JP4040165B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の表面層を有する電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の表面には、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段等により電気的あるいは機械的な外力が直接に加えられるために、それらに対する耐久性が要求される。
【0003】
具体的には、摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、及び高湿下におけるコロナ放電時に発生し易いオゾンによる感光体表面の劣化等に対する耐久性が要求される。また、現像とクリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0004】
上記のような感光体表面に要求される様々な特性を満たすために、感光層上に樹脂を主成分とする種々の表面保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30843号公報には、導電性粒子として金属酸化物粒子を添加することによって抵抗を制御した保護層が提案されている。
【0005】
また、表面層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善することも検討されている。例えば、シリコーンの低表面エネルギーに注目した添加物としては、シリコーンオイル(特開昭61−132954号公報)、ポリジメチルシロキサン、シリコーン樹脂粉体(特開平4−324454号公報)、架橋シリコーン樹脂、ポリ(カーボネートシリコーン)ブロック共重合体、シリコーン変成ポリウレタン及びシリコーン変成ポリエステルが報告されている。
【0006】
低表面エネルギーの代表的なポリマーとてはフッ素系高分子があり、該フッ素系高分子としては、ポリテトラフルオロエチレン粉体及びフッ化カーボン粉末等が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属酸化物等を含む表面保護層は高い硬度を有するものが得られるが、表面エネルギーは大きくなり易いためにクリーニング性等に問題がある。シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加系では凝集し易く光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、低表面エネルギーのポリマーであるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じ易く、それによる透明性の劣化を生じる問題点があった。また、フッ素系高分子は一般的に柔らかいために傷がつき易い問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することのできる、即ち、光散乱やブリードがなく、均一な状態の表面層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立する電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、支持体及び該支持体上の感光層を有し、該感光層が電荷発生物質及び正孔輸送性化合物を含有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
【0010】
【化7】
Figure 0004040165
(Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R 3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、lは正の整数を示。)
で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物をモノマー成分として重縮合することによって得られる樹脂(該樹脂が、硬化性有機ケイ素系高分子及び上記式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂である場合を除く)を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0011】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置である。
【0012】
本発明においては、樹脂が、上記式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物のみをモノマー成分として重縮合することによって得られることが好ましい。なぜならば、樹脂の全てのモノマーが正孔輸送性基を有するので、残留電位が非常に小さい電子写真感光体を得ることができるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記式(1)において、Qは加水分解性基または水酸基を示し、加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びメトキシエチル基等が挙げられ、より好ましくは−OR1で示される。R1は加水分解性基であるアルコキシ基あるいはアルコキシアルコキシ基を形成する基であり、炭素数が1〜6であることが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びメトキシエチル基等が挙げられる。Qとしては、式−OR1であるアルコキシ基が好ましい
【0016】
3 はアルキレン基またはアリーレン基を示し、炭素数が1〜18であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、更にはこれらが結合した基等が挙げられる。また、R3 が有してもよい置換基としてはメチル基及びエチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
【0017】
これらの中ではR3 が式−(CH2 n −(nは正の整数)で示されることが好ましい。nは1〜18であることが更に好ましいが、必ずしも直鎖状である必要はない。nが19以上では正孔輸送性基Aが運動し易いため硬度が低下し、ケイ素原子に直接正孔輸送性基が結合していると立体障害等で安定性及び物性に悪影響を与え易い。nはより好ましくは2〜8である。
【0018】
また、lは正の整数を示す。更に、lは1〜5であることが好ましい。lが6以上では重縮合反応において未反応基が残り易いため電子写真特性等が低下し易い。
【0021】
上記式(1)の正孔輸送性基Aとしては、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、その水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示せば、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体及びトリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
【0022】
正孔輸送性基Aとしては、構造が下記式(2)で示されるものが好ましい。
【0023】
【化8】
Figure 0004040165
(R4 、R5 及びR6 は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4 、R5 及びR6 は同一であっても異なっていてもよい。)
このように正孔輸送性基AはR4 、R5 及びR6 のうちの1つの基の水素原子が除かれて形成された基である。
【0024】
4 、R5 及びR6 の構造の好ましい具体例を以下に示す。
【0025】
【化9】
Figure 0004040165
【0026】
【化10】
Figure 0004040165
【0027】
【化11】
Figure 0004040165
【0028】
