JP2000126609A - 光触媒コルゲート構造体およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装置 - Google Patents

光触媒コルゲート構造体およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装置

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JP2000126609A
JP2000126609A JP10307052A JP30705298A JP2000126609A JP 2000126609 A JP2000126609 A JP 2000126609A JP 10307052 A JP10307052 A JP 10307052A JP 30705298 A JP30705298 A JP 30705298A JP 2000126609 A JP2000126609 A JP 2000126609A
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corrugated structure
photocatalyst
adsorption
adsorption layer
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Katsushi Ogami
勝志 大上
Shinya Hioki
信也 火置
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光反応性半導体の光触媒作用、吸着剤の吸着作
用のダブル効果により、極めて効果的に臭気成分を除去
可能なばかりでなく、実用上十分な耐久性をも兼備した
光触媒コルゲート構造体、およびそれを用いた光触媒脱
臭部材、光触媒脱臭装置を提供することにある。 【解決手段】光反応性半導体を含有してなる可撓性の光
触媒基材の片面または両面に、吸着剤を含有してなる吸
着層を設けた構造を有する吸着分解シートを中芯および
ライナの少なくとも一方に用いた光触媒コルゲート構造
体、およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光反応性半導体の光
触媒能および吸着剤の吸着能により、悪臭や細菌などの
有害物質を吸着分解除去可能な光触媒コルゲート構造体
およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】工場などにおける工業的に発生する悪臭
や有害化学物質、多量の廃棄物を排出する飲食店やホテ
ルなどのサービス産業における廃棄物に起因した悪臭な
どによる従来からの環境汚染の問題に加えて、最近のア
メニティ志向の高まりに伴い、一般生活空間、例えば室
内や自動車内の悪臭、有害化学物質などによる室内環境
汚染の問題がクローズアップされており、これら有害物
質の除去に対するニーズが急速に高まっている。
【0003】悪臭や有害化学物質などの有害物質の除去
方法としては、活性炭やゼオライトなどの多孔性物質、
いわゆる吸着剤による吸着除去が一般的である。しかし
ながら、吸着剤は大部分の有害物質に対して吸着作用し
か示さず、一定量の有害物質を吸着すると除去性能が著
しく低下する、あるいは、周囲の温度や有害物質の濃度
如何では一度吸着した有害物質が離脱してしまうという
問題点があった。
【0004】このような問題を解決するために、触媒を
用いて有害物質を分解除去する方法が考案されている。
有害物質の分解除去能を有する材料は各種知られている
が、中でも酸化チタンに代表される光反応性半導体が近
年大きな注目を集めている。例えば、Cundallら
は、J.Oil.Chem.Assoc.1978,6
1,351において、酸化チタンに紫外線を照射した場
合、水とアルコールの混合系でアルコールが分解される
ことを報告している。さらに特開昭61−135669
号公報においては、酸化亜鉛などの光反応性半導体に紫
外線を照射すると、悪臭物質である硫黄化合物が分解さ
れることが報告されている。これら光反応性半導体によ
る分解反応においては、反応の進行に伴って光反応性半
導体が消費されることはなく、光に曝露されている限り
その分解能力は半永久的である。
【0005】しかしながら、光反応性半導体の光触媒能
を活用した有害物質除去技術には、効果の即効性が不十
分であるという問題があり、従来より吸着剤との併用が
盛んに検討されている。例えば、特開平1−18932
2号公報では、活性炭などからなる吸着材の表面に光反
応性半導体を付加、あるいは該吸着材に光反応性半導体
を練り込んだ部材と、光反応性半導体の励起光源を併用
した脱臭装置が開示されている。
【0006】該脱臭装置は、光反応性半導体と吸着剤と
の複合効果によって、有害物質を効率良く除去できるも
のであるが、吸着材の表層に光反応性半導体が存在す
る、あるいは吸着材の中に光反応性半導体が練り込まれ
た構成の部材を用いているために、光反応性半導体の光
触媒作用に起因した該部材の劣化は避けられず、耐久性
の点で解決すべき課題が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の課題を克服した光反応性半導体および吸着剤の併用効
果を最大限に発揮し、極めて効果的に臭気成分を除去す
ることのできる光触媒コルゲート構造体およびそれを用
いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、光触媒コルゲー
ト構造体およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱
臭装置を発明するに至った。
【0009】1.光反応性半導体を含有してなる可撓性
の光触媒基材の片面に、吸着剤を含有してなる吸着層を
設けた構造を有する吸着分解シートを、中芯またはライ
ナの何れか一方に用いたコルゲート構造体であって、該
吸着分解シートの吸着層を設けた面が、該コルゲート構
造体における接着面であることを特徴とする光触媒コル
ゲート構造体の発明である。
【0010】2.光反応性半導体を含有してなる可撓性
の光触媒基材の片面に、吸着剤を含有してなる吸着層を
設けた構造を有する吸着分解シートを、中芯およびライ
ナの双方に用いたコルゲート構造体であって、中芯およ
びライナの少なくとも一方の吸着分解シートの吸着層を
