JPH10301305A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

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JPH10301305A
JPH10301305A JP11263897A JP11263897A JPH10301305A JP H10301305 A JPH10301305 A JP H10301305A JP 11263897 A JP11263897 A JP 11263897A JP 11263897 A JP11263897 A JP 11263897A JP H10301305 A JPH10301305 A JP H10301305A
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JP
Japan
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photosensitive member
integer
electrophotographic photoreceptor
organosilicon
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Application number
JP11263897A
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English (en)
Inventor
Masataka Kawahara
正隆 川原
Yoshihiro Sato
祐弘 佐藤
格 ▲高▼谷
Itaru Takatani
和夫 ▲吉▼永
Kazuo Yoshinaga
Keiko Hiraoka
敬子 平岡
Katsumi Aoki
活水 青木
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光散乱やブリードがなく、均一な状態の表面
層を有し、低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を
両立した電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 表面層が硬化性有機ケイ素系高分子及び
式(1) 【化12】 (Aは正孔輸送性基、Qは加水分解性基または水酸基、
2 は一価炭化水素基、R3 はアルキレン基またはアリ
ーレン基を示す。)の有機ケイ素変成正孔輸送性化合物
を硬化した樹脂を含有し、樹脂中に含まれる白金濃度が
0.01〜1ppmである電子写真感光体、プロセスカ
ートリッジ及び画像形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の表面層を有
する電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体の表面には、帯電手段、
現像手段、転写手段及びクリーニング手段等により電気
的あるいは機械的な影響が直接に加えられるために、そ
れらに対する耐久性が要求される。
【0003】具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗
や傷の発生、及び高湿下におけるコロナ放電時に発生し
易いオゾンによる感光体表面の劣化等に対する耐久性が
要求される。また、現像とクリーニングの繰り返し等に
起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあ
り、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上
が求められている。
【0004】上記のような感光体表面に要求される様々
な特性を満たすために感光層上に樹脂を主成分とする種
々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、
特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として
金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した
保護層が提案されている。
【0005】また、表面層中に種々の物質を添加するこ
とで感光体表面の物性を改善することも検討されてい
る。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した
添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−13
2954号公報)、ポリジメチルシロキサン、シリコー
ン樹脂粉体(特開平4−324454号公報)、架橋シ
リコーン樹脂、ポリ(カーボネートシリコーン)ブロッ
ク共重合体、シリコーン変成ポリウレタン及びシリコー
ン変成ポリエステルが報告されている。
【0006】低表面エネルギーの代表的なポリマーとて
はフッ素系高分子があり、該フッ素系高分子としては、
ポリテトラフルオロエチレン粉体及びフッ化カーボン粉
末等が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属酸
化物等を含む表面保護層は高い硬度を有するものが得ら
れるが、表面エネルギーは大きくなり易いためにクリー
ニング性等に問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネ
ルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分
な相溶性を示さないため、添加系では凝集し易く光散乱
を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定し
た特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネ
ルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に
不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光
体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことか
ら光散乱が生じ易く、それによる透明性の劣化を生じる
問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔ら
かいために傷がつき易い問題点があった。
【0008】本発明の目的は、上記の問題点を解決する
ことのできる、即ち光散乱やブリードがなく、均一な状
態の表面層であって低表面エネルギーと機械的、電気的
耐久性を両立する電子写真感光体、及び該電子写真感光
体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、導電性
支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該
電子写真感光体の表面層が硬化性有機ケイ素系高分子及
び下記式(1)
【0010】
【化5】 (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水
酸基を示し、R2 は置換もしくは無置換の一価炭化水素
基を示し、R3 は置換もしくは無置換のアルキレン基ま
たはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、l
は正の整数を示す。)で示され、白金濃度が0.01〜
1ppmである有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化
することによって得られる樹脂を含有することを特徴と
する電子写真感光体である。
【0011】また、本発明は、上記電子写真感光体を有
するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】上記式(1)において、Qは加水
分解性基または水酸基を示し、加水分解性基としては、
メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム
基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基及びメトキシエチル基等
が挙げられ、より好ましくは−OR1 で示される。R1
は加水分解性基であるアルコキシ基あるいはアルコキシ
アルコキシ基を形成する基であり、炭素数が1〜6の整
数であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びメ
トキシエチル基等が挙げられる。Qとしては、式−OR
1 であるアルコキシ基が好ましい。一般に、ケイ素原子
に結合している加水分解性基の数mが1のときは有機ケ
イ素化合物自体での縮合は起こりにくく高分子反応は抑
制されるが、mが2または3のときは縮合反応が生じ易
く高度に架橋反応を行うことが可能であることから、得
られる硬化物の硬度等の改善が期待できるが、高分子量
化して溶解性及び硬化性有機ケイ素系高分子との反応性
が変化してしまう場合がある。
【0013】R2 はケイ素原子に直接結合した一価炭化
水素基であり、炭素数が1〜15であることが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
及びペンチル基等が挙げられる。この他にビニル基及び
アリル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等
のアリール基が挙げられる。また、R2 が有してもよい
置換基としてはフッ素原子等のハロゲン原子が挙げら
れ、ハロゲン置換一価炭化水素基としては、例えばトリ
フルオロプロピル基、ヘプタフルオロペンチル基及びノ
ナフルオロヘキシル基等で代表されるフロロ炭化水素基
等が挙げられる。
【0014】R3 はアルキレン基またはアリーレン基を
示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシ
リデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン
基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、
3 が有してもよい置換基としてはメチル基及びエチル
基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、フッ素
原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。これ
らの中ではR3 が式−(CH2 n −(nは正の整数)
で示されることが好ましい。
【0015】nは1〜18であることが更に好ましい
が、必ずしも直鎖状である必要はない。nが19以上で
は正孔輸送性基Aが運動し易いため硬度が低下し、ケイ
素原子に直接正孔輸送性基が結合していると立体障害等
で安定性及び物性に悪影響を与え易い。nは好ましくは
2〜8である。また、lは正の整数を示すが、1〜5で
あることが好ましい。lが6以上では硬化反応において
未反応基が残り易いため電子写真特性等が低下し易い。
【0016】また、本発明における正孔輸送性とは正孔
を輸送する能力のことであり、イオン化ポテンシャルで
6.2eV以下であることが好ましい。つまり、前記式
(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物及び
Aの水素付加物は、イオン化ポテンシャルが6.2eV
以下であることが好ましく、特には4.5〜6.2eV
であることが好ましい。イオン化ポテンシャルが6.2
eVを越えると正孔注入が起こりにくく帯電し易くな
る。また、4.5eV未満では化合物が容易に酸化され
るために劣化し易くなる。イオン化ポテンシャルは大気
下、光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−
1)によって測定される。
【0017】また、上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合
物は正孔輸送能として1×10-7cm2 /Vsec以上
のドリフト移動度を有しているものが好ましい。
【0018】1×10-7cm2 /Vsec未満では電子
