JP2000122320A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Info

Publication number
JP2000122320A
JP2000122320A JP10288083A JP28808398A JP2000122320A JP 2000122320 A JP2000122320 A JP 2000122320A JP 10288083 A JP10288083 A JP 10288083A JP 28808398 A JP28808398 A JP 28808398A JP 2000122320 A JP2000122320 A JP 2000122320A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photosensitive member
electrophotographic photosensitive
electrophotographic
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10288083A
Other languages
English (en)
Inventor
格 ▲高▼谷
Itaru Takatani
Masataka Kawahara
正隆 川原
Yoshihiro Sato
祐弘 佐藤
Keiko Hiraoka
敬子 平岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP10288083A priority Critical patent/JP2000122320A/ja
Publication of JP2000122320A publication Critical patent/JP2000122320A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光散乱やブリードがなく、均一な状態の光導
電層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性
を両立した電子写真感光体、電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。 【解決手段】 電子写真感光体の表面層が下記式(1)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物及び下記式
(2)で示されるケイ素系化合物を硬化することによっ
て得られる樹脂を含有する電子写真感光体、電子写真感
光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置。 (式(1)中、Aは正孔輸送性基を、Qは加水分解性
基又は水酸基を、Rはアルキレン基又はアリーレン基
を、Rは一価炭化水素基を、nは1〜3の整数を示
す。式(2)中、Qは加水分解性基又は水酸基を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しく
は特定の樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光
体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び
電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体の表面には、帯電手段、
現像手段、転写手段及びクリーニング手段等により電気
的あるいは機械的な影響が直接に加えられるために、そ
れらに対する耐久性が要求される。
【0003】具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗
や傷の発生、及び高温下におけるコロナ帯電の感光体表
面の劣化等に対する耐久性が要求される。また、現像と
クリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面への
トナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体
表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0004】上記のような感光体表面に要求される様々
な特性を満たすために、感光層上に樹脂を主成分とする
種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例え
ば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子と
して金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御
した保護層が提案されている。
【0005】また、表面層中に種々の物質を添加するこ
とで感光体表面の物性を改善することも検討されてい
る。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した
添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−13
2954号公報)、ポリジメチルシロキサン、シリコー
ン樹脂粉体(特開平4−324454号公報)、架橋シ
リコーン樹脂、(ポリカーボネート−シリコン)ブロッ
ク共重合体、シリコーン変成ポリウレタン、シリコーン
変成ポリエステルが報告されている。低表面エネルギー
の代表的なポリマーとしてはフッ素系高分子があり、フ
ッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉
体、フッ化カーボン粉末等が挙げられる。また、耐磨耗
性や電気特性の向上の観点から表面層に電荷輸送性ポリ
エステルを用いる報告もされている。
【0006】しかしながら、金属酸化物等を含む表面保
護層は高い硬度を有するものが得られるが、表面エネル
ギーは大きくなり易いためにクリーニング性等に問題が
ある。低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分
子は、一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であるこ
とから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈
折率も小さいことから光散乱が生じ易く、それによる透
明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高
分子は一般的に柔らかいために傷がつき易い問題点があ
った。また、シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さ
い点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示
さないため、添加系では凝集し易く光散乱を生じたり、
ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さ
ない等の問題があった。また、表面層に電荷輸送性ポリ
エステルを用いた場合、耐磨耗性等の機械強度は向上す
るものの、耐トナーフィルミンク性やトナーの転写効率
が十分でなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決することのできる、すなわち光散乱やブ
リードがなく、均一な状態の光導電層であって低表面エ
ネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感
光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及
び電子写真装置を提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、感光体の表面層の耐
摩耗性及び潤滑性が向上し、長寿命で高画質な電子写真
感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ
及び電子写真装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、支
持体上に感光層を有する電子写真感光体において、電子
写真感光体の表面層が下記一般式(1)で示される有機
ケイ素変成正孔輸送性化合物及び下記一般式(2)で示
されるケイ素系化合物を硬化することによって得られる
樹脂を含有する電子写真感光体、電子写真感光体を有す
るプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供され
る。
【0010】
【化4】
【0011】式中、Aは正孔輸送性基を示し、Q1は水
分解性基又は水酸基を示し、R1は置換もしくは無置換
のアルキレン基又はアリーレン基を示し、R2は置換も
しくは無置換の一価炭化水素基を示し、nは1〜3の整
数を示す。
【0012】
【化5】
【0013】式中、Q2は加水分解性基又は水酸基を示
し、Q2はQ1と同一であって異なっていてもよい。
【0014】上記一般式(1)、(2)において、Q1
及びQ2は加水分解性基又は水酸基を示し、加水分解性
基としては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケ
トオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロ
ペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエチ
ル基等で、より好ましくは−OR3で示される。R3は加
水分解性基であるアルコキシ基又はアルコキシアルコキ
シ基を形成する基であり、炭素数が1〜6の整数である
ことが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシエ
チル基等で示される。Q1及びQ2としては、−OR3
あるアルコキシ基が好ましい。
【0015】一般にケイ素原子に結合している加水分解
性基の数nが1又は2のときは有機ケイ素化合物自体で
の高分子化反応は抑制されるが、3ないし4のときは縮
合反応が生じ易く高度に架橋反応を行うことが可能であ
り、架橋密度の増大に伴って得られる重合体の硬度等の
改善が期待できる。
【0016】上記一般式(1)において、R1はアルキ
レン基又はアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であ
ることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、
プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、
ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合し
た基等が挙げられる。また、R1が有してもよい置換基
としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニ
ル基のアリール基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン
原子が挙げられる。これらの中ではR1が−(CH2)m
−(mは正の整数)で示されることが好ましい。mは1
〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状で
ある必要はない。mが19以上では正孔輸送性基Aが運
動し易いため硬度が低下し、ケイ素原子に直接電荷輸送
性基が結合していると立体障害等で安定性、物性に悪影
響を与え易い。mは好ましくは2〜8である。
【0017】R2はケイ素原子に直接結合した一価炭化
水素基であり、炭素数が1〜15であることが好まし