設けた面が、該コルゲート構造体における接着面である
ことを特徴とする光触媒コルゲート構造体の発明であ
る。
【0011】3.光反応性半導体を含有してなる可撓性
の光触媒基材の両面に、吸着剤を含有してなる吸着層を
設けた構造を有する吸着分解シートを、中芯およびライ
ナの少なくとも一方に用いたことを特徴とする光触媒コ
ルゲート構造体の発明である。
【0012】4.上記1〜3の発明の光触媒コルゲート
構造体において、光触媒基材が、不織布であることを特
徴とする光触媒コルゲート構造体の発明である。
【0013】5.上記1〜4の発明の光触媒コルゲート
構造体において、吸着層が、吸着剤を含有してなる塗工
層、または吸着剤を含有してなる可撓性の基材であるこ
とを特徴とする光触媒コルゲート構造体の発明である。
【0014】6.上記1〜5の発明の光触媒コルゲート
構造体を、グルーパターンに直交する方向に円筒状に丸
めた構造を有することを特徴とする光触媒脱臭部材の発
明である。
【0015】7.上記6の発明の光触媒脱臭部材の円筒
断面より通風し、かつ該光触媒脱臭部材を活性化させる
ための光源を設けたことを特徴とする光触媒脱臭装置の
発明である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の光触媒コルゲー
ト構造体およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱
臭装置に係わる構成要素を詳細に説明する。
【0017】本発明の第一の発明は、光反応性半導体を
含有してなる可撓性の光触媒基材の片面に、吸着剤を含
有してなる吸着層を設けた構造を有する吸着分解シート
を、中芯またはライナの何れか一方に用いたコルゲート
構造体であって、該吸着分解シートの吸着層を設けた面
が、該コルゲート構造体における接着面であることを特
徴とする光触媒コルゲート構造体の発明である。
【0018】まず、本発明の吸着分解シートを構成する
光触媒基材について、以下に具体的に説明する。本発明
に係わる光触媒基材は、光反応性半導体を可撓性の基材
に含有してなるものであって、光反応性半導体の光触媒
作用によって臭気成分を分解除去することを目的とした
ものである。
【0019】まず、光反応性半導体について、以下に具
体的に説明する。本発明に係わる光反応性半導体は、臭
気成分を分解除去する目的で使用されるものである。こ
こで云う光反応性半導体とは、0.5〜5eV、好まし
くは1〜3eVの禁止帯幅を有する光触媒反応を生ずる
半導体であって、光反応性半導体で生成した正孔、OH
ラジカルなどにより有害物質が分解される。光反応性半
導体の形状としては、粒子状のものが好ましく、比表面
積が10〜500m2/gの粒子を適宜選択して用いる。
【0020】このような光反応性半導体としては、特開
平2−273514号公報に開示されているものを挙げ
ることが可能であり、酸化亜鉛、三酸化タングステン、
酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物が好まし
く、これらの中でも、酸化チタンは、構造安定性、光反
応性半導体としての能力、取り扱い上の安全性などを考
慮した場合、特に好ましい材料である。酸化チタンとし
ては、従来汎用の酸化チタンの他、含水酸化チタン、メ
タチタン酸、オルソチタン酸、水酸化チタンと呼称され
ているチタン酸化物または水酸化物を全て包含する。酸
化チタンの製造方法としては、硫酸チタニル、塩化チタ
ン、有機チタン化合物などを必要に応じて核形成用種子
の共存下で加水分解する方法(加水分解法)、必要に応
じて核形成用種子を共存させながら、硫酸チタニル、塩
化チタン、有機チタン化合物などにアルカリ剤を添加し
て中和する方法(中和法)、加水分解および中和法で得
られた酸化チタンを焼成する方法(焼成法)などが挙げ
られ、何れの製法によって得られた酸化チタンでも用い
ることができる。
【0021】本発明において、光反応性半導体は適当な
基材に内添または塗工することによって担持・固定さ
れ、光触媒基材として機能する。なお、本発明の吸着分
解シートは、コルゲート構造体に加工され、光触媒コル
ゲート構造体として機能するため、本発明に係わる基材
は、コルゲート構造体への加工を可能とするべく、可撓
性を有するものであることが好ましい。
【0022】さらに、光反応性半導体の支持体となる基
材は、上記の可撓性に加えて、臭気成分を通過させるた
めの通気性、光反応性半導体を活性化させるための光透
過性を有することが好ましい。このような基材の形態と
しては、不織布あるいは多孔質フィルム状のものが挙げ
られるが、坪量、通気性を制御し易く、加工性にも優れ
ている点から不織布が特に好ましい基材である。
【0023】不織布を構成する素材としては、ポリアミ
ド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアルキレンパラオ
キシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビ
ニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポ
リ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポ
リオレフィン系繊維、フェノール系繊維などの合成繊
維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、
活性炭素繊維などの無機繊維、木材パルプ、麻パルプ、
コットンリンターパルプなどの天然繊維、再生繊維、あ
るいはこれらの繊維に親水性や難燃性などの機能を付与
した繊維などを使用することができる。
【0024】不織布の製造方法については特に制限はな
く、目的・用途に応じて、乾式法、湿式抄造法、メルト
ブローン法、スパンボンド法などで得られたウェブを水
流交絡法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などの
物理的方法、サーマルボンド法などの熱による接着方
法、レジンボンドなどの接着剤による方法で強度を発現
させる方法を適宜組み合わせて製造することができる。
【0025】不織布などの基材に光反応性半導体を内添
する場合には、例えば基材の製造時に基材の素材と共に
光反応性半導体を添加して製造することで本発明の光触
