JP2000128909A - 水性樹脂エマルジョンの製造方法 - Google Patents

水性樹脂エマルジョンの製造方法

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JP2000128909A
JP2000128909A JP10308010A JP30801098A JP2000128909A JP 2000128909 A JP2000128909 A JP 2000128909A JP 10308010 A JP10308010 A JP 10308010A JP 30801098 A JP30801098 A JP 30801098A JP 2000128909 A JP2000128909 A JP 2000128909A
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polyurethane
emulsion
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acid
aqueous
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JP10308010A
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Seiji Tanimoto
征司 谷本
Mitsuru Kato
充 加藤
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性、耐溶剤性等に優れたポリウレタン系
水性樹脂エマルジョンを得ること。 【解決手段】 水性媒体中において、分子中にイソシア
ネート基を有するポリウレタンプレポリマーに、(a)
分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基
から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルア
ルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基また
は水酸基を有する低分子化合物を反応させて得たポリウ
レタン系エマルジョンの存在下に、エチレン性不飽和単
量体を乳化重合することを特徴とする水性樹脂エマルジ
ョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリウレタ
ン系水性樹脂エマルジョンの製造方法に関し、さらに詳
しくは、エマルジョン安定性に優れ、耐溶剤性等の皮膜
物性にも優れたポリウレタン系水性樹脂エマルジョンの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリウレタンはその優れた機械的
性質、耐磨耗性、耐薬品性、接着性などの特性を生かし
て、ゴムとプラスチックスの境界分野を埋める樹脂とし
て、塗料、接着剤、人工皮革などの幅広い用途分野に浸
透している。その中で、環境保全、省資源、安全性とい
った社会ニーズに対応すべく、水性ポリウレタンが急激
に発展してきている。ウレタン樹脂の水中への乳化分散
技術、アイオノマー化による自己乳化分散技術、さらに
は水中での高分子量化技術等の進歩により高性能の水性
ポリウレタンが出現し、その性能は今日では溶剤系ポリ
ウレタン樹脂に匹敵するレベルになり、各種の用途分野
で実用化されるに至っている。ポリウレタン樹脂は上述
したような他の樹脂にはない特性を有するが、塗料、イ
ンキ、接着剤などとしての用途の汎用性の点からはまだ
不十分で、例えば、耐候性、耐アルカリ性、耐熱性の点
では、他の樹脂より劣る場合がある。これらの欠点を補
うために、水性ポリウレタンと各種の水性エマルジョン
をブレンドして使用するケース(特開昭60−5506
4号公報、特開平5−117611号公報)もあるが、
混和性に問題がある場合がしばしばある。これらの改良
については、乳化剤の選定や導入するイオン基の種類等
によりかなり改善はされているものの、まだ満足するレ
ベルには至っていないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、優れたエマルジョン安定性を有し、耐候
性、耐アルカリ性等にも優れるポリウレタン系水性樹脂
エマルジョンの製造方法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、水性媒体中にお
いて、分子中にイソシアネート基を有するポリウレタン
プレポリマーに、(a)分子中にアミノ基、一級水酸基
およびアセトアセチル基から選ばれる少なくとも一種の
官能基を有するビニルアルコール系重合体、および
(b)分子中にアミノ基または水酸基を有する低分子化
合物を反応させて得たポリウレタン系エマルジョンの存
在下に、エチレン性不飽和単量体を乳化重合することを
特徴とする水性樹脂エマルジョンの製造方法を完成する
にいたった。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリウレタン
系エマルジョンは、代表的には分子中にイソシアネート
基を有するポリウレタンプレポリマーを水性媒体中に乳
化させる際に、あるいは乳化させた後に、(a)分子中
にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基から選
ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコー
ル系重合体、および(b)分子中にアミノ基または水酸
基を有する低分子化合物を、同時にまたは別途に添加
し、反応させて得られるポリウレタン系エマルジョンで
ある。
【0006】本発明に用いられるポリウレタンプレポリ
マーは、実質的に、高分子ポリオール、有機ジイソシア
ネートおよび必要に応じて鎖伸長剤を、溶媒の存在下ま
たは不存在下で反応させて得られた、分子中にイソシア
ネート基を1個以上有するポリウレタンである。
【0007】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いう
る高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカ
ーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを
挙げることができ、ポリウレタンプレポリマーはこれら
の高分子ポリオールの1種または2種以上を用いて形成
されていることができる。
【0008】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いる
ポリエステルポリオールは、例えば、常法に従って、ポ
リカルボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形
成性誘導体などのポリカルボン酸成分とポリオール成分
を直接エステル反応させるかまたはエステル交換反応さ
せることによって得られる。
【0009】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いら