写真感光体として露光後、現像までに正孔が十分に移動
できないために見かけ上感度が低減し、残留電位も高く
なってしまう問題が発生する場合がある。
【0019】上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、
正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、
その水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示せ
ば、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、イミダゾール誘導体及びトリフェニルアミン等のト
リアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノス
チリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジ
ルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、
スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェ
ニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾー
ル誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベン
ゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェ
ン誘導体、及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙
げられる。
【0020】正孔輸送性基Aとしては、構造が下記式
(2)で示されるものが好ましい。
【0021】
【化6】 (R4 、R5 及びR6 は有機基であり、そのうちの少な
くとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示
し、R4 、R5 及びR6 は同一であっても異なっていて
もよい。) このように正孔輸送性基AはR4 、R5 及びR6 のうち
の1つの基の水素原子が除かれて形成された基である。
【0022】R4 、R5 及びR6 の構造の好ましい具体
例を以下に示す。
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】上記式(1)の有機ケイ素変成正孔輸送性
化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香
族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化
ケイ素化合物とから白金系触媒、あるいは有機過酸化物
等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用い
られる。この場合に使用される白金触媒については特に
限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付
加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であれば
よく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体及
び白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の
添加量に関しては特に制限するものではないが、得られ
た有機ケイ素変成正孔輸送性化合物に含まれる白金濃度
は0.01〜1ppmである。残留白金濃度が1ppm
を越えると暗減衰量が増加することにより、帯電不良を
生じる。また、精製コスト上の点から、残留白金濃度は
0.01ppm以上であることが好ましい。
【0027】芳香族環にビニル基を有する化合物と置換
基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等によ
り、付加反応により本発明の化合物を合成する場合には
ビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合が
あり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα
位、β位のどちらに反応したものも用いられるが、ケイ
素原子と正孔輸送性基を結合している炭化水素基の炭素
数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したもの
が好ましい。
【0028】有機過酸化物としては室温以上に半減期を
示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等
のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいこと
から好適に用いることができる。ビニル基を有しないも
のについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水す
るか直接Wittig反応によりビニル基を導入する方
法等により、本発明の合成原料として用いることが可能
である。
【0029】次に、硬化性有機ケイ素系高分子について
説明する。
【0030】硬化性有機ケイ素系高分子としては、オル
ガノポリシロキサン、ポリシルアルキレンシロキサン及
びポリシルアリーレンシロキサン等が例示される。ま
た、ケイ素原子に結合した一価の炭化水素基とケイ素原
子との数の比が0.5〜1.5であることが好ましい。
この比が1.0を境にこれより低くなるに従いガラスの
組成に近く、加熱重量減少が少なく生成する樹脂は硬く
なる傾向があり、0.5未満では膜形成が困難である。
また、この比が1.0より高くなるに従いこれとは逆の
傾向を示し、オルガノポリシロキサンの場合は2.0で
ポリジオルガノシロキサンとなるため、1.5を越える
とゴム的要素は強くなり過ぎ、硬度が低下する。
【0031】オルガノポリシロキサンとしては、下記式
(3)で示される構造単位を有するものが好ましい。
【0032】 R7 r SiO(4-r-s)/2(OR8)s (3) (R7 は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニ
ル基またはアリール基を示し、R8 は水素原子またはア
ルキル基を示し、r及びsはモル比を示す。) 前記式(3)において、R7 はケイ素原子に結合した一
価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが
好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ア
ミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル
基及びオクタデシル基等が挙げられ、アリール基として
は例えばフェニル基及びトリル基等が挙げられ、更に
は、例えばトリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロペ
ンチル基及びナノフルオロヘキシル基等で代表されるフ
ロロ炭化水素基、クロロメチル基及びクロロエチル基等
のクロロ炭化水素基等の、直鎖あるいは分岐の飽和炭化
水素基ハロゲン置換体が挙げられる。
【0033】R7 は必ずしも単一の種類である必要はな
く、樹脂特性の改良及び溶媒に対する溶解性の改良等に
応じて適宜選択される。メチル基とフェニル基が混在す
る系ではメチル基単独であるよりも一般に有機化合物と
の親和性が向上することは周知の事実である。また、フ
ロロ炭化水素基を導入すると、オルガノポリシロキサン
でも一般高分子の場合と同様にフッ素原子の効果により
表面張力が減少し、そのため、はつ水・はつ油等のオル
ガノポリシロキサンの特性が変化する。本発明において
も、より低い表面張力が求められる場合には、適宜、フ
ロロ炭化水素と結合したケイ素単位を共重合して導入す
ることができる。なお、rはモル比を示し、平均0.5
〜1.5であることが好ましい。
【0034】本発明において、ケイ素原子に結合したO
8 基は水酸基または加水分解縮合可能な基である。R
8 は、水素、及びメチル基、エチル基、プロピル基及び
ブチル基等の低級アルキル基から選択される。OR8
におけるR8 は水素からアルキル基の炭素数が多くなる
につれて反応性が低下する特性を示し、使用される反応
系に応じて適宜選択される。加水分解縮合可能な基の比
率はsによって示されるが、0.01以上であることが
好ましい。樹脂の硬度が架橋密度で調整されることは周
知であり、本発明においても前述のケイ素原子に結合し
た加水分解縮合可能な基の数を制御することにより可能
となる。しかしながら、該加水分解縮合可能な基が多過
ぎると未反応で残存する可能性があり、使用環境中で加
水分解されるために表面特性等に悪影響を与え易い。好
ましいsの値は0.01〜1.5である。
【0035】ケイ素樹脂の一般的な特性の一つに有機化
合物に対する親和性及び溶解性が極めて悪いことがあ
る。例えば、通常の有機樹脂で使用されている酸化防止
剤及び紫外線吸収剤等はジメチルシロキサンポリマーに
全く溶解性を示さず樹脂中で凝集する。一般に用いられ
る正孔輸送性化合物もその例外ではなく、正孔輸送の目
的に使用可能な濃度に溶解することは困難である。しか
し、本発明の前記式(1)で示される正孔輸送性化合物
と硬化性有機ケイ素系高分子、特にオルガノポリシロキ
サンは相溶性に優れ、機械的特性を大幅に改善すること
を可能にした。
【0036】前記硬化性有機ケイ素系高分子は、硬化さ
せる際に架橋剤を加えて、これを介して架橋させること
もできる。
【0037】更に、架橋剤として下記式(4)で示され
るシラン化合物を用いることにより、硬化性組成物を硬
化して得られる感光層の硬度や強度等の物性の制御が容
易になる。
【0038】 R9 a SiY4-a (4) (R9 は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニ
ル基またはアリール基を示し、Yは加水分解性基を示
し、aはモル比を示す。) 前記式(4)において、R9 はケイ素原子に結合した一
価の炭化水素基であり、炭素数が1〜18であることが
好ましく、直鎖あるいは分岐のアルキル基としては、例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミ
ル基及びヘキシル基等、アルケニル基としては、例えば
ビニル基及びアリル基等、アリール基としては、例えば
フェニル基及びトリル基等が挙げられる。Yで示される
加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メチ
ルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキ
シ基、プロペノキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等
が挙げられる。
【0039】上記樹脂の架橋硬化には、必ずしも触媒が
必要ではないが、通常ケイ素樹脂の硬化に用いられる触
媒の使用を妨げるものではなく、硬化に要する時間、硬
化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル
錫ジラウレート及びジブチル錫オクトエート等のアルキ
ル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の
有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0040】架橋剤としての式(4)で示されるシラン
化合物の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及
びフェニルトリエトキシシラン、これらのアルコキシ基
の代わりにアセトキシ基、メチルエチルケトオキシム
基、及びジエチルアミノ基及びイソプロペノキシ基に置
換したシラン基等が挙げられる。架橋剤はエチルポリシ
リケートのようなオリゴマー状のものでもよい。
【0041】本発明で使用するオルガノポリシロキサン
の製造方法としては、特公昭26−2696号、特公昭
28−6297号に記載されている方法を始めとして、
Chemistry and Technology