媒基材を製造することができる。この時、カチオン性ポ
リアクリルアマイド、ポリ塩化アルミニウムなどのカチ
オン性高分子凝集剤や、該凝集剤と複合体を形成し、凝
集を強化するようなアニオン性ポリアクリルアマイドな
どのアニオン性高分子凝集剤、コロイダルシリカ、ベン
トナイトなどのアニオン性無機微粒子を使用し、光反応
性半導体の凝集体を形成させておくことが好ましい。あ
るいは、凝集体に微細繊維を含有せしめることで、凝集
体の機械的強度を一層向上させることも可能である。
【0026】一方、不織布などの基材上に光反応性半導
体を塗工する場合には、光反応性半導体を基材に固定す
るための結着剤として、熱可塑性樹脂の水性エマルジョ
ン、皮膜形成性無機物、金属酸化物複合熱可塑性高分子
エマルジョンなどを各々単独で、あるいは必要に応じて
複数組み合わせて光反応性半導体と混合し、各種ブレー
ドコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バ
ーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェ
ルコーター、ダイコーター、コンマコーター、リバース
ロールコーター、キスコーター、ディップコーター、カ
ーテンコーター、エクストルージョンコーター、マイク
ログラビアコーター、サイズプレスなどの各種塗工装置
を用いて基材に塗工することで本発明の光触媒基材を製
造することができる。
【0027】ここで云う熱可塑性樹脂の水性エマルジョ
ンとしては、水中で分散された熱可塑性高分子のことで
あって、高分子成分としては、アクリル樹脂、スチレン
−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、ポリプロピレン、ポリエステル、フェノキシ樹脂、
フェノール樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。
【0028】ここで云う皮膜形成性無機物としては、サ
ポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなどのスメ
クタイト群、バーミキュライト群、カオリナイト、ハロ
イサイトなどのカオリナイト−蛇紋石群、セピオライト
などの天然粘土鉱物の他、コロイダルシリカ、コロイダ
ルアルミナおよびこれらの変性物、合成無機高分子化合
物などが例示され、該皮膜形成性無機物を各々単独で使
用しても構わないし、複数組み合わせて使用しても構わ
ない。
【0029】上記変性物における変性とは、天然鉱物中
より不純物や特定の原子団を除去したり、天然鉱物構成
元素中の特定の元素を適当な方法で処理して他の元素と
交換したり、別の化合物(特に有機化合物)と共に化学
処理して特に鉱物表面の物性を改変することにより、元
来の天然鉱物固有の特性を伸長したり、あるいは新たな
特性を付与することであり、変性物の具体例としては、
Ca−モンモリロナイトを水の存在下で炭酸ナトリウム
などと処理してイオン交換を行ったNa−モンモリロナ
イトや、カチオン界面活性剤および/またはノニオン界
面活性剤と処理したものなどが挙げられる。
【0030】また、本発明で云う合成無機高分子化合物
とは、天然鉱物と同等の組成を得るべく、あるいは新た
な特性を付与するべく同等組成の特定の元素を他の元素
で置換したもので、2種類以上の化合物を反応させて得
られるものであって、天然雲母族の構造中の水酸基をフ
ッ素で置換したフッ素雲母や、合成スメクタイトなどが
挙げられる。フッ素雲母の代表例としては、フッ素金雲
母、フッ素四ケイ素雲母、テニオライトなどが挙げられ
る。
【0031】ここで云う金属酸化物複合熱可塑性高分子
エマルジョンは、熱可塑性高分子エマルジョン表面を金
属酸化物が被覆している形状を有し、皮膜を形成した後
も高分子成分と金属酸化物成分が分離して海島構造を保
つ特性を有するものである。
【0032】熱可塑性高分子エマルジョンとは、主に水
中で分散された熱可塑性高分子のことであって、高分子
成分としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリプロピ
レン、ポリエステル、フェノキシ樹脂、フェノール樹
脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。
【0033】また、ここで云う金属酸化物としては、コ
ロイダルシリカやコロイダルアルミナなどが挙げられ
る。金属酸化物複合熱可塑性高分子エマルジョン、例え
ばコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
は、特開昭59−71316号公報や、特開昭60−1
27371号公報に開示されているように、共重合性単
量体、分子内に重合性不飽和二重結合およびアルコキシ
シラン基を有する単量体やビニルシラン、コロイダルシ
リカを混合し、高分子成分を乳化重合して製造する過程
において、シリカ成分をエマルジョン表面に固定する方
法によって得られる。その方法としては、例えばInt
ernational Symposiumon Po
lymeric Microspheres Prin
ts,1991,181に記載されているように、オル
ソケイ酸エチルなどの水に相溶しない加水分解性のアル
コキシシランを用いて、あらかじめ形成されているエマ
ルジョンの表面にシリカ成分を析出、固定させる方法が
挙げられる。
【0034】なお、上記の基材への光反応性半導体の内
添または塗工による担持・固定の他に、本発明の吸着分
解シートに要求される可撓性を阻害しない範囲内におい
て、適当な基材に、メッキ法やゾルゲル法などの湿式
法、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着
法、イオンプレーティング法、スパッタ法などの真空成
膜法、陽極酸化法などの従来公知の方法を用いて光反応
性半導体を担持・固定しても何等構わない。さらには、
脱臭性能の一層の向上を図るべく、光触媒基材中に後述
する吸着剤を併用することもできる。
【0035】次に、吸着層について、以下に具体的に説
明する。本発明の吸着分解シートを構成する吸着層は、
光触媒基材の片面に設けられる吸着剤を含有してなる層
であって、臭気成分を吸着除去することにより、脱臭に
係わる効果の即効性や容量を高めることができる。ま
た、吸着層を設けることによって、一時的に暗所になる