れるポリエステルポリオールの製造原料であるポリカル
ボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−
メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチル
ペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメ
チルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの脂
肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式
ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのト
リカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体などを挙
げることができ、これらのうち1種または2種以上を用
いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオ
ールは、ポリカルボン酸成分として、脂肪族カルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体から主としてなり、場
合により少量の3官能以上のポリカルボン酸またはその
エステル形成性誘導体を含むものを用いて製造されたも
のであることが好ましい。
【0010】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いら
れるポリエステルポリオールの製造原料であるポリオー
ル成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−
ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9
−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオ
ール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオー
ル;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオ
ールなどの脂環式ジオール;グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、
トリメチロールブタン、トリメチロールペンタンなどの
トリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオール
などを挙げることができ、これらのうち1種または2種
以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステ
ルポリオールは、ポリオール成分として、脂肪族ポリオ
ールからなり、場合により少量の3官能以上のポリオー
ルを含むポリオール成分を用いて製造されたものである
ことが好ましい。
【0011】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いう
るポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリ
オールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネ
ート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合
物との反応により得られる。ポリカーボネートポリオー
ルを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオ
ールの構成成分として先に例示したポリオールを用いる
ことができる。また、ジアルキルカーボネートとしては
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、
アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート
などを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカ
ーボネートなどを挙げることができる。
【0012】ポリウレタンプレポリマーの製造に用いう
るポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、
例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネー
ト化合物を同時に反応させて得られたもの、予め製造し
ておいたポリエステルポリオールとカーボネート化合物
を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリカ
ーボネートポリオールとポリオールおよびポリカルボン
酸を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリ
エステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール
を反応させて得られたものなどを挙げることができる。
【0013】また、ポリウレタンプレポリマーの製造に
用いうるポリエーテルポリオールの例としては、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコールなどを挙げることができ、これ
らの1種または2種以上を用いることができる。
【0014】高分子ポリオール成分の数平均分子量は5
00〜10000であることが必要であり、700〜5
000であるのが好ましく、750〜4000であるの
がさらに好ましい。数平均分子量が500〜10000
の範囲から外れる高分子ポリオールを用いて製造された
ポリウレタンプレポリマーを使用する場合は、本発明に
より得られるポリウレタン系水性樹脂の耐溶剤性などが
低下する場合がある。
【0015】さらに、高分子ポリオールは、1分子当た
りの水酸基の数fが2.0≦f≦4.0の範囲であるこ
とが好ましい。より好ましくは2.0≦f≦3.0の範
囲である。1分子当たりの水酸基数fが前記した2.0
≦f≦4.0の範囲にある高分子ポリオールを用いて得
られたポリウレタンプレポリマーを本発明のポリウレタ
ン系エマルジョンで使用すると、本発明により得られる
水性樹脂の耐溶剤性が良好になる。
【0016】有機ジイソシアネート成分としては、通常
のポリウレタン系エマルジョンの製造に従来から用いら
れている有機ジイソシアネートのいずれもが使用できる
が、分子量500以下の脂環式ジイソシアネート、脂肪
族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートのうち1
種または2種以上が好ましく使用される。有機ジイソシ
アネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロ
ヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジ
イソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどを挙げる
ことができ、これらのうち1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0017】本発明のポリウレタンプレポリマーの製造
には、必要に応じて鎖伸長剤成分を用いることができ
る。用いうる鎖伸長剤成分としては、通常のポリウレタ
ン系エマルジョンの製造に従来から用いられている鎖伸
長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反
応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量
300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4
−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジ
オール類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;
ペンタエリスリトール等のペンタオール類;ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレ
ンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびそ
の誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キ
シレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコ
ール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコー
ル類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上
を用いることができる。
【0018】ポリウレタンプレポリマーの製造は、従来
から公知の方法で行うことができ、30〜150℃の温
度条件下で、有機溶媒の存在下または不存在下で行うこ
とができる。この際用いることができる有機溶媒として
は、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルピロリドン等のアミド類;トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、エマルジョン
製造後の溶媒除去の容易性を考慮すると、アセトン、メ
チルエチルケトン、酢酸エチル等の沸点が100℃未満
の溶媒がより好ましい。また、プレポリマー製造後に、
粘度低下等を目的として、上記の有機溶媒を添加、ある
いは追加しても良い。
【0019】ポリウレタンプレポリマーの製造の際に
は、必要に応じて反応触媒を添加することができ、この
ような触媒としては、例えば、オクチル酸スズ、モノブ
チルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレ
ート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズ
マレイン酸塩、ジブチルスズジアセテート、ジブチルス
ズジオクトエート、ジブチルスズジステアレート、ジブ
チルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸塩など
の有機スズ化合物;テトライソプロピルチタネート、テ
トラ−n−ブチルチタネートなどの有機チタン化合物;
トリエチルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルア
ミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジア
ミン、トリエチレンジアミンなどの3級アミンなどを挙
げることができる。
【0020】ポリウレタンプレポリマーの製造にあたっ
ては、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤が有している活
性水素原子の全量に基づいて、活性水素原子1当量当た
りのイソシアネート基当量の比(R)が、1.05≦R
≦3.0の範囲で使用するのが好ましく、1.1≦R≦
2.5の範囲で使用するのがより好ましい。Rが1.0
5未満である場合には、後述するビニルアルコール系重
合体との反応性が低下し、本発明の製造方法により得ら
れる水性樹脂の耐溶剤性等が十分に改善されず、またプ
レポリマーの粘度が高いために水中への乳化が困難であ
る。Rが3.0を越える場合には、後述するビニルアル
コール系重合体やアミノ基または水酸基を有する低分子
化合物との反応の際にエマルジョンが不安定化してゲル
化しやすくなる。
【0021】次にポリウレタンプレポリマーを水性媒体
中に乳化させるが、この方法として(1)ポリウレタン
プレポリマー分子中に親水性基を導入して、プレポリマ
ー自身に自己乳化性を付与する方法、(2)界面活性剤
を用いて、ポリウレタンプレポリマーを強制乳化させる
方法が挙げられる。
【0022】ポリウレタンプレポリマー分子中への親水
性基の導入は、上記プレポリマー反応において、親水性
基を有する活性水素原子含有化合物を併用することによ
り達成される。親水性基を有する活性水素原子含有化合
物としては、分子内に水酸基またはアミノ基等の活性水
素原子を1個以上含有し、且つカルボン酸基、スルホン
酸基、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性基;
ポリオキシエチレン基等のノニオン性基;三級アミノ
基、四級アンモニウム塩等のカチオン性基から選ばれる
1種以上の親水性基を有する化合物が挙げられる。例え
ば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメ
チロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボ
ン酸基含有化合物およびこれらの誘導体;1,3−フェ
ニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジア
ミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸基含有化
合物およびこれらの誘導体;分子量200〜10,00
0のポリオキシエチレングリコールおよびそのモノアル
キルエーテル等のノニオン性基含有化合物;3−ジメチ
ルアミノプロパノール等の三級アミノ基含有化合物およ
びこれらの誘導体等が挙げられる。さらに、上記の親水
性基を有する活性水素原子含有化合物を共重合して得ら
れるポリエステルポリオールまたはポリエステルポリカ
ーボネートポリオールを用いることもできる。この中で
も、2,2−ジメチロールプロピオン酸を用いてポリウ
レタンプレポリマーを製造し、プレポリマー反応終了後
