても同様の作用を得ることができる。
角度バタツキの検出方法及び補正方法についてさらに詳細に説明する。先に説明したように、この種のエリプソメトリ方式の薄膜計測装置において角度バタツキが生ずると、一次元CCD29を介して観測される波形の画素列方向両端が基準位置からずれる。この状態では演算処理部3で正常に波形処理を行うことができないため、これを膜厚測定のための演算処理に先立って補正する必要がある。
本発明者等の鋭意研究によれば、角度バタツキとそれに伴う測定条件の変動との間には、図32に示される因果関係があることが知見された。
角度バタツキが生ずると、それに伴って試料の傾きもΔθだけ傾き、その結果、試料の法線はL0からL0′となる。すると、入射角もΔθずれることとなり、入射角範囲はθ0+Δθ〜θ1+Δθとなる。入射角がΔθずれると、一次元CCDで観測される光強度分布波形は、基準位置に対して2Δθだけずれた画素位置へと移動することとなり、一次元CCDにおいては、この入射角範囲θ0+2Δθ〜θ1+2Δθの画素位置にて光強度分布波形が観測される。
したがって、一次元CCDで観測された波形から、基準位置に対して波形が何度ずれているかを見ることで、試料が基準位置に対して何度傾いているかを測定することができる。例えば、観測された波形が、基準位置から2Δθずれていれば、試料はΔθだけ傾いていることになる。
次に、検出した波形を、角度バタツキのない状態に戻すには、観測された波形の入射角範囲を検出されたずれ角度2Δθに応じてΔθだけ戻す操作を演算処理部3で行えばよい。例えば、入射角度範囲θ0+2Δθ〜θ1+2Δθの画素位置で観測された波形は、入射角度範囲θ0+Δθ〜θ1+Δθの範囲に戻される。この方法で、一次元CCDで観測される光強度分布波形を角度バタツキのない状態に戻すことができる。この結果、角度バタツキがあっても、正常な膜厚測定が可能になる。
演算処理部3にて実行される角度修正処理を示すフローチャートが図33に示されている。同図に示されるように、演算処理部3では、先ず、A/D変換部33より測定データM(θ)を取得し(ステップ3301)、次いで測定データM(θ)に基づいて前述のアルゴリズムにより波形ずれ量2Δθの算出を行い(ステップ3302)、最後に、観測された入射角範囲をΔθだけ戻す処理を実行することにより、角度修正を完了する。その後、先に図8に示した処理を実行することで、正確な膜厚測定が可能となる。
なお、本実施形態においては、基準光軸特徴付けのためのエッジ整形手段としてスリット板20を使用したが、これに代えて、図31(b)に示されるアパーチャ板20′、図31(c)に示されるナイフエッジ板20″等の他のエッジ整形手段を採用しても良い。なお、20a′はアパーチャ、20a″はナイフエッジである。
[第3実施形態]
[第3実施形態]
次に、距離バタツキ及び角度バタツキが組み込まれたエリプソメータの実施形態を、図34〜図37を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態の全体を示す構成図および演算処理部3の電気的構成は第一実施形態に示したとおりである。
距離バタツキ及び角度バタツキの双方に対する対策が組み込まれたセンサヘッド部の光学的構成が図34に示されている。同図に示されるように、このセンサヘッド部2は、試料の膜厚測定点に対して、試料のブリュースター角を挟む広範囲の照射角度成分(図示例ではθ0〜θ1)を含む測定媒体光を照射するために、光源21からの光をコリメート光にするコリメータレンズ22と、コリメート光のある偏光成分だけを通過させる偏光子23と、波長の4分の1だけ位相を遅らす移相子24と、移相子を回転させる駆動手段(図示せず)と、光源(図示例では白色光源)21からの光を集光して基板(試料)5の薄膜の膜厚測定点に照射する集光用レンズ25からなる「投光用光学系」と、媒体光の反射光をコリメート光にするコリメータレンズ(受光レンズ)26とコリメート光のある偏光成分だけを通過させる検光子27と傾斜膜28と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段(図示例では一次元CCD29が相当)を含む「受光側光学系」と、を含んでいる。加えて、受光側光学系に含まれるレンズ(レンズ26)と光電変換部アレイ手段(一次元CCD29)の受光面との距離は、当該レンズの焦点距離(f)とほぼ一致するように設定されている。
また、投光側光学系には、測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段(図ではエッジ整形手段として機能するスリット板20が相当)が含まれており、受光側光学系には、試料の膜厚計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段(図では一次元CCD自体が相当)が含まれている。