ような使用環境、紫外線量の少ない使用環境、あるいは
吸着過程が律速となる臭気成分が低濃度で存在するよう
な使用環境においても、吸着層の吸着作用によって高度
の脱臭性能を維持することが可能となる。
【0036】光触媒基材中に吸着剤を含有させることに
よっても、上記の効果を得ることが可能であるが、吸着
層を光触媒基材と並列した構成で設けることによって、
光触媒コルゲート構造体に高度の耐久性を付与すること
が可能となる(これについては後述する)。
【0037】このような吸着剤としては、物理吸着作用
を有するものとして、活性炭、活性白土、ゼオライト、
セピオライト、シリカゲル、セラミック、活性アルミ
ナ、複合フィロケイ酸塩など、化学吸着作用を有するも
のとして、イオン交換樹脂、酸化鉄などの鉄系化合物、
有機酸など、物理化学吸着作用を有するものとして、添
着活性炭、天然無機物などが挙げられる。これら従来汎
用の吸着剤を各々単独で、あるいは複数混合して用いる
ことが可能であるが、本発明においては、光触媒基材の
上に吸着層が設けられているため、吸着剤の素材として
は、光透過性に優れたものをより好ましく用いることが
できる。もちろん、光透過性に幾分劣る素材であって
も、光触媒基材の活性化を損なわない範囲内において、
適宜用いることができることは言うまでもない。
【0038】なお、吸着層を光触媒基材の上に設けるに
当たっては、先の光反応性半導体の基材への塗工担持の
際に例示した各種結着剤を各々単独で、あるいは必要に
応じて複数組み合わせて吸着剤と混合し、同じく光反応
性半導体の基材への塗工担持の際に例示した各種塗工設
備を用いて吸着剤/結着剤の混合物を光触媒基材上に塗
工層として担持・固定することによって、本発明の吸着
分解シートを作製することができる。
【0039】あるいは、先の光反応性半導体の基材への
内添担持の際に例示した各種方法によって、吸着剤を含
有してなる可撓性の基材として吸着層を作製し、該吸着
層と光触媒基材とを貼り合わせ一体化することによっ
て、本発明の吸着分解シートを作製しても構わない。貼
り合わせ一体化手段としては、例えばエチレン−酢酸ビ
ニル共重合樹脂またはその変性ポリマー、エチレンアク
リレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド、
ナイロン樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、酢酸ビ
ニル共重合体、セルロース誘導体系、ポリカーボネイト
系の樹脂などからなる熱可塑性の接着層を光触媒基材と
吸着層との間に設ける手段、光触媒基材と吸着層の少な
くとも一方に熱可塑性の高分子成分を含有する場合に
は、エンボス、熱プレス、ピンソニックなどの熱による
接着手段、光触媒基材と吸着層の双方が不織布である場
合には、水流交絡法、ニードルパンチ、ステッチボンド
などの物理的な接着手段などが挙げられ、これら従来公
知の貼り合わせ一体化手段を広く用いることができる。
【0040】本発明の第一の発明の光触媒コルゲート構
造体は、光反応性半導体を含有してなる可撓性の光触媒
基材の片面に、吸着剤を含有してなる吸着層を設けた構
造を有する上記の吸着分解シートを、中芯またはライナ
の何れか一方に用いたコルゲート構造体であって、JI
S Z 1516−1995「外装用段ボール」に準拠し
て作製される。本発明における重要なポイントは、図1
および2に示したように、吸着分解シートの吸着層を設
けた面が、光触媒コルゲート構造体における接着面とな
ることにある。
【0041】一般に、中芯とライナとの接着には、澱粉
糊、酢酸ビニル系の接着剤、ポリビニルアルコール系の
接着剤などが用いられる。これらの接着剤は有機物であ
るため、光反応性半導体を含有する部材を中芯およびラ
イナの双方に使用した場合、光反応性半導体の光触媒作
用による酸化分解によって接着剤が劣化し、中芯とライ
ナとの接着強度が低下、やがてはコルゲート構造体が崩
壊してしまう。
【0042】しかしながら、吸着分解シートを中芯また
はライナの何れか一方に使用し、かつ該吸着分解シート
の吸着層を設けた面が、コルゲート構造体における接着
面となるように構成された第一の発明の光触媒コルゲー
ト構造体は、吸着層のバリヤー効果によって、接着剤と
光触媒基材中の光反応性半導体との接触を緩和すること
が可能であり、光反応性半導体の光触媒作用を保持しつ
つ、極めて耐久性に優れたコルゲート構造体を得ること
ができる。
【0043】なお、吸着分解シートとコルゲート一体化
される中芯部材またはライナ部材としては、本発明の吸
着分解シートに要求される可撓性を阻害しない範囲内に
おいて、適当な部材を広く用いることが可能であり、さ
らには、光触媒コルゲート構造体の用途や要求性能に応
じて、脱臭、抗菌、防黴、除塵などの様々な機能を有す
る部材を用いても何等構わない。
【0044】本発明の第二の発明は、光反応性半導体を
含有してなる可撓性の光触媒基材の片面に、吸着剤を含
有してなる吸着層を設けた構造を有する上記の吸着分解
シートを、中芯およびライナの双方に用いたコルゲート
構造体であって、先と同じく、JIS Z 1516−1
995「外装用段ボール」に準拠して作製することがで
きる。本発明における重要なポイントは、第一の発明の
光触媒コルゲート構造体と同様、図3〜5に示したよう
に、中芯およびライナの少なくとも一方の吸着分解シー
トの吸着層を設けた面が、光触媒コルゲート構造体にお
ける接着面となることにある。
【0045】光触媒コルゲート構造体を上記の構造とす
ることによって、先と同様の理由により、高度の耐久性
を有する光触媒コルゲート構造体を得ることができる。
さらには、光触媒基材と吸着層とが連続して隣り合う構
造となるために、光反応性半導体と吸着剤との併用効果
を効率良く発揮することが可能となり、脱臭性能にも優
れたものとなる。
【0046】本発明の第三の発明は、光反応性半導体を
含有してなる可撓性の光触媒基材の両面に、吸着剤を含
有してなる吸着層を設けた構造を有する吸着分解シート
を、中芯およびライナの少なくとも一方に用いた光触媒
コルゲート構造体の発明である。
【0047】本発明においては、光触媒基材の両面に吸
着層が設けられているために、コルゲート形成時の接着
面に特に留意することなく、図6〜8に示したような高
度の耐久性を有する光触媒コルゲート構造体を得ること
ができる。また、光触媒基材を吸着層で挟み込む構成で