く、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基等が挙げられる。この他に、ビニル基、
アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等の
アリール基が挙げられる。また、R2が有してもよい置
換基としてはフッ素等のハロゲン原子が挙げられ、ハロ
ゲン置換一価炭化水素基としては、例えば、トリフルオ
ロプロピル基、ヘプタフルオロペンチル基、ノナフルオ
ロヘキシル基等で代表されるフロロ炭化水素基等が挙げ
られる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明における電荷輸送性とは、
電荷を輸送する能力のことであり、イオン化ポテンシャ
ルで6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前
記一般式(1)で示される有機ケイ素変性正孔輸送性化
合物及びAの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが
6.2eV以下であることが好ましく、特には4.5〜
6.2eVであることが好ましい。イオン化ポテンシャ
ルが6.2eVを超えると、正孔注入が起こり難く、帯
電し易くなる。また、4.5eV未満では化合物が容易
に酸化されるために劣化し易くなる。イオン化ポテンシ
ャルは、大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装
置AC−1)によって測定される。
【0019】また、上記の有機ケイ素変成正孔輸送性化
合物は、正孔輸送能として1×10 -7cm2/Vsec
以上のドリフト移動度を有しているものが好ましい。1
×10-7cm2/Vsec以下では電子写真感光体とし
て露光後、現像までに正孔が十分に移動できないために
見かけ上の感度が低減し、残留電位も高くなってしまう
問題が発生する場合がある。
【0020】上記一般式(1)の正孔輸送性基Aとして
は、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよ
く、その水素付加化合物(正孔輸送材料)として示せ
ば、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘
導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のト
リアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノス
チリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジ
ルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、
スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェ
ニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアソー
ル誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベン
ゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェ
ン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げら
れる。正孔輸送性基Aとしては、構造が下記一般式
(3)で示されるものが好ましい。
【0021】
【化6】
【0022】式中、R4、R5及びR6は有機基であり、
そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基又は複
素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異な
っていてもよい。
【0023】このように正孔輸送性基Aは、R4、R5
びR6のうちの1つの基の水素原子が除かれて形成され
た基である。R4、R5及びR6の構造の好ましい具体例
を以下に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】上記一般式(1)の有機ケイ素変成正孔輸
送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、
芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水
素化ケイ素化合物とから白金系触媒、あるいは有機過酸
化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に
用いられる。この場合に使用される白金触媒については
特に限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反
応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒で
あればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン
錯体、白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触
媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残
留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量
で用いることが望ましい。
【0028】芳香族環にビニル基を有する化合物と置換
基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等によ
り、付加反応により本発明の化合物を合成する場合に
は、ビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場
合があり、一般には混合物が生じる。本発明においては
α位、β位のどちらに反応したのものも用いられるが、
ケイ素原子と電荷輸送性基を結合している炭化水素基の
炭素数が少ない場合には、立体障害からはβ位に反応し
たものが好ましい。
【0029】有機過酸化物としては、室温以上に半減期
を示すものであればよく、特にラウリルパーオキシド等
のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こし難いことか
ら好適に用いることができる。ビニル基を有しないもの
については、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水する
か直接Wittig反応によりビニル基を導入する方法
等により、本発明の合成原料として用いることが可能で
ある。
【0030】有機ケイ素変成正孔輸送性化合物及びケイ
素系化合物の加水分解、重縮合には、必ずしも触媒が必
要ではないが、通常ケイ素樹脂の加水分解、重縮合等に
用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分
解、重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチ
ル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル
錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノル
マルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適
宜選択される。
【0031】本発明で用いる有機ケイ素変成正孔輸送性
化合物は、硬化性有機ケイ素高分子に含有させて用いる
提案と、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を重合させて
用いる提案がなされている。本発明では、一般式(2)
で示される4つの加水分解性基を有すケイ素系化合物と
共重合することにより、3次元架橋密度を更に増加させ
ることが可能であり、より石英ガラスに近い構造を付与
することが可能となる。このことにより硬度や機械的強
度が増大し、耐摩耗性が更に向上するのみでなく、帯電
時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等
に対する耐久性も一層向上させることが可能となる。
【0032】本発明においては、前もって一般式(2)
で示されるテトラアルコキシシラン等の加水分解性基を
4つ有すケイ素系化合物と有機ケイ素変成正孔輸送性化
合物を、部分的に重合させておくことができる。この場
合には、感光体への塗布に支障のない溶液もしくは分散
液であれば用いることができる。硬化の条件としては、
100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃
未満では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分
解性基が残存する可能性もある。200℃を超えると電
荷輸送性基が酸化劣化し易くなり、悪影響が発生し易
い。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して
用いられる。
【0033】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
を用いて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0034】本発明の電子写真感光体の層構造の例を示
す図を図1に、更に表面保護層を有する電子写真感光体
の例を図2に示す。
【0035】電子写真感光体の支持体(図1及び図2中
の1)としては、支持体自体が導電性を有するもの、例
えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ス
テンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、
インジウム、金、白金、銀、鉄等を用いることができ
る。その他に、アルミニウム、酸化インジウム、酸化ス
ズ、金等を蒸着等によりプラスチック等の誘電体支持体
に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプ
ラスチックや紙に混合したもの等を用いることができ
る。
【0036】これらの導電性支持体は、均一な導電性が
求められると共に平滑な表面が重要である。表面の平滑
性は、その上層に形成される下引き層、電荷発生層、正
孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その
表面粗さは、0.3μm以下で用いられることが好まし
い。0.3μmを超える凹凸は、下引き層や電荷発生層
のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させ
てしまうために、その特性が大きく変化してしまい、電
荷注入や残留電位のむら等の欠陥を生じ易いことから好
ましくない。
【0037】特に、導電性微粒子をバインダー樹脂中に
分散して塗布することにより得られる導電層(図1及び
図2中の2)は、形成が容易であり、均質な表面を形成
することに適している。このとき用いられる導電性微粒
子の1次粒径は、100nm以下であり、より好ましく
は50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子とし
ては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、A
u、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラッ
ク、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム等
が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーティン
グして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は、体
積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1
×1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。よ
り好ましくは1×108Ωcm以下で用いられる。
【0038】レーザー等のコヒーレントな光源を用いて
露光する場合は、干渉による画像劣化を防止するために
上記導電性支持体の表面に凹凸を形成することも可能で
ある。このときは、電荷注入や残留電位のむら等の欠陥
が生じ難いように、使用する波長の1/2λ程度の凹凸
を、直径数μm以下のシリカビーズ等の絶縁物を分散す
るように、10μm以下の周期で形成して用いることが
可能である。
【0039】本発明においては、支持体と光導電層の中
間に、注入阻止機能と接着機能を持つ下引き層(図1及
び図2中の3)を設けることもできる。下引き層の材料
としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセ
ルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニ
ルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレ
タン、ゼラチン等が挙げられる。下引き層の膜厚は、
0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には
0.3μm〜3μmであることが好ましい。
【0040】感光層としては、電荷発生材料を含有する
電荷発生層(図1及び図2中の4)と電荷輸送材料を含
有する電荷輸送層(図1及び図2中の5)からなる機能
分離タイプのものや電荷発生材料と電荷輸送材料を同一
の層に含有する単層タイプ(不図示)が用いられる。
【0041】電荷発生材料としては、例えば、セレン−
テルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フ
タロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベン
ズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスア
ゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いるこ
とができる。
【0042】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
の硬化物は、電荷輸送層(図1中の5)もしくは正孔輸
送能を有する表面保護層(図2中の6)として用いるこ
とが可能である。単層感光体として用いる場合は、前記
電荷発生材料と本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成
物と組み合わせて用いることにより良好な特性が得られ
る。
【0043】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
は、他の電荷輸送材料と組み合わせて用いることが可能
であるが、かかる正孔輸送材料としては、ポリ−N−ビ
ニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセン等の複素
環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリ
ン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、
トリアソール、カルバゾール等の複素環化合物、トリフ
ェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフ
ェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレ
ンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、
スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物
を用いることができる。
【0044】上記電荷発生材料や正孔輸送材料は、必要
に応じてバインター樹脂が用いられる。バインター樹脂
の例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニ
リデン、トリプルオロエチレン等のビニル化合物の重合
体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルア
セタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスル
ホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セル
ロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、けい素樹
脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0045】光導電層には、前記化合物以外にも機械的
特性の改良や耐久性向上のために添加剤を用いることが
できる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤、導電性制御剤等
が用いられる。
【0046】本発明における電荷発生層の膜厚は、3μ
m以下であることが好ましく、特には0.01〜1μm
であることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は1〜
40μmであることが好ましく、特には3〜30μmで
あることが好ましい。感光層が単層タイプである場合
は、その膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特
には3〜30μmであることが好ましい。
【0047】本発明における表面保護層の厚みは、1〜
15μmであることが好ましい。1μm未満では保護効
果が十分ではなく、15μmを超えると感光層全体の膜
厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってし
まうことから好ましくない。
【0048】本発明においては、更に露光手段が照射す
る光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感
光層の膜厚の積が2×104μm3以下であることが好ま
しい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像
時の感光体上の電位差)の点で2×103μm3以上であ
ることが好ましい。2×103μm3に満たないと十分な
現像コントラストは得難くなる傾向になる。
【0049】この場合、本発明に用いられる露光方法
は、光をドット状に照射することによって感光体上に静
電潜像を形成するものである。その光源は特に制限され
るものではないが、より小さなスポット面積をより容易
に得ることができるという点でレーザー光及びLED光
であることが好ましい。
【0050】図3に光の強度分布、スポット径及びスポ
ット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光ス
ポットは一般的には図3に示すように主走査スポット径
(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の
形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光
層の厚さの積は、光スポットが感光層へ照射されている
部分の体積(V)であるといえる。光ビームのスポット
面積は、ピーク強度の1/e2に減少するまでの部分で
表わされる。
【0051】光のスポット面積(S)は感光層上の面積
であり、光の強度力がピーク強度(A)の1/e
2(B)以上である部分の面積で表される。用いられる
光源としては半導体レーザーやLED等が挙げられ、光
強度分布についてもガウス分布、ローレンツ分布等があ
るが、いずれの場合もピーク強度(A)の1/e
2(B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とす
る。
【0052】なお、スポット面積(S)は感光体の位置
にCCDカメラを設置することにより測定することがで
きる。本発明における光のスポット面積は4×103μ
2以下であることが好ましく、特には3×103μm2
以下であることが好ましい。4×103μm2を超えると
隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定と
なり易い。また、コストの点から1×103μm2以上で
あることが好ましい。
【0053】上記観点からは、本発明における感光層の
厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10
μm以下であることが好ましい。本発明の電子写真感光
体は、極めて優れた機械的強度及び表面潤滑性を有して
いるので、このような系に用いられる感光体として非常
に好ましい。
【0054】図4に本発明の電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を
示す。
【0055】図において、7はドラム状の本発明の電子
写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速
度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、
一次帯電手段9によりその周面に正又は負の所定電位の
均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の
像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こ
うして感光体7の局面に静電潜像が順次形成されて行
く。
【0056】形成された静電潜像は、現像手段11によ
りトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の
給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の
回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写
手段12により順次転写されて行く。
【0057】像転写を受けた転写材13は、感光体面か
ら分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受け
ることにより複写物(コピー)として装置外にプリント
アウトされる。
【0058】像転写後の感光体7の表面は、クリーニン
グ手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄
面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光1
6により除電処理された後、繰り返し像形成に使用され
る。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接
触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではな
い。
【0059】本発明においては、上述の電子写真感光体