さらに、演算処理部3には、第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている。
膜厚測定のための基本動作は次の通りである。光源21から発せられた測定媒体光は、コリメータレンズ22・偏光子23・移相子24を介し、集光レンズ25の作用で測定対象である基板5上の薄膜5aに集光して照射される。試料の膜厚測定点は、入射光のほぼ集光位置に置かれる。このとき、θ0〜θ1の範囲の連続した入射角成分を有する測定媒体光が試料へと入射されることになる。
集光レンズ25を介して入射された測定媒体光は試料5で反射される。試料5の膜厚測定点から到来する測定媒体光の反射光は、コリメータレンズ26・検光子27・傾斜膜28を介し、受光レンズ26の作用で一次元CCD29の受光面に導かれる。これにより、一次元CCD29からは各受光素子(画素)29aの受光量データをシリアルに並べたものに相当する一次元CCD出力信号s2が送出される。この一次元CCD出力信号s2に基づいて、入射角(θ0〜θ1)のそれぞれに応じた反射光強度分布が観測される。このとき観測される入射角のそれぞれに応じた反射光強度分布は、入射角および波長に応じた量である。そして、駆動手段(移相子)を角度x°ずつ回転し順次一次元CCDデータを計測する。駆動手段(移相子)が半回転(180度)分回転したところで、これらを演算処理部3で処理することにより、実測値の位相差Δと振幅比ψを算出する。同時に、演算処理部3で理論値の位相差Δと振幅比ψを算出し、最後に、実測値と理論値を対比することで膜厚を求めることができる。なお、演算処理部3における膜厚測定のための詳細な処理については、第一実施形態で説明した通りである。
図34に示されるセンサヘッド部2の大きな特徴は、(1)受光レンズと一次元CCDの受光面とが平行であること、(2)受光レンズと一次元CCDの受光面との距離が、受光レンズの焦点距離fとほぼ一致していること、(3)集光レンズの入射側にエッジ整形手段として機能するスリット板(スリット)が配置されて、入射光の断面がエッジ整形されて、基準光軸Lref0,Lref1が特徴づけられていること、(4)反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′の到達点が一次元CCD23を介して検出されること、(5)検出された反射光の基準光軸Lref0′,Lref1′の入射点と基準入射点Pref0,Pref1とに基づいて、一次元CCDからの出力信号s2に含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分が修正されること、にある。
距離及び角度バタツキ対策を併用する場合の作用説明図(その1〜その3)が図35〜図37に示されている。先に、図11〜図15を参照して説明したように、(1)受光光学系に含まれる受光レンズと一次元CCD29の受光面とが平行であること、及び(2)受光レンズ26と一次元CCD29の受光面との距離が、受光レンズ26の焦点距離fとほぼ一致すること、なる条件が満たされる限り、受光レンズ26に入射される平行光線は一次元CCD29の受光面上の一点に集光して入射される。
ここで、図35〜図37を参照して明らかなように、ズレ角Δθが一定である限り距離バタツキの有無に拘わらず、各高さ位置(上昇位置、基準位置、下降位置)にある基板5″,5,5′からの3組の反射光(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L33)は、いずれの組においても互いに平行な関係を維持している。そのため、この実施形態にあっても、入射光L1,L2,L3に対する反射光(L10,L11,L12),(L20,L21,L22),(L30,L31,L33)は、一次元CCD23の受光面上の3点P1,P2,P3に必ず集光されるから、距離バタツキによる影響の受けない光学系を実現することができる。
一方、図35〜図37において、ズレ角Δθが変動した場合には、先に、図32を参照して説明したように、一次元CCD29の受光面に入射する反射光の入射点は、法線L0から法線L0′へのズレ角(Δθ)に応じて画素列方向へと所定角度分(2Δθ)移動することとなる。先の例で説明したように、投光光学系に配置されたスリット板20のスリット20aは、エッジ整形手段として機能して入射角範囲(θ0〜θ1)を規定しており、換言すれば、入射光中に基準光軸Lref0,Lref1を特徴づけている。これら基準光軸Lref0,Lref1の反射光の一次元CCD23への入射点Px0,Px1は、一次元CCD29の出力信号s2から検出することができる。演算処理部3では、検出された入射点Px0,Px1と基準となる入射点Pref0,Pref1とのズレ角2θに基づいて、試料の実際のズレ角Δθを求め、観測波形を角度バタツキのない状態に戻す処理を実行する。