あるために、光触媒基材から発生する臭気成分などの分
解中間生成物を効率良く吸着捕捉することが可能であ
り、該分解中間生成物に起因した異臭の抑制や、臭気成
分の完全分解の促進を図ることも可能である。
【0048】本発明における吸着分解シートは、第一お
よび第二の発明の吸着分解シートの製造方法と同様の方
法を用いて、光触媒基材の両面に吸着層を設けることに
よって得ることができる。
【0049】なお、本発明の光触媒コルゲート構造体の
中芯またはライナの何れか一方に、本発明の吸着分解シ
ート以外のものを使用する場合には、第一および第二の
発明の吸着分解シートはもちろんのこと、本発明の吸着
分解シートに要求される可撓性を阻害しない範囲内にお
いて、適当な部材を広く用いることが可能であり、光触
媒コルゲート構造体の用途や要求性能に応じて、脱臭、
抗菌、防黴、除塵などの様々な機能を有する部材を用い
ても何等構わない。
【0050】本発明の第四の発明は、先の第一〜第三の
発明の光触媒コルゲート構造体を、グルーパターンに直
交する方向に円筒状に丸めた構造を有することを特徴と
する光触媒脱臭部材の発明である。この時、図9に示し
たように、中芯が外側になるように円筒状に丸めても構
わないし、あるいは中芯が内側となるように円筒状に丸
めても構わない。
【0051】このような構造をとることによって、表面
積が大きく、光触媒基材と吸着層とが連続して近接した
部材を構成することが可能であり、光反応性半導体およ
び吸着剤の併用効果を最大限に発揮した極めて効果的に
臭気成分を除去可能な光触媒脱臭部材を得ることができ
る。このようにして得られた光触媒脱臭部材は、円筒状
の筐体内に設置する、光触媒脱臭部材の外周に円筒状の
外枠を設けるなどの方法によって、接着剤などの有機成
分を特に用いることなく、また特殊な形状保持加工を施
すことなく円筒形状を保持することが可能である。な
お、脱臭性能の向上や通気性の一層の向上を目的に、光
触媒脱臭部材を円筒状に丸める際に適当なスペーサーを
使用しても構わない。
【0052】本発明の第五の発明は、先の第四の発明の
光触媒脱臭部材の円筒断面より通風し、かつ該光触媒脱
臭部材を活性化させるための光源を設けたことを特徴と
する光触媒脱臭装置の発明である。
【0053】本発明の光触媒脱臭部材の円筒断面より通
風するだけでも、実用上十分な脱臭性能が得られるが、
光触媒基材中の光反応性半導体を活性化させるための光
源を併用することにより一層効率良く臭気成分を除去す
ることが可能となる。光反応性半導体を活性化させるた
めの光源としては、蛍光灯、ハロゲン球、HID、TL
T、水銀灯、ブラックライト、捕虫灯、カラー蛍光灯、
白熱灯、殺菌灯などの従来公知の光源を広く用いること
ができるが、光反応性半導体の禁止帯幅に相当するエネ
ルギー以上の波長の光を多く含む光源を好ましく用いる
ことができる。もちろん、このような人工的な光源のみ
ならず、太陽光を積極的に活用した使い方においても、
本発明の光触媒脱臭部材が優れた脱臭性能を有すること
は言うまでもないことである。
【0054】光源の設置場所については、光触媒脱臭部
材に光が照射される形態であれば、特に制限はないが、
該光触媒脱臭部材に効率良く光を照射するためには、該
光触媒脱臭部材の円筒断面方向から光が照射できるよう
に光源を設置することが好ましい。
【0055】以上、本発明の光触媒コルゲート構造体
は、光触媒基材の片面または両面に吸着層を設けた構造
を有する吸着分解シートを、中芯およびライナの少なく
とも一方に用いたコルゲート構造体であって、光反応性
半導体および吸着剤の併用効果を最大限に発揮し、極め
て効果的に臭気成分を除去できるばかりでなく、高度の
耐久性をも有するものである。また、該光触媒コルゲー
ト構造体をグルーパターンに直交する方向に円筒状に丸
めて光触媒脱臭部材として活用することもできる。該光
触媒脱臭部材は表面積が大きく、かつ光触媒基材と吸着
層とが連続して近接した構造を有するため、臭気成分の
除去性能に極めて優れる。また、該光触媒脱臭部材の円
筒断面より通風した場合には、該光触媒脱臭部材の圧力
損失が小さく、空気の流れを妨げることがないため、光
反応性半導体を活性化させるための光源と該光触媒脱臭
部材とを組み合わせることによって、極めて有効な光触
媒脱臭装置として機能する。
【0056】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0057】予備操作1 [光触媒基材Aの作製]芯鞘型熱融着性ポリエステル繊
維(ユニチカ社製、#4080、繊度2デニール、繊維
長5mm)100重量部、ポリエステル繊維(帝人社
製、テピルス、繊度0.5デニール、繊維長5mm)9
0重量部、針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準濾水度
480ミリリットル)10重量部を水中に添加混合し、
光触媒基材A用の基材水分散物を調製した。
【0058】光反応性半導体である酸化チタン(日本ア
エロジル社製、P25S6)100重量部、ポリ塩化ア
ルミニウム(水澤化学工業社製、PAC)1重量部を水
中に添加混合して酸化チタンの凝集複合体を形成、光触
媒基材A用の凝集複合体水分散物を調製した。
【0059】該基材水分散物100重量部(固形分換
算)に該凝集複合体水分散物10重量部(固形分換算)
を添加混合して水性スラリーを調製し、該水性スラリー
から円網抄紙機を用いて坪量100g/m2の光触媒基材
Aを作製した。
【0060】予備操作2 [光触媒基材Bの作製]予備操作1記載の基材水分散物
から円網抄紙機を用いて坪量100g/m2の光触媒基材
B用の基材を作製した。
【0061】光反応性半導体である酸化チタン(日本ア
エロジル社製、P25S6)100重量部、合成スメク
タイト(クニミネ工業社製、スメクトンSA)100重
量部を水中に添加混合し、該水性スラリーを上記基材に
20g/m2(固形分換算)となるようにタブサイズプレ
ス含浸塗工、乾燥して光触媒基材Bとした。
【0062】予備操作3 [光触媒基材Cの作製]ポリエステル繊維(東レ社製、
繊度3デニール、繊維長38mm)100重量部、ポリ
エステル繊維(東レ社製、繊度6デニール、繊維長51
mm)60重量部、レーヨン繊維(興人社製、繊度3デ
ニール、繊維長51mm)40重量部で解繊混合して3
5g/m2のウェブを作製し、該ウェブにアクリルエマル
ジョン樹脂(日本ゼオン社製、Nipol)を有効成分