7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手
段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカー
トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ
ートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像
形成装置本体に対して着脱可能に構成しても良い。例え
ば、一次帯電手段7と共に一体に支持してカートリッジ
化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装
置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とするこ
とができる。
【0060】図5に本発明の電子写真装置の第2の例で
あるカラー複写機の概略構成を示す。図において201
は、イメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジ
タル信号処理を行う部分である。また、202はプリン
タ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原
稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出
力する部分である。
【0061】イメージスキャナ部201において、20
0は原稿厚板であり、原稿台ガラス(以下プラテン)2
03上の原稿204を固定するために用いられる。原稿
204は、ハロゲンランプ205の光で照射される。原
稿204からの反射光は、ミラー206及び207に導
かれ、レンズ208により3本のCCDラインセンサで
構成される3ラインセンサ(以下CCDという)210
上に像を結ぶ。
【0062】CCD210は、原稿からの光情報を色分
解して、フルカラー情報のうちレッド(R)、グリーン
(G)、ブルー(B)成分として信号処理部209に送
られる。なお、205及び206は速度vで、207は
1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走
査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械
的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0063】信号処理部211では読み取られた信号を
電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエ
ロー(Y)、ブラック(BK)の各成分に分解し、プリ
ンタ部200に送られ、計4回の原稿走査により一回の
プリントアウトが完成する。
【0064】イメージスキャナ部201より送られてく
るM、C、Y、BKの画像信号は、レーザードライバ2
12に送られる。レーザードライバ212は、画像信号
に応じ半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー
光は、ポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミ
ラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0065】218は回転現像機であり、マゼンタ現像
器219、シアン現像器220、イエロー現像器22
1、ブラック現像器222より構成され、4つの現像器
が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に
形成されたM、C、Y、BKの静電潜像を対応するトナ
ーで現像する。
【0066】223は転写ドラムで、用紙カセット22
4又は225より給紙された用紙をこの転写ドラム22
3に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー
像を用紙に転写する。このようにしてM、C、Y、BK
の4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット22
6を通過して定着後、排紙される。
【0067】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明
する。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
【0068】<合成例1>:4−[2−(トリエトキシ
シリル)エチル]トリフェニルアミンの合成 (i)4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデ
ヒドの合成 三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.4gとN
−N−ジメチルホルムアミド(DMF)35.5mlを
入れ、氷水冷却下、攪拌しながらオキシ塩化リン84.
4mlを滴下し、温度を95℃に上げて5時間反応させ
た。反応液を4リットルの温水へ注ぎ1時間攪拌した。
その後、沈殿物を口取し、エタノール/水(1:1)の
混合溶液で洗浄し、4−(N,N−ジフェニルアミノ)
ベンズアルデヒドを得た。収量91.5g(収率81.
0%)。
【0069】(ii)4−ビニルトリフェニルアミンの
合成 水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシュク
ン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しな
がらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8g
を加えた。次に無水エタノールを一滴加えた後、70℃
で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニル
アミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃に温
度を上げ5時間反応させた。反応液を濾過し、濾液と沈
殿物のエーテル抽出液を一緒にし水洗した。次いで、エ
ーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去
し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を
行い、針状、淡黄色の4−ビニルトリフェニルアミンを
得た。収量83.4g(収率84.0%)。
【0070】(iii)4−ビニルトリフェニルアミン
のヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60
mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキ
サン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmol
を三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しながら4−ビニ
ルトリフェニルアミン8.2gのトルエン溶液20ml
を滴下した。滴下終了後、70℃で3時間攪拌を行った
後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−[2−(ト
リエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得
た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0071】4−[2−(トリエトキシシリル)エチ
ル]トリフェニルアミンのH−NMRスペクトルを図6
に示す(ブルカー社製、商品名;APC300NMRス
ペクトロメータ)。この化合物のイオン化ポテンシャル
を大気下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC
−1)にて測定したところ、5.68eVであった。ま
た、この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法によ
り塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、膜厚が約8
μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を
形成した。このサンプルに対しパルス巾3nsecの波
長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−
flight法にてドリフト移動度を測定したところ1
×10-7cm2/Vsecであった。
【0072】<合成例2>:4−[N,N−ビス(3,
4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシ
シリル)エチル]ベンゼンの合成 (i)[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ア
ミノ]ベンゼンの合成 4−ヨード−o−キシレン38.5g(166mmo
l)、無水炭酸カリウム22.9g(166mmol)
及び銅粉7.0gをニトロベンゼン20mlに加え、攪
拌下にて加熱環流を8時間行った。冷却後に濾過、濾液
を除去した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムを
通し、[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ア
ミノ]ベンゼンを得た。収量15.7g(収率69
%)。
【0073】(ii)4−[N,N−ビス(3,4−ジ
メチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成 三つ口フラスコに[N,N−ビス(3,4−ジメチルフ
ェニル)アミノ]ベンゼン124.6g及びDMF3
5.5mlを入れ、氷水冷却下、攪拌しながらオキシ塩
化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液
を95℃で5時間反応させ、4リットルの温水へ注ぎ1
時間攪拌した。その後、沈殿物を口取し、エタノール/
水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−[N,N−ビス
(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒ
ドを得た。収量107.6g(収率79.0%)。
【0074】(iii)4−[N,N−ビス(3,4−
ジメチルフェニル)アミノ]スチレンの合成 水素化ナトリウム12.1g、1,2−ジメトキシエタ
ン580mlを三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しな
がらトリメチルホスフォニウムブロマイド108.5g
を加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70
℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応
混合液に4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)アミノ]ベンズアルデヒド100.0gを加え、7
0℃で5時間反応させた後、口別し、口取したケーキを
エーテル抽出し口液と一緒にし水洗した。次いで、エー
テル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、
反応混合物を得た。これをエタノールで再結晶二回行
い、針状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェ
ニル)アミノ]スチレンを得た。収量84.5g(収率
85.0%)。
【0075】(iv)4−[N,N−ビス(3,4−ジ
メチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g及びト
リス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金
(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラス
コに取り、室温で攪拌しながら4−[N,N−ビス(3,
4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのト
ルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で
3時間攪拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色
油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベ
ンゼンを得た。収量13.4g(収率90.1%)。
【0076】4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフ
ェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチ
ル]ベンゼンのH−NMR及びC−NMRスペクトルを
図7及び図8に示す(ブルカー社製、商品名;APC3
00NMRスペクトロメータ)。この化合物のイオン化
ポテンシャルを大気下光電子分析法(理研計器製、表面
分析装置AC−1)にて測定したところ、5.26eV
であった。また、この化合物を銅基板上にワイヤーバー
コート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化
し、約5μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明
金電極を形成した。このサンプルに対しパルス巾3ns
ecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime
−of−flight法にてドリフト移動度を測定した
ところ9×10-7cm2/Vsecであった。
【0077】<合成例3>:4−[N,N−ビス(3,
4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシ
シリル)エチル]ベンゼンの合成 (i)4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g(37
mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−
ジエン)白金(2)0.34mmolを三つ口フラスコ
に取り、室温で攪拌しながら4−[N,N−ビス(3,
4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのト
ルエン溶液20ml滴下した。滴下終了後、70℃で3
時間攪拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油
状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)
アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼ
ンを得た。収量14.0g(収率94.2%)。
【0078】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.31eVであった。また、こ
の化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布
し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作
成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成した。こ
のサンブルに対してパルス巾3nsecの波長337n
mの窒素レーザーを用いてTime−of−fligh
t法にてドリフト移動度を測定したところ7×10-7
2/Vsecであった。
【0079】<合成例4>:4−[3−(トリエトキシ
シリル)プロピル]トリフェニルアミンの合成 (i)4−ブロモトリフェニルアミンの合成 N−ブロモスクシンイミド8.0g(45mmol)、
トリフェニルアミン10.0g(41mmo1)を20
0ml三つ口フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルム
アミド150mlを加えた後、室温下で一晩攪拌した。
次いで、N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、得ら
れた固形物を四塩化炭素で抽出した。その後、四塩化炭
素を除去し、得られた反応混合物をエタノールで二回再
結晶を行い、白色固体の4−ブロモトリフェニルアミン
を得た、収量8.2g(収率61.7%)。
【0080】(ii)4−N,N−ジフェニルアミノア
リルベンゼンの合成 300ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g
(40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いで、ジ
エチルエーテル100mlを加え攪拌を開始した。そこ
へ4−ブロモトリフェニルアミン8.6g(27mmo
l)を溶解したジエチルエーテル溶液30mlをゆっく
り滴下した。約3ml滴下したところで緩やかに環流が
始まった。環流させながら、更にジエチルエーテル溶液
の滴下を続け、滴下終了後、更に一時間環流を行った。
以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液を室温
まで戻し、次にアリルクロライト2.1g(27mmo
l)のジエチルエーテル溶液40mlを氷冷しながらゆ
っくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時間環流
し、反応を熟成させた。その後、水50mlを氷冷しな
がら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を抽出し
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回洗浄
し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ジ
エチルエーテルを除去し、白色固体の4−N,N−ジフ
ェニルアミノアリルベンゼンを得た。収量4.9g(収
率・63.2%)。
【0081】(iii)4−N,N−ジフェニルアミノ
アリルベンゼンのヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g(37
mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキ
サン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを
三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しながら4−N,N
−ジフェニルアミノアリルベンゼン9.7g(34mm
ol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了
後、70℃で3時間攪拌を行った後、溶媒を減圧下で除
去し、淡黄色油状の4−[3−(トリエトキシシリル)
プロピル]トリフェニルアミンを得た。収量10.7g
(収率70.1%)。
【0082】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.72eVであった。また、こ
の化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布
し、120℃にて12時間熱硬化し、膜厚が約9μmの
膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成し
た。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長3
37nmの窒素レーザーを用いてTime−of−fl
ight法にてドリフト移動度を測定したところ1.4
×10-7cm2/Vsecであった。
【0083】<合成例5>:4−[4−(トリエトキシ
シリル)ブチル]トリフェニルアミンの合成 (i)4−メチルトリフェニルアミンの合成 ジフェニルアミン4.5g(27mmol)、p−ヨー
ドトルエン11.0g(51mmol)、無水炭酸カリ
ウム5.5g(40mmol)及び銅粉1.1gをo−
ジクロロベンゼン30mlに加え、攪拌下にて加熱環流
を7時間行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液
を3〜5%チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で
順次洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶
媒を除去した。得られた反応混合物をエタノールを用い
て再結晶を行い4−メチルトリフェニルアミンを得た。
収量5.7g(収率81.4%)。
【0084】(ii)4−ブロモメチルトリフェニルア
ミンの合成 N−ブロモスクシンイミド6.9g(39mmol)、
4−メチルトリフェニルアミン9.1g(35mmo
l)を300ml三つ口フラスコに入れ、四塩化炭素1
00mlを加えた後、攪拌下にて加熱環流を一晩行っ
た。反応終了後、反応溶液を冷却した。次いで、反応溶
液を濾過し、溶媒を除去して、得られた反応混合物をエ
タノールを用いて再結晶を行い4−ブロモメチルトリフ
ェニルアミンを得た。収量10.8g(収率91.2
%)。
【0085】(iii)4−N,N−ジフェニルアミノ
フェニル−1−ブテンの合成 200ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g
(40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いで、ジ
エチルエーテル100mlを加え攪拌を開始した。そこ
へ4−ブロモメチルトリフェニルアミン9.1g(27
mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液20mlを
ゆっくり滴下した。約5ml滴下したところで緩やかに
環流が始まった。環流させながら、更にジエチルエーテ
ル溶液の滴下を続け、滴下終了後、更に一時間環流を行
った。以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液
を室温まで戻し、次にアリルクロライト2.1g(27
mmol)のジエチルエーテル溶液20mlを氷冷しな
がらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時
間環流し、反応を熟成させた。その後、水50mlを氷
冷しながら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を
抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回
洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥
後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,N−
ジフェニルアミノフェニル−1−ブテンを得た。収量