にトリエチルアミン、トリメチルアミン、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等の塩基性物質を添加してカルボ
ン酸塩に変換する方法が好ましい。
【0023】また、界面活性剤を用いてポリウレタンプ
レポリマーを強制乳化させる場合には、ポリウレタンプ
レポリマーは上記の親水性基を有していなくても良い。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノ
ニオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリ
ル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナ
トリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸
ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸
ナトリウム等のアニオン性界面活性剤等を用いることが
できる。この中でも、HLB値が6〜20のノニオン性
界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0024】ポリウレタンプレポリマーの乳化は、上記
の2方法のいずれかまたは両者を用いて、ホモミキサ
ー、ホモジナイザー等の乳化分散装置を用い行われる。
この際、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基
と水との反応を抑制するため、乳化温度は40℃以下で
あることが好ましく、30℃以下であることがより好ま
しい。
【0025】乳化して得られるエマルジョンの粒子径に
特に制限はないが、通常0.1μm〜100μmの粒径に分散さ
せて用いられる。粒径がこの範囲をはずれると、エマル
ジョンの安定性に問題が生じる懸念がある。
【0026】本発明で用いるポリウレタン系エマルジョ
ンは、ポリウレタンプレポリマーの乳化と同時に、また
は乳化後、アミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチ
ル基を有するビニルアルコール系重合体、および分子中
にアミノ基および水酸基から選ばれる活性水素原子を有
する低分子化合物を添加、反応させて得られる。ビニル
アルコール系重合体および活性水素原子含有低分子化合
物の添加は、同時に行っても良く、また別途に行っても
良い。
【0027】本発明に用いられる、分子中にアミノ基、
一級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルア
ルコール系重合体としては、分子内にアミノ基、一級水
酸基あるいはアセトアセチル基を含有するビニルアルコ
ール系重合体であれば特に制限はない。アミノ基として
は一級または二級アミノ基が好適である。アミノ基、一
級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルアル
コール系重合体の製造方法としては、例えば、 (1)ビニルホルムアミド、メチルビニルアセトアミ
ド、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシル
エチルメタアクリレート等の、一級アミノ基または二級
アミノ基あるいは一級水酸基を有するエチレン性不飽和
単量体、または加水分解等によりアミノ基あるいは一級
水酸基を生成しうる官能基を有するエチレン性不飽和単
量体と、酢酸ビニルとを共重合させた後、けん化する方
法; (2)アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有
する単量体と酢酸ビニルとを共重合させて得られたポリ
マーの側鎖のエポキシ基に、一級アミノ基または二級ア
ミノ基あるいは一級水酸基を有するメルカプタンを水酸
化ナトリウム等を触媒として付加反応させた後、けん化
する方法; (3)ポリビニルアルコールの水酸基と反応しうる官能
基を分子内に有し、且つ一級または二級アミノ基あるい
は一級水酸基を有する化合物をビニルアルコール系重合
体に反応させる方法; (4)メルカプト基を有するビニルアルコール系重合体
の存在下で、一級アミノ基または二級アミノ基あるいは
一級水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を重合させ
る方法; (5)ポリビニルアルコールの水酸基に固気反応により
ジケテンを反応させる方法; 等が挙げられる。
【0028】ビニルアルコール系重合体は、分子内にア
ミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基以外の官
能基を有していても本発明の効果を損なわない限り差し
支えない。そのような官能基を与える単量体単位として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル
酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)
イタコン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、
ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、メタクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸
スルホプロピル、およびそれらのアルカリ塩、アクリル
アミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリ
ルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロ
リド、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ
化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラ
フルオロエチレン等が挙げられる。また、チオール酢
酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物存在下
で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体を重合する
ことによって得られる末端に官能基を有するポリマーで
も良い。
【0029】本発明のポリウレタン系エマルジョンを構
成する、分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトア
セチル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する
ポリビニルアルコール系重合体の官能基の含有量は、特
に制限はなく、重合度等により好適な範囲が変化する
が、一般に、0.1〜15モル%が好ましく、0.2〜
10モル%がより好ましい。0.1モル%よりも少ない