換算で15g/m2含浸、乾燥させて強度を付与して光触
媒基材C用の基材を作製した。
【0063】光反応性半導体である酸化チタン(日本ア
エロジル社製、P25S6)100重量部、金属酸化物
複合熱可塑性高分子エマルジョン100重量部(有効成
分換算)を水中に添加混合し、該水性スラリーを上記基
材に20g/m2(固形分換算)となるようにタブサイズ
プレス含浸塗工、乾燥して光触媒基材Cを作製した。な
お、金属酸化物複合熱可塑性高分子エマルジョンは、以
下の方法で作製した。
【0064】フェノキシ樹脂エマルジョン(東都化成社
製、KE−316、有効成分48重量%)100重量部
に水70重量部を加え、撹拌しながら60℃に加熱し、
エタノールで希釈したオルソケイ酸エチル(有効成分4
0重量%)180重量部を徐々に滴下した。さらに加熱
を続けて系内よりエタノールを除去し、金属酸化物複合
熱可塑性高分子エマルジョンを作製した。
【0065】予備操作4 [吸着層Aの塗液作製]吸着剤である活性炭(クラレケ
ミカル社製、クラレコール)100重量部、酢酸ビニル
−エチレン−アクリル系エマルジョン(住友化学工業社
製、スミカフレックス−900)50重量部(有効成分
換算)を水中に添加混合し、吸着層Aの塗液を作製し
た。
【0066】予備操作5 [吸着層Bの塗液作製]吸着剤である複合フィロケイ酸
塩(水澤化学工業社製、ミズカナイトAP)100重量
部、合成スメクタイト(クニミネ工業社製、スメクトン
SA)50重量部を水中に添加混合し、吸着層Bの塗液
を作製した。
【0067】予備操作6 [吸着層Cの塗液作製]吸着剤である合成ゼオライト
(東ソー社製、ゼオラムF−9)100重量部、予備操
作3記載の金属酸化物複合熱可塑性高分子エマルジョン
50重量部(有効成分換算)を水中に添加混合し、吸着
層Cの塗液を作製した。
【0068】予備操作7 [吸着層Dの作製]芯鞘型熱融着性ポリエステル繊維
(ユニチカ社製、#4080、繊度2デニール、繊維長
5mm)100重量部、ポリエステル繊維(帝人社製、
テピルス、繊度0.5デニール、繊維長5mm)90重
量部、針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準濾水度48
0ミリリットル)10重量部を水中に添加混合し、吸着
層D用の基材水分散物を調製した。
【0069】吸着剤である活性炭(クラレケミカル社
製、クラレコール)100重量部、ポリ塩化アルミニウ
ム(水澤化学工業社製、PAC)1重量部を水中に添加
混合して活性炭の凝集複合体を形成、吸着層D用の凝集
複合体水分散物を調製した。
【0070】該基材水分散物100重量部(固形分換
算)に該凝集複合体水分散物10重量部(固形分換算)
を添加混合して水性スラリーを調製し、該水性スラリー
から円網抄紙機を用いて坪量100g/m2の吸着層Dを
作製した。
【0071】実施例1 吸着層として、吸着層Aの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Aの片面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯として、該吸着分解シートを、ライナとして、光触
媒シート(三菱製紙社製、PM−IN−CD)を使用
し、JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」
に準拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面
段ボールを作製し、実施例1の光触媒コルゲート構造体
とした。なお、中芯の接着面が該吸着分解シートの吸着
層面となるようにした。
【0072】実施例2 吸着層として、吸着層Bの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Bの片面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯として、光触媒シート(三菱製紙社製、PM−IN
−CD)を、ライナとして、該吸着分解シートを使用
し、JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」
に準拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面
段ボールを作製し、実施例2の光触媒コルゲート構造体
とした。なお、ライナの接着面が該吸着分解シートの吸
着層面となるようにした。
【0073】実施例3 吸着層として、吸着層Cの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Cの片面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯およびライナとして、該吸着分解シートを使用し、
JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」に準
拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面段ボ
ールを作製し、実施例3の光触媒コルゲート構造体とし
た。なお、中芯およびライナの双方の接着面が該吸着分
解シートの吸着層面となるようにした。
【0074】実施例4 光触媒基材Aの片面に、酢酸ビニル系樹脂の顆粒体を1
5g/m2となるように積載し、次いで、吸着層Dを積載
した後、150℃に加熱したエンボスロールで加圧して
吸着分解シートを作製した。次いで、中芯およびライナ
として、該吸着分解シートを使用し、JIS Z 151
6−1995「外装用段ボール」に準拠して、ピッチ
4.5mm、高さ2.1mmで片面段ボールを作製し、
実施例4の光触媒コルゲート構造体とした。なお、中芯
の接着面は該吸着分解シートの光触媒基材面、ライナの
接着面は該吸着分解シートの吸着層面となるようにし
た。
【0075】実施例5 中芯として、実施例1の吸着分解シートを、ライナとし
て、実施例2の吸着分解シートを使用し、JIS Z 1
516−1995「外装用段ボール」に準拠して、ピッ
チ4.5mm、高さ2.1mmで片面段ボールを作製
し、実施例5の光触媒コルゲート構造体とした。なお、
中芯の接着面は該吸着分解シートの吸着層面、ライナの
接着面は該吸着分解シートの光触媒基材面となるように
した。
