JP2000125525A - 車両用駆動装置 - Google Patents

車両用駆動装置

Info

Publication number
JP2000125525A
JP2000125525A JP10294039A JP29403998A JP2000125525A JP 2000125525 A JP2000125525 A JP 2000125525A JP 10294039 A JP10294039 A JP 10294039A JP 29403998 A JP29403998 A JP 29403998A JP 2000125525 A JP2000125525 A JP 2000125525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
winding
teeth
stator
dovetail
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10294039A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Kajiura
裕章 梶浦
Masahiro Seguchi
瀬口  正弘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP10294039A priority Critical patent/JP2000125525A/ja
Publication of JP2000125525A publication Critical patent/JP2000125525A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高効率かつ大出力でありながら、より廉
価な車両用駆動装置を提供すること。 【解決手段】 本発明の車両用駆動装置は、エンジン出
力軸と直結された第1ロータ1210と、減速ギヤを介
して駆動輪に接続された第2ロータ1310と、固定さ
れたステータ1410とを有する。第1ロータ1210
は、コアボス1214に固定された多数のロータティー
ス1212を有する。ロータティース1212は、内周
側にダブテール部1212aの他に内周張り出し部をも
っており、内周張り出し部で隣接するロータティース1
212との磁路を形成する。磁路がロータティース12
12の間に直接形成され、コアボス1214を通らない
ので、磁気抵抗および鉄損が低減され、より高効率で高
出力の運転が可能になる。また、コアボス1214は廉
価に製造できるので、コストダウンが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関であるエ
ンジンと回転電機との両方を備えているハイブリッド型
車両用の電磁カップリング駆動装置の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】従来技術としては、センタコアの外周に
各ロータティースが独立して植え込まれた第1ロータを
もつ車両用駆動装置が、特開平9−322499号公報
に開示されている。同従来技術の車両用駆動装置は、図
8に示すように、機枠15に固定されているステータ1
4と、ステータ14と同軸に軸支されている第1ロータ
12と、同じく同軸に軸支されステータ14と第1ロー
タ12との間に配設されている第2ロータ13とを有す
る。そして、第1ロータ12と第2ロータ13との間
で、ステータ14も参加した電磁カップリング作用によ
り、駆動力が伝達される。
【0003】ここで、第1ロータ12は、回転可能に軸
支された第1ロータ軸1と、積層電磁鋼板からなり第1
ロータ軸1に固定されたセンタコア2と、積層電磁鋼板
からなりセンタコア2の外周側に固定された複数のロー
タティース3と、各ロータティース3に巻装されたロー
タ巻線4とをもつ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の従来
技術の第1ロータ12では、ロータティース3は、ロー
タ巻線が周囲に巻装された中間部の内周側には、センタ
コア2のダブテール固定溝に嵌合したダブテール部とを
もつに過ぎない。すなわち、第1ロータ12のロータコ
アは、センタコア2と各ロータティース3とから構成さ
れている。すると、第1ロータ12の内部を通る磁束に
よって形成される磁路は、いったんロータティース3か
らセンタコア2に入った後、さらにセンタコア2から隣
接する他のロータティース3に入ることになる。すなわ
ち、磁路はセンタコア2とロータティース3との界面を
二度通過することになる。
【0005】ここで、ロータティース3のダブテール部
は、センタコア2の外周面に形成されているダブテール
固定溝に嵌合しているとはいえ、ダブテール部とダブテ
ール固定溝との間を、全周に渡って密着させることは困
難である。それゆえ、磁路がセンタコア2とロータティ
ース3との界面を二度通過するばかりではなく、同界面
が密着しているとは限らないので、磁路抵抗が増してし
まう。
【0006】そればかりではなく、ロータティース3の
ダブテール部は、センタコア2のダブテール固定溝に締
まり嵌めで挿入されるので、ダブテール部とダブテール
固定溝との接合部は加工硬化し、磁路抵抗がいっそう増
す。さらに、加工硬化した部分は積層電磁鋼板同士の間
の電気抵抗が低下するので、鉄損も増大して第1ロータ
12の電磁的な効率が低下する。
【0007】また、センタコア2が積層電磁鋼板からな
るので、センタコア2の材料費および製造費がかかり、
製品のコストアップを招くという不都合がある。そこで
本発明は、第1ロータにおいて磁束量の向上と鉄損低減
とを図り、第1ロータの効率向上による出力増大と、製
品のコストダウンとを可能とする車両用駆動装置を提供
することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者は以下の手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載の車両
用駆動装置である。すなわち、第1ロータは、回転可能
に軸支された第1ロータ軸と、第1ロータ軸に固定され
外周面に複数のダブテール固定溝が形成されたコアボス
と、積層電磁鋼板からなりコアボスに固定された複数の
ロータティースと、ロータティースに巻装されたロータ
巻線とをもつ。また、各ロータティースは、ロータ巻線
が周囲に巻装された中間部と、中間部の外周側にあり周
方向の両側に突出した外周張り出し部と、中間部の内周
側にあり半径方向に所定の幅で延在し周方向の両側に突
出した内周張り出し部と、内周張り出し部から求心方向
に突出しダブテール固定溝に嵌合したダブテール部とを
もつ。さらに、各ロータティースの内周張り出し部は、
周方向両側に隣接するロータティースの内周張り出し部
と互いに当接する周方向側面をもつ。
【0009】ここで、ダブテール部は、必ずしもダブテ
ール形状をしていることを要さず、コアボスと嵌合し、
遠心力に耐えてロータティースをコアボスに固定するこ
とができる形状であれば、ダブテール部と呼ぶことにす
る。それゆえ、たとえばジェットエンジンのタービンブ
レードの植え込み構造のように、クリスマスツリー形状
をしたダブテール部もあり得る。
【0010】本手段では、各ロータティースの内周張り
出し部の周方向側面は、周方向両側に隣接するロータテ