上記式(1)の有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の合成方法としては、公知の方法、例えば、芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒、あるいは有機過酸化物等を触媒にヒドロシリル化反応を行うものが好適に用いられる。この場合に使用される白金触媒については特に限定するものではなく、通常のヒドロシリル化反応、付加型シリコーンゴムに用いられている白金触媒であればよく、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体及び白金−フォスフィン錯体等が挙げられる。白金触媒の添加量に関しては特に制限するものではないが、残留触媒が特性に悪影響を与えないようにできる限り少量で用いることが望ましい。芳香族環にビニル基を有する化合物と置換基を有する水素化ケイ素化合物とから白金系触媒等により、付加反応により本発明の化合物を合成する場合にはビニル基のα位と反応する場合とβ位と反応する場合があり、一般には混合物が生じる。本発明においてはα位、β位のどちらに反応したものも用いられるが、ケイ素原子と正孔輸送性基を結合している炭化水素基の炭素数が少ない場合には立体障害からはβ位に反応したものが好ましい。
【0029】
有機過酸化物としては室温以上に半減期を示すものであればよく、特に、ラウリルパーオキシド等のアルキル過酸化物が水素引き抜きを起こしにくいことから好適に用いることができる。ビニル基を有しないものについては、芳香族環をホルミル化し、還元、脱水するか直接Wittig反応によりビニル基を導入する方法等により、本発明の合成原料として用いることが可能である。
【0030】
上記有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の加水分解及び重縮合には、必ずしも触媒が必要ではないが、通常ケイ素樹脂の加水分解及び重縮合に用いられる触媒の使用を妨げるものではなく、加水分解及び重縮合に要する時間、硬化温度等を考慮してジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫オクトエート等のアルキル錫有機酸塩等もしくはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0031】
本発明においては、有機ケイ素変成正孔輸送性化合物の重縮合時に3次元架橋構造が形成されることにより、各元素間の運動や外部からの化合物の侵入が困難になることから、硬度や機械的強度が増大し、耐摩耗性が向上するのみでなく、帯電時に発生するアーク放電等の電気的な障害や化学物質等に対する耐久性も向上させることが可能となる。
【0032】
本発明においては、モノマー溶液により塗布膜を形成した後に硬化しても、前もって正孔輸送性化合物を部分的に重縮合してから塗布膜を形成し、硬化させてもよい。前もって正孔輸送性化合物を部分的に重縮合する場合には感光体への塗布に支障のない溶液もしくは分散液であれば用いることができる。
【0033】
硬化の条件としては100〜200℃で加熱することが好ましい。100℃未満では硬化反応に時間がかかるため、未反応の加水分解性基が残存する可能性もある。200℃を超えると正孔輸送性基が酸化劣化し易くなり、悪影響が発生し易い。より望ましくは、120〜160℃で加熱硬化して用いられる。
【0034】
本発明の正孔輸送能を有する硬化性化合物を用いて電子写真感光体を製造する例を下記に示す。
【0035】
電子写真感光体の支持体(図1及び2中の1)としては支持体自体が導電性を有するもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、マグネシウム、インジウム、金、白金、銀及び鉄等を用いることができる。その他にアルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ及び金等を蒸着等によりプラスチック等の誘導体支持体に被膜形成したものや、導電性微粒子をプラスチックや紙に混合したもの等を用いることができる。これらの導電性支持体は均一な導電性が求められるとともに平滑な表面であることが重要である。表面の平滑性はその上層に形成される下引層、電荷発生層及び正孔輸送層の均一性に大きな影響を与えることから、その表面粗さは0.3μm以下で用いられることが好ましい。0.3μmを超える凹凸は下引層や電荷発生層のような薄い層に印加される局所電場を大きく変化させてしまうためにその特性が大きく変化してしまい電荷注入や残留電位のむら等の欠陥を生じ易いことから好ましくない。
【0036】
特に導電性微粒子をポリマーバインダー中に分散して塗布することにより得られる導電層(図1及び2中の2)は形成が容易であり、均質な表面を形成することに適している。このとき用いられる導電性微粒子の1次粒径は100nm以下であり、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。導電性微粒子としては、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、Al、Au、Cu、Ag、Co、Ni、Fe、カーボンブラック、ITO、酸化スズ、酸化インジウム及びインジウム等が用いられ、これらを絶縁性微粒子の表面にコーティングして用いてもよい。前記導電性微粒子の含有量は体積抵抗が十分に低くなるように使用され、好ましくは1×1010Ωcm以下の抵抗となるように添加される。より好ましくは1×108 Ωcm以下で用いられる。
【0037】
レーザー等のコヒーレントな光源を用いて露光する場合は、干渉による画像劣化を防止するために、上記導電性支持体の表面に凹凸を形成することも可能である。このときは電荷注入や残留電位のむら等の欠陥が生じにくいように使用する波長の1/2λ程度の凹凸を数μm以下の直径のシリカビーズ等の絶縁物を分散することにより、10μm以下の周期で形成して用いることが可能である。
【0038】
本発明においては、支持体と感光層の中間に、注入阻止機能と接着機能を持つ下引層(図1及び2中の3)を設けることもできる。下引層の材料としてはカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等が挙げられる。下引層の膜厚は0.1〜10μmであることが好ましく、特には0.3〜3μmであることが好ましい。
【0039】
感光層としては電荷発生物質を含有する電荷発生層(図1及び2中の4)と正孔輸送性化合物を含有する電荷輸送層(図1及び2中の5)からなる機能分離タイプのものや電荷発生物質と正孔輸送性化合物を同一の層に含有する単層タイプ(不図示)が用いられる。
【0040】
電荷発生物質としては、例えば、セレン−テルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料及びシアニン系顔料等を用いることができる。
【0041】
本発明の正孔輸送性化合物を重縮合した樹脂は電荷輸送層(図1中の5)もしくは正孔輸送能を有する表面保護層(図2中の6)として用いることが可能である。
【0042】
単層感光体として用いる場合は前記電荷発生物質と本発明の正孔輸送性化合物と組み合わせて用いることにより良好な特性が得られる。
【0043】
本発明の正孔輸送性化合物は他の正孔輸送性化合物と組み合わせて用いることが可能であるが、かかる正孔輸送性化合物としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物を用いることができる。
【0044】
上記電荷発生物質や正孔輸送性化合物は必要に応じてバインダーポリマーが用いられる。バインダーポリマーの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0045】
感光層及び保護層には前記化合物以外にも機械的特性の改良や耐久性向上のために添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、架橋剤、潤滑剤及び導電性制御剤等が用いられる。
【0046】