場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応性が低下
し、得られる水性樹脂の耐溶剤性等が十分に改善されな
い。また、15モル%を越える場合には、ポリウレタン
プレポリマーとの反応の際にエマルジョンが不安定化
し、系がゲル化しやすくなる。
【0030】ビニルアルコール系重合体のケン化度は、
50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ま
しく、70モル%以上がさらに好ましい。ケン化度が5
0モル%未満の場合には、得られる水性樹脂の耐溶剤性
等が不十分である。また、ビニルアルコール系重合体の
分子量は、JIS法による粘度平均分子量が、2,00
0〜200,000であるのが好ましく、4,000〜
100,000であるのがより好ましい。分子量が2,
000未満の場合には、得られる水性樹脂の耐溶剤性等
が不十分であり、分子量が200,000を越える場合
には、ポリウレタンプレポリマーとの反応の際にエマル
ジョンが不安定化し、系がゲル化しやすくなる。
【0031】ビニルアルコール系重合体の添加量は、ポ
リウレタンプレポリマー100重量部に対し、0.2〜
20重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。添
加量が0.2重量部未満の場合には、得られる水性樹脂
の耐溶剤性等が不十分であり、添加量が20重量部を越
える場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応の際
にエマルジョンが不安定化し、系がゲル化しやすくな
る。また、ポリビニルアルコール系重合体の添加は、通
常水溶液にして行うが、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジ
メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド
類等の有機溶媒と水の混合溶媒に溶解させて添加しても
良い。
【0032】本発明で用いられる、分子中にアミノ基ま
たは一級水酸基を有する低分子化合物としては、イソシ
アネート基と反応し得る活性水素原子をもつアミノ基ま
たは水酸基を分子中に有する分子量300以下の低分子
化合物を用いるのが好ましい。またアミノ基としては一
級または二級アミノ基が、また水酸基としては一級水酸
基が好適である。例えば、ジエチレントリアミン等のト
リアミン類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミ
ン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミ
ン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸
ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミ
ン類;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、
モルホリン等のモノアミン類;アミノエチルアルコー
ル、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール
類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4
−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジ
オール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種
以上を用いることができる。
【0033】分子中にアミノ基または一級水酸基を有す
る低分子化合物の添加量としては、低分子化合物のアミ
ノ基または水酸基中の活性水素原子の量が、ポリウレタ
ンプレポリマーのイソシアネート基1当量あたり、0.
70〜1.20当量であるのが好ましく、0.75〜
1.15当量であるのがより好ましく、0.80〜1.
10当量であるのがより好ましい。活性水素原子の量
が、0.70当量未満または1.20当量を越える場合
には、ポリウレタンエマルジョンの重合度が十分に上が
らず、得られる水性樹脂の耐溶剤性が不十分となる。
【0034】本発明で用いられるポリウレタン系エマル
ジョンは、通常、固形分濃度が約20〜65重量%に調
整されるが、これに限定されるものではない。また、プ
レポリマー製造において有機溶媒を用いた場合には、必
要に応じて、蒸留分離あるいはストリッピングをするこ
とにより有機溶媒を除去することができる。
【0035】本発明で用いられるポリウレタン系エマル
ジョンは、一般的に、ポリウレタン単位とポリビニルア
ルコール単位が下記の一般式化1〜化3で表される構造
単位で結合されたポリマーを含有していると考えられ、
それが本発明の製造方法により得られる水性樹脂の性能
発現に寄与していると想定される。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】本発明の水性樹脂エマルジョンの製造方法
としては、ポリウレタンプレポリマーを合成する際に、
エチレン性不飽和単量体を添加しておき、ポリウレタン
プレポリマーを乳化、鎖伸長後、重合開始剤を添加して
乳化重合してもよいし、ポリウレタンプレポリマーの乳
化、鎖伸長後、エチレン性不飽和単量体および重合開始
剤を添加して乳化重合を行っても構わない。また、必要
に応じて、界面活性剤を耐水性等の物性に悪影響を及ぼ
さない範囲で併用しても構わない。
【0040】エチレン性不飽和単量体としては、エチレ
ン、プロピレン、イソブテン、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)
フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、
アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホ
ン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプ
ロピル、およびそれらのアルカリ塩、アクリルアミド、
メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド
−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、エ
チルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニ
ルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオ
ロエチレン、アリルアルコール、3−ブテン−1−オー
ル、4−または3−ペンテン−1−オール、5−または
4−ヘキセン−1−オール、6−または5−ヘプテン−
1−オール、7−または6−オクテン−1−オール、8
−または7−ノネン−1−オール、2−メチルアリルア
ルコール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルスチ
レン、ヒドロキシプロピルスチレン、ポリエチレングリ
コールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノ
メタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリ
レート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレー
ト、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、ダイアセト
ンアクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、スチレン、ビニルエステル(酢酸ビニル、ぎ酸ビ
ニル等)などが挙げられる。
【0041】エチレン性不飽和単量体の乳化重合に用い
る重合開始剤としては特に制限はなく、例えば過酸化水
素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモ
ニウム、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキ
シド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキ
シド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパ
ーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシ
ド等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などのアゾ系化合物
等が挙げられる。また、前記重合開始剤とともに、還元
剤、および必要に応じてキレート化剤を併用したレドッ
クス開始剤を用いても良い。還元剤としては、例えば、
ロンガリット(スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデ
ヒド)等のアルカリ金属ホルムアルデヒドスルホキシレ
ート類;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の
亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム等のピロ亜硫酸塩;チ
オ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩;亜リン酸、亜リン酸
ナトリウム等の亜リン酸塩類;ピロ亜リン酸ナトリウム
等のピロ亜リン酸塩類;メルカプタン類;アスコルビン
酸、アスコルビン酸ナトリウムのアスコルビン酸塩類;
エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム等のエリソ
ルビン酸塩類;グルコース、デキストロース等の糖類;
硫酸第一鉄、硫酸銅等の金属塩等が挙げられる。キレー
ト化剤としては、ピロリン酸ナトリウム、エチレンジア
ミン四酢酸塩等が挙げられる。これらの使用量は、それ
ぞれの開始剤系の組み合わせに応じ適量を用いる。
【0042】エチレン性不飽和単量体の使用量は特に制
限されないが、通常、ポリウレタン系エマルジョンの固
形分100重量部に対して、1〜200重量部用いられ
る。エチレン性不飽和単量体の使用量が1重量部よりも
少ない場合、その使用効果が現れにくく、200重量部
を超えるとポリウレタン本来の特徴を損なう恐れがあ
る。
【0043】本発明の製造方法により得られたポリウレ
タン系水性樹脂エマルジョンには、必要に応じてエポキ
シ化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合
物、アジリジン化合物等の架橋剤を配合することができ
る。
【0044】また、必要に応じて、その乾燥性、セット
性、粘度、造膜性などを調整するために、トルエン、パ
ークレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなど
の各種有機溶剤、でんぷん、変性でんぷん、酸化でんぷ
ん、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、
メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、無水
マレイン酸/イソブテン共重合体、無水マレイン酸/ス
チレン共重合体、無水マレイン酸/メチルビニルエーテ
ル共重合体などの水溶性高分子や尿素/ホルマリン樹
脂、尿素/メラミン/ホリマリン樹脂、フェノール/ホ
リマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、さらに、クレー、カ
オリン、タルク、炭酸カルシウム、木粉などの充填剤、
小麦粉などの増量剤、ホウ酸、硫酸アルミニウムなどの
反応促進剤、酸化チタンなどの顔料あるいはその他、消
泡剤、分散剤、凍結防止剤、防腐剤、防錆剤などの各種
添加剤をも適宜添加することができる。
【0045】本発明の製造方法により得られたポリウレ
タン系水性樹脂エマルジョンは、広範な用途に利用で
き、接着剤をはじめ、ガラス繊維集束剤、インク、塗料
等の用途に使用される。中でも、産業用繊維、皮革、室
内装飾、アパレル、床材(木製、コンクリート、フロア
ーポリッシュ)、プラスチック部品等のコーティング
剤、パッケージ(包装紙等)、ラミネーション(フィル
ム/ホイル、繊維等)、一般工業用(塩ビシート/木質
材料、塩ビシート/金属、金属/木)等の接着剤として
使用される。
【0046】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお以下の実施例及び比較例において「部」
および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味す
る。
【0047】実施例および比較例中、略号は下記を表わ
す。 PMPA2150:数平均分子量2150のポリエステルジオール(
3−メチルー1,5ペンタンジオールとアジピン酸を反応
させて製造) PMPA3600:数平均分子量3600のポリエステルジオール(
3−メチルー1,5ペンタンジオールとアジピン酸を反応
させて製造) PTMG2000:数平均分子量2000のポリテトラメチレングリ
コール PCL2000:数平均分子量2000のポリカプロラクトングリ
コール IPDI:イソフォロンジイソシアネート HMDI:メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネー
ト) TDI:2,4−トリレンジイソシアネート DMPA:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 TEA:トリエチルアミン DETA:ジエチレントリアミン IPDA:イソフォロンジアミン EDA:エチレンジアミン MEK:2−ブタノン
【0048】製造例1 3リットル三ツ口フラスコに、PMPA3600 540.