ィースの内周張り出し部の周方向側面と当接しているの
で、磁路はコアボスにほとんど入ることがない。すなわ
ち、磁路は互いに隣り合うロータティースの内周張り出
し部の間に直接形成され、磁気特性等が劣化しているダ
ブテール部を通過して高い磁路抵抗に遭遇したり高い鉄
損を生じたりすることがない。また、同じ理由で互いに
隣り合うロータティースの間を磁路が行き交うに当た
り、互いに当接する内周張り出し部の周方向側面を一度
通過するだけで済み、コアボスとの界面を二度通過する
必要がないので、磁路抵抗が低減されている。
【0011】本手段ではまた、ロータティースの外周張
り出し部および内周張り出し部により巻枠が形成されて
いるので、ロータ巻線を集中巻きする際に巻き崩れる恐
れがなくなる。それゆえ、高い張力をかけながらロータ
巻線を巻き締めることができるので、ロータ巻線の占積
率が高くなり、銅損までもが低減される。したがって、
第1ロータにおいて、磁気抵抗の低減による磁束量の向
上が得られるばかりではなく、鉄損および銅損の低減に
よる電磁特性の向上も得られる。それゆえ、第1ロータ
の磁束量が増し電磁特性が向上するので、本手段の車両
用駆動装置はより大出力をもって運転することが可能に
なる。
【0012】また、本手段では、従来技術の積層電磁鋼
板からなるセンタコアに代わって、金属製一体部材で形
成可能なコアボスが採用されている。コアボスは、冷間
鍛造等によって容易に製造することができ、多数枚の打
ち出し電磁鋼板を積層して作るセンタコアよりも材料費
が安く製造が容易であるので、より安価に製造すること
ができる。
【0013】したがって本手段によれば、第1ロータの
磁束量が増し電磁特性が向上するので車両用駆動装置の
出力が増大するばかりではなく、コストダウンも可能に
なるという効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載の車両
用駆動装置である。
【0014】すなわち本手段では、前述の第1手段にお
いて、ロータティースを形成している積層電磁鋼板は、
求心方向に突出したダブテール部と第1ロータの外周面
を形成する外周張り出し部とのうち、少なくとも前者で
互いに溶接されている。それゆえ、ロータティースを形
成している電磁鋼板が互いに溶接されて一体化してお
り、ロータ巻線の巻装工程と同工程に先立つ絶縁シート
および絶縁プレートの取付け工程とが容易になる。
【0015】なお、ダブテール部だけで溶接されている
場合には、ダブテール部にはほとんど磁路が通っていな
いうえに鉄損を生じる回路が閉じないので、鉄損が増え
ることはない。一方、ダブテール部と外周張り出し部と
の両方で溶接されている場合にも、両溶接部と各電磁鋼
板とで形成される閉回路は、磁束の変動方向に対してお
おむね平行に形成されるので、鉄損はほとんど増えな
い。
【0016】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、鉄損をほとんど増やすことなしに、
ロータ巻線の巻装工程等の工数低減を図ることができ、
コストダウンになるという効果がある。 (第3手段)本発明の第3手段は、請求項3記載の車両
用駆動装置である。
【0017】本手段では、前述の第2手段において、各
ロータティースを形成している積層電磁鋼板は、ロータ
巻線の巻装以前に外周張り出し部に突起部をもち、この
突起部で互いに溶接され、ロータ巻線の巻装後にこの突
起部が削除されている。すなわち、ロータ巻線の巻装工
程では、ロータティースを形成している積層電磁鋼板
は、ロータティースの外周張り出し部の突起部とダブテ
ール部とで溶接されており、外周端部および内周端部の
両端部で一体に接合されている。それゆえ、ロータ巻線
の巻装工程ではロータティースを形成している積層電磁
鋼板が互いに分離しないように押さえておく必要がなく
なるので、ロータ巻線の巻装工程が容易になる。
【0018】そのうえ、ロータ巻線の巻装工程後には、
ロータティースを形成する積層電磁鋼板うち互いに溶接
されている突起部が削除されてしまうので、ロータティ
ースを形成する積層電磁鋼板はダブテール部でのみ互い
に溶接されている。すると、ダブテール部にはほとんど
磁路が通っていないうえに、鉄損を生じる閉回路が形成
されないので、鉄損が増えることはない。
【0019】したがって本手段によれば、前述の第2手
段の効果をより強化することができるという効果があ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の車両用駆動装置の実施の
形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよ
う、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。 [実施例1] (実施例1の全体構成)本発明の実施例1としての車両
用駆動装置1000は、図1に示すように、エンジン1
00の出力軸110からの軸出力を、必要に応じて増減
し、適正なトルクおよび回転数で駆動輪700を駆動す
る装置である。それゆえ、軸出力の増減作用を除いて考
えれば、本実施例の車両用駆動装置1000は、電磁力
を介して作動する一種のトルク−回転数(T−S)コン
バータとしてその作用をとらえることも可能である。
【0021】本実施例の車両用駆動装置1000の要部
は、機枠としての前部フレーム1710に固定されてい
るステータ1410と、エンジン出力軸110に接続さ
れている第1ロータ1210と、駆動輪700に接続さ
れている第2ロータ1310とからなる。第2ロータ1
310には、ギヤ840が固定されており、第2ロータ
1310は、減速ギヤ845およびディファレンシャル
ギヤ900を介して、両駆動輪700(図1には一方の
み図示)に接続されている。
【0022】ステータ1410は、積層電磁鋼板からな
るステータコア1412とステータ巻線1411とから
なり、ステータ巻線1411はインバータ400に三相
で接続されている。第1ロータ1210は、回転可能に
軸支された第1ロータ軸1213と、第1ロータ軸12
13の外周面に固定されたコアボス1214と、周方向
等間隔にコアボス1214の外周側に固定された複数の
ロータティース1212とをもつ。各ロータティース1
212は、積層電磁鋼板からなり、各ロータティース1
212には、ロータ巻線1211が巻装されている。
【0023】第1ロータ1210は、ステータ1410
と同軸に軸支され、所定の間隔を空けてステータ141
0の内周面に対向している。第1ロータ1210の入力
軸1213は、先端部(図中左端部)に形成されている
内部ギヤ1213aでエンジン出力軸110と接続され
ており、第1ロータ1210はエンジン出力軸110の
軸出力によって回転駆動される。ロータ巻線1211
は、端子台1670を介してリード部1660に接続さ
れており、さらに第1ロータ1210の入力軸1213
の後端部(図1中右端部)に装置されているブラシ部1
600を介して、三相で別のインバータ200に接続さ
れている。
【0024】ブラシ部1600は、後部フレーム172
0に固定されているブラシホルダ1610に保持されて
いるブラシ1620と、リード部1660で各ロータ巻
線1211に接続されているスリップリング1630と
からなる。ブラシホルダ1610、ブラシ1620、ス
リップリング1630およびリード部1660は、それ