本発明における電荷発生層の膜厚は3μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることが好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0047】
感光層が単層タイプである場合は、その膜厚は1〜40μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
【0048】
本発明における表面保護層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。1μm未満では保護効果が十分ではなく、15μmを超えると感光層全体の膜厚が増加することにより、画像劣化が生じ易くなってしまうことから好ましくない。
【0049】
本発明においては、更に、露光手段が照射する光ビームのスポット面積と電子写真感光体が有する感光層の膜厚の積が2×104 μm3 以下であることが好ましい。また、この積は現像コントラストの大きさ(現像時の感光体上の電位差)の点で2×103 μm3 以上であることが好ましい。2×103 μm3 に満たないと十分な現像コントラストは得にくくなる傾向になる。
【0050】
この場合、本発明に用いられる露光方法は、光をドット状に照射することによって感光体上に静電潜像を形成する物である。その光源は特に制限されるものではないが、より小さなスポット面積をより容易に得ることができるという点でレーザー光及びLED光であることが好ましい。
【0051】
図3に光の強度分布、スポット径及びスポット面積(S)と感光層の厚さの積の関係を示す。光スポットは一般的には図1に示すように主走査スポット径(ab)と副走査スポット径(cd)を有する楕円形の形状を有しており、本発明におけるスポット面積と感光層の厚さの積は、該光スポットが感光層へ照射されている部分の体積(V)であるといえる。
【0052】
該光のスポット面積(S)は感光層上の面積であり、光の強度がピーク強度(A)の1/e2 (B)以上である部分の面積で表される。用いられる光源としては半導体レーザーやLED等が挙げられ、光強度分布についてもガウス分布やローレンツ分布等があるが、いずれの場合もピーク強度(A)の1/e2 (B)以上の強度の部分をスポット面積(S)とする。なお、スポット面積(S)は、感光体の位置にCCDカメラを設置することにより測定することができる。
【0053】
本発明における光のスポット面積は4×103 μm2 以下であることが好ましく、特には3×103 μm2 以下であることが好ましい。4×103 μm2 を超えると隣接画素の光と重複し易くなり、階調再現性が不安定となり易い。また、コストの点から1×103 μm2 以上であることが好ましい。
【0054】
上記観点からは、本発明における感光層の厚さは12μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。
【0055】
本発明の電子写真感光体は、極めて優れた機械的強度及び表面潤滑性を有しているので、このような系に用いられる感光体として非常に好ましい。
【0056】
図4に本発明のプロセスカートリッジを有する画像形成装置の第1の例の概略構成を示す。
【0057】
図において7はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸8を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体7は、回転過程において、一次帯電手段9によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、レーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光10を受ける。こうして感光体7の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0058】
形成された静電潜像は、現像手段11によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は不図示の給紙部から感光体7と転写手段12との間に感光体7の回転と同期取り出されて給紙された転写材13に、転写手段12により順次転写されていく。
【0059】
像転写を受けた転写材13は、感光体面から分離されて像定着手段14へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外にプリントアウトされる。
【0060】
像転写後の感光体7の表面は、クリーニング手段15によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光16により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段9が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0061】
本発明においては、上述の電子写真感光体7、一次帯電手段9、現像手段11及びクリーニング手段15等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段9と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール18等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ17とすることができる。
【0062】
図5に本発明の画像形成装置の第2の例であるカラー複写機の概略構成を示す。
【0063】
図において201はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。また、202はプリンタ部であり、イメージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0064】
イメージスキャナ部201において、200は原稿厚板であり、原稿台ガラス203上の原稿204を固定するために用いられる。原稿204は、赤外カットフィルタ208を通したハロゲンランプ205の光で照射される。原稿204からの反射光はミラー206、207に導かれ、レンズ209により3本のCCDラインセンサで構成される3ラインセンサ(以下CCDという)210上に像を結ぶ。CCD210は原稿からの光情報を色分解して、フルカラー情報のうちレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)成分として信号処理部211に送られる。なお、205、206は速度vで、207は1/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0065】
信号処理部211では読み取られた信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(BK)の各成分に分解し、プリンタ部200に送られ、計4回の原稿走査により一回のプリントアウトが完成する。
【0066】
イメージスキャナ部201より送られてくるM,C,Y及びBKの画像信号は、レーザードライバ212に送られる。レーザードライバ212は画像信号に応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光体ドラム217上を走査する。
【0067】
218は回転現像器であり、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221及びブラック現像器222より構成され、4つの現像器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上に形成されたM,C,Y,BKの静電潜像を対応するトナーで現像する。
【0068】
223は転写ドラムで、用紙カセット224または225より給紙された用紙をこの転写ドラム223に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナー像を用紙に転写する。
【0069】