5.5g(収率66.7%)。
【0086】(iv)4−N,N−ジフェニルアミノフ
ェニル−1−ブチンのヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60
mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキ
サン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmoI
を三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しながら4−N,
N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブチン16.7g
(54.7mmol)のトルエン溶液20mlを滴下し
た。滴下終了後、70℃で3時間攪拌を行った後、溶媒
を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[4−(トリエト
キシシリル)ブチル]トリフェニルアミンを得た。収量
13.9g(収率83.2%)。
【0087】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.69eVであった。また、こ
の化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布
し、120℃にて12時間熱硬化し、膜厚が約5μmの
膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成し
た。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長3
37nmの窒素レーザーを用いてTime−of−fl
ight法にてドリフト移動度を測定したところ2×1
-7cm2/Vsecであった。
【0088】<合成例6>:4−(N−エチル−N−フ
ェニルアミノ)−[2−(トリエトキシシリル)エチル]
ベンゼンの合成 (i)4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズ
アルデヒドの合成 三つ口フラスコにジフェニルエチルアミン82gとDM
F35.5mlを加え、氷水冷却下、攪拌しながらオキ
シ塩化リン84.4mlを滴下し、滴下終了後、温度を
95℃に昇温して5時間反応させた。その後、沈殿物を
口取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄
し、4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズア
ルデヒドを得た。収量62g(収率56.8%)。
【0089】(ii)4−(N−エチル−N−フェニル
アミノ)スチレンの合成 水素化ナトリウム14.6g、1,2−ジメトキシエタ
ン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しな
がらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8g
を加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70
℃に温度を昇温し、5時間反応させた。これに、4−
(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド100
gを加え、70℃で5時間反応させた。反応液を濾過
し、濾液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にして水洗し
た。次いで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エ
ーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノール
から再結晶を行い、針状、淡黄色の4−(N−エチル−
N−フェニルアミノ)スチレンを得た。収量62.4g
(収率62.9%)。
【0090】(iii)4−(N−エチル−N−フェニ
ルアミノ)スチレンのヒドロシリル化 トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60
mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキ
サン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmol
を三つ口フラスコに取り、室温で攪拌しながら4−(N
−エチル−N−フェニルアミノ)スチレン7.6gのト
ルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で
3時間攪拌を行った後、溶媒を減圧下で除去して、淡黄
色油状の4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−
[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。
収量7.8g(収率59.0%)。
【0091】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、6.3eVであった。また、この
化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布
し、120℃にて12時間熱硬化し、膜厚が約5μmの
膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成し
た。このサンプルに対してパルス巾3nsecの波長3
37nmの窒素レーザーを用いてTime−of−fl
ight法にてドリフト移動度を測定したところ2×1
-8cm2/Vsecであった。
【0092】<合成例7>合成例1の4−[2−(トリ
エトキシシリル)エチル〕トリフェニルアミン10gを
トルエン16.7gに溶解し、テトラエトキシシラン1
0gとジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合し
た。これをガラス板にバーコートを用いて塗布し、14
0℃で15時間乾燥した。顕微鏡で観察したところ均一
フィルムが形成されたことが判明した。
【0093】<比較合成例1>テトラエトキシシラン1
0gをトルエン16.7gに溶解し、溶液に電荷輸送性
化合物としてトリフェニルアミンをテトラエトキシシラ
ンに対して30重量%溶解し、ジブチル錫ジアセテート
0.2gを加え混合した。合成例7と同様に硬化させて
フィルムを形成した。フィルムは白濁し、顕微鏡ではト
リフェニルアミンの析出が観察された。
【0094】<比較合成例2>合成例1でのヒドロシリ
ル化にて、トリエトキシシランに代えてトリメチルシラ
ン6g(60mmol)を使用した以外は、合成例1と
同様に反応させ4−[2−(トリメチルシリル)エチル]
トリフェニルアミンを得た。これを電荷輸送性化合物と
して比較合成例1と同様にしてフィルムを生成したとこ
ろ、不透明であり、4−[2−(トリメチルシリル)エ
チル]トリフェニルアミンの分離が認められた。
【0095】(実施例1)鏡面加工により作成した外径
80mmのアルミニウムシリンダーを用いて下引き層と
して、アルコール可溶性共重合ナイロン(商品名:アミ
ランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール
95部に溶解した溶液を、浸漬コーティング法により塗
工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下
引き層を形成した。
【0096】次に、電荷発生層として下記のビスアゾ顔
料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザー
ル(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加
え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に
形成した下引き層の上に浸漬コーティング法で塗工し、
乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように電荷発生層を形
成した。
【0097】
【化7】
【0098】次いで、下記の構造式を有するトリアリー
ルアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名Z
−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベンゼ
ン70部に溶解した電荷輸送層用の液に加え、更に平均
粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.3部を添加した
ものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法によ
り塗工し、乾燥後の膜厚が10μmとなるように電荷輸
送層を形成した。
【0099】
【化8】
【0100】次に、合成例2で合成した4−[N,N−
ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(ト
リエトキシシリル)エチル]ベンゼン100部をトルエ
ン167部に溶解し、テトラエトキシシラン100部及
びジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液を、
前記の電荷輸送層の上にスプレーコーティング法により
塗工した。140℃で4時間乾燥、熱硬化することで膜
厚が2μmの表面保護層を形成した。
【0101】この電子写真感光体を−700Vに帯電し
て波長680nmの光で電子写真特性を測定したとこ
ろ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少するために
必要な露光量)が1.2μJ/cm2、残留電位が−1
6Vと良好であった。
【0102】本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフ
ルカラー複写機CLC−500の改造機{(1/e2
を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの
照射スポット径となるように改造}を用い、初期帯電を
−400Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及
び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞
もなく、感光体の摩耗量も1.5μmと少なく、均一性
の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpi
で256階調と極めて良好であった。
【0103】<比較合成例3>テトラエトキシシラン1
0gをトルエン16.7gに溶解し、溶液に電荷輸送性
化合物として実施例1にて使用したトリアリールアミン
化合物をテトラエトキシシランに対して30重量%溶解
し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え、合成例7
と同様に混合硬化させてフィルムを形成した。フィルム
は白濁し、顕微鏡ではトリフェニルアミンの析出が観察
された。
【0104】(比較例1)実施例1において保護層を塗
工しないこと以外は、同様にして作成した電子写真感光
体の画像評価を行ったところ、2万枚の耐久試験後に黒
ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなか
った。感光体の摩耗量は、2万枚で5μmと極めて大き
かった。
【0105】(実施例2)引き抜き加工により得られた