ぞれ三セットある。各スリップリング1630の間は、
絶縁部1650により互いに絶縁されている。なお、ブ
ラシ部1600は、前部フレーム1710に固定されて
いる後部フレーム1720の後端(図中右端)を封止す
るカバーケース1730によって覆われている。
【0025】第2ロータ1310は、ステータ1410
と第1ロータ1210との間に同軸に配設されている。
すなわち、第2ロータ1310はその両端でステータ1
410に固定されているベアリング1510,1511
に回転自在に軸支されており、第1ロータ1210はそ
の両端付近で第2ロータ1310に保持されているベア
リング1512,1513に回転自在に軸支されてい
る。それゆえ、第1ロータ1210と第2ロータ131
0とは、電磁的な力学関係はあるものの、互いに独立に
回転することが可能である。
【0026】第2ロータ1310の永久磁石1220,
1420により界磁を形成する要部は、肉厚が比較的薄
い中空円筒状の形状をもち、ステータ1410の内周面
と第1ロータ1210の外周面との間の前述の所定の間
隔に収容されている。すなわち第2ロータ1310は、
外周界磁を形成している外周面でステータ1410の内
周面に対向し、内周界磁を形成している内周面で第1ロ
ータ1210の外周面に対向している。
【0027】第2ロータ1310の上記要部は、外周界
磁および内周界磁を形成する二種類の永久磁石122
0,1420と、同永久磁石を保持している積層電磁鋼
板からなるロータヨーク1311と、ロータヨーク13
11を貫通して固定している固定ボルト1333からな
る。第2ロータ1310の上記要部の両端は、剛性が高
いエンドプレート1334,1335から形成されてお
り、各固定ボルト1333は、エンドプレート133
4,1335に形成されている貫通孔に圧入されてい
る。それゆえ、組み立て工程の途中であっても上記要部
が不用意に分解してしまうことはなくなり、組立が容易
になる。
【0028】エンドプレート1334,1335からさ
らに突出している各固定ボルト1333の両端部は、そ
れぞれ前部ロータフレーム1331と後部ロータフレー
ム1332とに固定されている。前述の各ベアリング1
510〜1514は、前部ロータフレーム1331およ
び後部ロータフレーム1332の内周側および外周側
に、それぞれ取り付けられている。前部ロータフレーム
1331の先端部(図中左端部)の外周にはギヤ840
が固定されている。ギヤ840は、減速ギヤ800と噛
み合っており、第2ロータ1310は、減速ギヤ845
およびディファレンシャルギヤ900を介して駆動輪7
00の駆動軸と接続されている。
【0029】なお、第1ロータ1210および第2ロー
タ1310の回転角度は、二つの回転角センサ191
1,1912によってそれぞれ計測され、ECU(電子
制御装置)500に入力される。ECU500は、二つ
の回転角センサ1911,1912からの情報と、アク
セル開度やスロットル開度などの情報とから適正な制御
則に基づいて演算を行い、前述の二つのインバータ20
0,400を制御する。両インバータ200,400は
並列にバッテリ600に接続されており、バッテリ60
0は両インバータ200,400と電力の授受を行っ
て、車両用駆動装置1000の発電作用による充電や電
動作用による給電を行う。
【0030】ここで、第1ロータ1210と第2ロータ
1310との間には、内周磁気回路が形成されて、トル
クの授受が行われる。そして、第1ロータ1210と第
2ロータ1310との間では回転数が通常は異なってい
るので、エンジン100に接続されている第1ロータ1
210から駆動輪700に接続されている第2ロータ1
310に至る間に、ロータ回転数の調整が行われている
ものと見なすことができる。それゆえ、第2ロータ13
10の永久磁石1220を含む部分と第1ロータ121
0とをもって、回転数調整部1200と呼ぶ。
【0031】一方、第2ロータ1310とステータ14
10との間には、外周磁気回路が形成されてトルクの授
受が行われる。そして、ステータ1410が第2ロータ
1310に及ぼすトルクによって、第1ロータ1210
が第2ロータ1310に及ぼすトルクの適正な第2ロー
タ1310のトルクに対する過不足の調整が行われる。
それゆえ、第2ロータ1310の永久磁石1440を含
む部分とステータ1410とをもって、トルク調整部1
400と呼ぶ。
【0032】なお、第1ロータ1210の回転方向と第
2ロータ1310の回転方向とは、通常時すなわち搭載
車両の前進時には、同一方向である。 (実施例1の要部構成)本実施例の車両用駆動装置10
00の要部は、図2に示すように、互いに同軸に配設さ
れている第1ロータ1210、第2ロータ1310およ
びステータ1410から構成されている。
【0033】前述のように、第1ロータ1210の入力
軸(第1ロータ軸)1213は、エンジン出力軸110
(図1参照)に接続されており、第1ロータ1210
は、入力軸1213によって回転自在に軸支されてい
る。また、第2ロータ1310は、回転自在に軸支され
ており、各ギヤ840,845,900を介して駆動輪
700に接続されている(図1参照)。そして第1ロー
タ1210の回転方向と第2ロータ1310の回転方向
とは、通常時には同一方向である。一方、ステータ14
10は、エンジン100に対して固定されている前部フ
レーム1710(図1参照)に収容されて、固定保持さ
れている。
【0034】第1ロータ1210の要部は、入力軸12
13と、入力軸1213に固定されたコアボス1214
と、コアボス1214に固定された複数のロータティー
ス1212と、各ロータティース1212に集中巻きで
巻装されたロータ巻線1211とからなる。入力軸12
13は、コアボス1214の内周面に締まり嵌めで当接
しローレット仕上げされている外周面1213aをも
つ。
【0035】コアボス1214は、再び図1に示すよう
に、軟磁性ステンレス鋼からなる一体部材であり、積層
電磁鋼板からは構成されていない。コアボス1214の
外周面には、図3に示すように、ロータティース121
2と同数のダブテール固定溝1214aが、軸長方向に
沿って形成されている。各ロータティース1212は、
図4に示すように、積層電磁鋼板から形成された断面略
I字状の軟磁性部材であり、内周端部のダブテール部1
212aでコアボス1214のダブテール固定溝121
4aに嵌合している。各ロータティース1212は、ロ
ータ巻線1211が周囲に巻装された中間部1212e
と、中間部1212eの外周側にあり周方向の両側に突
出した外周張り出し部1212fとをもつ。各ロータテ
ィース1212はさらに、中間部1212eの内周側に
あり半径方向に所定の幅で延在し周方向の両側に突出し
た内周張り出し部1212gと、内周張り出し部121
2gから求心方向に突出しコアボス1214のダブテー
ル固定溝1214aに嵌合したダブテール部1212a
とをもつ。さらに、各ロータティース1212の内周張
り出し部1212gは、周方向の両側に隣接するロータ
ティース1212の内周張り出し部1212gと互いに
当接する二つの周方向側面1212hをもつ。
【0036】ここで、内周張り出し部1212gの半径
方向の幅は、中間部1212eの周方向の幅とおおむね
同等である。それゆえ、ロータティース1212の中間
部1212eを通った磁束は、ロータティース1212