of Silicones,Chapter5,p.1
91〜(Walter Noll,AcademicP
ress,Inc.1968)のシロキサンポリマー合
成方法がある。例えば、ケイ素原子に対する一価の有機
基の置換数rが平均0.5〜1.5であるオルガノアル
コキシシランやオルガノハロゲノシランを有機溶媒中に
溶解し、酸あるいは塩基存在下で加水分解、縮合するこ
とによって重合し、その後溶媒を除去することによって
合成される。本発明で使用するオルガノポリシロキサン
はトルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘ
キサノン及びヘキサン等の脂肪族炭化水素、クロロホル
ム及びクロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素、及びエ
タノール及びブタノール等のアルコール等の溶媒中に溶
解させて使用される。
【0042】本発明においては、硬化性有機ケイ素系高
分子と、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の硬化時に3
次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動
や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度
や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでな
く、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化
学物質等に対する耐久性も向上させることが可能とな
る。
【0043】硬化性有機ケイ素系高分子と有機ケイ素変
成正孔輸送性化合物を硬化する前の溶液(本発明の硬化
性組成物ともいう)は、例えば両者を溶解する溶媒中に
混合することで得られる。硬化性有機ケイ素系高分子の
溶媒を取り除いた固形分100重量部に対して有機ケイ
素変正孔輸送性化合物は20〜200重量部混合して用
いられる。20重量部未満では正孔輸送性が不十分とな
るために帯電電位が増加して好ましくない。また、20
0重量部を越えると機械的強度が低下し、表面エネルギ
ーが増加することから好ましくない。より好ましくは硬
化性有機ケイ素系高分子100重量部に対して有機ケイ
素変成正孔輸送性化合物は30〜150重量部で用いら
れる。
【0044】本発明においては、前もって硬化性有機ケ
イ素系高分子と有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を部分
的に反応させてもよい。この場合には感光体への塗布に
支障のない溶液もしくは分散液であれば用いることがで
きる。
【0045】硬化の条件としては100〜200℃で加
熱することが好ましい。100℃未満では硬化反応に時
間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能
性もある。200℃を越えると正孔輸送性基が酸化劣化
し易くなり、悪影響が発生し易い。より望ましくは、1
20〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0046】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
を用いて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0047】電子写真感光体の支持体(図1及び2中の
1)としては支持体自体が導電性を有するもの、例え
ば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステ
ンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、イ
ンジウム、金、白金、銀及び鉄等を用いることができ
る。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ
及び金等を蒸着等によりプラスチック等の誘導体支持体
に被膜形成し、導電層としたものや、導電性微粒子をプ
ラスチックや紙に混合したもの等を用いることができ
る。これらの導電性支持体は均一な導電性が求められる
とともに平滑な表面であることが重要である。表面の平
滑性はその上層に形成される下引層、電荷発生層及び正
孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その
表面粗さは0.3μm以下で用いられることが好まし
い。0.3μmを越える凹凸は下引層や電荷発生層のよ
うな薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてし
まうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や
残留電位のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくな
い。
【0048】特に導電性微粒子をポリマーバインダー中
に分散して塗布することにより得られる導電層(図1及
び2中の2)は形成が容易であり、均質な表面を形成す
ることに適している。このとき用いられる導電性微粒子
の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは5
0nm以下のものが用いられる。導電性微粒子として
は、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、
Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、I
TO、酸化スズ、酸化インジウム及びインジウム等が用
いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーティングし
て用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗
が十分に低くなるように使用され、好ましくは1×10
10Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ま
しくは1×108 Ωcm以下で用いられる。
【0049】レーザー等のコヒーレントな光源を用いて
露光する場合は干渉による画像劣化を防止するために上
記導電性支持体の表面に凹凸を形成することも可能であ
る。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生
じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を数
μm以下の直径のシリカビーズ等の絶縁物を分散するこ
とに10μm以下の周期で形成して用いることが可能で
ある。
【0050】本発明においては、支持体と感光層の中間
に、注入阻止機能と接着機能を持つ下引層(図1及び2
中の3)を設けることもできる。下引層の材料としては
カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、
エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラー
ル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン及びゼ
ラチン等が挙げられる。下引層の膜厚は0.1〜10μ
mであることが好ましく、特には0.3〜3μmである
ことが好ましい。
【0051】感光層としては電荷発生物質を含有する電
荷発生層(図1及び2中の4)と正孔輸送性化合物を含
有する電荷輸送層(図1及び2中の5)からなる機能分
離タイプのものや電荷発生物質と正孔輸送性化合物を同
一の層に含有する単層タイプ(不図示)が用いられる。
【0052】電荷発生物質としては、例えば、セレン−
テルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フ
タロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベン
ズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスア
ゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料及びシアニン系顔料等を用いる
ことができる。
【0053】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
の硬化物は電荷輸送層(図1中の5)もしくは正孔輸送
能を有する表面保護層(図2中の6)として用いること
が可能である。
【0054】単層感光体として用いる場合は前記電荷発
生物質と本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物と組
み合わせて用いることにより良好な特性が得られる。
【0055】本発明の正孔輸送能を有する硬化性組成物
は他の正孔輸送性化合物と組み合わせて用いることが可
能であるが、かかる正孔輸送性化合物としては、ポリ−
N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン
等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、
ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジア
ゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合
物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導
体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導
体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾ
ール誘導体、スチルベン誘導体、及びヒドラゾン誘導体
等の低分子化合物を用いることができる。
【0056】上記、電荷発生物質や正孔輸送性化合物は
必要に応じてバインダーポリマーが用いられる。バイン
ダーポリマーの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩
化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビ
ニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
感光層には前記化合物以外にも機械的特性の改良や耐久
性向上のために添加剤を用いることができる。このよう
な添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化
剤、架橋剤、潤滑剤及び導電性制御剤等が用いられる。
【0057】本発明における電荷発生層の膜厚は3μm
以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmで
あることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は1〜4
0μmであることが好ましく、特には3〜30μmであ
ることが好ましい。
【0058】感光層が単層タイプである場合は、その膜
厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜3
0μmであることが好ましい。
【0059】本発明における表面保護層の厚みは、1〜
15μmであることが好ましい。1μm未満では保護効
果が十分ではなく、15μmを越えると感光層全体の膜
厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってし
まうことから好ましくない。
【0060】本発明においては、更に、露光手段が照射
する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する
感光層の膜厚の積が2×104 μm3 以下であることが
好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ
(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103 μm3
以上であることが好ましい。2×103 μm3 に満たな
いと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向にな
る。
【0061】この場合、本発明に用いられる露光方法
は、光をドット状に照射することによって感光体上に静
電潜像を形成する物である。その光源は特に制限される
ものではないが、より小さなスポット面積をより容易に
得ることができるという点でレーザー光及びLED光で
あることが好ましい。
【0062】図3に光の強度分布、スポット径及びスポ
ット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光ス
ポットは一般的には図1に示すように主走査スポット径
(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の
形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光
層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されてい
る部分の体積(V)であるといえる。該光ビームのスポ
ット面積はピーク強度の1/e2 に減少するまでの部分
で表わされる。
【0063】該光のスポット面積(S)は感光層上の面
積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e
2 (B)以上である部分の面積で表される。用いられる
光源としては半導体レーザーやLED等が挙げられ、光
強度分布についてもガウス分布、ローレンツ分布等があ
るが、いずれの場合もピーク強度(A)の1/e
2 (B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とす
る。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCC
Dカメラを設置することにより測定することができる。
【0064】本発明における光のスポット面積は4×1
3 μm2 以下であることが好ましく、特には3×10
3 μm2 以下であることが好ましい。4×103 μm2
を越えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性
が不安定となり易い。また、コストの点から1×103
μm2 以上であることが好ましい。
【0065】上記観点からは、本発明における感光層の
厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10
μm以下であることが好ましい。
【0066】本発明の電子写真感光体は、きわめて優れ
た機械的強度及び表面潤滑性を有しているので、このよ
うな系に用いられる感光体として非常に好ましい。
【0067】図4に本発明のプロセスカートリッジを有
する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0068】図において7はドラム状の本発明の電子写
真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度
で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一
次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の
均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の
像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こ
うして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されてい
く。
【0069】形成された静電潜像は、現像手段11によ
りトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の
給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の
回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写
手段12により順次転写されていく。
【0070】像転写を受けた転写材13は、感光体面か
ら分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受け
ることにより複写物(コピー)として装置外にプリント
アウトされる。
【0071】像転写後の感光体7の表面は、クリーニン
グ手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄
面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光1
6により除電処理された後、繰り返し像形成に使用され
る。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接
触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではな
い。
【0072】本発明においては、上述の電子写真感光体
7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手
段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカー
トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ
ートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像
形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例え
ば、一次帯電手段9と共に一体に支持してカートリッジ
化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装
置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とするこ
とができる。
【0073】図5に本発明の画像形成装置の第2の例で
あるカラー複写機の概略構成を示す。
【0074】図において201はイメージスキャナ部で
あり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分で
ある。また、202はプリンタ部であり、イメージスキ
ャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用
紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0075】イメージスキャナ部201において、20
0は原稿厚板であり、原稿台ガラス(以下プラテン)2
03上の原稿204を固定するために用いられる。原稿
204は、赤外カットフィルタ208を通したハロゲン
ランプ205の光で照射される。原稿204からの反射
光はミラー206、207に導かれ、レンズ209によ
り3本のCCDラインセンサで構成される3ラインセン
サ(以下CCDという)210上に像を結ぶ。CCD2
10は原稿からの光情報を色分解して、フルカラー情報
のうちレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成
分として信号処理部211に送られる。なお、205、
206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの
電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向
(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿
全面を走査する。
【0076】信号処理部211では読み取られた信号を
電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエ
ロー(Y)、ブラック(BK)の各成分に分解し、プリ
ンタ部200に送られ、計4回の原稿走査により一回の
プリントアウトが完成する。
【0077】イメージスキャナ部201より送られてく
るM,C,Y,BKの画像信号は、レーザードライバ2
12に送られる。レーザードライバ212は画像信号に
応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー
光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラ
ー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0078】218は回転現像機であり、マゼンタ現像
器219、シアン現像器220、イエロー現像器221
及びブラック現像器222より構成され、4つの現像器
が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に
形成されたM,C,Y,BKの静電潜像を対応するトナ
ーで現像する。
【0079】223は転写ドラムで、用紙カセット22
4または225より給紙された用紙をこの転写ドラム2
23に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナ
ー像を用紙に転写する。
【0080】このようにしてM,C,Y,BKの4色が
順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過
して定着後、排紙される。
【0081】
【実施例】次に、本発明に用いられる硬化性有機ケイ素
系高分子の合成例を示す。
【0082】[合成例1] メチルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶
液の調製 メチルシロキサン単位80モル%及びジメチルシロキサ
ン単位20モル%からなる1重量%のシラノール基を含
むシリコーン樹脂10gをトルエン10gに溶解し、こ
れにメチルトリメトキシシラン5.3g及びジブチル錫
ジアセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0083】[合成例2] メチルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶
液の調製 メチルシロキサン単位80モル%及びジメチルシロキサ
ン単位20モル%からなる1重量%のシラノール基を含
むシロキサン樹脂10gをトルエン10gに溶解し、こ
れに、メチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン
11.5g及びジブチル錫ジアセテート0.2gを加え
均一な溶液にした。
【0084】[合成例3] メチルフェニルポリシロキサン樹脂を主成分とする硬化
性樹脂溶液の調製 フェニルシロキサン単位40モル%、ジフェニルシロキ
サン単位20モル%、メチルシロキサン単位20モル%
及びジメチルシロキサン単位20%からなる1重量%の
シラノール基を含むシロキサン樹脂12gをトルエン1
0gに溶解し、これにジブチル錫ジアセテート0.2g
を加え均一な溶液にした。
【0085】[合成例4] フルオロシリコーン樹脂を主成分とする硬化性樹脂溶液
の調製 メチルシロキサン単位50モル%、ジメチルシロキサン
単位10モル%及び3,3,4,4,5,5,6,6,
6−ノナフルオロヘキシルシロキサン単位10モル%か
らなる1重量%のシラノール基を含むシロキサン樹脂1
0gをトルエン10gに溶解し、これに、ジブチル錫ジ
アセテート0.2gを加え均一な溶液にした。
【0086】次に、本発明に用いられる有機ケイ素変成
正孔輸送性化合物の合成例を示す。
【0087】[合成例5] 4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニ
ルアミンの合成 〈4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド
の合成〉三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.
4gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌し
ながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、温度を9
5℃に上げて5時間反応させた。反応液を4リットルの
温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、
エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−
(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得
た。収量91.5g(収率81.0%)。
【0088】〈4−ビニルトリフェニルアミンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g及び1,2−ジメトキシエ
タン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌し
ながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8
gを加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、7
0℃で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェ
ニルアミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃
に温度を上げ5時間反応させた。反応液を濾過し、濾液
と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にし水洗した。次い
で、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを
除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結
晶を行い、針状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを
得た。収量83.4g(収率84.0%)。
【0089】〈4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロ
シリル化〉トルエン40ml、トリエトキシシラン9.
9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニ
ルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.01
8mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しなが
ら4−ビニルトリフェニルアミン8.2gのトルエン溶
液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹
拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−
[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルア
ミンを得た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0090】H−NMRスペクトルを図6に示す(ブル
カー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析
器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定した
ところ、5.68eVであった。
【0091】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
8μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極
を形成した。
【0092】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ1×10-7cm2 /Vsecであった。
【0093】[合成例6] 4−[2−(メチルジエトキシシリル)エチル]トリフ
ェニルアミンの合成 〈4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロシリル化〉ト
ルエン40ml、メチルジエトキシシラン8.1g及び
トリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金
(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラ
スコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルトリフェニ
ルアミン8.2gのトルエン溶液20mlを滴下した。
滴下終了後、70℃で3時間撹拌した後、溶媒を減圧下
除去し、淡黄色油状の4−[2−(メチルジエトキシシ
リル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量11.
2g(収率91.4%)。
【0094】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.66eVであった。
【0095】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を
形成した。
【0096】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ1.2×10-7cm2 /Vsecであった。
【0097】[合成例7] 4,4′,4″−トリス[2−(トリエトキシシリル)
エチル]トリフェニルアミンの合成 〈トリ(4−ホルミルフェニル)アミンの合成〉三つ口
フラスコにトリフェニルアミン50.7gとDMF5
3.3mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩
化リン126.6mlを滴下した。滴下終了後、混合溶
液を95℃で5時間反応させ、5リットルの温水へ注ぎ
1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール
/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、トリ(4−ホルミ
ルフェニル)アミンを得た。収量65.3g(収率9
5.9%)。
【0098】〈トリ(4−ビニルフェニル)アミンの合
成〉水素化ナトリウム14.6g及び1,2−ジメトキ
シエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹
拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド13
0.8gを加えた。次に無水エタノールを一滴加えた
後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得ら
れた反応混合液にトリ(4−ホルミルフェニル)アミン
40.2gを加え、70℃で5時間反応させた後、濾別
し、濾取したケーキをエーテル抽出しロ液と一緒にした
後、水洗した。次いで、エーテル液を塩化カルシウムで
脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これを
エタノールで再結晶二回行い、針状、淡黄色のトリ(4
−ビニルフェニル)アミンを得た。収量38.4g(収
率97.3%)。
【0099】〈トリ(4−ビニルフェニル)アミンのヒ
ドロシリル化〉トルエン40ml、トリエトキシシラン
9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジ
ビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.
018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌し
ながらトリ(4−ビニルフェニル)アミン3.3g(1
3mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下
終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下
で除去し、淡黄色油状の4,4′,4″−[2−(トリ
エトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。
収量7.8g(収率80.6%)。
【0100】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.65eVであった。
【0101】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を
形成した。
【0102】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ3×10-7cm2 /Vsecであった。
【0103】[合成例8] 4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミ
ノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン
の合成 〈N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベ
ンゼンの合成〉4−ヨード−o−キシレン38.5g
(166mmol)、無水炭酸カリウム22.9g(1
66mmol)及び銅粉7.0gをニトロベンゼン20
mlに加え、撹拌下加熱環流を8時間行った。冷却後濾
過し、濾液を除去した。得られた反応混合物をシリカゲ
ルカラムを通しN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)アミノベンゼンを得た。収量15.7g(収率69
%)。
【0104】〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチル
フェニル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成〉三つ口フ
ラスコに[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)
アミノ]ベンゼン124.6g及びDMF35.5ml
を入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン8
4.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃
で5時間反応させ、4リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌
した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:
1)の混合溶液で洗浄し、4−[N,N−ビス(3,4
−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドを得
た。収量107.6g(収率79.0%)。
【0105】〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチル
フェニル)アミノ]スチレンの合成〉水素化ナトリウム
12.1g及び1,2−ジメトキシエタン580mlを
三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチル
ホスフォニウムブロマイド108.5gを加えた。次
に、無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反
応させた。以上のようにして得られた反応混合液に4−
[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]
ベンズアルデヒド100.0gを加え、70℃で5時間
反応させた後、濾別し、濾取したケーキをエーテル抽出
しロ液と一緒にし水洗した。次いで、エーテル液を塩化
カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を
得た。これをエタノールで再結晶二回行い、針状、4−
[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]
スチレンを得た。収量84.5g(収率85.0%)。
【0106】〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチル
フェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉トルエ
ン40ml、トリエトキシシラン6.0g及びトリス
(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)の
トルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取
り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−
ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエ
ン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時
間撹拌を行った後、活性炭及びシリカゲルカラムにて白
金触媒を除去した。溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状
の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ア
ミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼ
ンを得た。収量9.4g(収率63.1%)。
【0107】H−NMRスペクトルを図7に示す(ブル
カー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
C−NMRスペクトルを図8に示す(ブルカー社製、A
PC300 NMRスペクトロメータ)。
【0108】この化合物に含まれる残留白金量をICP
−MS法にて測定したところ、白金量は0.5ppmで
あった。
【0109】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.26eVであった。
【0110】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を
形成した。
【0111】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ9×10-7cm2 /Vsecであった。
【0112】[合成例9] 4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミ
ノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン
の合成 〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ア
ミノ]スチレンのヒドロシリル化〉トルエン40ml、
トリエトキシシラン6.0g(37mmol)及びジク
ロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)
0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌
しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20ml
を滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った
後、活性炭及びシリカゲルカラムにて白金触媒を除去し
た。溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N
−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−
(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量
9.8g(収率65.9%)。
【0113】この化合物に含まれる残留白金量をICP
−MS法にて測定したところ、白金量は0.3ppmで
あった。
【0114】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.31eVであった。
【0115】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極
を形成した。
【0116】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ7×10-7cm2 /Vsecであった。
【0117】[合成例10] 4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェ
ニルアミンの合成 〈4−ブロモトリフェニルアミンの合成〉4−ブロモス
クシンイミド8.0g(45mmol)及びトリフェニ
ルアミン10.0g(41mmol)を200ml三つ
口フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルムアミド15
0mlを加えた後、室温下で一晩撹拌した。次いで、
N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、得られた固形
物を四塩化炭素で抽出した。その後、四塩化炭素を除去
し、得られた反応混合物をエタノールで二回再結晶を行
い、白色固体の4−ブロモトリフェニルアミンを得た。
収量8.2g(収率61.7%)。
【0118】〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベ
ンゼンの合成〉300ml四つ口フラスコにマグネシウ
ム金属1.0g(40mmol)を入れ窒素置換を行っ
た。次いで、ジエチルエーテル100mlを加え撹拌を
開始した。そこへ4−ブロモトリフェニルアミン8.6
g(27mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液3
0mlをゆっくり滴下した。約3ml滴下したところで
ゆるやかに環流が始まった。環流させながら、更にジエ
チルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了後、更に1時
間環流を行った。以上のようにして得られたグリニャー
ル試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルクロライド2.