外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノー
ル樹脂(商品名;プライオーフェン、大日本インキ化学
工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に
溶解したものに、導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒
径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン
樹脂粒子3部を分散したものを浸漬コーティング法によ
り塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成し
た。
【0106】次に、先の導電層上にアルコール可溶性共
重合ナイロン(商品名:アミランCM−8000、東レ
(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸
漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾
燥して、膜厚が1μmの下引き層を形成した。
【0107】次に、電荷発生層用分散液としてCuKα
特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の
9.0°、14.2°、23.9°及び27.9°に強
いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン顔料5
部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール
(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加
え、サンドミルで2時間分散した。この分散液を先に形
成した下引き層の上に浸漬コーティング法で塗工し、乾
燥後の膜厚が0.2μmとなるようにし電荷発生層を形
成した。
【0108】次いで、合成例2で合成した4−[N,N
−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−
(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン100部をト
ルエン167部に溶解し、テトラエトキシシラン100
部及びジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液
を、先の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗
工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層
の膜厚が10μmの透明で均一な電荷輸送層を作成し
た。
【0109】鉛筆硬度は6Hであり、水との接触角は9
7°であった。この電子写真感光体を−700Vに帯電
し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定し
たところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少する
ために必要な露光量)が0.2J/cm2、残留電位が
−24Vと良好であった。
【0110】本電子写真感光体をキヤノン製レーザービ
ームプリンタLBP−8IVの改造機{(1/e2)を
副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照
射スポット径となるように改造}を用い、初期帯電を−
500Vに設定して画像評価を行ったところ、4000
枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下と極
めて少なく、耐久後の水との接触角も95°と良好で画
像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号において
のハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0111】(比較例2)実施例2と同様にして、電荷
発生層まで形成した。次いで、実施例1において用いた
トリアリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂
(商品名:Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部を
クロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を、
電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工するこ
とによって、乾燥後の膜厚が10μmの電荷輸送層を形
成した。
【0112】得られた電子写真感光体を実施例2と同様
に評価したところ、4000枚の耐久試験後は、干渉縞
及び黒ポチが認められ、摩耗量が1.8μmと大きく、
水との接触角も72°と小さいために不良であり、60
0dpiでのハイライト部の1画素再現も不十分でムラ
があった。
【0113】(実施例3)実施例2と同様のアルミニウ
ムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名:プライオ
ーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部を
メチルセロソルブ100部に溶解したものに、導電性硫
酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分
散したものを浸漬コーティング法により塗工し、乾燥後
の膜厚が10μmとなるように導電層を形成した。更
に、この導電層の上に実施例2と同様にして膜厚1μm
の下引き層及び膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成し
た。
【0114】次いで、合成例2で合成した4−[N,N
−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−
(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン100部をト
ルエン167部に溶解し、テトラエトキシシラン100
部及びジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液
に、更に平均粒径3μmのSiO2微粒子1.25部を
添加したものを、前記の電荷発生層の上に浸漬コーティ
ング法により塗工した。120℃にて5時間乾燥、熱硬
化して膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。顕微鏡
で観察したところSiO2粒子以外は透明で均一であっ
た。
【0115】鉛筆硬度は5Hであり、水との接触角は1
07°であった。この電子写真感光体を−700Vに帯
電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定
したところ、E1/2(−350Vまで帯電電位が減少す
るために必要な露光量)が0.22J/cm2、残留電
位−23Vと良好であった。
【0116】本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤ
ノン製レーザービームプリンタを用い、初期帯電−50
0Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久
試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下と極めて少な
く、水との接触角は96°と良好で黒ポチ等の電荷注入
及び干渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当
の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十
分であった。
【0117】(実施例4)実施例1と同様にして、電荷
発生層まで形成した。次いで、実施例1で用いた電荷輸
送層用の液に平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子
0.1部を添加したものを、前記の電荷発生層の上に浸
漬コーティング法により塗工し、乾燥後の膜厚が9μm
の電荷輸送層を形成した。
【0118】次に、表面保護層として合成例2で合成し
た4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ア
ミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼ
ン100部をトルエン167部に溶解し、テトラエトキ
シシラン100部及びジブチル錫ジアセテート2部を加
え混合した溶液を、電荷輸送層の上にスプレーコーティ
ング法により塗工した。140℃で4時間乾燥、熱硬化
することで透明で均一な膜厚が3μmの表面保護層を形
成した。
【0119】鉛筆硬度は3Hであり、水との接触角は1
05°であった。この電子写真感光体を実施例1と同様
のデジタルフルカラー複写機を用いて初期帯電−400
V設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験
後の摩耗量は0.11μmと極めて少なく、水との接触
角は99°であり、ハイライト部、高濃度部の再現性の
優れた画像が得られた。
【0120】(実施例5)実施例2と同様にして、電荷
発生層まで形成した。次いで、合成例6で合成した4−
(N−エチル−N−フェニルアミノ)−[2−(トリエ
トキシシリル)エチル]ベンゼン100部をトルエン1
67部に溶解し、テトラエトキシシラン100部及びジ
ブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液を、前記
の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工し
た。120℃にて5時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の
膜厚が8μmの本発明の感光体を作成した。
【0121】鉛筆硬度は5Hであり、水との接触角は1
04°であった。実施例2と同様にして電子写真特性を
測定したところ、E1/2が0.22J/cm2、残留電位
が−27Vであった。本電子写真感光体を実施例2と同
様のレーザービームプリンタを用いて、初期帯電を−5
00Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐
久試験後の摩耗量は0.20μmと極めて少なく、水の
接触角は96°であり良好で黒ポチ等の電荷注入及び干
渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力
信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であ
った。
【0122】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光散乱や
ブリードがなく、均一で、低表面エネルギーと機械的、
電気的耐久性を両立した電子写真感光体、電子写真感光
体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提
供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す図
である。
【図2】本発明の表面保護層を有する電子写真感光体の
層構成の例を示す図である。
【図3】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面