から漏れ出すことなく内周張り出し部1212gへと通
じることができる。また、内周張り出し部1212gの
半径方向の幅は、磁路を形成する上で必要以上に長く取
られていないので、ロータティース1212の半径方向
の全長は必要以上に長くなることがない。それゆえ、第
1ロータ1210の半径は必要最低限に抑制され、第1
ロータ1210ばかりではなく本実施例の車両用駆動装
置1000全体の小型軽量化が図られている。
【0037】内周張り出し部1212gの周方向側面1
212hは、半径面に沿って滑らかに仕上げられてい
る。そして、各ロータティース1212は、内周張り出
し部1212gの両側の周方向側面1212hで、周方
向に隣り合うロータティース1212に密着している。
それゆえ、各ロータティース1212を通る磁束のほと
んど全ては、内周張り出し部1212gを介して隣のロ
ータティース1212に通じ、コアボス1214を通る
磁束はほとんど無い。したがって、コアボス1214で
はほとんど誘導電流が生じない。なお、コアボス121
4の半径方向の大きさは、第1ロータ軸1213に対し
て全ロータティース1212を固定するのに必要なだけ
の大きさに抑制されており、ここでも第1ロータ121
0の半径の小型化が図られている。
【0038】なお、各ロータティース1212のダブテ
ール部1212aの中央部には、軸長方向に溶接された
溶接部1212bが形成されている。すなわち、各ロー
タティース1212を形成する全ての電磁鋼板は、溶接
部1212bにより一体に接合されている。ここで、図
5に示すように、各ロータティース1212のロータ巻
線1211と接する全周は、F種の絶縁紙からなる絶縁
シート1215によって覆われており、ロータ巻線12
11との絶縁が確保されている。絶縁シート1215
は、主絶縁部1215aと、外径側絶縁部1215b
と、内径側絶縁部1215cと、一端面部1215d
と、他端面部1215eとから形成されている。そし
て、両端面部1215d,1215eには、それぞれ、
次に述べる絶縁プレート1216の二つの凸部1216
aを通す二つの貫通孔が形成されている。
【0039】また、各ロータティース1212の軸長方
向両端部には、耐熱性樹脂からなる絶縁プレート121
6が配設されている。各絶縁プレート1216は、断面
略半円形のコイル案内部1216bと、コイル案内部1
216bの外周側にある外径側巻枠部1216cと、コ
イル案内部1216bの内周側にある内径側巻枠部12
16dとからなる。各絶縁プレート1216は、コイル
案内部1216bに形成された二つの凸部1216a
で、ロータティース1212の両端部の嵌合孔1212
dに嵌合している。
【0040】そして、各ロータティース1212には、
再び図4に示すように、一枚の絶縁シート1215およ
び一対の絶縁プレート1216の上から、ロータ巻線1
211が集中巻きで巻装されている。なお、コアボス1
214に各ロータティース1212が嵌め込まれる前
に、ロータティース1212単体に対してロータ巻線1
211の巻装工程が行われる。この際、ロータ巻線12
11が占める部分は、ロータティース1212の外周張
り出し部1212fおよび内周張り出し部1212g
と、絶縁プレート1216の外周内周両端の張り出し部
1216c,1216dとで囲まれている。それゆえ、
ロータ巻線1211は巻き崩れの恐れなしに高い張力を
かけながら集中巻きすることができるので、巻装工程が
少ない工数で済むうえ、強固な高占積巻線が形成され
る。
【0041】第2ロータ1310の要部は、再び図2に
示すように、外側界磁磁石1420および内側界磁磁石
1220と、両者1220,1420を所定の位置に保
持しているロータヨーク1311と、ロータヨーク13
11を貫通している複数の固定ボルト1333とから構
成されている。外側界磁磁石1420は、それぞれ所定
の厚さの平板状の永久磁石であり、第2ロータ1310
の外周面に交番に磁極を向けるように第2ロータ131
0の外周側に配設され、外周界磁を形成している。一
方、内側界磁磁石1220は、それぞれ外側界磁磁石1
420に比べて周方向の幅が約半分の所定の厚さの平板
状の永久磁石であり、二枚一組になっている。そして内
側界磁磁石1220は、それぞれの外側界磁磁石142
0と対応する位置で、各外側界磁磁石1420と磁化方
向(磁極方向)をそろえて、第2ロータ1310の内周
側に配設され、内周界磁を形成している。
【0042】ロータヨーク1311は、中空円筒状に積
層された多数の電磁鋼板からなり、打ち抜かれた矩形の
貫通孔に、外側界磁磁石1420および内側界磁磁石1
220を保持している。なお、この矩形の貫通孔の隅の
部分は、磁束の漏洩を防ぐために、突出した丸み部が形
成されている。また、複数本の固定ボルト1333は、
積層電磁鋼板からなるロータヨーク1311に打ち抜か
れた円形の貫通孔を軸長方向に貫通し、外側界磁磁石1
420、内側界磁磁石1220およびロータヨーク13
11を一体に固定している。
【0043】内側界磁磁石1220は、前述のように、
外側界磁磁石1420の各一枚に対してそれぞれ二枚が
周方向に並べられている。内側界磁磁石1220は、外
側界磁磁石1420の周方向中間部では外側界磁磁石1
420に近接して近接部1311aを形成しており、外
側界磁磁石1420の周方向端部では外側界磁磁石14
20と離間して離間部1311bを形成している。そし
て各固定ボルト1333は、軟磁性の鋼材からなる丸棒
であり、離間部1311bに打ち抜きで形成されている
ロータヨーク1311のボルト孔1311mを貫通して
配設されている。なお、固定ボルト1333の外周面は
ローレット仕上げされており、組立過程において固定ボ
ルト1333はロータヨーク1311のボルト孔131
1mに圧入固定されている。
【0044】固定ボルト1333の外径とボルト孔13
11mの内径とは、やや締まりばめ気味に公差が設定さ
れている。それゆえ、固定ボルト1333のローレット
仕上げの効果とも相まって、ロータヨーク1311とそ
れを固定している固定ボルト1333との間にガタがな
いので、第2ロータ1310が偏心する恐れがない。し
たがって、固定ボルト1333のガタに起因して、第2
ロータ1310のエアギャップが詰まってしまったり、
第2ロータ1310のダイナミックバランスが崩れてし
まったりする恐れがなくなる。
【0045】ステータ1410は、軸長方向に積層され
た多数枚の電磁鋼板からなるステータコア1412と、
ステータコア1412のスロット1412aに巻装され
ているステータ巻線1411とから構成されている。 (実施例1の駆動作用)本実施例の車両用駆動装置10
00は、以上のように構成されているので、再び図1に
示すように、エンジン出力軸110の軸出力を駆動輪7
00に伝達し、適宜に軸出力を増したり発電したりし
て、以下のような作用を発揮する。
【0046】先ず、エンジン出力軸110の軸出力(す
なわち入力軸1213への入力)が回転数2n[rp
m]×トルクt[Nm]であり、第2ロータ1310か
らの軸出力を回転数n[rpm]×トルク2t[Nm]
に変換したい場合を想定する。この場合、再び図2に示
すように、第1ロータ1210から第2ロータ1310
へ軸出力が変換されるにあたり、回転数調整部1200
では発電作用が行われ、逆にトルク調整部1400では