【0076】実施例6 吸着層として、吸着層Aの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Aの両面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯およびライナとして、該吸着分解シートを使用し、
JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」に準
拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面段ボ
ールを作製し、実施例6の光触媒コルゲート構造体とし
た。
【0077】実施例7 吸着層として、吸着層Bの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Bの両面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯として、光触媒シート(三菱製紙社製、PM−IN
−CD)を、ライナとして、該吸着分解シートを使用
し、JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」
に準拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面
段ボールを作製し、実施例7の光触媒コルゲート構造体
とした。
【0078】実施例8 吸着層として、吸着層Cの塗液を15g/m2(固形分換
算)となるように光触媒基材Cの両面にロールコーター
で塗工、乾燥して吸着分解シートを作製した。次いで、
中芯として、該吸着分解シートを、ライナとして、光触
媒シート(三菱製紙社製、PM−IN−CD)を使用
し、JIS Z 1516−1995「外装用段ボール」
に準拠して、ピッチ4.5mm、高さ2.1mmで片面
段ボールを作製し、実施例8の光触媒コルゲート構造体
とした。
【0079】実施例9 実施例1の光触媒コルゲート構造体(0.1m2)を、中
芯が内側となるようにグルーパターンに直交する方向に
円筒状に丸め、該構造体の外周にアルミ製の外枠を付け
て光触媒脱臭部材とした。該光触媒脱臭部材を組み込ん
だ筐体に、該光触媒脱臭部材の円筒断面より通風および
光照射できるように、30Wのシロッコファン、該光触
媒脱臭部材を活性化させるための光源として6Wのブラ
ックライト2本を組み合わせ、実施例9の光触媒脱臭装
置を作製した。
【0080】実施例10 実施例3の光触媒コルゲート構造体(0.1m2)を、中
芯が外側となるようにグルーパターンに直交する方向に
円筒状に丸め、該構造体の外周にアルミ製の外枠を付け
て光触媒脱臭部材とした。該光触媒脱臭部材を組み込ん
だ筐体に、該光触媒脱臭部材の円筒断面より通風および
光照射できるように、30Wのシロッコファン、該光触
媒脱臭部材を活性化させるための光源として6Wのブラ
ックライト2本を組み合わせ、実施例10の光触媒脱臭
装置を作製した。
【0081】実施例11 実施例6の光触媒コルゲート構造体(0.1m2)を、中
芯が内側となるようにグルーパターンに直交する方向に
円筒状に丸め、該構造体の外周にアルミ製の外枠を付け
て光触媒脱臭部材とした。該光触媒脱臭部材を組み込ん
だ筐体に、該光触媒脱臭部材の円筒断面より通風および
光照射できるように、30Wのシロッコファン、該光触
媒脱臭部材を活性化させるための光源として6Wのブラ
ックライト2本を組み合わせ、実施例11の光触媒脱臭
装置を作製した。
【0082】比較例1〜3 吸着層を設けなかった点を除いて、実施例1、2、3の
光触媒コルゲート構造体と同様の方法で、各々比較例
1、2、3のコルゲート構造体を作製した。
【0083】比較例4 中芯の接着面を吸着分解シートの光触媒基材面とした点
を除いて、実施例1と同様の方法で比較例4のコルゲー
ト構造体を作製した。
【0084】比較例5 ライナの接着面を吸着分解シートの光触媒基材面とした
点を除いて、実施例2と同様の方法で比較例5のコルゲ
ート構造体を作製した。
【0085】比較例6〜8 中芯およびライナ双方の接着面を吸着分解シートの光触
媒基材面とした点を除いて、実施例3、4、5と同様の
方法で、各々比較例6、7、8のコルゲート構造体を作
製した。
【0086】比較例9 光反応性半導体である酸化チタン(日本アエロジル社
製、P25S6)100重量部、吸着剤である活性炭
(クラレケミカル社製、クラレコール)100重量部、
ポリ塩化アルミニウム(水澤化学工業社製、PAC)1
重量部を水中に添加混合して得られた凝集複合体を用い
て、予備操作1と同様の方法で作製した吸着分解シート
を使用した点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例
9のコルゲート構造体を作製した。
【0087】以上、実施例および比較例で得られた光触
媒コルゲート構造体およびそれを用いた光触媒脱臭部
材、光触媒脱臭装置を以下の方法により評価した。
【0088】[光触媒コルゲート構造体の耐久性の評
価]実施例1〜8の光触媒コルゲート構造体、比較例1
〜9のコルゲート構造体の上方2cmの位置から6Wの
ブラックライトを用いて1000時間の紫外線曝露試験
を行った。曝露試験の前後において、該光触媒コルゲー
ト構造体の中芯の段頂とライナとの接着力をJIS Z
0402「段ボールの接着力試験方法」に準じて測定
し、曝露試験前の接着力(SB)および曝露試験後の接
着力(SA)より、曝露試験後の接着力保持率(%;1
00×SA/SB)を求め、耐久性の指標とした。接着
力保持率が、80%以上の場合を耐久性が「優」、70
%以上80%未満の場合を耐久性が「良」、60%以上
70%未満の場合を耐久性が「並」、60%未満の場合
を耐久性が「劣」として判定した。
【0089】[光触媒脱臭装置の脱臭性能の評価]実施
例9〜11の光触媒脱臭装置を1m3のステンレス製の密
閉容器中に据え付け、この容器中にアセトアルデヒドを
15ppm注入した。次いで、該光触媒脱臭装置のシロ
ッコファンおよびブラックライトを作動させ、30分後
のアセトアルデヒド濃度をガス検知管で測定した。
【0090】以上の試験項目の結果を表1〜3に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】実施例の光触媒コルゲート構造体は、何れ
も実用上十分な耐久性を有するものであった。中でも、
中芯およびライナの双方に吸着分解シートを用い、かつ