したがって、この実施形態によれば、試料の距離バタツキ並びに角度バタツキに拘わらず試料の単層薄膜又は多層薄膜の膜厚、および/または、膜質を高精度に測定することが可能となる。殊に、この実施形態によれば、距離バタツキに関する補正は一次元CCDで観測された時点で既に完了しており、距離バタツキによる観測波形の変化は解消されている。したがって、観測波形が変化する要因は角度バタツキのみであり、演算処理部では角度バタツキに起因する誤差成分を補正する処理を実行するだけで済む。
このように、距離バタツキ及び角度バタツキは互いに独立な過程で補正されるため、これら2種類のバタツキに起因する観測波形の変化を演算処理部で同一の過程で補正する場合のように、2つの補正処理が互いに競合して演算処理が収束しないと言った不都合は生じない。また、スポット径が大きくなっても、試料の距離バタツキ並びに角度バタツキの理論が成り立ち、距離バタツキ並びに角度バタツキに強い光学系が実現できることも特徴の一つである。
その結果、この実施形態によれば、設置条件(距離/角度バタツキ)が緩和され、従来必要だったオートフォーカス機能、または測定前のステージのピント及び傾き調整が不要となる。同時に、装置の小型化も実現され、インライン計測に適した装置を提供することが可能となる。
[応用例]
[応用例]
次に、第1実施形態〜第3実施形態のいずれかを利用したアプリケーション例を説明する。半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ライン内での適用例を図38に示す。この適用方法によれば、まず、ライン上を流れる製品の上にセンサ(本発明装置)101を配置し、インラインで全製品に対しデータ収集を行い、パソコンなどのコンピュータ102にデータを転送する。次に、コンピュータ102内で転送されてきたデータをロギングし、ロギングしたデータを解析する。最後に、解析した結果を製造ライン内のプロセス装置103のコントローラ104にフィードバックすることによりプロセスを改善し歩留まりを向上することができる。
1 薄膜計測装置(エリプソメータ)
2 センサヘッド部
3 演算処理部
4 ヒューマンマシンインタフェース
5 試料
5a 薄膜
20 スリット板
21 光源
22 コリメータレンズ
23 偏光子
24 移相子
24a 回転駆動手段
25 集光レンズ
26 コリメータレンズ
27 検光子
28 傾斜膜
29 一次元CCD
29a 画素
2 センサヘッド部
3 演算処理部
4 ヒューマンマシンインタフェース
5 試料
5a 薄膜
20 スリット板
21 光源
22 コリメータレンズ
23 偏光子
24 移相子
24a 回転駆動手段
25 集光レンズ
26 コリメータレンズ
27 検光子
28 傾斜膜
29 一次元CCD
29a 画素
Claims (18)
- 試料表面に様々な照射角度成分を含む偏光光を照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含むと共に、試料からの反射光の入射角情報を保持し、偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析により反射光の入射角に対応したS偏光とP偏光の位相差Δと振幅比ψの分布を算出し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚、および/または、膜質を求める演算部を具備し、
前記受光側光学系に含まれる前記レンズと前記光電変換部アレイ手段の前記受光面との距離は、当該レンズの焦点距離とほぼ一致するように設定されている、ことを特徴とする薄膜計測装置。 - 試料表面に様々な照射角度成分を含む偏光光を照射する投光側光学系と、多数の光電変換部を受光面上にアレイ状に配置してなる光電変換部アレイ手段を含むと共に、試料からの反射光の入射角情報を保持し、偏光状態の変化を検出する機能を有する受光側光学系と、前記光電変換部アレイ手段の各光電変換部から得られる一連の受光量データに基づいて偏光解析により反射光の入射角に対応したS偏光とP偏光の位相差Δと振幅比ψの分布を算出し、実測波形と理論波形とのフィッティングにより膜厚、および/または、膜質を求める演算部を具備し、