電動作用が行われて、軸出力の変換(トルクコンバー
ト)が行われる。
【0047】すなわち、第1ロータ1210が回転数2
nで回転しているのに対し、第2ロータ1310は回転
数nでしか回転していないので、第1ロータ1210は
第2ロータ1310から制動作用を受けていることにな
る。その際、第1ロータ1210に加えられている軸出
力のトルクはtでしかないから、第1ロータ1210か
ら第2ロータ1310へのトルク伝達量はtに限定され
る。したがって、以下の説明では簡単化のために電磁気
的な損失を無視して考えると、第1ロータ1210では
回転数(2n−n=n)×トルクt=エネルギーntの
発電が行われる。言い換えると、ECU500は、イン
バータ200を制御して第1ロータ1210にエネルギ
ーntだけの発電を行わせる。
【0048】第1ロータ1210で発電された電気エネ
ルギーntは、再び図1に示すように、インバータ20
0を介して、二つのインバータ200,400、バッテ
リ600およびECU500からなる外部回路に導入さ
れる。そして、上記電気エネルギーntは、同外部回路
からインバータ400を介してステータ1410に供給
され、トルク調整部1400での電動作用により第2ロ
ータ1310に対してトルクtを及ぼす。言い換える
と、ECU500は、インバータ400を制御してステ
ータ1410の回転磁界を形成し、回転数nで回転して
いる第2ロータ1310に対して回転方向にトルクtを
加える。
【0049】ここで、前述のようなインバータ200,
400の制御は、回転角センサ1911,1912によ
る第1ロータ1210および第2ロータ1310のそれ
ぞれの回転角の測定値に基づいて行われる。すなわち、
ECU500で両回転角に基づいて適正な界磁制御計算
が行われ、インバータ200,400に対して、第1ロ
ータ1210および第2ロータ1310への通電タイミ
ングが適正に指示される。
【0050】その結果、回転数nで回転している第2ロ
ータ1310に対し、第1ロータ1210からのトルク
tとステータ1410からのトルクtとで、合計2tの
トルクが回転方向にかかる。したがって、第1ロータ1
210の軸入力2nt(回転数2n×トルクt)は、第
2ロータ1310の軸出力2nt(回転数n×トルク2
t)に減速変換される。
【0051】次に、先ほどとは逆に、エンジン出力軸1
10の軸出力(すなわち入力軸1213への入力)が回
転数n[rpm]×トルク2t[Nm]であり、第2ロ
ータ1310からの軸出力を回転数2n[rpm]×ト
ルクt[Nm]に変換したい場合を想定する。この場
合、第1ロータ1210から第2ロータ1310へ軸出
力が変換されるにあたり、回転数調整部1200では電
動作用が行われ、逆にトルク調整部1400では発電作
用が行われて、軸出力の変換が行われる。
【0052】すなわち、第1ロータ1210が回転数n
で回転しているのに対し、第2ロータ1310は回転数
2nで回転するので、第1ロータ1210は第2ロータ
1310を加速する方向に電動作用を及ぼすことにな
る。その際、第1ロータ1210に加えられている軸出
力のトルクは2tであるから、このトルクを吸収するた
めには第1ロータ1210から第2ロータ1310への
トルク伝達量は2tでなければならない。したがって、
第1ロータ1210では回転数(2n−n=n)×トル
ク2t=エネルギー2ntの電動作用が行われる。言い
換えると、ECU500は、インバータ200を制御し
て第1ロータ1210にエネルギー2ntもの電動作用
を行わせる。
【0053】第1ロータ1210での電動作用に要する
電気エネルギー2ntは、インバータ200を介して、
上記外部回路から供給される。そして、上記電気エネル
ギー2ntは、同外部回路へインバータ400を介して
ステータ1410から供給されている。すなわち、ステ
ータ1410は、ステータ1410を含むトルク調整部
1400での発電作用により、回転数2nで回転してい
る第2ロータ1310に対してトルクtの制動を及ぼ
す。言い換えると、ECU500は、インバータ400
を制御してステータ1410の回転磁界を形成し、回転
数2nで回転している第2ロータ1310に対して回転
方向とは逆方向にトルクtを加えて、ステータ1410
で発電を行わせる。
【0054】その結果、回転数2nで回転している第2
ロータ1310に対し、第1ロータ1210から加わる
トルク2tと、ステータ1410から加わる制動トルク
tとの差で、結局tのトルクが回転方向にかかる。した
がって、第1ロータ1210の軸入力2nt(回転数n
×トルク2t)は、第2ロータ1310の軸出力2nt
(回転数2n×トルクt)に増速変換される。
【0055】この増速変換と前述の減速変換とを比較す
ると、この増速変換では外部回路を介して伝達される電
気エネルギーは2ntであり、前述の減速変換において
外部回路を介して伝達される電気エネルギーntに比べ
て倍と大きい。それゆえ、増速変換は減速変換よりも電
磁気的な損失が大きいので、本実施例の車両用駆動装置
1000は、あまり増速変換での運用を行わず、主にや
や減速変換気味で運用するようにした方が高効率で使用
できる。したがって、エンジン100から駆動輪700
に至るまでのギヤ比等の設定は、車両用駆動装置100
0を減速気味で運用できるようになされているべきであ
る。
【0056】以上では第1ロータ1210への軸入力と
第2ロータ1310からの軸出力とが等しい場合を取り
上げて説明したが、実際には上記軸入力と上記軸出力と
は一致しない場合がほとんどである。そこで、例えば上
記軸入力が上記軸出力に及ばない場合には、その差はバ
ッテリ600からの給電によるステータ1410および
または第1ロータ1210の電動作用で補われる。逆
に、上記軸入力が上記軸出力を上回っている場合には、
ステータ1410およびまたは第1ロータ1210で発
電された電気エネルギーをもってバッテリ600に蓄電
がなされる。
【0057】その極端な場合の一例に、エンジンブレー
キをかけて搭載車両を制動する場合がある。この場合に
は、上記軸入力が負である以上に上記軸出力が大きく負
であり、駆動輪700に接続されている第2ロータ13
10が形成する回転界磁によって、ステータ1410だ
けではなく第1ロータ1210でも発電が行われてバッ
テリ600に蓄電される。このようにエンジンブレーキ
をかける場合には、発電作用がステータ1410と第1
ロータ1210との両方で行われ、一方に集中すること
がないので、ステータ1410も第1ロータ1210も
あまり大きな発電容量を必要とされない。それゆえ、ス
テータ1410も第1ロータ1210もともに、比較的
小型軽量に構成されうる。
【0058】したがって、本実施例の車両用駆動装置1
000を主にやや減速気味で運用するように搭載車両の
駆動系の設計がなされていれば、電磁気的な損失も最小
限に抑制され、極めて高効率での運用が可能になる。 (実施例1の第1ロータの作用)本実施例の車両用駆動
装置1000は、第1ロータ1210が前述のように構
成されているので、磁路抵抗が低減されてより強力な磁
場を形成できる上に、鉄損および銅損が低減されている
のでより効率よく運転することができる。また、ロータ
巻線1211の巻装工程の簡素化とコアボス1214の
低廉化とにより、製品価格のコストダウンも可能であ
る。
【0059】先ず、再び図3に示すように、各ロータテ