1g(27mmol)のジエチルエーテル溶液40ml
を氷冷しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混
合物を2時間環流し反応を熟成した。その後、水50m
lを氷冷しながら加え加水分解を行った。次に、エーテ
ル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水
で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,
N−ジフェニルアミノアリルベンゼンを得た。収量4.
9g(収率63.2%)。
【0119】〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベ
ンゼンのヒドロシリル化〉トルエン40ml、トリエト
キシシラン6.0g(37mmol)及びトリス(テト
ラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエ
ン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温
で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノアリルベ
ンゼン9.7g(34mmol)のトルエン溶液20m
lを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行っ
た後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[3−
(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミン
を得た。収量10.7g(収率70.1%)。
【0120】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.72eVであった。
【0121】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
9μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を
形成した。
【0122】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ1.4×10-7cm2 /Vsecであった。
【0123】[合成例11] 4−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]トリフェニ
ルアミンの合成 〈4−メチルトリフェニルアミンの合成〉ジフェニルア
ミン4.5g(27mmol)、p−ヨードトルエン1
1.0g(51mmol)、無水炭酸カリウム5.5g
(40mmol)及び銅粉1.1gをo−ジクロロベン
ゼン30mlに加え、撹拌下加熱環流を7時間行った。
反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液を3〜5%チオ硫
酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、有機
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去した。得
られた反応混合物をエタノールを用いて再結晶を行い4
−メチルトリフェニルアミンを得た。収量5.7g(収
率81.4%)。
【0124】〈4−ブロモメチルトリフェニルアミンの
合成〉N−ブロモスクシンイミド6.9g(39mmo
l)及び4−メチルトリフェニルアミン9.1g(35
mmol)を300ml三つ口フラスコに入れ、四塩化
炭素100mlを加えた後、撹拌下加熱環流を一晩行っ
た。反応終了後、反応溶液を冷却した。次いで、反応溶
液を濾過し、溶媒を除去して、得られた反応混合物をエ
タノールを用いて再結晶を行い4−ブロモメチルトリフ
ェニルアミンを得た。収量10.8g(収率91.2
%)。
【0125】〈4−N,N−ジフェニルアミノフェニル
−1−ブテンの合成〉200ml四つ口フラスコにマグ
ネシウム金属1.0g(40mmol)を入れ窒素置換
を行った。次いで、ジエチルエーテル100mlを加え
撹拌を開始した。そこへ4−ブロモメチルトリフェニル
アミン9.1g(27mmol)を溶解したジエチルエ
ーテル溶液20mlをゆっくり滴下した。約5ml滴下
したところでゆるやかに環流が始まった。環流させなが
ら、更にジエチルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了
後、更に1時間環流を行った。以上のようにして得られ
たグリニャール試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルク
ロライド2.1g(27mmol)のジエチルエーテル
溶液20mlを氷冷しながらゆっくり滴下した。滴下終
了後、反応混合物を2時間環流し反応を熟成した。その
後、水50mlを氷冷しながら加え加水分解を行った。
次に、エーテル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液で1回、水で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固
体の4−N,N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブテ
ンを得た。収量5.5g(収率66.7%)。
【0126】〈4−N,N−ジフェニルアミノフェニル
−1−ブテンのヒドロシリル化〉トルエン40ml、ト
リエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス
(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)の
トルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取
り、室温で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノ
フェニル−1−ブテン16.7g(54.7mmol)
のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70
℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡
黄色油状の4−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]
トリフェニルアミンを得た。収量13.9g(収率8
3.2%)。
【0127】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、5.69eVであった。
【0128】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を
形成した。
【0129】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ2×10-7cm2 /Vsecであった。
【0130】[合成例12]合成例1の樹脂溶液に4−
[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルア
ミン(合成例5)を樹脂固形分に対してその70重量%
を加え混合した。これをガラス板にバーコートを用いて
塗布し、140℃で15時間乾燥した。顕微鏡で観察し
たところ均一フィルムが形成されたことが判明した。
【0131】[比較合成例1]合成例1の樹脂溶液に電
荷輸送性化合物としてトリフェニルアミンを樹脂量に対
して30重量%溶解し、合成例12と同様に混合硬化さ
せてフィルムを形成した。フィルムは白濁し、顕微鏡で
はトリフェニルアミンの析出が観測された。
【0132】[比較合成例2]合成例2の樹脂溶液を用
いた他は比較合成例1と同様に行ってフィルムを形成さ
せた。生成したフィルムは不透明性は低下したものの、
顕微鏡観測ではトリフェニルアミンの結晶が析出した。
【0133】[比較合成例3]合成例5で得られた4−
ビニルトリフェニルアミンにトリメチルシラン6g(6
0mmol)を使用した他は合成例6と同様に反応さ
せ、4−[2−(トリメチルシリル)エチル]トリフェ
ニルアミンを得た。これを比較合成例1と同様にしてフ
ィルムを生成したところ、不透明であり、4−[2−
(トリメチルシリル)エチル]トリフェニルアミンの分
離が認められた。
【0134】[合成例13] 4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−[2−(ト
リエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成 〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズアル
デヒドの合成〉三つ口フラスコにジフェニルエチルアミ
ン82gとDMF35.5mlを加え、氷水冷却下、撹
拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、滴下
終了後、温度を95℃に昇温して5時間反応させた。そ
の後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混
合溶液で洗浄し、4−(N−フェニルアミノ)エチルベ
ンズアルデヒドを得た。収量62g。
【0135】〈4−(N−エチル−N−フェニルアミ
ノ)スチレンの合成〉水素化ナトリウム14.6g及び
1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコ
に取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウム
ブロマイド130.8gを加えた。次に、無水エタノー
ルを一滴加えた後、70℃に温度を昇温し、5時間反応
させた。反応液を濾過し、濾液と沈殿物のエーテル抽出
液を一緒にして水洗した。次いで、エーテル液を塩化カ
ルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得
た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色
の結晶を得た。収量62.4g。
【0136】〈4−(N−エチル−N−フェニルアミ
ノ)スチレンのヒドロシリル化〉トルエン40ml、ト
リエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス
(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)の
トルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取
り、室温で撹拌しながら4−ビニルフェニル(N−フェ
ニル,N−エチル)アミン7.6gのトルエン溶液20
mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行
った後、活性炭及びシリカゲルカラムにて白金触媒を除
去した。溶媒を減圧下で除去して、淡黄色油状の4−
(N−エチル−N−フェニルアミノ)−[2−(トリエ
トキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量5.5
g。
【0137】この化合物に含まれる残留白金量をICP
−MS法にて測定したところ、白金量は0.3ppmで
あった。
【0138】この化合物のイオン化ポテンシャルを大気
下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)
にて測定したところ、6.3eVであった。
【0139】この化合物を銅基板上にワイヤーバーコー
ト法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約
5μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極
を形成した。
【0140】このサンプルに対してパルス幅3nsec
の波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−o
f−flight法にてドリフト移動度を測定したとこ
ろ2×10-8cm2 /Vsecであった。