このようにしてM,C,Y及びBKの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット226を通過して定着後、排紙される。
【0070】
[合成例1]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン101.4gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、温度を95℃に上げて5時間反応させた。反応液を4リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドを得た。収量91.5g(収率81.0%)。
【0071】
〈4−ビニルトリフェニルアミンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g及び1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。これに4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド100gを加え、70℃に温度を上げ5時間反応させた。反応液を濾過し、濾液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にし水洗した。次いで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色のビニルトリフェニルアミンを得た。収量83.4g(収率84.0%)。
【0072】
〈4−ビニルトリフェニルアミンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルトリフェニルアミン8.2gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除き、淡黄色油状の4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量12.1g(収率91.7%)。
【0073】
H−NMRスペクトルを図6に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.68eVであった。
【0074】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約8μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成した。
【0075】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1×10-7cm2 /Vsecであった。
【0076】
[合成例2]
4,4′−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンの合成
〈N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
三つ口フラスコにトリフェニルアミン50.7gとDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、5リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、N,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量65.3g(収率95.9%)。
【0077】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
水素化ナトリウム4.8g及び1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらメチルトリホスフォニウムブロマイド73.2gを加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液にN,N−ビス(4−ホルミルフェニル)アミノベンゼン30.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、水洗し、トルエン抽出した。次いで、トルエン溶液を塩化カルシウムで脱水後、溶媒を除去し、淡黄色のN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量18.4g(収率62.2%)。
【0078】
〈N,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらN,N−ビス(4−ビニルフェニル)アミノベンゼン2.6g(8.7mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4,4′−ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。収量4.4g(収率80.6%)。
【0079】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.67eVであった。
【0080】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。
【0081】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ3×10-7cm2 /Vsecであった。
【0082】
[合成例3]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンの合成〉
4−ヨード−o−キシレン38.5g(166mmol)、無水炭酸カリウム22.9g(166mmol)及び銅粉7.0gをニトロベンゼン20mlに加え、撹拌下加熱還流を8時間行った。冷却後濾過し、沈殿を除去した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムを通しN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノベンゼンを得た。収量15.7g(収率69%)。
【0083】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコに[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンゼン124.6g及びDMF35.5mlを入れ、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下した。滴下終了後、混合溶液を95℃で5時間反応させ、4リットルの温水へ注ぎ1時間撹拌した。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドを得た。収量107.6g(収率79.0%)。
【0084】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンの合成〉
水素化ナトリウム12.1g及び1,2−ジメトキシエタン580mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド108.5gを加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70℃で4時間反応させた。以上のようにして得られた反応混合液に4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド100.0gを加え、70℃で5時間反応させた後、濾別し、濾取したケーキをエーテル抽出しロ液と一緒にし水洗した。次いで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールで再結晶二回行い、針状、4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンを得た。収量84.5g(収率85.0%)。
【0085】
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量13.4g(収率90.1%)。