ィース1212の内周張り出し部1212gの周方向側
面1212hは、周方向両側に隣接するロータティース
1212の内周張り出し部1212gの周方向側面12
12hと密着している。それゆえ、第1ロータ1210
に形成される磁路は、コアボス1214にはほとんど入
ることがない。すなわち、磁路は互いに隣り合うロータ
ティース1212の内周張り出し部1212gの間に直
接形成され、磁気特性等が劣化しているダブテール部1
212aを通過して高い磁路抵抗に遭遇したり高い鉄損
を生じたりすることがない。また、同じ理由で互いに隣
り合うロータティース1212の間を磁路が行き交うに
当たり、互いに当接する内周張り出し部1212gの周
方向側面1212hを一度通過するだけで済み、コアボ
ス1214との界面を全く通過する必要がないので、磁
路抵抗が低減されている。
【0060】次に、再び図5に示すように、ロータティ
ース1212とロータティース1212を挟む一対の絶
縁プレート1216とから、ロータ巻線1211の巻枠
が形成されている。すなわち、ロータティース1212
の外周張り出し部1212fおよび内周張り出し部12
12gと、絶縁プレート1216の外径側巻枠部121
6cおよび内径側巻枠部1216dとから、ロータ巻線
1211の巻枠が形成されている。それゆえ、ロータ巻
線1211を集中巻きする際に巻き崩れる恐れがなくな
り、高い張力をかけながら集中巻きでロータ巻線121
1の巻装工程ができるので、工数が低減されるばかりで
はなく、ロータ巻線1211の占積率が高くなり、銅損
までもが低減される。
【0061】したがって、第1ロータ1210におい
て、磁気抵抗の低減により磁束量が増大するばかりでは
なく、鉄損および銅損の低減により電磁特性も向上す
る。すなわち、第1ロータ1210の磁束量が増し、第
1ロータ1210の電磁特性が向上するので、本実施例
の車両用駆動装置1000は、より大出力をもってより
効率よく運転することが可能になる。
【0062】また、本実施例の車両用駆動装置1000
では、従来技術の積層電磁鋼板からなるセンタコアに代
わって、金属製一体部材で形成可能なコアボス1214
が採用されている。コアボス1214は、冷間鍛造等に
よって容易に製造することができ、多数枚の打ち出し電
磁鋼板を積層して作るセンタコアよりも材料費が安く、
製造が容易であるので、より安価に製造することができ
る。
【0063】さらに、前述のように、ロータティース1
212を形成している積層電磁鋼板は、求心方向に突出
したダブテール部1212aで互いに溶接されている
(図4参照)。それゆえ、ロータティース1212を形
成している電磁鋼板が互いに溶接されて一体化してお
り、ロータ巻線1211の巻装工程と同工程に先立つ絶
縁シート1215および絶縁プレート1216の取付け
工程とが容易になる。
【0064】なお、ロータティース1212はダブテー
ル部1212aだけで溶接されており、ダブテール部1
212aにはほとんど磁路が通っていないうえに鉄損を
生じる回路が閉じないので、鉄損が増えることはない。 (実施例1の効果)以上詳述したように、本実施例の車
両用駆動装置1000では、第1ロータ1210におい
て、磁路抵抗の低減と、鉄損および銅損の低減と、高占
積巻線による有効磁束量の増大とが図られている。ま
た、コアボス1214の採用による材料費および加工費
の低減と、ロータ巻線1211の巻装工程の簡素化によ
る製造コストの低減とによって、製品価格のコストダウ
ンが図られている。
【0065】したがって、本実施例の車両用駆動装置1
000によれば、より高効率かつ大出力での運転が可能
になるばかりではなく、製品価格のコストダウンが可能
になるという効果がある。 (実施例1の変形態様1)本実施例の変形態様1とし
て、図5示すロータティース1212の絶縁工程と、ロ
ータ巻線1211の巻装工程とで、ロータティース12
12の外周張り出し部1212fでも積層電磁鋼板が互
いに溶接されている車両用駆動装置の実施が可能であ
る。
【0066】本変形態様では、図6に示すように、各ロ
ータティース1212を形成している積層電磁鋼板は、
ロータ巻線1211の巻装以前には、外周張り出し部1
212fに突起部1212iをもつ。そして、各ロータ
ティース1212を形成している積層電磁鋼板は、突起
部1212iの溶接部1212jと、ダブテール部12
12aの溶接部1212bとで互いに溶接されている。
【0067】ロータ巻線1211の巻装工程後(たとえ
ばコアボス1214へ全てのロータティース1212を
嵌合させた後など)に、溶接部1212jをもつ突起部
1212iだけは、切削加工等により削除される。すな
わち、ロータティース1212の絶縁工程とロータ巻線
1211の巻装工程とでは、ロータティース1212を
形成している積層電磁鋼板は、両端の溶接部1212
b,1212jで溶接され、一体に接合されている。そ
れゆえ、絶縁工程および巻装工程では、ロータティース
1212を形成している積層電磁鋼板が互いに分離しな
いように押さえておく必要がなくなるので、両工程が容
易になり、工数が低減される。
【0068】そのうえ、絶縁工程および巻装工程の後に
は、溶接部1212jをもつ突起部1212iが削除さ
れてしまうので、実施例1と同様に、ロータティース1
212を形成する積層電磁鋼板はダブテール部でのみ互
いに溶接されている。すると、ダブテール部1212a
にはほとんど磁路が通っていないうえに鉄損を生じる回
路が閉じないので、鉄損が増えることはない。
【0069】したがって本変形態様によれば、実施例1
と同様の車両用駆動装置1000をより容易に製造でき
るようになるという効果がある。 [実施例2] (実施例2の要部構成)本発明の実施例2としての車両
用駆動装置は、図7に示すように、第1ロータ1210
のロータティース1212が内周端の溶接部1212b
と外周端の溶接部1212cとの両方で溶接されてい
る。すなわち、第1ロータ1210の各ロータティース
1212を形成している積層電磁鋼板は、求心方向に突
出したダブテール部1212aと、第1ロータ1210
の外周面を形成する外周張り出し部1212fとで、互
いに溶接されている。
【0070】本実施例の車両用駆動装置1000のその
他の構成は、前述の実施例1の構成と同様である。 (実施例2の作用効果)本実施例の車両用駆動装置で
は、第1ロータ1210のロータティース1212を形
成している電磁鋼板が両端部で互いに溶接されて一体化
している。それゆえ、実施例1と比較して、前述の絶縁
工程とロータ巻線1211の巻装工程とが容易になるの
で、製造コストが低減される。また、実施例1の変形態
様1と比較しても、突起部1212i(図6参照)を削
除する工程が不要になるので、やはり製造コストが低減
される。
【0071】なお、両溶接部1212b,1212cと
各電磁鋼板とで形成される閉回路は、磁束の変動方向に
対しておおむね平行に形成されるので、鉄損はほとんど
増えることがない。したがって、本実施例の車両用駆動
装置によれば、前述の実施例1の効果に加えて、鉄損を
ほとんど増やすことなしに、ロータ巻線1211の巻装
工程等の工数低減を図ることができ、製造コストが低減
されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としての車両用駆動装置の全体構成
を示す側断面図
【図2】 実施例1としての車両用駆動装置の要部構成