【0141】[比較合成例4]合成例4の樹脂溶液10
0部に後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン
化合物を樹脂量に対して30重量%溶解し、合成例12
と同様に混合硬化させてフィルムを形成した。フィルム
は白濁し、顕微鏡ではトリフェニルアミンの析出が観測
された。
【0142】[実施例1]鏡面加工により作成した外径
80mmのアルミニウムシリンダーを用いて下引層とし
てアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミラン
CM−8000、東レ(株)製)5部(重量部、以下同
じ)をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティ
ング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜
厚が1μmの下引層を形成した。
【0143】次に、電荷発生層として下記のビスアゾ顔
料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザー
ル(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加
え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に
形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなる
ように浸漬コーティング法により塗工した。
【0144】
【化10】
【0145】次いで、下記の構造式を有するトリアリー
ルアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名
Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベン
ゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液に平均粒径2μ
mのシリコーン樹脂微粒子0.3部を添加したものを前
記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により乾燥後
の膜厚が10μmとなるように塗工した。
【0146】
【化11】
【0147】次に、合成例1の硬化性樹脂溶液100部
にトルエン200部と合成例8で合成した4−[N,N
−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−
(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン40部を加え
た硬化性組成物をスプレーコーティング法により塗工し
た。
【0148】140℃で4時間乾燥、熱硬化することで
2μmの表面保護層を形成した。
【0149】この電子写真感光体を−700Vに帯電
し、露光しないで1秒間保持した後の表面電位を測定し
たところ、暗減衰は30Vであった。
【0150】また、この電子写真感光体を−700Vに
帯電して波長680nmの光で電子写真特性を測定した
ところ、E1/2 (−350Vまで帯電電位が減少するた
めに必要な露光量)が1.2μJ/cm2 、残留電位が
−26Vと良好であった。
【0151】本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフ
ルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5
μm、主走査方向で20μmの照射スポット径となるよ
うに改造した評価機にて初期帯電−500Vにて画像評
価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポ
チ等の電荷注入及び干渉縞もなく、感光体の摩耗量も
1.5μmと少なく、均一性の優れた画像出力が得ら
れ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて
良好であった。また、文字等を出力した場合において
も、ボケが少なく、細線再現性の良い、シャープな画像
を得ることができた。
【0152】[比較例1]実施例1において保護層を塗
工しないこと以外は同様にして作製した電子写真感光体
の画像評価を行ったところ、2万枚の耐久試験後に黒ポ
チ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかっ
た。感光体の摩耗量は2万枚で5μmときわめて大きか
った。
【0153】[実施例2]引き抜き加工により得られた
外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノー
ル樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学
工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に
溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径
50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹
脂粒子3部を分散したものを浸漬コーティング法により
塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0154】上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナ
イロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)
製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コー
ティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥し
て、膜厚が1μmの下引層を形成した。
【0155】次に、電荷発生層用分散液としてCuKα
特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の
9.0°、14.2°、23.9°及び27.9°に強
いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料
5部をシクロヘキサン95部にポリビニルベンザール
(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加
え、サンドミルで2時間分散した。
【0156】この分散液を先に形成した下引層の上に乾
燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング
法により塗工した。
【0157】次いで、合成例9で合成した有機ケイ素変
成トリアリールアミン化合物55部と合成例3のシリコ
ーン系熱硬化性樹脂溶液100部にトルエン100部に
加えたものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング
法により塗工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して
膜厚10μmの透明で均一な電荷輸送層を形成した。
【0158】鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は10
7度であった。
【0159】この電子写真感光体を−700Vに帯電
し、露光しないで1秒間保持した後の表面電位を測定し
たところ、暗減衰は40Vであった。
【0160】また、波長680nmの光を用いて電子写
真特性を測定したところ、E1/2 (−350Vまで帯電
電位が減少するために必要な露光量)が0.2μJ/c
2、残留電位が−25Vと良好であった。
【0161】本電子写真感光体をキヤノン製レーザービ
ームプリンタLBP−8IV、の改造機((1/e2 )を
副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照
射スポット径となるように改造)を用い初期帯電−50
0Vに設定して画像評価を行ったところ、4000枚の
耐久試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下ときわめ
て少なく、耐久後の水の接触角も100度と良好で、画
像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号において
のハイライト部の1画素再現性も十分であった。また、
文字等を出力した場合においても、ボケが少なく、細線
再現性の良い、シャープな画像を得ることができた。
【0162】[比較例2]実施例1において用いたトリ
アリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商
品名 Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロ
ロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例
2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工す
ることによって、乾燥後の膜厚が10μmの電荷輸送層
を形成した。得られた電子写真感光体を実施例2と同様
に評価したところ、4000枚の耐久試験後は干渉縞及
び黒ポチが認められ、摩耗量が1.8μmと大きく、水
の接触角も72度と小さいために不良であり、600d
piでのハイライト部の1画素再現性も不十分でムラが
あった。
【0163】[実施例3]実施例2と同様のアルミニウ
ムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオ
ーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部を
メチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸
バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散
したものを浸漬コーティング法により、乾燥後の膜厚が
10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実
施例2と同様にして膜厚1μmの下引層及び膜厚0.2
μmの電荷発生層を形成した。
【0164】次いで、合成例8で合成した有機ケイ素変
成トリアリールアミン化合物40部と合成例2のシリコ
ーン系熱硬化樹脂溶液100部をトルエン100部に加
えて溶解したものに更に平均粒径3μmのSiO2 微粒
子0.5部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸
漬コーティング法により塗工した。120℃で5時間乾
燥、熱硬化して膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
顕微鏡で観察したところSiO2 粒子以外は透明で均一
であった。
【0165】鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は11
0度であった。
【0166】この電子写真感光体を−700Vに帯電
し、露光しないで1秒間保持した後の表面電位を測定し
たところ、暗減衰は35Vであった。
【0167】また、この電子写真感光体を−700Vに
帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測
定したところ、E1/2 (−350Vまで帯電電位が減少
するために必要な露光量)が0.23μJ/cm2 、残
留電位−30Vと良好であった。
【0168】本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤ
ノン製レーザービームプリンタを用い、初期帯電−50
0Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久
試験後の感光体の摩耗量は0.2μmと少なく、水の接
触角は102度と良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞
による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号
においてのハイライト部の1画素再現性も十分であっ
た。また、文字等を出力した場合においても、ボケが少
なく、細線再現性の良い、シャープな画像を得ることが
できた。
【0169】[実施例4]実施例1と同様にして、電荷
発生層まで形成した。
【0170】次いで、実施例1で用いた電荷輸送層用の
平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.1部を添加
したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法
により乾燥後の膜厚が9μmとなるように塗工した。
【0171】次に、表面保護層として合成例4の硬化性
樹脂溶液100部にトルエン200部と合成例8で合成
した4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)
アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベン
ゼン40部を加えた硬化性組成物をスプレーコーティン
グ法により塗工した。
【0172】140℃で4時間乾燥、熱硬化することで
透明で均一な膜厚が3μmの表面保護層を形成した。鉛
筆硬度は2Hであり、水の接触角は115度であった。
【0173】この電子写真感光体を実施例1と同様のデ
ジタルフルカラー複写機を用いて初期帯電−400Vに
設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後
の摩耗量は0.13μmときわめて少なく、水の接触角
は109度であり、ハイライト部、高濃度部の再現性の
優れた画像が得られた。
【0174】[実施例5]実施例2と同様にして、電荷
発生層まで形成した。
【0175】次いで、合成例13で合成した有機ケイ素
変成トリアリールアミン化合物60部と合成例3のシリ
コーン系熱硬化性樹脂溶液100部をトルエン100部
に加えたものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティン
グ法により塗工した。120℃にて5時間乾燥、熱硬化
して電荷輸送層の膜厚が10μmの本発明の感光体を作
製した。
【0176】鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は10
7度であった。
【0177】この電子写真感光体を−700Vに帯電
し、露光しないで1秒間保持した後の表面電位を測定し
たところ、暗減衰は30Vであった。
【0178】また、実施例2と同様にして電子写真特性
を測定したところ、E1/2 が0.20μJ/cm2 、残
留電位が−45Vであった。
【0179】本電子写真感光体を実施例2と同様のレー
ザービームプリンタを用いて初期帯電−500V設定し
て画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の摩耗
量は0.28μmときわめて少なく、水の接触角は98
度であり良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞による画
像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号において
のハイライト部の1画素再現性も十分であった。また、
文字等を出力した場合においても、ボケが少なく、細線
再現性の良い、シャープな画像を得ることができた。
【0180】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光散乱や
ブリードがなく、均一な状態の表面層であって低表面エ
ネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感
光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリ
ッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の第1の例の層構成を
示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の第1の例の層構成を
示す図である。
【図3】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面
積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を
示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を
示す図である。
【図6】合成例5の4−[2−(トリエトキシシリル)
エチル]トリフェニルアミンのH−NMRスペクトルで
ある。
【図7】合成例8の4−[N,N−ビス(3,4−ジメ
チルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリ
ル)エチル]ベンゼンのH−NMRスペクトルである。
【図8】合成例8の4−[N,N−ビス(3,4−ジメ
チルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリ
ル)エチル]ベンゼンのC−NMRスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼永 和夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 平岡 敬子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 青木 活水 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、該電子写真感光体の表面層が硬化性
    有機ケイ素系高分子及び下記式(1) 【化1】 (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水
    酸基を示し、R2 は置換もしくは無置換の一価炭化水素
    基を示し、R3 は置換もしくは無置換のアルキレン基ま
    たはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、l
    は正の整数を示す。)で示され、白金濃度が0.01〜
    1ppmである有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化
    することによって得られる樹脂を含有することを特徴と
    する電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 R2 が炭素数1〜15の一価炭化水素基
    またはハロゲン置換一価炭化水素基であり、R3 が−
    (CH2 n −(nは1〜18の整数)で示され、lが
    1〜5の整数である請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 Qが−OR1 (R1 はアルキル基または
    アルコキシアルキル基を示す。)で示される請求項1ま
    たは2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 R1 の炭素数が1〜6である請求項3記
    載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 Aが下記式(2) 【化2】 (R4 、R5 及びR6 は有機基であり、そのうちの少な
    くとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示
    し、R4 、R5 及びR6 は同一であっても異なっていて
    もよい。)で示される請求項1乃至4のいずれかに記載
    の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 硬化性有機ケイ素高分子が下記式(3) R7 r SiO(4-r-s)/2(OR8)s (3) (R7 は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニ
    ル基またはアリール基を示し、R8 は水素原子またはア
    ルキル基を示し、r及びsはモル比を示す。)で示され
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 rが平均0.5〜1.5であり、sが平
    均0.01〜1.5である請求項6記載の電子写真感光
    体。
  8. 【請求項8】 有機ケイ素変成正孔輸送性化合物が4.
    5〜6.2eVのイオン化ポテンシャルを有する請求項
    1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 有機ケイ素変成正孔輸送性化合物が1×
    10-7cm2 /Vsec以上のドリフト移動度を有する
    請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 電子写真感光体、及び帯電手段、現像
    手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少な
    くともひとつの手段を一体に支持し、画像形成装置本体
    に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該電
    子写真感光体が導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体であって、該電子写真感光体の表面層が有機ケ
    イ素系高分子及び下記式(1) 【化3】 (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水
    酸基を示し、R2 は置換もしくは無置換の一価炭化水素
    基を示し、R3 は置換もしくは無置換のアルキレン基ま
    たはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、l
    は正の整数を示す。)で示され、白金濃度が0.01〜
    1ppmである有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化
    することによって得られる樹脂を含有することを特徴と
    するプロセスカートリッジ。
  11. 【請求項11】 R2 が炭素数1〜15の一価炭化水素
    基またはハロゲン置換一価炭化水素基であり、R3 が−
    (CH2 n −(nは1〜18の整数)で示され、lが
    1〜5の整数である請求項10記載のプロセスカートリ
    ッジ。
  12. 【請求項12】 電子写真感光体、帯電手段、露光手
    段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置におい
    て、該電子写真感光体が導電性支持体上に感光層を有す
    る電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層
    が有機ケイ素系高分子及び下記式(1) 【化4】 (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水
    酸基を示し、R2 は置換もしくは無置換の一価炭化水素
    基を示し、R3 は置換もしくは無置換のアルキレン基ま
    たはアリーレン基を示し、mは1〜3の整数を示し、l
    は正の整数を示す。)で示され、白金濃度が0.01〜
    1ppmである有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化
    することによって得られる樹脂を含有することを特徴と
    する画像形成装置。
  13. 【請求項13】 R2 が炭素数1〜15の一価炭化水素
    基またはハロゲン置換一価炭化水素基であり、R3 が−
    (CH2 n −(nは1〜18の整数)で示され、lが
    1〜5の整数である請求項12記載の画像形成装置。
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