0g、IPDI 80.0g、DMPA 6.04gを
秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2hr撹拌して系
中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端の
プレポリマーを得た。これにMEK 191.4gを加
えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下
げ、TEA 4.55gを加えて10分間撹拌を行っ
た。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製,
ノニオン系界面活性剤)19.1gを蒸留水 397g
に溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサ
ーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにアミノ基含有ポ
リビニルアルコール(アリルグリシジルエーテルと酢酸
ビニルを共重合した後、2−アミノチオフェノールをN
aOHを触媒として付加し、さらにけん化することによ
り得たポリビニルアルコール:重合度500、けん化度
97.5mol%、一級アミノ基変性量1.0mol
%)64.1gを蒸留水 420gに溶解した水溶液を
加えてホモミキサーで30秒間撹拌し、次いでDETA
10.21gを蒸留水240gに溶解した水溶液を加
えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その
後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して
固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを
得た。
【0049】製造例2 3リットル三ツ口フラスコに、PMPA2150 537.
5g、IPDI 194.5g、DMPA 33.53
g、MEK 249.1gを秤取し、乾燥窒素雰囲気
下、60℃で8hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反
応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。そ
の後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 25.
30gを加えて30分間撹拌を行った。次いで、蒸留水
720.0gを加えて撹拌を行いポリウレタンプレポ
リマーを水中に乳化させた後、直ちに、一級水酸基含有
ポリビニルアルコール(アリルグリシジルエーテルと酢
酸ビニルを共重合した後、2−メルカプトエタノールを
NaOHを触媒として付加し、さらにけん化することに
より得たポリビニルアルコール:重合度500、けん化
度97.5mol%、一級水酸基変性量1.0mol
%)41.8g、DETA17.02gおよびIPDA
14.05gを蒸留水 576gに溶解した水溶液を
加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。そ
の後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去し
て固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョン
を得た。
【0050】製造例3 製造例2において用いた一級水酸基含有ポリビニルアル
コールの代わりに、アセトアセチル基含有ポリビニルア
ルコール(ポリビニルアルコールの水酸基にジケテンを
固気反応により反応させて得たポリビニルアルコール:
重合度1000、けん化度97.5mol%、アセトア
セチル基変性量5.0mol%)を用いる他は製造例2
と同様にして固形分重量40wt%のポリウレタン系エ
マルジョンを得た。
【0051】比較製造例1 製造例1において、アミノ基含有ポリビニルアルコール
を用いないこと以外は、製造例1と同様にしてポリウレ
タン系エマルジョンを得た。
【0052】実施例1 製造例1で得たポリウレタン系水性エマルジョン100
g(固形分40%)を窒素導入管、滴下ロート、攪拌装置
および温度計のついた三ツ口フラスコにとり、イオン交
換水90gおよびメタ重亜硫酸ナトリウム0.1gを加
え、45℃に昇温した後、系内を十分に窒素置換した。
次いでメタクリル酸メチル20g、アクリル酸ブチル1
0gを2時間かけて逐次添加し、過硫酸アンモニウム1
%水溶液10gを同時に逐次添加し、重合反応を行った
後、55℃で30分間熟成して重合反応を完結させて水
性樹脂エマルジョンを得た。得られたポリウレタン系水
性樹脂エマルジョンの評価を下記により行った。 (重合安定性)重合終了後、得られた水性エマルジョン
を60メッシュの金網を用いてろ過し、残査の量を測定
し、◎、○、△、×の4段階で評価した。 (機械的安定性)500mlのビーカーに、水性エマル
ジョン100gをとり、ホモミキサーを用いて、400
0rpmで20分間攪拌後、60メッシュの金網でろ過
し、残査の量を測定し、◎、○、△、×の4段階で評価
した。 (保存安定性)200mlのガラス製容器に100ml
の水性エマルジョンを入れて密栓し、温度40℃の恒温
水槽に1ケ月間静置した後、状態の変化を観察し、○、
△、×の3段階で評価した。結果を表1に示す。 (耐溶剤性)20℃でキャスト製膜して得られた皮膜を
120℃で10分間熱処理した後、90℃のトルエン中
に1時間浸漬し、皮膜の溶出率を下記の式から求めた。 溶出率(%)=(W1−W2)/W1X100 W1:浸漬前の重量 W2:浸漬後の重量
【0053】実施例2 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
製造例2のポリウレタン系水性エマルジョンを用いた他
は、実施例1と同様にして水性樹脂エマルジョンを得