前記投光側光学系には、前記測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段が含まれており、前記受光側光学系には、前記試料の膜厚又は膜質計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに前記演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とする薄膜計測装置。 - 投光側光学系には、測定媒体光に対して基準光軸に相当する特徴付けを行う特徴化手段が含まれており、受光側光学系には、試料の膜厚又は膜質計測点から到来する測定媒体光の反射光を受光してそれに含まれる基準光軸に相当する特徴を検出するための第2の光電変換手段が含まれており、さらに演算手段には、前記第2の光電変換手段により検出された基準光軸に相当する特徴に基づいて、各光電変換部から得られる一連の受光量データに含まれる試料の角度バタツキによる誤差成分を修正する受光量データ修正手段が含まれている、ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜計測装置。
- 前記特徴化手段が前記測定媒体光の断面輪郭のうちで基準光軸に相当する部分をエッジ整形する断面輪郭整形手段である、ことを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 前記断面輪郭整形手段には、スリット、アパーチャ、又はナイフエッジが少なくとも含まれる、ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜計測装置。
- 試料上のスポット径が1mm以下である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 投光側光学系の試料への照射角範囲内に試料基板のブリュースター角を含む、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 位相を遅らす機能を有する移相子を回転する機構を備える、ことを特徴とした請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 位相を遅らす機能を有する移相子を前記記載の投光側光学系に備える、ことを特徴とした、請求項8に記載の薄膜計測装置。
- 光源に白色光源を使用し、受光側光学系に分光素子を備える、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 前記記載の白色光源がLED光源である、ことを特徴とする請求項10に記載の薄膜計測装置。
- 透過位置によって透過光波長を次第に変化させる光干渉式の分光素子を前記記載の受光側光学系に備える、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の薄膜計測装置。
- 光電変換部アレイ手段として、ニ次元アレイ手段を用いる、ことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 理論の位相差Δおよび振幅比ψを算出する演算部が、分光素子の波長分解能による誤差を解消する処理を含む、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の薄膜計測装置。
- 試料基板が透明基板の場合、演算部が試料基板の裏面からの反射した光を含む複素反射率の理論式により、理論の位相差Δおよび振幅比ψを算出する処理を含む、ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 演算部が、試料基板が透明基板であるか不透明基板であるかを入力できる入力手段を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の薄膜計測装置。
- 半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ラインに配置されてインラインで製品の膜厚又は膜質計測を行う、ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の薄膜計測装置。
- 半導体製品やFPD等のような成膜プロセスを伴う製品の製造ラインに配置されて、全数検査し、ロギングし解析した結果を製造ライン内の装置にフィードバックできる、ことを特徴とする請求項17に記載の薄膜計測装置。
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-
2004
- 2004-08-31 JP JP2004253574A patent/JP2006071381A/ja active Pending
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