【0086】
H−NMRスペクトルを図7に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。C−NMRスペクトルを図8に示す(ブルカー社製、APC300 NMRスペクトロメータ)。
【0087】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.26eVであった。
【0088】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。
【0089】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ9×10-7cm2 /Vsecであった。
【0090】
[合成例4]
4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g(37mmol)及びジクロロ(h−シクロオクタ−1,5−ジエン)白金(II)0.34mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]スチレン9.9gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量14.0g(収率94.2%)。
【0091】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.31eVであった。
【0092】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成した。
【0093】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ7×10-7cm2 /Vsecであった。
【0094】
[合成例5]
4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンの合成
〈4−ブロモトリフェニルアミンの合成〉
N−ブロモスクシンイミド8.0g(45mmol)及びトリフェニルアミン10.0g(41mmol)を200ml三つ口フラスコに入れ、N,N−ジメチルホルムアミド150mlを加えた後、室温下で一晩撹拌した。次いで、N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、得られた固形物を四塩化炭素で抽出した。その後、四塩化炭素を除去し、得られた反応混合物をエタノールで二回再結晶を行い、白色固体の4−ブロモトリフェニルアミンを得た。収量8.2g(収率61.7%)。
【0095】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンの合成〉
300ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g(40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いで、ジエチルエーテル100mlを加え撹拌を開始した。そこへ4−ブロモトリフェニルアミン8.6g(27mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液30mlをゆっくり滴下した。約3ml滴下したところでゆるやかに還流が始まった。還流させながら、更にジエチルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了後、更に1時間還流を行った。以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルクロライド2.1g(27mmol)のジエチルエーテル溶液40mlを氷冷しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時間還流し反応を熟成した。その後、水50mlを氷冷しながら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンを得た。収量4.9g(収率63.2%)。
【0096】
〈4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン6.0g(37mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.54mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノアリルベンゼン9.7g(34mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリフェニルアミンを得た。収量10.7g(収率70.1%)。
【0097】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.72eVであった。
【0098】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約9μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成した。
【0099】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ1.4×10-7cm2 /Vsecであった。
【0100】
[合成例6]
4−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]トリフェニルアミンの合成
〈4−メチルトリフェニルアミンの合成〉
ジフェニルアミン4.5g(27mmol)、p−ヨードトルエン11.0g(51mmol)、無水炭酸カリウム5.5g(40mmol)及び銅粉1.1gをo−ジクロロベンゼン30mlに加え、撹拌下加熱還流を7時間行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液を3〜5%チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去した。得られた反応混合物をエタノールを用いて再結晶を行い4−メチルトリフェニルアミンを得た。収量5.7g(収率81.4%)。
【0101】
〈4−ブロモメチルトリフェニルアミンの合成〉
N−ブロモスクシンイミド6.9g(39mmol)及び4−メチルトリフェニルアミン9.1g(35mmol)を300ml三つ口フラスコに入れ、四塩化炭素100mlを加えた後、撹拌下加熱還流を一晩行った。反応終了後、反応溶液を冷却した。次いで、反応溶液を濾過し、溶媒を除去して、得られた反応混合物をエタノールを用いて再結晶を行い4−ブロモメチルトリフェニルアミンを得た。収量10.8g(収率91.2%)。
【0102】
〈4−N,N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブテンの合成〉
200ml四つ口フラスコにマグネシウム金属1.0g(40mmol)を入れ窒素置換を行った。次いで、ジエチルエーテル100mlを加え撹拌を開始した。そこへ4−ブロモメチルトリフェニルアミン9.1g(27mmol)を溶解したジエチルエーテル溶液20mlをゆっくり滴下した。約5ml滴下したところでゆるやかに還流が始まった。還流させながら、更にジエチルエーテル溶液の滴下を続け、滴下終了後、更に1時間還流を行った。以上のようにして得られたグリニャール試薬溶液を室温まで戻し、次にアリルクロライド2.1g(27mmol)のジエチルエーテル溶液20mlを氷冷しながらゆっくり滴下した。滴下終了後、反応混合物を2時間還流し反応を熟成した。その後、水50mlを氷冷しながら加え加水分解を行った。次に、エーテル層を抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ジエチルエーテルを除去し白色固体の4−N,N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブテンを得た。収量5.5g(収率66.7%)。
【0103】