を示す正断面図
【図3】 実施例1の第1ロータの要部構成を示す正断
面図
【図4】 実施例1の第1ロータのロータティースの構
成を示す正断面図
【図5】 実施例1の第1ロータのロータティースの構
成を示す分解斜視図
【図6】 実施例1の変形態様1の製造途中のロータテ
ィースの正断面図
【図7】 実施例2の第1ロータの要部構成を示す正断
面図
【図8】 従来技術としての車両用駆動装置の要部構成
を示す正断面図
【符号の説明】
100:エンジン 110:エンジン出力軸 200,400:インバータ 500:ECU 6
00:バッテリ 700:駆動輪(タイヤ/ホイール) 800:減速ギヤ 840:ギヤ 845:減速ギ
ヤ 900:ディファレンシャルギヤ 1000:車両用駆動装置、トルク−回転数コンバータ
(T−Sコンバータ) 1200:回転数調整部 1210:第1ロータ(第1回転子) 1211:ロータ巻線 1212:ロータティース 1212a:ダブテール部 1212b,1212
c:溶接部 1212d:嵌合孔 1212e:中間部 1212f:外周張り出し部 1212g:内周張り
出し部 1212h:内周張り出し部の周方向側面 1212i:突起部 1212j:溶接部 1213:第1ロータ軸(入力軸) 1213a:ローレット仕上げされた外周面 1214:コアボス 1214a:ダブテール固定溝 1215:絶縁シート 1215a:主絶縁部 1215b:外径側絶縁部 1215c:内径側絶縁
部 1215d:一端面部 1215e:他端面部 1216:絶縁プレート 1216a:凸部 1216b:コイル案内部 1216c:外径側巻枠部 1216d:内径側巻枠
部 1310:第2ロータ(第2回転子) 1311:ロータヨーク(積層電磁鋼板製) 1311a:近接部 1311b:離間部 1311j:バックヨーク 1311k,1311l:磁路部 1311m:ボルト孔 1331:前部ロータフレーム 1332:後部ロー
タフレーム 1333:固定ボルト 1334,1335:エンド
プレート 1220:内側界磁磁石(板状の永久磁石) 1420:外側界磁磁石(板状の永久磁石) 1400:トルク調整部 1410:ステータ(固定子) 1411:ステータ巻線 1412:ステータコア(積層電磁鋼板製) 141
2a:スロット 1510〜1513:ベアリング 1600:ブラシ部 1610:ブラシホルダ 1620:ブラシ 1630:スリップリング 1650:絶縁部 1660:リード部 1670:端子台 1710:前部フレーム(機枠) 1720:後部フ
レーム(機枠) 1730:カバーケース 1911,1912:回転角センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 5H002 AA01 AB03 AB07 AB09 AC06 AD04 AE07 AE08 5H115 PA11 PC06 PG04 PI13 PI22 PO01 PO06 PU02 PU10 PU21 PV10 PV24 QH03 QI04 QI09 TR04 TR05 TR06 TR19 5H621 AA03 BB02 BB07 GA01 GA04 GA20 JK05 5H622 AA03 CA02 CA07 CA10 CB01 CB05 CB06 PP03 PP11 PP14 PP17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機枠に固定されているステータと、 このステータと同軸に軸支され所定の間隔を空けてこの
    ステータに対向している第1ロータと、 このステータとこの第1ロータとの間に同軸に軸支され
    ている第2ロータと、を有し、この第1ロータとこの第
    2ロータとの間で駆動力を伝達する車両用駆動装置にお
    いて、 前記第1ロータは、回転可能に軸支された第1ロータ軸
    と、この第1ロータ軸に固定され外周面に複数のダブテ
    ール固定溝が形成されたコアボスと、積層電磁鋼板から
    なりこのコアボスに固定された複数のロータティース
    と、これらのロータティースに巻装されたロータ巻線と
    をもち、 これらのロータティースは、それぞれ、前記ロータ巻線
    が周囲に巻装された中間部と、この中間部の外周側にあ
    り周方向の両側に突出した外周張り出し部と、この中間
    部の内周側にあり半径方向に所定の幅で延在し周方向の
    両側に突出した内周張り出し部と、この内周張り出し部
    から求心方向に突出し前記ダブテール固定溝に嵌合した
    ダブテール部とをもち、 この内周張り出し部は、周方向両側に隣接するこれらの
    ロータティースの内周張り出し部と互いに当接する周方
    向側面をもつことを特徴とする、 車両用駆動装置。
  2. 【請求項2】各前記ロータティースを形成している前記
    積層電磁鋼板は、前記ダブテール部および前記外周張り
    出し部のうち少なくとも前者で互いに溶接されている、 請求項1記載の車両用駆動装置。
  3. 【請求項3】各前記ロータティースを形成している前記
    積層電磁鋼板は、前記ロータ巻線の巻装以前に前記外周
    張り出し部に突起部をもち、この突起部で互いに溶接さ
    れ、このロータ巻線の巻装後にこの突起部が削除されて
    いる、 請求項2記載の車両用駆動装置。
JP10294039A 1998-10-15 1998-10-15 車両用駆動装置 Pending JP2000125525A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10294039A JP2000125525A (ja) 1998-10-15 1998-10-15 車両用駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10294039A JP2000125525A (ja) 1998-10-15 1998-10-15 車両用駆動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000125525A true JP2000125525A (ja) 2000-04-28

Family

ID=17802488

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10294039A Pending JP2000125525A (ja) 1998-10-15 1998-10-15 車両用駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000125525A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2821994A1 (fr) * 2001-03-06 2002-09-13 Mannesmann Sachs Ag Convertisseur electro-magneto-mecanique
CN100399676C (zh) * 2006-08-31 2008-07-02 哈尔滨工业大学 轴向磁通-轴向磁通复合永磁电机
CN100399677C (zh) * 2006-08-31 2008-07-02 哈尔滨工业大学 轴向磁通-径向磁通复合永磁电机