た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1に
示す。
【0054】実施例3 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
製造例3のポリウレタン系水性エマルジョンを用いた他
は、実施例1と同様にして水性樹脂エマルジョンを得
た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1に
示す。
【0055】比較例1 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
比較製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンを用い
た他は、実施例1と同様にして水性樹脂エマルジョンを
得た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1
に示す。
【0056】実施例4 製造例1で得たポリウレタン系水性エマルジョン100
g(固形分40%)を窒素導入管、滴下ロート、攪拌装置
および温度計のついた三ツ口フラスコにとり、イオン交
換水90gおよび酒石酸0.5gを加え、45℃に昇温
した後、系内を十分に窒素置換した。次いで酢酸ビニル
30g、アクリル酸15g、アクリル酸2−エチルヘキ
シル10gを2時間かけて逐次添加し、同時に過酸化水
素1%水溶液25gを加え、重合反応を行った後、55
℃で60分間熟成して重合反応を完結させて水性樹脂エ
マルジョンを得た。この水性エマルジョンの評価を実施
例1と同様に行った。結果を合わせて表1に示す。
【0057】実施例5 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
製造例2のポリウレタン系水性エマルジョンを用いた他
は、実施例4と同様にして水性樹脂エマルジョンを得
た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1に
示す。
【0058】実施例6 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
製造例3のポリウレタン系水性エマルジョンを用いた他
は、実施例4と同様にして水性樹脂エマルジョンを得
た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1に
示す。
【0059】比較例2 製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンの代わりに
比較製造例1のポリウレタン系水性エマルジョンを用い
た他は、実施例4と同様にして水性樹脂エマルジョンを
得た。この水性エマルジョンの評価結果を合わせて表1
に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明の製造方法により得たポリウレタ
ン系水性樹脂エマルジョンは、安定性、耐溶剤性等に優
れた皮膜を与えるため、広範な用途に利用でき、例え
ば、自動車、家電等の分野で使用される金属用プライマ
ー及びプラスチック用プライマー、木工用プライマー、
セメントボード等の壁材(無機材料)用プライマー等、
各種接着剤、塗料、コーティング剤、水性インキ、カー
ペットバッキング用など繊維加工剤、各種バインダーと
して使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 PA95 PB08 PB24 PC06 4J034 BA08 CA02 CA04 CA05 CA13 CA15 CA22 CA31 CC03 CC12 CC23 CC29 CC34 CC62 DA01 DA03 DF02 DF03 DF16 DF20 DF21 DG03 DG04 DG06 DP17 HA07 HC03 HC12 HC13 HC17 HC22 HC52 HC64 HC67 HC71 HC73 JA42 KA01 KB02 QC05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中において、分子中にイソシア
    ネート基を有するポリウレタンプレポリマーに、(a)
    分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基
    から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルア
    ルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基また
    は水酸基を有する低分子化合物を反応させて得たポリウ
    レタン系エマルジョンの存在下に、エチレン性不飽和単
    量体を乳化重合することを特徴とする水性樹脂エマルジ
    ョンの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002155202A (ja) * 2000-11-24 2002-05-28 Mitsubishi Chemicals Corp 水性アクリル変性ウレタン樹脂及びその製造方法
JP2005255833A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd 一液性水系樹脂組成物及びこれを用いた水系被覆剤組成物
CN102179106A (zh) * 2011-01-27 2011-09-14 南京际华三五二一特种装备有限公司 一种玻纤滤料后处理用整理剂
JP2013253364A (ja) * 2012-05-09 2013-12-19 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd ガラス繊維用集束剤

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