〈4−N,N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブテンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−N,N−ジフェニルアミノフェニル−1−ブテン16.7g(54.7mmol)のトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去し、淡黄色油状の4−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]トリフェニルアミンを得た。収量13.9g(収率83.2%)。
【0104】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、5.69eVであった。
【0105】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に蒸着により半透明金電極を形成した。
【0106】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ2×10-7cm2 /Vsecであった。
【0107】
[合成例7]
4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミン(合成例1)10gをトルエン16.7gに溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。これをガラス板にバーコートを用いて塗布し、140℃で15時間乾燥した。顕微鏡で観察したところ均一フィルムが形成されたことが判明した。
【0108】
[比較合成例1]
メチルトリエトキシシラン10gをトルエン16.7gに溶解し、正孔輸送性化合物としてトリフェニルアミンをメチルトリエトキシシランに対して30重量%溶解し、ジブチル錫ジアセテート0.2gを加え混合した。合成例7と同様に混合硬化させてフィルムを形成した。フィルムは白濁し、顕微鏡ではトリフェニルアミンの析出が観測された。
【0109】
[比較合成例2]
メチルトリエトキシシランに代えてフェニルトリエトキシシランを用いた他は比較合成例1と同様にフィルムを形成した。生成したフィルムは不透明性は低下したものの、顕微鏡観測ではトリフェニルアミンの結晶が析出した。
【0110】
[比較合成例3]
ヒドロシリル化にトリメチルシラン6g(60mmol)を使用した他は合成例1と同様に反応させ、4−[2−(トリメチルシリル)エチル]トリフェニルアミンを得た。これを電荷輸送性化合物として比較合成例1と同様にしてフィルムを生成したところ、不透明であり、4−[2−(トリメチルシリル)エチル]トリフェニルアミンの分離が認められた。
【0111】
[比較合成例4]
メチルトリエトキシシラン10gをトルエン16.7gに溶解し、溶液に電荷輸送性化合物として後述の実施例1にて使用したトリアリールアミン化合物をメチルトリエトキシシランに対して30重量%溶解し、合成例7と同様に混合硬化させてフィルムを形成した。フィルムは白濁し、顕微鏡ではトリアリールアミン化合物の析出が観測された。
【0112】
[合成例8]
4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンの合成
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)ベンズアルデヒドの合成〉
三つ口フラスコにジフェニルエチルアミン82gとDMF35.5mlを加え、氷水冷却下、撹拌しながらオキシ塩化リン84.4mlを滴下し、滴下終了後、温度を95℃に昇温して5時間反応させた。その後、沈殿物を濾取し、エタノール/水(1:1)の混合溶液で洗浄し、4−(N−フェニルアミノ)エチルベンズアルデヒドを得た。収量62g。
【0113】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンの合成〉
水素化ナトリウム14.6g及び1,2−ジメトキシエタン700mlを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながらトリメチルホスフォニウムブロマイド130.8gを加えた。次に、無水エタノールを一滴加えた後、70℃に温度を昇温し、5時間反応させた。反応液を濾過し、濾液と沈殿物のエーテル抽出液を一緒にして水洗した。次いで、エーテル液を塩化カルシウムで脱水後、エーテルを除去し、反応混合物を得た。これをエタノールから再結晶を行い、針状、淡黄色の結晶を得た。収量62.4g。
【0114】
〈4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)スチレンのヒドロシリル化〉
トルエン40ml、トリエトキシシラン9.9g(60mmol)及びトリス(テトラメチルジビニルジシロキサン)二白金(0)のトルエン溶液0.018mmolを三つ口フラスコに取り、室温で撹拌しながら4−ビニルフェニル(N−フェニル,N−エチル)アミン7.6gのトルエン溶液20mlを滴下した。滴下終了後、70℃で3時間撹拌を行った後、溶媒を減圧下で除去して、淡黄色油状の4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンを得た。収量7.8g。
【0115】
この化合物のイオン化ポテンシャルを大気下光電子分析器(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定したところ、6.3eVであった。
【0116】
この化合物を銅基板上にワイヤーバーコート法により塗布し、120℃にて12時間熱硬化し、約5μmの膜を作成した。次に、蒸着により半透明金電極を形成した。
【0117】
このサンプルに対してパルス幅3nsecの波長337nmの窒素レーザーを用いてTime−of−flight法にてドリフト移動度を測定したところ2×10-8cm2 /Vsecであった。
【0118】
【実施例】
[実施例1]
鏡面加工により作成した外径80mmのアルミニウムシリンダー上に、アルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部(重量部、以下同じ)をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引層を形成した。
【0119】
次に、電荷発生層用分散液として下記のビスアゾ顔料5部をシクロヘキサノン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで20時間分散した。この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法により塗工した。
【0120】
【化12】
Figure 0004040165
【0121】
次いで、下記の構造式を有するトリアリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液に平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.3部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。
【0122】
【化13】
Figure 0004040165
【0123】
次に、合成例3で合成した4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン100部をトルエン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液をスプレーコーティング法により塗工した。
【0124】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで2μmの表面保護層を形成した。
【0125】
この電子写真感光体を−700Vに帯電して波長680nmの光で電子写真特性を測定したところ、E1/2 (−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が1.2μJ/cm2 、残留電位が−16Vと良好であった。