双方の接着面が吸着分解シートの吸着層面である実施例
3および6の光触媒コルゲート構造体は、特に優れた耐
久性を示した。一方、比較例のコルゲート構造体の耐久
性は、何れも不十分なものであった。
【0095】また、実施例の光触媒コルゲート構造体か
らなる光触媒脱臭部材を搭載した実施例9〜11の光触
媒脱臭装置は、何れも良好な脱臭性能を有しており、吸
着層の増加に伴って、実施例9→10→11の順に、そ
の脱臭性能が向上した。
【0096】
【発明の効果】以上、本発明の光触媒コルゲート構造体
は、光触媒基材の片面または両面に吸着層を設けた構造
を有する吸着分解シートを、中芯およびライナの少なく
とも一方に用いたコルゲート構造体であって、光反応性
半導体および吸着剤の併用効果を最大限に発揮し、極め
て効果的に臭気成分を除去できるばかりでなく、高度の
耐久性をも有するものである。
【0097】また、該光触媒コルゲート構造体をグルー
パターンに直交する方向に円筒状に丸めて光触媒脱臭部
材として活用することもできる。該光触媒脱臭部材は表
面積が大きく、かつ光触媒基材と吸着層とが連続して近
接した構造を有するため、臭気成分の除去性能に極めて
優れる。また、該光触媒脱臭部材の円筒断面より通風し
た場合には、該光触媒脱臭部材の圧力損失が小さく、空
気の流れを妨げることがないため、光反応性半導体を活
性化させるための光源と該光触媒脱臭部材組み合わせる
ことによって、極めて有効な光触媒脱臭装置として機能
する。
【0098】従って、本発明の光触媒コルゲート構造体
およびそれを用いた光触媒脱臭部材、光触媒脱臭装置
は、一般生活空間、建材、農業、医療などの様々な分野
において、空気浄化材料として有効に活用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図2】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図3】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図4】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図5】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図6】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図7】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図8】本発明の光触媒コルゲート構造体の一実施例を
示す断面図である。
【図9】本発明の光触媒コルゲート構造体を用いて、本
発明の光触媒脱臭部材を作製する一実施例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 吸着分解シート 2 吸着分解シートの光触媒基材 3 吸着分解シートの吸着層 4 ライナ部材 5 中芯部材 6 光触媒コルゲート構造体 7 グルーパターン 8 光触媒コルゲート構造体を丸める方向 9 光触媒コルゲート構造体の中芯が内側となる丸め方 10 光触媒コルゲート構造体の中芯が外側となる丸め
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // F24F 1/00 F24F 1/00 371Z Fターム(参考) 3L051 BB02 BC05 4C080 AA05 AA07 BB02 BB05 HH05 HH08 HH09 JJ03 JJ05 JJ06 KK08 LL10 MM02 MM03 MM04 MM05 MM06 NN02 NN03 NN05 NN06 NN22 NN24 NN25 NN26 NN27 NN28 QQ17 4D048 AA21 AA22 AB03 BB04 EA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光反応性半導体を含有してなる可撓性の
    光触媒基材の片面に、吸着剤を含有してなる吸着層を設
    けた構造を有する吸着分解シートを、中芯またはライナ
    の何れか一方に用いたコルゲート構造体であって、該吸
    着分解シートの吸着層を設けた面が、該コルゲート構造
    体における接着面であることを特徴とする光触媒コルゲ
    ート構造体。
  2. 【請求項2】 光反応性半導体を含有してなる可撓性の
    光触媒基材の片面に、吸着剤を含有してなる吸着層を設
    けた構造を有する吸着分解シートを、中芯およびライナ
    の双方に用いたコルゲート構造体であって、中芯および
    ライナの少なくとも一方の吸着分解シートの吸着層を設
    けた面が、該コルゲート構造体における接着面であるこ
    とを特徴とする光触媒コルゲート構造体。
  3. 【請求項3】 光反応性半導体を含有してなる可撓性の
    光触媒基材の両面に、吸着剤を含有してなる吸着層を設
    けた構造を有する吸着分解シートを、中芯およびライナ
    の少なくとも一方に用いたことを特徴とする光触媒コル
    ゲート構造体。
  4. 【請求項4】 光触媒基材が、不織布であることを特徴
    とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光触媒コルゲ
    ート構造体。
  5. 【請求項5】 吸着層が、吸着剤を含有してなる塗工
    層、または吸着剤を含有してなる可撓性の基材であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光触
    媒コルゲート構造体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項に記載の光触
    媒コルゲート構造体を、グルーパターンに直交する方向
    に円筒状に丸めた構造を有することを特徴とする光触媒
    脱臭部材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の光触媒脱臭部材の円筒断
    面より通風し、かつ該光触媒脱臭部材を活性化させるた
    めの光源を設けたことを特徴とする光触媒脱臭装置。
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