積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカー
トリッジを用いた電子写真装置の概略構成を示す図であ
る。
【図5】本発明の電子写真感光体を用いたカラー電子写
真装置の概略構成を示す図である。
【図6】合成例1の4−[2−(トリエトキシシリル)
エチル]トリフェニルアミンのH−NMRスペクトルで
ある。
【図7】合成例2の4−[N,N−ビス(3,4−ジメ
チルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリ
ル)エチル]ベンゼンのH−NMRスペクトルである。
【図8】合成例2の4−[N,N−ビス(3,4−ジメ
チルフェニル)アミノ]-[2−(トリエトキシシリル)
エチル]ベンゼンのC−NMRスペクトルである。
【符号の説明】
1 支持体 2 導電層 3 下引層 4 電荷発生層 5 電荷輸送層 6 表面保護層 7 感光体 8 軸 9 一次帯電手段 10 画像露光光 11 現像手段 12 転写手段 13 転写材 14 定着装置 15 クリーニング手段 16 前露光光 17 プロセスカートリッジ 18 案内手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 祐弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 平岡 敬子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA02 AA03 AA05 AA08 AA21 BA58 BB33 BB49 FA27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に感光層を有する電子写真感光
    体において、該電子写真感光体の表面層が下記一般式
    (1) 【化1】 (式中、Aは正孔輸送性基を示し、Q1は加水分解性基
    又は水酸基を示し、R1は置換もしくは無置換のアルキ
    レン基又はアリーレン基を示し、R2は置換もしくは無
    置換の一価炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示
    す)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物及び下
    記一般式(2) 【化2】 (式中、Q2は加水分解性基又は水酸基を示し、Q2はQ
    1と同一であっても異なっていてもよい)で示されるケ
    イ素系化合物を硬化することによって得られる樹脂を含
    有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 R1が−(CH2m−(mは1〜18の
    整数)で示され、R2が炭素数1〜15の一価炭化水素
    基又はハロゲン置換一価炭化水素基である請求項1記載
    の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 Q1及びQ2が−OR3(R3はアルキル基
    又はアルコキシアルキル基を示す)で示される請求項1
    又は2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 R3の炭素数が1〜6である請求項3記
    載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 上記一般式(1)の正孔輸送基Aが下記
    一般式(3)で示される請求項1〜4のいずれかに記載
    の電子写真感光体。 【化3】 (式中、R3、R4及びR5は有機基であり、そのうちの
    少なくとも1つは芳香族炭化水素環基又は複素環基を示
    し、R3、R4及びR5は同一であっても異なっていても
    よい)
  6. 【請求項6】 有機ケイ素変成正孔輸送性化合物が4.
    5〜6.2eVのイオン化ポテンシャルを有する請求項
    1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 有機ケイ素変成正孔輸送性化合物が1×
    10-7cm2/Vsec以上のドリフト移動度を有する
    請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写
    真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
    静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像す
    る現像手段、及び転写工程後の感光体上に残余するトナ
    ーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた
    少なくとも一つの手段と共に一体に支持し、電子写真装
    置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカー
    トリッジ。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写
    真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段
    と、帯電した電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜
    像を形成する像露光手段と、静電潜像の形成された電子
    写真感光体をトナーで現像する現像手段、及び転写材上
    のトナー像を加熱転写する転写手段を備えたことを特徴
    とする電子写真装置。
JP10288083A 1998-10-09 1998-10-09 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Pending JP2000122320A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10288083A JP2000122320A (ja) 1998-10-09 1998-10-09 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10288083A JP2000122320A (ja) 1998-10-09 1998-10-09 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000122320A true JP2000122320A (ja) 2000-04-28

Family

ID=17725580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10288083A Pending JP2000122320A (ja) 1998-10-09 1998-10-09 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000122320A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013040158A (ja) * 2010-11-30 2013-02-28 Shin-Etsu Chemical Co Ltd シラノール基を有するトリアリールアミン誘導体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013040158A (ja) * 2010-11-30 2013-02-28 Shin-Etsu Chemical Co Ltd シラノール基を有するトリアリールアミン誘導体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3267519B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置
EP0772091B1 (en) An electrophotographic photosensitive member, a process-cartridge inclusive thereof, and an image forming apparatus
JP3755856B2 (ja) 電子写真感光体
EP0811885B1 (en) Electrophotographic photosensitive member, and electrophotographic apparatus and process cartridge employing the same
US6296978B1 (en) Electrophotographic photosensitive member, a process-cartridge inclusive thereof, and an image forming apparatus
JP3684068B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US7358016B2 (en) Electrophotographic photoreceptor and electrophoto-graphic apparatus equipped with the same
JP2000206723A (ja) 電子写真感光体、プロセスカ―トリッジ及び電子写真装置
JP4040165B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP3618962B2 (ja) 電子写真感光体、この電子写真感光体を用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP3854895B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP3913147B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2000122320A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JPH10301318A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4227381B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2748736B2 (ja) 電子写真感光体
JP3937955B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび画像形成装置
JP2004101710A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2006076894A (ja) ヒドラゾン化合物および該ヒドラゾン化合物を用いた電子写真感光体、ならびに該電子写真感光体を備える画像形成装置
JP2004037834A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2004053912A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置
JPH10301305A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2000131860A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2004045992A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2004101914A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび画像形成装置