【0126】
本電子写真感光体をキヤノン製デジタルフルカラー複写機CLC−500を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmの照射スポット径(1/e2 )となるように改造した評価機を用いて初期帯電−400Vに設定して画像評価を行ったところ、初期及び10万枚耐久試験後も黒ポチ等の電荷注入もなく、感光体の摩耗量も1.5μmと少なく、均一性の優れた画像出力が得られ、階調再現性も400dpiで256階調ときわめて良好であった。
【0127】
[比較例1]
実施例1において保護層を塗工しないこと以外は同様にして作製した電子写真感光体の画像評価を行ったところ、2万枚の耐久試験後に黒ポチ等が大量に発生したために良好な画像は得られなかった。感光体の摩耗量は2万枚で5μmときわめて大きかった。
【0128】
[実施例2]
引き抜き加工により得られた外径30mmのアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部及び平均粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸漬コーティング法により塗工し、乾燥後の膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0129】
上記導電層上にアルコール可溶性共重合ナイロン(商品名 アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸漬コーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引層を形成した。
【0130】
次に、電荷発生層用分散液としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサン95部にポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0131】
この分散液を先に形成した下引層の上に乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸漬コーティング法により塗工した。
【0132】
次いで、合成例4で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物100部をトルエン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液を前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して膜厚10μmの透明で均一な電荷輸送層を形成した。
【0133】
鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は105度であった。
【0134】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、露光しないで1秒後の表面電位を測定したところ、暗減衰は40Vであった。
【0135】
また、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2 (−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.2μJ/cm2 、残留電位が−22Vと良好であった。
【0136】
本電子写真感光体をキヤノン製レーザービームプリンタLBP−8IVの改造機(スポット径(1/e2 )を副走査方向で63.5μm、主走査方向で20μmに改造)を用い初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、4000枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.1μm以下と極めて少なく、耐久後の水の接触角も100度と良好で、画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0137】
[比較例2]
実施例1において用いたトリアリールアミン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名 Z−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をクロロベンゼン70部に溶解した電荷輸送層用の液を実施例2の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工することによって、乾燥後の膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体を実施例2と同様に評価したところ、4000枚の耐久試験後は干渉縞及び黒ポチが認められ、摩耗量が1.8μmと大きく、水の接触角も72度と小さいために不良であり、600dpiでのハイライト部の1画素再現性も不十分でムラがあった。
【0138】
[実施例3]
実施例2と同様のアルミニウムシリンダー上に、フェノール樹脂(商品名 プライオーフェン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1次粒径50nm)200部を分散したものを浸漬コーティング法により、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した。この導電性支持体に実施例2と同様にして膜厚1μmの下引層及び膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0139】
次いで、合成例3で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物100部をトルエン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液に更に平均粒径3μmのSiO2 微粒子1.25部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃で5時間乾燥、熱硬化して膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。顕微鏡で観察したところSiO2 粒子以外は透明で均一であった。
【0140】
鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は110度であった。
【0141】
この電子写真感光体を−700Vに帯電し、波長680nmの光を用いて電子写真特性を測定したところ、E1/2 (−350Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)が0.23μJ/cm2 、残留電位−21Vと良好であった。
【0142】
本電子写真感光体を実施例2と同様のキヤノン製レーザービームプリンタを用い、初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の感光体の摩耗量は0.2μmと少なく、水の接触角は102度と良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0143】
[実施例4]
実施例1と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0144】
次いで、実施例1で用いた電荷輸送層用の液に平均粒径2μmのシリコーン樹脂微粒子0.1部を添加したものを前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により乾燥後の膜厚が9μmとなるように塗工した。
【0145】
次に、表面保護層として合成例3で合成した4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン100部をトルエン167部溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液をスプレーコーティング法により塗工した。