CN100464480C (zh) * 2006-10-31 2009-02-25 哈尔滨工业大学 轴径向-径向磁通结构复合式永磁电机
WO2010140243A1 (ja) * 2009-06-05 2010-12-09 トヨタ自動車株式会社 分割固定子及びその製造方法
CN103001338A (zh) * 2012-10-29 2013-03-27 无锡金阳电机有限公司 无刷直流电机
JP2014230449A (ja) * 2013-05-27 2014-12-08 三菱電機株式会社 突極形回転電機の回転子
KR101558349B1 (ko) * 2013-05-20 2015-10-08 현대자동차 주식회사 구동모터의 회전자
CN105429407A (zh) * 2015-12-04 2016-03-23 东南大学 一种速比连续可调的磁齿轮电机
CN106208460A (zh) * 2016-07-14 2016-12-07 广东威灵电机制造有限公司 电机转子、电机和空调器
WO2017217154A1 (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社 回転電機の固定子
JP2019502353A (ja) * 2016-01-14 2019-01-24 ユニヴァーシティ・オヴ・ニューカッスル・アポン・タイン ロータアセンブリ
WO2019144276A1 (zh) * 2018-01-23 2019-08-01 深圳市赫瑞科技有限公司 一种磁控一体电机
CN113788099A (zh) * 2021-06-04 2021-12-14 李宙按 一种电动车

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2821994A1 (fr) * 2001-03-06 2002-09-13 Mannesmann Sachs Ag Convertisseur electro-magneto-mecanique
CN100399676C (zh) * 2006-08-31 2008-07-02 哈尔滨工业大学 轴向磁通-轴向磁通复合永磁电机
CN100399677C (zh) * 2006-08-31 2008-07-02 哈尔滨工业大学 轴向磁通-径向磁通复合永磁电机
CN100464480C (zh) * 2006-10-31 2009-02-25 哈尔滨工业大学 轴径向-径向磁通结构复合式永磁电机
WO2010140243A1 (ja) * 2009-06-05 2010-12-09 トヨタ自動車株式会社 分割固定子及びその製造方法
JP5093396B2 (ja) * 2009-06-05 2012-12-12 トヨタ自動車株式会社 分割固定子及びその製造方法
US8729748B2 (en) 2009-06-05 2014-05-20 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Split stator and manufacturing method thereof
CN103001338A (zh) * 2012-10-29 2013-03-27 无锡金阳电机有限公司 无刷直流电机
KR101558349B1 (ko) * 2013-05-20 2015-10-08 현대자동차 주식회사 구동모터의 회전자
JP2014230449A (ja) * 2013-05-27 2014-12-08 三菱電機株式会社 突極形回転電機の回転子
CN105429407A (zh) * 2015-12-04 2016-03-23 东南大学 一种速比连续可调的磁齿轮电机
JP2019502353A (ja) * 2016-01-14 2019-01-24 ユニヴァーシティ・オヴ・ニューカッスル・アポン・タイン ロータアセンブリ
WO2017217154A1 (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社 回転電機の固定子
JP2017225311A (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社 回転電機の固定子
CN109314414A (zh) * 2016-06-17 2019-02-05 雅马哈发动机电子株式会社 旋转电机的定子
EP3477821A4 (en) * 2016-06-17 2019-05-01 Yamaha Motor Electronics Kabushiki Kaisha STATOR FOR DYNAMOELECTRIC MACHINE
CN106208460A (zh) * 2016-07-14 2016-12-07 广东威灵电机制造有限公司 电机转子、电机和空调器
WO2019144276A1 (zh) * 2018-01-23 2019-08-01 深圳市赫瑞科技有限公司 一种磁控一体电机
CN110291705A (zh) * 2018-01-23 2019-09-27 深圳市赫瑞科技有限公司 一种磁控一体电机
CN113788099A (zh) * 2021-06-04 2021-12-14 李宙按 一种电动车
CN113788099B (zh) * 2021-06-04 2024-01-12 李宙按 一种电动车

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4449035B2 (ja) 電動車両用の永久磁石回転電機
JP5027169B2 (ja) アキシャルギャップ型モータ及びそのロータ製造方法
US8040008B2 (en) Axial gap motor
EP1895638B1 (en) Rotary electric machine
US20070084652A1 (en) Hybrid Electrical Vehicle Employing Permanent Magnetic Type Dynamo-Electric Machine
WO2010087066A1 (ja) アキシャルギャップ型モータ
EP1528659B1 (en) Magnetic circuit structure for rotary electric machine
JP2000125525A (ja) 車両用駆動装置
JP2011130530A (ja) アキシャルギャップ型モータ及びそのロータ製造方法
JP5323592B2 (ja) 永久磁石回転電機及びそれを用いた電動車両
JP2000050585A (ja) 車両用駆動装置
JP4890056B2 (ja) 電動機
JP3578306B2 (ja) 車両用駆動装置
JP2001145209A (ja) 車両用回転電機
JP4211200B2 (ja) 磁石併用同期機
JP3578308B2 (ja) 車両用駆動装置
JP4671250B1 (ja) アキシャルギャップ型モータのロータ及びその製造方法
JP2010093928A (ja) アキシャルギャップ型モータ
JP3047798B2 (ja) 車両用駆動装置
JP3171082B2 (ja) 車両用駆動装置
JP3171104B2 (ja) 車両用駆動装置
JPH08116632A (ja) 回転電機の固定子
JP2001359264A (ja) 静止界磁コイル式磁石併用同期機
JP5083831B2 (ja) アキシャルギャップ型モータ及びそのロータの製造方法
JPH11187614A (ja) 車両用駆動装置