【0146】
140℃で4時間乾燥、熱硬化することで透明で均一な膜厚が3μmの表面保護層を形成した。鉛筆硬度は2Hであり、水の接触角は115度であった。
【0147】
この電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様にして評価したところ、E1/2 が1.0μJ/cm2 で、残留電位が−25Vと良好であった。
【0148】
また、この電子写真感光体を実施例1と同様のデジタルフルカラー複写機を用いて初期帯電−400Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の摩耗量は0.13μmときわめて少なく、水の接触角は109度であり、ハイライト部、高濃度部の再現性の優れた画像が得られた。
【0149】
[実施例5]
実施例2と同様にして、電荷発生層まで形成した。
【0150】
次いで、合成例8で合成した有機ケイ素変成トリアリールアミン化合物100部をトルエン167部に溶解し、ジブチル錫ジアセテート2部を加え混合した溶液を前記の電荷発生層の上に浸漬コーティング法により塗工した。120℃にて5時間乾燥、熱硬化して電荷輸送層の膜厚が10μmの本発明の感光体を作製した。
【0151】
鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は107度であった。
【0152】
実施例2と同様にして電子写真特性を測定したところ、E1/2 が0.20μJ/cm2 、残留電位が−25Vであった。
【0153】
本電子写真感光体を実施例2と同様のレーザービームプリンタを用いて、初期帯電−500Vに設定して画像評価を行ったところ、1万枚の耐久試験後の摩耗量は0.28μmときわめて少なく、水の接触角は98度であり良好で黒ポチ等の電荷注入及び干渉縞による画像の劣化もなく、600dpi相当の入力信号においてのハイライト部の1画素再現性も十分であった。
【0154】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、光散乱やブリードがなく、均一な状態の表面層であって低表面エネルギーと機械的、電気的耐久性を両立した電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の第1の例の層構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の第1の例の層構成を示す図である。
【図3】光の強度分布、スポット径及び光のスポット面積と感光層の厚さの積の関係を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の例の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の例の概略構成を示す図である。
【図6】合成例1の4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンのH−NMRスペクトルである。
【図7】合成例3の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのH−NMRスペクトルである。
【図8】合成例3の4−[N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]−[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼンのC−NMRスペクトルである。

Claims (6)

  1. 支持体及び該支持体上の感光層を有し、該感光層が電荷発生物質及び正孔輸送性化合物を含有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
    Figure 0004040165
    (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、lは正の整数を示す。)
    で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物をモノマー成分として重縮合することによって得られる樹脂(該樹脂が、硬化性有機ケイ素系高分子及び上記式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂である場合を除く)を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記式(1)中のAが下記式(2)
    Figure 0004040165
    (R4、R5及びR6は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。)
    で示される請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくともひとつの手段とを有し、該電子写真感光体及び該少なくともひとつの手段を一体に支持するプロセスカートリッジにおいて、
    該電子写真感光体が支持体及び該支持体上の感光層を有し、該感光層が電荷発生物質及び正孔輸送性化合物を含有する電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
    Figure 0004040165
    (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、lは正の整数を示す。)
    で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物をモノマー成分として重縮合することによって得られる樹脂(該樹脂が、硬化性有機ケイ素系高分子及び上記式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂である場合を除く)を含有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 前記式(1)中のAが下記式(2)
    Figure 0004040165
    (R4、R5及びR6は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。)
    で示される請求項に記載のプロセスカートリッジ。
  5. 電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置において、
    該電子写真感光体が支持体及び該支持体上の感光層を有し、該感光層が電荷発生物質及び正孔輸送性化合物を含有する電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体の表面層が下記式(1)
    Figure 0004040165
    (Aは正孔輸送性基を示し、Qは加水分解性基または水酸基を示し、R3は置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基を示し、lは正の整数を示す。)
    で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物をモノマー成分として重縮合することによって得られる樹脂(該樹脂が、硬化性有機ケイ素系高分子及び上記式(1)で示される有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を硬化することによって得られる樹脂である場合を除く)を含有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記式(1)中のAが下記式(2)
    Figure 0004040165
    (R4、R5及びR6は有機基であり、そのうちの少なくとも1つは芳香族炭化水素環基または複素環基を示し、R4、R5及びR6は同一であっても異なっていてもよい。)
    で示される請求項に記載の画像形成装置。
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